終値と高値が同じ数字になった一日でした。日経平均は128円17銭高の6万5,270円95銭と3営業日ぶりに反発しましたが、この+0.20%という数字だけを見ても、本日起きたことはほとんど伝わりません。前場中盤の安値は6万4,186円68銭——前日終値から956円10銭(1.47%)下の水準です。そこから大引けまで1,084円27銭(1.69%)を戻し、終値6万5,270円95銭は本日の高値とぴったり一致しました。日中値幅は1,084円27銭で、前日の776円35銭から39.7%拡大しています。朝安の理由は3つあります——前日の米国市場でNYダウが405ドル41セント安と3日続落したこと、中東情勢を受けてWTI原油が1バレル96ドル台まで上昇したこと、米財務省の国債バイバック規模を巡って米長期金利が上昇し国内金利もつれ高となったことです。戻した理由は2つ——2営業日続落した後の値ごろ感と、後場に伝わったTSMCの好調な月次売上高でした。そして本日いちばん奇妙な数字がこれです——日経平均225銘柄のうち値上がりは110銘柄、値下がりは112銘柄と、下げた銘柄のほうが多い。それでも指数がプラスになったのは、アドバンテスト1銘柄で260円67銭を押し上げたからです。
まず本日の値動きを時系列で追います。寄り付きは前日終値6万5,142円78銭より374円25銭(0.57%)低い6万4,768円53銭。そこからさらに下値を試し、前場中盤には安値6万4,186円68銭——前日終値から956円10銭(1.47%)下まで沈みました。大引け報道も「前場中盤に日経平均は950円あまり下げる場面があった」と伝えています。しかし売りが一巡すると相場の向きは変わり、以降は一貫して戻り歩調となりました。後場に入ってTSMCの月次売上高が好調と伝わったことが追い風となり、大引けにかけてプラス圏へ浮上。終値6万5,270円95銭は本日の高値と同値で、いわゆる「高値引け」です。ローソク足で見ると、始値6万4,768円53銭に対し終値6万5,270円95銭で実体502円42銭の陽線、下ヒゲが581円85銭、上ヒゲはゼロ——「朝に売られ、その後は最後まで買われ続けた」という形がそのまま出ています。TOPIXも同じ形で、始値4,031.40・安値4,016.58から切り返し、終値4,054.58は本日の高値と一致しました。大引け報道は「TOPIXも大引け間際にプラス圏に転じた」と記しています。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,270.95円 | +128.17円 (+0.20%) 3営業日ぶり反発 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 65,270.95 / 64,186.68 | 始値 64,768.53円。高値は終値と同値 (高値引け) |
| 安値から終値までの戻り | +1,084.27円 (+1.69%) | 安値64,186.68円は前日終値を956.10円 (1.47%) 下回っていた |
| ローソク足の形 | 実体502.42円の陽線 | 上ヒゲ0円 / 下ヒゲ581.85円。高値引けのため上ヒゲが付かなかった |
| 日中値幅 | 1,084.27円 | 前日の776.35円から39.7%拡大。2営業日ぶりの1,000円超 |
| 寄り付きのギャップ | -374.25円 (-0.57%) | 始値64,768.53円。ギャップは大引けまでに埋めて上抜けた |
| TOPIX | 4,054.58 | +7.94 (+0.20%) 3営業日ぶり反発 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,054.58 / 4,016.58 | 始値 4,031.40 (値幅38.00)。日経平均と同じく高値引け |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 0.001ポイント | 日経平均+0.1968%に対しTOPIX+0.1962%。ほぼ完全に同率 |
| NT倍率 | 16.098倍 | 前日16.098倍からほぼ変わらず。大型・中小型の力関係に偏りは出なかった |
| 東証プライム 売買代金 | 約8兆3,803億円 | 前日の約9兆2,303億円から9.2%減。2営業日ぶりに9兆円を割った |
| 東証プライム 売買高 | 約21億6,817万株 | 前日の約23億29万株から5.7%減 |
| 1株あたり平均約定単価 | 約3,866円 | 前日の約4,013円から3.7%低下。売買の中心が低単価側に移った |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 723銘柄 / 783銘柄 | 指数はプラスだが、個別では値下がりのほうが60銘柄多い |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 110銘柄 / 112銘柄 | 変わらず3銘柄。225銘柄でも値下がりのほうが多かった |
| 騰落銘柄数と指数の食い違い | 下げた銘柄が多いのに指数は上昇 | アドバンテスト1銘柄の+260.67円が、多数の小幅安を打ち消した |
| 東証グロース市場250指数 | 782.24 | -1.52ポイント。日経平均・TOPIXが反発する中で逆行安 |
| 東証33業種 上昇/下落 | 16業種 / 17業種 | 前日と同じ16/17。ただし顔ぶれはほぼ入れ替わった |
| 業種別 上昇率1〜5位 | 証券・商品先物取引業 | 以下 (2)サービス業、(3)銀行業、(4)保険業、(5)鉄鋼。金融3業種が上位を占めた |
| 業種別 下落率1〜5位 | 非鉄金属 | 以下 (2)その他製品、(3)建設業、(4)機械、(5)ガラス・土石製品 |
| 前日との逆転 | 非鉄金属と証券が入れ替わった | 前日は非鉄金属+6.88%が上昇率1位、証券・商品先物-2.31%が下落率1位だった |
| 最大のプラス寄与 | アドバンテスト +260円67銭 | 1,080円(3.29%)高の3万3,920円。1銘柄で上げ幅128.17円の2.0倍を作った |
| プラス寄与 2〜5位 | リクルートHD +54円81銭 | 以下 村田製作所+31円94銭、キオクシアHD+25円58銭、TDK+19円11銭 |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | +392円11銭 | うち260円67銭がアドバンテスト1銘柄によるもの (全体の66.5%) |
| 最大のマイナス寄与 | 東京エレクトロン -89円50銭 | 890円(1.66%)安の5万2,810円。半導体でも明暗が分かれた |
| マイナス寄与 2〜5位 | フジクラ -57円12銭 | 以下 イビデン-49円61銭、バンダイナムコHD-14円68銭、任天堂-13円81銭 |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | -224円72銭 | プラス上位5銘柄(+392.11円)との差し引きは+167.39円 |
| 寄与度の検算 | 225銘柄合計 +128円21銭 | 実際の上げ幅+128.17円と0.04円差。寄与度データの整合性を確認済み |
| 値上がり率トップ (225銘柄) | シャープ +6.29% | 669.2円。以下 村田製作所+5.57%、太陽誘電+4.80%、リクルートHD+3.56% |
| 金融株の主な上昇 | りそなHD +3.17% | 以下 野村HD+3.09%、T&DHD+3.02%、三菱UFJフィナンシャル・グループ+1.69% |
| 値下がり率トップ (225銘柄) | 日本製鋼所 -6.51% | 6,836円。以下 三井金属-5.71%、清水建設-5.60%、大成建設-5.58% |
| 電線・非鉄の主な下落 | フジクラ -5.17% | 以下 東京電力HD-5.01%、IHI-4.89%、住友電気工業-3.56%、イビデン-3.45% |
| ゲーム・エンタメの下落 | 任天堂 -4.90% | 7,989円。以下 バンダイナムコHD-2.71%、コナミグループ-1.64% |
| ストップ高 / ストップ安 | 9銘柄 / 2銘柄 | 大引け時点 (株探集計) |
| 米ドル/円 | 153円43銭 | -12銭のドル安・円高 (16時26分時点の株探表示値) |
| WTI原油先物 | 約96.2ドル | 執筆時点。前日終値91.48ドルから約5%高。100ドルの節目が迫る |
| 米10年債利回り | 4.837% | 前日4.796%から0.041ポイント上昇。国債バイバックの規模を巡る思惑 |
| 上海総合指数 | 3,951.50 | +10.95 (+0.28%) 続伸 (株探の終値表示値) |
| NYダウ (9/9終値) | 52,380.66 | -405.41 (-0.77%) 3日続落 |
| S&P 500 (9/9終値) | 7,636.36 | -37.16 (-0.49%) 3日続落 |
| ナスダック総合 (9/9終値) | 26,253.33 | -168.07 (-0.64%) 3日続落 |
| SOX指数 (9/9終値) | 11,931.32 | +43.45 (+0.37%) 5連騰。主要3指数が下げる中で唯一上昇した |
| 米国市場の分かれ方 | ダウ-0.77% / SOX+0.37% | 騰落率の差は1.14ポイント。2日連続で半導体だけが買われた |
| 日経平均VI | 30.55 | -1.00 (-3.17%) 低下。高値32.17、安値30.55 (フィスコ) |
| 日経平均VIの安値 | 安値=終値の30.55 | 日中は前日水準を挟んで推移し、大引けで最も低い水準に落ち着いた |
| 日経平均 5日線からの乖離 | -0.23% | 5日線 65,420.77。149円82銭下。2営業日連続で5日線の下 |
| 日経平均 25日線からの乖離 | -1.43% | 25日線 66,216.11。945円16銭下。前日の-1.68%から縮小した |
| 日経平均 75日線との差 | -1,556.39円 (-2.33%) | 75日線 66,827.34。下回るのは8月21日から15営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +10.12% | 200日線 59,273.66。5,997円29銭上。長期の上昇基調は維持 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 64,970.63 〜 66,640.32 | 終値は雲の下端を300円32銭上回り、雲の中にとどまった |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 65,282.32 / 66,690.52 | 終値は転換線を11円37銭、基準線を1,419円57銭下回った |
| 日経平均 ボリンジャーバンド -1σ | 64,989.76 | 終値は-1σを281円19銭上回る。-2σは63,763.40、+1σは67,442.46 |
| 日経平均 RSI (14日) | 47.1 | 前日の46.4から0.7ポイント上昇。中立の50をやや下回る水準 |
| 日経平均 MACD / シグナル | -282.3 / -211.4 | ヒストグラムは-70.8。前日の-84.8からマイナス幅が14.0縮小した |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -7,560.78円 (-10.38%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。前日の-10.56%から0.18ポイント縮小 |
| 7月29日安値からの戻り | +4,822.05円 (+7.98%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。前日の+7.77%から0.21ポイント拡大 |
| 9月7日の窓との関係 | 安値でいったん完全に下抜け | 7日の窓は65,020.94〜65,600.42。安値64,186.68で下抜けたが終値で窓の中へ戻した |
| TOPIX 25日線 / RSI (14日) | 4,106.06 / 46.3 | 終値は25日線を51.48ポイント下回るが、乖離は前日の59.09から縮小。RSIは45.3から1.0上昇 |
| TOPIX MACD / シグナル | 3.9 / 15.6 | ヒストグラムは-11.7。前日の-10.9からマイナス幅が拡大した |
| TOPIX 転換線 / 基準線 | 4,106.73 / 4,100.35 | 終値は基準線を45.77ポイント下回った。前日の26.68下から差が広がった |
| TOPIX 一目均衡表の雲 | 3,951.81 〜 3,986.01 | 終値は雲の上端を68.57ポイント上回り、雲の上を維持している |
| TOPIX 75日線 | 4,027.52 | 終値は27.06ポイント上。25日線は割ったままだが75日線は保った |
| TOPIX 52週高値からの距離 | -165.73 (-3.93%) | 52週高値 4,220.31 (8/14)。前日の-4.12%から縮小 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場は、朝と午後で材料の勝ち負けがはっきり入れ替わりました。朝方を支配していたのは、前日の米国市場です。9日(現地時間)のNYダウは405.41ドル(0.77%)安の52,380.66ドルと3日続落、S&P500も37.16ポイント(0.49%)安の7,636.36、ナスダック総合も168.07ポイント(0.64%)安の26,253.33と、主要3指数がそろって3日続落しました。下落の理由は2つあります——ひとつは中東情勢の悪化を受けた原油先物の上昇、もうひとつは米財務省による国債バイバック(買い入れ消却)の規模を巡る思惑から米長期金利が上昇したことです。執筆時点で米10年債利回りは4.837%と、前日の4.796%から0.041ポイント上昇しています。この米金利上昇につれて本日の国内金利も強含み、これが東京市場の重荷となりました。
原油の水準を具体的に見ておきます。執筆時点でWTI原油先物は1バレル約96.2ドル——前日終値91.48ドルから約5%高で、大引け報道が指摘するとおり「1バレル=100ドルの節目」が目前に迫っています。原油高は輸送費と原材料費を押し上げ、企業の利益を圧迫します。さらに厄介なのは、インフレ再燃への警戒を通じて金利上昇を招く点です。本日の東京市場が寄り付きから前日終値比374円25銭安で始まり、前場中盤に956円10銭安まで沈んだのは、この「原油高→インフレ警戒→金利上昇」という連鎖が意識されたためと読めます。
ところが後場、材料の力関係が逆転します。台湾積体電路製造(TSMC)の月次売上高が好調と伝わったことが、売り一巡後の底堅さを支えました。TSMCは世界最大の半導体受託製造会社で、その月次売上高はAI向け半導体需要の代表的な先行指標として見られています。前日の米国市場でもフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)だけは43.45ポイント(0.37%)高の11,931.32と上昇し、これで5連騰——NYダウが0.77%安、SOXが0.37%高で、騰落率の差は1.14ポイントです。「主要3指数は下げるが半導体だけは買われる」という構図が2日続き、それが本日の東京市場で明確に効きました。実際、日経平均のプラス寄与度上位5銘柄はアドバンテスト・リクルートHD・村田製作所・キオクシアHD・TDKで、リクルートHDを除く4銘柄が半導体・電子部品関連です。
需給面では、明日が大きな節目です。9月11日(金)がメジャーSQ(特別清算指数)の算出日にあたります。メジャーSQは3月・6月・9月・12月の年4回、株価指数先物とオプションの決済が同時に集中する日で、その前後は需給要因だけで値動きが増幅されやすくなります。さらに来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀の金融政策決定会合が控えています。フィスコは日経平均VIについて「ここから重要イベントが目白押しとなることから、市場心理は一方向に傾きにくい」と指摘しており、本日の日経平均VIが30.55と前日から1.00低下したのは、この見方と整合的です。
セクター・個別銘柄の動き
本日の業種別ランキングは、前日を裏返したような並びになりました。東証33業種のうち上昇は16業種、下落は17業種で、上昇率の上位5業種は(1)証券・商品先物取引業、(2)サービス業、(3)銀行業、(4)保険業、(5)鉄鋼。一方、下落率の上位5業種は(1)非鉄金属、(2)その他製品、(3)建設業、(4)機械、(5)ガラス・土石製品でした。前日9日を思い出すと、上昇率1位は非鉄金属の+6.88%、下落率1位は証券・商品先物取引業の-2.31%です——この2業種が、わずか1営業日で完全に入れ替わりました。上昇業種数・下落業種数はどちらも前日と同じ16/17でありながら、顔ぶれだけがそっくり反転したことになります。
金融株が買われた背景には、金利があります。米長期金利の上昇につれて国内金利も強含んだこと自体は相場全体の重荷でしたが、銀行・保険・証券にとっては運用利回りの改善につながる材料です。株探の注目テーマでも「金利上昇メリット」が12位にランクインし、日銀の9月利上げ観測が高まっていると報じられています。個別ではりそなホールディングスが3.17%高、野村ホールディングスが3.09%高、T&Dホールディングスが3.02%高、三菱UFJフィナンシャル・グループが1.69%高。大引け報道も「三菱UFJフィナンシャル・グループをはじめとする銀行株に加え、東京海上ホールディングスなど保険株、野村ホールディングスなど証券株の上げが目立った」と伝えています。金利上昇という同じ1つの材料が、市場全体にはマイナス、金融セクターにはプラスとして働いた一日でした。
売られた側の主役は、前日の主役だった非鉄・資源です。非鉄金属は本日の下落率1位——前日に+6.88%と33業種でも突出した上昇を見せた反動です。個別では三井金属が5.71%安、住友電気工業が3.56%安、電線株のフジクラが5.17%安と、前日に急騰した銘柄がそのまま下落率上位に並びました。建設業も下落率3位で、清水建設が5.60%安、大成建設が5.58%安。機械では日本製鋼所が6.51%安と225銘柄の値下がり率トップ、IHIが4.89%安となり、前日に6.00%高だったIHIも反転しています。資材・エネルギーコストの上昇が重荷になりやすい建設・機械が、原油高の2日目には素直に売られたという整理ができます。
半導体の中でも、明暗が分かれました。買われたのはアドバンテスト(3.29%高の3万3,920円)、キオクシアホールディングス(1.91%高の5万8,090円)、TDK(1.35%高の2,850円50銭)、京セラ(1.85%高の3,469円)、村田製作所(5.57%高の7,525円)、太陽誘電(4.80%高の9,403円)。一方で売られたのが東京エレクトロン(1.66%安の5万2,810円)、イビデン(3.45%安の2万680円)、フジクラ(5.17%安の5,209円)です。この3銘柄はマイナス寄与度の1〜3位を占め、合計で-196円23銭。つまり本日の半導体関連は「テスター・電子部品は買われ、製造装置・基板・電線は売られた」という細かい選別が働きました。225銘柄の値上がり率トップはシャープの6.29%高(669円20銭)で、大引け報道はエアトリやANYCOLORが値を飛ばしたことにも触れています。
ゲーム・エンタメ株の下落も目立ちました。任天堂が4.90%安の7,989円、バンダイナムコホールディングスが2.71%安の5,236円、コナミグループが1.64%安の2万350円。任天堂については「ニンテンドーダイレクト」の通過による材料出尽くしが指摘されています。この3銘柄が属する「その他製品」が業種別下落率2位に入った理由は、ここにあります。なお日経平均が反発する一方、東証グロース市場250指数は782.24と1.52ポイント下げて逆行安——本日の買いは大型の一部銘柄に集中し、中小型株には広がらなかったことを示しています。
テクニカル分析
トレンドの位置
終値6万5,270円95銭は、5日移動平均線をわずかに下回ったままです。5日線は6万5,420円77銭で、終値はその149円82銭下(-0.23%)——前日は66円69銭下でしたから、5日線との距離はむしろ広がりました。移動平均線とは過去一定期間の終値の平均で、5日線は直近1週間の平均コスト、25日線は約1か月、75日線は約3か月半、200日線は約10か月の平均コストを表します。本日は5日線こそ回復できませんでしたが、25日線との乖離は前日の-1.68%から-1.43%へ、75日線との乖離は-2.52%から-2.33%へと、いずれも縮まりました。25日線は6万6,216円11銭、75日線は6万6,827円34銭で、それぞれ終値の945円16銭上、1,556円39銭上にあります。75日線を下回るのは8月21日から15営業日連続です。一方で200日線は5万9,273円66銭と終値の5,997円29銭下(+10.12%)にあり、長期の上昇基調そのものは崩れていません。
一目均衡表では、本日は雲の中にとどまりました。一目均衡表の「雲」とは、過去の値動きから算出した2本の線に挟まれた帯で、株価がその中にあると方向感に乏しい、上にあれば強い、下にあれば弱いと読むのが一般的です。本日の雲は6万4,970円63銭〜6万6,640円32銭で、終値6万5,270円95銭は下端を300円32銭上回る位置にあります。注目したいのは安値です——本日の安値6万4,186円68銭は、雲の下端を783円95銭も下抜けていました。つまり日中はいったん「雲の下」まで沈み、大引けで「雲の中」に戻して引けたことになります。転換線は6万5,282円32銭で終値の11円37銭上、基準線は6万6,690円52銭で1,419円57銭上——転換線はほぼ終値と重なる位置まで近づきました。
サポートとレジスタンス
下値でまず意識されるのは、本日の安値6万4,186円68銭です。この水準は、9月7日に開いた窓の下端6万5,020円94銭(9月4日終値)を834円26銭も下抜けた場所にあります。窓とは前日の値幅と当日の値幅が重ならずに空いた価格帯のことで、いったん埋まると意識されにくくなるのが一般的です。本日の値動きで9月7日の窓は完全に埋まり、その後さらに下を試したうえで終値は窓の中(6万5,020円94銭〜6万5,600円42銭)まで戻りました。その下の目安は雲の下端6万4,970円63銭、ボリンジャーバンドの-1σ6万4,989円76銭——この2つは本日の安値と重なる価格帯にあり、6万4,970円〜6万4,990円がひとつのサポート帯と見られます。さらに下は-2σの6万3,763円40銭です。
上値のレジスタンスは、直近の価格帯に集中しています。まず転換線6万5,282円32銭——終値のわずか11円37銭上で、事実上すでに接触しています。次が5日線6万5,420円77銭、その上が9月8日の終値6万5,269円33銭を挟んで9月9日の高値6万5,794円03銭。さらに上は9月7日の窓の上端6万5,600円42銭、25日線6万6,216円11銭、基準線6万6,690円52銭、雲の上端6万6,640円32銭、75日線6万6,827円34銭と続きます。整理すると、6万5,400円台に5日線、6万5,800円手前に前日の高値、6万6,200円台以降に25日線・雲の上端・基準線・75日線が固まっているという構図です。直近3営業日の高値は9月8日6万6,791円84銭、9日6万5,794円03銭、10日6万5,270円95銭と3日連続で切り下がっており、この並びを崩すには最低でも6万5,794円03銭の回復が必要になります。
オシレーター
RSI(14日)は47.1で、前日の46.4から0.7ポイント上昇しました。RSIは直近14日間の値上がり幅と値下がり幅の比率を0〜100で表した指標で、一般に30以下が売られすぎ、70以上が買われすぎ、50が中立とされます。47.1は中立をやや下回る水準で、売られすぎでも買われすぎでもありません。9月2日以降のRSIは40台後半で横ばいが続いており、指数が1,000円単位で上下している割に、この指標はほとんど動いていないのが特徴です。これは上げ幅と下げ幅がほぼ相殺されている——つまり方向が定まっていないことを意味します。TOPIXのRSIも46.3と、前日の45.3から1.0ポイント上昇して同じ水準にあります。
MACDは-282.3、シグナルは-211.4、ヒストグラムは-70.8。MACDは短期と長期の移動平均の差を示す指標で、シグナル(MACDの平均線)を上抜けば買い、下抜けば売りのサインと読むのが一般的です。前日はMACD-278.5・シグナル-193.7・ヒストグラム-84.8でしたから、MACD本体はさらに下がった一方、ヒストグラムのマイナス幅は84.8から70.8へ14.0縮小しました。ヒストグラムはMACDとシグナルの差で、マイナス幅が縮むのは下向きの勢いが弱まっているサインと読まれます。ただしMACD・シグナルともマイナス圏にあり、クロスして上抜けるまでにはまだ距離があります。
TOPIXのテクニカルは、日経平均と少し異なる向きを示しています。終値4,054.58は25日線4,106.06を51.48ポイント下回りますが、乖離は前日の59.09ポイントから縮小。75日線4,027.52は27.06ポイント上回っており、日経平均が75日線の1,556円下にいるのとは対照的です。一目均衡表の雲(3,951.81〜3,986.01)も上端を68.57ポイント上回って「雲の上」を維持しています。ただしMACDのヒストグラムは-10.9から-11.7へマイナス幅が拡大し、日経平均とは逆に悪化しました。また終値4,054.58はボリンジャーバンドの-1σ(4,057.44)をわずか2.86ポイント下回る位置にあります。全体としてTOPIXのほうが中期の位置取りは良好だが、勢いの指標では日経平均が優る、という食い違いが出ています。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら、「下では買いたい人がいる。ただし買う対象は絞っている」です。前場中盤の安値6万4,186円68銭から大引けまで1,084円27銭(1.69%)を戻し、終値が高値と一致する高値引けになった——これは「下がったところで買いが入り、その買いが引けまで途切れなかった」ことを意味します。大引け報道も「前日まで続落していただけに値ごろ感からの買いが流入したようだ」と説明しています。日中値幅1,084円27銭は前日の776円35銭から39.7%拡大し、2営業日ぶりに1,000円を超えました。
ところが、買われた対象は明らかに絞られています。東証プライムでは値上がり723銘柄に対し値下がり783銘柄——値下がりのほうが60銘柄多い。日経平均225銘柄でも値上がり110・値下がり112・変わらず3で、やはり値下がりのほうが多い状態でした。それでも指数がプラスで引けたのは、アドバンテスト1銘柄で+260円67銭を稼いだからです。本日の上げ幅は128円17銭ですから、アドバンテスト1銘柄でその2.0倍を作った計算になります。東証グロース市場250指数が1.52ポイント安と逆行安になったのも、同じことの裏返しです。
商いは細りました。東証プライムの売買代金は約8兆3,803億円で、前日の約9兆2,303億円から9.2%減。売買高も約21億6,817万株と5.7%減り、2営業日ぶりに9兆円を割り込みました。1株あたりの平均約定単価は約3,866円で、前日の約4,013円から3.7%低下しています。明日にメジャーSQを控え、来週にFOMCと日銀会合が並ぶこの局面で、積極的にポジションを傾ける参加者が減ったと読むのが自然でしょう。
恐怖指数も、この見立てを裏づけます。日経平均VIは30.55と前日から1.00(3.17%)低下しました。日経平均VIは今後1か月の値動きの大きさに対する市場の予想を表す指標で、急落時に跳ね上がり、平常時は20〜30程度に落ち着くとされます。本日の日中は高値32.17・安値30.55で、大引けがそのまま安値——朝方の警戒が引けにかけて解けていった動きがそのまま出ています。ただし30.55という水準自体は、平常レンジの上限にあたります。フィスコは「重要イベントが目白押しとなることから、市場心理は一方向に傾きにくい」と指摘しており、警戒がなくなったわけではありません。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月11日(金)で、東京市場は通常どおり取引が行われます。祝日や連休は挟みません。ただし11日は9月のメジャーSQ(特別清算指数)算出日にあたります。メジャーSQ当日の朝は、寄り付きの気配値で先物とオプションの決済価格が決まるため、企業業績とは無関係な売買が寄り付きに集中します。SQ値と実際の日経平均の始値・終値が大きくずれることも珍しくありません。本日の日中値幅が1,084円27銭と2営業日ぶりに1,000円を超えたことも踏まえると、明日の朝の値動きは指標として読みにくい点に注意が必要です。
最初に見るべきは、米国のインフレ指標です。本日の日本時間深夜に米生産者物価指数(PPI)、11日(現地時間)には米消費者物価指数(CPI)の発表が控えています。ここまで相場を圧迫してきたのは原油高とそれに伴う金利上昇でしたから、CPIが市場予想を上回れば「インフレ再燃→利下げ観測後退→金利上昇」という連鎖が強まります。WTI原油が1バレル96ドル台まで上昇し100ドルの節目が迫るなかでの指標発表という点で、いつも以上に重い意味を持ちます。ただしCPIの発表は日本時間で11日夜のため、東京市場の値動きに反映されるのは翌週明けの14日(月)です。
ふたつ目は、本日の高値引けが続くかどうかです。終値6万5,270円95銭に対し、転換線は6万5,282円32銭でわずか11円37銭上、5日線は6万5,420円77銭で149円82銭上——この2本を明日回復できれば、9月8日から続く下落局面がいったん止まったと判断できます。逆に本日の安値6万4,186円68銭を下回るようなら、雲の下端6万4,970円63銭を明確に割り込んだことになり、下値模索が続きます。3営業日連続で切り下がっている高値(9月8日6万6,791円84銭→9日6万5,794円03銭→10日6万5,270円95銭)を崩せるかも、あわせて確認したいところです。
三つ目は、金融株と資源株の綱引きです。本日は証券・銀行・保険が上昇率上位、非鉄金属が下落率1位という並びで、前日9日(非鉄金属+6.88%が1位、証券・商品先物-2.31%が最下位)から完全に反転しました。この反転が定着するのか、それとも1日で再び戻るのかは、原油相場と長期金利の動き次第です。原油高が続けば資源株には追い風、金利上昇が続けば金融株には追い風という関係にあり、両方が同時に起きている現在は資金がどちらに厚く向かうかで業種の並びが日替わりになりやすい局面といえます。ドル円は16時26分時点で153円43銭と前日から12銭の円高・ドル安ですが、動きは限定的でした。
戦略展望
この4営業日を並べると、相場の性格が見えてきます。9月7日は1,378円90銭高、8日は1,130円51銭安、9日は126円55銭安、そして本日10日は128円17銭高——4日間の差し引きは+249円99銭です。7日と8日に1,000円超の大きな上下があった後、9日と10日は128円前後の小動きで着地しました。ただし本日の中身は9日とはまったく違います——9日の日中値幅は776円35銭、本日は1,084円27銭。終値の変化が小さいことと、日中の動きが小さいことは別物だという典型例です。
本日いちばん重要だったのは、高値引けという形そのものだと考えます。956円10銭安まで売られた後に切り返し、終値が本日の高値と一致した——これは大引けにかけて売り手が引き、買い手が最後まで残ったことを意味します。下ヒゲ581円85銭・上ヒゲゼロという形は、少なくとも6万4,200円近辺には買い需要があることを示しました。実際、この水準は雲の下端6万4,970円63銭とボリンジャーバンド-1σ6万4,989円76銭の下にあたり、テクニカル的にも売られすぎの領域に入っていました。
一方で、慎重に見るべき点も3つあります。ひとつ目は、指数の上昇が1銘柄に依存していること——アドバンテストの+260円67銭を除けば、日経平均は132円50銭のマイナスだった計算です。ふたつ目は、東証プライムの値下がり銘柄が値上がりを60銘柄上回り、東証グロース市場250指数も逆行安だったこと——買いの裾野は広がっていません。三つ目は、売買代金が9.2%減って8兆3,803億円と2営業日ぶりに9兆円を割ったこと——戻りが商いを伴っていないという点で、力強さには欠けます。
したがって本日の値動きから導かれる見立てはこうです——「下値のメドは6万4,200円近辺で確認できた。ただし上値を追う材料はまだ揃っていない」。判別の材料は明確で、上は転換線6万5,282円32銭と5日線6万5,420円77銭を明日回復できるか、下は本日の安値6万4,186円68銭を守れるかです。その先には25日線6万6,216円11銭・雲の上端6万6,640円32銭・75日線6万6,827円34銭が6万6,000円台に固まっており、ここを抜けない限り中期の下落トレンドは変わりません。明日のメジャーSQと来週のFOMC・日銀会合を通過するまでは、方向感の出にくい展開が続くと見るのが妥当でしょう。なお本節の見立てはあくまで本日までの数値から読める整理であり、将来の株価を予測するものではありません。
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