先週末に「介入らしき動き」と書いた出来事に、今朝、正式な名前が付きました。片山財務相が日米協調介入の実施を表明——2011年の東日本大震災以来のことです。円は一時1ドル155円20銭付近まで急騰し、日経平均は前場に1,658円安まで叩かれました。ところが終値は607円安。下げ幅の6割超を後場に取り戻しています。一方で東証プライムの値下がりは1,060銘柄、全体の約7割。「指数は0.94%安」という数字だけでは、この日は語れません。
本日の相場概況
8月3日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反落し、前週末比607円12銭(0.94%)安の6万3,754円90銭で取引を終えました。前週末31日に2,494円59銭高と急伸した反動に加え、朝方に伝わった日米協調介入の正式表明で円が急騰したことが、輸出関連株を直撃しました。
値動きの経路が、この日のすべてを説明します。寄り付きは6万3,834円95銭と前週末比527円07銭安でスタート。そこから売りが加速し、安値6万2,703円47銭まで下押しました。前週末終値からの下落幅は1,658円55銭です。前引けの時点でも1,121円51銭安の6万3,240円51銭と、1,000円超の下げを抱えたままでした。
ところが後場に入ると、様相が変わります。円相場が155円台前半から156円台へ押し戻されるにつれ、株価も戻り歩調に転じました。終値は安値から1,051円43銭戻した6万3,754円90銭。下げ幅の実に63%を場中に取り返した計算になります。日中値幅は高値6万3,905円12銭から安値までの1,201円65銭でした。
ローソク足の形は覚えておく価値があります。始値6万3,834円95銭に対し終値は6万3,754円90銭ですから、実体はわずか80円の小さな陰線。一方で下ヒゲは1,051円、上ヒゲは70円。実体の13倍の長さの下ヒゲを持つ、教科書どおりのカラカサ(ハンマー)型です。急落局面の底で出れば反転のサインとされる形が、介入表明という強烈な悪材料の日に出た——ここが本日の最大の論点になります。
ただし、指数の外を見ると評価は一段と辛くなります。東証プライムでは値上がり464銘柄に対し値下がりは1,060銘柄、変わらずが33銘柄。全体の約7割が下落しています。業種別でも33業種中28業種が下落。TOPIXは1.08%安の3,960.03と、日経平均の0.94%安より下げがきつく、4,000の大台を1営業日で割り込みました。指数の下げ幅は、市場全体の傷の深さを表現しきれていません。先週末は「値下がり922銘柄でも4%高」でした。向きは逆になりましたが、指数と実態が乖離するという構図そのものは、これで8営業日続いています。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 63,754.90円 | -607.12円 (-0.94%) |
| 日経平均 高値 / 安値 | 63,905.12 / 62,703.47 | 始値 63,834.95円 (値幅1,202円) |
| 日経平均 前引け | 63,240.51円 | -1,121.51円 (前場は1,658円安まで) |
| TOPIX | 3,960.03 | -43.27 (-1.08%) |
| NYダウ (7/31終値) | 52,485.03 | +276.97 (+0.53%) |
| S&P 500 (7/31終値) | 7,489.72 | +52.09 (+0.70%) |
| ナスダック総合 (7/31終値) | 25,373.85 | +251.68 (+1.00%) |
| SOX指数 (7/31終値) | 11,311.08 | +8.09 (+0.07%) |
| 米ドル/円 | 156円60銭前後 | 一時155円22銭 (5月上旬以来の円高) |
| 東証プライム 売買代金 | 約11兆7,886億円 | 前週末の約10兆1,100億円から増加 |
| 東証プライム 売買高 | 約28億2,409万株 | 前週末の約32億1,000万株から減少 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 464 / 1,060 | 変わらず33 (値下がりが約7割) |
| 業種別騰落 (33業種) | 上昇5 / 下落28 | 精密機器・空運が上昇、輸送用機器が下落 |
| NT倍率 | 16.10倍 | 前週末16.08倍から小幅上昇 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料は、実質的に一つです。日米協調介入——その事実確認と、市場がそれをどう値付けするかという問いに尽きます。
時系列を整理しましょう。7月30日の夜、ドル円は162円80銭台から157円94銭まで約5円急落しました。当時は「円買い介入とみられる動き」という推測にとどまり、31日の東京市場では160円70銭前後まで買い戻されています。そして本日朝、片山財務相が日米が協調して為替介入を実施したことを正式に表明しました。日米の協調介入は2011年の東日本大震災以来——15年ぶりの出来事です。
ここは「単独介入」と「協調介入」の違いを押さえる必要があります。単独介入は、日本が自国の資金だけで為替に働きかける行為です。市場参加者は「弾切れ」を計算できるため、効果は往々にして一時的にとどまります。対して協調介入は、米国が円安を容認しないという政策意思を伴います。相場の反対側に立つ主体が一国ではなくなるため、円安方向にポジションを傾ける行為そのもののリスクが構造的に上がるのです。先週末にベッセント米財務長官が「円は著しく過小評価されている」と発言していたことも、この文脈に収まります。
市場の反応は明快でした。円は一時1ドル155円20銭付近まで急騰し、5月上旬以来の円高水準を付けています。東京時間の始値157円40銭、高値157円88銭、安値155円22銭で、大引け時点は156円60銭前後。7月31日の東京時間に見た160円70銭前後からは、約4円の円高が進んだ計算になります。
この4円が、株式市場では素直に売り材料になりました。輸出企業の想定為替レートを大きく上回る円安が、日本株のバリュエーションを支えてきたのがここ数カ月の構図です。その前提が政策的に修正されるなら、業績予想の上振れ期待は後退します。トヨタ自動車やホンダといった自動車株、三井不動産や三菱地所といった不動産株が売られ、輸送用機器が業種別の下落上位に並んだのは、この一本の線で説明がつきます。
もう一つ、見落としてはいけない点があります。前週末31日の米国市場は全面高だったということです。NYダウは276ドル97セント高、S&P500は0.70%高、ナスダック総合は1.00%高。米株が上げた翌営業日に、日本株だけが下げたのです。つまり本日の下落は、世界的なリスクオフでもAIバブル崩壊でもありません。純粋に「円」という日本固有の要因で起きた下げだと切り分けられます。ただしSOX指数は+0.07%とほぼ横ばいで、前日の8.19%高のあと勢いが続かなかった点は、半導体株の支えとしては弱いままでした。
アジア市場に目を移すと、香港ハンセン指数が0.04%高、上海総合指数が0.62%安と方向感を欠いています。アジア全体が崩れたわけでもない——この日の下げが東京市場に固有のものだったことを、ここでも確認できます。
セクター・個別銘柄の動き
売られたセクター・銘柄
下落は市場のほぼ全域に及びました。33業種中28業種が下落し、値下がり銘柄は1,060。中心にいたのは、円高が直接効く輸送用機器です。トヨタ自動車(7203)、ホンダ(7267)がそろって下落し、部品メーカーにも売りが波及しました。
不動産も弱く、三井不動産(8801)、三菱地所(8802)が下げています。不動産は本来内需セクターですが、円高は海外投資家にとって日本の不動産価格の実質的な上昇を意味するため、インバウンド需要や海外マネーの流入期待という文脈では逆風になります。エネルギー(鉱業)や陸運も売られました。
ハイテクも例外ではありません。アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)、村田製作所(6981)、太陽誘電(6976)、イビデン(4062)が下落。SOX指数が前週末に横ばい(+0.07%)だったことに加え、これらは軒並みドル建て売上比率の高い企業ですから、円高がそのまま円換算の業績を目減りさせます。金融でも三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が売られ、ファナック(6954)も安値圏で引けました。
商いは活況でした。東証プライムの売買代金は約11兆7,886億円と、前週末の約10兆1,100億円から1兆6,000億円以上増加しています。一方で売買高は約28億2,409万株と、前週末の約32億1,000万株から減少しました。株数は減ったのに金額は増えた——これは値がさの主力株が大きく売買されたことを示します。介入という材料に対して、機関投資家が主力株のポジションを実際に動かした一日だったと読めます。
買われたセクター・銘柄
下落一色のなかで上昇した5業種の顔ぶれが、この日の性格をよく表しています。上位に立ったのは精密機器と空運でした。HOYA(7741)や日本航空(9201)が買われています。空運は燃料費をドル建てで支払うため、円高は明確なコスト減——教科書どおりの円高メリット銘柄です。市場は「日本株を売った」のではなく「円安で買われていたものを売り、円高で得をするものを買った」。セクターの並びは、そう読むのが自然です。
個別で最大の話題はキオクシアホールディングス(285A)でした。決算で最終利益が29倍となり、あわせて自社株買いと株式分割を発表。売買代金・売買高ともにトップクラスの商いを集めて上昇しました。AI向けメモリー需要が実際の数字として現れた格好で、指数が下げる日でも、業績で語れる銘柄には資金が入ることを示しています。
ほかにソフトバンクグループ(9984)、レーザーテック(6920)、ルネサスエレクトロニクス(6723)が上昇。決算関連では住友ベークライト(4203)が2027年3月期第1四半期の大幅増益を受けて999円高の7,512円と急騰し、MIXI(2121)は業績上方修正と増配を材料に504円高の3,400円でストップ高、上場来高値を更新しました。システムサポート(4396)も増配を受けて買われています。売買高上位にはNTT(9432)、ソフトバンク(9434)、三菱UFJが並びました。
ここで確認しておきたいのは、買われた銘柄の多くが「決算」で買われているという点です。キオクシア、住友ベークライト、MIXI、システムサポート——いずれも当日または直近の開示が理由です。マクロが売り一色の日に上げるには、個別の数字が必要だった。決算シーズンの真っ只中にあることを踏まえれば、これは今後数週間の相場の性格を示唆します。
テクニカル分析
トレンド
本日の日足は長い下ヒゲを持つ小陰線——いわゆるカラカサ(ハンマー)です。始値6万3,834円95銭に対し終値6万3,754円90銭で、実体はわずか80円05銭。対して下ヒゲは1,051円43銭、上ヒゲは70円17銭にとどまります。実体の13倍の下ヒゲという比率は、日中に売り込まれた水準がことごとく買い戻されたことを意味します。
この形が持つ意味は、文脈によって変わります。下降トレンドの底で出れば反転のサインとされますが、上昇の途中や高値圏で出れば単なる下値模索にすぎません。今回は7月28日からの急落局面のあと、31日に急反発し、その翌営業日という位置です。底入れ過程の中で出た下ヒゲと見るのが素直でしょう。
より重要なのは下値の切り上がりです。安値を並べると、7月29日が6万448円90銭、30日が6万1,049円70銭、31日が6万1,948円23銭、そして本日が6万2,703円47銭。4営業日連続で安値を切り上げています。しかも本日は日米協調介入という強い悪材料が出た日です。悪材料に対して前日安値を割らなかったという事実には、それなりの重みがあります。
一方で上値は伸びませんでした。本日の高値6万3,905円12銭は、前週末の高値6万5,364円73銭を1,459円下回ります。前週末終値の6万4,362円02銭にも届いていません。下値は切り上がったが、上値は明確に切り下がった——三角保ち合いに似た収束の形です。
中期の位置も確認しておきます。本日終値は7月1日の終値7万474円96銭から6,720円06銭(9.54%)安、急落前の7月27日終値6万4,931円19銭からも1,176円29銭下にあります。前週末の2,494円高で埋めかけた「7月28日の窓」は、本日また開き直したことになります。
サポートとレジスタンス
- 第1サポート: 6万2,757円 — 5日移動平均線(推定)。本日終値の約1,000円下にあり、押し目の第一関門です。
- 第2サポート: 6万2,703円 — 本日の安値。5日線とほぼ重なるため、この価格帯が明確な防衛ラインになります。割り込めば下値切り上げの流れが途切れます。
- 第3サポート: 6万1,948円 — 前週末31日の安値。ここまで下げると、31日の大陽線そのものが否定されます。
- 第1レジスタンス: 6万3,905円 — 本日の高値。まずはここを終値で上抜けられるかどうかです。
- 第2レジスタンス: 6万4,362円 — 前週末終値。本日開けた窓を埋める水準で、約607円上にあります。
- 第3レジスタンス: 6万6,656円前後 — 25日移動平均線(推定)。中期トレンドの分水嶺で、ここを回復するまでは「下降トレンド中の揉み合い」という位置づけが続きます。
オシレーターと移動平均
直近の終値から計算すると、5日移動平均線は6万2,757円前後と推定されます。本日の終値はこれを約998円(1.59%)上回りました。前週末は5日線を2.17%上回っていましたから、短期線の上には辛うじて留まったことになります。1日で1.6%程度の下落が起きれば5日線を割り込む位置ですから、明日以降の値動きに対する感応度は高い状態です。
25日移動平均線は6万6,656円前後と推定され、終値との乖離率はマイナス4.35%程度という計算になります。前週末のマイナス3.77%からはやや拡大しましたが、7月29日時点のマイナス9.0%と比べれば依然として改善した水準です。売られ過ぎでもなく、買われ過ぎでもない中間地帯——自律反発の力も、自律調整の圧力も、どちらも弱い位置にあります。
NT倍率(日経平均÷TOPIX)は16.10倍で、前週末の16.08倍からほぼ横ばいでした。7月29日の15.46倍からは大きく上振れたままです。本日は日経平均もTOPIXもほぼ同率で下げたため、歪みは是正も拡大もしていません。値がさハイテク偏重の構造が、高い水準で固定されたと言えます。この状態が続く限り、日経平均先物とTOPIX先物のどちらを持つかで損益は大きく変わります。
RSI(相対力指数)は前週末の急伸で中立圏まで戻したあと、本日の下落でやや低下し40台後半から50前後にとどまった公算が大きいと見られます。MACDは7月中旬以降マイナス圏での推移が続いていましたが、31日の急伸で改善が進んだ流れは本日も大きくは損なわれていないと考えられます。ただし、これら移動平均・乖離率・NT倍率以外のRSI・MACDの数値はいずれも値動きからの推定であり、確定値ではありません。移動平均線と乖離率についても終値データからの独自計算による推定値です。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら「悪材料の値付け直し」です。パニックではありませんでした。前場に1,658円安まで売られた事実だけを見れば恐怖に見えますが、その6割超を後場に取り戻し、実体80円の小陰線で引けたという値動きは、投げ売りが続かなかったことを示しています。
売買代金が約11兆7,886億円と前週末から1兆6,000億円以上増えた点も、この見立てを補強します。商いを伴って下げ、商いを伴って戻した——つまり売り手と買い手が同じ水準で正面からぶつかったということです。誰も買わずにするすると下げる「板が薄い下げ」とは性格が異なります。
ただし、楽観はできません。値下がり1,060銘柄・28業種下落という数字は、市場全体が円高を悪材料として受け止めたことを意味します。指数が0.94%安で済んだのは、キオクシアやソフトバンクグループといった一部の値がさ株が支えたからにすぎません。市場の7割が下げた日を「0.94%安」と呼ぶのは、実態の過小評価です。
ここ8営業日を並べてみましょう。23日「アドバンテスト1銘柄で約307円押し上げ」、24日「値がさ半導体総崩れで1,811円安」、27日「9割が上昇しても320円高」、28日「2銘柄で下げ幅の56%」、29日「25業種上昇・TOPIXプラスでも930円安」、30日「28業種下落でも433円高」、31日「値下がり922銘柄でも4.03%高」、そして本日「値下がり1,060銘柄で0.94%安」。8営業日連続で、日経平均は市場の実態とずれ続けています。方向は日によって逆になりますが、ずれるという性質自体は一度も途切れていません。
そして本日は、その原因が新しく一つ加わりました。為替という、企業業績とは別のレイヤーの政策変数です。協調介入は個別企業の努力ではどうにもならない外生要因であり、投資家は業績を見る前に、まず為替の方向を見なければならなくなりました。市場心理という観点では、これは判断のコストを大きく引き上げる変化です。
翌営業日の注目ポイント
- 為替が155円を再び試すか — 本日の最安値は155円22銭でした。155円割れが定着するかどうかが、輸出企業の業績予想見直しに直結します。逆に158円台へ戻すようなら、介入効果の減衰が意識され、株式市場には安心材料となります。
- 追加介入の有無と当局者発言 — 協調介入は「一度きり」なのか「継続的な枠組み」なのかが最大の未知数です。片山財務相や米財務省の追加発言に、市場は極めて敏感になっています。円高方向の窓を空けて始まるリスクは残ります。
- 6万2,703円の防衛 — 本日の安値であり、5日線推定値ともほぼ重なる水準です。ここを割り込むと4営業日続いた下値切り上げが途切れ、底入れシナリオの前提が崩れます。
- 今夜の米国市場 — 前週末は4指数そろって上昇しましたが、SOX指数は+0.07%と伸び悩みました。半導体株が再び動意づくかどうかが、値がさ主導の東京市場にとって最重要の外部材料です。
- 決算発表の後半戦 — キオクシア、住友ベークライト、MIXIのように数字で語れる銘柄は下げ相場でも買われました。逆に期待に届かない決算は容赦なく売られています。マクロが読みにくい局面ほど、個別の開示が効きます。
- 円高メリット銘柄への資金シフト — 本日は精密機器と空運が上昇しました。この動きが1日で終わるか、セクターローテーションとして続くかを見極めたいところです。輸入比率の高い内需・小売にも波及すれば、資金移動は本物と判断できます。
- 値下がり銘柄数の改善 — 8営業日続く指数と実態の乖離が解消するかは、依然として本質的な焦点です。日経平均の上昇と値上がり銘柄数の増加が同時に起きる日が来るまで、指数の動きは実体を伴いません。
戦略展望
本日最も重要な事実は、日米協調介入という15年ぶりの政策発動があったにもかかわらず、日経平均の下げが607円で収まったことです。前場には1,658円安まであり、市場が最初に付けた値段は「大きな悪材料」でした。それが後場に6割超も戻された——市場は数時間かけて、この材料の値付けを下方修正したことになります。
なぜ戻したのか。仮説は二つ立ちます。一つは「円高は日本株にとって一律の悪材料ではない」という再評価です。実際、精密機器と空運は上昇しました。輸入コストが下がる内需企業にとって、円高は追い風です。もう一つは「介入の効果は持続しない」という経験則です。過去の介入の多くは一時的な水準訂正にとどまりました。ただし今回は協調介入であり、単独介入と同じ経験則が当てはまる保証はありません。後者の仮説に賭けるのは、根拠として弱いと見るべきでしょう。
テクニカルの評価は「収束」です。安値は4営業日連続で切り上がり、高値は前週末から1,459円切り下がりました。上下から挟み込まれる形で、値幅が狭まっています。この形は、どちらかに放れたときに動きが速くなるのが常です。上放れの条件は6万3,905円(本日高値)の突破、下放れの条件は6万2,703円(本日安値・5日線)割れ。その間わずか1,200円——判断の材料が出るまでに、それほど時間はかからないはずです。
ポートフォリオの観点では、本日は為替感応度の点検日だったと言えます。円が4円動いた日に、あなたの保有銘柄はどう反応したでしょうか。指数以上に下げたなら、輸出関連への傾斜が想定より大きいということです。逆にほとんど動かなかったなら、為替中立に近い構成ができています。介入が続く可能性がある以上、この感応度を把握しているかどうかが、今後の判断精度を左右します。
そして最後に、いつもと同じ確認です。本日、東証プライムの約7割の銘柄が下落しました。ニュースの見出しは「607円安」と報じますが、市場の実感はそれよりずっと重い一日だったはずです。8営業日続けて、日経平均は市場の実態を正しく映していません。指数の数字ではなく、自分の資産の実際の変動率で相場を測る——介入という新しい変数が加わった今週、この習慣の価値はさらに上がります。
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