【8月17日週の相場観】サンデーダウは+75ドル、日経の想定レンジは67,100〜70,100円

2026.08.16 (SUN) WEEKLY MARKET OUTLOOK
今週の想定レンジ 67,100 〜 70,100円
先週金曜終値 68,714円(+0.59%) / サンデーダウ 53,807ドル(ダウ比 +75ドル)
本稿では、①先週末の日本市場→②米国市場→③時間外・サンデーダウ/サンデーナスダック→④週末の国際情勢の順に足元を整理したうえで、⑤今週の日本市場の見通しをまとめます。先週は4営業日すべてが上昇、週間+3,107円(+4.74%)の全面高となり、TOPIXは連日で史上最高値を更新しました。今週は祝日のない5営業日。国内の4-6月期GDP、米FOMC議事要旨、7月の全国消費者物価指数と、指標は並ぶものの決算材料は枯れる週です。

① 先週末の日本市場の動向(8/14)

先週末14日(金)の東京市場は4日続伸で引けました。日経平均は前日比405円21銭高(+0.59%)の68,713円80銭。始値68,811円17銭で高く寄り付いた後、ザラ場では69,608円24銭まで買われ、前日終値から一時約1,300円高まで上昇して6万9,000円台を回復しました。ただし週末要因もあってAI・半導体関連には戻り売りが優勢となり、高値からは約900円押し戻されて引けています。安値は68,471円15銭、売買高は24億4,922万株、売買代金は10兆3,156億円と2日連続で10兆円台に乗せました。TOPIXも21.16ポイント高(+0.51%)の4,197.20と上昇し、ザラ場高値4,220.31を含めて連日の史上最高値更新となりました。

週間では日経平均が3,107円09銭高(+4.74%)と2週続伸しました。前週末終値は65,606円71銭です。週間の値幅は8月10日(月)のザラ場安値65,848円58銭から8月14日(金)のザラ場高値69,608円24銭までの3,759円。4営業日すべてが陽線という、方向感の明確な一週間でした。TOPIXは4,074.93から4,197.20へ+122.27ポイント(+3.00%)。日経の+4.74%に対してTOPIXが+3.00%ですから、値がさのAI・半導体が指数をリードしつつ、東証全体にも買いが行き渡ったバランスと読めます。

週の流れを日ごとに追います。月曜10日は+1,363円51銭(+2.08%)の急反発。前週末の7月米雇用統計が予想に反してマイナスとなり、米早期利上げ観測が和らいだことで米ハイテク株が買われ、その流れをそのまま引き継ぎました。火曜11日は山の日で休場。水曜12日は+553円84銭(+0.83%)で、日本時間夜の米7月CPI発表を控えて前場は様子見でしたが、後場に先物を絡めて上値を追い、TOPIXが約1カ月ぶりに史上最高値を更新しました。韓国株の上昇も追い風です。

注目された米7月CPIはコア指数が前年比+2.5%と市場予想どおりの落ち着いた内容となり、米利上げ観測が後退。これを受けて木曜13日は+784円53銭(+1.16%)とマドを開けての上昇となりました。ただし取引時間中に「政府が日米協調介入の効果を維持する観点から日銀の早期利上げを支持している」と報じられ、為替が円高方向に振れたことで上値はやや抑えられています。そして金曜14日は前日発表の米7月PPIが市場予想を下回ったことで利上げ観測後退の見方が一段と強まり、+405円21銭で4日続伸を達成しました。

先週の構図を一言でまとめれば「雇用統計・CPI・PPIの三点セットが揃って弱く、米早期利上げ観測が消えたことによるAI・半導体の買い戻し」です。8月10日には日経平均がテクニカルの節目である25日移動平均線と75日移動平均線を同時にクリアし、7月下旬から続いた調整局面に区切りを付けました。6月22日の史上最高値72,831円73銭から7月29日安値60,448円90銭まで12,383円幅の調整を強いられた後、週足6本目で26週線に差し掛かってそこから切り返した形です。株式評論家の富田隆弥氏はこれを「2月26日高値から3月31日安値までの調整と同じ展開」とし、4月以降と同様のV字回復に向かうかが焦点だと指摘しています。

セクター別では、東証33業種のうち22業種が上昇、11業種が下落しました。値上がり率トップはサービス業の+10.82%で、リクルートホールディングスなどが牽引しています。2位は鉱業の+7.70%、3位はその他製品の+7.14%。精密機器(+6.57%)・電気機器(+6.34%)・非鉄金属(+6.21%)と輸出・ハイテク系が上位に並びました。一方で最下位は石油・石炭製品の-3.07%、次いで保険業-2.91%、鉄鋼-2.33%、不動産業-2.02%です。以下は東証33業種指数の8月7日終値から8月14日終値までの騰落率です。

セクター(東証33業種) 週間騰落率 コメント
サービス業 +10.82% 33業種で最上位。リクルートなど内需グロースに資金集中
鉱業 +7.70% INPEXなど。中東リスクによる原油反発が直撃した受益セクター
その他製品 +7.14% エンタメ・雑貨系。決算を手掛かりにした個別物色が継続
精密機器 +6.57% セイコーGなど。円安メリットと好決算の両輪
電気機器 +6.34% アドバンテストなどAI・半導体の主力が買い戻される
非鉄金属 +6.21% 住友電工など。金・銀の高値圏維持と電線需要が支え
海運業 +4.77% 中東の海上輸送リスクで運賃上昇観測
金属製品 +4.28% 素材市況の改善と設備投資関連の見直し買い
銀行業 +3.51% あいちFGなど。日銀9月利上げ観測が追い風
卸売業 -1.00% 商社中心に利益確定売り。資源価格の頭打ち観測も
不動産業 -2.02% 三井不動産など。金利上昇観測が引き続き重し
鉄鋼 -2.33% 前週+4.26%の反動。中国の需要鈍化観測も重なる
保険業 -2.91% かんぽ生命など。決算評価が分かれ利益確定が優勢
石油・石炭製品 -3.07% 33業種で最下位。ENEOSなど精製マージンの縮小懸念

※週間騰落率は東証33業種指数の2026年8月7日終値から8月14日終値までの変化率(株探の業種別指数日足より算出)。上位9業種と下位5業種を抜粋しています。代表銘柄は株探「早わかり株式市況」のセクター・トレンド記載に基づきます。

② 米国市場の動向(8/14)

同じ14日(金)の米国市場は主要3指数がそろって小幅反落しました。ダウ工業株30種平均は107.58ドル安(-0.20%)の53,732.41ドルS&P500は13.23ポイント安(-0.17%)の7,785.76ナスダック総合は73.87ポイント安(-0.28%)の26,729.16。ナスダック100は38.36ポイント安(-0.13%)の30,046.14、SOX指数は38.95ポイント安(-0.31%)の12,417.05でした。前日13日にS&P500が最高値を更新した直後であり、高値警戒感からの利益確定売りという整理になります。

下落のきっかけは景気指標です。7月の米小売売上高が昨年10月以来のマイナス、落ち込み幅としては昨年5月以来の大きさとなり、さらに8月のミシガン大学消費者マインド指数も市場予想を下回りました。インフレ鈍化はもはや織り込まれ、市場の関心が「利上げ懸念」から「消費・景気の減速懸念」へ移り始めたことを示す一日でした。中東情勢の不透明感による原油価格の上昇も警戒材料とされています。

週間ベースで見ると、指数間で明暗が分かれました。ダウは-0.56%(54,036.93→53,732.41)と3指数で唯一のマイナス。一方でS&P500は+0.36%、ナスダック総合は+0.14%、ナスダック100は+1.09%、SOX指数は+0.49%と、ハイテク寄りほど底堅い並びです。前週にダウ+2.96%・ナスダック+5.19%という急騰があった後ですから、先週の米国株は「上昇一服・高値もみ合い」と評価するのが妥当でしょう。恐怖指数(VIX)は14.90から14.25へ週間-4.4%と、警戒感はさらに後退しました。

週を通しての最大の材料はインフレ指標でした。12日発表の7月CPIはコア指数が前年比+2.5%と市場予想どおり13日発表の7月PPIは市場予想を下振れ。前週末の雇用統計の悪化と合わせ、早期利上げへの警戒感は急速に後退しました。もっとも金利は素直に下がっていません。米10年債利回りは4.693%(前日比+5.4bp)で引け、8月7日の4.66%からは週間で約3bpの上昇です。2年債は4.17%(+3bp)、30年債は5.26%(+5bp)で、2年-10年のスプレッドは52.20bpとイールドカーブはフラット化しました。

金利先物市場の織り込みも確認しておきます。CME FedWatchによれば、9月FOMCで政策金利が3.50〜3.75%となる確率は61%程度、10月では49%程度、年内に利上げが行われる確率は67%程度とされています。「早期利上げ観測は後退した」とはいえ、年内の利上げ自体は依然として3分の2の確率で織り込まれているという点は押さえておくべきでしょう。半導体では好決算を発表したアプライド・マテリアルズにも売りが先行しており、市場の半導体株に対する期待感の織り込みがすでに相当進んでいることを示唆しています。

③ 時間外取引・サンデーダウ・サンデーナスダックの状況

週末の時間外(先物)市場は、米国株が現物をわずかに上回る水準で週を終えました。サンデーダウ(ダウ先物)は53,807ドル。金曜の現物終値53,732.41ドルに対して約+75ドル(+0.14%)です。サンデーナスダック(ナスダック100先物)は30,141.75でナスダック100比+96ポイント(+0.32%)S&P500先物(Eミニ)は7,805.00で現物比+0.25%。いずれも小幅高で、金曜の下げを引きずってはいないものの、積極的に買い上がる勢いもない中立的な位置取りです。

日経先物も同様に落ち着いています。大阪取引所ナイトセッションの日経225先物(9月限)は68,720円で、日中終値比わずか30円高。金曜の現物終値68,713円80銭と比べてもわずか6円高(+0.01%)という、ほぼ同値での週末通過となりました。CME日経平均先物は円建て9月限が68,715円(大取終値比+25円)、ドル建てが68,735円(同+45円)、SGX夜間も68,785円で、すべてが68,700円台に収れんしています。

先週は「大取ナイト66,310円が現物を703円上回る」という強い上方乖離を抱えて週明けを迎え、実際に月曜は+1,363円の急反発となりました。今週はその上方乖離がほぼ消えているのが特徴です。つまり月曜の寄り付きは金曜終値68,714円前後からのフラットスタートが現時点の市場の見立てであり、週明けは先物からの「下駄」がない状態で、指標や材料に素直に反応する地合いになると考えられます。

為替はドル高・円安方向に振れました。ドル円は14日のNY市場で159円33銭で引けています。前週末の157円78銭からは週間1円55銭の円安で、7月末の協調介入による急落分をほぼ全戻しした形です。週初10日には株高を背景としたキャリートレード再燃で200日移動平均線を回復する159円台まで上昇し、14日には日銀の9月利上げ観測報道と米指標の弱さで一時158円60銭近辺まで軟化したものの、押し目買いに支えられて159円台を回復しました。下表・下図では、まず金曜終値の通常指標(ダウ・S&P500・ナスダック)を示し、その後に時間外のサンデーダウ・サンデーナスダック等の先物、続いてVIX・為替・商品などの指標を並べています。

指標 水準 変化 コメント
ダウ平均(金終値) 53,732.41ドル -0.20% 反落。週間-0.56%と3指数で唯一のマイナス
S&P500(金終値) 7,785.76 -0.17% 13日に最高値を更新した直後の小反落。週間+0.36%
ナスダック総合(金終値) 26,729.16 -0.28% 小反落。週間は+0.14%で辛うじて続伸
ナスダック100(金終値) 30,046.14 -0.13% 週間+1.09%と3指数を上回る底堅さ
SOX指数(金終値) 12,417.05 -0.31% 週間+0.49%。13日高値からは伸び悩む
サンデーダウ(ダウ先物) 53,807ドル ダウ比 +0.14% 現物を約75ドル上回って週末を通過
サンデーナスダック(NQ) 30,141.75 NQ100比 +0.32% 半導体の戻り基調はひとまず維持
S&P500先物(Eミニ) 7,805.00 指数比 +0.25% 現物をやや上回る中立的な水準
日経225先物(大取ナイト) 68,720円 現物比 +0.01% 日中終値比+30円。CME円建ては68,715円
VIX(恐怖指数) 14.25 -2.60% 14台前半へ低下。週間-4.4%で警戒感は後退
ドル円 159.33円 週間 +1.55円 雇用統計ショックの急落分をほぼ全戻し
WTI原油(NY終値) 82.40ドル 週間 +5.40% 中東の供給リスクで80ドル台へ反発
金(NY終値) 4,380.70ドル 週間 +0.91% 高値圏を維持。時間外では4,437ドル近辺
銀(NY終値) 64.99ドル 週間 +2.62% 65ドル手前で高値圏。非鉄金属の支え
米10年債利回り 4.693% 週間 +3bp PPI鈍化も週末は反発。8/7終値は4.66%
BTC/USD 63,004ドル 週間 -2.84% 6.3万ドル台へ軟化。株高への追随はなし
日経225(金終値) 68,713.80円 +0.59% 4日続伸。週間は+3,107円(+4.74%)の大幅高

※サンデーダウ・サンデーナスダック等は金曜の時間外取引終了時点(米東部時間17時)の値であり、週明けの実際の寄り値とは乖離する可能性があります。日経225先物は大阪取引所ナイトセッション(9月限)終値。金・銀はCOMEXの8月14日日足終値で、時間外の最終取引値(金4,437.3ドル)とは差があります。BTCは日本時間8月16日午前時点の値です。

主要マーケット指標サマリー 2026-08-16

④ 週末の国際情勢ハイライト

項目 リスクレベル 状況・影響
中東(米・イラン交渉) 戦闘終結に向けた最終合意の交渉期限が8/17。決裂なら原油高再燃
ホルムズ海峡 安定輸送は依然期待できず。WTIは週間+5.40%で80ドル台へ
為替介入 中〜高 159円台まで戻し160円が節目。上抜けなら再介入への警戒が強まる
日銀 中〜高 政府が早期利上げを支持と報道。9/17-18会合での利上げ観測が上昇
米Fed(ウォーシュ議長) CPI・PPI鈍化で早期利上げ観測は後退。ただし年内利上げ確率は67%
米個人消費 中〜高 7月小売売上高が大幅な落ち込み。今週は小売大手の決算が集中

■ 中東・米イラン交渉期限が8月17日

今週の最大の外部リスクは中東です。米国とイランの戦闘終結に向けた最終合意の交渉期限が8月17日(月)に迫っています。ホルムズ海峡を巡る状況は膠着が続いており、和平に向けた取り組みは難航していると伝えられます。期限が動くのは東京市場が開いている月曜ですから、交渉の帰趨が伝わるタイミング次第では、週明けの東京市場が直接反応する可能性があります。

原油は供給リスクを織り込む形で反発しました。WTI原油は8月14日のNY終値で82.40ドル、週間+5.40%です。前週の78.18ドルから4.22ドルの上昇で、週中には83.27ドルまで買われました。フィスコによれば、NYMEX9月限の14日終値は82.32ドル(+1.07ドル、+1.32%)で、ホルムズ海峡を巡る供給リスクと米・イラン協議の停滞が意識され、2営業日続いた調整局面から買い戻しが優勢となった一方、世界的な需要見通しの下方修正観測が上値を抑えたとされています。原油高がインフレ圧力として意識されれば、せっかく後退した米利上げ観測が再燃するルートが残る点は今週の警戒事項です。国内では原油高を受けて鉱業セクターが週間+7.70%と33業種2位に浮上しました。

■ 為替 — 159円台まで戻し、160円が焦点

ドル円は7月末から8月にかけての日米協調介入で一時155円台まで下値を切り下げた後、介入前の水準から半値付近まで戻しています。先週は買い戻しが継続し、雇用統計ショックによる急落分をほぼ全戻しする円安基調となりました。週初10日はキャリートレード再燃で200日移動平均線を回復する159円台へ。12日のCPI発表直後の下落は即座に買い戻されて159円台半ばへ切り返し、13日の日銀利上げ支持報道による円買いも追随は限定的でした。14日は米小売売上高とミシガン大指数の弱さで一時158円60銭近辺まで軟化したものの、159円40銭まで反発し159円33銭で引けています。

今週の焦点は160円の節目を試すかどうかです。フィスコは「中東情勢の混迷長期化による懸念からドル買い継続の見通しだが、160円台を上回る水準での為替介入が警戒されることから一段の上昇は抑制されそう」として、今週のドル円予想レンジを156円00銭〜161円00銭としています。投機筋が追加介入の可能性を探っており、一段の円売りには慎重という指摘も重要です。日本株にとって円安は輸出企業の追い風ですが、160円接近は介入警戒を通じて逆に上値抑制要因にもなり得るという、両面性のある水準に来ています。

■ 日銀と9月利上げ観測

先週相場を動かしたもう一つの材料が日銀です。13日には「政府が日米協調介入の効果を維持する観点から、日銀の早期利上げを支持している」と報じられ、14日にも日銀が早ければ9月にも利上げに動くとの観測報道が伝わりました。9月17〜18日に開催予定の日銀金融政策決定会合での利上げ観測が強まりつつあり、為替介入で米国の支援を受けている経緯からも実現の可能性は高いとみられています。

この観測は業種間の明暗にそのまま出ています。先週の東証33業種で銀行業が+3.51%と上位に入る一方、不動産業は-2.02%と下位に沈みました。今週は21日(金)朝に7月の全国消費者物価指数が発表されます。ここが上振れれば9月利上げの確度がさらに高まり、金利敏感セクターの明暗は一段とはっきりする展開になりやすいでしょう。

■ 米国 — 消費の減速と、翌週の二大イベント

米国では焦点が「インフレ」から「消費」に移りつつあります。7月の小売売上高が昨年5月以来の大幅な落ち込みとなり、ミシガン大学消費者マインド指数も予想を下回りました。今週はホーム・デポ(18日)、ターゲット・ロウズ(19日)、ウォルマート(20日)と個人消費関連の決算が集中します。フィスコは「AI・半導体関連からの資金シフトのきっかけにとも期待されるが、足下の小売売上高などからは、むしろ警戒感が先行しやすくなりそうだ」と指摘しており、景気敏感株全般の先行き懸念につながる公算にも触れています。

そしてもう一点、今週は「翌週の二大イベントの前週」だという構図を押さえておく必要があります。エヌビディアの決算発表とジャクソンホール会合が翌週に控えており、フィスコは今週について「いったん様子見姿勢が強まっていく展開を想定する」としています。ジャクソンホール会合への警戒感自体は薄れているものの、ウォーシュFRB議長の講演内容次第では、先行きの市場への情報発信に対する懸念が強まるリスクは残るという見方です。なお、ウクライナ情勢と米中通商協議については、今週末の一次ソースに新規の材料が確認できなかったため本稿では扱っていません

■ 需給 — 海外勢は現物売り・先物買いの構図

東証が14日に発表した8月第1週(3日〜7日)の投資部門別売買動向も確認しておきます。日経平均が前週末比1,244円高となったこの週、海外投資家は現物を3,827億円売り越し(2週連続)個人投資家も1,566億円の売り越し(3週連続)でした。一方で信託銀行は2週ぶりに1,697億円の買い越し自社株買いが中心とみられる事業法人は6週連続の買い越しで、買越額は1兆882億円と前週の4,219億円から大きく膨らんでいます。

注目すべきは海外投資家が先物では3週連続の買い越し(5,808億円)だという点です。現物を売りながら先物を買うという構図は、中長期の資金を引き揚げつつ短期のリバウンドは取りに行くという姿勢の表れとも読めます。また富田氏によれば裁定買い残は8月7日時点で2兆2,367億円と低位にあり、直近ピークである2月末の3兆8,683億円から大きく解消が進んでいます。裁定買い残が底値圏にあることは、今後の裁定買い流入によって指数が押し上げられる余地があることを示唆します。

⑤ 今週(8/17〜8/21)の日本市場の見通し

以上を踏まえた今週の東京市場の見通しです。まず前提として、今週は日本の祝日がなく、17日(月)から21日(金)までの5営業日がフルにあります。先週は山の日で4営業日でしたから、営業日数は1日増える計算です。またオプションSQは先週14日に通過済みで、今週は需給イベントのない「素の週」となります。一方で4-6月期決算の発表は先週末で一巡しており、フィスコが指摘するとおり「来週以降は個別物色の手掛かり材料が極端に減少する」週でもあります。

テクニカル面を確認します。金曜終値68,713円80銭は、5日移動平均67,424円68銭、25日移動平均65,847円07銭、75日移動平均65,770円88銭のすべてを上回る強い位置にあります。200日移動平均は57,805円04銭とはるか下方です。上値ではボリンジャーバンド+1σが67,968円01銭で、すでに終値がこれを上抜けた状態にあり、次の抵抗は+2σの70,088円95銭となります。年初来高値は6月22日の72,831円73銭で、そこからの下落率は約5.7%まで縮まりました。年初来安値は3月31日の50,558円91銭です。

先物ベースのテクニカルポイント(15日夜間取引終了時点)も見ておきます。一目均衡表の雲上限(先行スパン1)が68,412円50銭で、金曜終値・ナイト終値ともにこれをわずかに上回る位置にあります。雲下限(先行スパン2)は66,060円、転換線65,880円、基準線65,085円。日経225先物のピボット分析(8/14基準)ではPIVOTが68,683円で、S1が69,226円、S2が70,193円、B1が67,716円、B2が67,173円、LBOPが66,206円です。金曜終値68,714円・大取ナイト68,720円・先物PIVOT68,683円という三つの数値がほぼ完全に一致しており、今週の起点は文句なく「68,700円前後」ということになります。

以上から、金曜終値68,714円を起点に、上値想定70,100円(+2.0%)/基本シナリオ68,700円(横ばい)/下値想定67,100円(-2.3%)を今週の想定レンジとします。上下ほぼ対称でわずかに下方に厚い設定です。4営業日で+3,107円を駆け上がった直後であること、翌週にエヌビディア決算とジャクソンホール会合を控えて様子見ムードが強まりやすいことを踏まえ、上方向のバンドは控えめに置いています。なお参考までに、フィスコの今週の日経平均予想レンジは下限67,000円〜上限71,000円とされています。

日経平均 今週の想定レンジ 2026-08-17〜21

■ 上値想定 70,100円:最高値挑戦シナリオ

上値のメドを70,100円に置く根拠は、ボリンジャーバンド+2σが70,088円95銭にあること、そして日経225先物のピボット分析でS2(第2上値抵抗)が70,193円とほぼ同じ位置に来ていることです。この二つが重なる70,100円前後は、統計的にも需給的にも上値が重くなりやすいゾーンと考えられます。そこに至るまでの手前の関門は、8月14日のザラ場高値69,608円24銭先物ピボットS1の69,226円です。まずは6万9,000円台を終値で固められるかが第一関門になります。

このシナリオを支える材料を整理します。第一に米インフレ指標が三つ揃って弱かったこと。雇用統計・CPI・PPIの結果を受けて早期利上げ懸念は大きく後退しており、金利面からの逆風は当面弱まっています。第二にTOPIXが連日で史上最高値を更新していること。日経平均が最高値まで約5.7%を残す一方、TOPIXはすでに未踏の領域に入っており、東証全体の底堅さは日経の指数上昇にも波及しやすい状況です。第三に裁定買い残が2兆2,367億円と低位にあり、裁定買いの流入余地が残っていること。第四に4-6月期決算が好業績中心だったことです。富田氏は8月13日時点の日経平均EPS予想を3,892円、PERを17.55倍とし、PERが6月22日時点の18.85倍まで戻るなら上値メドは73,364円と算出しています。

実現の条件は、①17日の4-6月期GDPが前期比+0.5%程度の堅調な数値となり、中東情勢のマイナス影響が限定的との見方が広がること、②20日未明のFOMC議事要旨が想定外にタカ派でないこと、③米小売大手の決算が消費の底堅さを示すこと、④ドル円が159〜160円台を維持し円高が進まないこと、の4点です。

■ 下値想定 67,100円:AI一極集中の巻き戻しシナリオ

下値のメドは日経225先物のピボットB2(第2下値支持)67,173円5日移動平均67,424円68銭が並ぶゾーンのやや下、67,100円に置きます。ここに至るまでには複数の関門があります。まず一目均衡表の雲上限68,412円50銭、次にボリンジャーバンド+1σの67,968円01銭(先物ベースでは68,031円13銭)先物ピボットB1の67,716円です。終値ベースで雲上限68,412円を割り込むかどうかが、調整が本格化するかを判定する最初のシグナルになります。

警戒すべきシナリオは主に三つです。第一にAI・半導体関連の一極集中の巻き戻し。フィスコは「決算発表が一巡して手掛かり材料が減少するなか、テーマ物色の流れが強まることで、AI・半導体関連は一極集中的に買われる動き、あるいは一斉に崩れる動きとなる可能性が高い」と指摘しています。金曜の東京市場ですでにAI・半導体は総じて伸び悩み、米SOX指数も13日の高値から伸び悩んでいます。好決算を出したアプライド・マテリアルズにも売りが先行した事実は、期待の織り込みがすでに相当進んでいることを示しています。

第二に米イラン交渉の決裂と原油高の再燃。交渉期限は17日(月)です。決裂すればホルムズ海峡を巡る供給不安から原油が一段高となり、インフレ再燃観測を通じて米金利上昇→ハイテク株安という連鎖が復活しかねません。第三に米個人消費の減速懸念。7月小売売上高の落ち込みに続き、今週は小売大手の決算が集中します。ガイダンスが弱ければ景気敏感株全般に売りが波及する公算があります。なお、これらを織り込んでも67,100円を下抜けた場合の次の支持は雲下限66,060円と先物ピボットLBOP66,206円、その下に25日線65,847円という並びになります。

■ 基本シナリオ 68,700円:高値圏でのもみ合い

最も可能性が高いとみるのが、68,700円前後を中心とした高値圏でのもみ合いです。すでに述べたとおり、金曜終値68,713円80銭、大取ナイトセッション68,720円、先物ピボットPIVOT68,683円という三つの水準がこの価格帯にほぼ完全に重なっています。先物からの上方乖離も下方乖離もない状態で週明けを迎えるため、月曜は素直にフラットスタートとなり、そこから材料に応じて上下を試す展開が想定されます。

週の流れのイメージは次のとおりです。月曜17日は朝8時50分の4-6月期GDPと、同日に期限を迎える米イラン交渉が焦点。午前11時の中国指標も内需・資源セクターに効きます。火曜18日は国内材料が乏しく、夜の米住宅着工・鉱工業生産待ち。水曜19日は6月機械受注、そして日本時間20日午前3時のFOMC議事要旨があり、木曜20日の寄り付きが今週最大の変動ポイントになります。金曜21日は7月の全国CPIで、日銀9月利上げ観測を左右する一日です。

物色面では、AI・半導体一極集中から非AI銘柄への分散が進むかが焦点です。フィスコは「AI関連株軟化の中で日経平均は調整を強いられそうだが、対照的な動きとなりやすい非AI関連に物色が向かうことで、市場ムードは大きく悪化しない」とみています。米国で小売決算が並ぶことから、東京市場でも小売セクターなどの非AI銘柄に注目が向かいやすい。また、株探はグロース市場への資金流入継続を指摘し、グロース指数が日足チャートでダブルボトムを形成しており、2カ月続いた調整局面を抜け出せるかに注目しています。決算を受けて出尽くし感が先行した銘柄、業績悪化で大きく下落した銘柄の押し目買いも狙い目になりそうです。

■ 今週の注目イベント

  • 8/17(月):4-6月期GDP速報値(8:50)、6月鉱工業生産[確報値]・6月設備稼働率・6月第3次産業活動指数(13:30)、中国7月鉱工業生産・7月小売売上高・1〜7月固定資産投資(11:00)、中国7月70都市新築住宅販売価格(10:30)、米8月ニューヨーク連銀製造業景気指数(21:30)、米8月NAHB住宅市場指数(23:00)、米6月対米証券投資(18日5:00)。韓国・インドネシア市場休場。米イランの戦闘終結に向けた最終合意の交渉期限
  • 8/18(火):5年国債入札、英7月失業率(15:00)、独8月ZEW景況感指数・ユーロ圏8月ZEW景況感指数(18:00)、米7月住宅着工件数・建築許可件数・輸出入物価指数(21:30)米7月鉱工業生産・設備稼働率(22:15)、米7月中古住宅販売成約指数(23:00)。海外決算はホーム・デポ、キーサイト・テクノロジーズ、シャオミ、百度(バイドゥ)。
  • 8/19(水):6月機械受注(8:50)、7月訪日外客数(16:15)、英7月消費者物価指数(15:00)、ユーロ圏7月消費者物価指数[確報値](18:00)、米週間石油在庫統計(23:30)、FOMC議事録(7月28〜29日開催分、20日3:00)、米20年国債入札。海外決算はアナログ・デバイセズ、TJX、ロウズ・カンパニーズ、ターゲット
  • 8/20(木):7月貿易収支(8:50)、7月首都圏マンション市場動向(14:00)、20年国債入札、中国8月最優遇貸出金利(LPR、10:00)、独7月生産者物価指数(15:00)、米新規失業保険申請件数・米8月フィラデルフィア連銀景況指数(21:30)、米7月コンファレンスボード景気先行指数(23:00)。海外決算はウォルマート、ディア&カンパニー、アリババ・グループ、網易(ネットイーズ)。
  • 8/21(金):7月全国消費者物価指数(8:30)、7月食品スーパー売上高(13:00)、8月製造業PMI・サービス業PMI、独8月製造業PMI(16:30)、ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値、米8月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI速報値、ユーロ圏8月消費者信頼感指数。フィリピン市場休場。
  • 今週の国内決算:4-6月期決算は先週14日で一巡しました。個別物色の手掛かり材料は極端に減少します。
  • 翌週(8/24週)に控える二大イベント:エヌビディアの決算発表ジャクソンホール会合(ウォーシュFRB議長の講演)。今週の相場はこの二つを前にした様子見の一週間という位置付けになります。

■ 戦略・スタンス

今週は「4日続伸のあとの様子見週。高値を追わず、押したところを拾う」を基本スタンスとします。先物と現物の乖離がほぼゼロで、需給イベントもなく、決算材料も枯れる。相場を動かすのは指標と外部要因だけという構造の週です。フィスコが「いったん様子見姿勢が強まっていく展開」とみているとおり、積極的に上を買う理由も、慌てて売る理由も乏しいのが現状でしょう。

具体的な組み立ては次の4点です。①AI・半導体関連は翌週のエヌビディア決算を意識した持ち高調整に注意。好決算のアプライド・マテリアルズにさえ売りが先行した事実は、期待の織り込みが進みきっていることを示します。上値追いは翌週の結果を見てからでも遅くありません。②非AI・内需・小売への分散を検討。米国で小売大手の決算が並び、東京でも小売セクターに目が向きやすい局面です。③金利敏感セクターは21日の全国CPI次第。上振れなら銀行株が買われ、不動産・高配当ディフェンシブが売られる展開になりやすい。④グロース市場の底打ちに注目。グロース指数はダブルボトム形成中で、2カ月の調整局面を抜けるかが試されます。

リスク管理では二点。第一にVIXが14.25と低水準にある現状は「安心」ではなく「サプライズに脆い」局面だと捉えることです。第二に8月17日(月)の米イラン交渉期限という、日付が特定されている地政学イベントを抱えている点です。決裂した場合の原油高→インフレ再燃→金利上昇という連鎖は、ここまでの「弱い指標を好感した株高」の前提そのものを崩しかねません。月曜のポジションは平常週より軽めにしておくのが無難でしょう。

最後に中期の視点を添えます。富田氏は「再び25日線を割り込むような下落があれば見方は変わるが、注意信号が点灯するまでは押し目買い基調が続き、日経平均は最高値7万2,831円の奪取を目指す」との見方を示しています。現在の25日線は65,847円で、金曜終値からは約4.2%下方。今週の想定レンジ下限67,100円を割り込んでも、25日線まではまだ距離があるという位置関係です。上値を追う週ではないが、下げたところは拾われる。突っ込みを売らないことを今週も心得としておきたいところです。

チャート(TradingView)

日経225(INDEX:NKY)・ドル円(FX:USDJPY)・S&P 500(FOREXCOM:SPXUSD)の主要チャートです。本文の数値と合わせてご確認ください。

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免責事項:本記事は情報提供のみを目的としたものであり、特定の銘柄や取引手法を推奨するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任で行ってください。記載内容は執筆時点での公開情報をもとに作成しており、その正確性・完全性を保証するものではありません。相場の想定レンジはあくまで筆者の見解であり、将来の値動きを保証するものではありません。投資には元本割れのリスクが伴います。

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