① 先週末の日本市場の動向(8/21)
先週末21日(金)の東京市場は反落で引けました。日経平均は前日比200円43銭安(-0.30%)の66,016円36銭。始値65,427円69銭と789円安で寄り付いたあと、ザラ場では65,260円22銭まで売られましたが、売り一巡後は押し目買いに支えられて下げ渋り、高値66,125円88銭まで戻したところで大引けを迎えています。安値からの戻り幅は約756円。売買高は22億859万株、売買代金は7兆9,134億円と、前日までの10兆円台から大きく減少しました。TOPIXは7.56ポイント高(+0.19%)の4,067.29と、日経平均とは逆に小幅ながらプラスで引けています。高値4,071.77、安値4,034.78でした。
週間では日経平均が2,697円44銭安(-3.93%)と3週ぶりに下落しました。前週末終値は68,713円80銭です。週間の値幅は8月17日(月)のザラ場高値69,225円57銭から8月19日(水)のザラ場安値65,133円98銭までの4,091円59銭と大きく、週の前半と後半でまったく別の相場だったことが数字に表れています。TOPIXは4,197.20から4,067.29へ-129.91ポイント(-3.10%)。日経平均の-3.93%に対してTOPIXの下げが浅いのは、下げの中心が値がさのAI・半導体関連に集中したためです。
週の流れを日ごとに追います。月曜17日は+506円45銭(+0.74%)で5連騰。朝方は様子見でしたが、後場に入って日経平均寄与度の高い半導体関連の値がさ株に買いが厚みを加え、終値69,220円25銭と6万9,000円台に乗せました。ところが火曜18日は-1,759円52銭(-2.54%)と6日ぶりの急反落。米国とイランが覚書で取り決めていた60日間の交渉期限が終了し、トランプ米大統領が覚書の延長を求めていないと発言したことで中東情勢の先行き不透明感が再燃、加えて世界的な長期金利上昇への警戒が重なり、先物主導で下げ幅を広げました。
水曜19日はさらに-2,134円31銭(-3.16%)と続急落。前日の米国株安を引き継ぎ、リスクオフ一色となりました。下げ幅は一時2,300円を超え、ザラ場では65,133円98銭まで下落して6万5,000円台に水準を切り下げています。この日はTOPIXも-3.09%と3%超の大幅安。18日・19日のわずか2営業日で3,893円89銭(-5.6%)を失った計算になります。国内でも長期金利の上昇が続き、日本の10年国債利回りは18日に2.945%と3%の大台を視野に入れる水準まで上昇。日銀の早期追加利上げ観測が強まる中、金利上昇がハイテク株の売り材料として意識されました。
流れが変わったのが木曜20日の+890円37銭(+1.36%)です。前日に米財務省が国債の買い入れ消却(バイバック)を増額すると発表し、同日の米長期金利が急低下。これが国内金利の低下にもつながり、前日までのリスク回避ムードが巻き戻される格好で買い戻しが広がりました。自動車・電力・医薬品といったこれまで出遅れ気味だった銘柄が中心に物色され、金利低下が追い風となる不動産株も上昇しています。ただし戻りは続かず、金曜21日は米長期金利が再び上昇に転じたことが嫌気されて再度下落。前日の米国市場でウォルマートが決算を受けて大幅安となった流れが波及し、ファーストリテイリングや良品計画といった消費関連株が下げたことも指数の重しとなりました。
先週の構図を一言でまとめれば「世界的な長期金利上昇と中東リスクの再燃による、AI・半導体主導の急落」です。数字の面では、急落の前段にいくつか過熱のサインが出ていました。第一に、8月14日のザラ場高値69,608円24銭が、8月のオプションSQ値69,702円に93円76銭届かなかったこと。SQ値を一度も上回れないまま反落する形は「幻のSQ」と呼ばれ、上値の重さを示すパターンとされます。第二に、7月29日の安値60,448円90銭から8月14日高値まで、わずか半月で9,159円34銭(+15.2%)も駆け上がっていたこと。この急ピッチな上昇に対して利益確定と戻り待ちの売りが一気に集中した結果が、18日・19日の2営業日で3,893円89銭という下げでした。
需給面では、8月第2週の投資部門別売買動向で海外勢が現物・先物の合算で6,886億円の買い越しとなった一方、個人は6,557億円の売り越しでした。急騰局面で個人が利益確定に動き、海外勢が買い上がっていた構図が確認できます。
セクター別では、東証33業種のうち9業種が上昇、24業種が下落しました。東証プライム1,550銘柄では値上がり753、値下がり770、変わらず27と、指数の下げに比べれば個別の値動きは拮抗しています。値上がり率トップは海運業の+11.44%で、中東の海上輸送リスク再燃を受けて商船三井・川崎汽船・日本郵船が急騰しました。2位は鉱業の+4.55%、3位は電気・ガスの+4.34%。原油高の受益セクターとディフェンシブに資金が逃げ込む、典型的なリスクオフの並びです。一方で最下位は電気機器の-7.21%、次いでガラス・土石-6.30%、機械-6.13%、金属製品-4.74%、精密機器-4.61%と、AI・半導体と輸出関連が総崩れになりました。以下は東証33業種指数の8月14日終値から8月21日終値までの騰落率です。
| セクター(東証33業種) | 週間騰落率 | コメント |
|---|---|---|
| 海運業 | +11.44% | 33業種で最上位。商船三井・川崎汽船・郵船。中東の海上輸送リスク再燃 |
| 鉱業 | +4.55% | 日鉄鉱・INPEX・石油資源。WTI週間+5.66%の直接的な受益セクター |
| 電気・ガス | +4.34% | 関西電・東電HD・東北電。金利上昇局面で買われるディフェンシブ |
| 石油・石炭製品 | +3.58% | 出光興産・ENEOS・コスモHD。原油高が精製マージン期待につながる |
| 輸送用機器 | +2.37% | ホンダなど。20日の金利低下局面で出遅れ株として見直し買い |
| 医薬品 | +2.01% | 景気・金利感応度の低いディフェンシブとして資金の逃避先に |
| 水産・農林業 | +1.35% | 内需ディフェンシブ。相場全体の急落局面で相対的に底堅い |
| 不動産業 | +1.17% | 日本駐車場開発など。20日の金利低下が追い風となり上昇 |
| 陸運業 | +1.15% | 値上がり9業種の最下位。内需・ディフェンシブ物色の一角 |
| 化学 | -2.95% | 素材全般に売り。世界景気の減速懸念が意識される |
| その他製品 | -3.98% | 前週まで買われた反動。個別決算の出尽くしも重なる |
| 非鉄金属 | -4.08% | 電線・電材。半導体関連の連れ安を受けた売りが優勢 |
| 銀行業 | -4.44% | みずほFGなど。日銀利上げ観測にもかかわらず利益確定が優勢 |
| 精密機器 | -4.61% | リガクHDなど。輸出・ハイテク関連として売られる |
| 金属製品 | -4.74% | 設備投資関連。金利上昇が資本財の逆風として意識される |
| 機械 | -6.13% | 荏原など。決算マイナス・インパクト銘柄も重なり大幅安 |
| ガラス・土石製品 | -6.30% | 半導体材料関連の比率が高く、AI関連の急落に連動 |
| 電気機器 | -7.21% | 33業種で最下位。太陽誘電など。AI・半導体の中心的な売り対象 |
※週間騰落率は東証33業種指数の2026年8月14日終値から8月21日終値までの変化率(株探の業種別指数日足より算出)。値上がりした9業種すべてと、下落率上位9業種を掲載しています。代表銘柄は株探「週間ランキング【業種別騰落率】」および「早わかり株式市況」の記載に基づきます。
② 米国市場の動向(8/21)
同じ21日(金)の米国市場は主要3指数がそろって反発しました。ダウ工業株30種平均は517.80ドル高(+0.98%)の53,277.01ドル、S&P500は33.21ポイント高(+0.43%)の7,674.37、ナスダック総合は113.29ポイント高(+0.43%)の26,180.46。ナスダック100は29,308.86、SOX指数は11,740.37でした。前日20日にダウが703ドル安と大幅反落した直後であり、一部小売企業の良好な決算と8月のサービス業PMI・総合PMIといった経済指標が好感されたほか、イラン大統領が戦争終了を訴えたことで中東の脅威が緩和したとの見方もポジティブ視されました。金利上昇にもかかわらず、前日の急落の反動による買い戻しが優勢だったとされています。
ただし週間ベースでは、3指数そろってマイナスでした。ダウは-455.40ドル(-0.85%)、S&P500は-111.39ポイント(-1.43%)、ナスダック総合は-548.70ポイント(-2.05%)。ナスダック100は-2.45%、そしてSOX(フィラデルフィア半導体株)指数は-676.68ポイント(-5.45%)と、半導体の下げが突出しています。SOXは8月17日に12,621と週初は上昇していましたが、18日に11,992、19日に11,738まで崩れました。東京市場で電気機器が-7.21%となった背景には、この米半導体株の急落があるとみるのが自然でしょう。恐怖指数(VIX)は14.25から15.13へ週間+0.88(+6.2%)と上昇しましたが、節目とされる20には遠く、パニック的な水準ではありません。
週を通しての最大の材料は世界的な長期金利の上昇でした。米30年債利回りは19年ぶりの高水準にまで上昇し、7月小売売上高の下振れなど米景気の先行き懸念も重なって、株式市場の重しとなりました。流れが一度変わったのが19日で、米財務省が長期国債の買戻しオペ(バイバック)規模を倍増すると発表したことをきっかけに米長期金利が急低下、20日の米国株上昇につながっています。しかしその効果は続かず、21日には金利が再び上昇に転じました。
金利水準を確認します。米10年債利回りは4.733%(前日比+3.1bp)で引け、8月14日の4.696%からは週間で約3.7bpの上昇です。2年債は4.24%(前日比+6bp)、30年債は5.27%(同+4bp)。2年-10年のスプレッドは49.50bp、2年-30年は103.30bpで、イールドカーブはフラット化しました。フィスコによれば21日の10年債利回りは、ベッセント財務長官の「介入」前の水準にまで戻したとされています。
金利先物市場の織り込みも押さえておきます。CME FedWatchによれば、9月FOMCで政策金利が3.50〜3.75%となる確率は61%程度、10月FOMCでは49%程度、年内に利上げが行われる確率は67%程度とされています。この数値は前週とほぼ変わっていません。つまり先週の株安は「利上げ観測の急変」ではなく、長期金利の上昇そのものと中東リスクによるものだったと整理できます。フィスコは「短期的な利上げの有無よりも、上昇基調が続く長期金利の動向、雇用統計や小売売上高の大幅な下振れが示すような景況感の悪化に焦点が向かいつつある」と指摘しており、この見方は今週も引き継がれそうです。
③ 時間外取引・サンデーダウ・サンデーナスダックの状況
週末の時間外(先物)市場は、米国株が現物をわずかに上回る水準で週を終えました。サンデーダウ(ダウ先物)は53,353ドル。金曜の現物終値53,277.01ドルに対して約+76ドル(+0.14%)です。サンデーナスダック(ナスダック100先物)は29,387.75でナスダック100比+79ポイント(+0.27%)、S&P500先物(Eミニ)は7,691.25で現物比+17ポイント(+0.22%)。3指数の先物がそろって現物をわずかに上回る、金曜の反発の流れをそのまま維持した中立からやや強めの位置取りです。
日経先物も落ち着いています。大阪取引所ナイトセッションの日経225先物(9月限)は66,010円で、前日清算値比80円安。金曜の現物終値66,016円36銭と比べるとわずか6円36銭安(-0.01%)という、ほぼ同値での週末通過となりました。日経225miniは65,980円(-110円)、TOPIX先物は4,077.5ポイント(+1.5ポイント)で、TOPIX先物は現物終値を10.21ポイント上回っています。CME日経平均先物は円建て9月限が65,915円(大取終値比175円安)、ドル建てが65,930円(同160円安)、SGX夜間は65,985円でした。
ここは今週の起点を考えるうえで重要な点です。前週も大取ナイトが現物を6円上回るフラットスタートでしたが、今週も現物比6円安とほぼ同値。つまり2週続けて、先物からの「下駄」も「重し」もない状態で週明けを迎えます。月曜の寄り付きは金曜終値66,016円前後からのフラットスタートが現時点の市場の見立てであり、指標や材料に素直に反応する地合いになると考えられます。ただしCME円建てが大取終値を175円下回っている点は、やや弱含みの余韻を示しています。
為替は小幅に円高方向でした。ドル円は21日のNY市場で159円01銭で引けています(フィスコ)。週末時点の水準は158円94銭で、前週末の159円31銭からは週間37銭の円高です。ただし週内の値動きは激しく、17日に159円78銭まで上昇したあと、19日には米財務省のバイバック発表による米長期金利の急低下で一時158円03銭まで下落。158円台から159円台後半までの振れ幅の大きな一週間となりました。下表・下図では、まず金曜終値の通常指標(ダウ・S&P500・ナスダック)を示し、その後に時間外のサンデーダウ・サンデーナスダック等の先物、続いてVIX・為替・商品などの指標を並べています。
| 指標 | 水準 | 変化 | コメント |
|---|---|---|---|
| ダウ平均(金終値) | 53,277.01ドル | +0.98% | 前日703ドル安の反動で反発。週間は-0.85% |
| S&P500(金終値) | 7,674.37 | +0.43% | +33.21。週間は-1.43%で3週ぶり下落 |
| ナスダック総合(金終値) | 26,180.46 | +0.43% | +113.29。週間は-2.05% |
| ナスダック100(金終値) | 29,308.86 | +0.33% | 週間-2.45%と総合指数より下げがきつい |
| SOX指数(金終値) | 11,740.37 | -0.51% | 週間-5.45%。主要指数で下げが突出 |
| サンデーダウ(ダウ先物) | 53,353ドル | ダウ比 +0.14% | 現物を約76ドル上回って週末を通過 |
| サンデーナスダック(NQ) | 29,387.75 | NQ100比 +0.27% | 現物を約79pt上回るが半導体は依然重い |
| S&P500先物(Eミニ) | 7,691.25 | 指数比 +0.22% | 現物を約17pt上回る中立的な水準 |
| 日経225先物(大取ナイト) | 66,010円 | 現物比 -0.01% | 前日清算値比-80円。現物比-6円のフラット |
| CME日経先物(円建て) | 65,915円 | 大取終値比 -175円 | ドル建ては65,930円。SGX夜間は65,985円 |
| VIX(恐怖指数) | 15.13 | 週間 +0.88 | 週間+6.2%。節目20には届かず警戒は限定的 |
| ドル円 | 158.94円 | 週間 -0.37円 | 一時158円03銭。NY終値は159円01銭 |
| WTI原油(NY終値) | 87.06ドル | 週間 +5.66% | ホルムズ海峡封鎖の長期化観測で3週続伸 |
| 金(NY終値) | 4,624.10ドル | 週間 +5.56% | 質への逃避買い。時間外では4,680ドル近辺 |
| 米10年債利回り | 4.733% | 週間 +3.7bp | 30年債は5.27%と19年ぶり高水準圏 |
| BTC/USD | 78,335ドル | 週間 +24.39% | 6.3万→7.8万ドルへ急騰。週末は7.7万台 |
| 日経225(金終値) | 66,016.36円 | -0.30% | 3週ぶり反落。週間は-2,697円(-3.93%) |
※「サンデーダウ」は金曜の時間外取引終了時点(米東部時間17時)のダウ先物清算値と現物終値の乖離を指しています。CME先物は金曜16時ET〜日曜18時ETが閉場のため、日曜午前の日本時間にリアルタイム値は存在しません。週明けの実際の寄り値とは乖離する可能性があります。日経225先物は大阪取引所ナイトセッション(2026年9月限)終値。金はCOMEXの8月21日日足終値で、株探「NY金」の4,680.6ドル、フィスコのCOMEX9月限通常取引終値4,661.60ドルとは集計方法により差があります。BTCは8月21日の日足終値で、日本時間8月23日午前時点では77,252ドル近辺です。

④ 週末の国際情勢ハイライト
| 項目 | リスクレベル | 状況・影響 |
|---|---|---|
| 世界的な長期金利上昇 | 高 | 米30年債は19年ぶり高水準。日本10年債は18日に2.945% |
| 中東(米・イラン) | 高 | 60日間の交渉期限が8/17に終了。ホルムズ海峡封鎖は長期化見通し |
| 原油価格 | 高 | WTIは週間+5.66%の87.06ドル。インフレ再燃ルートが残る |
| 米Fed(ジャクソンホール) | 高 | 8/28にウォーシュFRB議長が基調講演。年内利上げ確率は67% |
| エヌビディア決算 | 高 | 8/26発表。前回は好決算でも直後に株価下落。AI関連の行方を左右 |
| 日銀・為替介入 | 中〜高 | 9月追加利上げ観測。8/28に外国為替平衡操作の実施状況が公表 |
| 米個人消費 | 中〜高 | ウォルマート決算が失望を誘い消費関連株が下落。8/26にPCE |
■ 世界的な長期金利上昇 — 先週最大のテーマ
先週の相場を動かした最大の要因は、株式でも為替でもなく債券でした。米30年債利回りは19年ぶりの高水準にまで上昇し、日本の10年国債利回りも18日に2.945%と3%の大台を視野に入れる水準まで上昇。日米同時進行の金利上昇が、グローバルな債券売り・株売りの連鎖を招きました。金利が上がればディスカウント・レートが上がり、遠い将来のキャッシュフローに価値の大半を置くAI・グロース株ほど打撃が大きくなります。東京市場で電気機器が-7.21%、米国でSOX指数が-5.45%という下げ方は、まさにこの教科書どおりの反応でした。
流れを一度断ち切ったのが19日の米財務省による長期国債の買戻しオペ(バイバック)規模の倍増発表です。これで米長期金利が急低下し、20日の日米株は買い戻しに動きました。ところが翌21日には金利が再び上昇に転じ、株は上げても金利上昇は続くという居心地の悪い状態のまま週を終えています。2年-10年のスプレッドは49.50bp、2年-30年は103.30bpとイールドカーブはフラット化しており、市場が「短期の政策金利」よりも「長期の財政・インフレ」を警戒し始めていることを示しています。今週も金利の動向が株価の上値を規定する構図は変わらないでしょう。
■ 中東 — 交渉期限が切れ、ホルムズ海峡の封鎖は長期化へ
米国とイランが覚書で取り決めていた60日間の交渉期限が8月17日に終了しました。トランプ米大統領が覚書の延長を求めていないと発言したことで、軍事衝突激化への懸念が再燃。フィスコは「米国とイランの関係改善に対する期待は後退し、ホルムズ海峡の封鎖は長期化する見通し」としています。もっとも21日にはイラン大統領が戦争終了を訴え、中東脅威の緩和がポジティブ視される場面もありました。方向感が定まらない状態が続いています。
原油は供給リスクを織り込んで一段高となりました。WTI原油は8月21日のNY終値で87.06ドル、週間+5.66%で3週続伸です。前週末の82.40ドルから4.66ドルの上昇で、20日には87.83ドルまで買われました。原油高がインフレ圧力として意識されれば、米金利上昇が続くルートが残る点が今週の警戒事項です。国内では海運業が週間+11.44%、鉱業が+4.55%、石油・石炭製品が+3.58%と、中東リスクの受益セクターが上位を独占しました。フィスコは「イラン情勢が一段と混とんとする中で、あらためて手控えられるセクター、海運株などのように買われる銘柄の選別が進んでいく可能性もある」とみています。
■ 米Fed — 8月28日にウォーシュ議長がジャクソンホールで講演
今週最大の政策イベントが27日から29日まで開催されるジャクソンホール会議、とりわけ28日23時(日本時間)に予定されるウォーシュFRB議長の基調講演です。フィスコは「足下ではインフレ指標の下振れが目立つほか、景気減速を示す経済指標も多く、目先の追加利上げ懸念は大きく後退している。悪材料につながる公算は小さい」としつつも、「ウォーシュFRB議長はフォワード・ガイダンスに消極的な姿勢を貫いており、こうした方針を明確に打ち出すような発言があれば、株式市場にとってはネガティブと捉えられる余地がある」と警戒しています。
織り込み状況はCME FedWatchで9月FOMCの3.50〜3.75%確率が61%、10月が49%、年内利上げ確率が67%。「早期利上げ観測は後退した」とはいえ、年内の利上げ自体は依然として3分の2の確率で織り込まれている点は押さえておくべきです。また26日には7月の個人所得・個人消費支出とPCEコア価格指数が発表されます。フィスコの現時点の見通しでは7月コアPCEは前年比+3.3%と前回から横ばい。インフレ鈍化のペースが緩慢との見方が広がれば、ドル買い・金利上昇の材料となります。
■ 日銀・為替 — 9月利上げ観測と介入警戒の綱引き
国内では21日発表の7月全国消費者物価指数(生鮮食品除く)が前年比+1.8%と市場予想どおりとなり、日銀の9月追加利上げ観測が改めて意識されました。フィスコは「中東情勢の短期的な改善期待が遠のき、依然としてインフレ高進懸念は拭えない情勢にあり、日米協調の為替介入実施などからも、日本銀行の9月追加利上げ実施の可能性は高い」としたうえで、「今後の企業収益に与える影響は十分に織り込まれておらず、円高進行につながる余地もあることから、株式市場へマイナスインパクトを及ぼす余地は残されている」と指摘しています。
為替は158円台から159円台後半までの振れ幅の大きな一週間でした。フィスコの今週の予想レンジは157円00銭〜162円00銭。「原油高でインフレ圧力が意識される中、FRBの引き締め的な政策方針を見込んだドル買いが続く。ただ、心理的節目の160円が視野に入ると為替介入への警戒が強まり、上値は重くなりそうだ」との見立てです。ドル売り要因としては日米協調介入継続への警戒、日銀9月利上げ観測、米物価鈍化・小売減少・雇用悪化による利上げ観測後退が挙げられています。28日19時に公表される外国為替平衡操作の実施状況(7月30日〜8月26日分)は、実際の介入規模が明らかになるイベントとして注目です。
なお、ウクライナ情勢および米中通商については、当週の一次ソース(株探・フィスコの週末見通し記事)に新規材料の記載がなかったため、本稿では取り上げていません。暗号資産は先週最大級の値動きを見せており、BTC/USDは1週間で62,976ドルから78,335ドルへ+24.39%の急騰となりました。株式が売られる一方でBTCと金が同時に急騰した点は、「株から実物・非法定通貨資産への資金シフト」という文脈でも読める動きです。
⑤ 今週(8/24〜8/28)の日本市場の見通し
以上を踏まえた今週の東京市場の見通しです。まず前提として、今週は日本の祝日がなく、24日(月)から28日(金)までの5営業日がフルにあります。オプションSQは8月14日に通過済みで需給イベントはありませんが、27日(木)が9月権利確定に向けた権利付き最終日にあたる点は押さえておきたいところです。海外では25日にインドネシア・マレーシア市場が休場となりますが、日本株への影響は限定的でしょう。
最大の特徴は二大イベントが週の後半に集中していることです。26日(水)の米エヌビディア決算(日本時間27日早朝)と、27日(木)から29日(土)のジャクソンホール会議、28日(金)23時のウォーシュFRB議長講演。フィスコは「国内は材料難の状況で、海外半導体株の動向を睨みながらの関連株物色が中心的な動きとなろう」とし、株探も「これらを通過するまで相場の方向性は見えにくく、様子見ムードが強まりそうだ」としています。週前半は動きにくく、週後半に振れが集中するという時間配分を想定しておくのが実務的です。
テクニカル面を確認します。金曜終値66,016円36銭は、5日移動平均66,848円11銭と75日移動平均66,241円16銭をいずれも下回り、25日移動平均65,615円12銭をかろうじて上回るという微妙な位置にあります。200日移動平均は58,247円49銭とはるか下方です。上値ではボリンジャーバンド+1σが67,616円26銭、その上に+2σの69,617円40銭。下値では-1σが63,613円98銭です。年初来高値は6月22日の72,831円73銭で、そこからの下落率は約9.4%。年初来安値は3月31日の50,558円91銭です。25日線と75日線に挟まれたゾーンに落ちてきたのが現在地です。上昇局面で支えとなっていた5日線と75日線をいずれも下回り、25日線をかろうじて上回るという、方向感がもっとも判別しにくい位置に落ち着いたことになります。
下値の節目として意識されやすいのが「6万5,000円」です。理由は二つあり、いずれも計算で確かめられます。第一に、7月29日安値60,448円90銭から8月14日高値69,608円24銭までの上昇に対する半値押しが65,028円57銭であること。第二に、一目均衡表の基準線(過去26営業日の高値と安値の平均)も同じ65,028円57銭にあることです。この26営業日の高値と安値がまさに69,608円24銭と60,448円90銭ですから、両者は定義上ぴったり重なります。異なる二つの計算方法が同じ水準を指しているという点で、ここは相応に意識されやすい価格帯といえます。あわせて日経225先物のピボット分析ではPIVOTが65,806円で、S1が66,733円、S2が67,106円、HBOPが68,033円、B1が65,433円、B2が64,506円、LBOPが64,133円という並びです。
■ 一目均衡表の「雲」で今週の位置を確認する
本稿では以降「雲」という言葉を使うので、先に何を指すのかを整理しておきます。一目均衡表は、過去の高値と安値の平均から「買い方と売り方の力が釣り合う価格」を割り出すテクニカル指標です。このうち次の2本を、どちらも26営業日ぶん先にずらして描いたものが基本形になります。
- 先行スパン1 = (転換線+基準線)÷2 / 転換線は過去9営業日、基準線は過去26営業日の高値と安値の平均
- 先行スパン2 = 過去52営業日の高値と安値の平均
この2本に挟まれた帯が「雲」です。読み方はシンプルで、株価が雲より上にあれば上昇基調で雲の上限が下値の支えになり、雲より下にあれば下降基調で雲の下限が上値の重しになる。雲の中にあるときは方向感の定まらないもみ合いと判断します。さらに雲が厚いほど抜けにくく、薄いほど抜けやすいとされます。最大の特徴は26営業日先まで先に描かれている点で、これから訪れる支持帯・抵抗帯の位置と厚みが、今の時点で分かっていることにあります。下図の8月21日より右側にある帯が、今週から来月にかけて日経平均を待ち受けている雲です。

現在地を確認します。8月21日時点の雲は65,879円96銭〜67,955円17銭。金曜終値66,016円36銭は雲の下限をわずか136円上回るだけの「雲の中の下端」にあります。7月末から8月中旬の急騰局面で日経平均はいったん雲を完全に上抜けていましたが、先週の急落でその内側まで押し戻された形です。
そして今週は、雲そのものの形が動きます。雲の下限は8月25日に66,047円61銭、26日以降は66,061円99銭へと切り上がります。つまり金曜終値の水準のまま推移すれば、火曜以降は自動的に「雲の下」に位置することになるという計算です。一方で雲の上限は8月26日に67,049円61銭、27日以降は66,903円95銭まで下がってきます。結果として雲の厚みは2,075円から842円へと一気に薄くなります。
ここが今週のテクニカル上の分岐点です。厚い雲は抜けにくく、薄い雲は抜けやすい。今週の雲は薄いため、上下どちらにも動きやすい地合いと読めます。具体的な水準に落とすと、66,062円を終値で上回れれば雲の中に踏みとどまり、66,904円を上抜ければ雲の上に復帰します。逆に66,062円を回復できないまま週を終えれば、雲の下での推移が定着する形です。さらに先を見ると、上図の+8営業日付近(9月上旬)で先行スパン1と2の上下が入れ替わる「ねじれ」が起こり、そこから先の雲は下向きに転じます。今週から9月上旬にかけては、雲が支えとして効きにくい期間だという点は頭に入れておきたいところです。
※本稿の一目均衡表の数値は、株探の日経平均(現物)確定日足から筆者が算出したものです。株探が公表している先物ベースの値(22日夜間取引終了時点)は雲下限66,310円・雲上限68,015円・転換線67,265円・基準線65,085円で、先物のほうが現物より高い水準にあるため、先物ベースでは金曜終値はすでに雲の下と判定されます。本文では現物ベースの数値に統一しています。
以上から、金曜終値66,016円を起点に、上値想定67,600円(+2.40%)/基本シナリオ66,000円(横ばい)/下値想定64,500円(-2.30%)を今週の想定レンジとします。上下ほぼ対称の設定です。エヌビディア決算とジャクソンホールという二つの binary なイベントを控え、方向を決め打ちできる材料がないためです。なお参考までに、フィスコの今週の日経平均予想レンジは下限64,500円〜上限68,500円とされており、本稿の想定はこの内側に収まります。

■ 上値想定 67,600円:雲への復帰シナリオ
上値のメドを67,600円に置く根拠は、ボリンジャーバンド+1σが67,616円26銭にあること、そして一目均衡表の転換線(先物ベース)が67,265円とやや手前に位置していることです。この二つが重なるゾーンは、統計的にも需給的にも上値が重くなりやすい水準と考えられます。そこに至るまでの関門は段階的です。まず今週切り上がってくる雲の下限66,062円と現物75日線の66,241円16銭。次に先物ピボットS1の66,733円と現物5日線の66,848円11銭、そして今週の雲の上限66,904円です。ここを終値で上抜ければ雲の上への復帰となり、テクニカルの絵は一気に改善します。その先に先物ピボットS2の67,106円が控えます。
このシナリオを支える材料を整理します。第一にエヌビディア決算が市場予想を上回り、かつ株価が素直に上昇すること。第二にジャクソンホールでのウォーシュ議長講演がハト派的、あるいは無風で通過すること。フィスコも「悪材料につながる公算は小さい」としており、無風通過なら安心感から買い戻しが入りやすい地合いです。第三に米長期金利の上昇が一服すること。先週の下げの主因が金利である以上、金利が落ち着けば下げ圧力も緩みます。第四に8月第2週に6,886億円を買い越した海外勢の買いが継続することです。
なお、上値の遠い目標としては先物ピボットHBOPの68,033円があり、フィスコの予想レンジ上限68,500円もこの近辺です。ただし今週中にここまで戻すには、二大イベントの両方を無風で通過したうえで金利が明確に低下する必要があり、確度は高くないとみて上限は+1σ止まりとしました。
■ 下値想定 64,500円:6万5,000円割れの本格調整シナリオ
下値のメドは日経225先物のピボットB2(第2下値支持)64,506円に置きます。フィスコの予想レンジ下限64,500円とほぼ完全に一致する水準です。ここに至るまでには複数の関門があります。まず現物25日線の65,615円12銭と先物PIVOTの65,806円。次に先週の安値65,133円98銭(8/19)、そして半値押しと一目均衡表の基準線が定義上ぴたりと重なる65,028円57銭を含む「6万5,000円」のゾーンです。終値ベースで6万5,000円を割り込むかどうかが、調整が本格化するかを判定する最大のシグナルになります。その下には先物ピボットB1の65,433円が挟まりますが、6万5,000円を明確に割れば次の支持は64,500円前後、さらに下はLBOPの64,133円という並びです。
警戒すべきシナリオは主に三つです。第一にエヌビディア決算の「出尽くし」。フィスコは「前回は市場予想を上回る好決算を発表したものの、直後の株価は下落している。最近の海外主要半導体株も総じて、好決算発表後は売りが先行する状態となっているため、今回も同様の動きとなる可能性は高い」と明言しています。さらに翌27日にはマーベル・テクノロジーの決算も控え、こちらは7月29日の直近安値から50%以上も株価が上昇しているため、より出尽くし感につながりやすい状況です。
第二に長期金利の一段高。米30年債が19年ぶり高水準にある状態で、ウォーシュ議長がフォワード・ガイダンスに消極的な姿勢を改めて打ち出せば、金利は一段と上昇しかねません。日本側でも日銀9月利上げ観測が強まれば、国内長期金利の3%乗せが視野に入ります。第三に中東情勢の再悪化と原油の一段高。ホルムズ海峡の封鎖が長期化する見通しである以上、原油高→インフレ再燃→金利上昇という連鎖のリスクは残ったままです。
■ 基本シナリオ 66,000円:雲の下限を挟んだもみ合い
最も可能性が高いとみるのが、66,000円前後を中心としたもみ合いです。金曜終値66,016円36銭、大取ナイトセッション66,010円という二つの水準がこの価格帯にほぼ完全に重なっており、先物からの上方乖離も下方乖離もない状態で週明けを迎えます。上には今週切り上がってくる雲の下限66,062円と現物75日線66,241円、下には先物PIVOT65,806円と現物25日線65,615円が挟む格好で、上下いずれにもテクニカルの節目が400円以内に迫っているのが現在地です。狭いレンジをこじ開けるのは、結局のところ26日以降のイベントということになります。
週の流れのイメージは次のとおりです。月曜24日は材料難。国内は10年クライメート・トランジション債の入札のみ、海外も米シカゴ連銀全米活動指数程度で、方向感の出にくい一日でしょう。火曜25日は米8月コンファレンスボード消費者信頼感指数と7月新築住宅販売件数が夜に控えます。水曜26日は日中に7月企業向けサービス価格指数、夜に米4-6月期GDP改定値と7月の個人所得・個人消費支出・PCEコア、そして米国引け後にエヌビディア決算。木曜27日の寄り付きが今週最大の変動ポイントになります。同日は権利付き最終日でもあり、氷見野日銀副総裁の講演も予定されています。金曜28日は朝に7月完全失業率・有効求人倍率・8月東京都区部CPI、夜に外国為替平衡操作の実施状況とウォーシュ議長講演と、朝夕で材料が挟み撃ちになります。
物色面では、AI・半導体一極集中からの資金分散が続くかが焦点です。先週は海運・鉱業・電力・石油といった中東リスク受益セクターとディフェンシブに資金が逃げ、AI・半導体と輸出関連が総崩れになりました。フィスコは「長期金利上昇や追加利上げを意識した物色なども強まっていく余地がありそうだ」とし、加えて「8月中盤からの気温上昇を映した販売回復期待などが小売株の見直し材料となる余地も」と指摘しています。新興市場については「値動き重視で低位株買い、ジャクソンホール会議で生成AI株は見送り」という見立てで、こちらもAI関連は手控えの姿勢です。
■ 今週の注目イベント
- 8/24(月):10年クライメート・トランジション利付国債入札、東京カンテイ7月中古マンション価格、米7月シカゴ連銀全米活動指数(21:30)、メキシコ4-6月期GDP。海外決算はPDDホールディングス。材料難の一日。
- 8/25(火):6月景気動向指数[改定値](14:00)、7月外食売上高・全国スーパー売上高(14:00)、7月全国百貨店売上高(14:30)、独4-6月期GDP[確報値](15:00)、独8月Ifo景況感指数(17:00)、米6月S&Pケースシラー住宅価格・6月FHFA住宅価格指数(22:00)、米8月コンファレンスボード消費者信頼感指数(23:00)、米7月新築住宅販売件数(23:00)、米8月リッチモンド連銀製造業指数、米2年国債入札。海外決算はインテュイット。インドネシア・マレーシア市場休場。
- 8/26(水):7月企業向けサービス価格指数(8:50)、7月白物家電出荷額(10:00)、米MBA住宅ローン申請指数(20:00)、米4-6月期GDP[改定値](21:30)、米7月個人所得・個人消費支出・PCEコア価格指数(21:30)、米7月耐久財受注(21:30)、米週間石油在庫統計、タイ中銀政策金利、米5年国債入札。海外決算はエヌビディア、セールスフォース、クラウドストライク、シノプシス、HP。
- 8/27(木):権利付き最終日、週間対外及び対内証券売買契約等の状況(8:50)、7月工作機械受注、氷見野良三日銀副総裁が埼玉県金融経済懇談会で講演・記者会見、独9月Gfk消費者信頼感(15:00)、ユーロ圏7月マネーサプライM3(17:00)、米新規失業保険申請件数・7月卸売在庫(21:30)、韓国中銀・フィリピン中銀が政策金利発表、米7年国債入札、ジャクソンホール会議開幕(〜29日)。海外決算はマーベル・テクノロジー、オートデスク、ワークデイ、ダラー・ジェネラル、ダラー・ツリー、ベスト・バイ。
- 8/28(金):7月完全失業率・有効求人倍率(8:30)、8月東京都区部消費者物価指数(8:30)、外国為替平衡操作の実施状況(7/30〜8/26分、19:00)、2年国債入札、独8月失業率(16:55)、ユーロ圏8月消費者信頼感[確報値]・景況感指数(18:00)、米8月シカゴ購買部協会景気指数(22:45)、ウォーシュFRB議長がジャクソンホール会議で基調講演(23:00)、米8月ミシガン大学消費者信頼感指数[確報値](23:00)、米雇用者数の年次ベンチマーク改定[暫定推計]。海外決算はBYD。
- 今週の国内決算:4-6月期決算は8月14日で一巡済みです。国内は材料難の状況が続きます。
■ 戦略・スタンス
今週は「週前半は動かず、水曜夜からが本番。イベント前にポジションを膨らませない」を基本スタンスとします。先物と現物の乖離がほぼゼロ、国内は材料難、そして週後半にエヌビディア決算とジャクソンホールが控える。相場を動かすのは実質的にこの二つだけという構造の週です。株探が「これらを通過するまで相場の方向性は見えにくく、様子見ムードが強まりそうだ」とみているとおり、月曜・火曜に大きな方向感を求めるのは無理筋でしょう。
具体的な組み立ては次の4点です。①AI・半導体関連はエヌビディア決算を跨ぐ持ち高に注意。フィスコが指摘するとおり、直近の主要半導体株は好決算でも発表直後に売られる傾向が続いています。しかも現在の株価水準はほぼ前回決算発表時と同じとされ、期待の織り込みが一巡している可能性があります。②中東リスク受益セクターは利益確定のタイミングを意識。海運が1週間で+11.44%という上昇は、イラン大統領の停戦発言ひとつで巻き戻されうる性質のものです。③金利敏感セクターは28日の東京都区部CPI次第。上振れなら日銀9月利上げ観測が強まり、銀行株が買われる一方で不動産・グロースが売られる展開になりやすい。④27日の権利付き最終日に向けた配当取りの動きが、9月配当銘柄に短期的な下支えとして効く可能性があります。
リスク管理では二点。第一にVIXが15.13という水準は「まだ低い」ということです。先週2営業日で3,893円下げてもVIXは15台にとどまりました。これは市場がまだ本格的なリスクオフに転じていないことを意味すると同時に、悪材料が出れば一段の売りを吸収する余地が残っていることも意味します。第二に日経平均が一目均衡表の雲の下端に張り付いているという事実です。今週は雲の下限が66,062円まで切り上がってくるため、ここを終値で上回れないまま週を終えれば、テクニカル的には調整継続のサインが強まります。
最後に中期の視点を添えます。今週の防衛ラインは「6万5,000円」です。前述のとおり、7月29日安値から8月14日高値までの上昇に対する半値押し65,028円57銭と、一目均衡表の基準線が定義上ここで一致します。金曜終値66,016円36銭からは987円79銭、率にして1.5%下方。半値押しを終値で維持できているうちは、7月末からの上昇基調そのものが崩れたとは言えません。逆にここを明確に割り込めば上昇分の半分以上を失うことになり、想定の枠組みを組み直す必要が出てきます。この1,000円弱が、今週の判断の分かれ目です。
チャート(TradingView)
日経225(INDEX:NKY)・ドル円(FX:USDJPY)・S&P 500(FOREXCOM:SPXUSD)の主要チャートです。本文の数値と合わせてご確認ください。
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免責事項:本記事は情報提供のみを目的としたものであり、特定の銘柄や取引手法を推奨するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任で行ってください。記載内容は執筆時点での公開情報をもとに作成しており、その正確性・完全性を保証するものではありません。相場の想定レンジはあくまで筆者の見解であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資には元本割れのリスクが伴います。

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