米ブロードコム急落がAI・半導体株に波及
本日の相場概況
2026年6月4日(木)の東京株式市場で日経平均株価は反落し、終値は前日比931円44銭(1.36%)安の67,470円69銭となりました。前日3日に終値ベースの史上最高値となる68,402円を付けた直後だけに、利益確定売りが出やすい地合いの中、米国時間3日夕の時間外取引で米半導体大手ブロードコムが急落したことをきっかけに、AI・半導体関連株へ売りが波及しました。下げ幅は一時1,400円を超える場面もあり、史上最高値更新の翌日に冷や水を浴びせられる格好となりました。
ブロードコムが3日に発表した2026年2〜4月期決算は、売上高・純利益ともに市場予想を上回り四半期として過去最高、AI半導体売上高も前年同期比2.4倍と好調でした。しかし5〜7月期のAI半導体売上高見通しが市場の高い期待に届かず、時間外で株価は一時10%を超える下落となりました。期待値が極限まで高まったAI相場の「ガイダンスへの過敏さ」が改めて意識され、東京市場でもソフトバンクグループ(SBG)が11%あまり下落し、この1銘柄で日経平均を約754円押し下げました。一方、TOPIXの下げは0.29%にとどまり、下落が指数寄与度の大きいAI・半導体関連に集中した「選別調整」であったことがうかがえます。
また、中東情勢の不透明感を背景に3日の米株式相場が下落したことを受け、リスク回避姿勢を強めた海外短期筋による株価指数先物への売りも相場の重荷となりました。もっとも、4日アジア時間には米国務省がイスラエルとレバノンの停戦協定の完全な履行・実施で合意したと発表しており、地政学リスクはやや和らぐ兆しも見えています。
主要マーケット指標
| 指標 | 終値・現在値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 67,470.69円 | -931.44円 (-1.36%) |
| TOPIX | 3,829.48 | -11.01 (-0.29%) |
| ドル円 (USD/JPY) | 159.89円前後 | 小幅な円安・ドル高 |
| S&P 500 (3日終値) | 7,553.68 | -0.74% |
| WTI原油先物 | 95.68ドル | 高止まり(93.64〜96.04ドル) |
マクロ・地政学環境
前日3日の米国市場では、中東情勢の緊迫化を背景に主要株価指数が最高値圏から反落しました。S&P500は0.74%安の7,553.68と9日続伸の連騰記録が途切れ、リスクオフムードが東京市場にも持ち込まれました。一方で、4日アジア時間早朝に米国務省がイスラエル・レバノン停戦協定の完全履行で合意したと発表したことで、過度な警戒感は一服しています。
原油市場では、米・イラン交渉の不透明感と中東の紛争再燃懸念からWTI原油先物が依然1バレル=95ドル台後半と高値圏で推移しています。原油高の長期化はインフレ再加速と企業のコスト増につながるため、株式市場にとっては無視できないリスク要因です。為替市場では、ドル円が前日のNY市場で約1カ月ぶりの高値となる160.09円前後まで上昇した後、4日の東京時間は停戦合意報道や原油安の場面でのドル売りを受けて159円台後半でもみ合う展開となりました。160円の大台を巡る攻防は、輸出関連株の支援材料と輸入インフレ懸念の両面から引き続き注目されます。
セクター・個別銘柄動向
本日の下落の主役はAI・半導体関連株でした。ソフトバンクグループ(9984)は11%あまりの大幅安となり、1銘柄で日経平均を約754円押し下げました。ブロードコムと同様にAI半導体を手掛けるソシオネクスト(6526)も連想売りで急反落するなど、ブロードコム・ショックの余波が広がりました。前日にキオクシアホールディングスが時価総額で一時トヨタ自動車を上回るなど過熱感が指摘されていた半導体セクターだけに、好決算でも見通しが期待に届かなければ売られるという、AI相場の「期待値の高さ」が浮き彫りになった一日でした。
一方、TOPIXの下落率が0.29%にとどまったことが示すように、AI・半導体以外のセクターは相対的に底堅く推移しました。指数寄与度の大きい値がさハイテク株への売りが日経平均を大きく押し下げた一方で、内需株やバリュー株には押し目買いや資金シフトの動きも見られ、相場全体が総崩れになったわけではない点は安心材料です。
テクニカル分析
トレンド
日経平均は前日に史上最高値68,402円を付けた直後の反落であり、上昇トレンド自体は崩れていません。本日の安値圏でも67,000円近辺では押し目買いが入り、下げ幅を縮小して引けた点は強さの表れです。短期的には急ピッチの上昇に対するスピード調整の範囲内と評価でき、5日移動平均線からの乖離を解消する健全な調整との見方が優勢です。
RSI・MACD
連日の最高値更新で短期的な過熱圏(70超)に達していたとみられるRSIは、本日の反落で過熱感がやや冷やされた形です。MACDは高水準ながら、本日の大幅安でシグナル線との乖離が縮小しており、目先はモメンタムの鈍化に注意が必要です。ただし中期的なゴールデンクロス形成後の上昇基調は維持されています。
出来高・需給
本日は半導体関連の売りと押し目買いが交錯し、商いは膨らみました。海外短期筋による株価指数先物への売りが下げを主導した一方、現物には国内勢とみられる押し目買いも観測されており、需給の悪化は限定的とみられます。
サポート・レジスタンス
- レジスタンス: 68,000円(心理的節目)、68,402円(史上最高値)
- サポート: 67,000円(本日下げ渋った水準・心理的節目)、66,500円(直近もみ合い上限)
市場心理
史上最高値更新の高揚感から一転、ブロードコムの決算ガイダンスひとつで1,000円近い下げに見舞われたことで、投資家心理は「強気の中の警戒」へとシフトしています。AI相場の持続性そのものを疑う声はまだ少数派ですが、好決算でも見通しが期待に届かなければ容赦なく売られる相場環境は、バリュエーションの高い銘柄ほどボラティリティが大きくなることを意味します。中東情勢と原油高というマクロのリスク要因もくすぶっており、目先は楽観と警戒が交錯する神経質な展開が続きそうです。
明日の注目ポイント
- 米雇用統計(5日発表): FRBの利下げ観測を左右する最重要指標。結果次第で米金利・ドル円が大きく動く可能性
- ブロードコム・ショックの余波: 今晩の米国市場でAI・半導体株が下げ止まるかが東京市場の方向性を決める
- ソフトバンクグループの値動き: 日経平均への寄与度が極めて大きく、リバウンドの有無が指数を左右
- 中東情勢と原油価格: イスラエル・レバノン停戦履行の進展とWTI原油の95ドル台からの方向感
- ドル円160円の攻防: 約1カ月ぶり高値圏。160円台定着なら輸出株支援、円安加速なら当局の口先介入にも警戒
- 67,000円のサポート維持: 本日守られた心理的節目を維持できるか、テクニカル面の焦点
投資戦略の視点
短期的には、AI・半導体関連の高バリュエーション銘柄はボラティリティの高い展開が続くと想定されます。押し目買いを狙う場合も、一度に資金を投じるのではなく、67,000円・66,500円といったサポート水準を確認しながら分割で対応するのが無難でしょう。中期的には、企業業績の拡大と賃金・設備投資の好循環という日本株の上昇ストーリーは不変であり、スピード調整はむしろ仕込みの好機となる可能性があります。AI関連に偏ったポートフォリオの方は、本日のような「選別調整」に備えて内需・バリュー株への分散を検討する価値がありそうです。明日の米雇用統計を控え、ポジションを傾けすぎないリスク管理も忘れずに。
リアルタイムチャート
日経平均株価 (INDEX:NKY)
ドル円 (FX:USDJPY)
S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)
毎日の相場解説・銘柄分析・投資戦略を動画でお届けしています。チャンネル登録・高評価で応援よろしくお願いします!
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨するものではありません。掲載している数値・情報は執筆時点のものであり、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定はご自身の判断と責任において行ってください。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当サイトは一切の責任を負いません。


コメント