【7月31日】日経平均2,494円高も値下がり922銘柄、円買い介入とSOX8%高

2026年7月31日(金) 東京市場クローズ
日経平均 64,362.02円 +2,494.59円 (+4.03%)

7月最終日に、とんでもない数字が並びました。日経平均は2,494円高(4.03%高)、一時は3,497円高——28日と29日の2営業日で失った3,497円を、場中に1円単位でぴたりと取り戻した計算です。ところが東証プライムの値下がりは922銘柄、値上がりは612銘柄。市場の6割は下げています。前夜には円買い介入とみられる5円級の急変があり、日銀会合は据え置き。材料が一日に集中した金曜日を、順に解きほぐします。

本日の相場概況

7月31日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続伸し、前日比2,494円59銭(4.03%)高の6万4,362円02銭で取引を終えました。上昇率・上昇幅ともに今年でも屈指の大きさです。前日30日の米国市場でSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が8.19%高と急反発したことを受け、AI・半導体関連に海外勢の買い戻しが一気に流れ込みました。

値動きの経路を追うと、この日の熱量がよく分かります。寄り付きは6万1,957円10銭と前日終値を約90円上回る水準でスタートし、そこから一本調子に駆け上がりました。10時22分には高値6万5,364円73銭を付け、4営業日ぶりに6万5,000円台を回復しています。前日終値からの上昇幅は3,497円30銭。ここで数字を並べてみてください。7月28日の下落幅が2,566円27銭、29日が930円73銭で、2日間の合計は3,497円00銭です。場中の最大上昇幅と、2日間の下落幅が30銭差でほぼ完全に一致した——買い戻しがどこまで戻すかを、市場が正確に測って動いていたことを窺わせる符合です。

ただし、その水準は引けまで維持できませんでした。買い一巡後は昼をまたいだ日銀の金融政策決定会合の結果を消化しつつ、後場は利益確定売りに押されて伸び悩みます。終値は高値から1,002円71銭押し戻された6万4,362円02銭。安値は寄り直後9時00分の6万1,948円23銭で、日中値幅は3,416円50銭という荒さでした。始値とほぼ同値で安値を付け、そこから2,400円上げて引けた形ですから、日足は下ヒゲのほとんどない大陽線です。

そして、いつものように指数の外を見ると景色が変わります。東証プライムでは値上がり612銘柄に対し値下がりは922銘柄、変わらずが24銘柄。4%も上がった日に、市場の約6割は下げているのです。TOPIXは1.29%高の4,003.30と上げたものの日経平均の4.03%高には遠く及ばず、JPXプライム150指数に至っては0.98%高にとどまりました。7営業日連続で、日経平均は市場全体の実態を映していません。昨日は「28業種下落でも指数だけ上昇」、今日は「値下がり922でも指数は4%高」。歪みの向きは同じで、規模だけが拡大しました。

主要マーケット指標

指標 数値 前日比
日経平均株価 64,362.02円 +2,494.59円 (+4.03%)
日経平均 高値 / 安値 65,364.73 / 61,948.23 始値 61,957.10円 (値幅3,416円)
TOPIX 4,003.30 +50.80 (+1.29%)
JPXプライム150 1,681.65 +16.28 (+0.98%)
SOX指数 (7/30終値) 11,302.99 +855.50 (+8.19%)
ナスダック総合 (7/30終値) 25,122.18 +679.24 (+2.78%)
S&P 500 (7/30終値) 7,437.63 +121.48 (+1.66%)
NYダウ (7/30終値) 52,208.06 +613.92 (+1.19%)
米ドル/円 160円70銭前後 前夜に157円94銭まで急伸(介入観測)
東証プライム 売買代金 約10兆1,100億円 前日の約12兆6,600億円から減少
東証プライム 売買高 約32億1,000万株 高水準の商いが継続
東証プライム 値上がり/値下がり 612 / 922 変わらず24 (値下がりが約6割)
ストップ高 / ストップ安 33 / 1 キオクシアなどAI関連が急騰
日銀 金融政策決定会合 政策金利 据え置き 展望レポートで26年度CPIを下方修正
注記: 米国指数は日本時間31日時点で最新となる7月30日(木)の終値です。日経平均・TOPIXの終値および始値・高値・安値はYahoo!ファイナンスの当日値、売買代金・売買高は市場統計の集計値、値上がり・値下がり銘柄数は大引け時点の公表値によります。テーブルの色は日本式表記(上昇=赤/下落=緑)に従っています。

マクロ・地政学の視点

本日を理解する鍵は、前夜に起きた三つの出来事にあります。米インフレ指標の下振れ、円買い介入とみられる急変、そして米ハイテク株の急反発です。順に見ていきます。

まず米国の経済指標です。30日に発表されたPCE(個人消費支出)コア・デフレーターとGDPがいずれも市場予想を下回りました。前日29日のFOMCでは「インフレ圧力はなお高い」との受け止めから長期金利が急伸し、市場では利上げの可能性まで意識されていました。そこへインフレ鈍化を示す数字が出たわけです。金利観測が一日で反転したことになります。高PERのグロース株・半導体株が売られてきた最大の理由が金利上昇だったのですから、その前提が崩れれば買い戻しが入るのは自然な流れでした。

結果、30日の米国市場は全面高となります。SOX指数は855ポイント50(8.19%)高の1万1,302.99と急反発。28日の4.49%安、29日の5.33%安で失った分を、ほぼ一日で取り返した格好です。ナスダック総合は2.78%高、S&P500は1.66%高、NYダウは1.19%高でした。上昇率がSOX>ナスダック>S&P>ダウときれいに並んでいる点に注目してください。これは「相場全体が良くなった」のではなく、金利感応度の高い銘柄ほど強く買い戻されたことを意味します。今日の東京市場で起きたことも、構造としてはまったく同じです。

二つ目が為替の急変です。30日のニューヨーク市場でドル円は中東情勢による原油高を背景に一時163円74銭まで上昇しましたが、上述の弱い米指標で反落。そして22時30分頃、円買い介入とみられる動きが入り、162円80銭台から157円94銭まで一気に約5円の急落となりました。31日の東京時間はベッセント米財務長官の「円は著しく過小評価されている」との発言も伝わり、その後は買い戻されて160円70銭前後で推移しています。前日の163円69銭からは約3円の円高です。

ここは冷静に評価すべきところです。3円の円高は、本来なら輸出企業の採算にとって明確な逆風です。それでも日経平均が4%高になったのは、上げを主導したのが為替感応度よりも米国の金利観測とAI需要で動く半導体株だったからにほかなりません。逆に言えば、円高が効く自動車・機械といった従来型の輸出セクターには重しがかかったはずで、値下がり922銘柄という数字の一部はここで説明がつきます。

三つ目が日銀の金融政策決定会合です。結果は市場予想どおり政策金利の据え置き。同時に公表された展望レポートでは、こちらも予想どおり2026年度の消費者物価指数見通しが下方修正されました。サプライズがなかったため株式市場の反応は限定的で、発表後の為替はやや円売りに傾きました。ただし介入観測の直後に据え置きが決まった構図は、円安是正を為替介入で行い、金融政策は動かさないという役割分担を示唆します。この組み合わせが持続可能かどうかは、8月以降の相場を考えるうえで重要な論点になります。

セクター・個別銘柄の動き

買われたセクター・銘柄

買われたのは、前夜の米SOX8%高に直結する半導体・AI関連と、その周辺の素材・電線セクターでした。東証の業種別では非鉄金属や電気機器が上位に並んでいます。日経平均の4.03%高に対しTOPIXが1.29%高にとどまったことからも、上昇が値がさハイテクに極端に偏っていたことが分かります。

象徴的だったのがキオクシアホールディングス(285A)で、AI向けメモリー需要への期待からストップ高まで買われました。この日は東証全体でストップ高33銘柄に対しストップ安は1銘柄と、値幅制限まで買い上がられる銘柄が続出しています。決算を発表した村田製作所(6981)は買い気配のまま値が付きにくい展開となりました。

主力どころではアドバンテスト(6857)、ソフトバンクグループ(9984)、東京エレクトロン(8035)、TDK(6762)、フジクラ(5803)、レーザーテック(6920)が軒並み高。ここで注目したいのがソフトバンクグループの反発です。同社は前日30日、半導体株が買い戻されるなかで独り下落していました。「業績の数字で語れる半導体株」と「AIテーマそのものを買われる銘柄」の選別が起きている、というのが昨日の見立てでしたが、本日はそのソフトバンクGにも買いが戻ったことになります。買い戻しの裾野が、テーマ株にまで広がった一日でした。

売買代金の上位にはSUMCO(3436)、アドバンテスト、ソフトバンクG、日本マイクロニクス(6871)、古河電気工業(5801)、三菱マテリアル(5711)、JX金属(5016)、富士電機(6504)、フジクラ、レーザーテックが並びました。シリコンウエハー、電線、非鉄・銅、パワー半導体——いずれもAIデータセンター建設の物理的なボトルネックとされる領域です。買われたのが完成品メーカーではなく素材・部材・インフラ側に偏っている点は、この買い戻しの性格を示しています。

売られたセクター・銘柄

一方で、市場の約6割にあたる922銘柄が下落しました。4%高の日にこれだけの銘柄が下げるのは異例です。背景は二つあります。約3円の円高が輸出関連の採算懸念を呼んだこと、そして7月最終営業日にあたり、半導体以外のポジションを整理して資金を移す動きが出たことです。

個別で目立ったのは決算銘柄の急落です。デンソー(6902)第一三共(4568)がいずれも決算を材料に大きく売られました。この日は281社が決算を発表する集中日で、内容が市場の期待に届かなかった銘柄は容赦なく叩かれています。指数が4%上げている裏側で、個別の決算はまったく甘く採点されていない——この非対称性は覚えておく価値があります。

デンソーの下落は、自動車セクターをめぐる議論にもう一つ材料を加えました。7月29日にトヨタ自動車が7.18%高となった際の焦点は「これは本物のセクターローテーションか、半導体売りからの一時避難か」でした。30日に半導体が反発するとトヨタは反落し、本日はさらに円高と決算失望が重なって自動車・部品セクターに逆風が吹いています。2営業日連続で「一時避難だった」側の証拠が積み上がったと見るのが妥当でしょう。

商いは売買代金約10兆1,100億円、売買高約32億1,000万株でした。前日の約12兆6,600億円、28〜29日の12〜13兆円台からは明確に減少しています。ここは冷静に見ておきたい点です。4%も上昇した日に、売買代金は急落局面より2兆円以上少ない。売買高が32億株と高水準を保っている一方で代金が減ったのは、値がさ株の売買がむしろ細り、低位株の商いが増えたことを示唆します。急落時ほどの資金が新規に流入したわけではない、という読み方が自然です。

テクニカル分析

トレンド

日足は下ヒゲのほとんどない大陽線となりました。始値6万1,957円10銭に対し安値は6万1,948円23銭で、その差はわずか8円87銭。寄り付きが実質的にこの日の底で、そこから終値まで2,404円92銭を積み上げた形です。ローソク足の実体は極めて長く、買い方の圧力が一日を通して途切れなかったことを示しています。

ただし上ヒゲは1,002円71銭あります。高値6万5,364円73銭から1,000円超押し戻されて引けたわけで、上値では依然として戻り売りが待っているという構図自体は前日から変わっていません。前日の上ヒゲが1,057円でしたから、2日続けて1,000円級の上ヒゲを引いたことになります。

トレンドの位置を確認しましょう。本日の終値6万4,362円02銭は、7月27日の終値6万4,931円19銭をなお569円17銭下回っています。つまり2,494円高でも、まだ28日の急落前の水準には戻れていないのです。7月1日の終値7万474円96銭からは6,112円94銭(8.67%)安。前日時点の12.21%安からは大きく改善しましたが、7月を通してみれば依然として大幅な下落月であることに変わりはありません。

それでも構造上の変化は起きています。前日は「下値の切り下げが1日止まった」段階でしたが、本日は高値・安値をともに前日から切り上げました。安値6万1,948円は前日安値6万1,049円を上回り、高値6万5,364円は前日高値6万2,924円を大きく超えています。2日連続で下値を切り下げず、かつ高値を更新した——これは短期的な底入れの形として、最低限の条件を満たす動きです。

サポートとレジスタンス

  • 第1サポート: 6万3,000円 — 5日移動平均線(推定6万2,992円)とほぼ重なる水準。本日終値の約1,370円下にあり、押し目の第一関門となります。
  • 第2サポート: 6万1,948円 — 本日の安値かつ始値。ここを割り込むと本日の大陽線を否定する形になり、上昇の信頼度が大きく損なわれます。
  • 第3サポート: 6万1,050円 — 前日30日の安値。直近2営業日の下値をつないだラインであり、ここまで下げれば底入れシナリオは白紙です。
  • 第1レジスタンス: 6万4,931円 — 7月27日の終値。急落前の水準であり、本日終値のわずか569円上。ここを終値で回復できるかが最初の焦点です。
  • 第2レジスタンス: 6万5,364円 — 本日の高値。買いが力尽きた水準で、6万5,000円の大台とセットで意識されます。
  • 第3レジスタンス: 6万6,881円前後 — 25日移動平均線(推定)。中期トレンドの分水嶺にあたり、ここを回復するまでは「下降トレンド中の反発」という位置づけが続きます。

オシレーターと移動平均

直近25営業日の終値から計算すると、5日移動平均線は6万2,992円前後と推定されます。本日の終値はこれを約1,370円(2.17%)上回りました。前日は5日線を1.86%下回っていましたから、短期線を一気に上抜けたことになります。短期的な地合いが好転したことを示す、最も分かりやすいサインです。

一方25日移動平均線は6万6,881円前後と推定され、終値との乖離率はマイナス3.77%程度という計算になります。前日のマイナス7.9%、一昨日のマイナス9.0%からは劇的な改善です。ここで押さえておきたいのは、売られ過ぎの度合いが解消されたということは、リバウンドの燃料もまた減ったということである点です。マイナス9%の位置なら自律反発の余地は大きいですが、マイナス3.8%はほぼ通常の変動範囲内です。ここから先の上昇は、需給の反動ではなく実質的な買い需要を必要とします

RSI(相対力指数)は本日の大幅高を反映して大きく上昇し、中立圏の50前後まで戻した公算が大きいと考えられます。MACDについても、7月中旬以降マイナス圏での推移が続いていましたが、本日の急伸でヒストグラムの改善が進んだと見られます。ただし、これら移動平均・乖離率・RSI・MACDの数値はいずれも終値データからの推定であり、確定値ではありません。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。

そして本日、最も注目すべきテクニカル指標はNT倍率(日経平均÷TOPIX)です。前日の15.65倍から16.08倍へ急上昇しました。29日には15.46倍まで低下していましたから、わずか2営業日で0.6ポイント以上も跳ね上がったことになります。TOPIXが4,000の大台を回復した日に、日経平均との差がここまで開いたという事実は重い。値がさ半導体株が指数を振り回す構図は、解消どころか一段と極端になっています。日経平均先物とTOPIX先物のどちらを選ぶかで損益が正反対になる状態が、7営業日続いていることになります。

市場心理

本日の市場心理を一言で表すなら「安堵の集中砲火」です。ストップ高33銘柄・ストップ安1銘柄という数字が、その熱量を端的に物語ります。7月中旬から続いた半導体売りの最大の根拠は「AI投資は過剰ではないか」という疑念と、FOMC後の金利上昇でした。前夜の米インフレ指標が下振れしたことで、後者の根拠が一日で崩れた——買い戻しが殺到したのは当然の反応です。

興味深いのは、最大上昇幅3,497円30銭が2日間の下落幅3,497円00銭とほぼ完全に一致したことです。これは偶然かもしれません。ただ、下げた分だけきっちり戻して力尽きたという事実は、この日の買いが「新しい上昇相場の開始」ではなく「行き過ぎた売りの巻き戻し」だったという性格を、これ以上ないほど明快に示しています。巻き戻しが完了した瞬間に上値が重くなり、1,000円押し戻されて引けた——それが本日の後場でした。

そして、安堵は市場全体には広がりませんでした。値下がり922銘柄、値上がり612銘柄。4%高の日に6割が下げるという光景は、投資家が「相場が良くなった」と考えて買っているのではなく、手持ちの資金を半導体という一点に集中させていることを意味します。決算で失望を買ったデンソーや第一三共が容赦なく売られたことも、選別の厳しさを裏づけています。

売買代金の減少も、この見立てを補強します。急落した28〜29日は12〜13兆円、反発した30日は12兆6,600億円。それが4%高の本日は10兆1,100億円に減りました。下げる時のほうが商いが多い相場は、まだ売り圧力が主役の相場です。恐怖で売る人のエネルギーが、安心で買う人のそれを上回っている状態と言い換えてもよいでしょう。

ここ7営業日を並べると異常さが際立ちます。23日「アドバンテスト1銘柄で約307円押し上げ」、24日「値がさ半導体総崩れで1,811円安」、27日「9割が上昇しても320円高」、28日「2銘柄で下げ幅の56%」、29日「25業種上昇・TOPIXプラスでも930円安」、30日「28業種下落・TOPIXマイナスでも433円高」、そして31日「値下がり922銘柄でも4.03%高」。7営業日連続で、日経平均は市場の実態から乖離し続けています。しかもNT倍率は15.46倍から16.08倍まで振れました。「日経平均が何円動いたか」という情報の価値が、これほど下がっている局面は記憶にありません

翌営業日の注目ポイント

カレンダー: 本日7月31日(金)の翌営業日は8月3日(月)で、東京市場は通常取引です。週末を挟むため、この間に米国市場が2営業日分(7月31日金曜)動き、中東情勢や為替も動きうる点に留意が必要です。特に本件は円買い介入観測の直後であり、週末の当局者発言やニュースで為替が窓を空けて始まるリスクがあります。また8月相場入りにあたり、月初の資金流入・機関投資家の新規建てが方向を決めやすいタイミングです。なお、当面の国内祝日休場は8月11日(火)の山の日まで予定されておらず、連休リスクはありません。
  • 今夜の米国市場(7月31日) — 米国も月末最終営業日です。SOXが8%高の翌日にどう動くかは、本日の東京市場の反発が続くかを占う最重要材料になります。米半導体株が連日高となれば底入れの信頼度が高まり、反落すれば本日の上げは巻き戻しで完結したことになります。
  • 為替と介入の余波 — 前夜162円80銭から157円94銭まで約5円動きました。当局が160円台をどう見ているかが今後の焦点で、再介入の警戒が続くうちは輸出関連に上値の重さが残ります。ベッセント米財務長官の「円は著しく過小評価」発言も、円高圧力として意識されます。
  • 6万4,931円の回復可否 — 7月27日の終値、つまり急落前の水準です。本日終値のわずか569円上にあり、ここを終値で上抜けるかどうかが「急落は完全に埋まった」と言えるかの分岐点になります。
  • NT倍率16倍台の持続性 — 2営業日で15.46倍から16.08倍へ急騰しました。この歪みが是正に向かうなら、半導体売り・内需買いの反対売買が出ます。指数ではなく倍率を見ることで、資金の向きが早く分かります。
  • 決算発表の後半戦 — 本日だけで281社が発表しました。デンソーや第一三共のように期待に届かない決算は指数が上げている日でも容赦なく売られています。保有銘柄の発表日程は必ず確認しておきたいところです。
  • 値下がり銘柄数の改善 — 明日以降、日経平均の上昇と値上がり銘柄数の増加が同時に起きるかが本質的な焦点です。7営業日続く乖離が解消しない限り、指数の上昇は実体を伴いません。
  • 月初の需給 — 8月最初の週は新規資金の流入が期待される一方、7月に12%下落した後だけに戻り待ちの売りも厚いと見られます。方向感が出るまで数日かかる可能性があります。

戦略展望

本日最も重要な事実は、場中の最大上昇幅3,497円30銭が、28〜29日の下落幅3,497円00銭とほぼ完全に一致したことです。そして、そこで力尽きて1,000円押し戻されて引けました。この一点から導かれる結論は明快です。本日起きたのは「新しい上昇トレンドの開始」ではなく「行き過ぎた売りの巻き戻しが、ちょうど元の水準で完了した」という現象だと考えるのが自然でしょう。もちろん偶然の一致という可能性は残りますが、値動きの形——高値で失速し1,000円超の上ヒゲを引いた——は、この解釈と矛盾しません。

短期的な地合いは間違いなく改善しました。5日線を2.17%上回り、高値・安値をともに切り上げ、25日線との乖離はマイナス9.0%からマイナス3.77%へ縮小しています。「下げ止まった」と言ってよい段階です。ただし、ここで注意したいのは乖離率の改善は諸刃の剣だという点です。売られ過ぎが解消されたということは、「安いから買う」という理由がもう使えないということでもあります。ここから上は、需給の反動ではなく業績や金利といった実質的な材料が必要になります。

その材料面を点検すると、評価は分かれます。追い風は米インフレ指標の下振れによる金利観測の反転で、これは高PER銘柄にとって本質的な好材料です。一方向かい風は、約3円の円高、再介入への警戒、そして中東情勢という地政学リスクです。金利は味方になったが、為替は敵に回った——これが7月末時点の構図です。だからこそ本日は、金利感応度の高い半導体だけが買われ、為替感応度の高い輸出関連を含む922銘柄が下げたのです。

中期的な焦点は、7営業日続く指数と実態の乖離がいつ解消するかに尽きます。NT倍率は15.46倍から16.08倍まで振れました。この振れ幅は、市場が「日本株を買うか売るか」ではなく「半導体を買うか売るか」だけで動いていることの証拠です。日経平均が上がり、かつ値上がり銘柄が値下がり銘柄を上回る日——それが来て初めて、相場は健全な上昇に転じたと言えます。本日はまだその日ではありませんでした。

個人投資家として今日確認しておきたいのは、いつもと同じ問いです。あなたのポートフォリオは、今日4%上がりましたか。市場の6割が下げた日ですから、日経平均並みに4%上昇していたなら、それは値がさ半導体への集中を意味します。上昇率が1%程度なら、TOPIX並みの分散が効いている自然な結果です。そしてマイナスだったとしても、922銘柄が下げた日ですから何もおかしくありません。7月は日経平均が8.67%下落した月でした。月末の今日、ニュースの見出しは「2,494円高」と報じますが、あなたの7月の成績は指数とは別物です。7営業日連続で実態から乖離した指数ではなく、自分の資産の実際の変動率で相場を測る——その習慣の価値が、7月最終日にあらためて確認された一日でした。

チャート

日経225 (INDEX:NKY)

米ドル/円 (FX:USDJPY)

S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)

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免責事項: 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資勧誘を目的としたものではありません。記載された数値は執筆時点で公表されている情報に基づいていますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。テクニカル指標に関する記述の一部は値動きからの推定を含みます。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、筆者および当サイトは一切の責任を負いません。

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