前日の米国市場はNYダウが最高値を更新し、ナスダックは2.13%高。追い風は十分にありました。それでも日経平均の終値はわずか202円高です。しかも東証プライムの値下がりは902銘柄、全体の58%。東京エレクトロンとキオクシアHDの2銘柄だけで約240円分を押し上げた計算で、この2銘柄を除けば指数はマイナスでした。日米協調介入による円安是正が業績警戒につながる一方、後場は好決算とAIインフラ関連に資金が戻る——強弱が真正面からぶつかった一日です。
本日の相場概況
8月4日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前日比202円63銭(0.32%)高の6万3,957円53銭で取引を終えました。前日の米国市場でNYダウが最高値を更新し、ナスダック総合が2.13%高と大幅高になったことが追い風として意識されましたが、上値は終始重いままでした。
値動きの経路が、この日の性格を物語ります。寄り付きは6万3,995円28銭と前日比240円高でスタートし、9時4分には高値6万4,240円50銭を付けました。ところがそこから売りに押され、10時26分には安値6万2,864円43銭まで下落。前日終値を890円も下回る水準まで叩かれています。前場のうちに、高値からの下げ幅は1,376円に達しました。
流れが変わったのは後場です。好決算を発表した銘柄への買いと、半導体を含むAIインフラ関連株への資金流入が相場全体を支え、取引終盤にかけて買いが厚くなりました。終値は安値から1,093円10銭戻した6万3,957円53銭。日中値幅は1,376円07銭と、前日の1,202円をさらに上回る荒い値動きでした。
ローソク足は2日連続で長い下ヒゲです。始値6万3,995円28銭に対し終値は6万3,957円53銭で、実体はわずか37円75銭の極小の陰線。下ヒゲは1,093円10銭、上ヒゲは245円22銭。実体の29倍という下ヒゲの長さは、日中に売り込まれた水準がことごとく買い戻されたことを意味します。前日のカラカサに続き、下値を売り叩く動きが2日続けて跳ね返された——形の上では、これは無視できない事実です。
ただし、指数の外を見るといつもの構図が戻ってきます。東証プライムでは値上がり629銘柄に対し値下がりが902銘柄、変わらずが26銘柄。値下がりが全体の58%を占めました。業種別でも33業種中23業種が下落し、上昇はわずか10業種です。TOPIXは1.75ポイント(0.04%)高の3,961.78と、ほぼ横ばいにとどまりました。日経平均が0.32%上げた日に、市場の6割弱は下げていたのです。これで指数と実態の乖離は9営業日連続になります。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 63,957.53円 | +202.63円 (+0.32%) |
| 日経平均 高値 / 安値 | 64,240.50 / 62,864.43 | 始値 63,995.28円 (値幅1,376円) |
| TOPIX | 3,961.78 | +1.75 (+0.04%) |
| TOPIX 高値 / 安値 | 3,969.23 / 3,926.33 | 始値 3,960.28 |
| NYダウ (8/3終値) | 53,178.41 | +693.38 (+1.32%) 最高値更新 |
| S&P 500 (8/3終値) | 7,600.50 | +110.78 (+1.48%) |
| ナスダック総合 (8/3終値) | 25,913.90 | +540.04 (+2.13%) |
| SOX指数 (8/3終値) | 11,430.35 | +119.28 (+1.05%) |
| 米ドル/円 | 157円70銭前後 | 15時時点157円67銭付近 (前日から円安方向) |
| 東証プライム 売買代金 | 約10兆2,837億円 | 前日の約11兆7,886億円から減少 |
| 東証プライム 売買高 | 約26億214万株 | 前日の約28億2,409万株から減少 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 629 / 902 | 変わらず26 (値下がりが約58%) |
| 業種別騰落 (33業種) | 上昇10 / 下落23 | 非鉄金属が上昇率トップ |
| 日経平均VI | 34.27 | -1.23 (-3.46%) 高値36.85/安値34.27 |
| 日経225先物 (清算値) | 63,900円 | +70円 |
| NT倍率 | 16.14倍 | 前日16.10倍から上昇 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場は、3つの材料が綱引きした結果として理解するのが正確です。買い材料が1つ、売り材料が2つ——そして買い材料のほうがわずかに強かった、というのが202円高の中身になります。
買い材料は明白で、前日の米国市場の全面高です。NYダウは693ドル38セント高の5万3,178ドル41セントと最高値を更新、S&P500は1.48%高、ナスダック総合は2.13%高、SOX指数も1.05%高でそろって上昇しました。決算発表シーズンの見直し買いが米国の巨大ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)を中心に広がっており、AI関連の設備投資期待が改めて買われた格好です。
売り材料の一つ目は為替です。前日3日に片山財務相が表明した日米協調介入に伴う円安是正の動きが継続しており、企業業績に与える影響が警戒されました。ここが今回の重要な捻れです。米株高の恩恵を最も受けるはずの日本の輸出企業が、同時に円高リスクを抱えている——だから日本株は米株高の波に乗りきれません。日経新聞も本日の相場を「米株高の波乗れず、円安修正で車・商社売り」と表現しています。実際、クボタ(6326)や丸紅(8002)といった円安メリット銘柄が売られました。
ドル円の実際の水準は、東京時間15時で157円67銭付近。前日終値の157円18銭からはむしろ円安方向に0.5円戻しています。目先の水準は円安に振れているのに、市場は円高を警戒している——この一見矛盾した状態を作っているのが、次の材料です。
売り材料の二つ目は当局の姿勢です。片山財務相とベッセント米財務長官が、外為市場でのさらなる協調介入に躊躇しない姿勢を示したと伝わりました。これは水準の問題ではなく期待形成の問題です。円安方向にポジションを傾ければいつ介入が来るか分からないという状態は、円安を前提にした株式のポジションを取りにくくします。7月30日の急落(162円80銭台→157円94銭)を目撃した市場にとって、この警告は具体性を伴っています。
もう一つ、地味ながら効いたのが長期債利回りの再上昇です。金利上昇はバリュエーションの割高感を意識させ、買い手控え要因になりました。一方でイラン情勢への警戒感はやや緩和しており、地政学リスクは本日に限れば後退方向です。
結果として市場心理は一方向に傾きませんでした。日経平均VIは前日比1.23ポイント低下の34.27と、変動率の織り込みはむしろ下がっています。日中の高値は36.85でしたから、朝方の下げ局面で高まった警戒が、引けにかけて解けた形です。ただし34という水準自体は、平常時のレンジ(20〜30程度)より依然として高いままです。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
上昇した10業種の筆頭は非鉄金属でした。ここに本日の資金の向き先が象徴的に表れています。フジクラ(5803)、古河電気工業(5801)——いずれもAIデータセンター向けの電線・光ファイバー需要で買われてきた銘柄群です。「非鉄金属」という古い業種名の裏側で動いているのは、実はAIインフラ投資だという点は押さえておく価値があります。
個別最大の主役はキオクシアホールディングス(285A)で、大幅高となり4連騰を記録しました。前日の決算で最終利益29倍・自社株買い・株式分割を発表した流れが継続しています。そして日経平均寄与度で見ると、東京エレクトロンとキオクシアHDの2銘柄だけで約240円分を押し上げました。日経平均の上げ幅が202円ですから、この2銘柄がなければ指数はマイナスだった計算になります。
後場に急動意して水準を切り上げたのが三菱重工業(7011)です。4-6月期の最終利益が97%増益で着地したことが素直に評価されました。太陽誘電(6976)も上値を追い、レーザーテック(6920)の上げ足も目立っています。
ストップ高は10銘柄。JPMC(3276)、トーメンデバイス(2737)、JUKI(6440)がいずれも値幅制限いっぱいに買われ、ダイトロン(7609)も一時ストップ高を演じました。日東紡績(3110)とヤマハ発動機(7272)も値を飛ばしています。ヤマハ発は今期最終を70%上方修正したことが材料でした。ほかにさくらインターネット(3778)、住友重機械工業(6302)も物色人気を集めています。
決算ではトヨタ自動車(7203)が今期最終を8%上方修正、三井物産(8031)が4-6月期最終53%増益、イビデン(4062)が今期経常を41%上方修正して最高益予想を上乗せと、好材料が相次ぎました。本日はトヨタ・三菱重・イビデンなど90社が決算を発表しています。
売られたセクター・銘柄
一方で23業種が下落し、値下がり銘柄数は902と市場の58%に達しました。半導体でも明暗が分かれ、アドバンテスト(6857)は安く引けています。東京エレクトロンやキオクシアが買われる一方でアドバンテストが売られるという構図は、「半導体全体」ではなく「メモリー・AIインフラ」という一段細かい選別が働いていることを示します。
指数寄与度の大きい銘柄ではソフトバンクグループ(9984)が売りに押され、ファーストリテイリング(9983)も下値を試しました。金融では三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が軟調です。クボタ(6326)、丸紅(8002)といった為替感応度の高い銘柄が売られたのは、前述の円安是正警戒の直接的な反映といえます。
値下がり率トップはJVCケンウッド(6632)の急落でした。ソフトクリエイトホールディングス(3371)も大幅安。ほかに日本ハム(2282)、三井E&S(7003)、AGC(5201)の下げが大きく、ヤマトホールディングス(9064)も下落しました。ストップ安は2銘柄です。
商いは前日から縮小しました。東証プライムの売買代金は約10兆2,837億円で、前日の約11兆7,886億円から1兆5,000億円ほど減少。売買高も約26億214万株と、前日の約28億2,409万株から減っています。介入表明当日の商いの厚みは続かなかったということです。10兆円を超える水準自体は依然として高水準ですが、方向感が定まらないなかで様子見に回った参加者が増えたと読むのが自然でしょう。
テクニカル分析
トレンド
本日の日足は実体37円75銭の極小の陰線に、1,093円10銭の下ヒゲという形です。実体の29倍という比率は、前日の13倍をさらに上回ります。2営業日連続で、長い下ヒゲを持つほぼ十字線に近いローソク足が出たことになります。
この2本が持つ意味は、単独で見るより並べて見たときに大きくなります。2日続けて、日中に1,000円超売り込まれた水準が引けまでに全部買い戻された——しかも1日目は日米協調介入の表明日、2日目は追加介入への警告が伝わった日です。最も売り材料が強い2日間で、下値が2度とも拾われたという事実には重みがあります。
安値の推移を並べると流れが見えます。7月29日が6万448円90銭、30日が6万1,049円70銭、31日が6万1,948円23銭、8月3日が6万2,703円47銭、そして本日が6万2,864円43銭。5営業日連続で安値を切り上げています。
そして本日は、前日まで欠けていたものが加わりました。高値の切り上がりです。本日の高値6万4,240円50銭は、前日の高値6万3,905円12銭を335円上回りました。前日の記事で「下値は切り上がったが上値は切り下がった」三角保ち合いと書きましたが、本日その収束は上方向に一歩抜けたことになります。ただし7月31日の高値6万5,364円73銭にはまだ1,124円届いておらず、本格的な上放れと呼ぶには早すぎます。
中期の位置も確認します。本日終値は7月1日の終値7万474円96銭から6,517円43銭(9.25%)安。前日の9.54%安からはわずかに改善しました。急落前の7月27日終値6万4,931円19銭にはなお973円66銭届いていません。7月28日に開いた窓の埋め戻しは、依然として未完了です。
サポートとレジスタンス
- 第1サポート: 6万3,075円 — 5日移動平均線(推定)。本日終値の約880円下にあり、押し目の第一関門です。
- 第2サポート: 6万2,864円 — 本日の安値。5日線のすぐ下に位置し、この価格帯が当面の防衛ラインになります。
- 第3サポート: 6万2,703円 — 前日3日の安値。ここを割ると5営業日続いた下値切り上げが途切れます。
- 第1レジスタンス: 6万4,240円 — 本日の高値。始値付近で付けた水準であり、まずはここを終値ベースで上抜けられるかが焦点です。
- 第2レジスタンス: 6万4,931円 — 7月27日終値、すなわち7月28日の窓の下限。約974円上にあります。
- 第3レジスタンス: 6万6,436円前後 — 25日移動平均線(推定)。中期トレンドの分水嶺で、ここを回復するまでは「下降トレンド中の戻り」という位置づけが続きます。
オシレーターと移動平均
直近の終値から計算すると、5日移動平均線は6万3,075円前後と推定されます。本日の終値はこれを約882円(1.40%)上回りました。前日は1.59%上回っていましたから、短期線との距離はやや縮まったことになります。もっとも5日線自体が日々切り上がっている局面ですので、これは短期線が終値に追いついてきたと解釈するのが正確です。
25日移動平均線は6万6,436円前後と推定され、終値との乖離率はマイナス3.73%程度という計算になります。前日のマイナス4.35%から0.6ポイント改善しました。7月29日時点のマイナス9.0%と比べれば大幅な回復です。売られ過ぎの領域からは完全に抜けており、かといって買われ過ぎでもない——自律反発の推進力も、自律調整の圧力も、どちらも弱い中間地帯にあります。
NT倍率(日経平均÷TOPIX)は16.14倍で、前日の16.10倍から上昇しました。本日は日経平均が0.32%高、TOPIXが0.04%高と日経平均のほうが8倍の上昇率でしたから、値がさハイテク偏重の歪みは再び拡大方向です。7月29日の15.46倍からは0.68ポイントの上振れが続いています。東京エレクトロンとキオクシアの2銘柄で240円という寄与度の偏りが、そのままNT倍率に現れていると考えると分かりやすいでしょう。
日経平均VIは34.27と前日比1.23ポイント(3.46%)低下しました。日中高値36.85、安値34.27で、安値引けです。将来1カ月の変動率に対する市場の見込みが、引けにかけて低下し続けたことを示します。ただし平常レンジとされる20〜30を上回った状態は続いており、警戒が解けたわけではありません。
RSI(相対力指数)は前日までの戻りで中立圏まで回復し、本日の小幅高で50前後で推移した公算が大きいと見られます。MACDは7月中旬以降のマイナス圏推移から改善が進んでおり、ゼロラインに接近しつつある局面と考えられます。ただし、これら移動平均・乖離率・NT倍率も含め、RSI・MACDの数値はいずれも値動きからの推定であり、確定値ではありません。移動平均線と乖離率についても終値データからの独自計算による推定値です。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら「買いたいが、買い切れない」です。株探の市況解説も「強弱材料混在し市場心理は株価にらみ」と表現しています。方向を決めきれないまま、株価そのものを見て判断が揺れた一日でした。
その揺れが最も端的に出たのが、朝の値動きです。米株最高値更新を受けて240円高で寄り付き、4分後には高値を付けた。ここまでは素直な反応です。ところがそこから1時間20分で1,376円下落し、前日終値を890円下回った。買い材料に飛びついた資金が、あっという間に逃げたわけです。そして後場、また買い戻された。
この往復が意味するのは、相場の主導権を握る材料がまだ決まっていないということです。米株高を取るのか、円高警戒を取るのか。市場は一日のうちに両方の答えを出しました。日経平均VIが34.27まで低下しながら日中値幅が1,376円あったという組み合わせも、この不安定さを裏書きします。
そして構造的な問題は変わっていません。値下がり902銘柄・23業種下落で日経平均はプラス。2銘柄で約240円を押し上げた結果としての202円高です。ここ9営業日を並べてみましょう。23日「アドバンテスト1銘柄で約307円押し上げ」、24日「値がさ半導体総崩れで1,811円安」、27日「9割が上昇しても320円高」、28日「2銘柄で下げ幅の56%」、29日「25業種上昇・TOPIXプラスでも930円安」、30日「28業種下落でも433円高」、31日「値下がり922銘柄でも4.03%高」、8月3日「値下がり1,060銘柄で0.94%安」、そして本日「値下がり902銘柄で0.32%高」。9営業日連続で、日経平均は市場の実態とずれ続けています。
ずれの向きは日によって逆転しますが、ずれるという性質自体は一度も途切れていません。本日はTOPIXがほぼ横ばい(+0.04%)だったことが、それを最も正直に示しています。市場全体としては、本日は動いていない——動いたのは日経平均を構成する一部の値がさ株だけでした。
翌営業日の注目ポイント
- 追加介入の有無と当局者発言 — 片山財務相とベッセント米財務長官がさらなる協調介入に躊躇しない姿勢を示したことが、本日の最大の重石でした。円安方向に振れたところで介入観測が再燃するか、それとも当局が沈黙するか。発言そのものが材料になる状態が続きます。
- ドル円157円台の行方 — 本日は157円67銭付近で引けました。155円台を再び試すなら輸出企業の業績警戒が強まり、160円方向へ戻すなら介入効果の減衰が意識されます。どちらに動いても株式市場は反応せざるを得ません。
- 決算発表179社のピーク — 明日は太陽誘電、IHIなど179社と本日の90社から倍増します。三菱重の97%増益、トヨタの8%上方修正、ヤマハ発の70%上方修正のように、数字で語れる銘柄は買われました。マクロが読みにくい局面ほど、個別の開示が効きます。
- 6万4,240円の上抜け — 本日の高値であり、直近の戻り高値です。ここを終値で上回れば、7月28日の窓埋め(6万4,931円)が現実的な射程に入ります。逆に届かなければ、上値の重さが再確認されます。
- 6万2,864円の防衛 — 本日の安値であり、5日線推定値のすぐ下です。ここを割ると5営業日続いた下値切り上げが途切れ、底入れシナリオの前提が崩れます。
- 今夜の米国市場と長期金利 — NYダウは最高値を更新しました。この勢いが続くか、そして長期債利回りの上昇が止まるかが焦点です。金利上昇が続けば、日本株のバリュエーション面での買い手控えも続きます。
- 値下がり銘柄数の改善 — 9営業日続く指数と実態の乖離が解消するかは、依然として本質的な焦点です。日経平均の上昇と値上がり銘柄数の増加が同時に起きる日が来るまで、指数の動きは実体を伴いません。
戦略展望
本日最も重要な事実は、NYダウが最高値を更新した翌日に、日経平均が202円しか上がらなかったことです。ナスダックは2.13%高、SOXも1.05%高でした。普段ならもっと上げてよい外部環境だったにもかかわらず、上げ幅は0.32%にとどまりました。
理由ははっきりしています。為替という日本固有の変数が、米株高の伝達経路を遮断しているのです。米国のAI関連が買われる → 日本の半導体・電線も買われる、という経路は本日も機能しました(東エレク、キオクシア、フジクラ、古河電工)。しかし同時に、円高警戒 → 輸出企業・商社の業績予想に不安という逆向きの経路が作動し、クボタや丸紅が売られました。この2つの経路が打ち消し合った結果が、202円高という数字です。
投資判断としてまず考えるべきは、この2つの経路のどちらに自分のポートフォリオが乗っているかでしょう。AIインフラ関連に寄っているなら米株次第、輸出・商社に寄っているなら為替次第——同じ日本株でも、見るべき指標が全く違う相場になっています。前日は「為替感応度の点検日」でしたが、本日はそれに加えて「米株感応度」という第二の軸が必要になったということです。
テクニカルの評価は「上方向への一歩」です。5営業日連続の安値切り上げに、本日は高値の切り上げが加わりました。25日線乖離率も改善しています。形の上では、底入れの条件が一つずつ揃ってきているのは確かです。ただし上値目標である7月28日の窓埋め(6万4,931円)までは約974円あり、その手前には本日の高値6万4,240円という関門があります。「悪くない形だが、まだ何も証明されていない」——これが現時点での正直な評価です。
もう一つ、リスク側で見落とせない点があります。2日連続の長い下ヒゲは、強気のサインであると同時に、下値を売り込む勢力が2日続けて存在したことの証拠でもあるということです。買い戻されたから結果は良く見えますが、日中に1,000円超の下落を作る売りが、2日続けて出ているという事実自体は無視できません。3日目に買い戻しが入らなければ、下ヒゲは単なる下落の起点に変わります。
そして最後に、いつもと同じ確認です。本日、東証プライムの58%の銘柄が下落しました。ニュースの見出しは「202円高」と報じますが、市場の実感は上昇の日ではなかったはずです。9営業日続けて、日経平均は市場の実態を正しく映していません。指数の数字ではなく、自分の資産の実際の変動率で相場を測る——2銘柄で240円が動く相場では、この習慣の価値はいっそう高まります。
チャート
日経225 (INDEX:NKY)
米ドル/円 (FX:USDJPY)
S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)
毎日の相場解説・銘柄分析・投資戦略を動画でお届けしています。チャンネル登録・高評価で応援よろしくお願いします!


コメント