【8月6日】日経平均617円安もTOPIXは続伸、225銘柄中171銘柄が上昇

2026年8月6日(木) 東京市場クローズ
日経平均 65,683.26円 -617.18円 (-0.93%)

前日の2,343円高の反動で、日経平均は617円18銭安と反落しました。一時は下げ幅が1,358円に達し6万5,000円を割り込んでいます。ただし、本日の見出しはこの数字ではありません。TOPIXは9.68ポイント高と続伸し、東証プライムの値上がりは1,130銘柄で全体の73%日経225の採用銘柄でさえ171銘柄が上昇しました。225社中171社が上がって指数が617円下がる——これはキオクシア・太陽誘電など値がさ半導体株の一角が単独で指数を引き下げたことを意味します。下がったのは「相場」ではなく「指数」でした。

本日の相場概況

8月6日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日比617円18銭(0.93%)安の6万5,683円26銭で取引を終えました。前日に2,342円91銭高と急騰した直後だけに、上昇分の約26%を吐き出した計算になります。

値動きの経路を追うと、本日の性格がはっきり見えてきます。寄り付きは6万5,896円00銭と前日終値から404円44銭のギャップダウンで始まり、その1分後の9時1分に付けた高値6万5,983円13銭が、そのまま一日の天井になりました。この高値ですら前日終値を317円下回っています。つまり本日の日経平均は、一度も前日終値を上回ることなく終わったことになります。

下げが加速したのは前場中盤です。10時46分に安値6万4,942円07銭を付け、この時点で下げ幅は1,358円37銭、フシ目の6万5,000円を割り込みました。しかしここが底でした。売りが一巡すると次第に下げ渋り、終値は安値から741円19銭戻して引けています。

ローソク足は実体わずか212円74銭の小陰線に、741円19銭の長い下ヒゲが付いた形です。日中値幅1,041円06銭のうち、下ヒゲが71%を占め、実体は20%にすぎません。上ヒゲは87円13銭。売り込まれた水準では確実に買いが入った——足の形はそう語っています。前日の「ヒゲのない大陽線」とは対照的ですが、弱気の足かというと、そうとも言い切れません。

そして本日の核心は、指数の外側にあります。東証プライムでは値上がり1,130銘柄に対し値下がりが401銘柄、変わらずが25銘柄。値上がりが全体の73%に達しました。TOPIXは9.68ポイント(0.24%)高の4,055.85と続伸し、プラス圏で着地しています。さらに驚くべきは日経225の採用銘柄で、値上がり171銘柄に対し値下がりは54銘柄、変わらずゼロ。採用225社の76%が上昇して、指数は617円下がったのです。

これは統計上の偶然ではなく、日経平均という指数の構造そのものです。日経平均は株価の高い銘柄ほど影響力が大きい「株価平均型」の指数ですから、値がさの半導体株が数銘柄まとめて急落すれば、他の171銘柄が上がっても指数は下がります。前日の記事で「4銘柄で上げ幅の72%」と書いた偏りが、本日は下方向に作用しただけのことです。

主要マーケット指標

指標 数値 前日比
日経平均株価 65,683.26円 -617.18円 (-0.93%)
日経平均 高値 / 安値 65,983.13 / 64,942.07 始値 65,896.00円 (値幅1,041円)
TOPIX 4,055.85 +9.68 (+0.24%)
TOPIX 高値 / 安値 4,065.66 / 4,026.39 始値 4,041.15
NYダウ (8/5終値) 54,349.12 +263.24 (+0.48%)
S&P 500 (8/5終値) 7,723.55 -12.97 (-0.17%)
ナスダック総合 (8/5終値) 26,363.43 -221.55 (-0.83%)
SOX指数 (8/5終値) 12,008.88 -170.38 (-1.40%)
米ドル/円 157円75銭〜157円84銭 ほぼ横ばい (高値157.85/安値157.56)
上海総合指数 3,878.42 +56.14 (+1.47%)
東証プライム 売買代金 約9兆6,880億円 前日の約10兆9,236億円から減少
東証プライム 売買高 約26億7,117万株 前日の約27億8,122万株から減少
東証プライム 値上がり/値下がり 1,130 / 401 変わらず25 (値上がりが約73%)
日経225構成銘柄 騰落 値上がり171 / 値下がり54 変わらず0 (値上がりが76%)
業種別騰落 (33業種) 値上がり業種のほうが多い 非鉄金属の下げが目立つ
日経平均VI 29.78 -3.29 (-9.95%) 高値32.31/安値29.78
米VIX指数 15.83 +0.02 (+0.13%) 低位で安定
NT倍率 16.19倍 前日16.39倍から低下
注記: 米国指数は日本時間6日時点で最新となる8月5日(火)の終値です。日経平均・TOPIXの終値および始値・高値・安値は株探の当日確定値、売買代金・売買高・値上がり/値下がり銘柄数・業種別騰落は大引け時点の市場集計値によります。ドル円は東京市場大引け前後の水準です。NT倍率は日経平均÷TOPIXの計算値です。テーブルの色は日本式表記(上昇=赤/下落=緑)に従っています。

マクロ・地政学の視点

本日の下落は、新しい悪材料が出たわけではありません。前日の急騰があまりに急だったことへの反動——市場関係者の間で「健全な調整の範囲内」との見方が支配的だったのは、そのためです。

ただし、前日の米国市場が一枚岩ではなかった点は見逃せません。NYダウは263ドル24セント高の5万4,349ドル12銭と5日続伸した一方、S&P500は0.17%安、ナスダック総合は0.83%安と反落しました。そしてSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は1.40%安の1万2,008ポイント。前日に6.55%も上げた反動で、半導体株だけが逆回転しています。

つまり米国市場ですでに「ダウは上げ、ハイテクは下げる」という中身の入れ替えが起きていたわけです。本日の東京市場で日経平均が下げてTOPIXが上げたのは、その構図をそのままなぞった結果にほかなりません。日米そろって、指数の主役が交代した一日だったと言えます。

個別要因として最も効いたのは、米サンディスク(SNDK)の時間外取引での下落です。同社は好決算を発表したにもかかわらず株価が売られました。「好決算でも売られる」——この反応は、メモリー関連株の株価にすでに相当の期待が織り込まれていることを示唆します。日本市場ではキオクシアホールディングス(285A)の急落に直結しました。

さらに、日本と同時間帯に取引される韓国株市場が軟調だったことも重石になりました。韓国総合株価指数(KOSPI)はメモリー・半導体の構成比が高く、日経平均との連動性が強い指数です。前日はKOSPIの急伸が日経225先物買いを誘発しましたが、本日はその歯車が逆に回りました。朝方からリスク回避ムードが強まった直接の引き金は、ここにあります。

一方、下支え役として明確に機能したのが決算です。発表シーズンが山場を迎えるなか、好決算銘柄を中心とした個別株物色が旺盛で、これが値上がり銘柄数73%という数字を作りました。指数がマイナスでも、投資家の資金は止まっていなかったのです。

外部環境も総じて落ち着いていました。ドル円は157円75銭〜157円84銭と、高値157円85銭・安値157円56銭の狭いレンジ内での推移です。前日まで警戒された急激な円高進行は起きていません。原油価格や日米の長期金利も静かで、中国・上海総合指数は56.14ポイント高の3,878.42と1.47%上昇しました。アジアが総崩れしたわけではない点は押さえておくべきでしょう。

この「落ち着き」は市場心理の指標にも表れています。日経平均VIは3.29ポイント(9.95%)低下の29.78。株価が下落した日にボラティリティ指数が1割近く下がるのは、市場が本日の下げを危機と見ていない証拠です。しかも平常レンジとされる20〜30に、7月下旬以来ようやく回帰しました。米国のVIX指数も15.83と低位安定です。

セクター・個別銘柄の動き

売られたセクター・銘柄

本日の下落を作ったのは、ほぼAI・半導体関連の一群に限られます。業種別では、これらが多く属する非鉄金属の下げが目立ちました。前日まで2日連続で上昇率トップだったセクターが、そのまま反転した形です。

個別で最も激しかったのはキオクシアホールディングス(285A)と太陽誘電(6976)の急落です。キオクシアは前述のサンディスク時間外安が直撃し、太陽誘電とともに値下がり率上位に並びました。

指数への影響という点では、東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、ソフトバンクグループ(9984)の下落が効いています。この3銘柄はいずれも株価が高く、日経平均への寄与度が大きい銘柄です。前日にアドバンテストが約656円、ソフトバンクGが約587円の押し上げ役だったことを思い出せば、その反動の重さが分かります。フジクラ(5803)、イビデン(4062)、TDK(6762)、ディスコ(6146)も安く、前日の主役がそろって売られました。

中小型でも半導体・電子部品関連に売りが広がり、日東紡績(3110)、山一電機(6941)、タツモ(6266)、ステラ ケミファ(4109)、東京応化工業(4186)、UACJ(5741)が大きく売られています。ストップ安は5銘柄でした。

ただし、繰り返しになりますが値下がりはプライム全体で401銘柄、全体の26%にすぎません。売られたのは「半導体・電子部品というテーマ」であって、日本株全体ではありませんでした。

買われたセクター・銘柄

上昇した業種は繊維製品、医薬品、食料品、卸売業などです。この顔ぶれには明確な共通点があります。いずれも内需・ディフェンシブ寄りで、AI相場の主役から最も遠いセクターだということです。半導体から降りた資金が、そのまま隣に移った——本日の資金の流れは、それだけシンプルでした。

個別ではバンダイナムコホールディングス(7832)、オムロン(6645)、キッコーマン(2801)、花王(4452)が大幅高となりました。いずれも決算を材料にした動きです。バンダイナムコHDは上期経常を一転18%増益に上方修正し、2期ぶりの最高益更新見通しを示しています。

指数の下支えとして重要だったのがファーストリテイリング(9983)の堅調です。同社は日経平均で最大級の寄与度を持つ銘柄ですから、ここが崩れなかったことが下げ幅を抑えた面は小さくありません。前日は逆に約147円の押し下げ役でした。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)もしっかりで、メガバンクは前日に続き底堅く推移しています。

このほか豊田通商(8015)、アステラス製薬(4503)、メルカリ(4385)が高く、インテリジェント ウェイブ(4847)は値を飛ばしました。ストップ高は4銘柄です。

商いは前日から減少しました。東証プライムの売買代金は約9兆6,880億円で、前日の約10兆9,236億円から1兆2,356億円ほど減っています。売買高も約26億7,117万株と、前日の約27億8,122万株から減少しました。下げた日に商いが細った——これは売り圧力が限定的だったことを示す、下値の堅さの傍証です。パニック的な投げ売りが出た日は、通常もっと商いが膨らみます。

テクニカル分析

トレンド

本日の日足は実体212円74銭の小陰線に、741円19銭の長い下ヒゲが付いた形です。下ヒゲが実体の3.5倍という比率で、下値では強い買いが入ったことを示す足型になりました。7月28日以降に何度か現れた「長い下ヒゲ」のパターンが再登場した格好です。

移動平均線との位置関係では、明暗が分かれました。まず失ったものから見ます。25日移動平均線は6万6,093円77銭で、本日の終値はこれを410円51銭(0.62%)下回りました。前日は25日線をわずか15円上回って引けていましたから、その上抜けは1日で否定されたことになります。13週移動平均線6万6,261円25銭にも578円届いていません。

一方、守ったものもあります。75日移動平均線は6万5,214円24銭で、本日の終値はこれを469円02銭(0.72%)上回って引けました。前日に突破したばかりの中期線を、終値ベースでは維持した形です。もっとも安値6万4,942円07銭の時点では75日線を割り込んでおり、日中は一度失って、引けまでに取り返したというのが正確な描写になります。

そして本日、テクニカル上で最も注目すべき事実がここにあります。一目均衡表の雲下限(先行スパン)は6万4,920円96銭。本日の安値6万4,942円07銭は、この雲下限のわずか21円11銭上で止まりました。1,358円下げた後の底が、雲下限の21円手前——偶然と呼ぶには近すぎる一致です。この水準が意識されている可能性は高いと考えられます。

中期の位置も確認しておきます。本日終値は7月1日の終値7万474円96銭から4,791円70銭(6.80%)安。前日の5.92%安から悪化しましたが、7月28日の急落局面と比べれば大きく戻した水準です。200日移動平均線は5万7,311円77銭と14.61%も下方にあり、長期の上昇トレンド自体は揺らいでいません

サポートとレジスタンス

以下の水準は、確定日足300本から算出した8月6日終値時点の計算値です。

  • 第1サポート: 6万5,214円 — 75日移動平均線。終値の469円下です。本日は日中に一度割り込んで引けまでに回復しました。終値で明確に下回ると、前日の突破が帳消しになります。
  • 第2サポート: 6万4,942円〜6万4,921円 — 本日の安値と一目均衡表の雲下限が重なる帯です。本日の下げが止まった実績のある水準で、当面の最重要ラインと考えられます。
  • 第3サポート: 6万4,812円 — 5日移動平均線。終値の871円下にあります。さらに下には25日ボリンジャーバンド-1σの6万3,783円が控えます。
  • 第1レジスタンス: 6万6,094円 — 25日移動平均線。終値の411円上で、本日割り込んだばかりの水準です。ここを終値で回復できるかが最初の関門になります。
  • 第2レジスタンス: 6万6,206円〜6万6,261円 — 一目均衡表の基準線(日足)と13週移動平均線が重なる帯です。25日線のすぐ上に位置し、6万6,100円〜6万6,300円が厚い抵抗帯を形成しています。前日の高値6万6,302円もこの上端付近です。
  • 第3レジスタンス: 6万8,404円〜6万8,999円 — 25日ボリンジャーバンド+1σと一目均衡表の雲上限(日足)が重なる帯で、約2,700円上にあります。

オシレーターと移動平均

オシレーターは、本日の下落にもかかわらずむしろ改善した項目があります。最も明確なのがMACDです。MACDは-806.59、シグナルは-916.76で、ヒストグラムは+110.17とプラスに転じました。前日は-13.70でしたから、本日MACDがシグナルを上抜けるゴールデンクロスが成立したことになります。ただしMACD本体はまだゼロラインを大きく下回っており、これは「下降局面の底打ち初期」に現れる典型的なパターンです。買いシグナルとしては初期段階と見るべきでしょう。

RSI(14日)は50.05で、前日の51.99からわずかに低下しました。ちょうど中立の50という位置で、買われ過ぎ(70以上)にも売られ過ぎ(30以下)にも当たりません。9日ベースでも52.73と中立圏です。方向性を判断できる材料はRSIからは得られない——それが正直な読み方です。

ストキャスティクスはやや高い位置にあります。ファースト%K(9日)は89.42で、前日の99.96からは低下したものの依然として買われ過ぎとされる80を上回っています。一方スロー%D(9日)は66.31で、前日の52.78から上昇しました。短期の指標は過熱気味、やや遅行する指標は上昇途上という、上昇の初期から中盤にかけて典型的に見られる組み合わせです。

NT倍率(日経平均÷TOPIX)は16.19倍で、前日の16.39倍から0.20ポイント低下しました。前日の記事で「NT倍率の低下が、上昇の裾野が広がったかどうかの実質的な判定基準になる」と書きましたが、本日その条件は満たされました。ただし満たされ方は皮肉なもので、裾野が広がったのではなく、頭が下がった結果です。値がさ株の歪みが是正されたことに変わりはありませんが、指数を押し下げる形での是正でした。

ボリンジャーバンドでは、25日ベースの中心線が6万6,093円77銭、+1σが6万8,404円07銭、-1σが6万3,783円48銭です。本日終値は中心線をやや下回る位置にあり、バンド幅は依然として広い状態が続いています。日経平均VIは29.78と3.29ポイント低下し、7月下旬以来はじめて平常レンジとされる30を下回りました。日中高値は32.31、安値は29.78で、大引けにかけて低下し安値引けとなっています。

なお、本項の移動平均線・一目均衡表・ボリンジャーバンド・RSI・ストキャスティクス・MACDの各数値は、株探が公表する確定日足300本から当サイトが算出した計算値です。移動平均線については株探が公表するカイリ率と完全に一致することを確認していますが、オシレーター類は算出方法(平滑化の手法や期間設定)によってチャートツールごとに表示値が異なる場合があり、確定値ではありません。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。

市場心理

本日の市場心理を一言で表すなら「冷静な利益確定」です。前日に2,343円上げた直後ですから、売る理由としては十分でした。実際、市場では「今日の株価下落は健全な調整の範囲内」との見方が多かったと伝えられています。

その冷静さを最もよく示すのが日経平均VIの動きです。株価が617円下げた日に、VIは3.29ポイント(9.95%)も低下しました。通常、株価下落とVIは逆相関します——下げれば警戒が高まり、VIは上昇するのが普通です。それが1割近く下がった。しかも大引けにかけて低下して安値引けです。市場は本日の下げを、恐れるべき何かとは受け取らなかったということになります。

そして、7月下旬から続いた高ボラティリティ局面は、ここで一区切りついた可能性があります。VIが平常レンジの上限とされる30を下回ったのは7月下旬以来です。7月28日に2,566円安、7月29日に930円安、7月31日に2,495円高、8月5日に2,343円高——2,000円級の値動きが日常だった2週間を経て、ようやく振れ幅が収まりつつあります。

もう一つ、本日の心理を示すのが商いの減少です。売買代金は前日から1兆2,356億円減りました。下げた日に商いが細るのは、売り手が積極的ではなかったことを意味します。パニック売りが出た日の相場は、必ずと言っていいほど出来高を伴うものです。本日は「持っている人が慌てて投げた」のではなく、「短期で買った人が利益を確定した」——そう読むのが自然でしょう。

ただし、警戒すべき点もあります。好決算を出したサンディスクが売られたという事実です。これは半導体・メモリー関連の株価に、すでに相当高い期待が織り込まれていることを示唆します。良いニュースが株価を上げなくなったとき、相場は次の段階に入ります。キオクシアや太陽誘電の急落を「単なる反動」と片付けてよいかは、今後の決算反応を数日観察してから判断すべき論点です。

最後に、本日いちばん記憶しておくべき数字を挙げます。日経225の採用225銘柄のうち、171銘柄が上昇し、54銘柄が下落しました。それでも指数は617円下がりました。ニュースの見出しは「日経平均617円安」と報じますが、その日、採用銘柄の4社に3社は値上がりしていたのです。日経平均という数字が、日本株全体の温度計として万能ではないことを、本日ほど鮮明に示した日はそう多くありません。

翌営業日の注目ポイント

カレンダー: 本日8月6日(木)の翌営業日は8月7日(金)で、東京市場は通常取引です。ただし今晩から明日にかけては材料が集中します。明日の日本時間21時30分に米7月雇用統計が発表され、これは東京市場の大引け後になります。結果を織り込むのは週明け10日(月)の東京市場となるため、金曜の引けにかけてポジションを落とす動きが出やすい点にご留意ください。加えて、当面の国内祝日休場は8月11日(火)の山の日です。8月8日(土)〜9日(日)のあと10日(月)は通常取引、11日(火)が休場という飛び石の並びになります。雇用統計の結果を、週末を挟んで10日の一日だけで消化し、翌11日は休場——このスケジュールは短期のポジション管理を難しくします。決算発表は明日7日がフジクラ、川崎重工業など681社とピークを迎えます。保有銘柄の発表日程は事前の確認をおすすめします。
  • 米7月雇用統計(明日21時30分) — 市場予想は非農業部門雇用者数が前月比8万人増、失業率4.2%とされています。ただし先行指標は弱く、7月のADP雇用統計は4.4万人増と1月以来の低水準ISM非製造業の雇用指数は47.4と節目の50を割り込みました。6月分も5.7万人増と予想を大きく下回っています。下振れすれば利下げ期待から金利低下・ハイテク株高、上振れすればドル高・円安という、方向によって波及経路が変わる材料です。
  • 25日線6万6,094円の回復 — 本日410円下回った水準です。ここを終値で回復できれば、本日の下げは前日急騰の反動の範囲内と確認できます。逆に届かない日が続けば、25日線が上値抵抗として機能し始めます。
  • 75日線6万5,214円と雲下限6万4,921円の維持 — 本日の安値は雲下限のわずか21円上で止まりました。この2本の間(約290円の帯)が、下値の最終防衛ラインです。終値でこの帯を割り込むと、7月末からの戻り相場のシナリオを見直す必要が出てきます。
  • キオクシア・太陽誘電など半導体株の反応 — 本日の下げの主因です。好決算を出したサンディスクが売られたという米国の反応が一時的なものなのか、それとも期待の織り込み過剰を示す転換点なのか。明日この一群が下げ止まれば、本日の下落は単なる反動と結論づけられます。
  • 今夜の米国市場、特にSOX指数 — 前日1.40%安と反落しました。ダウが上げてハイテクが下げるという中身の入れ替えが続くのかが焦点です。この構図が続く限り、東京市場でも日経平均よりTOPIXが優位という展開になりやすくなります。
  • 決算ピークの681社 — 明日はフジクラ、川崎重工業をはじめ681社が発表します。フジクラは本日下落した電線・AI関連の主力ですから、その内容は関連セクター全体に波及します。本日引け後には古河電気工業が今期経常を43%上方修正、JX金属が今期最終を24%上方修正し、いずれも最高益予想を上乗せしました。明日の朝は、この2社への反応から始まります
  • ドル円157円台の方向 — 本日は157円56銭〜157円85銭と極めて狭いレンジでした。雇用統計を控えて動きにくい地合いですが、結果次第では大きく振れます。介入警戒はなお残っており、急激な円高は輸出企業の重石になります。
  • 値上がり銘柄数73%が続くか — 本日の最大の収穫は、指数が下げても個別は買われたことです。決算物色による下支えが明日も続けば、相場の裾野は着実に厚くなっています。逆にこの比率が急低下すれば、本日の底堅さは一時的だったことになります。

戦略展望

本日最も重要な事実は、日経平均が617円下げた日に、採用225銘柄の76%が上昇していたことです。この一点を押さえるかどうかで、本日の相場の評価は正反対になります。指数だけを見れば反落、中身を見れば続伸——どちらも同じ日の真実です。

テクニカル面では、失ったものと守ったものが釣り合っています。失ったのは25日線(6万6,094円)と13週線(6万6,261円)、守ったのは75日線(6万5,214円)です。特筆すべきは安値6万4,942円が一目均衡表の雲下限6万4,921円の21円上でぴたりと止まったことで、下値には明確な買い手が存在していることを示しています。加えてMACDがゴールデンクロスを形成しました。下げた日にテクニカルが改善するという、やや珍しい組み合わせです。

上昇の質という観点では、本日は前日より良好だったとさえ言えます。前日は「2,343円高だが上げ幅の72%を4銘柄が稼いだ」相場でした。本日は「617円安だが73%の銘柄が上昇し、TOPIXはプラス」です。NT倍率は16.39倍から16.19倍へ低下し、値がさ株偏重の歪みは実際に縮まりました。指数のパフォーマンスと、投資家の平均的な体感は、本日に関しては後者のほうが良かったはずです。

投資判断としては、自分のポートフォリオが本日どちらに属したかを確認することが出発点になります。半導体・電子部品に集中していれば本日は厳しい一日でしたし、内需・ディフェンシブや決算好調銘柄を持っていれば、日経平均の下落とは無縁だったはずです。「日経平均が下がったから自分も負けた」と考える必要は、本日に限ってはありません

リスク側で最も注意すべきは、明日の米雇用統計が東京市場の大引け後に発表されるという時間差です。金曜の引けにかけては、結果を見ずに週末を越えたくない資金がポジションを落とす可能性があります。しかも週明け10日(月)の翌日、11日(火)は山の日で休場です。雇用統計の消化に使える東京市場は、実質10日の一日だけ——このカレンダーの窮屈さは、短期の値動きを荒くする要因になり得ます。

もう一つのリスクは、「好決算でも売られる」現象です。米サンディスクの時間外安がキオクシアの急落を招いたように、期待が株価に織り込まれ過ぎた銘柄は、良い決算を出しても報われません。明日は681社が決算を発表するピークです。保有銘柄が「良い決算を出せば上がる」状態にあるのか、それとも「すでに織り込み済み」なのか——この見極めが、今週末から来週にかけての損益を分けます。

最後に、いつもの確認です。本日、日経平均は0.93%下落しました。しかしTOPIXは0.24%上昇し、プライムの73%の銘柄が値上がりしました。ニュースの見出しは前者だけを報じます。指数の数字ではなく、自分の資産の実際の変動率で相場を測る——下落と報じられた日にこそ、この習慣は事実を正しく見せてくれます。本日、多くの投資家の資産は、おそらく増えていました。

チャート

日経225 (INDEX:NKY)

米ドル/円 (FX:USDJPY)

S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)

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