前週末の急落から一転、朝安後に韓国株の下げ渋りが波及。海外短期筋の買いが先物に膨らみ、大引けにかけて上げに転じました。AI・半導体株は依然として神経質な値動きが続いています。
本日のマーケットサマリー
29日の東京株式市場で日経平均株価は前週末比107円23銭高(+0.15%)の6万9468円11銭で取引を終え、3営業日ぶりに反発しました。前週末26日に終値ベースで1889円超の急落(週間ベースで約2.65%安)を演じ、心理的節目の7万円を割り込んだ反動もあって、本日は値ごろ感からの押し目買いが入りやすい地合いとなりました。
もっとも、寄り付き直後はやや軟調に推移する場面もありました。前週末の米国市場でハイテク株の利益確定売りが続き、報じられた一部AI企業のIPO延期観測なども重しとなったためです。しかし午後にかけて韓国の総合株価指数(KOSPI)が下げ幅を縮小すると、アジア株全体に安心感が広がり、海外短期筋を中心に日本株および株価指数先物への買いが膨らみました。日経平均は大引けにかけて一方的に下げ渋り、結局プラス圏で取引を終えています。
為替市場では円安基調が継続し、ドル円は1ドル=161円台半ばで推移しました。輸出関連株にとっては追い風となる一方、過度な円安が日銀の政策修正観測を意識させる局面も意識されています。全体としては、前週末の急落で過熱感が一旦剥落したことを好感しつつも、AI・半導体株の方向感が定まらないなか、積極的に上値を追う動きには乏しい一日でした。
主要マーケット指標
| 指標 | 終値・水準 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 69,468.11円 | +107.23円 (+0.15%) |
| ドル円 (USD/JPY) | 161.63円 | 円安方向 |
| S&P 500 (前営業日) | 7,354.02 | +0.14% |
| 米10年国債利回り | 約4.38% | 7週ぶり低水準圏 |
| WTI原油先物 | 約69.2ドル/バレル | 軟調(2月以来の安値圏) |
| 金 (GOLD) | 約4,040ドル/オンス | 高値圏で底堅い |
| VIX指数 (恐怖指数) | 約18.4 | 落ち着いた水準 |
※各数値は29日の取引時間中および前営業日終値の実勢値を基にしています。S&P 500・米金利・VIXは米国の前営業日(26日)終値ベースです。
マクロ・地政学の焦点
前週末に発表された米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想とおおむね一致し、インフレの落ち着きが改めて確認されたことは、株式市場全体にとって支援材料となっています。米10年債利回りは約4.38%と7週ぶりの低水準圏で推移しており、利下げ継続期待が金利の上値を抑えています。低金利環境はハイバリュエーションのグロース株にとって追い風となる一方、すでに大きく上昇したAI・半導体関連には、決算発表を前にした利益確定売りも出やすくなっています。
原油市場ではWTIが1バレル=69ドル台と、2月以来の安値圏まで下落しました。直近4週間で2割を超える下落となっており、エネルギーコスト低下はインフレ鈍化を後押しする一方、世界的な需要減速懸念の表れとも受け止められています。金は1オンス=4,000ドル台で底堅く推移し、地政学リスクや実質金利低下を背景に資産分散の受け皿としての需要が続いています。為替はドル円が161円台半ばと円安基調が継続しており、輸出企業の採算改善期待が下値を支える構図です。
セクター・個別株動向
本日の物色は、前週末に大きく売られた銘柄の自律反発と、出遅れ・割安セクターへの資金シフトが同時に進む展開でした。AI・半導体関連は前週末の急落の反動で朝方に買い戻しが入る場面もありましたが、方向感は定まらず、キオクシアをはじめとするメモリ関連は神経質な値動きとなりました。一方、AIデータセンターの電源を支える「デジタルパワー」関連として、ルネサスエレクトロニクスなど一部の半導体・電源IC関連には押し目買いが入りました。
円安進行を受けて自動車・機械などの輸出関連株は底堅く、内需では銀行・保険といった金融株が金利動向をにらみながらしっかりとした値動きを見せました。野村證券などが2026年末の日経平均見通しを68,000円へ上方修正し、AI・半導体企業の好業績(2026年度の経常利益が倍増見込み)を反映する動きも出ており、中長期の業績拡大期待が相場の下支え役となっています。ただし、短期的には個別物色の色彩が強く、指数寄与度の高い値がさ株の動向に振らされやすい地合いが続いています。
テクニカル分析
トレンドと移動平均線
日経平均は前週末に7万円の大台を割り込み、短期的な過熱感の調整局面に入りました。本日の反発で25日移動平均線近辺での攻防となっており、ここを明確に維持できるかが当面の焦点です。中期的なトレンドは依然として上向きですが、5日線が25日線に接近しつつあり、短期筋の利益確定が一巡したかどうかを見極める段階にあります。終値で69,000円台を回復したことは、目先の下げ止まりを示すサインとして前向きに評価できます。
RSI・MACD
前週末の急落でRSI(相対力指数)は過熱圏(70超)から中立圏(50前後)へと急速に低下し、買われ過ぎの状態は解消されました。これにより、テクニカル面では再び上昇余地が生まれた格好です。MACDは依然としてプラス圏にあるものの、シグナル線とのデッドクロスが接近しており、上昇モメンタムの鈍化を示唆しています。本日の反発がMACDの再浮上につながるか、明日以降の動きが重要となります。
出来高・売買代金
前週末はプライム市場の売買代金が12兆円超と過去最大級に膨らみ、急落に伴う投げ売りと押し目買いが交錯しました。本日は売買代金がやや落ち着いたものの、なお高水準を維持しており、市場参加者の関心の高さがうかがえます。反発局面で出来高が伴っている点は、下値での買い意欲の強さを示すものと解釈できます。
サポート・レジスタンス
当面の下値メドは前週末安値圏の68,000円台前半、その下は心理的節目の67,000円が意識されます。上値は心理的節目の70,000円が第一関門となり、これを回復・定着できれば、前週につけた史上最高値圏への再挑戦も視野に入ります。来週(6/29~7/3)の予想レンジは6万4000~7万2000円とボラティリティの高い見方が出ており、当面は68,000~71,000円のレンジ内での値動きを基本シナリオとしたいところです。
市場心理
前週末の急落で投資家心理は一旦冷や水を浴びせられた格好ですが、本日の反発によって過度な悲観は後退しました。VIX指数が18台と落ち着いた水準にあることからも、市場はパニック的な状況にはなく、健全な調整の範囲内と受け止められています。一方で、高値圏での乱高下を経験した個人投資家には警戒感も残り、戻り局面では利益確定売りが出やすい状況です。強気と慎重さが綱引きする典型的な高値圏のもみ合いと言え、次の方向性を決めるカタリスト(企業決算や米経済指標)待ちのムードが漂っています。
明日の注目ポイント
- 米国市場の動向 ── ハイテク株の利益確定売りが一巡するか、ナスダック・S&P 500の値動きを確認したい。
- ドル円161円台の円安が続くか ── 過度な円安は日銀の政策修正観測を刺激する可能性があり、輸出株と金融株の綱引きに注目。
- AI・半導体株の方向感 ── キオクシア、ルネサス、ソフトバンクグループなど主力の値動きが指数を左右する。
- 心理的節目70,000円の回復 ── ここを上抜けできれば最高値圏への再挑戦シナリオが現実味を帯びる。
- 原油安の波及 ── WTIの2月以来安値が世界景気減速懸念につながらないか、資源・商社株の動向を点検。
- プライム売買代金の水準 ── 売買代金が高水準を維持するか、市場のエネルギーの持続性を測る指標として注視。
今後の投資戦略
前週末の急落と本日の反発を経て、相場は高値圏での調整・もみ合い局面に移行したと考えられます。中長期の業績拡大トレンド(AI・半導体の好業績、企業の上方修正ラッシュ)は依然として健在であり、押し目は中長期投資の好機ととらえる余地があります。一方、短期的にはボラティリティが高い状態が続くため、レバレッジを抑え、分割エントリーで建玉をコントロールする慎重な姿勢が望ましいでしょう。
物色面では、過度に買われたメガキャップ半導体に資金を集中させるのではなく、円安メリットを受ける輸出関連や、出遅れている内需・金融・割安バリュー株への分散も有効です。70,000円の節目回復と米国ハイテク株の落ち着きが確認できれば強気スタンスを強め、逆に68,000円割れが定着するようなら一旦キャッシュ比率を高めて様子見、というシナリオ分岐を念頭に置いて臨みたいところです。
主要チャート(TradingView)
日経225 (INDEX:NKY)
ドル円 (FX:USDJPY)
S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)
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【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。記載された数値・データは執筆時点で取得した情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。本記事の情報によって生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いません。

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