日経平均は下がったのに、東証プライムの8割近い銘柄は上がった——本日はそんな一日でした。日経平均は518円35銭安の6万3,492円99銭と続落し、終値としては7月30日(6万1,867円43銭)以来、約1か月半ぶりの安値です。安値は6万2,726円18銭で、下げ幅は一時1,285円16銭に達しました。引き金は週末に出た2つのAI関連ニュースです——米オープンAIが年内の上場を見送る方向だとの報道と、米アンソロピックのCEOが最先端のAI開発競争を減速すべきだと主張したこと。そして本日いちばん偏った数字がこれです——ソフトバンクグループが10.72%安となり、1銘柄で日経平均を563円98銭押し下げました。下げ幅518円35銭を1銘柄で上回っています。裏返せば、ソフトバンクG以外の224銘柄は差し引きで約46円のプラス。TOPIXは29.91ポイント(0.74%)高の4,058.21と反発し、東証プライムでは値上がり1,221銘柄・値下がり309銘柄、33業種中27業種が上昇しました。「指数は安い、市場全体は高い」——この食い違いが本日の核心です。
まず本日の値動きを時系列で追います。前週末11日の米国市場は、NYダウが509.19ドル(0.98%)高の52,573.29ドルと5日ぶりに反発し、SOX指数も1.81%高と、米国株そのものは堅調でした。ところが東京市場の寄り付きは前週末終値6万4,011円34銭より351円81銭(0.55%)低い6万3,659円53銭。高値はそのわずか32円上の6万3,691円53銭で、本日も前週末終値には一度も届きませんでした。株探の大引け記事によれば、朝方から先物主導で売りが優勢となり、安値は6万2,726円18銭——日中の6万3,000円割れは約1か月ぶりです。前引けは512円73銭安の6万3,498円61銭で、前場後半からは下げ渋る展開となりました。後場は前引けとほぼ同じ水準でもみ合い、終値6万3,492円99銭は安値から766円81銭(1.22%)戻した位置です。ローソク足は実体166円54銭の陰線、上ヒゲ32円00銭、下ヒゲ766円81銭——下ヒゲが実体の4.6倍という、11日に続く「深く売られて戻した」形になりました。対照的にTOPIXは、株探によれば寄り付きに一瞬マイナス圏に沈んだ以外はおおむね高く推移し、終値4,058.21は高値4,062.82のわずか4.61ポイント下という、ほぼ高値引けでした。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 63,492.99円 | -518.35円 (-0.81%) 続落 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 63,691.53 / 62,726.18 | 始値 63,659.53円。高値は始値のわずか32.00円上 |
| 寄り付きのギャップ | -351.81円 (-0.55%) | 前週末終値64,011.34円から下放れて始まった |
| 安値時点の下げ幅 | -1,285.16円 (-2.01%) | 前引けは512.73円安の63,498.61円 |
| 安値から終値までの戻り | +766.81円 (+1.22%) | 前場後半から下げ渋り、後場は前引け水準でもみ合い |
| ローソク足の形 | 実体166.54円の陰線 | 上ヒゲ32.00円 / 下ヒゲ766.81円。下ヒゲが実体の4.6倍 |
| 日中値幅 | 965.35円 | 前週末の1,103.39円から12.5%縮小。3営業日ぶりに1,000円を下回った |
| 終値の水準 | 7月30日以来の安値 | 7月30日終値61,867.43円以来、約1か月半ぶりの低い終値 |
| TOPIX | 4,058.21 | +29.91 (+0.74%) 反発 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,062.82 / 4,018.03 | 始値 4,027.32。実体30.89の陽線で、終値は高値の4.61下 |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 1.55ポイント | 日経平均-0.81%に対しTOPIX+0.74%。方向そのものが逆になった |
| NT倍率 | 15.646倍 | 前週末15.890倍から0.244低下。2営業日で0.452低下 |
| 東証プライム 売買代金 | 約7兆2,866億円 | 前週末(SQ日)の約8兆7,129億円から16.4%減。株探は「低水準」と表現 |
| 東証プライム 売買高 | 約19億7,480万株 | 前週末の約23億7,251万株から16.8%減 |
| 1株あたり平均約定単価 | 約3,690円 | 前週末の約3,672円からほぼ横ばい(+0.5%) |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 1,221銘柄 / 309銘柄 | 変わらず23銘柄。値上がりが値下がりの3.95倍、全体の79%が上昇 |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 158銘柄 / 66銘柄 | 変わらず1銘柄。518円安でも7割の銘柄が上昇した |
| 東証33業種 上昇/下落 | 27業種 / 6業種 | 前週末の11/22から一転、上昇業種が16増えた |
| 業種別 上昇率1〜5位 | サービス業 +4.09% | 以下 (2)保険業+2.45%、(3)その他製品+2.03%、(4)水産・農林業+1.77%、(5)陸運業+1.74% |
| 下落した6業種 | 非鉄金属 -2.35% | 以下 (2)情報・通信業-1.87%、(3)ゴム製品-0.75%、(4)ガラス・土石製品-0.26%、(5)金属製品-0.21%、(6)石油・石炭製品-0.19% |
| 非鉄金属の4日間 | 3営業日連続の下落率1位 | 9日は+6.88%で上昇率1位。10日・11日・14日と3日続けて最下位 |
| 最大のマイナス寄与 | ソフトバンクG -563円98銭 | 701円(10.72%)安の5,839円。1銘柄で下げ幅の108.8% |
| マイナス寄与 2〜5位 | アドバンテスト -154円47銭 | 以下 キオクシアHD-80円72銭、東京エレクトロン-53円30銭、フジクラ-29円77銭 |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | -882円24銭 | 残る220銘柄の影響は差し引き約+364円のプラス |
| 最大のプラス寄与 | リクルートHD +99円06銭 | 985円(6.35%)高の1万6,485円 |
| プラス寄与 2〜5位 | コナミグループ +27円82銭 | 以下 ソニーグループ+26円15銭、バンダイナムコHD+25円95銭、ファーストリテイリング+22円53銭 |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | +201円51銭 | 前週末の+68円72銭の約2.9倍 |
| 寄与度の検算 | 225銘柄合計 -518円30銭 | 実際の下げ幅-518.35円と0.05円差。寄与度データの整合性を確認済み |
| 値下がり率上位 (225銘柄) | ソフトバンクG -10.72% | 以下 キオクシアHD-6.37%、レゾナックHD-5.98%、太陽誘電-5.38%、中部電力-3.58% |
| 電線・電子部品の主な下落 | 古河電気工業 -3.42% | 以下 住友電気工業-3.37%、SUMCO-3.14%、ローム-3.06%、フジクラ-2.97%、村田製作所-2.52% |
| 値上がり率上位 (225銘柄) | 富士通 +7.39% | 以下 NEC+6.90%、リクルートHD+6.35%、野村総合研究所+6.22%、SHIFT+6.03% |
| コンテンツ・消費関連の上昇 | バンダイナムコHD +4.81% | 以下 ソニーグループ+4.30%、コナミグループ+4.00%、任天堂+2.16% |
| 金融株の主な上昇 | 東京海上HD +2.92% | 以下 三井住友FG+1.72%、三菱UFJ FG+1.61%、みずほFG+1.57% |
| ストップ高 / ストップ安 | 11銘柄 / 3銘柄 | 全市場・引け時点(株探) |
| 米ドル/円 | 154円35銭 | 16時22分時点の株探表示値。前日比+82銭の円安・ドル高 |
| 上海総合指数 | 3,888.11 | -46.29 (-1.18%) 続落 (株探の表示値) |
| NYダウ (9/11終値) | 52,573.29 | +509.19 (+0.98%) 5日ぶり反発 |
| S&P 500 (9/11終値) | 7,656.98 | +65.28 (+0.86%) 5日ぶり反発 |
| ナスダック総合 (9/11終値) | 26,333.04 | +251.31 (+0.96%) 5日ぶり反発 |
| SOX指数 (9/11終値) | 11,824.00 | +209.83 (+1.81%) 反発。前日の-2.66%の約3分の2を取り戻した |
| 日経平均VI | 31.06 | +1.26 (+4.23%)。高値33.04、安値=終値31.06 |
| 日経平均 5日線からの乖離 | -1.77% | 5日線 64,637.48。1,144円49銭下 |
| 日経平均 25日線からの乖離 | -3.89% | 25日線 66,064.68。2,571円69銭下。前週末の-3.23%から拡大 |
| 日経平均 75日線との差 | -3,305.18円 (-4.95%) | 75日線 66,798.17。下回るのは8月21日から17営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +6.86% | 200日線 59,416.05。4,076円94銭上。前週末の+7.87%から縮小 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 64,396.23 〜 66,640.32 | 終値は雲の下端を903円24銭下回り、2営業日連続で雲の下 |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 64,759.01 / 66,167.21 | 終値は転換線を1,266円02銭、基準線を2,674円22銭下回った |
| 日経平均 ボリンジャーバンド | -1σ 64,669.74 / -2σ 63,274.81 | 終値は-2σの218円18銭上。安値は-2σを548円63銭下抜けた |
| 日経平均 RSI (14日) | 39.4 | 前週末の41.5から2.1ポイント低下 |
| 日経平均 MACD / シグナル | -498.0 / -296.1 | ヒストグラムは-201.9。前週末の-136.8からマイナス幅が約1.5倍に拡大 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -9,338.74円 (-12.82%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。前週末の-12.11%から拡大 |
| 7月29日安値からの戻り | +3,044.09円 (+5.04%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。前週末の+5.89%から縮小 |
| TOPIX 75日線 | 4,031.07 | 終値は27.14ポイント上。前週末に割り込んだ75日線を1日で回復 |
| TOPIX 5日線 / 25日線 | 4,047.61 / 4,104.29 | 5日線は10.60上回る。25日線は46.08(1.12%)下回ったまま |
| TOPIX 転換線 / 基準線 | 4,054.06 / 4,093.75 | 転換線は4.15上回ったが、基準線は35.54下回る |
| TOPIX 一目均衡表の雲 | 3,951.81 〜 3,989.05 | 終値は雲の上端を69.16ポイント上回り、雲の上を維持 |
| TOPIX RSI (14日) / MACD | 47.4 / -2.8 (シグナル9.2) | RSIは43.5から3.9上昇。ヒストグラムは-12.1で前週末の-13.5から縮小 |
| TOPIX 52週高値からの距離 | -162.10 (-3.84%) | 52週高値 4,220.31 (8/14)。前週末の-4.55%から縮小 |
マクロ・地政学の視点
本日の売りの出発点は、東京市場が閉まっていた週末に出たAI関連のニュースです。ひとつは、ソフトバンクグループが出資する米オープンAIが、新規株式公開(IPO)の年内実施を見送る方向だとの報道。Bloombergや日本経済新聞が伝え、フィスコはオープンAIのCEOが年内上場を否定したと報じています。もうひとつは、米アンソロピックのダリオ・アモデイCEOが12日にブログで、最先端のAI開発競争を減速すべきだと主張したことです。株探によれば、AI開発事業者自身の主張だったことで波紋が広がり、トランプ米大統領も米国がAI開発でリードする立場を維持したいと表明するなど、早速反応が出ました。株探の大引け記事は、この2つを受けて「AI開発投資が減速するとの思惑が浮上した」と整理しています。
ここで押さえておきたいのは、前週末の米国市場はむしろ強かったという点です。11日(現地時間)はNYダウが+0.98%、S&P500が+0.86%、ナスダック総合が+0.96%とそろって5日ぶりに反発し、SOX指数は+1.81%と前日の下げ(-2.66%)の約3分の2を取り戻しました。11日の記事では「SOX指数の方向は日経平均をそのまま左右する」と書きましたが、本日はそのSOXが上がったのに、東京の半導体・AI関連株は売られています。米国の取引が終わった後に出たニュースを、東京市場が週明けに最初に織り込んだ——時間差の構図です。今晩の米国市場で、半導体株が同じ材料にどう反応するかが一つの答え合わせになります。
インフレと金利の面では、11日夜に発表された米8月消費者物価指数(CPI)が材料でした。複数の報道によれば、コア指数の前月比が市場予想を上回り、今週のFOMCでの利上げ観測がさらに強まりました。フィスコは、インフレ加速を示すCPIで早期利上げ観測が広がったと伝えています。中東では、サウジアラビアが東西パイプラインの操業停止を発表したと伝わり、フィスコは日経VIの上昇要因としてAI開発への警戒と並べてこれを挙げています。ただし原油価格と米長期金利については、本日の執筆時点で確定値を確認できていないため数値は掲載していません。
為替は円安方向でした。ドル円は16時22分時点で154円35銭と、前日比82銭の円安・ドル高(株探の表示値)。ただし本日は、11日のように円安が輸出株を押し上げる形にはなりませんでした。輸送用機器は+0.12%と小幅高にとどまり、トヨタ自動車は0.20%安です。本日の資金の行き先は為替ではなく、「AI・半導体から、それ以外へ」という物色の向きで説明できます。なお上海総合指数は3,888.11と46.29ポイント(1.18%)安で続落しました。
セクター・個別銘柄の動き
東証33業種のうち上昇は27業種、下落は6業種で、前週末の11/22から一転しました。上昇率の上位5業種は(1)サービス業+4.09%、(2)保険業+2.45%、(3)その他製品+2.03%、(4)水産・農林業+1.77%、(5)陸運業+1.74%。下落したのは(1)非鉄金属-2.35%、(2)情報・通信業-1.87%、(3)ゴム製品-0.75%、(4)ガラス・土石製品-0.26%、(5)金属製品-0.21%、(6)石油・石炭製品-0.19%の6業種だけでした。非鉄金属は9日に+6.88%で上昇率1位だった業種ですが、10日・11日・14日と3営業日続けて下落率1位です。情報・通信業の下げは、この業種に属するソフトバンクグループの急落が大きく効いています。株探は、保険・銀行・小売りなど内需株に買いが目立ったと伝えています(銀行業+1.52%、小売業+1.20%)。
本日の主役は、ソフトバンクグループ1銘柄です。701円(10.72%)安の5,839円で、日経平均を563円98銭押し下げました——下げ幅518円35銭の108.8%です。Bloombergによれば、午前には一時13%安と6月26日以来の日中下落率を記録しています。出資先であるオープンAIの上場見送り報道は、同社の保有資産の評価に直結する材料と受け止められました。続いてアドバンテストが640円(2.02%)安の3万1,080円で-154円47銭、キオクシアHDが3,440円(6.37%)安の5万590円で-80円72銭、東京エレクトロンが530円(1.03%)安の5万930円で-53円30銭、フジクラが148円(2.97%)安の4,834円で-29円77銭。株探によればキオクシアHDは売買代金首位で大幅続落でした。このほかレゾナックHDが5.98%安、太陽誘電が5.38%安、古河電気工業が3.42%安、住友電気工業が3.37%安、SUMCOが3.14%安、村田製作所が2.52%安と、AIデータセンター向けの電線・電子部品・材料まで幅広く売られました。
ただし、11日との違いにも注目です。11日はアドバンテストが6.49%安で-530円99銭でしたが、本日は2.02%安で-154円47銭。東京エレクトロンも-2.56%から-1.03%へ、ディスコは-1.06%、レーザーテックは-0.26%と、製造装置株の下げは11日より明らかに小さくなっています。本日の売りは「半導体全般」というより、「オープンAIとの距離が近い銘柄」と「AI投資の減速で需要が揺らぐ部材」に集中したという整理ができます。
買われた側で最も目立ったのは、ソフトウェア・ITサービス株です。富士通が7.39%高、NECが6.90%高、野村総合研究所が6.22%高、SHIFTが6.03%高、ベイカレントが4.82%高、トレンドマイクロが4.40%高。株探は、AIに代替されて必要性が薄れるとの警戒が重荷となっていたSaaS関連株に資金をシフトさせる動きがみられるとし、マネーフォワード(7.1%高)やSansanの大幅高を伝えています。「AI開発が減速するなら、AIに仕事を奪われると見られていた側が見直される」——本日の物色は、AI関連株の売りと表裏一体でした。
プラス寄与度の1位はリクルートHDの+99円06銭(985円・6.35%高の1万6,485円)で、2位コナミグループ+27円82銭(4.00%高)、3位ソニーグループ+26円15銭(4.30%高)、4位バンダイナムコHD+25円95銭(4.81%高)、5位ファーストリテイリング+22円53銭(0.42%高)。任天堂も2.16%高と、ゲーム・コンテンツ株がそろって買われました。金融では東京海上HDが2.92%高、三井住友FGが1.72%高、三菱UFJ FGが1.61%高、みずほFGが1.57%高。プラス寄与度上位5銘柄の合計は+201円51銭で、前週末の+68円72銭の約2.9倍。日経平均225銘柄では値上がり158・値下がり66と、7割の銘柄が上昇しました。225銘柄の中にも、指数の下げとは逆の強さがはっきり出ています。
テクニカル分析
トレンドの位置
日経平均の終値6万3,492円99銭は、200日線以外のすべての移動平均線を下回ったままです。5日線は6万4,637円48銭で終値の1,144円49銭上(乖離-1.77%)、25日線は6万6,064円68銭で2,571円69銭上(-3.89%)、75日線は6万6,798円17銭で3,305円18銭上(-4.95%)です。移動平均線とは過去一定期間の終値の平均で、5日線は直近1週間、25日線は約1か月、75日線は約3か月半、200日線は約10か月の平均コストを表します。75日線を下回るのは8月21日から17営業日連続になりました。200日線は5万9,416円05銭と終値の4,076円94銭下(+6.86%)にあり、長期の上昇基調は保っていますが、乖離は前週末の+7.87%からさらに1.01ポイント縮まっています。
一目均衡表では、2営業日連続で「雲の下」です。一目均衡表の「雲」とは、過去の値動きから算出した2本の線に挟まれた帯で、株価がその中にあると方向感に乏しい、上にあれば強い、下にあれば弱いと読むのが一般的です。本日の雲は6万4,396円23銭〜6万6,640円32銭で、終値は下端を903円24銭下回りました。雲の下端は前週末の6万4,790円66銭から394円43銭切り下がっており、戻りの関門自体は少し近づいています。転換線は6万4,759円01銭で終値の1,266円02銭上、基準線は6万6,167円21銭で2,674円22銭上です。
TOPIXは、日経平均とは反対の動きを見せました。前週末に約5か月半ぶりに割り込んだ75日線(本日4,031.07)を、終値4,058.21で27.14ポイント上回り、1日で回復しています。5日線4,047.61と転換線4,054.06も上回り、一目均衡表の雲(3,951.81〜3,989.05)の上端からは69.16ポイント上です。ただし25日線4,104.29は46.08ポイント(1.12%)下回ったまま、基準線4,093.75も35.54ポイント下にあり、短期は持ち直したものの、1か月単位ではまだ下向きの位置と言えます。
サポートとレジスタンス
日経平均の下値の目安は、本日の安値6万2,726円18銭です。これは8月3日の安値6万2,703円47銭にわずか22円71銭まで迫った水準で、日中の安値としては8月3日以来の低さでした。ボリンジャーバンドの-2σは6万3,274円81銭で、本日の安値はこれを548円63銭下抜けたものの、終値は218円18銭上で引けています。ボリンジャーバンドとは移動平均線の上下に値動きのばらつき(標準偏差)の幅を加えた帯で、-2σの外に出るのは統計的に珍しい、いわゆる売られすぎの水準と読むのが一般的です。11日も本日も、日中に-2σを割り込んでから終値では押し戻す動きが2営業日続きました。その下の目安は、7月30日の終値6万1,867円43銭と7月29日の安値6万448円90銭です。
上値のレジスタンスは、6万4,400円〜6万4,800円に固まっています。雲の下端6万4,396円23銭、5日線6万4,637円48銭、ボリンジャーバンドの-1σ6万4,669円74銭、転換線6万4,759円01銭——終値から約900円〜1,270円上の範囲に4本の線が集まっています。それより手前には本日の高値6万3,691円53銭と前週末の終値6万4,011円34銭があり、まずはここを回復できるかが最初の確認点です。その上は25日線6万6,064円68銭、基準線6万6,167円21銭、雲の上端6万6,640円32銭、75日線6万6,798円17銭と、6万6,000円台に中期の線が集中しています。
オシレーター
日経平均のRSI(14日)は39.4で、前週末の41.5から2.1ポイント低下しました。RSIは直近14日間の値上がり幅と値下がり幅の比率を0〜100で表した指標で、一般に30以下が売られすぎ、70以上が買われすぎ、50が中立とされます。40を下回ったものの、売られすぎの30まではまだ距離がある水準です。一方でTOPIXのRSIは47.4と、前週末の43.5から3.9ポイント上昇しました。2つの指数のRSIが逆方向に動いたこと自体が、本日の相場の偏りを示しています。
日経平均のMACDは-498.0、シグナルは-296.1、ヒストグラムは-201.9。MACDは短期と長期の移動平均の差を示す指標で、シグナル(MACDの平均線)を上抜けば買い、下抜けば売りのサインと読むのが一般的です。ヒストグラムのマイナス幅は前週末の-136.8から約1.5倍に広がり、下向きの勢いは2営業日続けて強まりました。対照的にTOPIXのヒストグラムは-12.1と前週末の-13.5から縮小(MACD-2.8、シグナル9.2)しており、TOPIXでは下向きの勢いがわずかに弱まっています。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら、「指数には警戒、個別株には強気」です。株探の大引け記事も「個別株は8割弱が上昇するなど全体はリスク選好の地合い」「個別株の物色意欲はむしろ旺盛」と表現しています。東証プライムの値上がり1,221銘柄は全体の79%で、値下がり309銘柄の3.95倍。11日の値上がり509・値下がり986から、ほぼ裏返しの数字になりました。
それでも恐怖指数は上がりました。日経平均VIは今後1か月の値動きの大きさに対する市場の予想を表す指標で、急落時に跳ね上がり、平常時は20〜30程度に落ち着くとされます。本日は31.06と前週末比1.26(4.23%)上昇し、高値は33.04、安値は終値と同じ31.06でした。日中に33台まで上がった後は引けにかけて低下しており、11日と同じく「朝に警戒のピーク、その後は和らぐ」形です。ただし30を上回る水準は、今週のFOMC・日銀会合とその後の5連休を前に、値動きの大きさへの警戒が根強いことを示しています。
見逃せないのは、商いの薄さです。東証プライムの売買代金は約7兆2,866億円で、SQ算出日だった前週末から16.4%減、売買高は約19億7,480万株で16.8%減。株探も売買代金を「7兆円台前半と低水準」と表現しています。多くの銘柄が上がったとはいえ、大きな資金が一斉に買いに回ったというより、「AI関連から他の銘柄へ」という限られた資金の入れ替えだったと見るのが自然でしょう。NT倍率は15.646倍と前週末から0.244低下し、2営業日で0.452下がりました。値がさのAI関連株に偏っていた指数の構成が、この2日で揺り戻されていることを示しています。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月15日(火)で、東京市場は通常どおり取引が行われます。最初の注目は、今晩の米国市場でAI・半導体株が週末のニュースにどう反応するかです。本日の東京は、米国市場が取引を終えた後に出たオープンAIの上場見送り報道とアンソロピックCEOの主張を先に織り込みました。今晩のSOX指数やAI関連の大型株が同じように売られれば、ソフトバンクGやAI部材株への売りは続きやすく、逆に米国で反応が限られれば、本日の東京の下げは行き過ぎだったと見直される可能性があります。
ふたつ目は、ソフトバンクグループが下げ止まるかどうかです。本日は1銘柄で日経平均を563円98銭押し下げ、ソフトバンクG以外の224銘柄は差し引きで約46円のプラスでした。同社の株価の方向が、そのまま日経平均の方向を大きく左右する状態が続いています。あわせて、本日買われたソフトウェア・ITサービス株と内需株への物色が2日目も続くかどうか——続けばTOPIXの底堅さは本物、1日で終われば単なる自律反発という見分けになります。
三つ目は、今週の日米中央銀行イベントとその後の連休です。FOMCは15〜16日(結果公表は日本時間17日未明)、日銀の金融政策決定会合は17〜18日(結果公表は18日)。米8月CPIでコア指数の前月比が予想を上回ったと報じられ、FOMCでの利上げ観測はさらに強まっています。そして日銀会合の結果公表の翌日から、東京市場は9月19日(土)〜23日(水)の5連休(21日敬老の日・22日国民の休日・23日秋分の日)に入ります。中央銀行の結果を受けた海外市場の動きを東京市場は5日間反映できない日程で、週後半は連休前のポジション調整も意識されます。
テクニカル面で15日(火)に確認したいのは2点です。下は本日の安値6万2,726円18銭と、そのすぐ下の8月3日の安値6万2,703円47銭を守れるか。上は本日の高値6万3,691円53銭と前週末終値6万4,011円34銭を回復し、6万4,400円〜6万4,800円に固まる雲の下端・5日線・-1σ・転換線に近づけるかです。TOPIXについては、1日で回復した75日線4,031.07を維持できるかが焦点になります。
戦略展望
本日の値動きから読み取れる前向きな点は3つあります。ひとつ目は、市場全体の強さ。東証プライムの79%が上昇し、33業種中27業種が上昇、TOPIXはほぼ高値引けで75日線を1日で回復しました。ふたつ目は、日経平均の下げがソフトバンクG1銘柄でほぼ説明できること。同社を除けば指数は実質プラスでした。三つ目は、2営業日続けて日中に-2σを割り込んだ後、終値では押し戻したことで、6万2,700円〜6万3,200円近辺では買いが入ることを2度確認しています。
一方で、慎重に見るべき点も3つあります。ひとつ目は、日経平均の終値が7月30日以来の安値となり、17営業日連続の75日線割れ・2日連続の雲の下と、中期の弱い位置がさらに深まったこと。ふたつ目は、今回の売り材料が「AI開発投資そのものの減速」という、この1年ほど日本株を押し上げてきた前提に関わる性質のものであること——1日で消える材料とは限りません。三つ目は、売買代金が7兆円台前半と低水準で、多くの銘柄の上昇が「新しい資金の流入」ではなく「資金の入れ替え」にとどまっている可能性です。
したがって本日の値動きから導かれる見立てはこうです——「日経平均はAI関連の値がさ株に引きずられて弱いが、市場全体の地合いは崩れていない。指数の方向を決めるのは当面ソフトバンクGとAI部材株であり、市場全体の体温はTOPIXと騰落銘柄数で測る」。判別の材料は、今晩の米国のAI・半導体株、ソフトバンクGの下げ止まり、そして今週のFOMC・日銀会合です。その直後に5連休が控えることを考えると、今週は日経平均の数字だけで相場全体を判断しないことが大切な局面と言えるでしょう。なお本節の見立てはあくまで本日までの数値から読める整理であり、将来の株価を予測するものではありません。
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