(前日比 -295.77円(-0.47%))
市場サマリー
本日2026年5月11日(月)の東京株式市場は、日経平均株価が前日比 -295.77円(-0.47%)の62,417.88円で取引を終え、3営業日続落となりました。週末の米国市場が雇用統計の堅調を受けて高値を更新したことで朝方は買いが先行し、寄り付き直後には一時 63,300円台まで水準を切り上げる場面もありました。しかし、米国とイランの軍事的緊張がホルムズ海峡で再燃したとの報を嫌気し、指数寄与度の大きい ソフトバンクグループ・アドバンテストなどの半導体・グロース株が急失速。前場後半から後場にかけて売りが膨らみ、安値圏で大引けを迎えました。
業種別では、半導体製造装置・電気機器・精密機器が値下がり率上位に並び、一方で 石油・鉱業・海運といった資源・地政学関連が買われる対照的な動きとなりました。WTI原油先物が一時 100.40ドル台を回復したことが資源関連株の追い風となり、INPEXや国際石油開発などのエネルギー大手は逆行高で取引を終えています。投資家のリスク許容度は急速に低下しており、東証プライム市場では値下がり銘柄が値上がりを大幅に上回りました。
主要マーケット指標
| 指標 | 直近値 | 前日比 / 変化率 | コメント |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 62,417.88 円 | -295.77(-0.47%) | 高値からの反落、半導体株主導の下落 |
| USD/JPY(ドル円) | 157.10 円 | +0.47 円 | 中東リスクでドル高、介入警戒も |
| S&P 500(5月8日(現地)) | 7,398.93 | +0.84% | 雇用統計堅調で過去最高値圏 |
| WTI原油先物 | 100.40 ドル | +2%超 | 100ドル台に再浮上、ホルムズ海峡の供給懸念 |
マクロ・地政学トピック
① ホルムズ海峡を巡る米イラン衝突
先週末に米国とイランの艦艇がホルムズ海峡周辺で再び交戦したとの報道が流れたことで、停戦合意に向けた楽観論が一気に後退しました。前週の日経平均は米イラン接近観測を背景に過去最大の上げ幅となる3,320円高を演じた経緯があるだけに、ポジション巻き戻しの売りが出やすい地合いとなっています。原油価格は1バレル100.40ドル台を一時回復しており、世界的なリスクオフの引き金になりやすい状況です。
② 米国経済の堅調と利下げ期待の後退
5月8日に発表された米4月雇用統計は、非農業部門雇用者数・賃金ともに市場予想を上回り、米景気の底堅さを示しました。これを受けてS&P500は7,398.93と過去最高値を更新しましたが、同時にFRBの利下げ観測は後退し、米10年債利回りが再上昇。為替市場ではドル買い圧力が継続し、ドル円は 157円台を回復しています。日本株にとってはハイテク・グロースのバリュエーション面で逆風となる材料です。
③ 12日の日米通貨当局者会談に注目
市場の関心は早くも5月12日に予定されているベッセント米財務長官と日本政府要人との会談に移っています。為替の過度な変動を巡る発言が出るかが焦点で、157円台後半~158円台への上昇シナリオでは 口先介入・実弾介入のいずれも警戒されます。輸出関連株には支援材料となる一方、円安加速が抑制されれば内需株への資金シフトも考えられます。
セクター・個別株コメント
本日の値下がりセクターは半導体製造装置・電子部品・精密機器が中心で、アドバンテスト・東京エレクトロン・ディスコといったSOX指数連動銘柄が軒並み3%超下落。前週急騰の反動と海外勢の利益確定が重なりました。ソフトバンクグループもAI関連ポートフォリオの調整売りで4%安、指数を1銘柄で50円超押し下げました。
一方、値上がりセクターはエネルギー・海運・防衛関連。INPEX・コスモエネルギーなどの石油株は原油高を素直に好感し、商船三井・川崎汽船・日本郵船の海運大手も中東経由運賃の上昇期待で買われました。三菱重工業・IHIといった防衛関連も逆行高で取引を終えています。ディフェンシブではJTが値上げ報道で急伸し、東証プライムの値上がり率上位に顔を出しました。
テクニカル分析
トレンド
日経平均は5月7日の過去最高値62,833円から3営業日連続で陰線をつけ、5日移動平均(およそ62,650円付近)を明確に下回りました。25日移動平均線とのかい離率は依然+8%台と過熱感が強く、調整局面入りした可能性があります。一目均衡表の転換線も水平化し始めており、上昇モメンタムの鈍化を示唆しています。
RSI / MACD / 出来高
- RSI(14日):76 → 65。買われすぎ水準からの低下中。50を割り込むと調整本格化のサイン。
- MACD:シグナル線とのデッドクロス目前。ヒストグラムは縮小傾向。
- 出来高:東証プライム概算売買代金は約5.8兆円。下落局面で出来高を伴っており、本格調整の兆し。
支持線・抵抗線
- 第一支持線:62,000円(節目/心理的サポート)
- 第二支持線:61,200円(5日線の下値メド)
- 第三支持線:60,000円(大台、押し目買い妙味ゾーン)
- 第一抵抗線:62,800円(直近最高値)
- 第二抵抗線:63,500円(フィボナッチ拡張)
市場心理
過去最大の上昇直後の反落とあって、投資家心理は 「過熱と警戒」のあいだで揺れています。VI指数は前週末の17台から19台へ切り上がり、ヘッジ需要の高まりが確認できました。SNS上の個人投資家のコメントでは 「半導体は決算ピーク」「中東リスクで一旦逃げ」といった慎重派の声が増えており、信用買い残高も依然高水準にあるため、目先はポジション調整圧力がかかりやすい局面です。一方、「下値では押し目買い」の意欲も強く、62,000円台前半では機関投資家のリバランス買いが入りやすいと見られます。
明日(5月12日)の注目ポイント
- 米中東情勢:ホルムズ海峡周辺の軍事動向、原油・金価格の動き
- 日米通貨当局者会談:ベッセント米財務長官と日本政府要人の協議、為替に関する発言
- 米国市場:NYダウ・SOX指数の動向、長期金利、ハイテク決算の有無
- 国内決算:主要メガバンク・商社・自動車の本決算発表ピーク、ガイダンスへの反応
- テクニカル:62,000円割れの有無、5日移動平均線(約62,650円)の回復可否
- 為替:ドル円157円台後半での介入警戒、円買い戻しの強さ
投資戦略の見立て
短期目線では、過熱感の解消が進むまで積極的な順張りは禁物と考えます。62,000円~61,200円のレンジでの押し目買いを軸に、上値は63,000円付近で利益確定を意識する逆張り寄りの戦術が有効でしょう。中長期では、AI・半導体・防衛・電力インフラといった長期テーマは依然有望ですが、足元のボラティリティ上昇局面では分散と段階的な仕込みが重要です。為替が円高方向に振れる場面では内需・小売・不動産といったセクターへのローテーションも視野に入れたい局面です。


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