保有76銘柄。今週は新規買い2・売却1・買い増し8・売り減らし8銘柄。ファンドの意図を読み解きます。
NEXT FUNDS 日本成長株アクティブETF(銘柄コード:2083) の週次トレードを分析するシリーズ、今回は 2026年5月21日基準 の保有内容を、前週末(5月18日)と比較してお届けします。今週は 新規買い2銘柄・売却1銘柄・買い増し8銘柄・売り減らし8銘柄 という比較的活発な売買が観測され、銘柄数は前週の75から 76銘柄 に増加しました。本記事では、ファンドマネージャーの意思決定の「方向性」を読み解いていきます。
1. 今週のサマリー(先に結論)
- 首位交代:村田製作所(6981)→ トヨタ自動車(7203)に首位入れ替わり
- 新規買い2銘柄:ZENSHO HOLDINGS(7550 / すき家・なか卯運営)、KONAMI GROUP(9766)
- 売却1銘柄:UNION TOOL(6278 / 工具・精密金型)
- 大型買い増し:DISCO(6146)は株数を +150%(200株→500株) と一気に積み増し
- 顕著な売り減らし:富士電機(6504)、ダイキン工業(6367)、鹿島建設(1812)が▲30%超
- テーマ:内需・金融・自動車へシフト、資本財・設備投資関連を圧縮
ひと言でまとめると、「景気敏感の資本財から、金融・内需・モビリティへ」 という資金の流れが見えた週でした。
2. 新規買い:内需・エンタメ・外食への「再評価」
ZENSHO HOLDINGS(7550) 800株 / 約64億円相当
すき家、なか卯、はま寿司などを展開する国内最大級の外食グループです。インバウンド回復が踊り場を迎えるなか、国内消費の底堅さに着目した内需プレーとして、ファンドが新規で組み入れた点は注目に値します。為替が円高方向に振れた局面では、輸入原材料コストの低下が利益率改善に直結する銘柄でもあり、マクロ環境との整合性も取れた選択です。
KONAMI GROUP(9766) 300株 / 約61億円相当
遊技機・スポーツクラブから、デジタルエンタメ(ゲーム)まで多角化が進む銘柄です。「eFootball」や「遊戯王」などのIP収益、北米でのアミューズメント事業が業績を牽引しており、コンテンツ知財型のキャッシュフローを評価したと考えられます。アクティブETFとしては比較的「景気に左右されにくいキャッシュ創出力」を評価した買いと読めます。
両銘柄に共通するのは、「インバウンド一巡後の純内需」「日本発IPの再評価」 という、いずれもディフェンシブ寄りのストーリーです。
3. 売却:UNION TOOL(6278)に見るスマホサイクルの一服
唯一の売却となったのは UNION TOOL(6278)。プリント基板向け超硬ドリルで世界シェアを誇るスペシャリストですが、500株を一括売却して保有割合 0.31% が消滅しました。
背景としては、
- スマホ生産の足元での減速観測
- AIサーバー向けは伸びるものの、UNION TOOLのコア需要であるスマホPCB向け回復が後ずれ
- 業績モメンタム(EPSリビジョン)の鈍化
といった点が考えられます。アクティブETFは「成長株」の名を冠していますが、短期のモメンタムが崩れた銘柄はためらいなく外す運用姿勢が確認できます。
4. 買い増し:「金融×自動車×半導体製造装置」の三本柱
買い増しは8銘柄で、保有割合への影響度が大きい順に整理すると次の通りです。
| コード | 銘柄 | 株数差 | 増減率 | 保有割合変化 |
|---|---|---|---|---|
| 6098 | リクルートホールディングス | +1,200株 | +5.9% | **+1.43pt** |
| 7203 | トヨタ自動車 | +13,100株 | +17.3% | **+0.78pt** |
| 6146 | DISCO CORPORATION | +300株 | **+150.0%** | +0.53pt |
| 8750 | 第一生命ホールディングス | +8,100株 | +28.2% | +0.43pt |
| 5631 | 日本製鋼所 | +900株 | +9.6% | +0.27pt |
| 4684 | オービック | +1,700株 | +27.9% | +0.24pt |
| 8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | +1,800株 | +12.2% | +0.20pt |
| 6134 | FUJI | +500株 | +5.6% | -0.12pt |
★リクルート(6098):保有割合 +1.43pt の大胆積み増し
全銘柄で最大の保有割合増加となりました。Indeed事業の北米雇用情勢が改善基調にあること、HRテクノロジーセグメントの利益率回復、自社株買い実施などが評価されたと思われます。トヨタを上回る増加幅で、「次の中核ポジション候補」 として位置付けが上がっている可能性があります。
★トヨタ自動車(7203):村田を抜いて首位浮上
+13,100株の追加で、ついに 保有割合7.85% で首位 に立ちました。円高一服・米国販売の底堅さ・ハイブリッド需要の回復・自社株買いの継続など、複数のポジティブ材料が重なった結果です。ファンドが「自動車の戻り」を本気で見ていることを示すシグナルといえます。
★DISCO(6146):株数 +150% のフル買い増し
半導体ダイサー・グラインダーで世界シェアを握る同社を、株数ベースで2.5倍に増やしました。AI向け先端パッケージ(CoWoSなど)向け需要への確信が強まったと考えられ、半導体製造装置セクターでは銘柄を絞った「集中投資」を仕掛けています。
★金融セクター:第一生命 +28%、三菱UFJ +12%
金利上昇局面における銀行・保険の収益拡大を取り込みに行く動きです。第一生命は 保有順位 21→15位 とジャンプアップ、三菱UFJも 25→18位 と急浮上。「金融正常化」テーマを明確に追加しています。
5. 売り減らし:資本財・建設・防衛的セクターからの撤退
逆に削られたのは、ここまでの相場を牽引してきた 資本財・インフラ系でした。
| コード | 銘柄 | 株数差 | 増減率 | 保有割合変化 |
|---|---|---|---|---|
| 6367 | ダイキン工業 | -500株 | **-41.7%** | -0.43pt |
| 1812 | 鹿島建設 | -2,900株 | -35.4% | -0.56pt |
| 6504 | 富士電機 | -1,400株 | -32.6% | **-0.75pt** |
| 8015 | TOYOTA TSUSHO CORP | -800株 | -17.4% | -0.26pt |
| 6981 | 村田製作所 | -1,800株 | -4.5% | -0.37pt |
富士電機は保有割合の低下幅で 全銘柄ワースト1位。データセンター・パワー半導体期待で買われてきましたが、足元のバリュエーション過熱を見て利益確定に動いた可能性が高いです。ダイキン工業も株数を約4割減らす大胆な縮小で、空調セクターの上値の重さを織り込みにいったと見えます。
鹿島建設は前週から大型案件の進捗見通しが下振れ警戒で売られていた経緯もあり、ゼネコン全体のリスクオフを象徴する一手です。
6. TOP20 にみる「リーダー銘柄の交代」
| 今週 | 前週 | 変動 | 銘柄 | 保有割合 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | ↑1 | **トヨタ自動車** | 7.85% |
| 2 | 1 | ↓1 | 村田製作所 | 7.02% |
| 3 | 3 | → | リクルートHD | 6.24% |
| 4 | 4 | → | MonotaRO | 4.04% |
| 5 | 5 | → | ソニーグループ | 3.47% |
| 15 | 21 | **↑6** | 第一生命HD | 1.83% |
| 17 | 23 | ↑6 | ASAHI INTECC | 1.51% |
| 18 | 25 | **↑7** | 三菱UFJ | 1.50% |
注目すべきは 三菱UFJの「25→18位」、第一生命の「21→15位」 のジャンプアップ。金融セクターをファンドの中核に近づける動きが、TOP20の中段で起きていることがわかります。
7. 投資家としての示唆(個人投資家・中級者向け)
今週のポートフォリオ変化から、私たち個人投資家が読み取れるシグナルを3つ挙げます。
1. 「金融正常化」を本気で取りに行っている 保険・銀行のウェイト増加は今週もっとも明確なシグナルです。日銀政策と金利環境の変化を、ファンドは 「テーマ買い」から「中核保有」へ昇格させる段階にあると見られます。
2. 半導体は「装置側に集中、デバイスは中立~縮小」 DISCOの大幅買い増しに対し、村田製作所は売り減らし。前工程・後工程の装置 vs. 受動部品 で温度差が出ています。半導体に強気のままだが、ベットする場所を選別している局面と解釈できます。
3. ディフェンシブ・内需に小さく分散 ZENSHO・KONAMIの新規買いは規模としては大きくありませんが、「景気敏感資本財」を削った原資の一部をディフェンシブに振り向ける動きです。マクロ環境への警戒感も同時に持っている可能性があります。
8. まとめ
今週の2083は、「強気だが選別を強めた一週間」 でした。
- 加速:自動車(トヨタ)、金融(三菱UFJ・第一生命)、半導体装置(DISCO)、HR(リクルート)
- 減速:空調(ダイキン)、ゼネコン(鹿島)、パワー半導体(富士電機)
- 新テーマ:内需外食(ZENSHO)、エンタメIP(KONAMI)
ファンドマネージャーは 「景気サイクル後半に強いセクター」と「金融正常化」 を両建てしながら、裾野ではディフェンシブを少しずつ仕込む という、教科書的でありながら難易度の高いリバランスを実行しています。来週、リクルートが本当に中核ポジションに昇格していくのか、富士電機の縮小がさらに続くのかを、引き続きウォッチしていきます。
※本記事は公開情報(JPXのPortfolio Composition File)に基づくファクトベースの分析であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任でお願いします。
データ出典: 日本取引所グループ(JPX)Portfolio Composition File
分析日: 2026年5月21日(前週比較: 5月18日)
対象ETF: NEXT FUNDS 日本成長株アクティブETF(証券コード: 2083)
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