【8月5日】日経平均2342円高で6万6300円回復、4銘柄で上げ幅の7割を押し上げ

2026年8月5日(水) 東京市場クローズ
日経平均 66,300.44円 +2,342.91円 (+3.66%)

中東の地政学リスク後退を受けて世界同時株高が発生し、日経平均は2,342円91銭高と急騰、約2週間ぶりに6万6,000円台を回復しました。注目すべきは中身です。東証プライムの値上がりは1,019銘柄で全体の65%——ここ9営業日続いた「指数だけ動いて実態が伴わない」構図が、ようやく途切れました。ただし手放しでは喜べません。アドバンテスト・ソフトバンクG・イビデン・東エレクの4銘柄だけで約1,698円、上げ幅の72%を稼いでいます。方向は一致した、しかし偏りは残った——それが本日の正確な姿です。

本日の相場概況

8月5日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続伸し、前日比2,342円91銭(3.66%)高の6万6,300円44銭で取引を終えました。終値ベースでは7月23日以来、約2週間ぶりに6万6,000円台を回復しています。

値動きの経路は、前日までの神経質さとは対照的でした。寄り付きは6万4,565円27銭と前日終値から607円74銭のギャップアップで始まり、直後の9時2分に付けた安値6万4,555円52銭が、そのまま一日の底になりました。前日終値を一度も下回っていません。前場中盤には6万6,000円台を回復し、その後は高値圏を維持。後場終盤の15時13分に高値6万6,302円52銭を付け、終値はそこからわずか2円08銭下というほぼ高値引けで引けました。

ローソク足は実体1,735円17銭の大陽線です。上ヒゲは2円08銭、下ヒゲは9円75銭。ヒゲがほとんど存在しない——朝の寄り値が最安値、大引け直前が最高値という、一日を通して売り圧力が現れなかった形です。日中値幅は1,747円00銭ありましたが、その値幅のほぼ全部が上方向でした。前日まで2日続いた「長い下ヒゲ」とは性格が根本的に異なります。

そして今回は、指数の外側も同じ方向を向きました。東証プライムでは値上がり1,019銘柄に対し値下がりが491銘柄、変わらずが48銘柄。値上がりが全体の65%、値下がりは31%です。業種別でも33業種中23業種が上昇し、下落は10業種にとどまりました。TOPIXも84.39ポイント(2.13%)高の4,046.17としっかり上昇しています。

前日の記事で「9営業日連続で指数と実態がずれている」と書きましたが、本日その連鎖は途切れました。日経平均が上がり、値上がり銘柄数も業種数もTOPIXも同時に上がった——7月下旬以降ほとんど見られなかった組み合わせです。ただし後述するとおり、上げ幅の内訳には依然として強い偏りが残っており、「実態が完全に追いついた」と言い切るには早すぎます。

主要マーケット指標

指標 数値 前日比
日経平均株価 66,300.44円 +2,342.91円 (+3.66%)
日経平均 高値 / 安値 66,302.52 / 64,555.52 始値 64,565.27円 (値幅1,747円)
TOPIX 4,046.17 +84.39 (+2.13%)
TOPIX 高値 / 安値 4,047.77 / 3,980.38 始値 3,985.63
NYダウ (8/4終値) 54,085.88 +907.47 (+1.71%) 最高値更新
S&P 500 (8/4終値) 7,736.52 +136.02 (+1.79%) 最高値更新
ナスダック総合 (8/4終値) 26,584.99 +671.10 (+2.59%)
SOX指数 (8/4終値) 12,179.26 +748.91 (+6.55%)
米ドル/円 157円70銭前後 日中はやや円高方向 (始値157円78銭付近)
東証プライム 売買代金 約10兆9,236億円 前日の約10兆2,837億円から増加
東証プライム 売買高 約27億8,122万株 前日の約26億214万株から増加
東証プライム 値上がり/値下がり 1,019 / 491 変わらず48 (値上がりが約65%)
業種別騰落 (33業種) 上昇23 / 下落10 非鉄金属が上昇率トップ
日経225構成銘柄 騰落 値上がり152 / 値下がり71 変わらず2
日経平均VI 33.07 -1.20 (-3.50%) 高値34.32/安値31.61
NT倍率 16.39倍 前日16.14倍から上昇
東証プライム 騰落レシオ(25日) 115.07% 前日109.13%から上昇
注記: 米国指数は日本時間5日時点で最新となる8月4日(火)の終値です。日経平均・TOPIXの終値および始値・高値・安値はYahoo!ファイナンスの当日値、売買代金・売買高・値上がり/値下がり銘柄数・業種別騰落・寄与度は大引け時点の市場集計値によります。ドル円は東京市場大引け前後の水準です。NT倍率は日経平均÷TOPIXの計算値です。テーブルの色は日本式表記(上昇=赤/下落=緑)に従っています。

マクロ・地政学の視点

本日の急騰は、ひとつの材料がすべての歯車を同じ方向に回した結果です。その材料とはホルムズ海峡の通航正常化への期待——すなわち中東の地政学リスク後退でした。

起点は前日の米国市場です。ベッセント米財務長官が、ホルムズ海峡をめぐる米国とイランの合意が近いとの認識を示したことが伝わりました。さらにイランが欧州各国に対し海峡の機雷除去を認めるとの一部報道も後押しとなり、市場は一気にリスクオンへ傾きます。NYダウは907ドル47セント高の5万4,085ドル88セントと4日続伸、連日で最高値を更新S&P500も1.79%高で約2カ月ぶりに最高値を更新しました。ナスダック総合は2.59%高、そしてSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は6.55%高という突出した上げです。欧州でも独DAXと仏CAC40がそろって最高値を更新しています。

ここで重要なのは、地政学リスクの後退が単独の材料ではなく、連鎖を生んだ点です。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝ですから、通航正常化の期待は直ちに原油相場の急落につながります。原油安はインフレ懸念を後退させ、米長期金利の低下を促しました。金利低下は、将来キャッシュフローの割引率が下がるという意味でグロース株・ハイテク株に最も効く——だからSOX指数が6.5%も上がったわけです。「中東の合意期待 → 原油安 → 金利低下 → ハイテク株高」という一本の因果の鎖が、そのまま東京市場に流れ込みました。

加えて日本固有の追い風もありました。今週続いていた円安是正の動きが一服したことです。前日までの相場では、日米協調介入をきっかけとする円高警戒が輸出企業の重石になっていました。本日のドル円は157円70銭前後で推移し、日中はやや円高方向に振れたものの、急激な円高進行という最も嫌われる展開は起きませんでした。前日の記事で「米株高の恩恵を受けるはずの輸出企業が同時に円高リスクを抱えている」と書いた捻れが、本日は緩んだ形です。

もう一点、見落とされがちですが効いたのが韓国市場です。韓国総合株価指数(KOSPI)が一時5%近く上伸しました。KOSPIは半導体・メモリー比率が高く日経平均との連動性が強いため、その急伸が短期筋の日経225先物買いを誘発し、指数の上げ幅を押し広げています。中国・上海総合指数も56.15ポイント高の3,878.43と上昇しました。アジア全体が同じ方向を向いたことが、東京市場の「買い材料尽くし」の状態を作っています。

市場心理の面では、日経平均VIが1.20ポイント低下の33.07と警戒感の後退を示しました。日中の安値は31.61です。ただし平常レンジとされる20〜30を依然として上回っており、不安が消えたわけではありません。そして最大の留保はこれです——中東情勢は過去に何度も期待が裏切られてきた経緯があり、合意の結果が出るまで安心はできません。本日の上昇はまだ実現していない合意への期待を織り込んだものであり、前提が崩れれば同じ速度で巻き戻るリスクを抱えています。

セクター・個別銘柄の動き

買われたセクター・銘柄

上昇した23業種の筆頭は非鉄金属で、以下ガラス・土石製品、情報・通信業、電気機器が続きました。前日に続いて非鉄金属が首位という点は、AIデータセンター向けの電線・光ファイバー需要という実需テーマが継続していることを示します。

個別で最も鮮烈だったのはイビデン(4062)です。ストップ高で値上がり率トップ、終値2万330円は前日比4,000円高という急伸でした。前日発表の好決算が素直に評価された形です。荒川化学工業(4968)もストップ高となりました。

指数への影響という点では、アドバンテスト(6857)が圧倒的でした。終値3万3,720円(前日比2,720円高)で、1銘柄で日経平均を約656円押し上げています。2位のソフトバンクグループ(9984)は5,958円(730円高)で寄与度約587円この2銘柄だけで約1,243円——本日の上げ幅2,343円の53%に相当します。

寄与度上位はさらに続きます。イビデンが約268円、東京エレクトロン(8035)が約186円で、上位4銘柄の合計は約1,698円。上げ幅の72%です。以下フジクラ(5803)が約90円、村田製作所(6981)が約56円、キオクシアホールディングス(285A)が約52円、TDK(6762)、ファナック(6954)、豊田通商(8015)、レーザーテック(6920)と並びました。ディスコ(6146)など半導体製造装置関連も広く買われています。

テーマ性のある動きとしては、古河電気工業(5801)が光ファイバーなどの生産能力増強を発表して急伸し、他の電線株にも波及しました。キオクシアHDは上値追いを継続しています。金融では三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)などメガバンクが上昇。素材ではレゾナック・ホールディングス(4004)、三井金属(5706)が物色人気を集め、ヤマハ発動機(7272)、ユニオンツール(6278)、ラサ工業(4022)なども値を飛ばしました。

売られたセクター・銘柄

下落した10業種は海運業、鉱業、倉庫・運輸関連業、水産・農林業などです。この顔ぶれには一貫した論理があります。ホルムズ海峡の正常化は、海運会社にとって運賃市況の押し下げ要因であり、原油安は鉱業の収益を圧迫します。本日の相場を押し上げた材料が、そのまま逆風になるセクターが売られたわけで、値動きとしては極めて筋が通っています。

指数寄与度でのマイナス最大はファーストリテイリング(9983)で、1銘柄で日経平均を約147円押し下げました。2位はダイキン工業(6367)で下げが目立ち、以下横河電機(6841)、三菱商事(8058)、テルモ(4543)、三井物産(8031)、大塚ホールディングス(4578)が続きます。日経225構成銘柄でみると値上がり152に対し値下がり71で、寄与度は上昇分が+2,683.99、下落分が-341.08。差し引き2,342.91円という計算です。

やや意外だったのが三菱重工業(7011)の軟調とIHI(7013)の下落です。前日に97%増益で買われた三菱重が売られた背景には、地政学リスクの後退が防衛関連の追い風を弱めるという読みがあります。ルネサスエレクトロニクス(6723)、任天堂(7974)も冴えませんでした。急落したのはシグマクシス・ホールディングス(6088)、三井倉庫ホールディングス(9302)、横河電機で、日清食品ホールディングス(2897)、博報堂DYホールディングス(2433)も大きく水準を切り下げています。

商いは前日から膨らみました。東証プライムの売買代金は約10兆9,236億円で、前日の約10兆2,837億円から6,400億円ほど増加。売買高も約27億8,122万株と、前日の約26億214万株から増えています。株価が上がりながら商いも増えた——これは上昇の質としては良好なサインです。前日までの「方向感が定まらず様子見」から、実際に資金が動いたことを示します。

テクニカル分析

トレンド

本日の日足は実体1,735円17銭、ヒゲがほぼ無い大陽線です。上ヒゲ2円08銭、下ヒゲ9円75銭。実体比率は99.3%という、教科書的な強気の足型になりました。前日まで2日続いた「長い下ヒゲの極小実体」から、形が完全に切り替わったことになります。

そして本日、前日の記事で挙げた2つの上値目標が同時にクリアされました。ひとつは前日高値の6万4,240円50銭、もうひとつは7月28日に開けた窓の下限にあたる7月27日終値6万4,931円19銭です。本日の終値6万6,300円44銭は後者を1,369円上回っており、7月28日の窓埋めは完了しました。約1週間かけて追いかけてきた課題が、一日で片付いた格好です。

移動平均線との関係でも節目を通過しました。株探が公表する5日時点のテクニカル・ポイントによれば、75日移動平均線は6万5,132円05銭。本日の終値はこれを1,168円(1.79%)上回りました。懸案だった中期線の突破です。さらに25日移動平均線6万6,285円44銭に対しても、終値は15円上——ごくわずかですが上回って引けています。

ただし、ここに本日の限界も表れています。13週移動平均線は6万6,308円73銭で、終値は8円29銭届いていません。25日線を15円上回り、13週線に8円届かない——つまり日経平均は今、中期の平均コストのど真ん中に立っている状態です。上抜けたとも、跳ね返されたとも言えない、極めて微妙な位置です。この2本を明確に上回れるかどうかが、本日の上昇が「トレンド転換」なのか「戻りの一環」なのかを決めます

中期の位置も確認しておきます。本日終値は7月1日の終値7万474円96銭から4,174円52銭(5.92%)安。前日の9.25%安から3.3ポイント改善しました。一方、200日移動平均線は5万7,226円25銭と大きく下方にあり、長期トレンドの上昇基調自体は崩れていません

サポートとレジスタンス

以下の水準は、株探が公表する8月5日時点のテクニカル・ポイント(確定値)に基づきます。

  • 第1サポート: 6万6,285円 — 25日移動平均線。本日終値のわずか15円下です。ここを終値で割り込むと、本日の上抜けが「だまし」だったことになります
  • 第2サポート: 6万6,206円 — 一目均衡表の基準線(日足)。25日線とほぼ重なる位置にあり、6万6,200円台前半が厚い支持帯を形成しています。
  • 第3サポート: 6万5,132円 — 75日移動平均線。本日突破した水準であり、ここまで押すと突破の意味が失われます。さらに下には一目均衡表の雲下限6万4,920円96銭が控えます。
  • 第1レジスタンス: 6万6,309円 — 13週移動平均線。終値のわずか8円上で、明日の寄り付き次第で即座に試される水準です。
  • 第2レジスタンス: 6万6,640円 — 一目均衡表の転換線(週足)。約340円上にあり、週足ベースでの強弱の分かれ目になります。
  • 第3レジスタンス: 6万8,748円〜6万8,999円 — ボリンジャーバンド+1σ(25日)と一目均衡表の雲上限(日足)が重なる帯です。約2,450円上にあり、次の本格的な上値抵抗と考えられます。

オシレーターと移動平均

オシレーターは改善が明確です。株探公表値によればストキャスティクスのファースト(9日)は64.72で、前日の51.43から13.29ポイント上昇しました。スロー(9日)は52.15で前日40.19から12ポイント近い改善です。いずれも中立圏の上側に位置しており、買われ過ぎ(一般に80以上)にはまだ距離があります。週足ベースのファースト(13週)は43.34、スロー(13週)は45.01で、こちらは中立圏の下側です。短期は改善したが中期はまだ回復途上という、素直な読み方ができます。

東証プライムの騰落レシオ(25日平均)は115.07%で、前日の109.13%から上昇しました。一般に120%以上が過熱警戒、70%以下が底値ゾーンとされる指標です。115%は過熱手前の水準であり、7月30日の126.10%や7月29日の128.23%と比べれば余裕がありますが、あと5ポイントで警戒ゾーンに入る点は意識しておくべきでしょう。

NT倍率(日経平均÷TOPIX)は16.39倍で、前日の16.14倍から0.25ポイント上昇しました。本日は日経平均が3.66%高、TOPIXが2.13%高ですから、値がさハイテク偏重の歪みはむしろ拡大しています。値上がり銘柄数が65%と改善しても、上げ幅の72%が4銘柄に集中しているという構造は変わっていません。この点は、NT倍率という一つの数字がはっきり示しています。

日経平均VIは33.07と前日比1.20ポイント(3.50%)低下しました。日中高値34.32、安値31.61です。株価急騰に伴ってボラティリティ警戒が後退した形ですが、平常レンジ20〜30をなお上回っています3.66%も上昇した日にVIが30台を維持しているというのは、市場が「この上昇の持続性」を完全には信用していない証拠とも読めます。

ボリンジャーバンドでは、25日ベースの+1σが6万8,747円51銭、-1σが6万3,823円38銭。本日終値はほぼ中心線(25日線)上にあり、バンドウォークのような一方向の動きには入っていません。RSI(相対力指数)については本日の大幅高で60前後まで上昇した公算が大きく、MACDもゼロライン近辺まで回復したと考えられます。ただし、このRSIとMACDの数値は値動きからの推定であり、確定値ではありません。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。なお、移動平均線・一目均衡表・ボリンジャーバンド・ストキャスティクス・騰落レシオの各数値は株探が公表する8月5日時点の値であり、推定値ではありません。

市場心理

本日の市場心理を一言で表すなら「買い材料尽くし」です。中東リスク後退、原油安、米長期金利低下、米欧株の最高値更新、SOX指数6.5%高、KOSPI急伸、円安是正の一服——これだけの材料が同じ方向を向いた日は、7月以降ほとんどありませんでした

その素直さが、値動きにそのまま出ています。607円のギャップアップで始まり、寄り値が一日の安値になり、大引け直前が高値。押し目らしい押し目が一度も来なかった——これは「買い遅れた資金が下がるのを待っていたが、下がらなかった」状態です。前日まで2日続いた「朝の買いがすぐ逃げる」往復運動とは対照的でした。

そして本日、9営業日続いた指数と実態の乖離が解消しました。7月23日から8月4日まで、日経平均の動きと値上がり銘柄数・業種数・TOPIXは毎日ずれ続けていました。「アドバンテスト1銘柄で307円押し上げ」「9割が上昇しても320円高」「25業種上昇でも930円安」「値下がり922銘柄でも4.03%高」——方向は日替わりでしたが、ずれるという性質だけは途切れませんでした。本日は日経平均+3.66%、TOPIX+2.13%、値上がり65%、上昇23業種とすべてが同じ方向です。

ただし、この事実を過大評価すべきではありません。方向が一致することと、上昇が均等に分配されることは別だからです。本日の上げ幅2,343円のうち、アドバンテスト・ソフトバンクG・イビデン・東エレクの4銘柄で約1,698円、72%を占めました。残り221銘柄の合計寄与が28%という計算です。NT倍率が16.14倍から16.39倍へ拡大したのも、この偏りの反映にほかなりません。

つまり本日起きたのは「乖離の解消」ではなく「乖離の符号が揃った」ことです。多くの銘柄が上がったのは事実ですが、指数の数字が示すほど平均的な投資家の資産が増えたわけではありません。日経平均が3.66%上がった日に、あなたのポートフォリオが3.66%上がっていなかったとしても、それは何ら異常ではないのです。

最後に、期待の性質について触れておきます。本日の上昇の土台はまだ成立していない合意への期待です。ベッセント財務長官の発言も機雷除去の報道も、いずれも「進展しつつある」という段階にとどまります。中東情勢は過去に何度も期待が裏切られてきました。結果が出るまでは安心できない——市場もそれを分かっているからこそ、3.66%高の日にVIが33台を維持しているのでしょう。

翌営業日の注目ポイント

カレンダー: 本日8月5日(水)の翌営業日は8月6日(木)で、東京市場は通常取引です。連休を挟まないため、材料は今夜の米国市場と為替が中心となります。なお、当面の国内祝日休場は8月11日(火)の山の日です。8月8日(土)〜9日(日)のあと10日(月)は通常取引、11日(火)が休場となる変則的な並びになる点にご留意ください。連休ではなく飛び石の休場のため、週明けのポジション管理は例年と勝手が異なります。決算発表は今週末にかけてピークが続き、明日6日はソフトバンクグループをはじめ主力企業の発表が予定されています。保有銘柄の発表日程は事前の確認をおすすめします。
  • ソフトバンクグループの決算 — 明日6日に発表が予定されています。本日すでに730円高・寄与度約587円と急騰した後だけに、決算内容次第では反動も大きくなります。指数寄与度2位の銘柄ですから、1社の決算が日経平均の方向を決めかねません
  • 13週線6万6,309円の上抜け — 本日終値のわずか8円上です。ここを終値で上回れば、25日線・13週線・75日線をすべて上抜けた形になり、テクニカル面での底入れ確認が一段進みます。逆に届かなければ、中期線に上値を抑えられた形が残ります。
  • 25日線6万6,285円の維持 — 本日の終値はこれをわずか15円上回っただけです。明日ここを割り込めば、本日の上抜けは「だまし」に終わります。25日線と一目均衡表の基準線6万6,206円が重なる6万6,200円台前半が、最初の防衛ラインです。
  • 中東情勢の実際の進展 — 本日の上昇は合意への期待を織り込んだものです。ホルムズ海峡の通航正常化が具体的に進むのか、それとも期待が空振りに終わるのか。裏切られた場合の巻き戻しは、本日の上昇と同じ速度で起こり得ます
  • 原油価格と米長期金利 — 本日の連鎖の起点です。原油安が続けば金利低下とハイテク株高の流れも続きますが、反発すれば同じ経路が逆回転します。中東関連のヘッドラインと合わせて確認したい指標です。
  • 騰落レシオ115%からの過熱 — あと5ポイントで警戒圏とされる120%に届きます。明日も大幅高となれば、短期的な過熱感が意識される段階に入ります。7月30日には126%まで上昇した後に急落した経緯もあり、注意が必要です。
  • ドル円157円台の方向 — 本日は157円70銭前後で、円安是正が一服しました。再び円高方向に振れれば輸出企業の業績警戒が戻り、本日の上昇の前提が一つ崩れます。介入警戒はなお残っています。
  • 寄与度の偏りが改善するか — 4銘柄で上げ幅の72%という構造は本日も変わりませんでした。NT倍率が16.39倍から低下に転じるかが、上昇の裾野が広がったかどうかの実質的な判定基準になります。

戦略展望

本日最も重要な事実は、7月28日に開いた窓が埋まり、75日移動平均線を突破したことです。7月下旬の急落局面から追いかけてきた2つの課題が、一日で解決しました。テクニカル面での底入れシナリオは、前日までの「条件が揃いつつある」から「主要な条件をクリアした」段階へ進んだと評価できます。

ただし、その評価には即座に留保が付きます。終値6万6,300円44銭は、25日線6万6,285円の15円上、13週線6万6,309円の8円下という位置です。これは突破ではなく「到達」と呼ぶべき水準でしょう。2,343円も上げてなお、中期線の壁の真ん中で止まった——この事実は、上値の重さがまだ残っていることを示しています。明日以降この帯を明確に上抜けられなければ、本日の大陽線は「戻り高値の足」に変わり得ます。

次に、上昇の質を考えます。値上がり65%・上昇23業種・TOPIX+2.13%・売買代金増加という組み合わせは、率直に言って良好です。9営業日続いた指数と実態の乖離が途切れたことも、素直に前向きな材料と受け止めてよいでしょう。株価が上がりながら商いも増えたという点は、上昇の持続性を判断するうえで軽視できません。

それでも4銘柄で上げ幅の72%という数字は残ります。NT倍率も16.14倍から16.39倍へ拡大しました。裾野は広がったが、重心は移っていない——これが正確な描写です。投資判断としては、自分の保有銘柄がこの4銘柄と同じ「AI・半導体」の文脈にあるのか、それとも本日下落した海運・鉱業のように材料の逆側にいるのかを確認するのが先決でしょう。同じ「日本株を保有している」でも、本日の意味はまったく異なります。

リスク側で最も注意すべきは、本日の上昇が「期待」に依拠している点です。ホルムズ海峡の合意はまだ成立しておらず、機雷除去の報道も一部にとどまります。期待で買われた相場は、期待が外れれば同じ速度で戻ります。7月28日に2,566円安、7月29日に930円安を経験した市場ですから、その振れ幅の大きさは記憶に新しいはずです。3.66%高の日に日経平均VIが33台を維持しているのは、市場自身がその可能性を織り込み続けている証拠と読むべきでしょう。

もう一つ、明日はソフトバンクグループの決算があります。本日寄与度2位で約587円を稼いだ銘柄です。好決算なら上昇に弾みが付き、期待外れなら指数を単独で数百円押し下げる——寄与度の偏った相場では、1社の開示がマクロ材料と同じ重さを持ちます。これは偏りの裏返しであり、指数が特定銘柄に依存している状態のリスクそのものです。

最後に、いつもの確認です。本日、日経平均は3.66%上昇しました。ニュースの見出しは「2,342円高」と大きく報じるはずです。しかしその上げ幅の72%は4銘柄が作ったものでした。値上がり銘柄が65%に達したことは確かな改善ですが、指数の上昇率がそのまま自分の資産の上昇率になる保証はどこにもありません指数の数字ではなく、自分の資産の実際の変動率で相場を測る——上昇の日にこそ、この習慣は冷静さを保ってくれます。

チャート

日経225 (INDEX:NKY)

米ドル/円 (FX:USDJPY)

S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)

▶ YOUTUBE CHANNEL
投資ナオゴロン

毎日の相場解説・銘柄分析・投資戦略を動画でお届けしています。チャンネル登録・高評価で応援よろしくお願いします!

▶ チャンネルを見る @toushi-naogoron

免責事項: 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資勧誘を目的としたものではありません。記載された数値は執筆時点で公表されている情報に基づいていますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。テクニカル指標に関する記述の一部は値動きからの推定を含みます。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、筆者および当サイトは一切の責任を負いません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました