日経平均は96円59銭安ですが、採用225銘柄のうち170銘柄が上昇しました。値下がりはわずか55銘柄、変わらずはゼロ——上昇比率は75.6%です。それでも指数が下げたのは、値がさ5銘柄が合計431円23銭を押し下げたから——東京エレクトロン146円83銭、ファーストリテイリング95円74銭、アドバンテスト74円82銭、リクルート72円41銭、フジクラ41円43銭の5銘柄です。プラス寄与は170銘柄で合計454円65銭、1銘柄あたり平均はわずか2円67銭——「少数の値がさ株が大きく下げ、大多数が薄く広く上げた」という構図でした。その背景にあるのが金利です。新発10年国債利回りは一時3.000%と、1996年9月以来およそ30年ぶりの水準をつけました。TOPIXは25.57ポイント(0.62%)高の4,181.86と9日続伸し、東証33業種のうち26業種が上昇——前日8月31日に続いて2営業日連続で、指数と中身が別の顔をしています。
もうひとつ、ローソク足の形が本日の迷いを正確に写しています。始値6万5,885円47銭、高値6万6,525円70銭、安値6万5,576円61銭、終値6万6,215円34銭——実体329円87銭の陽線に、上ヒゲ310円36銭と下ヒゲ308円86銭がほぼ等しい長さで付いた形です。上下のヒゲの差はわずか1円50銭——教科書どおりの「コマ足」で、買いと売りが同じだけ振れて、結局どちらも勝てなかった一日を意味します。しかも高値6万6,525円70銭は前日終値を213円77銭上回る水準で、場中には一度プラス圏に浮上していました。寄り付きは426円46銭安、安値では735円32銭安——日中値幅949円09銭を上下に往復して、ほぼ真ん中で引けたのが本日の実像です。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,215.34円 | -96.59円 (-0.15%) 2日続落 |
| 前日の下げ幅との比較 | -93.63円 → -96.59円 | 2営業日連続でほぼ同じ幅の小反落。差はわずか2円96銭 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 66,525.70 / 65,576.61 | 始値 65,885.47円 (日中値幅949.09円) |
| ローソク足の形 | 実体329.87円の陽線 | 上ヒゲ310.36円 / 下ヒゲ308.86円。差1.50銭のコマ足 |
| 日経平均 寄り付きのギャップ | -426.46円 (-0.64%) | 始値65,885.47円。前日の米国株安を織り込む |
| 安値時点の下げ幅 | -735.32円 (-1.11%) | 9時13分。前日の-1,573.46円からは大きく浅い |
| 高値時点の騰落 | +213.77円 (+0.32%) | 14時56分。場中に一度プラス圏へ浮上していた |
| 安値から終値までの戻し | +638.73円 (+0.97%) | 下げ幅735.32円の86.9%を取り戻した |
| TOPIX | 4,181.86 | +25.57 (+0.62%) 9日続伸 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,196.87 / 4,132.24 | 始値 4,137.12 (値幅64.63・1.56%) |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 0.77ポイント | TOPIX+0.62%に対し日経平均-0.15%。9営業日連続でTOPIX優位 |
| TOPIX 52週高値からの距離 | -38.45 (-0.91%) | 52週高値 4,220.31 (8/14)。あと1%以内に迫った |
| NT倍率 | 15.834倍 | 前日15.955倍から0.121低下。2営業日連続で低下し16倍割れが定着 |
| 東証プライム 売買代金 | 約7兆5,016億円 | 前日の約9兆3,583億円から約1兆8,567億円 (19.8%) 減 |
| 東証プライム 売買高 | 約22億7,826万株 | 前日の約26億7,487万株から約3億9,661万株 (14.8%) 減 |
| 金額と株数の減り方の差 | 5.0ポイント | 代金-19.8%に対し株数-14.8%。値がさ株の商いが先に細った |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 843銘柄 / 657銘柄 | 値上がりは54.3%、値下がりは42.5% |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 170銘柄 / 55銘柄 (変わらず0) | 値上がりは75.6%。前日の131銘柄/91銘柄からさらに改善 |
| プライムと225銘柄の上昇比率の差 | 21.3ポイント | プライム54.3%に対し225銘柄は75.6%。大型株ほど買われた |
| 東証33業種 上昇/下落 | 26業種 / 7業種 | 上昇業種は8割近く。前日の22業種からさらに広がった |
| 業種別 上昇率上位 | 電気・ガス業 +4.28% | 以下 鉱業+3.81%、石油・石炭製品+3.67%、鉄鋼+3.61% |
| 業種別 上昇率5〜10位 | 卸売業 +2.80% | 以下 建設業+2.17%、輸送用機器+2.07%、保険業+1.35%、不動産業+1.31%、情報・通信業+1.06% |
| 業種別 下落率上位 | サービス業 -1.91% | 以下 非鉄金属-1.13%、小売業-0.50%、機械-0.40%、金属製品-0.19% |
| 電気機器(半導体の主戦場) | -0.12% | 下落は7業種中6番目。売られたのは一部の値がさ株に限られた |
| 最大のマイナス寄与 | 東京エレクトロン | 1銘柄で日経平均を146円83銭押し下げ (1,460円安の5万4,980円) |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | -431円23銭 | マイナス寄与合計551円27銭の78.2%を5銘柄が占めた |
| プラス寄与合計 / マイナス寄与合計 | +454.65円 / -551.27円 | 差引-96.62円で当日の下げ幅-96.59円と0.03円以内で一致 |
| プラス寄与170銘柄の1銘柄平均 | +2円67銭 | 454.65円 ÷ 170銘柄。薄く広く買われたことを示す |
| マイナス寄与55銘柄の1銘柄平均 | -10円02銭 | 551.27円 ÷ 55銘柄。プラス側の3.8倍の重み |
| 最大のプラス寄与 | ソフトバンクグループ +49円88銭 | 62円(1.19%)高の5,262円 |
| 新発10年国債利回り | 一時 3.000% | 1996年9月以来およそ30年ぶりの水準。午後は2.990% |
| 前日の10年債利回りとの比較 | 2.950% → 2.990% | 0.040%上昇。2営業日で約30年ぶり水準を更新し続けている |
| 米ドル/円 | 159円97銭 | +23銭 (+0.14%) のドル高・円安 (16時22分時点) |
| NYダウ (8/31終値) | 53,185.90 | -374.09 (-0.70%) 反落 |
| S&P 500 (8/31終値) | 7,686.14 | -25.62 (-0.33%) 続落 |
| ナスダック総合 (8/31終値) | 26,370.89 | -31.53 (-0.12%) 続落 |
| SOX指数 (8/31終値) | 11,535.05 | +65.39 (+0.57%) 反発。米主要3指数が下げるなか唯一プラス |
| SOX指数と米主要3指数の対比 | SOXのみプラス | 前日28日の3.47%安から切り返した。半導体売りは一巡の兆し |
| 米VIX指数 (8/31終値) | 14.92 | +0.49 (+3.40%) 上昇。ただし水準は依然として低位 |
| 日経平均 5日線からの距離 | -50.05円 (-0.08%) | 5日線 66,265.39。前日は上回っていたが本日は割り込んだ |
| 日経平均 25日線からの乖離 | +0.70% | 25日線 65,752.00。463円34銭上回る |
| 日経平均 75日線との差 | -354.73円 (-0.53%) | 75日線 66,570.07。終値が下回るのは8営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +12.66% | 200日線 58,773.62。長期の上昇基調は崩れていない |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 66,829.79 / 下限 66,061.99 | 終値は下限を153円35銭上回り、2日連続で雲の中を維持 |
| 安値と雲の下限の関係 | -485.38円 | 場中は雲を下抜けたが、終値では雲の中に復帰。前日と同じ形 |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 65,782.08 / 65,028.57 | 終値は転換線を433円26銭、基準線を1,186円77銭上回る |
| 日経平均 RSI (14日) | 49.6 | 前日の50.1から0.5ポイント低下。50をわずかに割り込んだ |
| 日経平均 MACD / シグナル | -8.0 / 5.6 | ヒストグラムは-13.6。前日の-10.9から再び悪化 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -6,616.39円 (-9.08%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。前日の-8.95%からやや拡大 |
| 7月29日安値からの戻り | +5,766.44円 (+9.54%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。上昇基調そのものは維持 |
| TOPIX 25日線 / RSI (14日) | 4,077.95 / 61.6 | 終値は25日線を103.91ポイント(2.55%)上回る |
| TOPIX MACD / シグナル | 30.9 / 26.0 | ヒストグラムは+4.9。日経平均とは逆に改善が続く |
マクロ・地政学の視点
本日の相場は、「金利」という1本の線でほぼすべてが説明できます。材料は3つ——(1)新発10年国債利回りの3.000%到達、(2)米国とイランの攻撃応酬再開による原油高と米金利上昇、(3)それらを受けた前日の米国株安です。(3)が朝の426円安の寄り付きを作り、(1)と(2)が業種別ランキングを丸ごと入れ替えた——これが本日の構造です。順に見ていきます。
まず国内の長期金利です。1日の国内債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時3.000%をつけました。3%に乗せたのは1996年9月以来、およそ30年ぶりです。午後は2.990%で推移しましたが、前日8月31日の2.950%からさらに0.040%上昇しており、2営業日連続で約30年ぶりの水準を切り上げ続けていることになります。金利が3%に乗るということは、株式の期待利回りと比較される「無リスク資産の対抗馬」が一段と魅力的になるということ——とりわけPERの高い成長株にとっては、将来利益を現在価値に割り引く際の分母が大きくなる直接的な逆風です。本日の下落業種にサービス業(-1.91%)、小売業(-0.50%)といった高PER業種が並び、上昇上位に電気・ガス業(+4.28%)、鉄鋼(+3.61%)、卸売業(+2.80%)といった低PER・高配当のバリュー業種が並んだのは、この理屈がそのまま出た動きです。
次に米国とイランです。報道によれば、米・イラン間の攻撃応酬が再開したことを受けて原油先物が上昇し、米長期金利も上昇、米10年債利回りは一時4.76%台をつけました(本稿では各社の報道を引用しており、当サイトが事実関係を独自に確認したものではありません)。この結果、前日8月31日の米国市場はNYダウが374.09ドル(0.70%)安、S&P500が25.62ポイント(0.33%)安、ナスダック総合が31.53ポイント(0.12%)安と揃って下落しました。原油高は、本日の東京市場で鉱業(+3.81%)と石油・石炭製品(+3.67%)を上昇率2位・3位に押し上げた直接の材料です。地政学リスクが資源価格を押し上げ、その資源価格が資源関連株を買わせる——リスクオフが一律の売りにならず、業種間の資金移動として現れたのが本日の特徴でした。
三つめに、半導体に明るい材料が出ていた点を見落とすべきではありません。8月31日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は65.39ポイント(0.57%)高の11,535.05と反発しています。米主要3指数がそろって下げるなかで、SOXだけがプラスで引けたのです。前週末28日にSOXが3.47%安と崩れ、それが8月31日の東京市場の1,573円安を作ったことを思えば、この反発は本来なら日経平均の追い風になるはずでした。にもかかわらず東京エレクトロンが2.59%安、ディスコが2.63%安と売られたのは、米国の半導体株安を引き継いだのではなく、国内金利の上昇を嫌気した売りと読むのが自然です。本日の半導体株安は、米国発ではなく日本発だった——ここが前日との決定的な違いです。
為替は円安方向に振れました。米ドル/円は16時22分時点で159円97銭と、前日比23銭(0.14%)のドル高・円安です。報道では、原油高と米金利上昇を背景にドル買いが先行し、一時159円90銭近辺まで上昇したと伝えられています。ここで注意したいのは、日本の長期金利が3%に乗せてもなお円安が進んだという点です——通常なら内外金利差の縮小は円高要因ですが、米10年債利回りも一時4.76%台へ上昇したため、金利差そのものはさほど縮まらなかったことになります。この円安水準の定着が、輸送用機器(+2.07%)と卸売業(+2.80%)、すなわち自動車と商社の上昇を下支えしました。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
東証33業種のうち26業種が上昇し、下落は7業種にとどまりました。上昇率トップは電気・ガス業の4.28%高で、2位以下は鉱業3.81%高、石油・石炭製品3.67%高、鉄鋼3.61%高、卸売業2.80%高と続きます。上位5業種のうち3つが資源・エネルギー・公益、残る2つが鉄鋼と商社——いずれも低PER・高配当の代表格です。建設業2.17%高、輸送用機器2.07%高、保険業1.35%高、不動産業1.31%高と続き、上昇率上位10業種のうち9業種までがバリュー系という、教科書的な金利上昇局面の物色でした。
- ソフトバンクグループ: 62円(1.19%)高の5,262円。プラス寄与49円88銭で本日トップ。値がさ株が総じて売られるなかで、AI関連の代表格がプラスを確保した意味は大きい
- キオクシアホールディングス: 1,010円(2.02%)高の5万1,000円でプラス寄与23円70銭の2位。東京エレクトロン・ディスコが売られるなかで、同じ半導体でもメモリーは買われた——半導体が一律に売られたわけではないことを示す
- 豊田通商: 229円(3.06%)高の7,707円で寄与23円03銭の3位。卸売業が上昇率5位に入った主役
- KDDI: 47円50銭(1.61%)高の3,007円で寄与19円11銭。ディフェンシブかつ高配当の内需通信株
- 商社: 三菱商事が152円(3.16%)高の4,956円(寄与15円29銭)、三井物産が189円(3.77%)高の5,198円(寄与12円67銭)。原油高と円安の両方が追い風になる業態で、本日の材料を最も素直に受けた銘柄群
- トヨタ自動車: 87円(2.76%)高の3,243円で寄与14円58銭。PER11.8倍・配当利回り3.08%という水準が、金利3%時代でも選ばれた
- 日東電工: 68円(1.94%)高の3,580円で寄与11円40銭。電子部品のなかでは数少ないプラス組
- 鉄鋼: 大引け報道によれば日本製鉄が目標株価引き上げを材料に上昇。鉄鋼業種は3.61%高で上昇率4位、PBR0.80倍・配当利回り3.66%という業種平均が示すとおり典型的なバリュー買いの受け皿となった
ここで最も重要な数字を確認します。プラス寄与は170銘柄、合計454円65銭——1銘柄あたり平均はわずか2円67銭です。プラス寄与上位5銘柄の合計は131円01銭で、プラス寄与全体の28.8%にとどまります。言い換えれば、残り165銘柄が合計323円64銭を薄く広く積み上げたということ——本日の買いは、特定の主役がいない、極めて裾野の広い買いでした。前日8月31日のプラス寄与上位5銘柄が合計250円88銭(全体の51.1%)を占めていたのとは、性格がまったく異なります。
売られたセクター・銘柄
下落したのは7業種だけで、下落率上位はサービス業1.91%安、非鉄金属1.13%安、小売業0.50%安、機械0.40%安、金属製品0.19%安の順でした。サービス業(平均PER22.8倍)と小売業(平均PER32.8倍)は33業種のなかでも高PERの代表格で、金利上昇の直撃を受ける業種が、そのまま下落率の上位に並んだ格好です。電気機器は0.12%安にとどまり、下落7業種のなかでも下から2番目の小ささ——後述する値がさ半導体株の大幅安が、業種全体には広がっていないことが分かります。
- 東京エレクトロン: 1,460円(2.59%)安の5万4,980円。1銘柄で日経平均を146円83銭押し下げ、下げ幅96円59銭の1.52倍。米SOX指数が前日プラスだったにもかかわらず売られており、国内金利要因の色が濃い
- ファーストリテイリング: 1,190円(1.64%)安の7万1,260円で寄与-95円74銭の2位。PER43.7倍・PBR8.01倍という日経平均で最も金利感応度の高い値がさ株。前日は逆にプラス寄与トップ(+95円74銭)だった銘柄で、寄与額まで符号違いの同額
- アドバンテスト: 310円(0.92%)安の3万3,380円で寄与-74円82銭の3位。前日は1銘柄で381円35銭を押し下げた主犯だが、本日の下落率は0.92%にとどまり、下げは大きく鈍化した
- リクルートホールディングス: 720円(3.95%)安の1万7,495円で寄与-72円41銭。PER32.1倍・PBR13.66倍の高PER株で、サービス業が下落率トップとなった最大の要因。前日は逆に2.33%高だった
- フジクラ: 206円(3.74%)安の5,298円で寄与-41円43銭。PER26.9倍・PBR14.41倍。こちらも前日は3.07%高で、2日で完全に反転した
- その他の値がさ: ファナックが66円(1.09%)安の5,989円(寄与-11円06銭)、ディスコが1,530円(2.63%)安の5万6,590円(寄与-10円26銭)、信越化学工業が55円(0.91%)安の5,968円(寄与-9円22銭)
- 非鉄金属: 業種騰落率1.13%安で下落率2位。PBR2.58倍と33業種のなかでも高めで、資源高の恩恵より金利上昇の逆風が勝った
マイナス寄与の全体合計は551円27銭で、そのうち78.2%にあたる431円23銭が上位5銘柄です。マイナス寄与55銘柄の1銘柄あたり平均は10円02銭で、プラス寄与170銘柄の平均2円67銭の3.8倍——「少数が深く売られ、多数が浅く買われた」という非対称性が、170銘柄上昇なのに指数は下落という結果を作りました。そして注目すべきは、この5銘柄のうち3銘柄(ファーストリテイリング、リクルート、フジクラ)が、前日はプラス寄与上位だったという事実です——市場は2営業日で、同じ値がさ株を買っては売り直していることになります。
テクニカル分析
トレンド
本日のローソク足は「コマ足」です。実体329円87銭の陽線に、上ヒゲ310円36銭・下ヒゲ308円86銭——上下のヒゲがほぼ同じ長さで、その差はわずか1円50銭です。実体もヒゲとほぼ同じ長さで、買い方と売り方が同じ力で押し合い、どちらも決着をつけられなかったことを示す典型的な迷いの足です。前日8月31日が上ヒゲゼロ・下ヒゲ836円41銭という極端な形だったのに対し、本日は完全に均衡した形——2営業日でローソク足の性格が「反発の足」から「迷いの足」に変わりました。
移動平均線では、5日線を割り込んだのが本日の変化です。5日線6万6,265円39銭に対し、終値は50円05銭(0.08%)下——前日は118円32銭上回っていたので、わずか1営業日で上下が入れ替わりました。ただし距離は50円で、誤差の範囲と言ってよい水準です。25日線6万5,752円00銭は463円34銭(0.70%)下、200日線5万8,773円62銭は12.66%下で、中長期のトレンドは何も損なわれていません。問題は75日線6万6,570円07銭で、終値との差は354円73銭(0.53%)——終値が75日線を下回るのは8月21日から8営業日連続です。前日の194円06銭から160円67銭広がりましたが、その内訳は指数の下げが96円59銭、75日線自体の切り上がりが64円08銭——指数が動かないだけで、線のほうが自動的に近づいてくる局面ではなくなっている点に注意が要ります。
一目均衡表では、2営業日連続で「場中に雲を下抜け、終値で雲の中に復帰」という同じ形になりました。雲の上限6万6,829円79銭、下限6万6,061円99銭に対し、終値は下限を153円35銭上回っています。前日の249円94銭からは96円59銭縮まり、雲の下限に一段近づきました。安値6万5,576円61銭は雲の下限を485円38銭下回る水準ですが、前日の1,229円89銭下抜けと比べれば、割り込み方は4割程度に浅くなっています。転換線6万5,782円08銭・基準線6万5,028円57銭はいずれも前日から変化なしで、終値は転換線を433円26銭、基準線を1,186円77銭上回ったままです。なお雲の上限は前日の6万6,903円95銭から6万6,829円79銭へ74円16銭低下しており、上値の関門はわずかながら下がってきています。
サポート・レジスタンス
- レジスタンス(1) 6万6,265円39銭: 5日線。終値からわずか50円05銭上。本日割り込んだばかりの水準で、まず回復できるかが問われる
- レジスタンス(2) 6万6,525円70銭: 本日の高値。ここを上回れば前日比プラス圏という直近の実績値
- レジスタンス(3) 6万6,570円07銭: 75日線。終値から354円73銭(0.53%)上。8営業日連続で終値が下回っており、上放れの最大の関門。本日の高値6万6,525円70銭とは44円37銭差まで接近した
- レジスタンス(4) 6万6,829円79銭: 雲の上限。ここを抜ければ6万7,000円の節目が視野に入る
- サポート(1) 6万6,061円99銭: 雲の下限。終値から153円35銭(0.23%)下。2営業日連続で終値がここを守っている
- サポート(2) 6万5,782円08銭: 転換線。終値から433円26銭下
- サポート(3) 6万5,752円00銭: 25日線。転換線とわずか30円08銭差で重なる下値の要衝
- サポート(4) 6万5,576円61銭: 本日の安値。前日の安値6万4,832円10銭より744円51銭高い位置で下ヒゲを付けた
整理すると、上は50円先に5日線、355円先に75日線、下は153円先に雲の下限です。ただし本日の日中値幅は949円09銭——この上下400円ほどのレンジは、1日でどちらにも軽く到達しうる距離です。より構造的に重要なのは、6万5,752円の25日線と6万5,782円の転換線が30円差で重なっている点——ここが崩れると次の明確な支持帯までは距離が空きます。一方で、本日の安値が前日の安値より744円51銭高い位置にとどまったことは、下値を切り上げているという素直な事実として押さえておくべきでしょう。
オシレーター
RSI(14日)は49.6で、前日の50.1から0.5ポイント低下し、わずかに50を割り込みました。買われすぎ(70以上)にも売られすぎ(30以下)にも遠く、過熱感は皆無です。3営業日連続で49〜51のレンジに収まっており、指数としての日経平均は完全な中立圏で足踏みしています。対照的に、TOPIXのRSIは61.6と前日の59.2から2.4ポイント上昇——同じ日本株市場を見ているはずの2つの指標が、オシレーターの水準で12ポイントも開いているのが現状です。
MACDは-8.0、シグナルは5.6で、ヒストグラムは-13.6です。前日は-10.9まで縮小していたヒストグラムが、本日は2.7ポイント再び拡大しました。MACD本体も-1.8から-8.0へと、ゼロラインからさらに遠ざかっています。前日の記事で「あと数営業日この水準を維持できればゴールデンクロスが視野に入る」と書きましたが、本日はその改善が止まり、逆方向に振れました。デッドクロス状態は継続しており、下降モメンタムの減衰という前日の見立ては、いったん保留すべき状態です。
ただしTOPIXのMACDは正反対の動きをしています。MACD30.9・シグナル26.0でヒストグラムは+4.9——前日の+2.3から2.6ポイント拡大し、ゴールデンクロス状態のまま上向きの勢いを強めています。日経平均のオシレーターが悪化し、TOPIXのオシレーターが改善するという逆行は、NT倍率の15.955倍から15.834倍への低下と完全に整合的です。テクニカル指標のレベルでも、2つの指数は別々の相場を映していることになります。
市場心理
本日の投資家心理は、指数の下げが示すよりはるかに強気でした。根拠は4つあります。
- 日経225銘柄の内訳: 値上がり170、値下がり55、変わらず0。上昇比率は75.6%で、前日の58.2%(131銘柄/91銘柄)からさらに大きく改善した。4銘柄に3銘柄が上げて終えた日に、指数は96円安
- 業種の広がり: 東証33業種のうち26業種が上昇し、下落は7業種のみ。前日の22業種上昇からさらに4業種増えた
- TOPIXの9日続伸: 4,181.86と、25.57ポイント(0.62%)高。52週高値4,220.31(8/14)まで残り38.45ポイント(0.91%)に迫った。日経平均が52週高値から9.08%も下にいるのとは、まったく別の景色
- プライム市場の騰落: 値上がり843銘柄に対し値下がり657銘柄。値上がり比率54.3%で、日経225採用銘柄の75.6%には及ばないものの、上げ優勢を維持した
一方で、警戒すべき変化も出ています。売買代金の急減です。東証プライムの売買代金概算は約7兆5,016億円で、前日の約9兆3,583億円から約1兆8,567億円(19.8%)減少しました。売買高も約22億7,826万株と14.8%減です。ここで注目したいのは、金額の減少率(19.8%)が株数の減少率(14.8%)を5.0ポイント上回っている点——前日は逆に株数の伸びが金額の伸びを上回っていました。単価の高い値がさ株の商いが、真っ先に細ったということです。170銘柄が上昇したという事実は心強い一方、その買いは商いを伴った積極的なものではなかった——この二面性が本日の実像でしょう。
NT倍率の低下は、2営業日連続で進みました。16.014倍(8/28)→15.955倍(8/31)→15.834倍(9/1)と、2営業日で0.180低下しています。16倍割れは定着したと見てよいでしょう。これは単なる数字の綾ではなく、金利3%という新しい環境で、市場が「どちらの指数を買うか」を選び直している過程と読めます。PER11.8倍のトヨタが2.76%高、PER43.7倍のファーストリテイリングが1.64%安——本日の個別銘柄の動きは、そのままバリューとグロースの綱引きでした。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月2日(水)です。祝日はなく、通常どおりの取引となります。本日の東京市場が引けた後の米国市場は通常取引ですので、9月1日の米国株の反応が翌日の東京市場の起点になります。
- 長期金利が3%に定着するか: 本日一時3.000%と約30年ぶり水準をつけました。ここに定着するなら、本日のようなバリュー優位・グロース劣位の物色が続く公算が大きく、NT倍率のさらなる低下につながります。逆に金利が押し戻されれば、値がさグロース株の買い戻しが入りやすい局面です
- 75日線6万6,570円07銭を終値で回復できるか: 本日終値から354円73銭上で、8営業日連続で終値が下回っている水準です。本日の高値6万6,525円70銭は、この線まであと44円37銭に迫りました——射程には完全に入っています
- 雲の下限6万6,061円99銭を終値で維持できるか: 終値から153円35銭下。2営業日連続でここを守っていますが、前日の249円94銭から距離が縮まっている点は要注意です。割り込むと25日線6万5,752円00銭と転換線6万5,782円08銭が30円差で重なる帯まで下値余地が広がります
- 東京エレクトロンが下げ止まるか: 本日1銘柄で146円83銭を押し下げました。米SOX指数が前日0.57%高と反発していたにもかかわらず売られた点が重要で、米国要因ではなく国内金利要因の売りと見られます。金利が落ち着けば真っ先に買い戻される銘柄でもあります
- TOPIXの連騰が10日に伸びるか: 9日続伸で52週高値まで残り0.91%です。ここを更新すれば、日経平均が52週高値から9%下にいることとの対比が一段と鮮明になります。相場の底堅さを測る最も分かりやすい指標です
- 売買代金が戻るか: 本日は7兆5,016億円と前日比19.8%減でした。170銘柄上昇という広がりが本物なら、翌日以降に商いを伴って続くはずです。逆に商いが細ったまま値だけ動く展開なら、上下どちらにも振れやすくなります
- 原油価格と地政学: 米・イラン間の攻撃応酬再開が原油先物を押し上げたと報じられています。資源高が続けば鉱業(+3.81%)・石油・石炭製品(+3.67%)の物色が続く一方、コスト増を受ける業種には逆風が続きます。ただし本項の地政学関連の記述は報道の引用であり、当サイトが事実関係を独自に確認したものではありません
戦略展望
本日の相場から読み取るべき最も重要な事実は、金利3%という水準が、日本株の物色構造を実際に書き換え始めたという点です。上昇率上位10業種のうち9業種が低PER・高配当のバリュー系——電気・ガス業4.28%高、鉱業3.81%高、石油・石炭製品3.67%高、鉄鋼3.61%高、卸売業2.80%高。一方で下落率トップはPER22.8倍のサービス業(-1.91%)、3位はPER32.8倍の小売業(-0.50%)です。これは偶然の並びではなく、割引率が上がった世界で何が選ばれるかという、極めて素直な答えでした。PER11.8倍・配当利回り3.08%のトヨタが2.76%高、PER43.7倍・PBR8.01倍のファーストリテイリングが1.64%安——この2銘柄の対比が、本日の相場を1行で要約しています。
そのうえで、指数の下げ方の「歪み」を正しく理解しておく必要があります。日経225採用銘柄の170銘柄(75.6%)が上昇したにもかかわらず、指数は96円59銭安でした。原因は明快で、値がさ5銘柄の合計マイナス寄与431円23銭が、マイナス寄与全体551円27銭の78.2%を占めたからです。プラス寄与は170銘柄で454円65銭、1銘柄平均2円67銭——マイナス寄与55銘柄の1銘柄平均10円02銭の3.8分の1です。日経平均は株価の単純平均型指数であるため、値がさ株の変動をそのまま増幅して映します。2営業日連続でこの歪みが出た以上、指数の日々の終値だけを見て相場全体を判断するのは、いまの局面では危険です。
警戒すべき数字は、売買代金の19.8%減です。9兆3,583億円から7兆5,016億円へ、約1兆8,567億円減りました。しかも金額の減少率が株数の減少率(14.8%)を5.0ポイント上回っており、値がさ株の商いから先に細っています。170銘柄上昇・26業種上昇という広がりは強気材料ですが、それが商いの裏付けを欠いた「消去法の買い」である可能性は否定できません。前日8月31日が9兆円台の商いを伴った切り返しだったのに対し、本日は薄商いのなかでの上昇——広がりの質は、前日より一段落ちていると見るのが公平でしょう。
したがって、当面の判断基準は3つに絞れます。第一に、上は75日線6万6,570円07銭——本日の高値であと44円37銭まで迫った水準を、終値で回復できるか。第二に、下は雲の下限6万6,061円99銭——2営業日連続で守っている水準を、終値で維持できるか。第三に、そのどちらでもなく、新発10年国債利回りが3%に定着するかどうかです。本日の値動きが示したとおり、いまの日本株は3番目の変数で業種別ランキングの上から下までが説明できてしまう局面にあり、テクニカルな水準論だけでは片手落ちになります。
最後に、どちらの指数を見るかという問題です。TOPIXは9日続伸で52週高値まで0.91%、RSI61.6、MACDヒストグラムは+4.9と改善中。日経平均は52週高値から9.08%下、RSI49.6、MACDヒストグラムは-13.6と悪化中です。NT倍率は2営業日で0.180低下し15.834倍——同じ日本株市場を見ているのに、2つの指数がこれほど違う顔をしているのが現在の相場です。金利3%という環境がバリュー優位を後押しする限り、この乖離は簡単には埋まりません。日経平均の96円安に肩を落とす前に、TOPIXの9連騰と33業種中26業種上昇という数字を確認する——それが本日の値動きから導かれる、最も無理のない結論です。
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