山の日をはさんだ中1日で、相場は歩みを止めませんでした。日経平均は553円84銭高の6万7,524円06銭と続伸し、6万7,000円台の回復は約1カ月ぶりです。ただし本日の主役は日経平均ではありません。TOPIXが38.39ポイント(0.94%)高の4,139.00でほぼ高値引け、7月上旬以来となる最高値を更新しました。前日の米国市場はNYダウ・S&P500・ナスダックがそろって下落していますが、SOX指数だけは0.87%高。この「半導体だけ強い」構図がそのまま東京に持ち込まれ、後場からAIインフラ関連と銀行株が同時に買われました。日経平均は5日線と25日線のゴールデンクロスも示現しています。
本日の相場概況
8月12日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、前営業日比553円84銭(0.83%)高の6万7,524円06銭で取引を終えました。終値での6万7,000円台回復は約1カ月ぶりです。10日の1,363円高に続く2営業日連続の上昇で、この2営業日の合計上げ幅は1,917円35銭になりました。
ただし、値動きの中身は10日とはかなり違います。始値は6万6,994円05銭——前営業日終値6万6,970円22銭をわずか23円83銭上回っただけのスタートでした。そして寄り直後の9時1分に安値6万6,735円76銭を付けています。これは前営業日終値を234円46銭下回る水準で、10日のようにマドを空けたまま突き進む形にはならなかったということです。
流れが変わったのは後場でした。高値6万7,569円36銭を付けたのは14時33分——大引けのわずか30分足らず前です。終値はこの高値から45円30銭下にすぎず、ほぼ高値引けで一日を終えました。日中値幅833円60銭に対して下ヒゲが258円29銭、上ヒゲが45円30銭——朝に売られ、日中ずっと買い上げられた足型です。
前場が重かった理由ははっきりしています。日本時間の今晩に米7月消費者物価指数(CPI)の発表が控えているためです。結果を見極めたいという思惑から、午前中は様子見ムードが支配的でした。それが後場に入って先物を絡めた買いが入り、韓国KOSPIの大幅上昇も追い風となって、上値指向が強まっています。
そして本日、指数の顔ぶれで最も重要なのはTOPIXの動きです。38.39ポイント(0.94%)高の4,139.00で6日続伸し、7月6日以来、約1カ月ぶりに最高値を更新しました。高値4,139.24に対して終値4,139.00——差はわずか0.24ポイントという、文字どおりの高値引けです。上昇率でもTOPIX(0.94%)が日経平均(0.83%)を上回りました。10日は日経平均2.08%に対しTOPIX0.63%という3倍超の格差でしたから、わずか1営業日で構図が逆転したことになります。
商いも戻りました。東証プライムの売買代金は約9兆4,421億円で、10日の約8兆388億円から1兆4,000億円あまり増加。売買高は約25億2,278万株(10日は約21億2,532万株)です。値上がり銘柄は983、値下がりは530、変わらずは43——値上がり比率は63.2%で、10日の58.8%から改善しました。上げ幅は10日の4割にとどまったのに、参加者の裾野はむしろ広がったのが本日です。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 67,524.06円 | +553.84円 (+0.83%) 続伸 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 67,569.36 / 66,735.76 | 始値 66,994.05円 (値幅834円) |
| TOPIX | 4,139.00 | +38.39 (+0.94%) 6日続伸・最高値更新 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,139.24 / 4,101.40 | 始値 4,120.04 (終値は高値の0.24pt下) |
| NYダウ (8/11終値) | 53,791.85 | -184.13 (-0.34%) |
| S&P 500 (8/11終値) | 7,728.20 | -24.91 (-0.32%) |
| ナスダック総合 (8/11終値) | 26,445.44 | -159.92 (-0.60%) |
| SOX指数 (8/11終値) | 12,098.47 | +104.61 (+0.87%) 主要指数で唯一上昇 |
| 米ドル/円 | 159円37銭前後 | 前日比ほぼ横ばい (8/10比では約90銭の円安) |
| 東証プライム 売買代金 | 約9兆4,421億円 | 10日の約8兆388億円から約1兆4,033億円増加 |
| 東証プライム 売買高 | 約25億2,278万株 | 10日の約21億2,532万株から増加 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 983 / 530 (変わらず43) | 63.2% / 34.1% (10日は58.8% / 38.7%) |
| 業種別騰落 (33業種) | 上昇21 / 下落12 | 10日は上昇18 / 下落15 |
| 上昇率トップ業種 | 非鉄金属 6,135.92 | +185.42 (+3.12%) |
| 下落率トップ業種 | ゴム製品 6,521.29 | -82.49 (-1.25%) |
| 米VIX指数 (8/11終値) | 15.28 | -0.18 (-1.16%) 低位で安定 |
| NT倍率 | 16.31倍 | 前日16.33倍から0.02ポイント低下 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -5,307.66円 (-7.29%) | 52週高値 72,831.73 (6/22) |
| ゴールデンクロス発生銘柄 (5日/25日) | 275銘柄 | 日経平均自身も本日GCを示現 |
マクロ・地政学の視点
本日の東京市場を理解する鍵は、前日の米国市場が「一枚岩ではなかった」という点にあります。NYダウは184ドル13セント(0.34%)安の5万3,791ドル85セント、S&P500は24.91ポイント(0.32%)安の7,728.20、ナスダック総合は159.92ポイント(0.60%)安の2万6,445.44——主要3指数がそろって下落しました。
ところがSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)だけは104.61ポイント(0.87%)高の1万2,098.47と上昇しています。市場全体が売られたなかで、半導体だけが買われた——この一点が、本日の東京市場の性格をほぼ決めました。実際、本日買われたのは半導体・電子部品を中心とするAIインフラ関連であり、米国市場の「下落」ではなく「半導体の上昇」の側だけが輸入された形です。
その半導体高の背景として市場が意識しているのが、米エヌビディアが10日(米国時間)に公表したAIデータセンター向けの資金調達枠組みです。アポロ・グローバル・マネジメント、ブラックロック、ブラックストーン、ゴールドマン・サックス、KKRの米金融5社に、カナダのブルックフィールドを加えた6社と覚書を結び、外部資金5,000億ドル(約80兆円)の動員を目指すという内容です。AIインフラ投資の資金制約が緩むという見立ては、受注側にあたる日本の半導体製造装置・電子部品メーカーにとって直接的な追い風になります。
ただし、本日の相場を「半導体だけの日」と片づけると、最も重要な部分を見落とします。業種別上昇率のトップは非鉄金属の3.12%高、そして2位が銀行業の2.87%高でした。電気機器(1.36%高)は6位にすぎません。三井住友フィナンシャルグループは3.44%高の6,857円、三菱UFJフィナンシャル・グループは2.74%高の3,606円。メガバンクが軒並み3%前後上昇したことが、TOPIXの最高値更新を実質的に支えました。
ここに、10日との決定的な違いがあります。10日は「米利上げ観測の後退→金利低下→ハイテク高・銀行安」という、教科書どおりの金利連動の相場でした。銀行業と保険業はそろって下落しています。それが本日は半導体と銀行が同時に買われた。金利で説明できる相場ではなくなったということです。今晩の米CPIを前に、金利の方向にどちらのポジションも取りにくい——その結果、金利観に依存しない買いが広く入ったと読むのが自然でしょう。
為替は膠着しています。ドル円は159円37銭前後で、前日比ではほぼ横ばい。ただし山の日をはさんだ10日の158円46銭からは約90銭の円安が進みました。160円が視野に入る水準であり、輸出企業の採算にはプラスに働く一方、ここから先は当局の介入警戒が意識されやすい領域でもあります。
市場心理の指標は落ち着いたままです。米VIX指数は8月11日終値で15.28と、10日の15.46から0.18ポイント低下しました。警戒水準とされる20を大きく下回る状態が続いています。米国株が3指数そろって下げた日にVIXが低下したという事実は、あの下げが「不安による売り」ではなく、CPI前の持ち高調整だったことを示唆します。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
上昇したのは21業種で、10日の18業種から増えました。上昇率トップは非鉄金属の3.12%高(6,135.92)、2位が銀行業の2.87%高(746.06)、3位が鉱業の2.77%高(1,095.71)です。以下、サービス業(1.55%高)、金属製品(1.38%高)、電気機器(1.36%高)と続きました。
日経平均への寄与では東京エレクトロンが突出しています。2.61%高の5万8,230円で、単独で日経平均を約148円84銭押し上げました。本日の上げ幅553円84銭の27%に相当します。次いでアドバンテスト(+69円99銭寄与、0.85%高の3万4,550円)、リクルートホールディングス(+49円78銭寄与、3.06%高の1万6,660円)、フジクラ(+44円25銭寄与、3.94%高の5,800円)、キオクシアホールディングス(+43円65銭寄与、3.87%高の4万9,870円)の順でした。上位5銘柄で約356円——上げ幅の64%です。10日は上位2銘柄で51%でしたから、寄与の集中度はやや緩みました。
電子部品の強さも目立ちました。太陽誘電が7.51%高の1万265円と大幅高。心理的節目の1万円が下値抵抗として機能し、後場に上げ幅を広げています。同社をめぐっては米ヘッジファンドの保有比率が16.61%まで上昇していたことが本日判明し、需給面の思惑も広がりました。村田製作所は3.23%高の7,538円、イビデンは3.02%高の2万480円、日東紡績は8.35%高の3,050円と活況高です。レゾナック・ホールディングスは6.58%高の1万7,410円と、素材側にも買いが波及しました。
そして本日の隠れた主役がメガバンクです。三井住友フィナンシャルグループ3.44%高、三菱UFJフィナンシャル・グループ2.74%高。銀行業指数は33業種中2位の2.87%高で、構成銘柄数69という業種の厚みがそのままTOPIXを押し上げました。日経平均への寄与は限定的でも、TOPIXへの寄与は大きい——TOPIXだけが最高値を更新した理由は、ここにあります。
リクルートホールディングスは3.06%高の1万6,660円で上場来高値を更新しました。10日にストップ高を演じた銘柄が、翌営業日も3%上乗せしています。上方修正の織り込みがまだ途中であることを示す動きです。任天堂は2.70%高の8,488円と堅調でした。
中小型では決算を材料にした急騰が相次ぎました。シナネンホールディングスが15.81%高の7,180円と一時ストップ高を付け、東証プライムの上昇率トップ。第1四半期の最終利益が前年同期比2.5倍となったうえ、自社株買いと消却も発表しています。精工技研は12.5%高の2万3,700円——AIデータセンター向け光コネクター需要を受け、今期営業利益予想を83億円から120億円へ大幅増額したことが評価されました。ソリトンシステムズは11.3%高の2,299円(上昇率2位)、ミルボンは9.8%高の3,215円(同3位)。いずれも上方修正が起点です。
売られたセクター・銘柄
下落したのは12業種です。下落率トップはゴム製品の1.25%安(6,521.29)、次いで海運業(0.91%安)、空運業(0.74%安)、小売業(0.65%安)、繊維製品(0.65%安)が並びました。下落率トップでも1.25%安にとどまる——業種レベルでの売り圧力は限定的だったということです。
その一方で、個別では極端な下げが2つ出ました。ひとつがサンリオの18.12%安の1,191円です。東証プライムの下落率トップで、日中には一時20%安まで売られ、日中下落率は2014年5月以来、約12年ぶりの大きさとなりました。10日発表の第1四半期決算は営業利益224億円と前年同期比11.1%増の過去最高でしたが、市場予想の234億円には届きませんでした。「過去最高益なのに18%安」——株価が織り込んでいた期待の高さを、そのまま映した動きです。
もうひとつが楽天グループの13.77%安の745円。10日発表の2026年1〜6月期連結決算は営業損益が504億円の黒字でしたが、QUICKコンセンサスの708億円には約200億円届きませんでした。黒字でも売られるという点で、サンリオと構図は同じです。市場が見ているのは黒字か赤字かではなく、事前の期待に対する過不足だということが、この2銘柄にはっきり出ました。
指数の押し下げ役はファーストリテイリングでした。0.85%安の7万8,050円と下落率自体は小さいものの、日経平均を53円90銭押し下げています。次いでダイキン工業(-21円96銭寄与、2.95%安の2万1,570円)、豊田通商(-17円70銭寄与)、ニトリホールディングス(-13円28銭寄与)、大塚ホールディングス(-10円39銭寄与)の順でした。マイナス寄与上位5銘柄の合計は約117円で、プラス上位5銘柄の356円に対して3分の1にすぎません。
半導体のなかでも明暗は分かれています。レーザーテックは1.54%安の3万8,980円と反落し、ディスコは20円安の6万2,960円とほぼ変わらずでした。精密機器業種は0.05%安とわずかにマイナスです。「半導体が全面高」ではなく「製造装置の一角と電子部品が買われた」というのが、より正確な描写になります。住友金属鉱山は3.79%安の9,684円と、非鉄金属業種が3.12%高だったなかで逆行安となりました。
主力の一角ではトヨタ自動車が0.62%高の2,999円50銭と小幅高でしたが、輸送用機器業種は0.07ポイント安(ほぼ変わらず)。ソフトバンクグループも0.66%高の5,520円にとどまりました。指数を動かしたのは、あくまで半導体・電子部品と銀行です。
テクニカル分析
トレンド
本日の日足は実体530円02銭の陽線です。日中値幅833円60銭に対し、上ヒゲは45円30銭、下ヒゲは258円29銭。下ヒゲが上ヒゲの5.7倍ある形で、朝の売りをすべて吸収して高値圏で引けたことを示しています。10日の「窓を空けて一度も埋めない大陽線」とは性格が違い、いったん前日終値を234円下回ってから買い直された——押し目に買いが入る地合いが確認されたと読める足型です。
移動平均線では、本日重要な変化がありました。5日移動平均線6万6,416円94銭が、25日移動平均線6万5,769円22銭を上抜け——ゴールデンクロスが成立しています。前営業日は5日線6万5,703円63銭に対し25日線6万5,857円76銭と、まだ5日線が下でした。この1営業日で上下関係が入れ替わったことになります。株探の集計では本日5日線と25日線のゴールデンクロスを示現した銘柄は275に達しており、指数だけでなく個別レベルでも同じ転換が広く起きたことが分かります。
終値の位置関係を整理します。5日線を1,107円12銭(1.67%)上回り、25日線を1,754円85銭(2.67%)上回り、75日移動平均線6万5,526円92銭を1,997円14銭(3.05%)上回り、200日移動平均線5万7,599円23銭を9,924円83銭(17.23%)上回っています。13週相当(65日)の移動平均線6万6,290円14銭も1,233円93銭上回りました。短期・中期・長期のすべての線の上という状態は、10日から維持されています。
一目均衡表では雲の中にとどまっています。雲下限(先行スパンB)は6万5,653円81銭で、終値はこれを1,870円25銭上回りました。一方雲上限(先行スパンA)は6万8,848円85銭で、終値の1,324円79銭上にあります。10日時点では雲上限まで2,029円ありましたから、2営業日で705円ぶん距離を詰めた計算です。基準線6万5,416円75銭、転換線6万4,309円53銭はいずれも大きく下方に位置しています。
中期の位置も確認しておきます。7月29日の直近安値6万448円90銭からは7,075円16銭(11.71%)の戻りです。52週高値7万2,831円73銭(6月22日)までは5,307円66銭(7.29%)の距離があります。10日時点の8.05%から0.76ポイント縮まりました。
サポートとレジスタンス
以下の水準は、確定日足から算出した8月12日終値時点の計算値です。
- 第1サポート: 6万6,736円〜6万6,417円 — 本日の安値6万6,735円76銭と5日移動平均線6万6,416円94銭の帯です。終値の788円〜1,107円下。本日ここから買い戻された実績があり、直近で最も新しい下値の目安になります。
- 第2サポート: 6万6,290円 — 13週相当(65日)移動平均線。終値の1,234円下です。10日に回復したばかりの中期線で、ここを割ると2営業日ぶんの上昇が帳消しになります。
- 第3サポート: 6万5,769円〜6万5,654円 — 25日移動平均線と一目均衡表の雲下限が115円幅で重なる帯です。終値の1,755円〜1,870円下。本日ゴールデンクロスが成立した基準線でもあり、ここを終値で割り込めば転換シグナルの失敗と評価されます。さらに下には75日線6万5,527円と一目の基準線6万5,417円が控えます。
- 第1レジスタンス: 6万7,569円 — 本日の高値。終値のわずか45円上です。翌営業日の寄り付きで即座に試される水準になります。
- 第2レジスタンス: 6万7,772円 — 25日ボリンジャーバンド+1σ。終値の248円上で、本日の高値のすぐ上に位置します。本日の上値がここで止められたとも読める配置です。
- 第3レジスタンス: 6万8,849円 — 一目均衡表の雲上限。終値の1,325円上です。ここを終値で上抜けて初めて「雲を抜けた」と言えます。さらに上には6万9,775円(25日ボリンジャーバンド+2σ)、そして7万円の心理的節目が控えます。
オシレーターと移動平均
MACDは-257.32、シグナルは-684.18で、ヒストグラムは+426.86。前営業日の+317.96から108.90拡大しました。8月6日のゴールデンクロス以降、4営業日連続で幅を広げています。MACD本体も-472.94から-257.32へ215.62改善し、ゼロラインまで残り257ポイントまで迫りました。10日時点の473ポイントからほぼ半減しています。ただし依然マイナス圏であり、「底打ち後の回復途上」という位置づけは変わりません。
RSI(14日・単純)は54.81で、前営業日の52.60から2.21ポイント上昇しました。ワイルダー式では55.83です。買われ過ぎとされる70にはまだ距離があります。一方でRSI(9日)は85.03と、短期では明確な過熱圏に入りました。期間の取り方で見え方が正反対になる——これが現在の相場の特徴です。
ストキャスティクスは天井圏に張り付いたままです。ファースト%K(9日)は99.31で、前営業日の99.44とほぼ同水準。スロー%K(ファースト%D)は95.62と前営業日の92.33から上昇し、スロー%Dは93.48です。すべてが買われ過ぎの目安80を大きく超えています。10日時点でスロー%Dは88.58でしたから、過熱はさらに進みました。RSI(14日)が中立圏なのにストキャスティクスが天井圏という組み合わせは10日から続いており、短期の反動が入りやすい位置であることに変わりはありません。
NT倍率(日経平均÷TOPIX)は16.31倍で、前営業日の16.33倍から0.02ポイント低下しました。10日に4営業日ぶりの上昇となった流れが、1営業日で反転しています。TOPIXの上昇率(0.94%)が日経平均(0.83%)を上回ったことの、そのままの反映です。
ボリンジャーバンドでは、25日ベースの中心線が6万5,769円22銭、+1σが6万7,772円06銭、+2σが6万9,774円91銭、-1σが6万3,766円37銭です。本日終値6万7,524円06銭は+1σのわずか248円下に位置します。バンドの内側にとどまってはいるものの、10日の「中心線と+1σのほぼ中間」から+1σ寸前まで上がってきた——統計的な過熱感が生まれ始める領域に入りました。
なお、本項の移動平均線・一目均衡表・ボリンジャーバンド・RSI・ストキャスティクス・MACDの各数値は、確定日足から当サイトが算出した計算値です。オシレーター類および一目均衡表は算出方法(平滑化の手法や先行スパンのずらし方)によってチャートツールごとに表示値が異なる場合があり、推定であり確定値ではありません。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら「待ちながら、それでも買った日」です。
「待ち」の側面は明白でした。今晩に米7月CPIの発表を控え、前場は様子見ムード。寄り付き直後の9時1分に安値を付け、前営業日終値を234円下回る場面もありました。10日の1,363円高を受けた利益確定売りが、朝方は優勢だったということです。
それでも押し目は買われました。高値を付けたのが大引け30分前の14時33分で、終値はその45円下。下ヒゲ258円、上ヒゲ45円という足型は、「重要指標の直前でも、押せば買いが入る」という地合いの強さを示しています。本来なら手を出しにくい局面で買いが入ったことは、それ自体が心理の強さの証拠です。
そして本日最も注目すべきは、買いの裾野が広がったことです。値上がり比率は63.2%と10日の58.8%から改善し、上昇業種は18から21へ増加。売買代金は8兆円台から9兆4,000億円台へ1兆4,000億円増えました。10日は「2%上げて商いが3割減る」という、薄商いの中の急騰でした。本日は上げ幅こそ10日の4割ですが、商いも参加銘柄も増えています。相場の質としては、本日のほうが健全です。
その象徴がTOPIXの最高値更新でしょう。日経平均は52週高値からまだ7.29%下にあるのに、TOPIXは最高値です。値がさの一部が牽引する相場ではなく、市場全体の時価総額が過去最大に達したということを意味します。10日は「日経平均だけが上がった日」、本日は「TOPIXが日経平均を上回った日」——2営業日で正反対の構図が現れました。
もっとも、慎重に見るべき点もあります。サンリオの18.12%安と楽天グループの13.77%安です。どちらも「過去最高益」あるいは「黒字」でありながら、市場予想に届かなかったという理由で売られました。サンリオの日中下落率は約12年ぶりの大きさです。指数が最高値を更新している裏側で、期待の高い銘柄は小さな未達でも容赦なく叩かれている——相場全体の強さと、個別銘柄の脆さが同居しているのが現在の局面です。
本日、記憶しておくべき数字を挙げるなら「63.2%」でしょう。東証プライムの値上がり比率です。10日は58.8%でした。指数の上げ幅は10日の4割なのに、上がった銘柄の割合は増えた。自分の持ち株が上がる確率は、本日のほうが高かったということです。
翌営業日の注目ポイント
- 米7月CPI(今晩発表) — 本日の最大の未消化材料です。上振れれば金利上昇観測が復活し、金利感応度の高い半導体・AI関連が真っ先に売られます。逆に落ち着けば、本日買われた銘柄がそのまま買い増される流れになりやすいでしょう。前場の様子見ムードは、この一点に集約されていました。
- 本日の高値6万7,569円を上抜けるか — 終値のわずか45円上です。すぐ上には25日ボリンジャーバンド+1σの6万7,772円が控えます。この248円幅の帯を明確に抜けるかどうかが、上昇の持続性を測る最初の物差しになります。
- ゴールデンクロスが機能するか — 本日5日線(6万6,417円)が25日線(6万5,769円)を上抜けました。ただし成立初日は「だまし」も少なくありません。25日線6万5,769円を終値で割り込まない限り、転換シグナルは有効と見てよいでしょう。
- TOPIXが最高値圏を維持できるか — ほぼ高値引けでの最高値更新です。翌営業日も4,139を上回って推移できれば、上抜けが本物と判断できます。逆に押し戻されれば「最高値更新を材料にした売り」が出たことになります。
- メガバンクの持続性 — 本日銀行業指数が2.87%高とTOPIXを実質的に押し上げました。CPIが上振れて長期金利が上昇すれば銀行株にはむしろ追い風となり、半導体と銀行が逆方向に動く可能性があります。その場合、日経平均とTOPIXの明暗が再び分かれます。
- ストキャスティクスの過熱 — ファースト%Kが99.31、スロー%Dが93.48と、10日よりさらに過熱が進みました。RSI(9日)も85.03です。短期の一服はいつ入ってもおかしくない位置にあります。ただしRSI(14日)は54.81と中立圏で、中期の余地は残っています。
- 決算未達銘柄の連鎖 — サンリオ18.12%安、楽天グループ13.77%安。どちらも「悪い決算」ではなく「予想に届かなかった決算」です。お盆期間で流動性が細るなか、同様の銘柄で急落が連鎖しやすい点には注意が必要です。
- ドル円159円台の方向 — 本日は159円37銭前後で膠着しました。CPIの結果次第では大きく振れます。160円に接近すれば介入警戒が高まる水準です。
戦略展望
本日最も重要な事実は、10日の急騰が一過性ではなかったと確認されたことです。10日の記事で「2銘柄で上げ幅の51%、売買代金は3割減、値上がり比率はむしろ低下」と指摘しました。買い手の裾野が狭いという懸念です。本日、その3つの指標はいずれも改善しました。寄与上位5銘柄で64%(集中度は緩和)、売買代金は1兆4,000億円増、値上がり比率は58.8%から63.2%へ。上げ幅は小さくなったのに、相場の質は良くなったという、投資家にとっては歓迎すべき変化です。
テクニカル面でも前進がありました。5日線と25日線のゴールデンクロスが成立し、MACDのヒストグラムは4営業日連続で拡大、MACD本体はゼロラインまで残り257ポイントまで迫りました。雲上限までの距離も2営業日で705円縮まっています。短期トレンドの上向きは、より確かなものになりました。
ただし、慎重に見るべき点も3つあります。第一に今晩の米CPIが完全に未消化であること。本日の上昇は、結果を見ずに積み上げられたポジションです。第二にストキャスティクスの過熱がさらに進んだこと——ファースト%K 99.31、スロー%D 93.48で、ボリンジャーバンド+1σも248円上に迫っています。第三に雲上限6万8,849円がまだ1,325円上にあること。中期のトレンド転換を語るには、まだ届いていません。
投資判断の観点では、本日は「押し目が用意された日」でした。10日は窓を空けて一度も埋めず、買いたい水準まで下がってこない一日でした。本日は朝に234円の押しがあり、そこから833円の値幅を取って高値引けしています。10日に乗り遅れた投資家にとっては、本日の前場が唯一のチャンスだったことになります。ただし、そのチャンスは大引けにかけて消えました。翌営業日はCPI通過後の水準からのスタートですから、本日の押し目と同じ感覚で臨むことはできません。
リスク側で注意すべきは、本日の上昇が「金利観に依存しない買い」だったという点です。10日は「利上げ観測後退→ハイテク高・銀行安」という明確な筋書きがありました。本日は半導体と銀行が同時に買われた——CPI待ちで金利の方向を決め打ちできないため、どちらにも賭けなかったという解釈が自然です。CPIの結果が出れば、この「両建て」は必ずどちらかに崩れます。本日買われた銘柄がすべて翌営業日も買われるとは限らないということです。
そしてもう一点。サンリオと楽天グループの急落は、指数が最高値を更新する相場でこそ起きる類の事故です。過去最高益でも予想に届かなければ18%安。黒字でもコンセンサスに200億円足りなければ13.77%安。相場全体が強いときほど、個別銘柄に織り込まれた期待は高くなっており、わずかな未達が大きな下げを呼びます。指数の好調と自分の持ち株の安全は、別の話です。
最後に、いつもの確認です。本日、日経平均は0.83%、TOPIXは0.94%上昇しました。値上がり銘柄は全体の63.2%で、10日より改善しています。10日は「日経平均だけが2%上がった日」、本日は「市場全体が1%弱上がった日」——ニュースの見出しは10日のほうが派手ですが、多くの投資家の資産にとっては本日のほうが良い一日だった可能性が高いのです。指数の数字ではなく、自分の資産の実際の変動率で相場を測る。この習慣だけは、相場がどちらを向いていても変わりません。
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