【7月28日】日経平均2,566円安の急落、韓国発AI株安第2弾で半導体総崩れ

2026年7月28日(火) 東京市場クローズ
日経平均 62,364.92円 -2,566.27円 (-3.95%)

AIインフラである半導体メモリーの競争激化懸念が一気に噴き出し、韓国発のAI株安「第2弾」が東京市場を直撃。日経平均は下げ幅が一時3,000円を超え、安値6万1,923円60銭は7月17日の直近安値を明確に割り込みました。キオクシアはストップ安、東京エレクトロンとアドバンテストの2銘柄だけで指数を1,400円超押し下げています。一方でTOPIXの下落率は2.52%にとどまり、小売・空運など内需11業種は上昇しました。

本日の相場概況

7月28日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落し、前日比2,566円27銭(3.95%)安の6万2,364円92銭で取引を終えました。前日27日に320円高と反発したばかりでしたが、その戻りを一日で吹き飛ばし、さらに水準を大きく切り下げた格好です。

寄り付きから売りが優勢でした。始値は6万4,539円92銭(前日比391円27銭安)。9時3分に付けた高値6万4,573円18銭が結果的にこの日の天井となり、以降は戻りらしい戻りのないまま下値を切り下げ続けます。10時台には下げ幅が2,800円に達し、前引けは2,884円安の6万2,046円。後場に入っても売りは止まらず、12時31分には安値6万1,923円60銭を付けました。前日終値からの下げ幅は一時3,000円を超えています。大引けにかけてはわずかに買い戻され、15時時点の2,755円安から最終的に2,566円安まで下げ渋って引けました。

下落の主因はAIインフラを担う半導体メモリーの競争激化懸念です。日本経済新聞はこれを「韓国発AI株安の第2弾」と表現しています。28日の韓国市場でKOSPIが急落したことを受け、海外投機筋による日経平均先物への売りが膨らみ、これが現物市場の値がさ半導体株の投げ売りを誘発する連鎖が起きました。前日27日の米国市場でエヌビディアなど半導体株が売られ、SOX指数が2.23%安となっていた流れを引き継いだ形でもあります。

もっとも、下げの中身は指数の数字ほど一様ではありません。東証プライムでは値下がり1,043銘柄に対し値上がりも478銘柄あり、33業種のうち11業種が上昇しました。TOPIXの下落率は2.52%と日経平均の3.95%安を1.43ポイント下回っており、この日もまた「値がさ半導体株が指数を押し下げた日」という構図が繰り返されています。

主要マーケット指標

指標 数値 前日比
日経平均株価 62,364.92円 -2,566.27円 (-3.95%)
日経平均 高値 / 安値 64,573.18 / 61,923.60 始値 64,539.92円
TOPIX 3,963.59 -102.48 (-2.52%)
SOX指数 (7/27終値) 11,554.88 -264.01 (-2.23%)
ナスダック総合 (7/27終値) 24,932.08 -43.74 (-0.18%)
S&P 500 (7/27終値) 7,413.18 +1.20 (+0.02%)
NYダウ (7/27終値) 52,210.08 +262.83 (+0.51%)
米ドル/円 163円75銭前後 163円70銭台でもみ合い
東証プライム 売買代金 約9兆1,959億円 -1.7% (前営業日比)
東証プライム 値上がり/値下がり 478 / 1,043 変わらず31
東証33業種 上昇/下落 11 / 22 上昇: 小売・空運・陸運
注記: 米国指数は日本時間28日時点で最新となる7月27日(月)の終値です。日経平均・TOPIXの終値および始値・高値・安値はYahoo!ファイナンスの当日値、売買代金は市場統計の集計値、値上がり・値下がり銘柄数と業種別内訳は大引け時点の公表値によります。テーブルの色は日本式表記(上昇=赤/下落=緑)に従っています。

マクロ・地政学の視点

本日の急落は、前週から市場を揺らしてきた材料の延長線上にあります。ただしその主役は完全に入れ替わりました。前週24日の1,811円安は「AI過剰投資懸念」、27日の320円高は「中東情勢の緊張緩和」が主因でしたが、本日を動かしたのは半導体メモリーの競争激化という、より具体的で事業採算に直結する懸念です。

AIデータセンター向けの高帯域メモリー(HBM)をはじめとするメモリー市場は、ここ数年、需要が供給を上回る売り手優位の環境が続き、これが日本の半導体関連株の高値を支える前提となってきました。その前提に「競争激化」という疑問符が付いたことで、市場は前提そのものの再計算を迫られています。キオクシアホールディングスが制限値幅の下限(ストップ安)で引けたという事実は、この再計算がまだ値付けの途中段階にあることを意味します。ストップ安は買い手が見つからないまま取引が止まった状態であり、明日以降も需給の調整が続く可能性を示唆します。

もう一つ見逃せないのが、震源地が米国ではなく韓国だったことです。28日の韓国市場でKOSPIが急落し、それを見た海外投機筋が日経平均先物に売りを浴びせました。前日27日の米国市場を振り返ると、NYダウは262ドル高、S&P500もわずかながらプラスで、市場全体としては崩れていません。下げていたのはSOX指数の2.23%安と、ナスダック総合の0.18%安という半導体セクターに限定された部分でした。つまり本日の日本株の3.95%安は、米国市場全体の弱さを映したものではなく、「メモリー・半導体」という特定テーマの世界的な連鎖売りが、その比重の大きい日経平均を直撃した結果と理解するのが正確です。

為替は1ドル=163円75銭前後。午後の東京市場では163円70銭台での小動きが続き、株価の急落に対して目立った反応を示しませんでした。株安局面ではリスク回避の円買いが入りやすいものですが、今回はその動きが乏しく、本日の下げが「日本売り」ではなく半導体セクターに限定されたポジション整理であったことを裏づけています。

セクター・個別銘柄の動き

売られたセクター・銘柄

東証33業種のうち22業種が下落し、下落率上位は非鉄金属、電気機器、金属製品でした。電気機器が沈んだのは半導体関連の主力が集中しているためであり、非鉄金属・金属製品も半導体製造装置や電子部品のサプライチェーンに連なるセクターです。下落セクターの顔ぶれ自体が、本日の売りが「半導体バリューチェーン全体」に向かったことを示しています。

個別の指数寄与度(15時時点)を見ると、下げの偏りは一目瞭然です。アドバンテスト(6857)が日経平均を730円11銭押し下げ、東京エレクトロン(8035)が696円92銭押し下げと、この2銘柄だけで合計1,427円分のマイナス寄与がありました。本日の下げ幅2,566円のうち、実に約56%がこの2銘柄によるものという計算になります。これにソフトバンクグループ(9984)の238円14銭、キオクシアホールディングス(285A)の234円65銭、イビデン(4062)の130円40銭を加えると、上位5銘柄で2,030円分。下げ幅の約8割が、わずか5銘柄で説明できてしまいます。

株価そのものの下げ幅では、キオクシアが1万円安のストップ安東京エレクトロンが6,880円安、アドバンテストが2,870円安と、いずれも大幅な下落となりました。前週24日に4%安となったイビデンも本日さらに売られており、AI・半導体関連への売り圧力が一週間にわたって継続していることが確認できます。

買われたセクター・銘柄

これだけの急落局面でも11業種が上昇し、478銘柄が値上がりしました。上昇率上位は小売業、空運業、陸運業。いずれも内需・非製造業であり、半導体サイクルからも海外投機筋の先物売りからも距離のあるセクターです。前日27日に中東情勢の緊張緩和で買われた空運・陸運が本日も上昇を維持している点は、原油安という別軸の追い風が引き続き効いていることを示しています。

個別ではファーストリテイリング(9983)が日経平均を207円57銭押し上げ、この日最大のプラス寄与銘柄となりました。小売業セクターの上昇率トップも同社の存在が大きく寄与しています。このほか15時時点の寄与度ではKDDI(+23円33銭)、コナミグループ(+21円62銭)、中外製薬(+18円30銭)、リクルートホールディングス(+16円09銭)と、通信・ゲーム・医薬品・人材といった内需・ディフェンシブ系の主力に買いが入りました。

注目したいのは商いの量です。東証プライムの売買代金は約9兆1,959億円と高水準ではあるものの、前営業日の約9兆3,556億円からは1.7%減少しています。3.95%安という急落にもかかわらず売買代金が前日を下回ったという事実は、投げ売りが市場全体に広がったわけではないことを意味します。パニック的な全面安であれば通常は出来高・売買代金が膨張するためです。売りが半導体という狭い範囲に集中し、その他の銘柄では平時に近い商いが続いていた——本日の相場の性格を、この数字がよく物語っています。

テクニカル分析

トレンド

チャート上、本日の下げは重要な水準を破りました。安値6万1,923円60銭は、7月17日の急落時に付けた直近安値6万2,704円60銭を明確に下回っています。終値6万2,364円92銭も同水準を割り込んでおり、7月17日の下げで形成された下値ラインが機能しなかったことになります。日足は始値から一貫して下げ続けた大陰線で、戻りらしい戻りを作れないまま安値圏で引けた弱い形です。

より長い目盛りで見ると、下落の深さが際立ちます。日経平均は7月1日に付けた終値7万474円96銭から本日までの1カ月弱で約8,110円(11.5%)下落しました。7月に入ってからの動きは、7月10日の6万8,557円、15日の6万8,751円と二度戻りを試したもののいずれも高値を切り下げ、17日・24日・28日と急落を重ねる典型的な下降トレンドを描いています。戻り高値と安値をともに切り下げる展開が3週間続いており、トレンドの方向は明確に下向きと判断せざるを得ません。

サポートとレジスタンス

  • 第1サポート: 6万1,923円 — 本日の安値。ここで買い戻しが入り大引けにかけて下げ渋ったため、当面の下値メドとして意識されます。
  • 第2サポート: 6万1,000円 — 心理的節目。本日の安値を割り込んだ場合、次に意識される水準です。
  • 第3サポート: 6万円 — 大台。ここまで下げると7月の上昇分をすべて失う計算となり、調整は本格的な局面に入ります。
  • 第1レジスタンス: 6万2,704円 — 7月17日の安値。本日割り込んだ水準であり、まずはここを終値で回復できるかが最初の関門です。
  • 第2レジスタンス: 6万4,573円 — 本日の高値。同時に6万4,000円台の回復も意味し、本日の下げの半値戻しに近い水準です。
  • 第3レジスタンス: 6万4,931円 — 前日27日の終値。ここを回復して初めて、本日の急落が一時的なものだったと言える水準です。

オシレーターと移動平均

移動平均線との位置関係は、かなり売られ過ぎの領域に入っています。直近5営業日の終値から計算した5日移動平均線は6万4,890円前後と推定され、本日の終値はこれを約2,525円(3.9%)下回りました。25日移動平均線については、7月の高値圏の値を多く含むため6万7,600円前後と推定され、終値との乖離率はマイナス7〜8%程度に達している計算になります。一般に25日線からの乖離がマイナス5%を超えると短期的な売られ過ぎとされる水準であり、これを大きく超過しています。

RSI(相対力指数)は、7月17日以降の下落基調と本日の3.95%安を踏まえると30前後まで低下し、売られ過ぎ圏に接近している公算が大きいと考えられます。MACDについても、7月17日の急落以降マイナス圏での推移が続き、本日の大陰線でヒストグラムのマイナス幅がさらに拡大したと推定されます。ただし、これら移動平均・乖離率・RSI・MACDの数値はいずれも終値データからの推定であり、確定値ではありません。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。

テクニカル面をまとめると、「短期的には売られ過ぎ、しかしトレンドは明確に下向き」という、判断の難しい状態です。売られ過ぎは自律反発の可能性を示しますが、下降トレンドの中での反発は往々にして戻り売りに押されます。乖離率だけを根拠に買い向かうのはリスクが高い局面と言えるでしょう。

市場心理

本日の市場心理を一言でまとめれば「AIテーマへの疑念が、懸念から具体的な事実に変わった」となります。前週24日の下げは「AI過剰投資懸念」という、やや漠然とした不安によるものでした。これに対し本日の材料は半導体メモリーの競争激化という、企業の売価と利益率に直接効く具体的な話です。抽象的な不安には反発の余地がありますが、採算構造に関わる話は数字で検証されるまで疑念が解けません。キオクシアのストップ安は、その検証がまだ始まったばかりであることを示しています。

一方で、市場全体がパニックに陥ったわけではないことも押さえておく必要があります。478銘柄が上昇し、11業種がプラス、売買代金は前日から減少——これは総投げの相場ではありません。投資家は半導体を売りながら、小売・空運・陸運といった内需セクターは保有し続け、あるいは買い増していました。恐怖ではなく、選別が起きていると表現するのが実態に近いでしょう。

ただし日経平均という指数の投資家にとっては、この選別は救いになりません。ここ4営業日を並べると、7月23日は「アドバンテスト1銘柄で約307円押し上げ」、24日は「値がさ半導体の総崩れで1,811円安」、27日は「9割が上昇しても320円高止まり」、そして本日28日は「2銘柄で下げ幅の56%」。4営業日連続で、日経平均は一握りの値がさ半導体株に振り回されています。指数の数字が市場全体の実態から乖離する状態が常態化しており、この点への警戒は引き続き必要です。

翌営業日の注目ポイント

カレンダー: 本日7月28日(火)の翌営業日は7月29日(水)で、東京市場は通常取引です。当面、国内の祝日休場はありません(次は8月11日の山の日)。連休リスクはありませんが、本日のような急落の翌日は寄り付き前の外部環境で方向が決まりやすく、今夜の米国市場と明朝の韓国市場の動向を確認してから臨みたい局面です。
  • 今夜の米SOX指数とメモリー関連株 — 本日の下げの震源はメモリー市況です。米国市場で半導体株が下げ止まるか、それとも本日のアジア市場の流れを引き継いで一段安となるかが、明日の日本株の方向を最も強く規定します。
  • 韓国市場(KOSPI)の動き — 本日の売りは韓国発でした。明日のKOSPIが反発すれば海外投機筋の日経先物売りも一服する可能性があり、逆に続落なら同じ連鎖が繰り返されます。日本株を見るうえで韓国市場の重要度が一時的に高まっています。
  • キオクシアの寄り付き — ストップ安で引けたため、明日の寄り付きで買い注文と売り注文がどう均衡するかが注目されます。気配値の動きは、メモリー市況に対する市場の値付けがどこで落ち着くかを測る最も分かりやすい指標です。
  • 6万2,704円の回復可否 — 7月17日の安値であり、本日割り込んだ水準です。明日ここを終値で回復できれば「一時的な突っ込み」との解釈が可能になりますが、下回ったままなら下値模索が続くと見るべきでしょう。
  • 25日線乖離率の修正 — 推定でマイナス7〜8%と売られ過ぎ圏に入っています。自律反発が出るとすればこの水準が根拠になりますが、下降トレンド下では乖離が解消されないまま推移することも珍しくありません。
  • 内需セクターの継続性 — 小売・空運・陸運が急落局面でも上昇しました。この物色が明日以降も続くなら、資金は市場から逃げたのではなく移動しただけということになります。逃避か移動かの見極めが重要です。

戦略展望

本日最も重要な事実は、日経平均の下げ幅2,566円のうち、約56%がアドバンテストと東京エレクトロンのわずか2銘柄によるものだったという点です。上位5銘柄まで広げれば約8割。これは市場全体が崩れたのではなく、指数の構造上、値がさ半導体株の下落が実態以上に増幅されたことを意味します。TOPIXの2.52%安、上昇11業種、値上がり478銘柄という数字のほうが、日本株全体の本日の実力に近いと考えるべきでしょう。

短期的には、テクニカルの売られ過ぎシグナルと下降トレンドという相反する材料が併存しています。25日線からマイナス7〜8%(推定)の乖離は自律反発を促す水準ですが、7月17日の安値を割り込んだ事実はトレンド継続を示唆します。この二つが競合する局面では、外部環境——今夜の米半導体株と明朝の韓国市場——が決着をつける可能性が高く、ポジションを大きく傾ける前にその結果を確認するのが妥当な対応でしょう。半導体セクターについては、キオクシアの寄り付き気配が需給の落ち着きどころを示すまで、押し目買いには慎重であるべき局面です。

中期的な視点では、本日の材料である「半導体メモリーの競争激化」が一過性のニュースなのか、業界の採算構造そのものの変化なのかを見極めることが最大の課題です。これは数値で確認するしかなく、次の四半期決算で各社が示すメモリー価格の見通しと利益率が判断材料となります。それまでは、AI・半導体関連への評価は揺れ続けると考えるのが現実的です。

個人投資家として本日確認しておきたいのは、自身のポートフォリオが本日の下げをどの程度受けたかです。日経平均並みの3.95%下落であれば値がさ半導体株の比重が高く、TOPIX並みの2.52%程度、あるいはそれ以下に収まっていれば分散が効いていたことになります。この4営業日、日経平均とTOPIXの乖離は方向を変えながら連日発生しています。指数の数字ではなく自分の資産の実際の変動率で相場を測る習慣は、こうした局面でこそ役に立ちます。

チャート

日経225 (INDEX:NKY)

米ドル/円 (FX:USDJPY)

S&P 500 (FOREXCOM:SPXUSD)

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