【8月21日】日経平均200円安も値上がり56%、ファストリとSBGで329円押し下げ

2026年8月21日(金) 東京市場クローズ
日経平均 66,016.36円 -200.43円 (-0.30%)

指数は下げたのに、市場の中身は上がった日です。日経平均は200円43銭安の6万6,016円36銭と反落しましたが、TOPIXは7.56ポイント高の4,067.29で2日続伸東証プライムの値上がりは883銘柄(全体の約56%)、東証33業種のうち18業種が上昇しました。からくりは寄与度にあります——ファーストリテイリング(約222円85銭の押し下げ)とソフトバンクグループ(約106円20銭の押し下げ)の2銘柄だけで日経平均を約329円05銭押し下げており、これは実際の下げ幅200円43銭の1.6倍にあたりますこの2銘柄を除けば、日経平均は約128円62銭のプラスだった計算です。主因は前日の米国株大幅安(NYダウ703ドル84セント安)で、ウォルマート決算を嫌気した個人消費への警戒がファストリや良品計画といった消費関連株に波及しました。一方で対イラン紛争の長期化観測による原油高が海運(+4.92%)・鉱業(+2.18%)・石油石炭(+2.09%)を押し上げ、米長期金利の再上昇が保険(+1.89%)・銀行(+1.03%)に追い風となっています。ただし75日移動平均(6万6,241円16銭)は1営業日で再び割り込み売買代金は7兆9,134億円と3営業日連続で減少しました。

本日の相場概況

8月21日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前営業日比200円43銭(0.30%)安の6万6,016円36銭で取引を終えました。1営業日ぶりの下落ですが、取引時間中には下げ幅が956円57銭まで拡大する場面があり、終値はそこから756円14銭戻した水準です。

まず、前回の記事の結論を検証します。20日の記事で私たちは、下値の節目について「6万5,650〜6万5,880円の228円の幅に3つが集まっており、この帯を終値で維持できるかが、20日の反発を『底入れの一歩』と呼べるかどうかの分かれ目になる」と書きました。本日の安値6万5,260円22銭は、この帯を明確に下抜けています。しかし終値6万6,016円36銭は、帯の上限をさらに136円40銭上回って引けました——場中に割り、終値で取り戻したというのが正確な描写です。同じ記事で「75日線との差は62円しかなく、翌営業日に小幅安となるだけで再び割り込む距離」とも書きましたが、これはそのとおりになりました本日の75日線6万6,241円16銭に対し、終値は224円80銭下です。

日足の形は、20日とは対照的でした。寄り付きは6万5,427円69銭で、前営業日終値を789円10銭下回るギャップダウン安値6万5,260円22銭は10時06分につけ、そこから切り返して高値6万6,125円88銭を12時33分に記録しました。始値から終値までの実体は588円67銭の陽線で、下ヒゲ167円47銭・上ヒゲ109円52銭日中値幅は865円66銭(1.31%)です。下げて始まり、上げて終わった——前日比はマイナスでも、日中の需給は買い方が優勢だったことを、この陽線が示しています。ただし高値6万6,125円88銭は前日終値6万6,216円79銭に届いておらず、終日プラス圏に浮上できませんでした

一日の流れを見ると、下げはほぼ前場で完結しています。前引けは208円34銭(0.31%)安の6万6,008円45銭で、後場の変動はわずか7円91銭のプラス後場は6万6,000円近辺での一進一退に終始しました。20日は上げ幅の73.7%が前場に集中していましたから、方向は逆でも「前場で動いて後場は動かない」という日中パターンは3営業日続いていることになります。

そして本日、最も注目すべきは指数と市場全体の乖離です。TOPIXは7.56ポイント(0.19%)高の4,067.29と2日続伸しました。始値4,038.04、高値4,071.77(13時54分)、安値4,034.78(10時06分)で、日中値幅は36.99ポイント(0.91%)日経平均が0.30%下げ、TOPIXが0.19%上げた——その差は0.49ポイントです。結果としてNT倍率は前日の16.31倍から16.23倍へ0.08ポイント低下しました。20日は日経平均が優位でNT倍率が上がり、本日はTOPIXが優位で下がった——2営業日で綺麗に入れ替わっています

騰落銘柄数も、指数の下落とは逆を向いていました。東証プライムの値上がりは883銘柄(全体の約56%)、値下がりは622銘柄(約39%)、変わらずは51銘柄です。東証33業種でも上昇18業種・下落15業種と、上昇が過半日経225構成銘柄に至っては、値上がり135・値下がり86・変わらず4で、構成銘柄の約6割が上昇しているのに指数は下げたことになります。これは値がさ株の下げが指数を引っ張った日の典型的な形です。

興味深いのは、この構図が後場に完成したことです。前引け時点では値上がり566銘柄・値下がり913銘柄と、値下がりが大幅に上回っていました業種別でも前場は33業種中16業種の上昇にとどまっていたものが、大引けでは18業種に増えています指数はほぼ動かなかった後場に、市場の内部では買い戻しが静かに進んでいた——日経平均だけを見ていると見落とす動きでした。

一方で、商いは細り続けています。東証プライムの売買代金は概算7兆9,134億円で、20日の約8兆6,034億円から6,900億円(8.0%)の減少19日の約10兆1,151億円からは3営業日で2兆2,017億円(21.8%)減ったことになります。売買高も概算22億859万株と、20日の約22億5,115万株から4,256万株(1.9%)減週末を控えたポジション調整と、来週26日の米エヌビディア決算待ちが重なり、新規の資金が入りにくい状態が続いています。

主要マーケット指標

指標 数値 前日比
日経平均株価 66,016.36円 -200.43円 (-0.30%) 1日ぶり反落
日経平均 高値 / 安値 66,125.88 / 65,260.22 始値 65,427.69円 (値幅866円・実体589円の陽線)
日経平均 上ヒゲ / 下ヒゲ 109.52円 / 167.47円 高値12時33分・安値10時06分。下げて始まり上げて終わる
日経平均 一時の下げ幅 -956.57円 安値時点。終値はそこから756.14円戻す
日経平均 寄り付きのギャップ -789.10円 始値65,427.69円。高値も前日終値に届かず終日マイナス圏
日経平均 前引け 66,008.45円 -208.34円。後場の変動はわずか+7.91円
TOPIX 4,067.29 +7.56 (+0.19%) 2日続伸
TOPIX 高値 / 安値 4,071.77 / 4,034.78 始値 4,038.04 (値幅36.99・0.91%)
NT倍率 16.23倍 前日16.31倍から0.08ポイント低下。TOPIX優位
NYダウ (8/20終値) 52,759.21 -703.84 (-1.32%)
S&P 500 (8/20終値) 7,641.16 -66.82 (-0.87%)
ナスダック総合 (8/20終値) 26,067.16 -263.92 (-1.00%)
SOX指数 (8/20終値) 11,800.02 +61.79 (+0.53%) 主要指数で唯一の上昇・3日ぶり反発
米VIX指数 (8/20終値) 16.01 +1.12 (+7.52%) 15台から16台へ警戒感が再上昇
上海総合指数 3,903.72 +9.29 (+0.24%)
米ドル/円 158円89銭前後 前日夕方の158円45銭前後から約44銭の円安 (高値159.13/安値158.79)
米10年債利回り (8/20終値) 4.710% +0.057% (5.7bp上昇)。19日の4.653%から再上昇
東証プライム 売買代金 約7兆9,134億円 20日の約8兆6,034億円から6,900億円 (8.0%) 減・3日連続減
東証プライム 売買高 約22億859万株 20日の約22億5,115万株から4,256万株 (1.9%) 減
東証プライム 値上がり/値下がり 883銘柄 / 622銘柄 (変わらず51) 値上がりが約56%。指数下落日に値上がりが過半
東証プライム 前引け時点の騰落 566銘柄 / 913銘柄 (変わらず71) 前場は値下がり優勢。後場に構図が逆転した
日経225構成銘柄 値上がり/値下がり 135銘柄 / 86銘柄 (変わらず4) 構成銘柄の約6割が上昇。寄与度は+415.14/-615.57
東証33業種 上昇/下落 18業種 / 15業種 前場は16業種上昇。上昇首位は海運業+4.92%
最大のマイナス寄与 ファーストリテイリング 1銘柄で日経平均を約222円85銭押し下げ (2,770円安の73,510円)
マイナス寄与 上位2銘柄合計 約-329円05銭 ファストリ+ソフトバンクG。実際の下げ幅200円43銭の1.6倍
最大のプラス寄与 アドバンテスト 1銘柄で日経平均を約130円33銭押し上げ (540円高の35,900円)
日経平均 25日線からの乖離 +0.61% 20日の+0.75%から0.14ポイント縮小。25日線は維持
日経平均 75日線との差 -224.80円 75日線 66,241.16。20日に回復した水準を1営業日で再び割り込む
日経平均 一目均衡表の雲 上限 67,955.17 / 下限 65,879.96 終値は下限を136.40円上回り「雲の中」を維持
日経平均 52週高値からの距離 -6,815.37円 (-9.36%) 52週高値 72,831.73 (6/22)。20日の-9.08%から0.28ポイント拡大
7月29日安値からの戻り +5,567.46円 (+9.21%) 直近安値 60,448.90 (7/29)。20日の+9.54%から縮小
注記: 米国指数・SOX・VIX・米10年債利回りは日本時間21日時点で最新となる8月20日(木)の終値です。日経平均・TOPIXの終値・始値・高値・安値は株探およびYahoo!ファイナンスの当日確定日足、売買代金・売買高・騰落銘柄数・業種別騰落・寄与度・前引け値は大引け報道および前引け報道による市場集計値です。売買代金・売買高は東証プライムの概算値です。ドル円は東京時間夕方の水準です。NT倍率・25日線乖離率・一目均衡表の各値・上ヒゲ下ヒゲ・値幅・寄与度合計・戻り幅は当サイトの計算値です(算出手法の妥当性は、8月20日時点の5日線6万7,387円60銭・25日線6万5,724円53銭・75日線6万6,154円45銭・200日線5万8,163円91銭・25日線乖離率+0.75%・転換線6万7,129円87銭・基準線6万5,028円57銭・雲上限6万8,445円73銭・雲下限6万5,879円96銭・RSI(14日)49.3・RSI(9日)48.4・MACD199.5・シグナル10.8を同一コードで再現できることで確認しています)。原油先物価格については、執筆時点で確定値を確認できていないため水準の数値は掲載していません。日経平均VI・東証グロース市場250指数・JPXプライム150指数・新発10年国債利回りの当日確定値も、同様の理由で掲載していません。テーブルの色は日本式表記(上昇=赤/下落=緑)に従っています。

マクロ・地政学の視点

本日の相場を動かしたのは、方向の異なる3つの力でした。(1)米国発の消費不安、(2)原油高、(3)金利上昇——このうち(1)は指数を押し下げ、(2)と(3)は市場の裾野を押し上げました。日経平均が下げてTOPIXが上がった理由は、この力の分解でほぼ説明できます。順に見ていきます。

まず米国株です。20日のNYダウは703ドル84セント(1.32%)安の5万2,759ドル21セント、S&P500は66.82ポイント(0.87%)安の7,641.16、ナスダック総合は263.92ポイント(1.00%)安の2万6,067.16——主要3指数がそろって大幅安となりました。19日はいずれも0.2%前後の小幅高でしたから、1営業日で流れが変わったことになります。きっかけは小売り決算で、ウォルマートの決算を嫌気した売りが米国の個人消費への警戒感を呼び起こしたと報じられています。

ここが重要な点です。米国の下げは「AI・ハイテク発」ではなく「消費発」でしたその証拠に、SOX指数は61.79ポイント(0.53%)高の1万1,800.02と3営業日ぶりに反発しています18日の4.98%安、19日の2.12%安という2日続落のあと、主要3指数が1%前後下げるなかで半導体だけが上げた——20日の記事で「金利低下の恩恵は米半導体にはまだ及んでいない」と書いた状態が、金利上昇日に逆転した形です。東京市場でアドバンテスト・キオクシア・東京エレクトロンがそろってプラス寄与上位に入ったのは、このSOX反発を素直に受けたものです。

逆に「消費発」の下げは、日本の消費関連株を直撃しました。ファーストリテイリングは2,770円(3.63%)安の7万3,510円、良品計画は142円安の4,237円米国の個人消費に警戒が向かえば、海外売上比率の高い小売企業の見通しが真っ先に見直されるという理屈です。ファーストリテイリングは日経平均の構成比率が突出して高い値がさ株ですから、この1銘柄の3.63%安が、指数を約222円85銭押し下げました本日の下げ幅200円43銭を、ファストリ1銘柄だけで説明できてしまう——指数と市場の乖離は、ここから生まれています

2つめの力が原油高です。対イラン紛争の長期化リスクが意識され、原油先物価格が強含みで推移したと伝えられました。原油高は、米国株にとっては企業のコスト増とインフレ再燃を連想させる悪材料ですが、日本の資源・海運セクターにとっては明確な好材料です。本日、東証33業種の上昇率上位に海運業(+4.92%)、鉱業(+2.18%)、石油・石炭製品(+2.09%)が並んだのは、この波及によります。海運は中東航路の運賃上昇観測、鉱業と石油石炭は原油価格そのものの上昇が、それぞれの理屈です。

3つめが金利です。米10年債利回りは20日終値で4.710%となり、19日の4.653%から0.057%(5.7bp)上昇しました。20日の記事で説明した国債買い入れ消却(バイバック)拡大による低下は、わずか1営業日で押し戻されたことになります。金利上昇は、20日に売られた銀行・保険・証券にとって収益改善要因です。本日は保険業が1.89%高、証券業が1.32%高、その他金融業が1.14%高、銀行業が1.03%高と、金融4業種がそろって上昇率上位に並びました。

この対比は、ほとんど教科書のようです20日は金利低下で銀行・保険が下落4業種に沈み、高PERのソフトバンクGとファストリがプラス寄与の1位と2位を占めました本日は金利が上がり、銀行・保険が上昇率上位に入り、ソフトバンクGとファストリがマイナス寄与の1位と2位に転落しています。2営業日で完全に鏡像——いま市場を動かしている変数が、業績でも需給でもなく金利であることを、これ以上ないほど明確に示す並びです。

為替は円安方向に戻りました。米ドル/円は東京時間夕方で158円89銭前後と、前日夕方の158円45銭前後から約44銭の円安です。本日の高値は159円13銭、安値は158円79銭で、値幅は34銭と非常に狭い一日でした。米長期金利の上昇が日米金利差の拡大を通じてドル買いを誘ったという素直な動きですが、円安にもかかわらず輸送用機器の上昇率は1.16%と限定的で、為替が輸出株を主導する局面ではありません

最後にボラティリティです。米VIX指数は20日終値で16.01と、前日比1.12ポイント(7.52%)の上昇19日に14.89まで低下して15を割り込んでいたものが、1営業日で16台に戻りましたただし18日は15.84であり、16.01という水準そのものは平静の範囲です。20日のダウ703ドル安に対してVIXの上昇が1.12ポイントにとどまったことは、米国市場でもパニック的な売りではなく、消費セクター中心の限定的な調整と受け止められていることを示しています。

セクター・個別銘柄の動き

買われたセクター・銘柄

本日は東証33業種のうち18業種が上昇しました。上昇率トップは海運業で4.92%高。以下鉱業(+2.18%)、石油・石炭製品(+2.09%)、保険業(+1.89%)、卸売業(+1.72%)、電力・ガス業(+1.62%)、証券業(+1.32%)、陸運業(+1.19%)、輸送用機器(+1.16%)と続きます。資源・エネルギー、金融、内需インフラ——いわゆるバリュー・シクリカル銘柄群が上位を独占した一日でした。

海運業の4.92%高は、2位の鉱業(2.18%)に2.7ポイント以上の差をつける独走です。川崎汽船は231円(7.28%)高の3,405円となり、1銘柄で日経平均を約6円97銭押し上げました。日本郵船、商船三井もそろって買われています海運は、19日の全面安のなかで上昇した数少ない2業種の1つでもありました中東情勢という地政学リスクが継続するかぎり、海運が資金の逃げ場になり続ける構図が、3営業日にわたって確認できます。

プラス寄与のトップはアドバンテストでした。540円(1.53%)高の3万5,900円となり、1銘柄で日経平均を約130円33銭押し上げています。2位はキオクシアホールディングスで1,370円(2.59%)高の5万4,320円、約32円15銭のプラス寄与3位は東京エレクトロンで270円(0.50%)高の5万4,290円、約27円15銭です。20日にマイナス寄与トップだった東京エレクトロンが、本日はプラス寄与3位に転じました前日のSOX指数0.53%高が、そのまま半導体3銘柄の買い戻しに直結しています。

4位以下はKDDI(54円50銭高の2,915円50銭・約21円92銭)、TDK(30円高の3,041円・約15円08銭)、伊藤忠商事(76円高の2,080円・約12円74銭)、トヨタ自動車(66円高の3,132円・約11円06銭)、京セラ(41円高の3,608円・約11円00銭)と続きます。三菱商事(98円高の4,794円)、三井物産(125円高の4,899円)も上位で、商社3社がそろってプラス寄与に並んだのは、原油高が資源トレーディング収益の期待につながったためと考えるのが自然でしょう。プラス寄与銘柄の寄与度合計は+415円14銭です。

金融では東京海上ホールディングスが114円高の7,347円(約5円73銭)、MS&ADが172円高の4,945円(約5円19銭)とプラス寄与に入りました。三菱UFJフィナンシャル・グループも高く引けています20日に金利低下で売られた金融株が、金利上昇でそのまま買い戻された——企業の中身が変わったのではなく、金利という一つの変数の符号が変わっただけという点は、繰り返し確認しておく価値があります。

売られたセクター・銘柄

下落したのは15業種で、下落率トップはその他製品。以下医薬品、精密機器、小売業、ガラス・土石製品が続きました。その他製品には任天堂やバンダイナムコホールディングスが、小売業にはファーストリテイリングと良品計画が含まれます米国の消費不安が直撃したセクターが、そのまま下落率上位に並んだ格好です。医薬品は19日・20日と2営業日連続で上昇業種に入っていましたが、3日目に売られましたディフェンシブへの逃避が、シクリカルへの資金回帰に切り替わったことを示す動きです。

マイナス寄与のトップはファーストリテイリングで、2,770円(3.63%)安の7万3,510円、約222円85銭の押し下げでした。20日は1,340円高・約107円81銭のプラス寄与2位でしたから、1営業日で立場が入れ替わっていますしかも20日の上げ1,340円に対し、本日の下げは2,770円——20日の上げを完全に打ち消し、さらに1,430円下まで沈みました。

2位はソフトバンクグループで、132円(2.45%)安の5,255円、約106円20銭の押し下げ20日は160円高・約128円72銭のプラス寄与トップでしたから、こちらも反転です。上位2銘柄の合計は約329円05銭——本日の下げ幅200円43銭の1.64倍にあたります。言い換えれば、この2銘柄を除けば日経平均は約128円62銭のプラスだったという計算になります。指数の数字が市場の実態からこれほど離れる日は、そう多くありません

3位以下はリクルートホールディングス(245円安の1万5,900円・約24円64銭)、信越化学工業(110円安の6,051円・約18円44銭)、ファナック(81円安の6,035円・約13円58銭)、大塚ホールディングス(405円安の1万2,195円・約13円58銭)、フジクラ(61円安の5,280円・約12円27銭)、太陽誘電(323円安の9,300円・約10円83銭)と続きます。マイナス寄与銘柄の寄与度合計は-615円57銭で、そのうち上位2銘柄が53.5%を占めています3位以下の下げは分散しており、規模も小さい——売り圧力は特定の値がさ株に集中していたことがわかります。

整理すると、本日のセクター構図は「原油高と金利上昇の恩恵を受ける海運・資源・金融が広く買われ、米国の消費不安を浴びた小売・その他製品が売られ、指数は値がさの小売株1銘柄に引きずられた」という形でした。20日が「金利低下トレードによる高PER株の買い戻し」だったのに対し、本日は「金利上昇トレードによるバリュー株への回帰」です。方向は正反対ですが、どちらも金利という同じ変数に反応している点は共通しています。

テクニカル分析

ご注意: 本節の移動平均・一目均衡表・RSI・MACD等の数値は、確定日足から当サイトが独自に算出した推定であり確定値ではありません。算出期間の取り方や平滑化の方式によって、証券会社やチャートツールの表示値と差が生じる場合があります。売買判断に用いる際は、必ずご自身のチャートツールで数値をご確認ください。なお、本節と同一のコードで算出した8月20日時点の5日線6万7,387円60銭・25日線6万5,724円53銭・75日線6万6,154円45銭・200日線5万8,163円91銭・25日線乖離率+0.75%・転換線6万7,129円87銭・基準線6万5,028円57銭・雲上限6万8,445円73銭・雲下限6万5,879円96銭・RSI(14日)49.3・RSI(9日)48.4・MACD199.5・シグナル10.8は、前回記事の掲載値と一致しており、算出手法の連続性は確認しています。

トレンド

本日は200円の下げで、移動平均の並びが1本ぶん後退しました。順に確認します。

25日移動平均は6万5,615円12銭(推定であり確定値ではありません)で、終値6万6,016円36銭はこれを401円24銭上回っています25日線からの乖離率は+0.61%——20日の+0.75%から0.14ポイント縮小しましたが、25日線の上という位置づけは維持されました。25日線自体も、20日の6万5,724円53銭から109円41銭低下しています。

一方、75日移動平均は6万6,241円16銭で、終値はこれを224円80銭下回りました20日に62円34銭上回って「ぎりぎり届いた」水準は、1営業日で失われたことになります。しかも75日線自体が20日の6万6,154円45銭から86円71銭上昇しており、株価が下げ、線が上がったため、差は287円強拡大しました。75日線が上向きであることは中期トレンドとして悪くない材料ですが、上向きの線を下回るということは、株価がその上昇についていけていないことも意味します。

5日移動平均は6万6,848円11銭で、終値はこれを831円75銭(1.24%)下回ったままです。20日の1,170円81銭下から339円縮まりましたが、これは株価が上がったからではなく、5日線が539円49銭低下したためです。8月13〜17日の高値圏の終値が順次計算から外れており、5日線は今後も自然に低下していきます。株価が横ばいでも、数営業日で5日線に追いつかれる位置関係にあります。

200日移動平均は5万8,247円49銭(推定)で、終値はこれを7,768円87銭上回っています長期の上昇トレンドは完全に無傷です。また52週高値7万2,831円73銭(6月22日)からの下落率は9.36%で、20日の9.08%から0.28ポイント拡大しました。調整局面の目安とされる10%安までは、あと0.64ポイント(約463円)です。

サポート・レジスタンス

一目均衡表の雲は、上限6万7,955円17銭、下限6万5,879円96銭(推定であり確定値ではありません)。終値6万6,016円36銭は、雲の下限を136円40銭上回りました20日の336円83銭上から、余裕は200円強縮小しています。「雲の中」という中立ゾーンには踏みとどまりましたが、下限との距離は136円——翌営業日に0.21%下げるだけで雲を割る位置です。

ここで押さえておきたいのが、本日の安値6万5,260円22銭が雲の下限を619円74銭下回っていたという事実です。場中は雲の下、25日線の下(6万5,615円12銭に対して354円90銭下)まで沈んでいましたそこから終値までに756円14銭戻し、雲の下限と25日線の両方を回復して引けたことになります。ローソク足の下ヒゲが示すのは、6万5,300円前後に買いが控えていたという事実です。19日の安値6万5,133円98銭と本日の安値6万5,260円22銭は126円24銭差で、2営業日にわたってほぼ同じ水準で下げ止まったことになります。

雲の形状は、翌営業日も上限6万7,955円17銭・下限6万5,879円96銭で変わりません厚みは2,075円21銭で、20日の2,565円77銭から薄くなった状態が続きます雲が薄い局面は、価格が雲を抜けやすいとされます。上下どちらにも抜けやすいという意味であり、方向を示すものではない点は前回同様です。

他の一目指標では、転換線が6万7,371円11銭(推定)へ20日の6万7,129円87銭から241円24銭上昇しました。終値はこれを1,354円75銭下回っており、20日の913円08銭下から差が441円拡大しています。株価が200円下げ、転換線が241円上がったためです。転換線は直近9営業日の高値と安値の中間値ですから、8月7日の安値6万4,651円49銭が計算から外れたことで水準が切り上がりました皮肉なことに、安値が外れて指標が上がった分だけ、株価との距離は開いたことになります。

基準線は6万5,028円57銭(推定)で3営業日連続の据え置き終値はこれを987円79銭上回っています20日の1,188円22銭上からは縮まりましたが、依然として明確な距離があります。

上値のメドを整理すると、(1)20日終値6万6,216円79銭(終値の200円上)、(2)75日線6万6,241円16銭(同225円上)、(3)5日移動平均6万6,848円11銭、(4)転換線6万7,371円11銭、(5)18日終値6万7,460円73銭、(6)雲の上限6万7,955円17銭という順です。直近の関門は6万6,200円台に重なる前日終値と75日線で、ここを抜ければ次は6万6,850円の5日線まで600円の空白という構図になります。

下値では、(1)雲の下限6万5,879円96銭(終値の136円下)、(2)25日線6万5,615円12銭、(3)本日安値6万5,260円22銭、(4)19日安値6万5,133円98銭、(5)基準線6万5,028円57銭が並びます。6万5,030〜6万5,260円の230円の幅に3つが集中しており、2営業日続けてこの帯の上端付近で下げ止まっていることは、ここが当面の下値支持として意識されていることを示唆します。ただし本日の安値がこの帯に触れているという事実は、支持が試されている最中でもあることを意味します。

オシレーター

RSI(14日)は48.6と推定され、20日の49.3から0.7ポイント低下しました。RSI(9日)は47.3で、20日の48.4から1.1ポイントの低下です。いずれも中立の50をわずかに下回る水準にあり、買われ過ぎ(70)にも売られ過ぎ(30)にも遠い状態が続いています。17日以降の4営業日で日経平均は3,203円89銭(4.63%)下げましたが、RSI(14日)は46〜49のレンジをほとんど出ていませんこれは下げが一方向ではなく、上げと下げを交互に繰り返しながら水準を切り下げているためです。オシレーターからは、依然として方向の手がかりが得られない局面です。なおこれらのRSIは推定であり確定値ではありません

MACDは135.7、シグナル線は35.8と推定され、その差(ヒストグラム)は+99.9MACDがシグナルを上回る状態は維持されていますが、20日のヒストグラム+188.7から88.8縮小しました。19日の+294.1、20日の+188.7、本日の+99.9——3営業日連続でほぼ100ずつ縮んでいます20日の記事で「デッドクロスを回避するには、数日以内に一段の上昇が必要」と書きましたが、その上昇は起きませんでしたこのペースが続けば、翌営業日にもデッドクロスが成立する計算になります。MACD本体が20日の199.5から135.7へ63.8低下する一方、シグナル線は10.8から35.8へ25.0上昇しており、両者は挟み撃ちで接近しています。

位置関係も確認しておきます。52週高値7万2,831円73銭からの距離は6,815円37銭(9.36%)。一方7月29日の直近安値6万448円90銭からの戻りは5,567円46銭(9.21%)です。20日時点では戻り(+9.54%)が高値までの距離(-9.08%)を上回っていましたが、本日その関係が逆転しました。相場が上下の中間からわずかに下側へ移ったことを、この2つの数字が示しています。

市場心理

本日の市場心理を一言で表すなら、「指数の弱さと、中身の強さの同居」です。順に根拠を挙げます。

第一に、裾野は明らかに強かった値上がりが全体の約56%、33業種中18業種が上昇、日経225構成銘柄でも値上がり135対値下がり86——どの尺度で測っても、上げた銘柄のほうが多い一日でした。指数が下げた日にこれだけ広く買われるのは珍しいことです。19日の「値下がり74%の全面安」、20日の「値上がり84%の全面高」と比べると、本日は56対39という穏やかな分布で、市場全体としては選別しながら買い上がる、落ち着いた状態にあったと言えます。

第二に、日中の需給は買い方が優勢だった789円のギャップダウンで始まり、10時06分に956円57銭安まで売られながら、そこから756円14銭戻して陽線で引けた——この足取りは、売りを吸収する買いが継続的に入っていたことを示しますとくに、前引け時点で値下がり913銘柄だったものが大引けで622銘柄まで減ったのは、後場に約290銘柄がプラス圏へ浮上したということです。指数が動かない後場に、これだけの銘柄が水面上に戻っていました

第三に、それでも指数は下げたファーストリテイリング1銘柄で約222円85銭、ソフトバンクGを加えて約329円05銭という値がさ2銘柄の重みが、883銘柄の値上がりを打ち消して余りある状態です。日経平均は株価の単純平均を基礎とする指数であるため、株価水準の高い銘柄の影響が構造的に大きくなります7万3,510円のファーストリテイリングと5,255円のソフトバンクGでは、同じ1%の変動でも指数への影響がまったく違う——本日はその構造が、指数と実態の乖離という形で露出した日でした。

第四に、商いの細りは続いている売買代金7兆9,134億円は、19日の10兆1,151億円から3営業日で21.8%減です。19日の急落局面で膨らんだ商いが、その後2営業日かけて元の水準へ戻っていると読めます。本日の買い戻しが「新規資金による押し上げ」ではなく「売り方の手仕舞いと押し目拾い」であることは、この数字からも裏づけられます買いが強かったのではなく、売りが減ったという表現のほうが実態に近いでしょう。

第五に、米国側の警戒はやや戻ったVIXは19日の14.89から20日の16.01へ1.12ポイント上昇しました。ダウが703ドル安した日としては控えめな上昇で、16という絶対水準も平静の範囲です。ただし、19日に15を割り込んだ「楽観」が1営業日で解消されたことは事実であり、米国市場が一方的に落ち着いているとは言えなくなりました

総合すると、本日は「悪い下げ」ではありませんでした裾野が広く買われ、日中は陽線を作り、雲の下限と25日線を終値で守った——指数の200円安という数字だけを見て弱気に傾くのは、実態を取り違えますただし、75日線を1営業日で失い、MACDのヒストグラムが3営業日連続で約100ずつ縮み、雲の下限との距離が136円しかないというテクニカル面の劣化は、確実に進んでいます中身が良いから安心、とは言えない位置にあることも、同時に押さえておく必要があります。

翌営業日の注目ポイント

次の東京市場は8月24日(月)です本日は金曜日の大引けであり、この記事から次の取引までには土日を挟む2日間の空白があります。その間の米国市場(21日)と週末の地政学情勢は、月曜の寄り付きにギャップとして一括で反映されますとくに本日の相場を動かした対イラン紛争と原油価格は、週末に動きやすい材料です。本日の終値が雲の下限からわずか136円上という位置にあることを踏まえると、週明けのギャップ次第で、寄り付き時点で雲の下に沈む可能性は十分にあります週をまたぐポジションを持つ場合は、この点を織り込んでおく必要があります

そのうえで、来週の最大のイベントは8月26日に予定されている米エヌビディアの5〜7月期決算です。本日の商いが細ったのは、この決算を見極めたいという待機姿勢が一因と伝えられています。アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシア、ディスコ、レーザーテックといった日本の半導体関連は、この決算の内容に直接反応する銘柄群です。本日はSOX指数の反発を受けてこれらが買い戻され、指数を下支えしましたが、決算までの数営業日は、方向感の出にくい展開が続く可能性があります。

テクニカル面では、3つの水準に注目します。(1)上値は6万6,216円79銭の20日終値と、6万6,241円16銭の75日線——終値からわずか200〜225円上に2つが重なっており、ここを終値で回復できれば「1日の押し」で済んだと評価できます(2)下値は6万5,879円96銭の雲の下限——136円下にあり、割り込めば一目均衡表は再び弱気シグナルに転じます(3)その下の6万5,030〜6万5,260円には本日安値・19日安値・基準線が集中しており、ここが崩れると、8月の上昇分をまとめて失う展開になります。

指標面では、MACDのデッドクロスが目前です。ヒストグラムは+99.9まで縮小しており、翌営業日にも成立する計算になります。MACDは遅行指標であり、成立した時点では下げの初動をとうに過ぎていることも多いため、シグナルそのものより「8月中旬の高値圏からの下落が指標に定着した」という確認として受け止めるのが妥当でしょう。

セクター面では、海運・鉱業・石油石炭が来週も上位に残るかどうかが焦点です。地政学リスクを材料にした上昇は、材料が続くかぎり継続する一方、緊張が緩めば急速に巻き戻る性質があります。また、本日のように金利上昇で買われた金融株が、週明けの米金利次第でどちらにも振れる点も注意が必要です。20日と本日で金融株の方向が完全に反転したことは、この2営業日で実証されたばかりです。

戦略展望

まず現在地を確認します。日経平均は6月22日の52週高値7万2,831円73銭から9.36%下、7月29日の直近安値6万448円90銭から9.21%上——上下のほぼ中間にいます。移動平均では25日線の上、75日線の下、5日線の下一目均衡表では雲の中で、下限まで136円RSI(14日)は48.6の中立どの指標も、方向を断定できる位置にはありません

そのうえで、本日の相場から読み取れる最も重要な事実は、「指数の下げが市場全体の下げではなかった」ことです。883銘柄が上がり、18業種が上がり、日経225構成銘柄の6割が上がって、指数だけが下げましたこれは、日経平均という指数の特性が数字を歪めた日であり、TOPIXが続伸していることのほうが、市場の実勢に近いと考えるのが妥当です。NT倍率の0.08ポイント低下も、同じことを別の角度から示しています

ただし、それは「弱くない」ことを意味しても、「強い」ことを意味しません3つの警戒材料があります。第一に、75日線を1営業日で失ったこと20日に62円上回って回復した水準を、本日225円下回りました第二に、雲の下限との距離が336円から136円へ縮んだこと第三に、MACDのヒストグラムが3営業日連続で約100ずつ縮み、デッドクロス目前まで来たことです。いずれも「まだ崩れていない」段階ですが、余裕は着実に減っています

材料面では、金利が引き続き最大の変数です。20日に金利が下がって高PER株が買われ、本日は金利が上がってバリュー株が買われました2営業日で完全な鏡像が観測されたことは、いま市場が業績よりも割引率に反応しているという状態を裏づけます。この局面では、セクター配分の判断が個別銘柄の選別より効きやすい——逆に言えば、金利の方向を読み違えると、良い銘柄を持っていても逆風を受けるということでもあります。

そのうえで週末をまたぐ点を改めて強調します。本日の終値は、雲の下限から136円、25日線から401円という薄い余裕の上に乗っています21日の米国市場と週末の中東情勢という2つの未知数が、月曜の寄り付きに一括で織り込まれる構造です。0.21%のギャップダウンで雲を割り、0.61%のギャップダウンで25日線を割る——この2つの数字は、週明けを迎えるうえで頭に入れておく価値があります

整理すると、本日の相場は「値がさ株2銘柄が指数を押し下げた一方、市場の裾野は買い戻された日」でした。実態は指数の数字より強く、テクニカルは指数の数字より弱い——この2つが同居しているのが、8月21日終値時点の日経平均の位置です。週明け24日は、6万5,880円(雲の下限)を終値で維持できるかどうかを、まず最初の判断材料としたいところです。

チャート

日経225 (INDEX:NKY)

米ドル/円 (FX:USDJPY)

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