3営業日連続で、指数の数字と市場の中身が食い違いました。日経平均は1,378円90銭高の6万6,399円84銭と大幅続伸し、4営業日ぶりに6万6,000円台を回復——ところが東証プライムで値上がりしたのは全体の40.7%にとどまり、値下がりが56.9%と過半を占めました。日経平均の採用225銘柄でも、値上がりは105銘柄で値下がりが120銘柄です。TOPIXは22.57ポイント(0.55%)高の4,125.80で、2.12%上昇した日経平均との差は1.57ポイント——前営業日の1.23ポイントからさらに開きました。この歪みを作ったのは、今回もごく少数の値がさ株です——寄与度の上位5銘柄だけで指数を1,327円98銭押し上げており、本日の上げ幅1,378円90銭の96.3%を占めました。ソフトバンクグループ1社で504円44銭(上げ幅の36.6%)です。材料は前週末の米国市場で、米マイクロン・テクノロジーが先端メモリーを増産すると報じられ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3.37%高と急伸したこと——同じ日にNYダウは0.51%安、S&P500は0.38%安、ナスダック総合は0.29%安と主要3指数がそろって下落しています。つまり本日の東京市場は、米国市場のうち「半導体だけ」を選んで映した一日でした。
まずローソク足の形を確認します。始値6万5,600円42銭、高値6万6,668円71銭、安値6万5,600円42銭、終値6万6,399円84銭——始値と安値が同じ値です。つまり下ヒゲがまったく無い「陽の寄付坊主」で、寄り付いた瞬間が本日の最安値、そこから一度も割り込まずに引けたことを意味します。実体は799円42銭、上ヒゲは268円87銭。寄り付きの時点ですでに前週末終値より579円48銭(0.89%)高くギャップアップしており、そのギャップは一度も埋まりませんでした。高値6万6,668円71銭の時点では前週末比1,647円77銭(2.53%)高まで買われ、終値はその上げ幅の83.7%を維持しています。日中値幅は1,068円29銭で、9月2日の979円96銭・3日の952円01銭・4日の953円98銭に続き4営業日連続で950円を超え、本日はついに1,000円を突破しました。値動きの荒さそのものは、まだ収まっていません。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,399.84円 | +1,378.90円 (+2.12%) 2営業日続伸 |
| 6万6,000円台の回復 | 4営業日ぶり | 9月1日終値66,215.34円以来。9月2日以降は6万4,000〜6万5,000円台で推移していた |
| 4日続落分の回復状況 | -2,191.08円のうち2,185.36円を回復 | 回復率99.7%。8月28日終値66,405.56円まであと5円72銭に迫った |
| 日経平均 高値 / 安値 | 66,668.71 / 65,600.42 | 始値 65,600.42円 (日中値幅1,068.29円・4営業日連続で950円超) |
| ローソク足の形 | 実体799.42円の陽線 | 始値=安値で下ヒゲゼロの「陽の寄付坊主」。上ヒゲは268.87円 |
| 寄り付きのギャップ | +579.48円 (+0.89%) | 始値65,600.42円。このギャップは終日埋まらなかった |
| 高値時点の上げ幅 | +1,647.77円 (+2.53%) | 高値66,668.71円。終値は上げ幅の83.7%を維持した |
| TOPIX | 4,125.80 | +22.57 (+0.55%) 3営業日続伸 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,140.93 / 4,111.25 | 始値 4,116.98 (値幅29.68・0.72%)。実体8.82の小幅な陽線 |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 1.57ポイント | 日経平均+2.12%に対しTOPIX+0.55%。前日の1.23ポイントからさらに拡大 |
| NT倍率 | 16.094倍 | 前日15.846倍から0.248上昇。8月26日のピーク16.118倍まであと0.024 |
| 東証プライム 売買代金 | 約8兆377億円 | 前日の約8兆3,282億円から約2,905億円 (3.5%) 減 |
| 東証プライム 売買高 | 約20億2,987万株 | 前日の約22億1,033万株から約1億8,046万株 (8.2%) 減 |
| 商いの減り方 | 代金-3.5% / 株数-8.2% | 2.12%高の日に商いは前日より縮んだ。株数の減りが代金より大きい |
| 1株あたり平均約定単価 | 約3,961円 | 前日の約3,768円から約5.1%上昇。値がさ株に商いが偏った形 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 40.7% / 56.9% | 値下がりは850銘柄超。指数2.12%高の日に値下がりが過半を占めた |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 105銘柄 / 120銘柄 (変わらず0) | 値上がりは46.7%。前日の86銘柄/137銘柄からは改善したが、なお過半に届かない |
| プライムと225銘柄の上昇比率の差 | 6.0ポイント | プライム40.7%・225銘柄46.7%。前日と逆に大型株のほうが強かった |
| 東証33業種 上昇/下落 | 17業種 / 16業種 | 前日は11業種/22業種。上昇が下落を上回ったのは2営業日ぶり |
| 業種別 上昇率上位 | 海運業 +3.06% | 以下 ガラス・土石+2.49%、電気機器+2.14%、非鉄金属+2.01%、情報・通信業+1.94% |
| 業種別 上昇率6〜10位 | 機械 +1.85% | 以下 石油・石炭+1.73%、卸売業+1.66%、鉄鋼+1.26%、電気・ガス+1.13% |
| 業種別 下落率上位 | 水産・農林業 -1.36% | 以下 医薬品-1.27%、銀行業-1.17%、サービス業-1.05%、その他製品-1.02% |
| 前日下落率トップの卸売業 | +1.66%と反発 | 前日は-2.01%。商社株は2営業日ぶりに買い戻された |
| 上昇17業種の内訳 | +1.0%以上は10業種 | 金属製品+0.93%・建設業+0.63%・鉱業+0.38%・繊維製品+0.36%・輸送用機器+0.28%・化学+0.27%・倉庫運輸+0.24%は小幅高 |
| 最大のプラス寄与 | ソフトバンクグループ +504円44銭 | 627円(11.22%)高の6,217円。1銘柄で上げ幅1,378.90円の36.6%を稼いだ |
| ソフトバンクGを除いた224銘柄 | +874円43銭 | 同社を除いても上げ幅は残る。前日(除くと3分の1に縮小)とはここが違う |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | +1,327円98銭 | 当日の上げ幅1,378.90円の96.3%。上位への集中度は前日よりさらに高い |
| プラス寄与 上位10銘柄合計 | +1,487円36銭 | 上げ幅の107.9%。11位以下215銘柄の合計はマイナスだった計算 |
| プラス寄与合計 / マイナス寄与合計 | +1,730.82円 / -351.95円 | 差引+1,378.87円で当日の上げ幅+1,378.90円と0.03円以内で一致 |
| プラス寄与104銘柄の1銘柄平均 | +16円64銭 | 1,730.82円 ÷ 104銘柄。前日の+12円92銭から拡大した |
| マイナス寄与120銘柄の1銘柄平均 | -2円93銭 | 351.95円 ÷ 120銘柄。前日の-2円23銭より売りは強まっている |
| プラス寄与 2〜5位 | アドバンテスト +335円49銭 | 以下 東京エレクトロン+253円43銭、キオクシアHD+118円97銭、イビデン+115円65銭 |
| プラス寄与 6〜10位 | フジクラ +37円81銭 | 以下 TDK+36円71銭、村田製作所+34円51銭、レーザーテック+32円32銭、ディスコ+18円03銭 |
| マイナス寄与 上位 | コナミグループ -24円30銭 | 以下 中外製薬-23円23銭、バンダイナムコHD-22円23銭、ソニーグループ-17円60銭、テルモ-15円69銭 |
| 新発10年国債利回り (9/4) | 2.900% | 前日の2.965%から低下 (日本相互証券)。9月7日分は執筆時点で未公表 |
| 米ドル/円 | 155円70銭 | -54銭のドル安・円高 (16時24分時点の株探表示値) |
| 上海総合指数 | 3,930.11 | -11.97 (-0.30%) 小幅安 (株探の終値表示) |
| NYダウ (9/4終値) | 53,414.25 | -271.86 (-0.51%) 反落。米雇用統計を受けた金利上昇が重荷 |
| S&P 500 (9/4終値) | 7,718.60 | -29.11 (-0.38%) 反落 |
| ナスダック総合 (9/4終値) | 26,506.99 | -77.07 (-0.29%) 反落。主要3指数はそろって下落した |
| SOX指数 (9/4終値) | 11,735.26 | +383.13 (+3.37%) 急伸。3指数が下げる中で半導体だけが買われた |
| 米VIX指数 (9/4終値) | 14.53 | +0.21 (+1.47%) 小幅上昇。ただし水準は依然として低い |
| 日経平均 5日線からの乖離 | +1.79% | 5日線 65,235.25。1,164円59銭上。前日の-0.30%から一気にプラス転換 |
| 日経平均 25日線からの乖離 | +0.38% | 25日線 66,149.30。250円54銭上。前日の-1.58%から1.96ポイント改善し回復 |
| 日経平均 75日線との差 | -398.31円 (-0.60%) | 75日線 66,798.15。下回るのは8月21日から12営業日連続だが、差は前日の1,714円から縮小 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +12.43% | 200日線 59,058.85。7,340円99銭上。長期の上昇基調は維持 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 66,061.99 / 下限 65,271.06 | 終値は上限を337円85銭上回り、4営業日ぶりに雲の上へ復帰した |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 65,363.75 / 65,778.24 | 終値は転換線を1,036円09銭、基準線を621円60銭上回った |
| 日経平均 ボリンジャーバンド +1σ | 67,501.49 | 終値は+1σを1,101円65銭下回る。-1σは64,797.10、+2σは68,853.69 |
| 日経平均 RSI (14日) | 52.1 | 前日の45.3から6.8ポイント上昇。中立圏の50を上回った |
| 日経平均 MACD / シグナル | -237.8 / -151.5 | ヒストグラムは-86.3。前日の-195.6から109.3ポイント改善。MACD本体も-325.5から改善 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -6,431.89円 (-8.83%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。前日の-10.72%から1.89ポイント縮小 |
| 7月29日安値からの戻り | +5,950.94円 (+9.84%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。前日の+7.56%から2.28ポイント拡大 |
| TOPIX 25日線 / RSI (14日) | 4,098.72 / 54.1 | 終値は25日線を27.08ポイント上回り3日連続で上。RSIは51.6から2.5ポイント上昇 |
| TOPIX MACD / シグナル | 19.7 / 23.3 | ヒストグラムは-3.6。前日の-4.1からマイナス幅がわずかに縮小した |
| TOPIX 転換線 / 基準線 | 4,133.76 / 4,050.31 | 終値は転換線を7.96ポイント下回る。基準線は75.49ポイント下 |
| TOPIX 一目均衡表の雲 | 上限 3,981.58 / 下限 3,951.06 | 終値は上限を144.22ポイント上回り、雲の上を維持している |
| TOPIX 52週高値からの距離 | -94.51 (-2.24%) | 52週高値 4,220.31 (8/14)。前日の-2.77%から0.53ポイント縮小 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を理解する鍵は、前週末の米国市場が「1本の指数だけ別方向を向いた」という事実にあります。9月4日のNYダウは271.86ドル(0.51%)安の53,414.25ドル、S&P500は29.11ポイント(0.38%)安の7,718.60、ナスダック総合は77.07ポイント(0.29%)安の26,506.99と、主要3指数はそろって下落しました。ところがフィラデルフィア半導体株指数(SOX)だけは383.13ポイント(3.37%)高の11,735.26と急伸しています。3指数が下げた日に半導体指数が3%超上げる——この乖離こそが、本日の東京市場をそのまま説明します。
半導体だけが買われた材料は、米マイクロン・テクノロジーが先端メモリーを増産すると報じられたことです。報道によれば、これを手がかりに人工知能(AI)関連産業の成長が続くとの期待が広がりました。一方で3指数を押し下げたのは金利で、市場関係者のコメントとして、原油価格の上昇と強めの米雇用統計を受けて米金利が再び上昇したことが伝えられています。つまり米国市場では「金利上昇で株式全体は売られたが、AIメモリーの増産期待で半導体だけは買われた」という二層構造が生まれました。日本経済新聞は本日の東京市場を「投資家は雇用統計よりマイクロン」と表現しています——東京市場は、この二層のうち上の層だけを選んで取り込んだわけです。
その選び方の結果が、業種別騰落率にはっきり出ています。東証33業種は17業種が上昇、16業種が下落で、上昇が下落を上回ったのは2営業日ぶりです。ただし上昇率の上位は海運業+3.06%、ガラス・土石製品+2.49%、電気機器+2.14%、非鉄金属+2.01%、情報・通信業+1.94%——ガラス・土石(半導体部材)、電気機器(半導体製造装置)、非鉄金属(電線・素材)、情報・通信業(ソフトバンクグループ)と、上位5業種のうち4つが半導体・AI関連で説明できます。逆に下落率上位は水産・農林業-1.36%、医薬品-1.27%、銀行業-1.17%、サービス業-1.05%、その他製品-1.02%と、内需・ディフェンシブが並びました。
為替は本日の上昇にほとんど貢献していません。ドル円は16時24分時点で1ドル=155円70銭で、前日比54銭(0.35%)のドル安・円高です。円高は輸出関連の逆風ですから、本日の2.12%高は為替の追い風なしに実現したことになります。裏を返せば、それだけ半導体という単一のテーマに買いが集中したということでもあります。国内金利については、新発10年物国債利回りが9月4日に2.900%まで低下しています(日本相互証券)。9月1日の3.005%・2日の3.010%から3%を割り込んだ水準で、株式にとっての金利面の逆風は当面和らいだ格好です。なお9月7日時点の利回りは執筆時点で公表を確認できていません。
日程面では、今週に2つの節目が控えます。ひとつは9月10日(木)の日経平均・TOPIX先物9月限の最終売買日と、11日(金)のメジャーSQ(特別清算指数)算出日です。四半期に一度のメジャーSQは先物・オプションの決済が集中するため、その前後は需給要因で値動きが増幅されやすくなります。もうひとつが米国の消費者物価指数(CPI)で、市場関係者は週内の発表を注視しているとされます。本日の米国株安が「金利上昇」を理由としている以上、CPIが上振れれば金利上昇圧力が一段と強まり、半導体を含めた株式全体の重荷になりかねません——本日の急伸を「AI期待の再燃」とだけ読むのは早い、というのが日程面から見た注意点です。
セクター・個別銘柄の動き
東証33業種は17業種が上昇、16業種が下落しました。数の上では「ほぼ半々」ですが、上昇幅と下落幅の非対称性が本日の特徴です——上昇率上位5業種はいずれも1.9%を超えているのに対し、下落率トップの水産・農林業でも-1.36%にとどまります。上がった業種は大きく上がり、下がった業種は小さく下がった。指数が2.12%も上げた理由の一端は、この非対称性にあります。
上昇率トップは海運業の+3.06%で、2位のガラス・土石製品+2.49%、3位の電気機器+2.14%、4位の非鉄金属+2.01%、5位の情報・通信業+1.94%と続きます。半導体製造装置を含む電気機器では、アドバンテストが1,390円(4.20%)高の3万4,480円、東京エレクトロンが2,520円(4.73%)高の5万5,840円、レーザーテックが2,410円(7.26%)高の3万5,590円、ディスコが2,690円(4.94%)高の5万7,150円、SCREENホールディングスが485円(3.72%)高の1万3,515円と、主要銘柄が軒並み高くなりました。メモリー本体のキオクシアホールディングスは5,070円(9.31%)高の5万9,530円、半導体パッケージ基板のイビデンは1,725円(8.42%)高の2万2,200円と2桁に迫る上昇です。電子部品でも村田製作所が429円(5.97%)高の7,620円、太陽誘電が398円(4.22%)高の9,824円、TDKが73円(2.51%)高の2,980円50銭、ロームが378円(7.77%)高の5,243円と買われました。非鉄金属では住友電気工業が68円50銭(3.21%)高の2,201円50銭、フジクラが188円(3.72%)高の5,241円と、データセンター向け需要を材料とする電線株も上昇しています。前日に-2.01%と下落率上位だった卸売業は+1.66%と反発し、伊藤忠商事が2.75%高、三菱商事が1.80%高、住友商事が2.83%高、三井物産が1.59%高と、商社株が2営業日ぶりに買い戻されました。
一方、下落したのは内需・ディフェンシブ系です。水産・農林業-1.36%、医薬品-1.27%、銀行業-1.17%、サービス業-1.05%、その他製品-1.02%、不動産業-1.01%、小売業-0.97%、保険業-0.95%、食料品-0.80%。個別では中外製薬が231円(3.40%)安の6,564円、大塚ホールディングスが300円(2.49%)安の1万1,730円、第一三共が58円50銭(2.09%)安の2,735円50銭、テルモが58円50銭(2.41%)安の2,373円50銭と医薬・医療機器が総じて売られました。ゲーム・エンタメ系も弱く、コナミグループが725円(3.37%)安の2万775円、バンダイナムコホールディングスが221円(3.97%)安の5,344円、ソニーグループが105円(2.70%)安の3,780円、任天堂が89円(1.01%)安の8,750円。ITサービスではベイカレント・コンサルティングが421円(5.38%)安の7,403円、トレンドマイクロが328円(5.38%)安の5,772円、野村総合研究所が294円(5.61%)安の4,950円、NECが218円(4.52%)安の4,610円と、下落率で5%を超える銘柄が並びました。半導体に資金が集中した分、その他の分野からは資金が抜けたという構図です。
個別で本日の相場を決めたのは、やはりソフトバンクグループです。627円(11.22%)高の6,217円と急騰し、1銘柄で日経平均を504円44銭押し上げました——本日の上げ幅1,378円90銭の36.6%です。同社は前営業日にも11.78%高で473円87銭の押し上げ役でしたから、2営業日で978円31銭を稼いだ計算になります。ただし前日と決定的に違う点があります——前日は同社を除いた224銘柄の寄与度合計が+332円57銭にとどまり、「同社を除けば上げ幅は3分の1に縮む」状態でした。本日は同社を除いても+874円43銭が残ります。1社依存という点では改善しており、上昇の担い手は前日より広がっていると言えます。
とはいえ、集中の度合い自体は前日より強まりました。プラス寄与の2位はアドバンテストの+335円49銭、3位が東京エレクトロンの+253円43銭、4位がキオクシアHDの+118円97銭、5位がイビデンの+115円65銭。上位5銘柄の合計は1,327円98銭で、当日の上げ幅1,378円90銭の96.3%に達します。さらに上位10銘柄まで広げると1,487円36銭となり、上げ幅の107.9%——つまり11位以下の215銘柄を合計すると、むしろマイナスだったということです。6位以下はフジクラ+37円81銭、TDK+36円71銭、村田製作所+34円51銭、レーザーテック+32円32銭、ディスコ+18円03銭と続き、1位の504円44銭と6位の37円81銭の間には13倍以上の開きがあります。
マイナス寄与の側は、銘柄数も金額も前日より増えています。最大がコナミグループの-24円30銭、以下 中外製薬-23円23銭、バンダイナムコHD-22円23銭、ソニーグループ-17円60銭、テルモ-15円69銭、ベイカレント-14円11銭、トレンドマイクロ-11円00銭、大塚HD-10円06銭と続きます。マイナス寄与120銘柄の合計は351円95銭、1銘柄あたりの平均は2円93銭で、前日の137銘柄・平均2円23銭より1銘柄あたりの売られ方は強まりました。プラス寄与104銘柄の1銘柄平均16円64銭に対して6分の1以下という構図は前日と同じです。少数の半導体・AI関連が大きく買われ、その他大勢が静かに売られた——本日の相場を一枚の絵にすると、やはりこうなります。
テクニカル分析
トレンドの位置
本日の1,378円90銭高で、日経平均のテクニカルは一気に景色が変わりました。終値6万6,399円84銭は、5日線(6万5,235円25銭)を1,164円59銭(+1.79%)、25日線(6万6,149円30銭)を250円54銭(+0.38%)上回っています——前日はいずれも下回っていた(5日線-0.30%・25日線-1.58%)ので、短期・中期の2本を1日でまとめて回復したことになります。とりわけ25日線の回復は、8月下旬からの調整局面が始まって以来の変化です。一方で75日線(6万6,798円15銭)にはなお398円31銭(-0.60%)届いていません——これを下回るのは8月21日から12営業日連続ですが、前日の1,714円33銭(-2.57%)から差は4分の1以下に縮みました。200日線は5万9,058円85銭で、終値は+12.43%上——長期の上昇基調は一貫して維持されています。
一目均衡表では、より明確な変化が起きました。雲の上限6万6,061円99銭・下限6万5,271円06銭に対し、終値は上限を337円85銭上回っています——3営業日続いた「雲の下」から、4営業日ぶりに雲の上へ抜けたことになります。雲は相場の抵抗帯とされ、その上に位置するかどうかが強弱の目安のひとつとされます。転換線6万5,363円75銭・基準線6万5,778円24銭もともに終値より下にあり、終値は転換線を1,036円09銭、基準線を621円60銭上回りました。一目均衡表の3つの判定——雲・転換線・基準線——が、1日ですべて弱気から強気に反転した格好です。ボリンジャーバンドでは25日の+1σが6万7,501円49銭で、終値はまだ1,101円65銭下——買われすぎを示す水準にはまだ距離があります。
サポートとレジスタンス
上値のレジスタンスは、まず75日線の6万6,798円15銭です。本日の高値6万6,668円71銭はこの手前129円44銭で止まっており、実は本日すでに一度接近して跳ね返されています。その上が8月28日終値6万6,405円56銭を起点とする戻り売りの水準、さらに8月28日高値6万6,842円82銭という並びです。下値のサポートは、まず本日の始値かつ安値である6万5,600円42銭——一度も割り込まなかった価格帯です。その下が5日線6万5,235円25銭、転換線6万5,363円75銭、雲の下限6万5,271円06銭で、この3つは6万5,235円〜6万5,364円という130円ほどの狭い帯に密集しています。注意したいのは、本日のギャップアップ(前週末終値6万5,020円94銭→始値6万5,600円42銭)が空白のまま残っていることです——この579円48銭の空白は「窓」と呼ばれ、後日埋めにいく値動きが起きやすいとされます。25日線6万6,149円30銭を割り込むと、その次の下値目標は窓の下端6万5,020円94銭という見方になります。
オシレーター
RSI(14日)は52.1で、前日の45.3から6.8ポイント上昇し、中立圏の50を上回りました。一般に30以下が売られすぎ、70以上が買われすぎとされる指標ですから、52.1は「どちらでもない」水準です。2.12%高という大きな上昇の翌日にRSIが52台にとどまるのは、直前まで45前後の弱い水準にいたためで、過熱を心配する段階ではない一方、上昇の勢いが指標上まだ確認できていないとも読めます。MACDは-237.8、シグナルは-151.5、ヒストグラムは-86.3。前日はMACD-325.5・シグナル-129.9・ヒストグラム-195.6でしたから、ヒストグラムは109.3ポイント改善しました。前日は「806円高なのにMACD本体は悪化」という現象が起きていましたが、本日はMACD本体も-325.5から-237.8へ87.7ポイント改善しています——9月2日の1,889円安の影響が薄れ、指標が実勢に追いついてきたということです。ただしMACDもシグナルもまだマイナス圏で、ゴールデンクロス(MACDがシグナルを上抜く)には86.3ポイントの距離があります。
TOPIXのテクニカルも改善しましたが、日経平均ほど劇的ではありません。終値4,125.80は25日線4,098.72を27.08ポイント上回り3営業日連続で25日線の上、RSI(14日)は54.1と前日の51.6から2.5ポイント上昇、雲の上限3,981.58に対しても144.22ポイント上を維持しています。ただし転換線4,133.76は終値より7.96ポイント上にあり、MACDはヒストグラムが-4.1から-3.6へわずかに改善しただけです。そして本日最も大きく動いた指標は、やはりNT倍率——前日の15.846倍から16.094倍へ0.248上昇し、2営業日で0.440の上昇となりました。8月26日のピーク16.118倍まで、あと0.024です。NT倍率は日経平均をTOPIXで割った値で、値がさ株の影響が強いほど上昇します——2営業日での急上昇は、この間の買いがいかに値がさ株に偏っていたかを数字で示しています。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら、「一点への熱狂と、その外側の冷え込み」です。熱狂の証拠は明確です——寄り付きから579円48銭のギャップアップで始まり、そのまま一度も安値を更新せず、下ヒゲゼロの「陽の寄付坊主」で引けました。高値では2.53%高まで買われ、終値でも上げ幅の83.7%を維持しています。4日続落で失った2,191円08銭のうち、2営業日で2,185円36銭(99.7%)を取り戻し、8月28日の終値までわずか5円72銭——調整局面はほぼ帳消しになった計算です。
ところが商いは、この熱狂に伴っていません。東証プライムの売買代金は約8兆377億円で、前日の約8兆3,282億円から3.5%減。売買高に至っては約20億2,987万株と前日から8.2%減です。1.26%高だった前日より、2.12%高の本日のほうが商いが少ない——これは通常とは逆の動きです。1株あたりの平均約定単価を計算すると本日は約3,961円で、前日の約3,768円から5.1%上昇しています。株数が減って単価が上がったということは、参加者の裾野が広がったのではなく、限られた資金が単価の高い銘柄に向かったということです。株価3万4,480円のアドバンテスト、5万5,840円の東京エレクトロン、5万9,530円のキオクシアHD——本日の主役はいずれも高単価銘柄でした。
そして騰落銘柄数が、熱狂の外側を映しています。東証プライムで値上がりしたのは全体の40.7%にとどまり、値下がりが56.9%と過半——報道によれば値下がりは850銘柄を超えました。日経平均が2.12%も上昇した日に、市場の6割近くの銘柄が下落しているのです。日経平均225銘柄で見ても値上がり105銘柄・値下がり120銘柄で、上昇したのは46.7%。前日の38.2%からは改善しましたが、依然として過半に届いていません。ただし前日と違い、本日は225銘柄の上昇比率(46.7%)がプライム全体(40.7%)を6.0ポイント上回りました——大型株のほうが強かったということです。
ここから読み取れる投資家の姿勢は、「テーマは買うが、市場全体は買わない」というものです。米国市場でも同じ構図が起きていました——SOXは3.37%高なのに、NYダウ・S&P500・ナスダック総合はそろって下落。東京市場はその構図をほぼ忠実に再現しています。本日起きたのは「日本株の再評価」ではなく、「AI・半導体という世界共通のテーマへの資金集中が、たまたま日本の指数構成上、日経平均を大きく押し上げた」——これが数字から導かれる最も無理のない読み方です。その証拠に、円高が進んだ日であるにもかかわらず輸送用機器はわずか+0.28%にとどまり、内需・ディフェンシブは軒並み下落しています。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月8日(火)で、東京市場は通常どおり取引が行われます。祝日や連休を挟まないため、本日の流れがそのまま引き継がれる日程です。
最初に見るべきは、75日線6万6,798円15銭を上抜けるかどうかです。本日の高値6万6,668円71銭はこの手前129円44銭で止まりました——1,378円も上げた日に、あと129円が抜けなかったという事実は軽くありません。ここを明確に上回れば、8月21日から12営業日続いた「75日線の下」という状態が終わり、中期トレンドの判定が変わります。逆に跳ね返された場合、25日線6万6,149円30銭が最初の下値の目安となり、そこを割り込めば本日の窓の下端6万5,020円94銭までが視野に入ります。
ふたつ目は、上昇の広がりが改善するかです。本日はプライムの値上がりが40.7%にとどまり、上位5銘柄で上げ幅の96.3%を稼ぎました。この極端な集中が続く限り、主役の半導体株が一服しただけで指数は大きく削られます——ソフトバンクグループ・アドバンテスト・東京エレクトロンの3銘柄だけで1,093円36銭、上げ幅の79.3%ですから、この3社が本日の上昇分を吐き出すだけで指数は1,000円以上下がる計算です。値上がり比率が50%を超えてくるかどうかが、上昇の持続力を測る最も単純な物差しになります。
三つ目は需給日程です。9月10日(木)が日経平均・TOPIX先物9月限の最終売買日、11日(金)がメジャーSQ算出日にあたります。四半期に一度のメジャーSQ週は先物主導で値動きが荒くなりやすく、本日のような大幅な窓開けも起きやすい地合いです。加えて市場関係者は週内の米CPI発表を注視しているとされます——前週末の米国株安の理由が金利上昇である以上、CPIの上振れは本日の買い材料そのものを揺さぶりかねません。ドル円155円70銭という円高方向の水準が、輸出関連にとっての重荷として意識されるかどうかも併せて確認したいところです。
戦略展望
この3営業日で、日経平均は「指数の数字が市場の実感と一致しない」相場を3日連続で見せました。9月3日は指数が111円安なのに225銘柄の141が上昇、4日は指数が806円高なのに137が下落、そして本日7日は指数が1,378円高なのにプライムの56.9%が下落——3日とも歪みを作ったのは、株価平均型という日経平均の設計上の性質です。株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きくなるため、6万円近い株価のキオクシアHDが9.31%上げれば、それだけで指数は119円動きます。
では本日の実像はどうか。TOPIXの+0.55%という数字が、より市場全体に近い姿です。時価総額加重で全銘柄を対象とするTOPIXは、日経平均の4分の1しか上げていません。プライムの値上がりが40.7%にとどまったことも、この見方と整合します。ただし前日との比較では、確実に前進した点もあります——33業種の上昇が11業種から17業種へ増え、225銘柄の値上がりも86銘柄から105銘柄へ増えました。ソフトバンクグループを除いた224銘柄の寄与度も、前日の+332円57銭から+874円43銭へ2.6倍です。「1社依存」からは抜け出しつつあると言えます。
テクニカル面の改善も、率直に評価すべきです。1日で5日線と25日線を同時に回復し、一目均衡表では雲・転換線・基準線の3つがすべて強気に転じ、RSIは中立の50を超え、MACDは本体もヒストグラムも改善しました。52週高値からの距離も-10.72%から-8.83%へ縮小しています。4日続落で失った2,191円08銭の99.7%を2営業日で取り戻したという事実は、下値に厚い買いが控えていたことの証明でもあります。7月29日の安値6万448円90銭からは+9.84%の水準です。
したがって本日の値動きから導かれる結論はこうです——「調整局面はテクニカル上ほぼ終わった。ただし上昇の中身は依然として1つのテーマに偏っている」。前者は25日線と雲の同時回復・99.7%の値幅回復が、後者は上位5銘柄で上げ幅の96.3%・プライムの値下がり56.9%が示しています。判別の材料は明確で、75日線6万6,798円15銭を抜けられるか、そして値上がり比率が50%を超えてくるか——この2点です。加えて商いが伴っていない(代金-3.5%・株数-8.2%)点は、本日の上昇の弱点として記録しておくべきでしょう。今週はメジャーSQと米CPIという2つの外部要因が控えており、値動きが増幅されやすい週です。指数の数字だけを見て判断せず、業種数・銘柄数・売買代金という「中身」を併せて確認する——この3日間が教えているのは、結局そこに尽きます。
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