前日とは正反対の一日でした。日経平均は1,889円70銭安の6万4,325円64銭で3日続落——終値で6万5,000円を割り込んだのは8月4日以来、20営業日ぶりです。前日9月1日は「96円安でも225銘柄中170が上昇、33業種中26業種が上昇」という中身の強い相場でしたが、本日は225銘柄のうち210が下落、東証33業種はひとつ残らず下落——例外のない全面安に、わずか1営業日で反転しました。始値6万5,195円43銭がそのまま当日の高値で、上ヒゲはゼロ。寄り付き以降、一度も始値を上回れないまま引けたということです。材料は3つ——(1)中東情勢の緊迫化と原油90ドル台への上昇、(2)新発10年国債利回り3.015%(1996年9月以来の高水準)、(3)前日の米国株安とSOX指数2.14%安です。TOPIXも100.26ポイント(2.40%)安の4,081.60と、9日続いた連騰が10営業日ぶりに止まりました。
まずローソク足の形を確認します。始値6万5,195円43銭、高値6万5,195円43銭、安値6万4,215円47銭、終値6万4,325円64銭——始値と高値が1円のズレもなく一致しており、上ヒゲの長さはゼロです。実体869円79銭の陰線に、下ヒゲが110円17銭だけ付いた形——いわゆる「陰の寄付坊主」で、寄り付きの水準が一日でいちばん高い値段だったことを意味します。前日9月1日が上ヒゲ310円36銭・下ヒゲ308円86銭のほぼ完全な「コマ足」だったことと比べれば、迷いが消えて一方通行になったのが本日です。寄り付きの時点ですでに1,019円91銭安(-1.54%)、安値では1,999円87銭安(-3.02%)まで沈み、2,000円安まであと13銭という場面もありました。安値からの戻しは110円17銭で、下げ幅の5.5%にすぎません。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 64,325.64円 | -1,889.70円 (-2.85%) 3日続落 |
| 6万5,000円割れ | 終値で20営業日ぶり | 前回終値が6万5,000円を下回ったのは8月4日 (63,957.53円) |
| 日経平均 高値 / 安値 | 65,195.43 / 64,215.47 | 始値 65,195.43円 (日中値幅979.96円) |
| ローソク足の形 | 実体869.79円の陰線 | 上ヒゲ0円 / 下ヒゲ110.17円。始値=高値の「陰の寄付坊主」 |
| 寄り付きのギャップ | -1,019.91円 (-1.54%) | 始値65,195.43円。前日の米国株安と中東情勢を織り込んで始まった |
| 安値時点の下げ幅 | -1,999.87円 (-3.02%) | 2,000円安まであと13銭。前日の-735.32円の2.7倍 |
| 安値から終値までの戻し | +110.17円 (+0.17%) | 下げ幅1,999.87円のうち5.5%しか戻せなかった |
| 下げ幅の大きさ (直近300営業日) | 10番目 | 最大は6月26日の-3,005.46円。下落率-2.85%は同期間で14番目 |
| TOPIX | 4,081.60 | -100.26 (-2.40%) 10営業日ぶりの反落 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,131.51 / 4,078.61 | 始値 4,128.97 (値幅52.90・1.28%)。9日続伸がここで途切れた |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 0.45ポイント | TOPIX-2.40%に対し日経平均-2.85%。10営業日連続でTOPIX優位 |
| TOPIX 52週高値からの距離 | -138.71 (-3.29%) | 52週高値 4,220.31 (8/14)。前日の-0.91%から一気に拡大 |
| NT倍率 | 15.760倍 | 前日15.834倍から0.074低下。3営業日連続の低下で計0.254下がった |
| 東証プライム 売買代金 | 約8兆0,344億円 | 前日の約7兆5,016億円から約5,328億円 (7.1%) 増 |
| 東証プライム 売買高 | 約24億1,905万株 | 前日の約22億7,826万株から約1億4,079万株 (6.2%) 増 |
| 商いの増え方 | 代金+7.1% / 株数+6.2% | 差は0.9ポイント。値がさ株にも商いが戻ったうえでの下落 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 6.4% / 92.3% | 1,400を超える銘柄が下落 (大引け報道の市場集計値) |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 14銘柄 / 210銘柄 (変わらず1) | 値上がりは6.2%。前日の170銘柄 (75.6%) から完全に反転した |
| プライムと225銘柄の上昇比率の差 | 0.2ポイント | プライム6.4%・225銘柄6.2%。前日の21.3ポイント差から差が消えた |
| 東証33業種 上昇/下落 | 0業種 / 33業種 | ひとつも上昇しなかった。前日は26業種が上昇していた |
| 業種別 下落率上位 | 非鉄金属 -5.04% | 以下 サービス業-4.15%、ガラス・土石-4.00%、電気機器-3.59%、輸送用機器-3.41% |
| 業種別 下落率6〜10位 | 空運業 -3.16% | 以下 繊維製品-3.06%、機械-2.98%、情報・通信業-2.98%、金属製品-2.86% |
| 業種別 下落率が小さい順 | 水産・農林業 -0.05% | 以下 海運業-0.30%、銀行業-0.66%、医薬品-0.70%、保険業-0.80%、食料品-0.94% |
| 前日の上昇率上位4業種の本日 | すべてマイナス | 電気・ガス業-2.07%、鉱業-2.25%、石油・石炭-2.68%、鉄鋼-2.20% |
| 最大のマイナス寄与 | ソフトバンクグループ | 1銘柄で日経平均を271円93銭押し下げ (338円安・6.42%安の4,924円) |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | -875円43銭 | マイナス寄与合計1,901円89銭の46.0%、下げ幅1,889円70銭の46.3% |
| マイナス寄与 上位10銘柄合計 | -1,094円54銭 | マイナス寄与合計の57.6%。11位以下215銘柄で残り807円35銭 |
| プラス寄与合計 / マイナス寄与合計 | +12.21円 / -1,901.89円 | 差引-1,889.68円で当日の下げ幅-1,889.70円と0.02円以内で一致 |
| プラス寄与13銘柄の1銘柄平均 | +0円94銭 | 12.21円 ÷ 13銘柄。買われた銘柄も上げ幅はごく小さかった |
| マイナス寄与210銘柄の1銘柄平均 | -9円06銭 | 1,901.89円 ÷ 210銘柄。プラス側の9.6倍の重み |
| 最大のプラス寄与 | 第一三共 +3円27銭 | 32円50銭(1.14%)高の2,883円。2位は塩野義製薬の+3円22銭 |
| 新発10年国債利回り | 3.015% | 1996年9月以来の高水準。前日の3.000%からさらに上昇 (大引け報道) |
| 米ドル/円 | 159円73銭 | -45銭 (-0.28%) の円高・ドル安 (16時21分時点) |
| WTI原油先物 | 90ドル台 | 中東情勢の緊迫化を受けて上昇 (大引け報道・16時台の取引値) |
| NYダウ (9/1終値) | 52,766.88 | -419.02 (-0.79%) 続落 |
| S&P 500 (9/1終値) | 7,631.47 | -54.67 (-0.71%) 3日続落 |
| ナスダック総合 (9/1終値) | 26,099.77 | -271.11 (-1.03%) 3日続落 |
| SOX指数 (9/1終値) | 11,288.61 | -246.44 (-2.14%) 反落。前日の0.57%高から一転 |
| 米VIX指数 (9/1終値) | 16.34 | +1.42 (+9.52%) 急上昇。前日の14.92から水準が切り上がった |
| 日経平均 5日線からの距離 | -1,552.45円 (-2.36%) | 5日線 65,878.09。前日の-50.05円から大きく離れた |
| 日経平均 25日線からの乖離 | -2.29% | 25日線 65,830.43。1,504円79銭下。終値割れは8月24日以来7営業日ぶり |
| 日経平均 75日線との差 | -2,291.23円 (-3.44%) | 75日線 66,616.87。終値が下回るのは8月21日から9営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +9.32% | 200日線 58,840.83。5,484円81銭上。長期の上昇基調は維持 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 66,759.79 / 下限 66,061.99 | 終値は下限を1,736円35銭下回り、雲の下に転落 (8月25日以来6営業日ぶり) |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 65,585.08 / 65,028.57 | 終値は転換線を1,259円44銭、基準線を702円93銭下回った |
| 日経平均 RSI (14日) | 41.2 | 前日の49.6から8.4ポイント低下。売られすぎ(30以下)にはまだ距離 |
| 日経平均 MACD / シグナル | -163.4 / -28.2 | ヒストグラムは-135.2。前日の-13.6から121.6ポイント悪化 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -8,506.09円 (-11.68%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。前日の-9.08%から2.60ポイント拡大 |
| 7月29日安値からの戻り | +3,876.74円 (+6.41%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。前日の+9.54%からは縮小 |
| TOPIX 25日線 / RSI (14日) | 4,082.67 / 49.3 | 終値は25日線をわずか1.07ポイント下回った。RSIは61.6から12.3低下 |
| TOPIX MACD / シグナル | 25.4 / 25.9 | ヒストグラムは-0.4。前日の+4.9からデッドクロスに転じた |
マクロ・地政学の視点
本日の下げは、「地政学」と「金利」が同時に効いた結果です。前日9月1日の下げが金利だけで説明できたのに対し、本日はそこに中東情勢という第二の変数が加わりました。これが、96円安と1,889円安という20倍近い差を生んだ最大の理由です。順に見ていきます。
まず中東情勢です。報道によれば、米中央軍がイラン革命防衛隊を標的とした攻撃の開始を発表し、イラン側の報復も伝えられたことで、紛争激化への警戒が一気に高まりました。これを受けて原油先物は上昇し、WTIは90ドル台で推移しています(本稿の地政学関連の記述は各社の報道を引用しており、当サイトが事実関係を独自に確認したものではありません)。原油高は二重の意味で株式の逆風です——ひとつは企業のコスト増、もうひとつはインフレ再燃を通じた金利の押し上げ。ここが前日との決定的な違いで、前日は原油高が鉱業(+3.81%)・石油・石炭製品(+3.67%)を上昇率2位・3位に押し上げる「資金移動」として現れましたが、本日は鉱業-2.25%、石油・石炭製品-2.68%と、原油高の恩恵を最も受けるはずの業種まで売られています。資金が業種間を移動する余裕がなくなり、無差別の売りに変わった——これが本日の相場の性格です。
次に金利です。新発10年物国債利回りは3.015%まで上昇し、1996年9月以来の高水準を更新しました。前日に3.000%へ乗せたばかりで、2営業日連続の更新です。米国でも長期金利の上昇が続いており、10年債利回りは4.8%近辺で推移していると伝えられています。日米そろって長期金利が上がるということは、株式の相対的な割高感が世界同時に意識されるということ——PERの高い成長株ほど、将来利益を現在価値に割り引く分母が大きくなり、理論価格が下がります。本日の下落率上位にサービス業(平均PER22.4倍)、電気機器(同23.4倍)、情報・通信業(同24.0倍)、精密機器(同31.1倍)といった高PER業種が並んだのは、この理屈がそのまま出た動きです。
三つめが前日の米国市場です。9月1日のNYダウは419.02ドル(0.79%)安の52,766.88ドル、S&P500は54.67ポイント(0.71%)安の7,631.47、ナスダック総合は271.11ポイント(1.03%)安の26,099.77と、主要3指数がそろって下落しました。とりわけ重かったのがフィラデルフィア半導体株指数(SOX)で、246.44ポイント(2.14%)安の11,288.61——前日8月31日は0.57%高と反発していたので、わずか1日で下げに転じたことになります。米VIX指数も1.42ポイント(9.52%)上昇の16.34で、8月31日の14.92から水準が一段切り上がりました。本日の東京市場が1,019円91銭安で始まったのは、この流れを寄り付きでまとめて織り込んだ結果です。
そしてもうひとつ、貴金属・非鉄市況の変調があります。報道によれば、前日のNY金先物12月物が1.9%安と3日続落し、銀・銅・ニッケルなど他の非鉄金属市況も軟化しました。これが非鉄金属を下落率トップ(-5.04%)に押し下げた直接の材料で、住友金属鉱山は1,310円(11.55%)安の1万0,035円と、日経平均採用銘柄のなかでも突出した下落率になりました。金利上昇局面では、利息を生まない金は相対的に不利になります——「金利が上がる→金が売られる→非鉄株が売られる」という連鎖もまた、本日は金利という一本の線でつながっています。
為替は円高方向に振れました。米ドル/円は16時21分時点で159円73銭と、45銭(0.28%)の円高・ドル安です。前日は159円97銭でしたから、160円の大台を目前にして押し戻された格好です。ここが本日の厄介な点で、リスク回避の円買いが入ったことで、金利上昇に加えて為替の逆風まで重なりました。輸送用機器が下落率5位(-3.41%)に沈んだのは、まさにこの円高が効いた結果です——前日は円安を追い風に2.07%高だった業種が、1営業日で真逆になりました。
セクター・個別銘柄の動き
売られたセクター・銘柄
本日は東証33業種のすべてが下落しました。上昇した業種はゼロです。下落率トップは非鉄金属の5.04%安で、2位以下はサービス業4.15%安、ガラス・土石製品4.00%安、電気機器3.59%安、輸送用機器3.41%安と続きます。6位以下も空運業3.16%安、繊維製品3.06%安、機械2.98%安、情報・通信業2.98%安、金属製品2.86%安と、3%前後の下げが10業種にわたって並びました。前日に上昇率トップだった電気・ガス業は2.07%安、2位の鉱業は2.25%安、3位の石油・石炭製品は2.68%安、4位の鉄鋼は2.20%安——前日の上位4業種がそろってマイナスに転じたことが、本日の全面安を象徴しています。
- ソフトバンクグループ: 338円(6.42%)安の4,924円。1銘柄で日経平均を271円93銭押し下げ、下げ幅1,889円70銭の14.4%を占めた。前日はプラス寄与トップ(+49円88銭)だった銘柄で、AI関連の代表格が真っ先に売られた
- アドバンテスト: 840円(2.52%)安の3万2,540円で寄与-202円74銭の2位。PBR22.53倍という日経平均で最も金利感応度の高い銘柄群の代表。前日の-74円82銭から下げが2.7倍に拡大した
- 東京エレクトロン: 1,870円(3.40%)安の5万3,110円で寄与-188円06銭の3位。前日も146円83銭を押し下げており、2営業日連続で最大級のマイナス寄与。前日のSOX指数2.14%安を素直に受けた
- リクルートホールディングス: 1,140円(6.52%)安の1万6,355円で寄与-114円65銭。PER30.0倍・PBR12.77倍の高PER株で、サービス業が下落率2位となった最大の要因。前日も3.95%安で2営業日続けて大きく売られた
- TDK: 195円(6.33%)安の2,884円で寄与-98円05銭。上位5銘柄のうち3銘柄が6%を超える下落率で、値がさ株の下げ方が前日とは桁違いだった
- 住友金属鉱山: 1,310円(11.55%)安の1万0,035円。採用225銘柄で唯一の2桁下落率で、報道によれば前日のNY金先物12月物1.9%安と、銀・銅・ニッケル市況の軟化が売り材料。三菱マテリアル・三井金属・東邦亜鉛など非鉄大手も総じて下げた
- その他の値がさ: ファーストリテイリングが860円(1.21%)安の7万0,400円(寄与-69円19銭)、ファナックが264円(4.41%)安の5,725円(寄与-44円25銭)、フジクラが208円(3.93%)安の5,090円(寄与-41円84銭)、京セラが127円(3.48%)安の3,521円(寄与-34円06銭)、村田製作所が370円(5.08%)安の6,920円(寄与-29円77銭)
マイナス寄与の全体像を数字で確認します。マイナス寄与は210銘柄・合計1,901円89銭で、そのうち上位5銘柄が875円43銭(46.0%)、上位10銘柄が1,094円54銭(57.6%)を占めます。言い換えれば、残る215銘柄が合計807円35銭を分け合った——上位に集中してはいるものの、前日ほど極端な偏りではありません。前日は上位5銘柄がマイナス寄与全体の78.2%を占めていたので、本日は「値がさ株だけが売られた」のではなく「全体が売られたうえで値がさ株が特に重かった」構図だと分かります。マイナス寄与210銘柄の1銘柄あたり平均は9円06銭で、前日の10円02銭とほぼ同水準——違いは金額ではなく、対象銘柄数が55から210へ約4倍に増えたことにあります。
相対的に底堅かったセクター・銘柄
上昇した業種はありませんが、下げ方には明確な差がありました。最も下げが小さかったのは水産・農林業の0.05%安で、以下 海運業0.30%安、銀行業0.66%安、医薬品0.70%安、保険業0.80%安、食料品0.94%安と続きます。1%以内の下げにとどまったのは、この6業種だけです。顔ぶれを見れば、内需・ディフェンシブと、金利上昇が収益にプラスに働く金融——「金利が上がって困る業種」と「金利が上がって助かる業種」が、そのまま下落率の下位と上位に分かれたことが分かります。
- 第一三共: 32円50銭(1.14%)高の2,883円でプラス寄与3円27銭の本日トップ。全面安のなかで上昇を確保した数少ない銘柄
- 塩野義製薬: 32円(1.08%)高の2,982円で寄与3円22銭の2位。PER12.1倍と医薬品のなかでは割安な水準
- 住友ファーマ: 43円50銭(2.74%)高の1,633円50銭で採用225銘柄の上昇率トップ。医薬品業種が下落率33業種中30位(-0.70%)にとどまった主役の一角
- 銀行業: 業種騰落率0.66%安で下落率33業種中31位。PBR1.11倍。長期金利3%は銀行にとって利ざや改善要因で、全面安のなかでも売られ方が浅かった
- 伊藤忠商事: 8円50銭(0.40%)高の2,157円で寄与1円42銭。卸売業が1.50%安と33業種中26位にとどまったなかで、商社大手の一角がプラスを確保
- セブン&アイ・ホールディングス: 12円50銭(0.61%)高の2,046円50銭で寄与1円26銭。内需・生活必需の代表格
- キオクシアホールディングス: 5万1,000円で前日比変わらず。半導体関連が軒並み売られるなか、値動きゼロで踏みとどまった
ただし、この「底堅さ」を過大評価すべきではありません。プラス寄与は13銘柄・合計わずか12円21銭で、1銘柄あたり平均は0円94銭です。前日のプラス寄与が170銘柄・454円65銭だったことと比べれば、37分の1以下——「買われた銘柄がある」というより「下げなかった銘柄がわずかにあった」というのが実態に近い水準です。大引け報道では、伊藤園が想定を上回る決算を材料に急伸したと伝えられていますが、こうした個別材料株を除けば、指数全体を支える買いは本日ほとんど機能しませんでした。
テクニカル分析
トレンド
本日のローソク足は「陰の寄付坊主」です。始値6万5,195円43銭がそのまま高値で、上ヒゲの長さはゼロ——寄り付いた瞬間から一度も始値を上回れないまま、実体869円79銭を削って引けた形です。下ヒゲは110円17銭しかなく、安値圏での買い戻しもほとんど入っていません。前日9月1日が上下ヒゲほぼ同一長の「コマ足」だったことを思えば、2営業日で「迷い」から「一方通行の売り」へと足の性格が完全に変わりました。日中値幅は979円96銭で前日の949円09銭とほぼ同じですが、その値幅の使われ方がまるで違う——前日は上下に振れて真ん中で引け、本日は上から下へ一方向に消化しました。
移動平均線は、短中期がまとめて崩れました。終値は5日線6万5,878円09銭を1,552円45銭(2.36%)下回り、25日線6万5,830円43銭を1,504円79銭(2.29%)下回っています。25日線を終値で割り込んだのは8月24日以来7営業日ぶりです。ここで注目したいのは、5日線と25日線がわずか47円66銭差で重なっている点——短期の平均と中期の平均が同じ水準に収束したところを、指数が一気に下抜けたことになります。75日線6万6,616円87銭とは2,291円23銭(3.44%)の差で、終値が下回るのは8月21日から9営業日連続。一方、200日線5万8,840円83銭からはなお5,484円81銭(9.32%)上で、長期の上昇基調そのものは崩れていません。本日の下げは、あくまで短中期のトレンドの問題です。
一目均衡表では、雲の下に転落しました。雲の上限6万6,759円79銭、下限6万6,061円99銭に対し、終値は下限を1,736円35銭下回っています。8月26日から5営業日連続で「雲の中」を維持していましたが、本日はその下限を大きく割り込みました——終値ベースで雲の下に沈むのは8月25日以来6営業日ぶりです。転換線6万5,585円08銭・基準線6万5,028円57銭もともに下回り、終値は転換線から1,259円44銭、基準線から702円93銭下にあります。前日は転換線を433円26銭、基準線を1,186円77銭上回っていたので、一目均衡表の主要4本(雲上限・雲下限・転換線・基準線)を1日ですべて下抜けたことになります。ここが本日いちばん形の悪い部分です。
サポート・レジスタンス
- レジスタンス(1) 6万5,028円57銭: 基準線。終値から702円93銭(1.09%)上。まず戻すべき最初の関門
- レジスタンス(2) 6万5,195円43銭: 本日の始値であり高値。ここを上回れないと「寄付坊主」の売り圧力が続いていることになる
- レジスタンス(3) 6万5,585円08銭: 転換線。終値から1,259円44銭上
- レジスタンス(4) 6万5,830円43銭 / 6万5,878円09銭: 25日線と5日線。両者はわずか47円66銭差で重なっており、戻り局面での最大の壁になる
- レジスタンス(5) 6万6,061円99銭: 雲の下限。終値から1,736円35銭上。ここを終値で回復して初めて雲の中に戻る
- サポート(1) 6万4,215円47銭: 本日の安値。終値からわずか110円17銭下で、翌日いちばん最初に試される水準
- サポート(2) 6万4,000円: 心理的な節目。本日の安値から215円47銭下
- サポート(3) 6万3,957円53銭: 8月4日の終値。本日6万5,000円を割り込んだことで、次に意識されるのは前回の6万5,000円割れ局面の水準
- サポート(4) 6万0,448円90銭: 7月29日の安値。終値から3,876円74銭(6.02%)下で、当面の下値めどとしてはかなり距離がある
整理すると、上は703円先に基準線、1,505円先に25日線、1,736円先に雲の下限——戻り売りの壁が階段状に積み上がっています。下は110円先に本日の安値、そのすぐ下に6万4,000円の節目です。本日の日中値幅979円96銭を前提にすれば、上の関門までは1日では届きにくく、下の節目には翌日すぐ到達しうる距離にあります。ただし、下ヒゲが110円しか出ていないという事実は、大引けにかけて売りが枯れなかったことを意味します——翌営業日の寄り付きが本日の安値6万4,215円47銭を下回るかどうかが、当面の最も分かりやすいチェックポイントです。
オシレーター
RSI(14日)は41.2で、前日の49.6から8.4ポイント低下しました。ただし売られすぎの目安とされる30には、まだ11.2ポイントの距離があります。1,889円という下げ幅の割にRSIが30台まで落ちていないのは、直近の日々の値動きが小さく、14日間の平均的な変動幅が抑えられていたからです。言い換えれば、本日の下げはRSI上ではまだ「押し目」の範囲——逆に言えば、テクニカルな反発を期待できるほど売られてもいないということになります。TOPIXのRSIも61.6から49.3へ12.3ポイント低下し、ちょうど中立の50近辺です。前日は日経平均49.6・TOPIX61.6と12ポイント開いていた両者が、本日はほぼ同じ水準に収束しました。
MACDは-163.4、シグナルは-28.2で、ヒストグラムは-135.2です。前日の-13.6から121.6ポイントの急悪化で、MACD本体もゼロラインから大きく下に離れました。デッドクロス状態は継続しており、下降モメンタムは明確に加速しています。ただしMACDは価格の変化そのものを増幅して映す指標なので、1日で1,889円動けばこの程度の変化は当然とも言えます。重要なのは水準よりも、翌営業日以降にヒストグラムの悪化が止まるかどうかです。
TOPIXのMACDも、ついに逆転しました。MACD25.4・シグナル25.9でヒストグラムは-0.4——前日の+4.9からマイナスに転じ、デッドクロスが成立しています。前日まで「日経平均は悪化・TOPIXは改善」という逆行が続いていましたが、本日でその逆行は解消され、両指数のオシレーターが同じ方向を向きました。TOPIXの終値4,081.60は25日線4,082.67をわずか1.07ポイント下回る位置で、ほぼ25日線ちょうどで踏みとどまった格好です。NT倍率は15.760倍と3営業日連続で低下し、8月28日の16.014倍から計0.254下がりましたが、本日はTOPIXも大きく下げているため、その低下は「TOPIX優位」というより「日経平均の値がさ株がより深く売られた」ことの結果です。
市場心理
本日の投資家心理は、前日から完全に反転しました。最も雄弁な数字が、上昇比率の一致です。
- 日経225銘柄の内訳: 値上がり14、値下がり210、変わらず1。上昇比率は6.2%で、前日の75.6%(170銘柄)から69.4ポイントの急落。16銘柄に1銘柄しか上げられなかった
- プライム市場との一致: 東証プライムの値上がり比率6.4%に対し、日経225銘柄は6.2%。その差はわずか0.2ポイントで、前日の21.3ポイント差から差が完全に消えた。大型株も中小型株も、区別なく売られたということ
- 業種の広がり: 東証33業種のうち上昇はゼロ。前日は26業種が上昇していたので、1営業日で26業種がマイナスに転じた
- TOPIXの連騰ストップ: 8月20日から続いた9日続伸が、10営業日ぶりに途切れた。52週高値4,220.31(8/14)までの距離は0.91%から3.29%へ広がった
一方で、商いは増えています。東証プライムの売買代金概算は約8兆0,344億円で、前日の約7兆5,016億円から約5,328億円(7.1%)増加しました。売買高も約24億1,905万株と6.2%増です。金額の増加率(7.1%)が株数の増加率(6.2%)を0.9ポイント上回っている——前日は値がさ株の商いから先に細っていたのに対し、本日は値がさ株にも商いが戻ったうえでの下落です。これは相場の見方としては両義的で、売りが本物であることの裏付けである一方、投げが出たことで需給が軽くなった可能性も同時に示します。
ここで冷静に押さえておきたいのは、下げの絶対的な大きさです。本日の-1,889円70銭は、直近300営業日のなかで10番目の大きさ——最大は6月26日の-3,005円46銭で、3月9日の-2,892円12銭、7月17日の-2,694円42銭が続きます。下落率-2.85%で見れば同期間で14番目で、3月9日の-5.20%や6月26日の-4.15%には及びません。今年に入ってから同規模以上の下げは9回あり、そのいずれの局面でも指数はその後に水準を回復してきました。1,889円という数字のインパクトは大きいものの、これが例外的な暴落だったわけではない——この事実は、パニックを避けるうえで重要です。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月3日(木)です。祝日はなく、通常どおりの取引となります。本日の東京市場が引けた後の米国市場は通常取引ですので、9月2日の米国株がどこまで下げを引き継ぐか、あるいは切り返すかが翌日の東京市場の起点になります。
- 本日の安値6万4,215円47銭を守れるか: 終値からわずか110円17銭下です。下ヒゲが110円しか出ていない=大引けにかけて買い戻しがほとんど入らなかったため、翌日の寄り付きがこの水準を下回るかどうかが最初の分岐点になります。割り込めば6万4,000円の節目、さらに8月4日終値6万3,957円53銭が視野に入ります
- 中東情勢と原油価格: 報道では米・イラン間の軍事的な応酬が伝えられ、原油は90ドル台に上昇しました。本日の下げの引き金であり、ここが落ち着かない限り戻りは限定されやすい局面です。ただし本項の地政学関連の記述は報道の引用であり、当サイトが事実関係を独自に確認したものではありません
- 長期金利が3%台で上昇を続けるか: 新発10年国債利回りは3.015%と1996年9月以来の高水準です。2営業日連続で約30年ぶり水準を更新しており、ここが止まらないと高PER株の戻りは重いまま。逆に金利が押し戻されれば、本日最も売られた電気機器・サービス業・情報通信が真っ先に買い戻される候補です
- ソフトバンクグループと半導体3銘柄: ソフトバンクグループ・アドバンテスト・東京エレクトロン・リクルートの4銘柄だけで777円38銭、下げ幅の41.1%を占めました。この4銘柄が下げ止まるだけで指数は大きく変わります。逆に言えば、指数の戻りはこの4銘柄次第です
- TOPIXが25日線4,082.67を回復できるか: 本日の終値4,081.60は25日線をわずか1.07ポイント下回っただけです。日経平均が25日線から2.29%も下にいるのとは対照的で、市場全体の地合いを測るなら、日経平均よりTOPIXの25日線攻防を見るほうが実像に近い局面です
- 為替が160円方向に戻るか: 本日は159円73銭と45銭の円高でした。輸送用機器が下落率5位(-3.41%)に沈んだのは円高が効いた結果で、為替が戻れば自動車株から反発が始まりやすい構図です
- 売買代金が8兆円台を維持するか: 本日は8兆0,344億円と前日比7.1%増でした。翌日も商いを伴って下げるなら調整は続き、商いが細って下げ渋るなら投げが一巡したサインと読めます
戦略展望
本日の相場から読み取るべき最も重要な事実は、前日まで続いていた「業種間の資金移動」が止まり、無差別の売りに変わったという点です。前日9月1日は、金利上昇を受けてグロースからバリューへ資金が移り、33業種中26業種が上昇しました。本日は33業種すべてが下落し、前日の上昇率上位4業種(電気・ガス業、鉱業、石油・石炭製品、鉄鋼)がそろってマイナス——原油が90ドル台に上昇したにもかかわらず、石油・石炭製品が2.68%安になったことが象徴的です。本来なら買われるべき業種まで売られたということは、個別の材料よりも「株式全体のリスクを落とす」動きが優先されたということ。これが、96円安と1,889円安を分けた本質的な違いです。
そのうえで、テクニカルの毀損は率直に認めるべきです。本日1日で、5日線・25日線・転換線・基準線・雲の下限という5本の支持線をすべて下抜けました。とりわけ一目均衡表の雲の下に沈んだことは、8月26日以降維持してきた「雲の中」というポジションを失ったことを意味します。MACDヒストグラムは-13.6から-135.2へ悪化し、TOPIXのMACDもデッドクロスに転じました。短中期のトレンドが崩れたという事実に、異論の余地はありません。
一方で、崩れていないものも明確です。200日線5万8,840円83銭からはなお9.32%上、7月29日の安値6万0,448円90銭からは6.41%上にあります。RSIは41.2で、売られすぎの30にはまだ11.2ポイントの距離。TOPIXは25日線をわずか1.07ポイント下回っただけで踏みとどまりました。そして下げ幅1,889円70銭は、直近300営業日で10番目——今年に入ってから同規模以上の下げは9回あり、そのつど指数は水準を回復してきました。短中期は崩れ、長期は無傷——これが本日時点の正確な位置づけです。
したがって、当面の判断基準は3つに絞れます。第一に、下は本日の安値6万4,215円47銭——終値からわずか110円17銭下にあるこの水準を、翌営業日に守れるかどうか。第二に、上は雲の下限6万6,061円99銭——1,736円35銭先にあるこの水準を終値で回復して初めて、本日の下げが「一時的な調整」だったと確認できます。第三に、そのどちらでもなく、中東情勢と原油価格が落ち着くかどうかです。本日の値動きが示したとおり、いまの相場は地政学と金利という2つの外部変数で業種別ランキングの上から下までが説明できてしまう局面にあり、テクニカルな水準論だけでは片手落ちになります。
最後に、下げ方の「質」についてです。売買代金は前日比7.1%増の8兆0,344億円で、しかも金額の増加率が株数の増加率(6.2%)を上回りました——値がさ株にも商いが戻ったうえでの下落です。薄商いのなかで値だけが崩れたのではなく、実際に売買が成立して水準が切り下がったということ。これは「売りが本物である」という悲観材料であると同時に、「投げが出て需給が軽くなった」という好材料でもあります。どちらの解釈が正しいかは、翌営業日の商いの量と、本日の安値6万4,215円47銭を守れるかどうかで判別できます——それが本日の値動きから導かれる、最も無理のない結論です。
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