1銘柄が日経平均を381円35銭押し下げたのに、指数の下げは93円63銭で済みました。アドバンテストは1,580円(4.48%)安で、単独のマイナス寄与は381円35銭——実際の下げ幅93円63銭の4.07倍です。言い換えれば、アドバンテストを除く224銘柄は合計で日経平均を287円73銭押し上げていました。きょうの相場は、たった1銘柄と残り224銘柄の綱引きでした。寄り付きは737円05銭安のギャップダウン、安値では前週末比1,573円46銭安の6万4,832円10銭まで沈みましたが、そこから1,479円83銭(2.28%)を戻し、終値は本日の高値ちょうど——上ヒゲゼロ・下ヒゲ836円41銭の陽線で引けています。TOPIXは9.58ポイント(0.23%)高の4,156.29と8日続伸し、東証プライムの値上がり銘柄数は881、東証33業種のうち22業種が上昇しました。指数の見た目は小反落ですが、中身は全く別の顔をしています。
もうひとつ、本日の商いは一気に膨らみました。東証プライムの売買代金概算は9兆3,583億円——前週末28日の約8兆1,223億円から約1兆2,360億円(15.2%)増加し、8月19日以来の9兆円台となりました。売買高も26億7,487万株と、28日の約21億7,795万株から約4億9,692万株(22.8%)増です。ここで注意したいのは、株数の伸び(22.8%)が金額の伸び(15.2%)を7.6ポイント上回っている点——単価の高い半導体株が売られる一方で、単価の低い銘柄に幅広く買いが入ったことを、売買代金と売買高の伸びの差そのものが示しています。1,573円安から始まった一日が、商いを伴って戻ったという事実は、押し目買いの厚みを測る材料になります。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,311.93円 | -93.63円 (-0.14%) 小反落 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 66,311.93 / 64,832.10 | 始値 65,668.51円 (値幅1,479.83円・実体643.42円の陽線) |
| 日経平均 上ヒゲ / 下ヒゲ | 0円 / 836.41円 | 終値が本日の高値ちょうど。下ヒゲは実体の1.30倍 |
| 日経平均 一時の下げ幅 | -1,573.46円 (-2.37%) | 安値時点。大引け報道の「一時1500円を超える急落」と一致 |
| 安値から終値までの戻し | +1,479.83円 (+2.28%) | 下げ幅1,573.46円の94.0%を取り戻した |
| 日経平均 寄り付きのギャップ | -737.05円 (-1.11%) | 始値65,668.51円。シカゴ日経225先物の大阪比670円安を織り込む |
| TOPIX | 4,156.29 | +9.58 (+0.23%) 8日続伸 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,158.72 / 4,097.76 | 始値 4,118.95 (値幅60.96・1.47%) |
| TOPIXの安値の浅さ | -48.95 (-1.18%) | 日経平均の安値は-2.37%。下げの深さは半分以下だった |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 0.37ポイント | TOPIX+0.23%に対し日経平均-0.14%。8営業日連続でTOPIX優位 |
| NT倍率 | 15.955倍 | 前日16.014倍から0.059低下。16倍を割り込んだ |
| 東証プライム 売買代金 | 約9兆3,583億円 | 28日の約8兆1,223億円から約1兆2,360億円 (15.2%) 増 |
| 売買代金の水準 | 8月19日以来の9兆円台 | 下げ場面で商いが膨らんだ。閑散な下げではない |
| 東証プライム 売買高 | 約26億7,487万株 | 28日の約21億7,795万株から約4億9,692万株 (22.8%) 増 |
| 株数と金額の伸びの差 | 7.6ポイント | 株数+22.8%に対し代金+15.2%。値がさ以外に買いが回った |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 881銘柄 / 634銘柄 (変わらず41) | 値上がりは56.6%、値下がりは40.7% |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 131銘柄 / 91銘柄 (変わらず3) | 値上がりは58.2%。指数は下げたが中身は上げ優勢 |
| 東証33業種 上昇/下落 | 22業種 / 9業種 (±0.00%が2業種) | 上昇業種が3分の2を占めた |
| 業種別 上昇率上位 | 電気・ガス業 +2.79% | 以下 鉱業+1.76%、石油・石炭製品+1.56%、サービス業+1.44% |
| 業種別 上昇率5〜9位 | ガラス・土石 +1.29% | 以下 輸送用機器+1.06%、パルプ・紙+0.98%、ゴム製品+0.88%、銀行業+0.87% |
| 業種別 下落率上位 | 空運業 -1.26% | 以下 証券・商品-1.19%、海運業-1.13%、機械-0.92%、不動産業-0.82% |
| 電気機器(半導体の主戦場) | -0.34% | 下落率は33業種中24位。売られたのは一部の値がさ株だけ |
| 最大のマイナス寄与 | アドバンテスト | 1銘柄で日経平均を381円35銭押し下げ (1,580円安の33,690円) |
| アドバンテストの寄与倍率 | 下げ幅の4.07倍 | 381.35円 ÷ 93.63円。1銘柄で下げ幅の4倍を押し下げた |
| アドバンテストを除く224銘柄 | +287円73銭 | -93.62円 +381.35円。1銘柄がなければ日経平均は287円高だった |
| マイナス寄与 2位との差 | 22.3倍 | 2位のTDKは-17円10銭。突出は完全に1銘柄限り |
| プラス寄与合計 / マイナス寄与合計 | +490.70円 / -584.32円 | 差引-93.62円で当日の下げ幅-93.63円と一致 |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | 約+250円88銭 | ファストリ・キオクシア・リクルート・フジクラ・ソフトバンクG |
| 最大のプラス寄与 | ファーストリテイリング +95円74銭 | 1,190円(1.67%)高の7万2,450円 |
| 日経平均VI | 27.83 | +4.58 (+19.70%) 大幅上昇。高値30.59 / 安値27.31 |
| 東証グロース市場250指数先物 | 810ポイント | -8pt 6日ぶり反落。高値815 / 安値806・日中取引高2,720枚 |
| ストップ高 / ストップ安 | 16銘柄 / 1銘柄 | 引け時点。28日の14銘柄/0銘柄から高安ともに増加 |
| 新発10年国債利回り | 2.950% | 約30年ぶりの水準まで上昇 (大引け報道・マーケット日報) |
| NYダウ (8/28終値) | 53,559.99 | -9.45 (-0.02%) 小反落 |
| S&P 500 (8/28終値) | 7,711.76 | -19.23 (-0.25%) 反落 |
| ナスダック総合 (8/28終値) | 26,402.42 | -138.93 (-0.53%) 反落 |
| SOX指数 (8/28終値) | 11,469.66 | -412.51 (-3.47%) 大幅安。本日の東京市場の起点 |
| SOX指数と米主要3指数の差 | 2.94ポイント | SOX-3.47%に対しナスダック-0.53%。売りは半導体に集中 |
| 米VIX指数 (8/28終値) | 14.43 | -0.08 (-0.55%) 低位安定。日経平均VI27.83との差が大きい |
| 上海総合指数 | 3,986.2980 | +34.1190 (+0.86%) 4,000円台目前まで上昇 |
| 韓国KOSPI | 6,820.02 | +31.14 (+0.46%) 朝安後に切り返し |
| 米ドル/円 | 159円59銭前後 | 前日比約50銭のドル安・円高 (16時23分時点) |
| WTI原油先物 | 84.86ドル前後 | 8/28終値83.40ドルから約1.46ドル (1.75%) 上昇 |
| 日経平均 5日線からの距離 | +118.32円 (+0.18%) | 5日線 66,193.61。終値では上回って引けた |
| 日経平均 25日線からの乖離 | +0.93% | 25日線 65,700.64。安値64,832.10では868円54銭下回った |
| 日経平均 75日線との差 | -194.06円 (-0.29%) | 75日線 66,505.99。終値が下回るのは7営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +12.98% | 200日線 58,693.60。長期の上昇基調は崩れていない |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 66,903.95 / 下限 66,061.99 | 終値は下限を249円94銭上回り、雲の中を維持 |
| 安値と雲の下限の関係 | -1,229.89円 | 場中は雲を完全に下抜けたが、終値では雲の中に復帰した |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 65,782.08 / 65,028.57 | 終値は転換線を529円85銭、基準線を1,283円36銭上回る |
| 日経平均 RSI (14日) | 50.1 | 28日の50.5から0.4ポイント低下。ほぼ完全な中立 |
| 日経平均 MACD / シグナル | -1.8 / 9.0 | ヒストグラムは-10.8。28日の-15.5から改善 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -6,519.80円 (-8.95%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。28日の-8.82%からやや拡大 |
| 7月29日安値からの戻り | +5,863.03円 (+9.70%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。本日の安値でも+7.25%を保った |
| TOPIX 25日線 / RSI (14日) | 4,045.34 / 60.1 | 終値は25日線を110.95ポイント(2.74%)上回る |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料は、3つに整理できます。(1)ジャクソンホール会議でのウォーシュFRB議長の講演を受けた米利上げ観測、(2)前週末の米SOX指数3.47%安、(3)原油高と国内長期金利の約30年ぶり水準への上昇——このうち(1)と(2)が朝の1,573円安を作り、(3)が業種別の上位を入れ替えたというのが本日の構造です。順に見ていきます。
まずウォーシュFRB議長の講演です。8月28日の米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長はインフレに鈍化が見られないとして、FRBが政策でインフレ対処に焦点を当てるべきだと主張しました。これを受けて早期利上げ観測が高まり、米長期金利が上昇——債券売り(金利上昇)、株式売り、ドル買いという一連の動きが進みました。日経平均VIの解説記事は、9月中旬の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測の高まりが警戒材料になったと明示しています。金融引き締めの再開が意識されると、真っ先に売られるのは金利感応度の高いハイテク・半導体——これが本日の東京市場の起点です。
次にSOX指数の大幅安です。8月28日のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は412.51ポイント(3.47%)安の11,469.66と大きく崩れました。ここで重要なのは、米主要3指数との落差です——NYダウは9.45ドル(0.02%)安、S&P500は19.23ポイント(0.25%)安、ナスダック総合は138.93ポイント(0.53%)安にとどまっており、SOXの下落率はナスダックの6.5倍でした。売られたのは米国株全体ではなく、半導体だけだったのです。日経平均は構成銘柄に値がさの半導体株を多く抱えるため、この一点集中の売りに最も感応度が高い指数——寄り付き737円05銭のギャップダウンと、開始数分での1,500円超の急落は、この構造がそのまま出た動きでした。そして東京市場が示したのは、その売りが半導体の外に広がらなかったという事実です。東証33業種のうち電気機器の下落率はわずか0.34%で、下落率では24位にすぎませんでした。
三つめが原油高と国内金利です。本日の東証33業種の上昇率上位には、電気・ガス業2.79%高、鉱業1.76%高、石油・石炭製品1.56%高と、資源・エネルギー関連が並びました。WTI原油先物は8月28日終値の83.40ドルから84.86ドル前後へ、約1.46ドル(1.75%)上昇しています。フィスコの市況解説は、この原油高の背景として米軍とイラン軍の攻撃応酬が伝わったことを挙げています(本稿では同社の報道を引用しており、当サイトが事実関係を独自に確認したものではありません)。同時に、新発10年国債利回りは2.950%まで上昇し、大引け報道とマーケット日報はこれを約30年ぶりの水準と伝えています。金利上昇は銀行業の0.87%高に、資源高は鉱業・石油・石炭製品の上昇につながりました——半導体から資金が抜けた分が、そのまま消えたのではなく、金利・資源・内需に回ったという循環が、業種別ランキングから読み取れます。
アジア市場も、東京と似た「朝安後の切り返し」でした。韓国KOSPIは31.14ポイント(0.46%)高の6,820.02で、大引け報道は「韓国KOSPIが朝安後に切り返しており、これも投資家心理の改善に貢献した」と明記しています。上海総合指数も34.1190ポイント(0.86%)高の3,986.2980と、4,000の大台目前まで上昇しました。半導体比率の高いアジア市場が総じて崩れなかったことは、今回の売りが「半導体セクターの調整」であって「アジア全体のリスクオフ」ではなかったことを示しています。なお、英国市場はサマーバンクホリデーで休場、独DAX指数は0.25%安で取引を開始しました。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
東証33業種のうち22業種が上昇し、下落は9業種、騰落率が±0.00%だったのが2業種でした。上昇率トップは電気・ガス業の2.79%高で、2位以下は鉱業1.76%高、石油・石炭製品1.56%高、サービス業1.44%高、ガラス・土石1.29%高と続きます。上位5業種のうち3つが資源・エネルギー・公益——半導体安の日にディフェンシブと資源が買われるのは、金利上昇局面の典型的な資金移動です。輸送用機器も1.06%高で、円安水準の定着と内需の底堅さが効いています。
- ファーストリテイリング: 1,190円(1.67%)高の7万2,450円。プラス寄与95円74銭で本日トップ。値がさの一角がアドバンテストの押し下げを部分的に相殺した
- キオクシアホールディングス: 2,090円(4.36%)高の4万9,990円でプラス寄与49円04銭の2位。寄り付き前の板状況では売り注文トップだった銘柄が、大引けでは寄与度2位に転じた——本日の切り返しを最も象徴する動き
- リクルートホールディングス: 415円(2.33%)高の1万8,215円。プラス寄与41円73銭で3位。サービス業が上昇率4位に入った主因のひとつ
- フジクラ: 164円(3.07%)高の5,504円で寄与32円99銭。この銘柄も寄り前の成行売り越し上位だったが、終値では3%高まで買い戻された
- ソフトバンクグループ: 39円(0.76%)高の5,200円で寄与31円38銭。AI関連の代表格がプラスを確保した意味は小さくない
- 半導体の残り: 東京エレクトロンが210円(0.37%)高の5万6,440円(寄与21円12銭)、イビデンが280円(1.39%)高の2万455円(寄与18円77銭)。アドバンテスト以外の半導体株は、そろってプラスで引けている
- 内需・通信: KDDIが37円50銭(1.28%)高の2,959円50銭(寄与15円08銭)、ソニーグループが88円(2.24%)高の4,016円(寄与14円75銭)、ダイキンが260円(1.24%)高、京セラが32円(0.88%)高、スズキが57円(2.63%)高
- その他: 大引け報道によればみずほフィナンシャルグループなどメガバンクが堅調、トヨタ自動車も買いが優勢。壱番屋がストップ高に買われ、クオンツ総研ホールディングス、Appier Group、ストライクグループ、東海カーボンが値を飛ばした
プラス寄与上位5銘柄の合計は約250円88銭、プラス寄与の全体合計は490円70銭です。アドバンテスト1銘柄のマイナス寄与381円35銭は、このプラス寄与上位5銘柄の合計を130円47銭も上回っています——1銘柄の影響力が、上位5銘柄の合計を超えるという歪みが、本日の日経平均の性格を最もよく表しています。
売られたセクター・銘柄
下落したのは9業種で、下落率上位は空運業1.26%安、証券・商品先物取引業1.19%安、海運業1.13%安、機械0.92%安、不動産業0.82%安の順でした。原油高は空運業のコスト増要因であり、金利上昇は不動産業の逆風です。ここでも本日のマクロ材料が、そのまま業種別のランキングに反映されています。
- アドバンテスト: 1,580円(4.48%)安の3万3,690円。1銘柄で日経平均を381円35銭押し下げ、下げ幅93円63銭の4.07倍。マイナス寄与2位のTDK(-17円10銭)の22.3倍という突出ぶり
- 電子部品: TDKが34円(1.09%)安の3,078円(寄与-17円10銭)、村田製作所が206円(2.78%)安の7,191円(寄与-16円57銭)。米金利上昇局面で売られやすいグロース系の一角
- 半導体製造装置: レーザーテックが1,000円(2.89%)安の3万3,640円(寄与-13円41銭)、ディスコが1,230円(2.07%)安の5万8,120円(寄与-8円25銭)
- ディフェンシブの一部: 中外製薬が120円(1.71%)安の6,913円、第一三共が83円(2.83%)安の2,848円、テルモが23円(0.91%)安の2,516円。医薬品業種は0.72%安で下落率6位
- 商社・資源: 豊田通商が120円(1.58%)安の7,478円(寄与-12円07銭)、住友金属鉱山が410円(3.56%)安の1万1,115円。鉱業指数が上昇する一方で個別には売られた銘柄もある
- その他値がさ: コナミグループが175円(0.79%)安の2万2,105円、オリンパスが43円50銭(2.02%)安の2,105円50銭、住友不動産が70円(2.06%)安の3,326円、三菱重工業が136円(3.38%)安の3,889円、日立製作所も下落
- 中小型: 大引け報道によれば日本エム・ディ・エム、第一稀元素化学工業が大きく下値を探り、日本製鋼所も大幅安。ソニーフィナンシャルグループの下げも目立った
マイナス寄与の全体合計は584円32銭で、そのうち65.3%にあたる381円35銭がアドバンテスト1銘柄です。残り90銘柄で202円97銭——1銘柄あたり平均2円26銭にすぎません。本日の下げは「相場全体が売られた」のではなく、「1銘柄が突出して売られ、他はほぼ動かなかった」と表現するのが正確です。
テクニカル分析
トレンド
本日のローソク足は、それ自体が最大の情報です。始値6万5,668円51銭、安値6万4,832円10銭、高値6万6,311円93銭、終値6万6,311円93銭——終値と高値が同一で上ヒゲはゼロ、下ヒゲは836円41銭です。実体643円42銭の陽線に、その1.30倍の下ヒゲが付いた形で、大引けにかけて売りが一切戻ってこなかったことを意味します。28日は逆に上ヒゲ437円26銭を残して引けており、2営業日でローソク足の形が完全に反転しました。
移動平均線の位置関係は、ほぼ前週末のままです。5日線6万6,193円61銭を118円32銭(0.18%)上回り、25日線6万5,700円64銭を611円29銭(0.93%)上回り、200日線5万8,693円60銭を12.98%上回っています。唯一下回っているのが75日線6万6,505円99銭で、その差は194円06銭(0.29%)——終値が75日線を下回るのは8月21日から7営業日連続です。28日の差51円65銭からは142円41銭広がりましたが、これは指数が下げたためではなく、75日線そのものが48円77銭切り上がったことも一因です。75日線は依然として、上放れの可否を決める唯一の関門として機能しています。
一目均衡表では、場中に雲を完全に下抜けながら、終値で雲の中に復帰しました。雲の上限6万6,903円95銭、下限6万6,061円99銭に対し、終値は下限を249円94銭上回り、上限には592円02銭届いていません。注目すべきは安値6万4,832円10銭で、これは雲の下限を1,229円89銭も下回る水準でした——一時は雲を完全に割り込んだにもかかわらず、終値では雲の中に戻して引けたのです。転換線6万5,782円08銭は終値の529円85銭下、基準線6万5,028円57銭は1,283円36銭下で、終値は転換線・基準線の両方を上回っています。ただし転換線は28日の6万6,851円34銭から1,069円26銭も低下しており、直近9日間の値幅が下方向に拡大したことを反映しています。
サポート・レジスタンス
- レジスタンス(1) 6万6,505円99銭: 75日線。終値から194円06銭(0.29%)上。7営業日連続で終値が下回っている水準で、上放れの最初の関門
- レジスタンス(2) 6万6,842円82銭: 8月28日の高値。雲の上限6万6,903円95銭とほぼ重なる抵抗帯
- レジスタンス(3) 6万6,954円69銭: 8月27日の高値。ここを超えると6万7,000円の節目が視野に入る
- サポート(1) 6万6,193円61銭: 5日線。終値からわずか118円32銭下。本日終値でかろうじて上回った水準
- サポート(2) 6万6,061円99銭: 雲の下限。終値から249円94銭(0.38%)下。5日線とわずか131円62銭差で重なり、6万6,000円台前半が下値の要衝
- サポート(3) 6万5,700円64銭: 25日線。終値から611円29銭(0.92%)下
- サポート(4) 6万4,832円10銭: 本日の安値。ここで下ヒゲを付けて反転したという実績が、次に売られた際の参照点になる
整理すると、上は194円先に75日線、下は250円先に雲の下限と5日線が重なるサポート帯です。ただし本日の値幅は1,479円83銭——この上下440円ほどのレンジは、1日でどちらにも軽く到達しうる距離です。より意識すべきは、本日の安値6万4,832円10銭が示した下値の実績でしょう。25日線を868円54銭、雲の下限を1,229円89銭も下抜けた水準から全値戻しに近い引けを演じたという事実は、6万5,000円割れの水準に押し目買いが待機していることを示す実測データです。
オシレーター
RSI(14日)は50.1で、28日の50.5から0.4ポイント低下し、ほぼ完全な中立です。1,573円安と1,479円戻しという激しい一日を挟んでも、RSIがほとんど動かなかった——終値ベースで見れば93円63銭の下げでしかないため当然ですが、この乖離こそが本日の相場の特徴です。買われすぎ(70以上)にも売られすぎ(30以下)にも遠く、過熱感は皆無です。
MACDは-1.8、シグナルは9.0で、ヒストグラムは-10.8です。MACDがシグナルを下回るデッドクロス状態は継続していますが、ヒストグラムは28日の-15.5から4.7ポイント縮小しました。MACD本体も-3.8から-1.8へとゼロラインに接近しています。指数が下げた日にMACDが改善するのは、下げ幅が直近の平均より小さかったから——下降モメンタムの減衰は続いており、あと数営業日この水準を維持できればゴールデンクロスが視野に入ります。ただし現時点ではまだ好転していない、という判断保留の状態です。
一方で、日経平均VIには明確な警戒シグナルが出ています。本日のVIは4.58ポイント(19.70%)高の27.83と大幅上昇し、高値は30.59をつけました。米VIX指数が8月28日終値で14.43と低位安定しているのとは対照的です。日経平均VIの解説記事は「取引開始後に日経225先物が底堅い動きとなったが、市場ではボラティリティーの高まりを警戒するムードは緩まず」と説明しています。指数が戻しても、先行きの変動幅への警戒は解けていない——本日の全値戻しに近い引けを、単純な安心材料と受け取るべきではない理由がここにあります。
市場心理
本日の投資家心理は、指数の下げ幅が示すよりはるかに強気でした。根拠は4つあります。
- 騰落銘柄数: 東証プライムの値上がり881に対し値下がり634、変わらず41。値上がり比率は56.6%で、1,573円安を演じた日に6割近い銘柄が上昇して終えた
- 日経225銘柄の内訳: 値上がり131、値下がり91、変わらず3。日経平均が下げたにもかかわらず、構成銘柄の58.2%は上昇している
- 業種の広がり: 東証33業種のうち22業種が上昇。下落は9業種にとどまり、電気機器ですら0.34%安と限定的だった
- TOPIXの8日続伸: 4,156.29と、9.58ポイント(0.23%)高。マーケット日報は「トピックス、プライム指数ともに本日で8連騰」と伝えており、日経平均の派手な値動きの裏で、幅広い銘柄は静かに上げ続けている
ただし、警戒材料も同時に出ています。日経平均VIの19.70%上昇と、東証グロース市場250指数先物の6日ぶり反落です。グロース250先物は8ポイント安の810ポイントで、フィスコの解説は「直近の急ピッチな上昇を受け、利益確定売りが観測された」と説明しています。ストップ高16銘柄に対しストップ安が1銘柄出た点も、28日のストップ安ゼロからは後退です。個人主体の中小型株物色にはひとまず一服感が出たと見るべきでしょう。
NT倍率の低下は、本日最も構造的な変化です。16.014倍から15.955倍へ0.059低下し、16倍の大台を割り込みました。TOPIXの8日続伸と、日経平均の1銘柄依存という本日の対比は、この1つの数字に集約されています。前場の相場解説も「指数インパクトの大きい半導体株の不安定な動きが続くようだと、金利先高感からのメガバンクなどTOPIX型にシフトしやすくなりそうだ」と事前に指摘しており、本日の値動きはその想定どおりに進んだことになります。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月1日(火)——月替わりの初日です。祝日はなく、通常どおりの取引となります。本日の東京市場が引けた後の海外市場では、英国がサマーバンクホリデーで休場だった一方、米国市場は通常取引ですので、週明けの米国株の反応が、翌日の東京市場の起点になります。
- 米半導体株が下げ止まるか: SOX指数は8月28日に3.47%安の11,469.66。8月17日の12,621.00からは9.1%下落しており、52週高値14,655.29(6/22)からは21.7%下です。ここが下げ止まらない限り、日経平均は寄り付きで振らされる展開が続きます
- アドバンテスト1銘柄の動向: 本日1銘柄で381円35銭を押し下げた銘柄です。この1銘柄が下げ止まるだけで、日経平均は他の条件が同じなら300円以上の押し上げ要因になります。逆に下げが続けば、他の224銘柄がどれだけ堅調でも指数は上がりません
- 75日線6万6,505円99銭を終値で回復できるか: 本日終値から194円06銭上。7営業日連続で終値が下回っている水準で、ここを終値で上回れば8月中旬以降のもみ合いを上放れる形になります
- 雲の下限6万6,061円99銭と5日線6万6,193円61銭: 131円62銭差で重なる下値の要衝。この6万6,000円台前半を終値で割り込むと、25日線6万5,700円64銭までの下値余地が広がります
- 9月中旬のFOMCに向けた金利観測: ウォーシュFRB議長のジャクソンホール講演を受け、早期利上げ観測が高まっています。米長期金利と国内10年債利回り(本日2.950%と約30年ぶり水準)の動きは、銀行株の追い風であると同時にハイテク株の逆風——NT倍率のさらなる低下が続くかを測る指標になります
- TOPIXの連騰が9日に伸びるか: 8日続伸は物色の裾野の広がりを示す最も分かりやすい指標です。日経平均が半導体株に振られている間も、TOPIXは静かに切り上がってきました。ここが途切れるかどうかは、相場の底堅さを測る材料になります
- 原油価格と地政学: WTI原油先物は84ドル台後半へ上昇しています。資源高が続けば鉱業・石油・石炭製品の物色が続く一方、空運業(本日1.26%安)などコスト増を受ける業種には逆風が続きます
戦略展望
本日の相場から読み取るべき最も重要な事実は、日経平均という指数が、いま1銘柄の人質になっているという点です。アドバンテスト単独のマイナス寄与381円35銭は、実際の下げ幅93円63銭の4.07倍であり、マイナス寄与2位のTDK(-17円10銭)の22.3倍でした。この1銘柄を除いた224銘柄の合計寄与は+287円73銭——つまり本日の日経平均は、1銘柄がなければ287円高で引けていた計算になります。東証プライムの値上がり881銘柄、上昇22業種、TOPIX8日続伸という数字と、指数の93円安という数字のあいだにある落差は、すべてこの1銘柄で説明できます。
そのうえで、本日の値動きが示した下値の堅さは本物です。安値6万4,832円10銭は、25日線を868円54銭、一目均衡表の雲の下限を1,229円89銭も下回る水準でした。そこから1,479円83銭(2.28%)を戻し、上ヒゲゼロの高値引け——しかも売買代金は9兆3,583億円と前週末比15.2%増です。薄商いのなかで自然に戻ったのではなく、実際の売買を伴って買い戻されたという点が重要です。マーケット日報が「下値6万5,000円辺りでの打たれ強さを確認する1日」と要約したのは、この構造を指しています。
ただし、警戒すべき数字も明確に出ました。日経平均VIの27.83(19.70%高)です。米VIXが14.43と落ち着いているのに、日本の恐怖指数だけが跳ね上がった——これは日経平均という指数固有のリスク、すなわち値がさ半導体株への依存度の高さが、市場に意識されていることの表れと読めます。指数が戻しても警戒が解けていないという状態は、次に半導体株が売られたときの振れ幅が、本日と同程度になりうることを示唆しています。
したがって、当面の判断基準は3つに絞れます。第一に、上は75日線6万6,505円99銭——ここを終値で回復できるか。第二に、下は雲の下限6万6,061円99銭と5日線6万6,193円61銭が重なる6万6,000円台前半——ここを終値で維持できるか。第三に、そのどちらでもなく、アドバンテストをはじめとする値がさ半導体株が下げ止まるかどうかです。本日の相場が示したとおり、いまの日経平均は3番目の変数で説明できてしまう場面が多く、テクニカルな水準論だけでは片手落ちになります。
最後に、指数と中身のどちらを見るかという問題があります。NT倍率は16.014倍から15.955倍へ低下して16倍を割り込み、TOPIXは8日続伸しました。RSI50.1という完全な中立、MACDヒストグラムの-15.5から-10.8への改善は、日経平均が方向を決めかねている状態を示していますが、TOPIXのRSIは60.1で、25日線を2.74%上回る位置にあり、こちらは明確に上昇トレンドの中です。同じ日本株市場を見ているのに、2つの指数がこれほど違う顔をしているのが現在の相場——日経平均の値動きに一喜一憂する前に、TOPIXの8連騰が続いているかを確認するのが、本日の値動きから導かれる最も無理のない結論です。
チャート
日経225 (INDEX:NKY)
米ドル/円 (FX:USDJPY)
S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)
毎日の相場解説・銘柄分析・投資戦略を動画でお届けしています。チャンネル登録・高評価で応援よろしくお願いします!


コメント