日経平均を下げたのは、実質5銘柄です。日経平均は488円27銭安の6万5,528円09銭と続落しましたが、TOPIXは6.00ポイント高の4,073.29で3日続伸、東証プライムの値上がりは841銘柄(全体の約54%)、東証33業種のうち20業種が上昇しました。寄与度を見ると構図は一目瞭然です——アドバンテスト(約337円90銭の押し下げ)とソフトバンクグループ(約225円27銭)の2銘柄だけで約563円17銭、キオクシアHD・ファーストリテイリング・フジクラを加えた上位5銘柄で約749円72銭を押し下げており、これは実際の下げ幅488円27銭の1.54倍にあたります。この5銘柄を除けば、日経平均は約261円45銭のプラスだった計算です。主因は日米の長期金利上昇によるAI・半導体株売りと、韓国KOSPIの3.12%安——半導体メモリー市況を映すKOSPIの急落が、キオクシアHD(6.24%安)に直撃しました。ただし見過ごせない事実が2つあります。6月22日の52週高値からの下落率は10.03%となり、一般に調整局面の目安とされる10%に到達。そして東証プライムの売買代金は7兆6,363億円と、5月1日以来3カ月半ぶりに8兆円を割り込みました。
本日の相場概況
8月24日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前営業日比488円27銭(0.74%)安の6万5,528円09銭で取引を終えました。2営業日続落で、8月17日の6万9,220円25銭からは4営業日で3,692円16銭(5.33%)の下落です。
まず、前回の記事の結論を検証します。21日の記事で私たちは、「週明け24日は、6万5,880円(雲の下限)を終値で維持できるかどうかを、まず最初の判断材料としたい」と書きました。結論から言えば、維持できませんでした。終値6万5,528円09銭は、雲の下限6万5,879円96銭を351円87銭下回っています。同じ記事で「0.21%のギャップダウンで雲を割り、0.61%のギャップダウンで25日線を割る」とも書きましたが、ここは外れました——寄り付きは6万5,978円95銭で、ギャップダウンはわずか37円41銭(0.06%)。雲も25日線も、寄り付き時点では守られていたのです。割り込んだのは、大引けにかけての最後の1時間でした。
もう一つ、21日の記事では「調整局面の目安とされる10%安までは、あと0.64ポイント(約463円)」と書いていました。本日の下げ幅488円27銭は、この463円をわずかに超えました。52週高値7万2,831円73銭(6月22日)からの下落率は10.03%となり、目安の10%にちょうど乗った形です。
日足の形を見ていきます。始値6万5,978円95銭で始まり、高値6万6,257円73銭は前場のうちに記録しました。この高値は前日終値を241円37銭上回っており、日中に上げ転換する場面があったことを意味します。しかしその後は上値が重く、安値6万5,470円95銭を大引け24分前の15時06分につけました。安値時点の下げ幅は545円41銭です。終値はそこからわずか57円14銭しか戻せていません——ほぼ安値引けでした。
始値から終値までの実体は450円86銭の陰線で、上ヒゲ278円78銭・下ヒゲ57円14銭、日中値幅は786円78銭(1.19%)。21日は「下げて始まり、上げて終わった」陽線でしたが、本日は「小幅安で始まり、上げて、崩れて終わった」上ヒゲの長い陰線です。下ヒゲがほとんどない引け方は、大引けにかけての売りが最後まで吸収されなかったことを示します。21日とは、日中の需給が正反対でした。
一日の流れも21日と対照的です。前引けは約47円安の6万5,968円台で、前場の下げは全体の1割弱にとどまっていました。つまり本日の下げ幅488円27銭のうち、9割にあたる約441円は後場に発生していることになります。21日は下げがほぼ前場で完結し、後場の変動はわずか7円91銭でしたから、「前場で動いて後場は動かない」という3営業日続いたパターンが、本日きれいに崩れたことになります。後場、とくに大引け前に売りが出た——これが本日の日中の特徴です。
そして本日も、指数と市場全体は逆を向いていました。TOPIXは6.00ポイント(0.15%)高の4,073.29と3日続伸。始値4,074.83、高値4,083.44、安値4,064.90で、日中値幅は18.54ポイント(0.46%)と非常に狭い一日でした。日経平均が0.74%下げ、TOPIXが0.15%上げた——その差は0.89ポイントで、21日の0.49ポイントから約1.8倍に開いています。結果としてNT倍率は前日の16.23倍から16.09倍へ0.14ポイント低下しました。21日の0.08ポイント低下に続く2営業日連続の低下で、下げ幅は前日の1.8倍です。TOPIX優位の流れが、2営業日で加速していることになります。
騰落銘柄数も、指数の下落とは逆でした。東証プライムの値上がりは841銘柄(全体の約54%)、値下がりは658銘柄(約42%)、変わらずは51銘柄です。東証33業種でも上昇20業種・下落13業種と、上昇が6割。21日の18業種上昇からさらに2業種増えています。JPXプライム150指数も4.18ポイント(0.25%)高の1,700.69と上昇しました。日経平均だけが下げ、他のあらゆる尺度が上がった——21日に「値がさ株の下げが指数を引っ張った日の典型」と書いた構図が、本日はさらに極端な形で再現されたことになります。
一方で、商いの細りは新しい段階に入りました。東証プライムの売買代金は概算7兆6,363億円で、21日の約7兆9,134億円から2,771億円(3.5%)の減少。4営業日連続の減少であり、5月1日(約7兆6,841億円)以来、3カ月半ぶりに8兆円を割り込みました。売買高も概算18億8,234万株と、21日の約22億859万株から3億2,625万株(14.8%)の大幅減です。19日の約10兆1,151億円からは、4営業日で2兆4,788億円(24.5%)減ったことになります。26日の米エヌビディア決算、27〜29日のジャクソンホール会議という2つの大型イベントを前に、新規の資金が明確に手を止めている状態です。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,528.09円 | -488.27円 (-0.74%) 2日続落 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 66,257.73 / 65,470.95 | 始値 65,978.95円 (値幅787円・実体451円の陰線) |
| 日経平均 上ヒゲ / 下ヒゲ | 278.78円 / 57.14円 | 安値は15時06分。ほぼ安値引けで終了 |
| 日経平均 一時の上げ幅 | +241.37円 | 高値時点。日中に上げ転換する場面があった |
| 日経平均 寄り付きのギャップ | -37.41円 | 始値65,978.95円。寄り付き時点では25日線も雲も維持 |
| 日経平均 前引け | 約65,968円台 | 約-47円。下げ幅の約9割(約441円)は後場に発生 |
| TOPIX | 4,073.29 | +6.00 (+0.15%) 3日続伸 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,083.44 / 4,064.90 | 始値 4,074.83 (値幅18.54・0.46%) |
| JPXプライム150指数 | 1,700.69 | +4.18 (+0.25%) |
| NT倍率 | 16.09倍 | 前日16.23倍から0.14ポイント低下。2日連続でTOPIX優位 |
| NYダウ (8/21終値) | 53,277.01 | +517.80 (+0.98%) 1日ぶり反発 |
| S&P 500 (8/21終値) | 7,674.37 | +33.21 (+0.43%) |
| ナスダック総合 (8/21終値) | 26,180.46 | +113.29 (+0.43%) |
| SOX指数 (8/21終値) | 11,740.37 | -59.65 (-0.51%) 主要指数で唯一の下落 |
| 米VIX指数 (8/21終値) | 15.13 | -0.88 (-5.50%) 16台から15台へ低下 |
| 韓国KOSPI | 6,696.96 | -215.99 (-3.12%) 本日の東京市場で最も意識された海外指数 |
| 香港ハンセン指数 | 25,515.76 | -493.70 (-1.90%) |
| 上海総合指数 | 3,882.01 | -23.20 (-0.59%) |
| 米ドル/円 | 158円90銭前後 | 大引け時点。夕方には159円10銭台へ円安が進行 |
| 新発10年国債利回り | 2.880% | +0.005% (24日15時13分時点) |
| 米10年債利回り (8/21終値) | 4.738% | +0.042% (4.2bp上昇)。20日の4.696%から続伸 |
| 東証プライム 売買代金 | 約7兆6,363億円 | 21日の約7兆9,134億円から2,771億円 (3.5%) 減・4日連続減 |
| 売買代金の8兆円割れ | 3カ月半ぶり | 前回は5月1日の約7兆6,841億円。今回はそれをさらに下回る |
| 東証プライム 売買高 | 約18億8,234万株 | 21日の約22億859万株から3億2,625万株 (14.8%) 減 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 841銘柄 / 658銘柄 (変わらず51) | 値上がりが約54%。2営業日続けて指数下落日に値上がりが過半 |
| 東証33業種 上昇/下落 | 20業種 / 13業種 | 21日の18業種上昇からさらに2業種増加 |
| 最大のマイナス寄与 | アドバンテスト | 1銘柄で日経平均を約337円90銭押し下げ (1,400円安の34,500円) |
| マイナス寄与 上位2銘柄合計 | 約-563円17銭 | アドテスト+ソフトバンクG。実際の下げ幅488円27銭の1.15倍 |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | 約-749円72銭 | 上記2社+キオクシア・ファストリ・フジクラ。下げ幅の1.54倍 |
| 最大のプラス寄与 | 東京エレクトロン | 1銘柄で日経平均を約86円49銭押し上げ (860円高の55,150円) |
| 日経平均 25日線からの乖離 | -0.05% | 25日線 65,562.82。21日の+0.61%から0.66ポイント悪化し、線を下抜け |
| 日経平均 75日線との差 | -749.00円 | 75日線 66,277.09。21日の-224.80円から524円強拡大 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 67,955.17 / 下限 65,879.96 | 終値は下限を351.87円下回り「雲の下」へ転落 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -7,303.64円 (-10.03%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。調整の目安10%に到達 |
| 7月29日安値からの戻り | +5,079.19円 (+8.40%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。21日の+9.21%から縮小 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料は、3つに整理できます。(1)日米の長期金利上昇、(2)韓国KOSPIの急落、(3)中東情勢を背景にした原油高——この3つがすべて、同じ方向(AI・半導体・高PER株の売り)を向いたのが本日の特徴です。21日は3つの力が別々の方向を向いていたため指数と裾野が乖離しましたが、本日は力の向きが揃ったにもかかわらず、それでも裾野は上がりました。順に見ていきます。
まず金利です。米10年債利回りは21日終値で4.738%となり、20日の4.696%から0.042%(4.2bp)上昇しました。19日の4.653%からは2営業日で8.5bpの上昇です。国内では新発10年国債利回りが24日15時13分時点で2.880%と、前日比0.005%の上昇。日米そろって長期金利が上を向いたことになります。
金利上昇が真っ先に効くのは、将来利益の割引率が効く高PER株です。本日、日経平均を押し下げた上位5銘柄のうち4銘柄——アドバンテスト、ソフトバンクグループ、キオクシアHD、フジクラ——はいずれもAI・半導体・電線という「将来の成長を織り込んだ」銘柄群でした。21日の記事で「いま市場を動かしている変数が、業績でも需給でもなく金利である」と書きましたが、本日はその金利が上を向いたことで、21日に買われた金融株ではなく、成長株の側が売られた形です。
2つめが韓国KOSPIの急落です。KOSPIは215.99ポイント(3.12%)安の6,696.96と大きく下げました。香港ハンセン指数も493.70ポイント(1.90%)安、上海総合指数も23.20ポイント(0.59%)安と、アジア市場は総じて弱含みです。そのなかで日経平均の0.74%安、TOPIXの0.15%高は、むしろ相対的に底堅かったと言えます。
ここでKOSPIが重要なのは、韓国市場が半導体メモリーの本場だからです。KOSPIの時価総額上位はメモリー大手が占めており、指数の3%安はメモリー市況への警戒とほぼ同義に受け止められます。その直撃を受けたのが、日本のメモリー株であるキオクシアHDでした。キオクシアHDは3,390円(6.24%)安の5万930円。高値5万5,040円から安値5万310円まで4,730円(8.6%)の値幅があり、KOSPIの下げに沿って一段安になったと報じられています。KOSPI下落 → 日本のメモリー株安 → 半導体関連全体へ波及 → 日経平均への寄与度が大きいアドバンテストが売られる——この連鎖が、本日の下げの背骨です。
3つめが原油高です。中東情勢の不透明感を背景に原油価格が高止まりしていることが、金利の上昇圧力をさらに強めたと報じられています。原油高はインフレ再燃を連想させ、それが債券売り(金利上昇)を招き、金利上昇が高PER株を押し下げる——(3)が(1)を経由して株安につながる、間接的な経路です。21日は原油高が海運・鉱業・石油石炭を直接押し上げる好材料として働きましたが、本日は鉱業が下落率上位に転じています。INPEXは65円(1.64%)安の3,889円——資源株の上昇は、わずか1営業日で巻き戻されました。21日の記事で「地政学リスクを材料にした上昇は、緊張が緩めば急速に巻き戻る性質がある」と書いたとおりの展開です。
米国株の地合いそのものは、悪くありませんでした。21日のNYダウは517ドル80セント(0.98%)高の5万3,277ドル01セント、S&P500は33.21ポイント(0.43%)高の7,674.37、ナスダック総合は113.29ポイント(0.43%)高の2万6,180.46と、主要3指数がそろって反発。前日の700ドル超安に対する見直し買いに加え、米景気の底堅さを示す民間調査が好感されたと伝えられています。VIXも16.01から15.13へ0.88ポイント(5.50%)低下し、警戒感は後退しました。
ただし、日本株にとって重要な半導体だけは違いました。SOX指数は59.65ポイント(0.51%)安の1万1,740.37と、主要指数のなかで唯一下落しています。21日の記事で「東京市場でアドバンテスト・キオクシア・東京エレクトロンがそろってプラス寄与上位に入ったのは、このSOX反発を素直に受けたもの」と書きましたが、今回はその逆が起きたことになります。ダウが517ドル上げてもSOXが下げれば、日経平均は下がる——いまの日経平均が「米国株全体」ではなく「米国半導体株」に連動する指数になっていることを、本日の値動きは端的に示しています。
為替は円安方向でした。米ドル/円は大引け時点で158円90銭前後、夕方には159円10銭台まで円安が進みました。米長期金利の上昇が日米金利差を意識させた素直な動きですが、21日と同様、円安が輸出株を主導する展開にはなっていません。それどころか、本日の上昇率上位には建機・内需・コンテンツが並び、為替感応度の高い銘柄群ではありませんでした。159円という水準そのものが、すでに相場に織り込まれていると見るのが妥当でしょう。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
東証33業種のうち20業種が上昇しました。上昇率首位はサービス業で、以下、建設業、その他製品が続いています。いずれも内需・非半導体のセクターであり、金利上昇とKOSPI安の影響を受けにくい領域に資金が回った構図です。
- 日立建機は361円(6.40%)高の6,005円。本日のプラス寄与でも約12円10銭で上位に入りました。安値5,673円から高値6,043円まで一貫した上昇です。
- コマツは349円(4.94%)高の7,414円。日立建機とそろって建設機械が買われたことになります。
- リクルートホールディングスは615円(3.87%)高の1万6,515円で高値引け。約61円85銭のプラス寄与で第2位となり、サービス業が上昇率首位となった主因です。
- 東京エレクトロンは860円(1.58%)高の5万5,150円。約86円49銭でプラス寄与のトップでした。半導体関連が総崩れとなるなかで、製造装置大手だけが逆行高という点は特筆に値します。
- 任天堂は194円(2.26%)高の8,793円、ソニーグループは65円(1.72%)高の3,850円。コンテンツ関連が買われ、その他製品が上昇率3位となりました。
- 電通グループは65円(1.85%)高の3,584円、アシックスは77円(1.64%)高の4,766円。
- そのほか、住友金属鉱山が約11円98銭、伊藤忠商事が約13円78銭のプラス寄与で上位に並びました。
この顔ぶれには共通点があります。建機、人材サービス、ゲーム、広告、スポーツ用品——いずれもAIブームの中心ではなく、金利上昇局面で相対的にダメージが小さい業種です。資金がAI・半導体から出て、消えたのではなく、別の場所へ移った——値上がり841銘柄・20業種上昇という数字の中身は、この「移動」でした。
売られたセクター・銘柄
下落は13業種で、下落率上位は鉱業、情報・通信業、保険業。そのほか水産・農林業、ガラス・土石製品、非鉄金属、銀行業、電気・ガス業が下げています。
- アドバンテストは1,400円(3.90%)安の3万4,500円。終値は当日安値そのもの——完全な安値引けでした。高値3万5,890円からは1,390円の下落で、1銘柄で日経平均を約337円90銭押し下げ、寄与度マイナスのトップです。
- ソフトバンクグループは280円(5.33%)安の4,975円。こちらも安値引けで、約225円27銭の押し下げ。高値5,260円から285円の下げです。情報・通信業が下落率2位となった主因でもあります。
- キオクシアHDは3,390円(6.24%)安の5万930円で本日の主要銘柄で最大の下落率。約79円55銭の押し下げ。KOSPI安を受けて下げ幅を拡大したと報じられています。
- フジクラは264円(5.00%)安の5,016円、古河電工は193円(5.06%)安の3,625円。電線2社がそろって5%安となり、非鉄金属が下落率上位に入りました。フジクラは約53円10銭の押し下げです。
- メルカリは271円(5.71%)安の4,474円で、ソフトバンクGとともに情報・通信業を押し下げました。
- ファーストリテイリングは670円(0.91%)安の7万2,840円。下落率は1%未満ですが、株価水準が高いため約53円90銭の押し下げとなりました。21日は2,770円安で約222円85銭の押し下げでしたから、影響は4分の1に縮んでいます。
- イビデンは395円(2.06%)安の1万8,795円。
- INPEXは65円(1.64%)安の3,889円で、石油資源開発とともに鉱業が下落率首位。21日に2.18%高だった業種が、翌営業日に下落率トップへ反転しました。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループは27円(0.77%)安の3,481円。三井住友フィナンシャルグループとともに銀行業が下落しました。金利が上昇したにもかかわらず銀行が下げた点は、21日と逆の動きです。
ここで注目すべきは、半導体セクターの内部が割れたことです。アドバンテスト(検査装置)は3.90%安、キオクシアHD(メモリー)は6.24%安、イビデン(パッケージ基板)は2.06%安——一方で東京エレクトロン(製造装置)は1.58%高。同じ「半導体関連」でも、メモリー市況に近い銘柄ほど売られ、前工程装置は買われたという選別が働いています。KOSPI安がメモリー起点の材料だったことを踏まえれば、この選別は理屈に合っています。「半導体が売られた」と一括りにすると、本日の中身を取り違えます。
もう一点、銀行と保険が下げたことも押さえておきます。21日は金利上昇で保険が1.89%高・銀行が1.03%高となり、金融4業種がそろって上昇率上位に並びました。本日は金利がさらに上がったにもかかわらず、保険は下落率3位、銀行も下落業種です。金利上昇=金融株高という単純な連動は、本日は成立していません。21日に買われた分の利益確定が出た可能性が高いですが、いずれにせよ「金利が上がれば必ず銀行が買われる」わけではないことを、2営業日の並びは示しています。
テクニカル分析
トレンド
本日の488円安で、日経平均は主要な移動平均をすべて下回りました。順に確認します。
25日移動平均は6万5,562円82銭(推定であり確定値ではありません)で、終値6万5,528円09銭はこれを34円73銭下回っています。25日線からの乖離率は-0.05%——21日の+0.61%から0.66ポイント悪化し、線の上から下へ移りました。ただし差は34円73銭、率にして0.05%です。「割り込んだ」とは言えますが、「離れた」とは言えない距離であり、翌営業日の小幅高で簡単に戻る位置でもあります。25日線自体は21日の6万5,615円12銭から52円30銭低下しており、線が下がってきていることも、回復のハードルを下げています。
75日移動平均は6万6,277円09銭で、終値はこれを749円00銭(1.13%)下回りました。21日の224円80銭下から、524円20銭も差が拡大しています。しかも75日線自体は21日の6万6,241円16銭から35円93銭上昇しており、株価が下げ、線が上がるという構図が2営業日続きました。ただし本日の高値6万6,257円73銭は、この75日線6万6,277円09銭にあと19円36銭まで迫っています——場中には手が届きかけた水準であり、完全に遠のいたわけではありません。
5日移動平均は6万6,109円68銭で、終値はこれを581円59銭(0.88%)下回っています。21日の831円75銭下から250円16銭縮まりましたが、これは株価が上がったからではなく、5日線が738円43銭低下したためです。8月17〜18日の高値圏の終値が計算から外れ続けており、5日線は今後も自然に低下していきます。21日の記事で「株価が横ばいでも、数営業日で5日線に追いつかれる位置関係」と書いたとおりの動きが進行中です。
200日移動平均は5万8,322円57銭(推定)で、終値はこれを7,205円52銭(12.35%)上回っています。21日の13.34%上からは0.99ポイント縮みましたが、長期の上昇トレンドそのものは無傷です。200日線は21日の5万8,247円49銭から75円08銭上昇しており、依然として上向きを保っています。
そして本日、最も重要な節目が一つ超えられました。52週高値7万2,831円73銭(6月22日)からの下落率が10.03%となり、一般に「調整局面(コレクション)」の目安とされる10%に到達しました。21日時点では9.36%で、記事には「あと0.64ポイント(約463円)」と書いていました。この10%という数字に厳密な理論的根拠があるわけではなく、あくまで市場参加者の間で共有されている慣習的な区切りです。ただし、この水準に到達したこと自体がニュースとして扱われ、それが売買行動に影響することはあります。数字そのものより、「10%安に達した」という認識が広まることの影響を意識しておく段階です。
サポート・レジスタンス
一目均衡表の雲は、上限6万7,955円17銭、下限6万5,879円96銭(推定であり確定値ではありません)。終値6万5,528円09銭は、雲の下限を351円87銭下回りました。21日は136円40銭上回っていましたから、株価の下げ幅488円27銭がそのまま雲との位置関係の変化になっています(雲の値が21日から変わっていないため)。8月20日に回復した「雲の中」というポジションは、2営業日で失われたことになります。
ここで一目均衡表の「雲」について整理しておきます。雲は、過去の値動きから算出した2本の線(先行スパンA・B)に挟まれた帯を、26営業日先へずらして描いたものです。株価が雲の上にあれば強気、下にあれば弱気、中にあれば中立と読むのが基本形。「26日先にずらす」という点が要点で、今日の雲の値は約1カ月前の値動きから決まっており、今日の売買では動かせません。逆に言えば、雲の位置は先の日付まであらかじめ分かるということでもあります。
その先の雲の形が、本日から数営業日で大きく変わります。翌営業日(25日)の雲は上限6万7,955円17銭・下限6万6,047円61銭で、下限が167円65銭切り上がります。終値との距離は519円52銭に広がる計算です。さらに26日以降は上限6万7,049円61銭・下限6万6,061円99銭となり、雲の厚みが2,075円21銭から987円62銭へ半減します。雲が薄い局面は価格が雲を抜けやすいとされますが、これは上下どちらにも抜けやすいという意味であり、方向を示すものではありません。いま押さえるべきは、株価が雲へ戻るために越えるべき下限が、明日から6万6,000円台へ切り上がるという事実です。
他の一目指標では、転換線が6万7,371円11銭(推定)で21日から据え置き。終値はこれを1,843円02銭下回っており、21日の1,354円75銭下から488円27銭差が拡大しました。基準線は6万5,028円57銭(推定)で4営業日連続の据え置き。終値はこれを499円52銭上回っています。21日の987円79銭上からほぼ半減しており、雲を失ったいま、この基準線が一目均衡表における最後の支持線になります。
上値のメドを整理すると、(1)25日線6万5,562円82銭(終値の35円上)、(2)21日終値6万6,016円36銭(同488円上)、(3)雲の下限6万6,047円61銭(翌営業日の値・同520円上)、(4)5日移動平均6万6,109円68銭(同582円上)、(5)本日高値6万6,257円73銭(同730円上)、(6)75日線6万6,277円09銭(同749円上)という順です。6万6,016〜6万6,277円の261円の幅に4つが集中しており、この帯を終値で抜けられるかどうかが、本日の下げを「一時的」と呼べるかの分岐点になります。
下値では、(1)本日安値6万5,470円95銭(終値の57円下)、(2)19日終値6万5,326円42銭(同202円下)、(3)19日安値6万5,133円98銭(同394円下)、(4)基準線6万5,028円57銭(同500円下)が並びます。6万5,028〜6万5,470円の442円の幅に4つが集まっており、ここが当面の下値ゾーンです。21日の記事で「6万5,030〜6万5,260円の帯が崩れると、8月の上昇分をまとめて失う」と書いた帯は、本日も割られていません。本日の安値6万5,470円95銭は、この帯の上端から211円上で止まりました。その下は、ボリンジャーバンドの-1σにあたる6万3,617円99銭まで、明確な節目がありません。
オシレーター
RSI(14日)は46.9と推定され、21日の48.6から1.7ポイント低下しました。RSI(9日)は44.6で、21日の47.3から2.7ポイントの低下です。いずれも中立の50を下回りましたが、売られ過ぎ(30)には遠い水準。17日以降の5営業日で日経平均は3,692円16銭(5.33%)下げましたが、RSI(14日)は46〜49のレンジをほとんど出ていません。下げが一方向ではなく、上げと下げを交互に繰り返しながら水準を切り下げているためです。オシレーターからは、依然として方向の手がかりが得られません。なおこれらのRSIは推定であり確定値ではありません。
MACDは45.2、シグナル線は37.7と推定され、その差(ヒストグラム)は+7.5。21日の+99.9から92.4も縮小しました。19日の+294.1、20日の+188.7、21日の+99.9、本日の+7.5——4営業日連続の縮小で、ついに一桁台まで来ました。21日の記事で「翌営業日にもデッドクロスが成立する計算」と書きましたが、成立は寸前で回避されています。とはいえ残り7.5——翌営業日にわずかでも下げれば、デッドクロスは成立する位置です。MACD本体が21日の135.7から45.2へ90.5低下する一方、シグナル線は35.8から37.7へ1.9上昇しており、接近のほぼ全量が、MACD本体の低下によるものです。
位置関係も確認しておきます。52週高値7万2,831円73銭からの距離は7,303円64銭(10.03%)。一方7月29日の直近安値6万448円90銭からの戻りは5,079円19銭(8.40%)です。21日時点では-9.36%対+9.21%とほぼ拮抗していましたが、本日は-10.03%対+8.40%と、1.63ポイントの差がつきました。相場が上下の中間から、明確に下側へ移ったことを、この2つの数字が示しています。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら、「裾野は静かに強く、指数は静かに弱った日」です。順に根拠を挙げます。
第一に、裾野は2営業日続けて強かった。値上がりが全体の約54%、33業種中20業種が上昇、JPXプライム150も0.25%高、TOPIXは3日続伸——指数以外のあらゆる尺度が上を向いています。21日(56%・18業種)より業種の広がりはむしろ増えました。KOSPIが3.12%、ハンセンが1.90%下げるアジア市場のなかで、日本の個別株の過半が上がっていたのは、相対的な底堅さとして評価してよい事実です。
第二に、それでも指数は下げ、しかも引け際に崩れた。前引けは約47円安、下げ幅の約9割は後場に発生し、安値は15時06分——大引け直前が最安値でした。下ヒゲはわずか57円14銭で、21日の167円47銭から3分の1です。21日は売りを吸収する買いが継続的に入り、756円戻して陽線で引けました。本日は、最後の売りを受け止める買いが入らなかった——この違いは小さくありません。
第三に、指数を下げた銘柄が、より集中した。21日は上位2銘柄で約329円05銭(下げ幅の1.6倍)でしたが、本日は上位2銘柄で約563円17銭(1.15倍)、上位5銘柄では約749円72銭(1.54倍)。金額そのものは71%増えています。21日の主役はファーストリテイリング(消費)でしたが、本日はアドバンテスト(半導体)——押し下げの主体が消費からAI・半導体へ移ったことになります。日経平均という指数にとって、後者のほうが構造的に厄介です。ファストリは1銘柄ですが、AI・半導体は関連銘柄の裾野が広く、連動して動くからです。
第四に、商いの細りが、質的に新しい段階に入った。売買代金7兆6,363億円は、3カ月半ぶりの8兆円割れです。19日の10兆1,151億円から4営業日で24.5%減、売買高に至っては前日比14.8%減。これは「売りが出ていない」ことを意味しますが、同時に「買いも出ていない」ことを意味します。薄商いのなかで指数が下げるとき、少数の値がさ株の動きが指数全体を左右しやすくなります——本日、上位5銘柄で下げ幅の1.54倍を説明できてしまう構図は、この薄商いと無関係ではありません。
第五に、米国側の警戒はむしろ後退している。VIXは20日の16.01から21日の15.13へ0.88ポイント低下し、ダウは517ドル高。本日の東京市場の下げは、米国発の悪材料によるものではありません。アジア(KOSPI)発、そして金利発です。米国株が上げても日本株が下がる日があるということは、両者の連動が絶対ではないことの確認でもあります。
総合すると、本日は「静かな悪化」でした。暴落ではなく、パニックでもなく、値上がり銘柄のほうが多いなかで、指数だけが節目を一つずつ失っていった——25日線を割り、雲を割り、52週高値から10%安に達し、MACDのヒストグラムは7.5まで縮みました。どれも「決定的」ではありませんが、4つ同時に起きたことには意味があります。21日の記事で「中身が良いから安心、とは言えない位置」と書きましたが、その懸念が1営業日で数字になったのが本日です。
翌営業日の注目ポイント
次の東京市場は8月25日(火)です。祝日を挟まない通常の翌営業日で、連休リスクはありません。ただし今週は水曜から金曜にかけて大型イベントが集中しており、週前半は様子見、週後半に材料が一気に出るという構図が想定されます。
今週の主なイベントを日付順に整理します。25日(火)は米8月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、独8月Ifo企業景況感指数、豪準備銀行(RBA)金融政策会合の議事要旨。26日(水)は米エヌビディアの5〜7月期決算で、発表は米国時間26日の取引終了後、日本時間では27日(木)の早朝です。27〜29日はジャクソンホール会議、そして週末には米PCE物価指数が控えます。
このうち、日経平均への直接的な影響が最も大きいのはエヌビディア決算です。本日の下げの主体がアドバンテスト・キオクシアHDというAI・半導体関連であったこと、その背景がKOSPI(メモリー市況)であったことを踏まえれば、この決算の内容は本日売られた銘柄群に直接跳ね返ります。日本時間27日早朝に結果が出るということは、25日と26日の東京市場は「決算前のポジション調整」の場になるということです。本日の売買代金が3カ月半ぶりに8兆円を割ったのは、この待機姿勢の現れと考えるのが自然でしょう。
テクニカル面では、3つの水準に注目します。(1)25日線6万5,562円82銭——終値からわずか34円73銭上にあり、0.05%上げるだけで回復できる位置です。逆に言えば、この距離で回復できなければ、25日線割れが定着したと見なされます。(2)雲の下限は翌営業日から6万6,047円61銭へ切り上がります——終値から519円52銭上で、本日より383円も遠くなります。雲の中へ戻るハードルは、明日から一段上がるということです。(3)下値は6万5,028〜6万5,470円——本日安値・19日終値・19日安値・基準線が集中する帯で、ここが崩れると、その下はボリンジャーバンド-1σの6万3,618円まで明確な節目がありません。
指標面では、MACDのデッドクロスが本日も回避されたものの、ヒストグラムは+7.5まで縮みました。翌営業日にわずかでも下げれば成立する計算です。ただしMACDは遅行指標であり、成立時点では下げの初動をとうに過ぎていることも多い——シグナルそのものより「8月中旬の高値圏からの下落が指標に定着した」という確認として受け止めるのが妥当でしょう。この点は21日の記事と同じ見方です。
セクター面では、本日買われた建機・サービス・コンテンツが翌営業日も上位に残るかが焦点です。「AI・半導体から資金が抜けて内需へ移った」という本日の動きが一過性なのか、それとも週後半のイベントを見越した避難なのか——それは翌営業日の値動きで、ある程度判別できます。また、KOSPIの動向は引き続き最重要です。本日はKOSPIの3.12%安がキオクシアHDの6.24%安に直結しました。翌営業日もKOSPIから目を離せません。
戦略展望
まず現在地を確認します。日経平均は6月22日の52週高値7万2,831円73銭から10.03%下、7月29日の直近安値6万448円90銭から8.40%上——上下の中間からやや下側にいます。移動平均では25日線の下、75日線の下、5日線の下。一目均衡表では雲の下。RSI(14日)は46.9。21日時点では「25日線の上、雲の中」でしたから、2営業日で位置づけが一段下がりました。
そのうえで、本日の相場から読み取れる最も重要な事実は、「指数の弱さが、指数の構造から来ている」ことです。841銘柄が上がり、20業種が上がり、TOPIXが3日続伸するなかで、日経平均だけが488円下げました。その大半は、アドバンテスト1銘柄の約338円と、ソフトバンクG1銘柄の約225円で説明できます。日経平均は株価水準の高い銘柄の影響が構造的に大きくなる指数であり、いまその上位に値動きの荒いAI・半導体関連が並んでいる——この構造がある限り、指数と実勢の乖離は続きます。
ただし、「構造のせい」で片づけられない変化も同時に起きました。3つあります。第一に、25日線と雲の下限を同時に割ったこと。21日には両方とも終値で守っていました。第二に、52週高値からの下落率が10%に到達したこと。第三に、大引け直前が安値という弱い引け方をしたこと。21日は下ヒゲ167円の陽線で「買いが控えている」ことを示しましたが、本日は下ヒゲ57円の陰線です。いずれも「まだ崩れていない」段階ですが、余裕は21日よりさらに減りました。
材料面では、金利が引き続き最大の変数である一方、本日はもう一つの変数が加わりました——アジアの半導体市況です。KOSPIの3.12%安が、日本のメモリー株を通じて日経平均に伝わりました。21日は米国(ウォルマート決算)発、本日は韓国(メモリー市況)発——日経平均を動かす震源が、2営業日で大西洋の向こうから日本海の向こうへ移ったことになります。そして26日には、震源が米国(エヌビディア決算)へ戻ります。
そのうえで今週の構造を改めて整理します。25日(火)と26日(水)は、材料に乏しいままイベント待ちの薄商いが続く可能性が高い。27日(木)早朝にエヌビディア決算、同日からジャクソンホール会議、週末に米PCE。つまり週前半は「動かない」ことが基本シナリオで、動くとすれば需給要因です。本日のように薄商いのなかで値がさ株が振れると、指数は実勢以上に大きく動きます——週前半の指数の動きは、割り引いて見る必要があります。
整理すると、本日の相場は「値がさAI・半導体株が指数を押し下げる一方、市場の裾野は3営業日連続で買われた日」でした。実態は指数の数字より強く、テクニカルは指数の数字より弱い——この構図は21日から変わっていませんが、テクニカル側の悪化が一段進みました。翌営業日25日は、6万5,562円82銭(25日線)を終値で回復できるかどうかを、まず最初の判断材料としたいところです。必要な上昇率は0.05%——ほんのわずかです。それすら届かないようなら、8月中旬からの下落は次の段階に入ったと考える必要があります。
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