【7月24日】日経平均は1,811円安の大幅反落、AI過剰投資懸念とイビデン4%安が直撃

2026年7月24日(金) 東京市場クローズ
日経平均 64,611.15円 -1,811.45円 (-2.73%)

アルファベットやテスラの決算を受けたAI過剰投資懸念の再燃に、前日の米ナスダック2.1%安と中東情勢の緊迫による原油高が重なり、日経平均は大幅反落。アドバンテスト・東京エレクトロンなど値がさ半導体株が総崩れとなり、下げ幅は前場に一時2,000円を超えました。イビデンの4%安が「AI特需」の持続性への疑念を象徴する一日でした。

本日の相場概況

7月24日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落し、前日比1,811円45銭(2.73%)安の6万4,611円15銭で取引を終えました。前日23日にアドバンテスト1銘柄で指数を押し上げた「値がさ半導体1強」の上昇が、わずか1営業日で完全に逆回転した格好です。

朝方から売りが先行し、前場だけで急速に下げ幅を拡大。11時時点では前日比2,033円安の6万4,389円まで下落し、下げ幅は一時2,000円を超えました。前引けは1,853円安の6万4,568円。後場は下げ渋ったものの戻りは限定的で、15時時点では1,945円安の6万4,476円まで再び売られ、大引けにかけてやや持ち直して1,811円安で着地しました。前日23日が「たった1銘柄で指数を約307円押し上げた偏った上昇」だったのとは対照的に、本日は半導体株の総崩れがそのまま指数を直撃しています。

下落の主因は3つです。第1に、アルファベットやテスラの決算を受けたAI関連の過剰投資懸念の再燃。巨額のAI設備投資が本当に収益に結びつくのかという疑念が改めて意識されました。第2に、前日23日の米国株安で、ナスダック総合が2.15%安、NYダウが506ドル安と大きく崩れ、リスク回避の流れが東京市場に持ち込まれました。第3に、中東情勢の緊迫です。トランプ米大統領の対イラン大規模攻撃警告に加え、親イラン武装勢力フーシ派が紅海でサウジアラビアの原油タンカー2隻を攻撃したと報じられ、原油先物が上昇。インフレ・金利警戒がハイテク株の重石となりました。

加えて、24日午前に半導体株比率の高い韓国総合株価指数(KOSPI)が軟調に推移したことも投資家心理を冷やしました。TOPIXも前日比42.57ポイント(1.05%)安の4,011.31と反落しましたが、下落率は日経平均の2.73%に対して1.05%にとどまりました。医薬品・保険・海運などディフェンシブや内需セクターには資金が逃避しており、値がさ半導体に偏った日経平均のほうが打撃が大きかったことを、この下落率の差が物語っています。

主要マーケット指標

指標 数値 前日比
日経平均株価 64,611.15円 -1,811.45円 (-2.73%)
TOPIX 4,011.31 -42.57 (-1.05%)
SOX指数 (7/23終値) 12,343.84 -66.83 (-0.54%)
ナスダック総合 (7/23終値) 25,137.69 -553.21 (-2.15%)
S&P 500 (7/23終値) 7,408.30 -90.66 (-1.21%)
NYダウ (7/23終値) 51,711.65 -506.93 (-0.97%)
米ドル/円 163円79銭前後 15時時点
東証プライム 値上がり/値下がり 約596 / 約899 変わらず57 (15時時点)
注記: 米国指数は日本時間24日時点で最新となる7月23日の終値です。本記事執筆時点でYahoo!ファイナンスの確定日足(始値・高値・安値)は未掲載のため、日中値については報道ベースの数値を用いています(11時に前日比2,033円安の6万4,389円まで下落)。テーブルの色は日本式表記(上昇=赤/下落=緑)に従っています。

マクロ・地政学の視点

本日の下落は、「AIバブルへの疑念」と「地政学リスク」が同時に噴き出したことによるものでした。まずAIについては、アルファベットやテスラの決算内容が、巨額のAI設備投資に対する市場の期待と現実のギャップを意識させました。「AI特需はいつまで続くのか」という根源的な問いが再浮上し、これまで相場を牽引してきた半導体・AI関連株が真っ先に売られる展開となりました。

この疑念を象徴したのがイビデンの4%安です。イビデンはAIサーバー向け半導体パッケージ基板の主力メーカーであり、AI需要の「量」を映す銘柄として市場から注目されています。取引先インテルの好決算という支援材料がありながらも株価が4%下落したことは、個別の業績よりも「AI特需そのものの持続性」に市場の不安が向かっていることを示しています。

地政学面では、トランプ大統領の対イラン攻撃警告に加え、フーシ派による紅海でのサウジ原油タンカー攻撃という具体的な事象が重なりました。中東の緊張が原油高に直結し、それがインフレ再燃・米長期金利上昇への警戒につながる——この連想が、金利上昇に弱いハイテク・グロース株の重石となりました。前日22日から続くこの地政学リスクが、本日はより明確な形で相場を押し下げています。

為替は1ドル=163円79銭前後で推移し、前日(163円07銭)からむしろ円安が進みました。通常なら輸出株の追い風となる円安ですが、本日はそれを打ち消すほどの半導体株安・リスク回避が優勢でした。円安でも株が売られるという構図は、今回の下落が為替要因ではなく「AI・半導体という主役セクターへの信認低下」に根ざしていることを裏づけています。

セクター・個別銘柄の動き

売られたセクター・銘柄

東証33業種のうち下落は23業種に及びました。下落率上位は非鉄金属(-3.20%)、電気機器(-2.77%)、化学(-2.14%)。半導体関連を多く含む電気機器や、景気敏感の非鉄金属・化学が大きく売られており、リスク回避の色が濃く出ています。

日経平均を押し下げた主役は値がさ半導体株でした。指数寄与度(15時時点)で見ると、アドバンテスト(6857)が約423円、東京エレクトロン(8035)が約386円、ソフトバンクグループ(9984)が約353円、キオクシアホールディングス(285A)が約139円、ファーストリテイリング(9983)が約59円、それぞれ日経平均を押し下げました。前日に指数を約307円押し上げたアドバンテストが、本日はその押し上げ分を上回る約423円の押し下げに転じたことが、この日の逆回転を最も象徴しています。ディスコ、レーザーテック、フジクラといったAI・半導体関連も軒並み売られました。

そして本日の話題の中心がイビデンの4%安です。取引先インテルの好決算にもかかわらず下落したことで、「AI特需」の持続性に対する市場の警戒が改めて浮き彫りになりました。

買われたセクター・銘柄

下落一色の中でも、33業種中10業種が上昇しました。上昇率上位は医薬品(+1.76%)、鉱業(+1.51%)、保険(+1.33%)。原油高を映した鉱業や、金利上昇メリットのある保険、ディフェンシブの代表格である医薬品に資金が逃避しました。海運・陸運といった内需・景気非敏感セクターも底堅く推移しています。

個別では、日経平均を下支えした数少ない銘柄として中外製薬(4519)が約24円、KDDI(9433)が約17円、指数を押し上げました。東京海上ホールディングス、大塚ホールディングス、ベイカレントなどディフェンシブ・内需系にも買いが入りました。もっとも、これらの上昇では半導体株の巨大な下げを到底相殺できず、東証プライムでは値下がり銘柄が約899、値上がりは約596(15時時点、変わらず57)と、下落銘柄が値上がりを大きく上回りました。前日の「値下がりが過半でも指数はプラス」とは正反対に、本日は「幅広い下落」がそのまま指数の大幅安に直結した一日です。

テクニカル分析

トレンド

本日の日経平均は、前日終値6万6,422円に対して売り先行で始まり、前場に一時6万4,389円(前日比2,033円安)まで下落。終値6万4,611円は前日安値6万6,208円を大きく下回りました。3営業日連続で切り上げてきた日足の安値が、本日ついに大きく切り下がったことになります。前日まで「上値は重いが下値は堅い」と評価してきた地合いが、一日で崩れた形です。

チャート上は、7月21日の急反発(+2,091円)で回復した6万5,000円の大台を明確に割り込みました。7月15日以降の日柄では、21日の急反発で空けた上昇の勢いが完全に打ち消され、下値模索の局面に入ったと見るのが自然です。1本の大陰線で複数営業日分の上げを消したことは、上昇トレンドの脆さを改めて示しています。

サポートとレジスタンス

  • 第1サポート: 6万4,389円 — 本日前場の安値(報道ベース)。まずはこの水準を割り込まずに踏みとどまれるかが目安です。
  • 第2サポート: 6万4,000円 — 心理的節目。ここを割ると下値不安が一段と強まります。
  • 第3サポート: 6万3,000円台前半 — 7月16日の急落(1,916円安)局面で意識された水準帯。
  • 第1レジスタンス: 6万5,000円 — 本日割り込んだ大台。まずはこの回復が反発の第一条件です。
  • 第2レジスタンス: 6万6,208円 — 前日(7/23)の安値。ここを回復できれば下落前の水準に戻ります。
  • 第3レジスタンス: 6万7,022円 — 7月23日の高値。上昇トレンド復帰の分水嶺です。

オシレーターと出来高

1日で2.73%の急落となったため、RSI(相対力指数)は前日の55前後から45前後の中立圏まで低下した公算が大きいと考えられます。売られ過ぎの30にはまだ距離があり、テクニカル的な自律反発を期待するには早い水準です。MACDについては、ゴールデンクロス接近と見られていた前日の状況から一転、ヒストグラムが再びマイナス方向に転じ、デッドクロス懸念が強まる段階と推定されます。ただし、これらのオシレーター値はいずれも値動きからの推定であり、確定値ではありません。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。

売買代金・出来高は、下げ幅拡大とともに朝方から大きく膨らみました。値がさ半導体株に売りが集中したことで商いが厚くなっており、これは押し目買いよりも損失回避・ポジション圧縮の売りが優勢だったことを示唆します。大幅安の日に商いが膨らむのは、市場に「早めに手仕舞いたい」という心理が働いた典型的なパターンです。

市場心理

本日の市場心理は「AIへの信認が揺らいだ日」と要約できます。これまで相場を牽引してきたAI・半導体というテーマそのものに疑念が向かい、投資家は真っ先に値がさ半導体株を手放しました。イビデンが好決算材料を持ちながら4%安となったことは、「個別の good news では、もはやAI特需の持続懸念を打ち消せない」という市場ムードの変化を端的に表しています。

ここでも前日との対比が示唆に富みます。7月23日は「アドバンテスト1銘柄の急伸で指数がプラス」、本日は「そのアドバンテストを含む半導体株の総崩れで指数が大幅安」。わずか2営業日で、同じ値がさ半導体株が指数の押し上げ役から押し下げ役へと180度反転しました。日経平均という指標が、一握りの値がさ株の動向にいかに大きく振らされているか——強気と弱気の両局面で、その構造的な脆さが連日で浮き彫りになっています。

一方で、医薬品・保険・海運といったディフェンシブ・内需セクターに資金が逃避したことは、これがパニック的な全面投げ売りではなく、「AI・半導体からディフェンシブへの資金シフト」という選別的な動きであったことも示しています。市場は総悲観に陥ったのではなく、リスクの所在を見極めながらポジションを組み替えている——そう読むこともできます。

週明けの注目ポイント

カレンダー: 本日7月24日は金曜日のため、翌営業日は7月27日(月)となります。土日の週末を挟むため、米国市場2営業日分(24日・25日)の動きを月曜にまとめて織り込む点に注意が必要です。週末に中東情勢や米ハイテク株が大きく動いた場合、月曜寄り付きのギャップ(窓)が拡大しやすい局面です。
  • 週末の米ハイテク株と決算 — アルファベット・テスラに続く米大手ハイテクの決算とその株価反応が、月曜の東京市場の半導体株の初動を決めます。AI過剰投資懸念がさらに強まるのか、それとも一巡するのかが最大の焦点です。
  • 今夜以降のSOX指数・ナスダック — 前日2.15%安となったナスダックと半導体指数SOXが、週末にかけて下げ止まるかどうか。ここが崩れると月曜の日本株も一段安のリスクがあります。
  • 中東情勢と原油価格 — フーシ派のタンカー攻撃や対イラン警告を受けた原油高が続けば、インフレ・金利警戒からハイテク株の上値は引き続き重くなります。週末の続報に警戒が必要です。
  • アドバンテスト・イビデンの下げ止まり — 本日の下落を主導した2銘柄が反発するのか、続落するのか。この値がさ半導体株の動向が、そのまま日経平均の方向を左右します。
  • 6万5,000円の回復可否 — 本日割り込んだ大台を月曜に回復できるかが、下落が一時的な調整で済むか、下値模索の本格化かを見極める分岐点になります。
  • ドル円163円台の行方 — 円安が続いても株が売られた本日の構図が変わるか。為替と株の連動が復活するかどうかを確認しましょう。

戦略展望

本日は、前日23日の「1銘柄依存の上昇」が抱えていた脆さが、そのまま現実化した一日でした。指数を押し上げていた値がさ半導体株は、崩れ始めると同じ勢いで指数を押し下げます。連日で確認してきた「日経平均が市場全体の実態から乖離している」という構造は、上げでも下げでも投資家にとって無視できないリスクであることが、本日の大幅安ではっきりしました。

短期的には、6万5,000円の大台を割り込み、3営業日続いた安値切り上げも崩れたため、テクニカル的には下値模索の局面に入ったと見るのが妥当です。ただしRSIはまだ売られ過ぎ圏には達しておらず、自律反発を狙うにはやや早い水準です。週末を挟んで米ハイテク株・中東情勢という不確定要素が残る以上、月曜の寄り付きでの飛びつき買いは慎重に。下値のメドである6万4,000円前後まで引き付けるか、明確な反発サインを確認してから動くスタンスが現実的でしょう。

中期的に最も重要なのは、「AI特需の持続性」というテーマそのものへの向き合い方です。イビデンの4%安が示すように、市場は個別業績よりもAI投資の全体像に疑念を向け始めています。この疑念が一過性のものか、それともより大きな調整の入り口かは、今後の米ハイテク決算とAI関連設備投資の実需データが答えを出します。ご自身のポートフォリオが値がさ半導体に偏っていないか、1つのテーマに資産が集中しすぎていないかを、本日のような日にこそ点検しておきたいところです。指数の急落は、分散の重要性を思い出させてくれる機会でもあります。

チャート

日経225 (INDEX:NKY)

米ドル/円 (FX:USDJPY)

S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)

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