昨日263円08銭押し下げた1銘柄が、今日は159円30銭押し上げました。日経平均は273円58銭高の6万6,405円56銭と反発し、アドバンテスト1銘柄のプラス寄与159円30銭は、上げ幅273円58銭の58.2%にあたります。ただし本日の主役は、その1銘柄ではありません。東証プライムの値上がり銘柄数は873、日経平均225銘柄でも146銘柄が上昇、東証33業種のうち18業種が上昇——TOPIXは29.49ポイント(0.72%)高の4,146.71と7日続伸し、上昇率は日経平均の0.41%を0.31ポイント上回りました。物色の裾野は、指数の見た目より確実に広がっています。一方で上値は重いままでした。高値6万6,842円82銭は前日比710円84銭高でしたが、そこから437円26銭を戻して引け、75日移動平均線6万6,457円22銭には51円65銭届きませんでした。場中に75日線を上回りながら終値で下回るのは、これで3営業日連続です。
そして本日の商いは、久しぶりに8兆円台を回復しました。東証プライムの売買代金概算は8兆1,223億円——27日の約7兆8,700億円から約2,523億円(3.2%)増加し、4営業日続いた8兆円割れが止まりました。売買高も約21億7,795万株と、27日の約19億6,156万株から約2億1,639万株(11.0%)増加しています。ここで注目したいのは、昨日と伸びの構造が逆になっていることです。27日は金額が17.4%増えたのに株数は5.8%しか増えず、値がさ株への集中を示していました。本日は金額+3.2%に対し株数+11.0%と、株数の伸びが金額を7.8ポイント上回っています——単価の低い銘柄にも買いが回った、つまり物色が広がったことを、売買代金と売買高の伸びの差そのものが示しています。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,405.56円 | +273.58円 (+0.41%) 反発 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 66,842.82 / 66,012.20 | 始値 66,104.49円 (値幅830.62円・実体301.07円の陽線) |
| 日経平均 上ヒゲ / 下ヒゲ | 437.26円 / 92.29円 | 上ヒゲは実体の1.45倍。値幅の52.6%を上ヒゲが占める |
| 日経平均 一時の上げ幅 | +710.84円 | 高値時点。大引け報道の「一時700円を超える値上がり」と一致 |
| 高値から終値までの押し戻し | -437.26円 | 上げ幅710.84円の61.5%を終値までに失った |
| 日経平均 一時の下げ幅 | -119.77円 | 安値時点。前日終値を割ったのは限定的で下値は堅い |
| 日経平均 寄り付きのギャップ | -27.48円 (-0.04%) | 始値66,104.49円。米株高の割に寄り付きは慎重 |
| TOPIX | 4,146.71 | +29.49 (+0.72%) 7日続伸 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,162.36 / 4,114.38 | 始値 4,116.82 (値幅47.98・1.16%) |
| TOPIXと日経平均の上昇率差 | 0.31ポイント | TOPIX+0.72%に対し日経平均+0.41%。広がりはTOPIX優位 |
| NT倍率 | 16.014倍 | 前日16.062倍から0.048低下。2営業日連続の低下 |
| 東証グロース市場250指数 | 823.16 | +25.20 (+3.16%) 小型株に強い買い |
| NYダウ (8/27終値) | 53,569.44 | +105.56 (+0.20%) 反発 |
| S&P 500 (8/27終値) | 7,730.99 | +55.29 (+0.72%) 反発 |
| ナスダック総合 (8/27終値) | 26,541.35 | +411.16 (+1.57%) 3指数で最も強い |
| SOX指数 (8/27終値) | 11,882.17 | +270.93 (+2.33%) 3日続伸。本日の東京市場の起点 |
| 米VIX指数 (8/27終値) | 14.51 | -0.70 (-4.60%) 4営業日連続の低下で15割れ |
| 米10年債利回り (8/27終値) | 4.67%前後 | 26日の4.66%から約1bp上昇 |
| 台湾加権指数 | 46,331.45 | +356.23 (+0.77%) 4日続伸。半導体高が波及 |
| 香港ハンセン指数 | 25,591.75 | +26.01 (+0.10%) 小幅高 |
| 上海総合指数 | 3,952.18 | -4.39 (-0.11%) 小幅安。3,950台は維持 |
| 韓国KOSPI | 6,788.88 | -123.49 (-1.79%) 4日ぶり反落。アジアで唯一の大幅安 |
| 米ドル/円 | 159円48銭前後 | +10銭 (16時23分時点)。159円台半ばで小動き |
| 東証プライム 売買代金 | 約8兆1,223億円 | 27日の約7兆8,700億円から約2,523億円 (3.2%) 増 |
| 売買代金の水準 | 4営業日ぶりに8兆円台を回復 | 8月19日以来の8兆円台。商いは細っていない |
| 東証プライム 売買高 | 約21億7,795万株 | 27日の約19億6,156万株から約2億1,639万株 (11.0%) 増 |
| 株数と金額の伸びの差 | 7.8ポイント | 株数+11.0%に対し代金+3.2%。27日とは逆で裾野が拡大 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 873銘柄 / 631銘柄 | 値上がりは約58%。27日の712銘柄から161銘柄増 |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 146銘柄 / 74銘柄 (変わらず5) | 値上がりは65%。27日の106銘柄から40銘柄増 |
| 東証33業種 上昇/下落 | 18業種 / 15業種 | 27日の15業種上昇・18業種下落からちょうど逆転 |
| 業種別 上昇率上位 | サービス業 +2.89% | 以下 海運業+2.13%、その他製品+2.08%、証券・商品+1.71% |
| 業種別 上昇率6〜11位 | 銀行業 +1.54% | 以下 輸送用機器+1.25%、電気機器+0.90%、情報・通信業+0.89% |
| 業種別 下落率上位 | 非鉄金属 | 以下 ガラス・土石、その他金融業、水産・農林業、ゴム製品 |
| 最大のプラス寄与 | アドバンテスト | 1銘柄で日経平均を159円30銭押し上げ (660円高の35,270円) |
| アドバンテストの寄与比率 | 上げ幅の58.2% | 159.30円 ÷ 273.58円。1銘柄で上げ幅の約6割を説明 |
| アドバンテストの2営業日の振れ | 422円38銭 | 27日は-263.08円、28日は+159.30円と符号が反転 |
| プラス寄与 2位 | リクルートHD +83.47円 | 830円高の17,800円 (+4.89%)。上位10社で最大の上昇率 |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | 約+301円77銭 | アドテスト・リクルート・東エレク・コナミG・TDK |
| プラス寄与5銘柄と上げ幅の関係 | 上げ幅の1.10倍 | 301.77円 ÷ 273.58円。5銘柄だけで上げ幅を超過 |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | 約-219円 | キオクシア・フジクラ・SBG・イビデン・ファストリ |
| 最大のマイナス寄与 | キオクシアホールディングス | 4,600円安の47,900円 (-8.76%)。5兆円投資計画公表も売り |
| ストップ高 / ストップ安 | 14銘柄 / 0銘柄 | 引け時点。ストップ安ゼロは投資家心理の改善を示す |
| 日経平均 5日線からの距離 | +368.72円 (+0.56%) | 5日線 66,036.84。27日の+172.97円から拡大 |
| 日経平均 25日線からの乖離 | +1.18% | 25日線 65,632.61。27日の+0.76%から0.42ポイント拡大 |
| 日経平均 75日線との差 | -51.65円 (-0.08%) | 75日線 66,457.22。6営業日連続で終値が下回るが差は最小 |
| 高値と75日線の関係 | +385.60円 | 高値66,842.82では上回った。場中の上抜けは3営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +13.28% | 200日線 58,619.53。長期の上昇基調は崩れていない |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 66,903.95 / 下限 66,061.99 | 終値は下限を343.57円上回り、雲の中を維持 |
| 雲の上限までの距離 | -498.39円 (-0.75%) | 上限を終値で超えれば雲を上抜け。本日の値幅830円の6割 |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 66,851.34 / 65,028.57 | 終値は転換線を445.78円下回り、基準線を1,376.99円上回る |
| 日経平均 RSI (14日) | 50.5 | 27日の49.3から1.2ポイント上昇。中立圏の50を回復 |
| 日経平均 MACD / シグナル | -3.9 / 11.7 | ヒストグラムは-15.5。27日の-31.4から半減し改善 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -6,426.17円 (-8.82%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。27日の-9.20%から縮小 |
| 7月29日安値からの戻り | +5,956.66円 (+9.85%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。27日の+9.40%から拡大 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料は、3つに整理できます。(1)エヌビディアの好決算を米国市場が評価したこと、(2)今晩のジャクソンホール会議でのウォーシュFRB議長の講演、(3)キオクシアの急落——このうち(1)が朝の700円高を作り、(2)が上値を抑え、(3)が指数の足を引っ張ったというのが本日の構造です。順に見ていきます。
まず米国市場の評価です。27日の米国市場では、NYダウが105ドル56セント(0.20%)高の5万3,569ドル44セントと反発しました。より重要なのは指数間の差です——ナスダック総合は411.16ポイント(1.57%)高、SOX指数は270.93ポイント(2.33%)高と、ハイテク・半導体に買いが集中しました。ここが27日の東京市場との決定的な違いです。27日の東京では、エヌビディアの好決算が出た瞬間に売られる「材料出尽くし」が起き、アドバンテストは1,090円安でした。ところが同じ材料を、同じ日の米国市場は素直に買った——東京が先に売り切っていたぶん、本日は買い戻す番が回ってきたという順序です。大引け報道も、好決算を発表したエヌビディアとセールスフォースが買われ指数を押し上げた、と伝えています。
次に上値を抑えた要因です。今晩、米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が予定されています。大引け報道は「買い一巡後は様子見姿勢も強まるなか、日経平均はやや伸び悩んだ」と要約しました。金融政策の方向性を左右しうるイベントを数時間後に控えて、ポジションを積み増しにくい——これは高値6万6,842円82銭から437円26銭を戻して引けた値動きと、整合的です。ソフトバンクグループが後場にマイナス圏へ転じたのも、この時間帯の慎重姿勢を映しています。
三つめがキオクシアホールディングスの急落です。同社は4,600円(8.76%)安の4万7,900円と大きく売られ、本日の最大のマイナス寄与となりました。材料は悪材料ではありません——大引け報道によれば、サンディスクと2032年まで5兆円規模の投資計画を公表しています。それでも利益確定売りが優勢になりました。27日にはこの銘柄が2,500円高で最大のプラス寄与だったことを思い出してください——2営業日で買われ方と売られ方が完全に反転しており、AI・半導体関連の物色が日替わりで振れている実態がここにも表れています。フジクラ(2.91%安)、イビデン(1.80%安)、ディスコ、古河電気工業といった同じ系統の銘柄がそろって安かったことも、この見方を補強します。
アジア市場では、韓国KOSPIの下落が目立ちました。台湾加権指数が356.23ポイント(0.77%)高、香港ハンセン指数が26.01ポイント(0.10%)高、上海総合指数が4.39ポイント(0.11%)安とおおむね小動きだったのに対し、KOSPIは123.49ポイント(1.79%)安と4営業日ぶりに大きく反落しています。27日にアジアで最も強かった市場(1.53%高)が、翌日には最も弱い市場になった——半導体比率の高い市場ほど、日替わりの振れが大きくなっているという点で、東京のキオクシアやアドバンテストの動きと同じ現象と読めます。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
東証33業種のうち18業種が上昇し、27日の15業種上昇・18業種下落からちょうど逆転しました。上昇率トップはサービス業の2.89%高で、2位以下は海運業2.13%高、その他製品2.08%高、証券・商品1.71%高、銀行業1.54%高と続きます。ここで注目すべきは、上位5業種の顔ぶれに半導体の主戦場である電気機器が入っていないことです。電気機器は0.90%高で7位——本日の上昇は「半導体だけの相場」ではなく、内需・金融・輸送用機器(1.25%高)まで含めた広い買いでした。
- アドバンテスト: 660円(1.91%)高の3万5,270円。1銘柄で日経平均を159円30銭押し上げ、上げ幅273円58銭の58.2%を占める。27日の263円08銭の押し下げから反転
- リクルートホールディングス: 830円(4.89%)高の1万7,800円。プラス寄与83円47銭で2位。サービス業がトップ業種となった主因のひとつ
- ソフトウエア関連: 富士通が151円(4.02%)高の3,904円、NECが173円(3.65%)高の4,908円、野村総合研究所が220円(4.36%)高の5,266円。3社そろって日経平均の上昇率0.41%を大きく上回る
- 東京エレクトロン: 230円(0.41%)高の5万6,230円。プラス寄与23円13銭で3位だが、上昇率は指数と同じ水準にとどまる
- コナミグループ・TDK: コナミGが545円(2.51%)高の2万2,280円で寄与18円27銭、TDKが35円(1.14%)高の3,112円で寄与17円60銭
- メガバンク: 三菱UFJフィナンシャル・グループが50円(1.39%)高の3,658円。三井住友フィナンシャルグループとともに上昇し、銀行業の1.54%高に寄与
- その他: 太陽誘電が344円(3.87%)高、KDDIが41円50銭(1.44%)高で寄与16円69銭、任天堂が265円(3.04%)高、ソニーグループが58円(1.50%)高、ホンダが40円(2.41%)高
プラス寄与上位5銘柄の合計は約301円77銭で、上げ幅273円58銭の1.10倍です。5銘柄だけで上げ幅を超えている——これは残り220銘柄が差し引きでマイナスだったことを意味しますが、値上がり銘柄数が146と全体の65%を占めていた事実と矛盾はしません。値がさ株の一部が大きく下げ、多数の中位・下位銘柄が小幅に上げたという構図です。
売られたセクター・銘柄
下落したのは15業種で、下落率上位は非鉄金属、ガラス・土石、その他金融業、水産・農林業、ゴム製品の順でした。27日に上昇率トップだった非鉄金属(1.54%高)が、本日は下落率トップに転じています。
- キオクシアホールディングス: 4,600円(8.76%)安の4万7,900円。本日の最大のマイナス寄与。サンディスクとの2032年まで5兆円投資計画を公表するも利益確定売りが優勢。27日は2,500円高で最大のプラス寄与だった
- フジクラ: 160円(2.91%)安の5,340円。マイナス寄与2位
- ソフトバンクグループ: 39円(0.75%)安の5,161円。後場に入ってマイナス圏へ転じた点が、様子見姿勢の強まりを象徴
- イビデン: 370円(1.80%)安の2万175円。ディスコ、古河電気工業も軟調
- ファーストリテイリング: 280円(0.39%)安の7万1,260円。下落率は小さいが値がさのためマイナス寄与上位に入る
- 内需・小売: セブン&アイ・ホールディングスが軟調。値下がり率上位には松屋、コジマ、チヨダが並び、小売・アパレルの一角が売られた
- その他: HOYA、オリックスが下落。トレジャー・ファクトリーは子会社ECサイトからの個人情報漏洩を嫌気
マイナス寄与上位5銘柄の合計は約219円で、プラス寄与上位5銘柄の約302円との差は約83円です。本日の上げ幅273円58銭は、この上位10銘柄の差し引き約83円に、残り215銘柄の積み上げ約191円が加わって出来た数字——27日のように1〜2銘柄で説明が終わる相場ではなくなっています。
テクニカル分析
トレンド
本日の最大の論点は、75日移動平均線6万6,457円22銭です。終値6万6,405円56銭との差は、わずか51円65銭(0.08%)——本日の値幅830円62銭の16分の1です。ここには明確なパターンがあります。26日は高値が75日線を72円10銭上回りながら終値は108円09銭下、27日は高値が539円25銭上回りながら終値は283円46銭下、そして本日は高値が385円60銭上回りながら終値は51円65銭下——3営業日連続で、場中に75日線を上抜けながら終値で押し戻されています。ただし終値ベースの差は108円→283円→52円と、本日が3日間で最小です。終値が75日線を下回るのは8月21日から6営業日連続ですが、距離は着実に詰まっていると評価できます。
短中期線は良好です。5日線6万6,036円84銭を368円72銭(0.56%)上回り、25日線6万5,632円61銭を772円96銭(1.18%)上回りました。25日線からの乖離は27日の0.76%から0.42ポイント拡大しています。200日線5万8,619円53銭に対しては13.28%上で、長期の上昇基調そのものは崩れていません。つまり本日時点の日経平均は、5日線・25日線・200日線の3本を上回り、75日線1本だけを51円65銭下回っている状態です。この1本を終値で回復できるかが、来週の最初の関門になります。
一目均衡表では、雲の中を維持しました。雲の上限6万6,903円95銭、下限6万6,061円99銭に対し、終値は下限を343円57銭上回り、上限には498円39銭届いていません。27日は下限との余裕が69円99銭しかなく、記事で「翌営業日の寄り付き次第で簡単に消える距離」と書きましたが、本日は安値6万6,012円20銭でも下限をわずか49円79銭下回っただけで、終値では343円57銭まで余裕を回復しています。転換線6万6,851円34銭は終値の445円78銭上、基準線6万5,028円57銭は1,376円99銭下——転換線が基準線を大きく上回る好転状態は続いており、雲の上限と転換線がほぼ同じ6万6,850〜6万6,900円台に重なっている点は、上値の抵抗帯として意識しておきたいところです。
サポート・レジスタンス
- レジスタンス(1) 6万6,457円22銭: 75日線。終値からわずか0.08%上。3営業日連続で場中に上抜けながら終値で守れていない水準
- レジスタンス(2) 6万6,842円82銭: 本日の高値。雲の上限6万6,903円95銭・転換線6万6,851円34銭とほぼ重なる強い抵抗帯
- レジスタンス(3) 6万6,954円69銭: 27日の高値。ここを超えると6万7,000円の節目が視野に入る
- サポート(1) 6万6,061円99銭: 雲の下限。終値から343円57銭(0.52%)下。本日の安値でも一時割り込んだが終値では回復
- サポート(2) 6万6,036円84銭: 5日線。雲の下限とわずか25円15銭差で重なり、6万6,000円近辺が厚いサポート帯を形成
- サポート(3) 6万5,632円61銭: 25日線。終値から772円96銭(1.16%)下
整理すると、上は51円先に75日線、437円先に本日高値と雲の上限が重なる抵抗帯、下は344円先に雲の下限と5日線が重なるサポート帯です。上下の抵抗が近接しており、どちらかを終値で明確に抜けるまでは方向感が出にくい——本日の上ヒゲ437円26銭は、まさにこの上側の抵抗帯に跳ね返された跡と読めます。
オシレーター
RSI(14日)は50.5で、27日の49.3から1.2ポイント上昇し、中立の50をわずかに回復しました。買われすぎ(70以上)にも売られすぎ(30以下)にも遠く、過熱感は皆無です。52週高値から8.82%下、7月29日の直近安値から9.85%上という位置と合わせると、日経平均はいま高値と安値のほぼ中間で足踏みしていると表現できます。
MACDは-3.9、シグナルは11.7で、ヒストグラムは-15.5です。MACDがシグナルを下回るデッドクロス状態は続いていますが、ヒストグラムは27日の-31.4から半分以下に縮小しました。MACD本体も-15.9から-3.9へと、ゼロラインまで4円弱の距離まで戻しています。下降モメンタムが弱まっている局面であり、あと1〜2営業日、本日程度の上昇が続けばゴールデンクロスが視野に入る——ただし現時点ではまだ好転していないという、判断を保留すべき状態です。
市場心理
本日の投資家心理は、指数の上げ幅が示すより明確に改善しています。根拠は4つあります。
- 騰落銘柄数: 東証プライムの値上がり873に対し値下がり631。値上がり比率は約58%で、27日の712対769(約48%)から10ポイント改善
- ストップ安ゼロ: ストップ高14銘柄に対しストップ安は0銘柄。27日はストップ高10・ストップ安3で、投げ売りが出た銘柄が1つもなかった
- 小型株の強さ: 東証グロース市場250指数は25.20ポイント(3.16%)高の823.16。日経平均の0.41%高を大きく上回り、リスクを取る動きが戻っている
- 米VIX指数: 27日終値は14.51で4営業日連続の低下。15を明確に割り込み、恐怖指数は落ち着いた水準
一方で、慎重さも同時に読み取れます。寄り付きが27円48銭のギャップダウンだった点は見逃せません——前夜の米国市場でナスダックが1.57%高、SOXが2.33%高となったにもかかわらず、東京市場は前日終値をわずかに下回って始まりました。27日に「好決算でも売られる」経験をした直後だけに、寄り付きから飛びつく参加者は少なかったということでしょう。その後710円84銭高まで買い上げられ、最終的に437円26銭を戻して引けた——強気と慎重さが1日のうちに両方出た、方向感を探る局面らしい値動きです。
NT倍率の低下も、心理を読むうえで重要です。16.062倍から16.014倍へ0.048低下し、2営業日連続で低下しました。日経平均に偏った値がさ主導の相場から、TOPIX型の幅広い物色へ資金がシフトしていることを示します。TOPIXの7日続伸は、その最もわかりやすい証拠です。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は8月31日(月)——8月最終営業日であり、月末特有の需給が加わります。週末を挟むため、まず確認すべきは今晩から週明けにかけての海外市場です。
- 今晩のジャクソンホール会議・ウォーシュFRB議長の講演: 本日の上値を抑えた最大の要因。週明けの東京市場は、この講演への米国市場の反応をまとめて織り込むことになります。金融政策の方向性が示されれば、為替と金利を通じて日本株にも直接影響します
- 75日線6万6,457円22銭を終値で回復できるか: 本日終値からわずか51円65銭上。3営業日連続で場中に上抜けながら終値で守れていない水準で、ここを終値で上回れば、8月19日以降のもみ合いを上放れる形になります
- 雲の下限6万6,061円99銭と5日線6万6,036円84銭: 25円15銭差で重なる下値の要衝。この6万6,000円近辺を終値で割り込むと、8月24〜25日の水準まで下値余地が広がります
- 月末特有の需給: 機関投資家のリバランスや配当再投資に伴う売買が出やすく、実勢と異なる値動きが生じる可能性があります。値動きの解釈には注意が必要です
- AI・半導体関連の日替わりの振れ: アドバンテストは27日-263円→28日+159円、キオクシアは27日が最大のプラス寄与→28日が最大のマイナス寄与と、2営業日連続で主役銘柄の符号が反転しています。この振れが続く限り、日経平均の日々の値動きは数銘柄に左右されやすい状態が続きます
- TOPIXの連騰が8日に伸びるか: 7日続伸は物色の裾野の広がりを示す指標。ここが途切れるかどうかは、相場の底堅さを測る材料になります
戦略展望
本日の相場から読み取るべき最も重要な変化は、「1銘柄で説明できる相場」からの脱却が始まっている点です。27日はアドバンテスト1銘柄の押し下げ263円08銭が下げ幅130円18銭の2.02倍に達し、1銘柄で相場のすべてが説明できました。本日も同じ銘柄が159円30銭押し上げ、上げ幅の58.2%を占めていますが、同時に値上がり銘柄数873、上昇業種18、TOPIX7日続伸、グロース250指数3.16%高と、指数の外側で起きていることの厚みが増しました。売買代金の伸び(3.2%)より売買高の伸び(11.0%)が7.8ポイント大きかったことは、その最も端的な数字です。
ただし、上値の重さは本物です。710円84銭高まで買われながら437円26銭を戻し、75日線に51円65銭届かなかった——これで3営業日連続、場中の上抜けが終値で維持できていません。雲の上限6万6,903円95銭と転換線6万6,851円34銭、そして本日の高値6万6,842円82銭が、6万6,850〜6万6,900円台に密集しています。この60円幅の帯を終値で突破できるかどうかが、8月のもみ合いを抜けられるかの分水嶺です。
したがって、当面の判断基準はシンプルに2つの水準に絞れます。上は75日線6万6,457円22銭——ここを終値で回復すれば、6万6,850〜6万6,900円台の抵抗帯への再挑戦が現実味を帯びます。下は雲の下限6万6,061円99銭と5日線6万6,036円84銭が重なる6万6,000円近辺——ここを終値で割り込めば、25日線6万5,632円61銭までの下値余地を意識する必要があります。この上52円・下344円という、値幅の狭さも認識しておくべきでしょう——本日の値幅830円62銭を考えれば、どちらの水準も1日で到達しうる距離です。
そして、その判断を左右する最大の変数は、今晩のジャクソンホール会議です。本日の東京市場が上値を追いきれなかった理由が「今晩のイベント待ち」である以上、週明けの寄り付きは、その答え合わせから始まります。27日に「好決算でも売る」東京市場が、28日には米国の素直な評価を受けて買い戻した——この2日間が示したのは、いまの相場が自前の材料ではなく海外発の材料で動いているという事実です。RSI50.5、MACDのヒストグラムが-31.4から-15.5へ半減という中立かつ改善方向のオシレーターは、どちらに転んでも大きく動ける余地があることを意味します。方向が決まっていないときに無理に方向を当てにいく必要はなく、75日線と6万6,000円という2本の線のどちらを終値で抜けたかを確認してから動いても遅くない——それが本日の値動きから導かれる、最も無理のない結論です。
チャート
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