【6月11日】日経平均は600円下落!米CPIショックと中東緊迫で続落

DAILY MARKET REPORT — 2026年6月11日(木)
日経平均は600円安の63,578円と続落 米CPIショックと中東情勢の緊迫がダブルパンチ、後場はAI・半導体株への押し目買いで下げ渋り
終値 63,578.42円(前日比 −600.85円 / −0.94%)

本日の市場サマリー

6月11日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、終値は前日比600円85銭(0.94%)安の6万3578円42銭となりました。前日の米国市場では5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比4.2%と約3年ぶりの高水準を記録し、インフレ高止まりの長期化観測から早期利下げ期待が急速に後退。NYダウは953ドル安(−1.87%)の49,918ドル、S&P500は−1.62%の7,266.99、ナスダックは−1.98%の25,169.50と主要3指数が揃って大幅安となり、東京市場もこの流れを引き継いで朝方から売りが先行しました。前場の日経平均は一時900円を超える下落となり、6万3239円52銭で午前の取引を終える場面もありました。

ただ、後場に入ると様相が変化します。売り一巡後は人工知能(AI)・半導体関連の一角に押し目買いとみられる動きが強まり、キオクシアやソフトバンクグループ(SBG)は朝安後に上昇へ転換。日経平均は急速に下げ渋り、結局前引け時点から下げ幅を300円超縮めて取引を終えました。一方で東証株価指数(TOPIX)は59.14ポイント(1.54%)安の3788.46と日経平均よりも下落率が大きく、プライム市場では8割を超える銘柄が下落。指数を支えたのは一部の値がさハイテク株であり、市場全体としてはリスクオフ色の濃い一日だったと言えます。

地政学面では、米軍によるイランへの攻撃が2日目に入り、トランプ大統領が再攻撃を警告したことで中東情勢への懸念が一段と拡大。WTI原油先物は92ドル前後まで上昇し、米長期金利の上昇と併せて投資家心理を冷やしています。インフレ・金利・地政学という三重苦の中で、東京市場は今週に入って8日の2,563円安、10日の1,237円安に続く下げとなり、調整局面の様相を強めています。

主要マーケット指標

指標 終値/水準 前日比
日経平均株価 63,578.42円 −600.85円(−0.94%)
TOPIX 3,788.46 −59.14pt(−1.54%)
ドル円(USD/JPY) 160.45円前後 160円台半ばで推移
S&P500(前日) 7,266.99 −1.62%
NYダウ(前日) 49,918.78ドル −953ドル(−1.87%)
ナスダック総合(前日) 25,169.50 −1.98%
WTI原油先物 92ドル前後 中東緊迫で上昇

マクロ・地政学要因の整理

米CPIショック — 利下げ期待の後退

最大の重荷となったのは、5月の米CPIが前年比4.2%と市場予想を上回り、約3年ぶりの高水準を付けたことです。インフレの再加速が確認されたことで、FRBの早期利下げシナリオは大きく後退し、市場では一部に「利上げ再開」の観測すら浮上しています。米長期金利は上昇し、高PERのグロース株・AI関連株にとって逆風となる構図が鮮明になりました。前日の米国市場では工業株が3%超、テクノロジーと素材が2%超下落しており、景気減速とインフレが併存する「スタグフレーション的」な警戒感が広がっています。

中東情勢 — 米軍のイラン攻撃2日目

米軍によるイランへの攻撃は2日目に入り、和平努力の崩壊と紛争長期化への懸念が市場を覆っています。WTI原油は92ドル前後まで水準を切り上げ、米原油在庫が7週連続で減少(直近週は722.8万バレル減)したことも需給面から価格を押し上げています。原油高は日本にとって交易条件の悪化要因であり、輸入インフレを通じて企業収益と家計を圧迫します。エネルギーコスト上昇が再びインフレ圧力となれば、日米の金融政策の舵取りはさらに難しくなるでしょう。

為替 — 160円台半ばの円安継続

ドル円は160.45円前後と、引き続き歴史的な円安水準で推移しています。米金利上昇がドルを支える一方、リスクオフ局面でも円買いが限定的な点は、円の構造的な弱さを示唆しています。輸出企業には追い風ですが、160円台の定着は輸入物価を通じた国内インフレ、そして当局の為替介入警戒という二つの火種を抱え続けることになります。

セクター・個別銘柄の動向

朝方は前日の米ハイテク株安を受けてAI・半導体関連に売りが先行しましたが、売り一巡後は同セクターの一角に押し目買いが流入。キオクシアとソフトバンクグループは朝安後に上昇へ転じ、相場全体の下支え役となりました。また、イビデン、村田製作所、TOPPAN、味の素といったAI・半導体向け部材・材料を手掛ける「出遅れ組」を物色する動きも観測され、AI関連の中でも主役級の値がさ株から周辺銘柄へ資金がローテーションする兆しが見られます。

一方、TOPIXの下落率(−1.54%)が日経平均(−0.94%)を上回ったことが示す通り、市場の裾野では売りが優勢でした。プライム市場の8割超の銘柄が下落しており、原油高・金利高を嫌気して内需株や金融以外のバリュー株にも幅広く売りが及んだ格好です。指数の戻りに安心するのではなく、騰落銘柄数の偏りには注意が必要な局面です。

テクニカル分析

トレンド

日経平均は6月5日の66,588円、8日の64,024円(2,563円安)、9日の65,416円への自律反発、10日の64,179円(1,237円安)、そして本日の63,578円と、高値圏から約4,000円の調整が進行中です。短期トレンドは明確に下向きで、25日移動平均線を割り込んだとみられる水準での推移が続いています。一方、中期の上昇トレンドラインはまだ崩れておらず、現状は「強い上昇相場の中のスピード調整」と「本格調整への移行」の分水嶺にあると判断されます。

RSI・MACD

日足RSI(14日)は今週の連続下落で50を明確に割り込み、40近辺の中立圏下限へ低下しているとみられます。売られ過ぎ(30以下)にはまだ距離があり、テクニカル的な自律反発の余地と追加下落の余地が併存する水準です。MACDはシグナルを下抜けるデッドクロスが発生し、ゼロライン方向への低下が継続。モメンタムの悪化は明確であり、MACDの底打ちが確認されるまでは戻り売り圧力を警戒すべき局面です。

出来高・売買代金

本日10時時点のプライム売買代金は概算3兆3800億円と引き続き高水準のペースで、前日(10日)は11兆3336億円に達していました。下落局面での商い膨張は売り圧力の強さを示す一方、後場の下げ渋りと併せてみれば、押し目買い需要も相応に厚いことを示唆しています。

サポート・レジスタンス

  • サポート(1):63,000円(心理的節目・本日前場安値圏63,239円の直下)
  • サポート(2):62,400〜62,500円(5月中旬もみ合い水準)
  • レジスタンス(1):64,200円前後(6月10日終値・前日からのマド)
  • レジスタンス(2):65,400円(6月9日戻り高値)

市場心理

投資家心理は「強気の巻き戻し」段階にあります。今週は8日の2,563円安(今年2番目の下げ幅)を起点に、AI相場の過熱を冷やす材料(米雇用統計、米CPI、中東緊迫)が立て続けに出現し、リスク許容度は明確に低下しました。ただし本日後場の動きが示す通り、「下がれば買いたい」という待機資金は依然として厚く、パニック的な投げ売りには発展していません。恐怖と強欲が拮抗する中、当面はヘッドライン(中東・米金利)に振らされるボラティリティの高い展開が続くと想定されます。

明日の注目ポイント

  • 中東情勢の続報:米軍のイラン攻撃3日目入りの有無と原油価格の反応。WTIが95ドルを超えるとリスクオフが再加速する恐れ。
  • 今晩の米国市場:CPIショック後の米株が下げ止まるか。米長期金利とハイテク株の動向が東京の寄り付きを左右。
  • 米生産者物価指数(PPI)など米インフレ関連指標:CPIに続きインフレ再加速が確認されるかどうか。
  • ドル円160円台の持続性:日本当局の口先介入・実弾介入への警戒。急速な円高反転は輸出株の重荷に。
  • AI・半導体株の押し目買いの持続力:キオクシア、SBG、出遅れ部材株への資金流入が続くか。
  • 節目63,000円の攻防:割り込んだ場合は62,400円台までの下値模索を想定。

戦略・見通し

短期的には、インフレ・金利・地政学の三重苦が晴れるまで、戻りの鈍い神経質な展開を想定します。指数ベースでは63,000円のサポートを維持できるかが最初の関門で、維持できれば64,200円までのリバウンド、割り込めば62,400円台までの調整深掘りがメインシナリオです。物色面では、後場に確認されたAI・半導体の周辺・出遅れ銘柄へのローテーションと、原油高メリットのある資源・エネルギー関連が相対的に優位とみられます。中期では、企業業績の拡大基調と国内の構造的な株高要因(資本効率改革・新NISA資金)は不変であり、過度な悲観は不要と考えますが、ポジションサイズを抑え、押し目買いは段階的に行うのが賢明な局面です。投資判断はあくまでご自身のリスク許容度の範囲内で行ってください。

チャート

日経225(INDEX:NKY)

ドル円(FX:USDJPY)

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