指数と中身が正反対を向いた一日でした。日経平均は111円16銭安の6万4,214円48銭で4日続落——ところが日経平均の採用225銘柄のうち141銘柄が値上がりし、値下がりは82銘柄にとどまりました。TOPIXは20.44ポイント(0.50%)高の4,102.04と2営業日ぶりに反発し、東証33業種のうち20業種が上昇しています。前日9月2日が「33業種すべて下落・225銘柄中210が下落」の全面安だったことを思えば、市場の中身は明確に切り返しました。それでも日経平均がマイナスで終わった理由は、たった1銘柄にあります——ファーストリテイリングが3.41%安となり、この1銘柄だけで日経平均を193円09銭押し下げました。同社を除いた224銘柄の寄与度を合計すると、日経平均は81円93銭高だった計算になります。背景にあるのがドル円の急変で、前日16時台の159円台後半から本日16時25分時点で156円62銭まで、2円を超える円高が進みました。前日の米国株はNYダウが295ドル高と反発しており、外部環境は改善しているにもかかわらず、為替と値がさ株が指数だけを押し下げた格好です。
まずローソク足の形を確認します。始値6万4,724円81銭、高値6万4,724円81銭、安値6万3,772円80銭、終値6万4,214円48銭——本日もまた始値と高値が1円のズレもなく一致し、上ヒゲの長さはゼロでした。前日9月2日に続いて2営業日連続の「陰の寄付坊主」で、寄り付きの水準がその日いちばん高い値段だった日が2日続いたことになります。ただし前日と本日では中身がまったく違います。前日は実体869円79銭に対して下ヒゲが110円17銭しかなく、下げ幅の5.5%しか戻せませんでしたが、本日は実体510円33銭に対して下ヒゲが441円68銭——安値時点の下げ幅552円84銭(-0.86%)のうち、79.9%を引けまでに戻しています。形は同じ寄付坊主でも、前日が「戻せなかった日」、本日は「押し目を買われた日」です。寄り付きは前日終値より399円17銭(0.62%)高い水準で、米国株高を素直に織り込んで始まったものの、その後の円高進行で値がさ株が崩れ、前引けから後場にかけて水面下に沈みました。日中値幅は952円01銭で、前日の979円96銭とほぼ同じ振れ幅ながら、終値の変化はわずか111円16銭——大きく動いて、ほとんど動かなかった一日でした。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 64,214.48円 | -111.16円 (-0.17%) 4日続落 |
| 4日続落での下落幅合計 | -2,191.08円 (-3.30%) | 8月28日終値66,405.56円が起点。うち86.2%は9月2日の1日で失った |
| 日経平均 高値 / 安値 | 64,724.81 / 63,772.80 | 始値 64,724.81円 (日中値幅952.01円) |
| ローソク足の形 | 実体510.33円の陰線 | 上ヒゲ0円 / 下ヒゲ441.68円。始値=高値の「陰の寄付坊主」が2日連続 |
| 寄り付きのギャップ | +399.17円 (+0.62%) | 始値64,724.81円。前日の米国株反発を織り込んで高く始まった |
| 安値時点の下げ幅 | -552.84円 (-0.86%) | 安値63,772.80円は8月5日以来21営業日ぶりの水準 |
| 安値から終値までの戻し | +441.68円 (+0.69%) | 下げ幅552.84円の79.9%を戻した。前日の戻し率5.5%とは対照的 |
| TOPIX | 4,102.04 | +20.44 (+0.50%) 2営業日ぶりの反発 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,131.17 / 4,089.89 | 始値 4,109.67 (値幅41.28・1.01%)。終値は始値を7.63ポイント下回る陰線 |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 0.67ポイント | TOPIX+0.50%に対し日経平均-0.17%。11営業日連続でTOPIX優位 |
| NT倍率 | 15.654倍 | 前日15.760倍から0.106低下。8月27日から6営業日連続の低下 |
| NT倍率の6営業日の下げ幅 | -0.464 | 8月26日の16.118倍が直近ピーク。TOPIX優位の資金移動が続いている |
| 東証プライム 売買代金 | 約7兆5,770億円 | 前日の約8兆0,344億円から約4,574億円 (5.7%) 減 |
| 東証プライム 売買高 | 約21億8,832万株 | 前日の約24億1,905万株から約2億3,073万株 (9.5%) 減 |
| 商いの減り方 | 代金-5.7% / 株数-9.5% | 株数のほうが大きく減った。値がさ株に商いが残った形 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 51.7% / 44.0% | 前日の6.4% / 92.3%から完全に反転した (大引け報道の市場集計値) |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 141銘柄 / 82銘柄 (変わらず2) | 値上がりは62.7%。前日の14銘柄 (6.2%) から10倍に増えた |
| プライムと225銘柄の上昇比率の差 | 11.0ポイント | プライム51.7%・225銘柄62.7%。大型株のほうが買われた |
| 東証33業種 上昇/下落 | 20業種 / 13業種 | 前日は0業種 / 33業種の全面安だった |
| 業種別 上昇率上位 | 卸売業 +2.46% | 以下 電気・ガス業+2.44%、海運業+2.28%、石油・石炭製品+2.06%、保険業+1.72% |
| 業種別 上昇率6〜10位 | 鉄鋼 +1.59% | 以下 証券・商品先物+1.43%、銀行業+1.42%、空運業+1.09%、機械+1.07% |
| 業種別 下落率上位 | 鉱業 -3.26% | 以下 非鉄金属-2.05%、食料品-0.70%、不動産業-0.69%、ゴム製品-0.56% |
| 下落幅が最小だった業種 | 陸運業 -0.08ポイント | 騰落率の表示は0.00%。次いで化学-0.05%、電気機器-0.20% |
| 前日の下落率上位業種の本日 | ほぼ全数が反発 | 非鉄金属は続落 (前日-5.04%→本日-2.05%)、サービス業+0.64%、ガラス・土石-0.37%、電気機器-0.20% |
| 最大のマイナス寄与 | ファーストリテイリング | 1銘柄で日経平均を193円09銭押し下げ (2,400円安・3.41%安の68,000円) |
| ファストリを除いた224銘柄 | +81円93銭 | 同社の寄与を除けば日経平均はプラスで終わっていた計算 |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | -342円22銭 | マイナス寄与合計465円22銭の73.6%。上位への集中度が高い |
| プラス寄与合計 / マイナス寄与合計 | +354.06円 / -465.22円 | 差引-111.16円で当日の下げ幅-111.16円と完全に一致 |
| プラス寄与141銘柄の1銘柄平均 | +2円51銭 | 354.06円 ÷ 141銘柄。広く薄く買われた |
| マイナス寄与82銘柄の1銘柄平均 | -5円67銭 | 465.22円 ÷ 82銘柄。プラス側の2.3倍の重み |
| 最大のプラス寄与 | ソフトバンクグループ +61円95銭 | 77円(1.56%)高の5,001円。2位はニトリHDの+21円29銭 |
| 新発10年国債利回り | 2.965% | 前日の3.010%から0.045%低下 (日本経済新聞の債券市況報道) |
| 米ドル/円 | 156円62銭 | -2円06銭 (-1.30%) の大幅な円高・ドル安 (16時25分時点) |
| ドル円の日中の推移 | 158円台後半 → 156円台 | 東京時間を通じて一方向に円高が進み、15時時点で157円12銭 |
| 上海総合指数 | 3,941.38 | -38.50 (-0.97%) 下落 (株探の終値表示) |
| NYダウ (9/2終値) | 53,061.95 | +295.07 (+0.56%) 3営業日ぶりの反発 |
| S&P 500 (9/2終値) | 7,666.60 | +35.13 (+0.46%) 4営業日ぶりの反発 |
| ナスダック総合 (9/2終値) | 26,217.83 | +118.06 (+0.45%) 4営業日ぶりの反発 |
| SOX指数 (9/2終値) | 11,339.25 | +50.64 (+0.45%) 反発。前日の2.14%安から下げ止まった |
| 米VIX指数 (9/2終値) | 15.20 | -1.14 (-6.98%) 低下。前日の16.34から警戒感が和らいだ |
| WTI原油先物 | 90ドル台 | 前日の91ドル台からやや軟化したが高値圏を維持 (16時台の取引値) |
| 日経平均 5日線からの距離 | -1,280.11円 (-1.95%) | 5日線 65,494.59。前日の-1,552.45円からは差が縮小した |
| 日経平均 25日線からの乖離 | -2.62% | 25日線 65,941.64。1,727円16銭下。前日の-2.29%から拡大 |
| 日経平均 75日線との差 | -2,451.24円 (-3.68%) | 75日線 66,665.72。終値が下回るのは8月21日から10営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +9.00% | 200日線 58,910.52。5,303円96銭上。長期の上昇基調は維持 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 66,369.29 / 下限 66,061.99 | 終値は下限を1,847円51銭下回り、2営業日連続で雲の下 |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 65,363.75 / 65,028.57 | 終値は転換線を1,149円27銭、基準線を814円09銭下回った |
| 日経平均 ボリンジャーバンド -1σ | 64,331.36 | 終値は-1σを116円88銭下回った。-2σは62,721.07で1,493円41銭下 |
| 日経平均 RSI (14日) | 40.7 | 前日の41.2から0.5ポイント低下。売られすぎ(30以下)にはまだ距離 |
| 日経平均 MACD / シグナル | -292.2 / -81.0 | ヒストグラムは-211.2。前日の-135.2から76.0ポイント悪化 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -8,617.25円 (-11.83%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。前日の-11.68%から0.15ポイント拡大 |
| 7月29日安値からの戻り | +3,765.58円 (+6.23%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。前日の+6.41%からわずかに縮小 |
| TOPIX 25日線 / RSI (14日) | 4,087.79 / 51.5 | 終値は25日線を14.25ポイント上回り、1日で回復。RSIは49.3から2.2上昇 |
| TOPIX MACD / シグナル | 22.5 / 25.2 | ヒストグラムは-2.7。前日の-0.4からマイナス幅が広がった |
| TOPIX 一目均衡表の雲 | 上限 3,986.00 / 下限 3,951.06 | 終値は上限を116.04ポイント上回り、雲の上を維持している |
| TOPIX 52週高値からの距離 | -118.27 (-2.80%) | 52週高値 4,220.31 (8/14)。前日の-3.29%から0.49ポイント縮小 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料は、突き詰めればひとつです——「米国の早期利上げ観測が後退した」。この一点が、米国株の反発・日本の長期金利低下・そして2円を超える円高という、性格の違う3つの現象を同時に引き起こしました。そして日経平均とTOPIXが逆方向に動いた理由も、この材料の「株式にはプラス・為替にはマイナス」という二面性で説明できます。順に見ていきます。
まず出発点となったFRB高官の発言です。報道によれば、米連邦準備理事会(FRB)高官が利上げに慎重な「ハト派」的な発言を行い、これを受けて米国の早期利上げ観測が後退しました(本稿の海外要人発言に関する記述は各社の報道を引用しており、当サイトが事実関係を独自に確認したものではありません)。ここで注意しておきたいのは、現在の局面が「利下げ」ではなく「利上げ」の観測をめぐる相場だということです。WTI原油は90ドル台で高止まりし、インフレ再燃への警戒が根強い——だからこそFRBが9月に利上げに動くかどうかが最大の焦点になっており、その観測が一段階後退したことが、株式にとっての安心材料になりました。
この材料が前日の米国市場にまず表れました。9月2日のNYダウは295.07ドル(0.56%)高の53,061.95ドルと3営業日ぶりに反発し、S&P500は35.13ポイント(0.46%)高の7,666.60、ナスダック総合は118.06ポイント(0.45%)高の26,217.83と、主要3指数がそろって上昇しました。前日に2.14%安と急落したフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も50.64ポイント(0.45%)高の11,339.25と下げ止まり、米VIX指数は1.14ポイント(6.98%)低下の15.20と、16.34から警戒感が一段和らいでいます。本日の東京市場が399円17銭高で寄り付いたのは、この流れをそのまま引き継いだ結果です。
次が国内の金利です。新発10年物国債利回りは0.045%低下して2.965%となり、前日の3.010%から3%を再び割り込みました。報道では、前日の米金利低下を受けて国内債に買いが優勢となったことに加え、円相場の上昇が輸入物価を通じた物価の上振れ懸念を和らげたことが、債券相場の支えになったと伝えられています。前日9月2日に「1996年9月以来の高水準」として株式の重荷になった長期金利が、わずか1営業日で逆風から順風に変わった——これが本日、内需株や高PER業種にまで買いが広がった土台です。
そして問題の為替です。米国の利上げ観測後退はドルを売る材料でもあり、ドル円は東京時間を通じて一方向に下げ続けました。前日16時台の159円台後半から、15時時点で157円12銭、16時25分時点では156円62銭——前日比2円06銭(1.30%)の円高です。1日で2円を超える円高は、輸出企業の想定為替レートを揺さぶるには十分な幅で、寄り付き時点で399円高だった日経平均が引けにかけて水面下に沈んだ最大の要因はここにあります。同じ材料が、株式市場には追い風、為替経由では逆風という形で同時に効いた——これが本日の「指数はマイナス、中身はプラス」というねじれの正体です。
セクター・個別銘柄の動き
東証33業種は20業種が上昇、13業種が下落しました。前日が33業種すべて下落の全面安だっただけに、1営業日での反転です。上昇率トップは卸売業の+2.46%——報道によれば、バークシャー・ハザウェイのグレッグ・アベルCEOが日本の商社株への投資意欲を示したことが材料視されました。三菱商事は4.09%高の5,059円で日経平均を20円01銭押し上げて寄与度3位、伊藤忠商事が2.55%高の2,212円、三井物産が2.62%高の5,253円、豊田通商が1.79%高の7,673円と、大手商社が横並びで買われています。
2位以下も内需・ディフェンシブ・金融が並びました。電気・ガス業+2.44%、海運業+2.28%、石油・石炭製品+2.06%、保険業+1.72%、鉄鋼+1.59%、証券・商品先物+1.43%、銀行業+1.42%——金融3業種(保険・証券・銀行)がそろって上位10業種に入ったのが目を引きます。三菱UFJフィナンシャル・グループは1.90%高の3,754円、東京海上ホールディングスは2.35%高の7,958円で日経平均を9円20銭押し上げました。長期金利が低下した日に銀行・保険が買われたのは、金利要因というより前日の急落からの買い戻しと、米国株反発によるリスク許容度の回復が効いたと見るのが自然です。
下落率で最も大きかったのは鉱業の-3.26%、次いで非鉄金属の-2.05%です。いずれもドル建て資源価格と為替の影響を強く受ける業種で、INPEXが4.00%安の3,889円とプライム市場の下落率上位に顔を出しました。WTI原油が前日の91ドル台から90ドル台へわずかに軟化したことに加え、円換算の収益が2円の円高で目減りすること——この2つが重なった格好です。一方で石油・石炭製品は+2.06%と上昇しており、同じ「原油」でも、資源を掘る側(鉱業)と精製して売る側(石油・石炭製品)で明暗が分かれました。非鉄金属は前日の-5.04%に続く2日連続の下落で、33業種のなかで唯一、前日の下落率上位から立ち直れていない業種です。
個別で最も相場を動かしたのがファーストリテイリングです。2,400円(3.41%)安の6万8,000円で、1銘柄だけで日経平均を193円09銭押し下げました。本日のマイナス寄与合計は465円22銭ですから、その41.5%を同社1社が占めたことになります。なぜここまで効くのか——日経平均は株価の平均をとる「株価平均型」の指数で、株価が高い銘柄ほど指数への影響が大きくなる仕組みだからです。6万8,000円という株価は225銘柄で群を抜いており、3.41%の下落でも指数へのインパクトは193円に達します。実際、同社を除いた224銘柄の寄与度を合計すると+81円93銭——日経平均はプラスで終わっていた計算です。
マイナス寄与の2位以下は半導体・電子部品が並びました。アドバンテストが0.80%安の3万2,280円で-62円75銭、イビデンが2.40%安の1万9,720円で-32円52銭、フジクラが2.73%安の4,951円で-27円96銭、TDKが1.79%安の2,832円50銭で-25円90銭です。ただし前日の米SOX指数は0.45%高と反発しており、外部環境の悪化が理由ではありません——円高による輸出採算の悪化と、値がさグロース株からの資金流出が重なった動きと読むのが妥当です。
プラス寄与の最大はソフトバンクグループの+61円95銭(1.56%高の5,001円)で、前日に6.42%安と急落した反動が出ました。2位はニトリホールディングスの+21円29銭——8.41%高の3,275円とプライム市場の上昇率トップです。報道によれば、前日に発表された8月の月次動向で既存店売上高が前年同月比4.4%増と2カ月連続のプラスとなったことに加え、円高への反転が輸入コストの軽減材料として好感されました。円高が直撃した輸出株と、円高が追い風になった輸入小売株が、同じ日に指数の両端に並んだ——本日の相場を象徴する組み合わせです。このほか東京エレクトロンが0.36%高の5万3,300円で+19円11銭、レーザーテックが4.14%高の3万3,690円で+17円97銭、キオクシアホールディングスが1.31%高の5万1,670円で+15円72銭と、半導体関連のなかでも銘柄によって明暗が分かれています。
テクニカル分析
トレンドの位置
日経平均の終値6万4,214円48銭は、5日線(6万5,494円59銭)・25日線(6万5,941円64銭)・75日線(6万6,665円72銭)のすべてを下回っています。25日線からの乖離は-2.62%で、前日の-2.29%からさらに拡大しました。指数はほぼ横ばいだったのに乖離が広がったのは、25日線そのものが上を向いているからです——株価が動かなくても平均線が上がれば、差は自動的に開きます。75日線を下回るのは8月21日から10営業日連続で、中期のトレンドは明確に下向きです。ただし200日線は5万8,910円52銭で、終値は+9.00%上に位置しています——長期の上昇基調そのものはまだ崩れていません。
一目均衡表では、雲の上限6万6,369円29銭・下限6万6,061円99銭に対して終値は1,847円51銭下で、2営業日連続で雲の下です。転換線6万5,363円75銭・基準線6万5,028円57銭もいずれも終値より上にあり、一目均衡表の3つの判定(雲・転換線・基準線)がすべて弱気を示しています。ボリンジャーバンドでは25日の-1σが6万4,331円36銭で、終値はこれを116円88銭下回りました——-2σは6万2,721円07銭で、まだ1,493円41銭の距離があります。
サポートとレジスタンス
下値のサポートとして意識されるのは、まず本日の安値6万3,772円80銭です。ここは8月5日以来21営業日ぶりの水準で、この水準から441円68銭も戻して引けたということは、6万3,700円台に買いが入ったという事実を意味します。その下は、ボリンジャーバンド-2σの6万2,721円07銭、さらに7月29日の直近安値6万0,448円90銭です。上値のレジスタンスは、まず本日の高値でもある始値6万4,724円81銭、次いで-1σの6万4,331円36銭を明確に回復できるか、その上が5日線6万5,494円59銭、25日線6万5,941円64銭、そして雲の下限6万6,061円99銭という並びになります。雲の下限まで戻すには、本日の終値から1,847円51銭(2.88%)の上昇が必要です。
オシレーター
RSI(14日)は40.7で、前日の41.2からほぼ横ばいです。一般に30以下が売られすぎ、70以上が買われすぎとされる指標で、現在地は中立圏の下寄り——「下げ止まりの兆し」と読むには早く、「反転のサイン」と呼ぶにはさらに10ポイント以上の低下が必要な位置です。MACDは-292.2、シグナルは-81.0、ヒストグラムは-211.2で、前日の-135.2からマイナス幅がさらに広がりました。指数の下げ幅は111円16銭にすぎませんが、MACDは前日9月2日の1,889円安を26日間の指数平滑平均に織り込み続けているため、体感より悪化した数字が出ます——この点は割り引いて見る必要があります。
一方TOPIXのテクニカルは日経平均と対照的です。終値4,102.04は25日線4,087.79を14.25ポイント上回り、1営業日で25日線の上に復帰しました。RSI(14日)は51.5と50を回復し、雲の上限3,986.00に対しても116.04ポイント上にあります。MACDはヒストグラムが-2.7とマイナス圏にとどまりますが、指数そのものの位置は日経平均よりはるかに健全です。NT倍率が8月27日から6営業日連続で低下し、8月26日の16.118倍から本日の15.654倍まで0.464下がったことが、この差をそのまま数字にしています。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら、「恐怖の後退と、為替への警戒の同居」です。恐怖が後退した証拠は、数字にはっきり出ています——東証プライムの値上がり銘柄比率は前日の6.4%から51.7%へ、日経平均225銘柄の値上がりは14銘柄から141銘柄へ、上昇業種数は0業種から20業種へ。前日に「例外なく全部売る」という投げが出た反動で、本日は幅広く買い戻しが入りました。米VIX指数が16.34から15.20へ低下したことも、この空気を裏づけています。
それでも「強気の一日」と呼べないのは、商いが細ったからです。東証プライムの売買代金は約7兆5,770億円で前日から5.7%減、売買高は約21億8,832万株で9.5%減——買い戻しは広がったものの、新規の資金が流入した形跡は乏しいということです。売買代金が減りながら値上がり銘柄が増えるのは、典型的な「売り圧力の一巡」のパターンで、積極的な買いというより、売り手が手を止めた結果として株価が浮いたと読むのが妥当でしょう。
そしてもうひとつ、警戒を残したのが為替です。ドル円が東京時間を通じて一方向に2円以上動いたということは、投資家が引け際まで為替を見ながら建玉を調整していたということ——始値がそのまま高値になり、上ヒゲがゼロになったのは、その証拠です。ただし前日と決定的に違うのは、下ヒゲが441円68銭あること。安値からの戻し率は79.9%で、前日の5.5%とは比較になりません。投げ売りが続く相場では、下ヒゲはこれほど伸びません。市場は、円高を嫌気しながらも、6万3,700円台では買う——その二段構えの姿勢を本日の値動きで示したと言えます。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月4日(金)で、東京市場は通常どおり取引が行われます。連休や祝日を挟む予定はありませんが、週末を控えたポジション調整が入りやすい曜日である点は意識しておきたいところです。
最大のイベントは、日本時間4日21時30分に発表される米8月雇用統計です。報道によれば市場予想は非農業部門雇用者数が5万人台の増加、失業率は4.1%で、7月がマイナスだった反動から持ち直すかどうかが焦点とされています。本日の相場が「FRBの早期利上げ観測の後退」で動いた以上、この観測を裏づけるか覆すかを決めるのが雇用統計です——強い数字なら利上げ観測が復活してドル高・円安に振れ、日本の輸出株には追い風、弱い数字ならさらなる円高で本日の構図が繰り返される、という整理になります。ただし発表は東京市場の取引終了後ですから、4日の東京市場は「結果を織り込めないまま週末を迎える」点に注意が必要です。
国内で見るべきは3つです。ひとつ目はドル円が156円台に定着するかどうか——2円動いた翌日に戻すのか、それとも155円台を試すのかで、輸出株と内需株のどちらに資金が向かうかが決まります。ふたつ目は本日の安値6万3,772円80銭を守れるか。ここは本日441円68銭の下ヒゲで買いが確認された水準で、ここを終値で割り込むと、下値の目安がボリンジャーバンド-2σの6万2,721円07銭まで一段下がります。三つ目はNT倍率——6営業日連続で低下している流れが続くのか、それとも値がさ株の買い戻しで反転するのか。ファーストリテイリングをはじめとする値がさ株の動向が、指数と中身のねじれを解消するかどうかの分かれ目になります。
外部要因では、原油と長期金利の組み合わせを引き続き点検したいところです。WTIが90ドル台で高止まりしている限り、インフレ懸念は消えず、金利低下は一時的なものにとどまる可能性があります。新発10年国債利回りが2.965%から再び3%台に乗せるようなら、本日の買い戻しの前提が崩れる点は押さえておくべきでしょう。
戦略展望
本日の相場が投資家に突きつけたのは、「指数を見るか、中身を見るか」という問いです。日経平均だけを見れば111円安の4日続落で、25日線も75日線も雲も下回った弱い相場。しかし225銘柄の141が上昇し、33業種の20が上昇し、TOPIXは25日線を回復した——中身だけを見れば、明確な反発の一日でした。この乖離を作ったのは株価6万8,000円のファーストリテイリング1銘柄で、同社を除けば日経平均は81円93銭高です。株価平均型という日経平均の設計上の性質が、市場の実像を隠してしまった日と言えます。
ではどちらが実像なのか——NT倍率の6営業日連続低下が、ひとつの答えを示しています。8月26日の16.118倍から本日15.654倍まで0.464の低下は、1日や2日の偶然ではなく、値がさグロース株からTOPIX型のバリュー株・金融株へという資金の流れが継続していることを意味します。本日、金融3業種(保険+1.72%・証券+1.43%・銀行+1.42%)がそろって上位に入り、商社を含む卸売業が+2.46%でトップに立ったのは、この流れの延長線上にあります。
一方で、楽観に傾けない理由も明確です。売買代金が5.7%減・売買高が9.5%減と商いが細るなかでの上昇であり、新規資金の裏づけがありません。MACDのヒストグラムは-211.2とマイナス幅を広げ、RSIは40.7で反転を宣言できる水準にはなく、一目均衡表の3指標はすべて弱気——テクニカル面での改善はTOPIXに限られ、日経平均については何ひとつ好転していません。さらに翌日は東京市場の引け後に米雇用統計を控えており、方向を決める材料は市場の外にあります。
したがって本日の値動きから導かれる、最も無理のない結論はこうです——「前日の全面安は行き過ぎだったと市場は判断した。しかし戻りを買う資金はまだ来ていない」。下ヒゲ441円68銭は前者を、商いの減少は後者を示しています。この2つが両立している間は、指数は6万3,700円台と6万4,700円台のあいだで方向を探る展開になりやすいでしょう。判別の材料はすでに明確で、本日の安値6万3,772円80銭を守れるか、そして商いの量が戻るか——この2点を翌営業日の値動きで確認することが、いまできる最も確実な作業です。
チャート
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