本日の主役は「朝の下げを誰が買ったか」です。日経平均は328円34銭高の6万5,856円43銭と3日ぶり反発しましたが、寄り付き直後の9時15分には6万4,609円47銭、前日比918円62銭安まで売られていました。そこから大引けまでに1,246円96銭を戻した——日中値幅は1,294円77銭(1.98%)で、8月に入って最大級の振れ幅です。きっかけは前日の米国市場でした。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2.70%安と急落し、東京市場は半導体株売りで始まりましたが、韓国KOSPIと台湾加権指数が朝安から上昇に転じたことで買い戻しが入り、全値戻しからプラス圏で頑強な値動きに変わりました。前日と真逆だったのが寄与度の顔ぶれです——前日に225円押し下げたソフトバンクグループが本日は約90円11銭の押し上げでトップ、イビデン(約79円45銭)、フジクラ(約55円51銭)を加えた3銘柄だけで約225円07銭、上位5銘柄で約264円29銭と、実際の上げ幅328円34銭の8割を稼ぎました。TOPIXも20.38ポイント高の4,093.67で4日続伸、値上がりは846銘柄、東証33業種のうち22業種が上昇と裾野も広がっています。ただし、東証プライムの売買代金は7兆99億円と約4カ月ぶりの低水準——2営業日連続の8兆円割れで、7兆円台をかろうじて保った薄商いのなかでの反発でした。
本日の相場概況
8月25日の東京株式市場で日経平均株価は3日ぶりに反発し、前営業日比328円34銭(0.50%)高の6万5,856円43銭で取引を終えました。8月20日以来3営業日ぶりの上昇です。
まず、前回の記事の結論を検証します。24日の記事で私たちは、「翌営業日25日は、6万5,562円82銭(25日線)を終値で回復できるかどうかを、まず最初の判断材料としたい。必要な上昇率は0.05%——ほんのわずかです。それすら届かないようなら、8月中旬からの下落は次の段階に入ったと考える必要があります」と書きました。結論から言えば、回復しました。25日線は本日6万5,631円43銭へ68円61銭切り上がりましたが、終値6万5,856円43銭はそれをさらに225円00銭上回っています。「ほんのわずか」どころか、余裕をもって上抜いた形です。
ただしその過程は、まったく穏やかではありませんでした。寄り付きは6万5,195円26銭——前日終値から332円83銭(0.51%)のギャップダウンで始まり、わずか15分後の9時15分に安値6万4,609円47銭をつけています。この時点の下げ幅は918円62銭(1.40%)で、25日線どころか、24日に割り込んだ水準からさらに1,000円近く下にいました。「次の段階に入った」と判断してもおかしくない値動きが、寄り付き15分間に起きていたことになります。
日足の形を見ていきます。始値6万5,195円26銭・高値6万5,904円24銭・安値6万4,609円47銭・終値6万5,856円43銭。始値から終値までの実体は661円17銭の陽線で、下ヒゲ585円79銭・上ヒゲ47円81銭です。下ヒゲが上ヒゲの12倍——24日が「上ヒゲ278円78銭・下ヒゲ57円14銭のほぼ安値引け」だったことを踏まえれば、日足の形は1営業日で完全に反転しました。高値6万5,904円24銭をつけたのは15時20分、大引けの10分前です。安値を寄り付き15分でつけ、高値を大引け10分前につけた——一日を通してじりじりと買い上げられた形でした。
日中値幅は1,294円77銭(1.98%)。24日の786円78銭(1.19%)から1.6倍に拡大しています。売買代金が減っているのに値幅は広がった——薄い板のなかで大きく振らされた一日だったことが、この2つの数字の組み合わせから読み取れます。
一日の流れも確認します。前引けは約6万5,598円(前日比約+70円)で、前場のうちに安値からは約990円戻していたものの、プラス幅はまだ70円程度でした。つまり本日の上げ幅328円34銭のうち、約258円(8割弱)は後場に積み上がっていることになります。24日は下げ幅の9割が後場に発生しましたが、本日は上げ幅の8割が後場に発生——2営業日続けて「後場に方向が決まる」相場が続いています。向きだけが逆になりました。
TOPIXも上昇しました。TOPIXは20.38ポイント(0.50%)高の4,093.67で4日続伸。始値4,073.89、高値4,096.05、安値4,060.97で、日中値幅は35.08ポイント(0.86%)です。注目したいのは、日経平均とTOPIXの上昇率がともに0.50%で完全に一致したこと——結果としてNT倍率は16.087倍と、前日の16.087倍からほぼ変わらずでした。21日・24日と2営業日続いた「日経平均が下げ、TOPIXが上げる」乖離は、本日いったん解消しています。
騰落銘柄数も素直でした。東証プライムの値上がりは846銘柄(全体の約54%)、値下がりは647銘柄(約42%)、変わらずは63銘柄。東証33業種でも上昇22業種・下落11業種で、上昇が3分の2を占めています。値上がり銘柄数は24日の841銘柄からほぼ横ばい(+5銘柄)ですが、24日は指数が下げるなかでの841銘柄、本日は指数が上げるなかでの846銘柄です。裾野の買われ方そのものは、3営業日ずっと変わっていません。変わったのは、値がさ株が売られるか買われるかだけでした。
そして本日いちばん引っかかる数字が、売買代金です。東証プライムの売買代金概算は7兆99億円——24日の約7兆6,363億円からさらに約6,264億円(8.2%)減り、約4カ月ぶりの低水準となりました。2営業日連続の8兆円割れで、7兆円台をかろうじて保った格好です。一方、売買高は約19億118万株と、24日の約18億8,234万株から約1,884万株(1.0%)増えています。株数は増えたのに金額は減った——値がさ株の商いが細り、低位株の売買が相対的に増えたことを示す組み合わせです。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,856.43円 | +328.34円 (+0.50%) 3日ぶり反発 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 65,904.24 / 64,609.47 | 始値 65,195.26円 (値幅1,295円・実体661円の陽線) |
| 日経平均 上ヒゲ / 下ヒゲ | 47.81円 / 585.79円 | 下ヒゲが上ヒゲの12倍。24日とは日足の形が正反対 |
| 日経平均 一時の下げ幅 | -918.62円 | 安値時点(9時15分)。前日比1.40%安まで売られた |
| 安値からの戻り幅 | +1,246.96円 | 安値64,609.47から終値まで。高値は15時20分 |
| 日経平均 寄り付きのギャップ | -332.83円 (-0.51%) | 始値65,195.26円。25日線を大きく下回って始まった |
| 日経平均 前引け | 約65,598円 | 約+70円。上げ幅の約8割(約258円)は後場に発生 |
| TOPIX | 4,093.67 | +20.38 (+0.50%) 4日続伸 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,096.05 / 4,060.97 | 始値 4,073.89 (値幅35.08・0.86%) |
| NT倍率 | 16.087倍 | 前日16.087倍からほぼ変わらず。2日続いた乖離は解消 |
| NYダウ (8/24終値) | 53,417.16 | +140.15 (+0.26%) 2日続伸 |
| S&P 500 (8/24終値) | 7,652.86 | -21.51 (-0.28%) 1日ぶり反落 |
| ナスダック総合 (8/24終値) | 25,980.19 | -200.26 (-0.76%) |
| SOX指数 (8/24終値) | 11,423.17 | -317.21 (-2.70%) 東京市場の朝安の直接の原因 |
| 米VIX指数 (8/24終値) | 15.85 | +0.72 (+4.76%) 15台前半から後半へ小幅上昇 |
| 米10年債利回り (8/24終値) | 4.704% | -0.036% (3.6bp低下)。21日の4.740%から反落 |
| 韓国KOSPI | 6,742.74 | +45.78 (+0.68%) 朝安から上昇に転じ、東京の買い戻しを誘発 |
| 台湾加権指数 | 45,169.46 | +407.14 (+0.91%) KOSPIとともに反転 |
| 香港ハンセン指数 | 25,511.12 | -6.21 (-0.02%) ほぼ横ばい |
| 上海総合指数 | 3,889.44 | +7.43 (+0.19%) |
| 米ドル/円 | 159円35銭前後 | +26銭 (16時21分時点)。159円台での推移が定着 |
| 東証プライム 売買代金 | 約7兆99億円 | 24日の約7兆6,363億円から約6,264億円 (8.2%) 減 |
| 売買代金の水準 | 約4カ月ぶりの低水準 | 2営業日連続の8兆円割れ。7兆円台をかろうじて維持 |
| 東証プライム 売買高 | 約19億118万株 | 24日の約18億8,234万株から約1,884万株 (1.0%) 増 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 846銘柄 / 647銘柄 (変わらず63) | 値上がりが約54%。3営業日連続で値上がりが過半 |
| 東証33業種 上昇/下落 | 22業種 / 11業種 | 24日の20業種上昇からさらに2業種増加 |
| 業種別 上昇率上位 | 非鉄金属 +2.83% | 以下 保険業+1.85%、証券・商品+1.63%、銀行業+1.30% |
| 業種別 下落率上位 | 輸送用機器 -1.29% | 以下 海運業-0.91%、ゴム製品-0.55%、繊維製品-0.48% |
| 最大のプラス寄与 | ソフトバンクグループ | 1銘柄で日経平均を約90円11銭押し上げ (112円高の5,087円) |
| プラス寄与 上位3銘柄合計 | 約+225円07銭 | ソフトバンクG+イビデン+フジクラ。上げ幅328円34銭の69% |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | 約+264円29銭 | 上記3社+東京エレクトロン・NTTデータ。上げ幅の80% |
| 最大のマイナス寄与 | ファーストリテイリング | 1銘柄で日経平均を約24円94銭押し下げ (310円安の72,530円) |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | 約-62円19銭 | ファストリ・アドテスト・ホンダ・信越化・トヨタ |
| ストップ高 / ストップ安 | 3銘柄 / 0銘柄 | 引け時点 |
| 日経平均 5日線からの距離 | +67.61円 | 5日線 65,788.82。24日の-581.59円から上抜けに転換 |
| 日経平均 25日線からの乖離 | +0.34% | 25日線 65,631.43。24日の-0.05%から回復し、線の上へ |
| 日経平均 75日線との差 | -462.56円 (-0.70%) | 75日線 66,318.99。24日の-749.00円から286円縮小 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 67,955.17 / 下限 66,047.61 | 終値は下限を191.18円下回り、2日連続で「雲の下」 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -6,975.30円 (-9.58%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。24日の-10.03%から10%圏内へ戻す |
| 7月29日安値からの戻り | +5,407.53円 (+8.95%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。24日の+8.40%から拡大 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料は、3つに整理できます。(1)前日の米SOX指数急落、(2)アジア半導体市場の朝安からの反転、(3)エヌビディア決算を控えた様子見——このうち(1)が朝の下げを作り、(2)がそれを打ち消し、(3)が上値と商いの両方を抑えたというのが本日の構造です。順に見ていきます。
まず前日の米国市場です。NYダウは140ドル15セント(0.26%)高の5万3,417ドル16セントと2日続伸しましたが、S&P500は21.51ポイント(0.28%)安の7,652.86、ナスダック総合は200.26ポイント(0.76%)安の2万5,980.19とハイテク側は下落。そしてSOX指数は317.21ポイント(2.70%)安の1万1,423.17と、主要指数のなかで突出して大きく崩れました。
24日の記事で「いまの日経平均が『米国株全体』ではなく『米国半導体株』に連動する指数になっている」と書きましたが、本日の寄り付きはまさにその通りの動きでした。ダウが140ドル上げているにもかかわらず、日経平均は332円83銭のギャップダウンで始まり、15分で918円安まで売られた——市場が見ていたのはダウではなくSOXだったことになります。SOXの2.70%安に対し、日経平均の一時の下げ幅1.40%は、その約半分。連動しつつも、下げ幅は半分に抑えられていた点は押さえておく価値があります。
2つめがアジア市場の反転です。韓国KOSPIは45.78ポイント(0.68%)高の6,742.74、台湾加権指数は407.14ポイント(0.91%)高の4万5,169.46と、いずれも朝安から上昇に転じました。この2市場は世界の半導体メモリーとファウンドリの本場であり、そこが売られずに買われたことが、東京市場の半導体株の買い戻しを正当化した格好です。
ここで24日との対比が効いてきます。24日はKOSPIが3.12%安と急落し、それがキオクシアHDの6.24%安に直結しました。本日はKOSPIが0.68%高に転じ、キオクシアHDは330円(0.65%)高の5万1,260円とプラス圏で引けています。KOSPIの騰落率とキオクシアHDの騰落率が、2営業日続けてほぼ同じ向き・同程度の関係で動いた——「KOSPIを見ればメモリー株の方向がわかる」という関係が、本日も成立しました。キオクシアHDは本日、東証プライムの売買代金トップでもあります。
3つめがエヌビディアの決算です。発表は日本時間27日(木)早朝——本日から数えて中1営業日です。半導体関連は様子見ムードが拭えないと報じられており、これが上値を抑えたと考えられます。実際、本日の高値6万5,904円24銭は75日線6万6,318円99銭に414円届いていません。安値から1,247円戻して、なお主要な上値抵抗まで到達しなかったのは、買い戻しが「戻り」であって「上抜け」ではなかったことを意味します。
そして、この様子見はもう一つの数字にも表れました。東証プライムの売買代金7兆99億円は、約4カ月ぶりの低水準です。24日の約7兆6,363億円からさらに8.2%減り、2営業日連続で8兆円を割り込みました。1,295円という大きな値幅を伴った反発日でありながら、商いは細り続けている——本日の反発は「買いが積極的に入った」というより「売りが一巡し、薄い板で戻った」性格が強いと見るのが妥当でしょう。大きな判断は決算を見てから、という参加者が多いことの裏返しです。
金利はむしろ株式には追い風でした。米10年債利回りは24日終値で4.704%となり、21日の4.740%から0.036%(3.6bp)低下しています。24日の記事では「日米そろって長期金利が上を向いた」ことを下落の主因の一つに挙げましたが、その金利は米国側で反落しました。金利低下は本来、高PERの成長株にプラスに働きます。にもかかわらず米ハイテク株が下げ、翌日の東京では半導体株が買い戻された——金利要因と半導体固有の需給要因が綱引きになっているのが現状です。VIXは15.13から15.85へ0.72ポイント(4.76%)上昇しましたが、15台という水準そのものは平時の範囲にとどまっています。
為替は159円台での推移が定着しました。米ドル/円は16時21分時点で159円35銭前後、前日比26銭の円安です。ただし本日も、円安が輸出株を主導する展開にはなっていません。それどころか、円安が進むなかで輸送用機器が33業種の下落率トップ(-1.29%)、トヨタ自動車が1.38%安、ホンダが2.92%安です。「円安なら自動車株が買われる」という教科書的な連動は、本日は完全に逆を向きました。24日の記事で「159円という水準そのものが、すでに相場に織り込まれている」と書きましたが、その見方は本日も維持されます。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
東証33業種のうち22業種が上昇しました。上昇率首位は非鉄金属(+2.83%)で、以下、保険業(+1.85%)、証券・商品先物取引業(+1.63%)、銀行業(+1.30%)、情報・通信業(+1.14%)が続いています。電線・金融・通信という組み合わせです。
- ソフトバンクグループは112円(2.25%)高の5,087円。1銘柄で日経平均を約90円11銭押し上げ、寄与度トップでした。24日は280円安で約225円27銭の押し下げでしたから、2営業日で完全に立場が入れ替わったことになります。情報・通信業が上昇率5位に入った主因でもあります。
- イビデンは1,185円(6.30%)高の1万9,980円と大幅高。約79円45銭の押し上げで寄与度2位です。24日は395円(2.06%)安でしたから、下げ幅の3倍を1日で取り戻した計算になります。
- フジクラは276円(5.50%)高の5,292円。約55円51銭の押し上げで3位。24日の264円安をそのまま上回る戻りです。
- 古河電気工業は375円(10.34%)高の4,000円で日経平均採用銘柄の値上がり率首位。約12円57銭の押し上げで、フジクラとともに非鉄金属を業種別上昇率トップに押し上げました。24日は193円(5.06%)安でしたから、こちらも下げ幅のほぼ2倍の戻りです。
- 東京エレクトロンは260円(0.47%)高の5万5,410円で約26円15銭の押し上げ。24日に続き2営業日連続でプラス寄与となりました。
- NTTデータグループは32円50銭(1.13%)高の2,909円50銭で約13円07銭の押し上げ。
- キオクシアHDは330円(0.65%)高の5万1,260円。売買代金トップで、24日の6.24%安から反転してプラス圏で引けました。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループは48円(1.38%)高の3,529円、東京海上ホールディングスは147円(2.02%)高の7,408円。メガバンクと保険がそろって買われ、保険業・銀行業・証券業の金融3業種が上昇率2〜4位を独占しました。
- 太陽誘電は121円(1.32%)高の9,270円、豊田通商は121円(1.64%)高の7,484円、リクルートホールディングスは90円(0.54%)高の1万6,605円。
- そのほか、日本CMK、フルヤ金属が値を飛ばし、セガサミーホールディングスが活況高、松屋、東洋エンジニアリングも物色人気となりました。
この顔ぶれの共通点は明快です——24日に売られた銘柄が、そのまま買われました。ソフトバンクG、イビデン、フジクラ、古河電工、キオクシアHD。いずれも24日のマイナス寄与上位、あるいは下落率上位に並んでいた銘柄です。新しいテーマに資金が向かったのではなく、前日に売られた銘柄の買い戻しが上げの中身でした。売買代金が約4カ月ぶりの低水準だったことと、この事実は整合します。新規の買いが入るには、資金が足りていません。
一方で、金融3業種の上昇は買い戻しでは説明がつきません。24日は保険が下落率3位、銀行も下落業種でしたから、形の上では買い戻しにも見えます。しかし本日は米長期金利がむしろ低下しており、「金利上昇で金融株高」という説明は使えません。24日の記事で「金利が上がれば必ず銀行が買われるわけではない」と書きましたが、本日は逆に「金利が下がっても銀行が買われる」日でした。金融株と長期金利の連動は、この3営業日、一貫して崩れています。
売られたセクター・銘柄
下落は11業種で、下落率上位は輸送用機器(-1.29%)、海運業(-0.91%)、ゴム製品(-0.55%)。そのほか繊維製品(-0.48%)、倉庫・運輸関連業(-0.48%)、鉱業(-0.41%)、パルプ・紙(-0.40%)、医薬品(-0.21%)が下げています。
- ファーストリテイリングは310円(0.43%)安の7万2,530円。下落率は0.5%未満ですが、株価水準が高いため約24円94銭の押し下げとなり、マイナス寄与のトップです。3営業日連続でマイナス寄与の上位に入っています。
- ホンダは51円(2.92%)安の1,696円で約10円26銭の押し下げ。トヨタ自動車は43円(1.38%)安の3,082円で約7円21銭の押し下げ。この2社が輸送用機器を業種別下落率トップに押し下げました。
- アドバンテストは50円(0.14%)安の3万4,450円。約12円07銭の押し下げでマイナス寄与2位ですが、24日の約337円90銭の押し下げからは28分の1に縮小しました。下落率も3.90%から0.14%へ、ほぼ横ばいまで戻しています。
- ディスコは720円(1.17%)安の6万700円で約4円83銭の押し下げ。半導体関連が総じて買い戻されるなかで、下値を探る展開となりました。
- 信越化学工業は46円(0.76%)安の6,005円で約7円71銭の押し下げ。
- 日本郵船は59円(0.82%)安の7,141円、商船三井は61円(0.84%)安の7,214円。海運株が利益確定売りに押され、業種別下落率2位となりました。
- 日本製鉄は260円(3.36%)安の7,467円。下落率では主要銘柄で最大級ですが、鉄鋼業は業種全体では+0.31%とプラスでした。
- 三菱電機は26円(0.76%)安の3,381円、三井金属は135円(0.47%)安の2万8,330円。
- そのほか、弁護士ドットコムが大幅反落、アイネス、ギフティグループの下げも目立ち、大阪チタニウムテクノロジーズ、Sansanも売られました。
本日の売られ方で目を引くのは、輸送用機器と海運という「円安と資源高の恩恵を受けるはずの業種」がそろって下落率上位に並んだことです。ドル円は159円35銭と円安方向にあり、輸出企業の採算にはプラスに働く水準です。それでもトヨタとホンダが売られた——為替が自動車株を動かす変数として機能していないことを、本日の値動きは示しています。
もう一点、マイナス寄与の絶対値が小さくなったことも重要です。本日のマイナス寄与上位5銘柄の合計は約62円19銭。24日は上位5銘柄で約749円72銭でしたから、12分の1です。指数を押し下げる力が、1営業日でほぼ消えたことになります。24日は「実質2銘柄が指数を壊した日」でしたが、本日は「押し下げ役が不在の日」でした。値がさ株が売られなければ、日経平均は素直に裾野の強さを映す——本日の328円高は、その当たり前の姿に戻った1日と言えます。
テクニカル分析
トレンド
本日の328円高で、日経平均は短期の移動平均を2本まとめて回復しました。順に確認します。
25日移動平均は6万5,631円43銭(推定であり確定値ではありません)で、終値6万5,856円43銭はこれを225円00銭上回っています。25日線からの乖離率は+0.34%——24日の-0.05%から0.39ポイント改善し、線の下から上へ戻りました。24日の記事で「翌営業日の小幅高で簡単に戻る位置」と書きましたが、実際に戻ったことになります。ただし25日線自体は24日の6万5,562円82銭から68円61銭上昇しており、24日の記事で指摘した「線が下がってきている」局面は終わりました。今後は線が上がってくる分、維持のハードルは少しずつ上がります。
5日移動平均は6万5,788円82銭で、終値はこれを67円61銭上回りました。24日は581円59銭下でしたから、1営業日で649円20銭ぶんの位置関係が改善したことになります。ただしその改善のうち、株価の上昇によるものは328円34銭で、残りの320円86銭は5日線自体の低下によるものです。24日の記事で「株価が横ばいでも、数営業日で5日線に追いつかれる位置関係」と書いたとおり、線のほうが下りてきて交差しました。ただし8月17〜18日の高値圏の終値はすでに計算から外れており、今後の5日線の自然低下は一巡します。
75日移動平均は6万6,318円99銭で、終値はこれを462円56銭(0.70%)下回っています。24日の749円00銭下から286円44銭縮まりました。ただし75日線自体は24日の6万6,277円09銭から41円90銭上昇しており、株価が上がり、線も上がるという関係です。本日の高値6万5,904円24銭でも75日線には414円75銭届いていません。中期のトレンドは、依然として下向きのままです。
200日移動平均は5万8,400円76銭で、終値はこれを7,455円67銭(12.77%)上回っています。長期の上昇トレンドそのものは、まったく崩れていません。200日線は24日の5万8,322円57銭から78円19銭上昇しており、切り上がりが続いています。いま起きているのは、長期トレンドのなかの中期調整——この整理は、24日から変わりません。
サポート・レジスタンス
一目均衡表の雲は、上限6万7,955円17銭・下限6万6,047円61銭(いずれも推定)です。終値6万5,856円43銭は下限を191円18銭下回っており、2営業日連続で「雲の下」にいます。ただし24日は下限を351円87銭下回っていましたから、160円69銭ぶん距離が縮まりました。本日の高値6万5,904円24銭も、雲の下限にはあと143円37銭——場中には手が届きかけた水準です。
翌営業日の雲は、上限6万7,049円61銭・下限6万6,061円99銭と算出されます。雲の厚み(上限と下限の差)は本日の1,907円56銭から987円62銭へ、ほぼ半分に薄くなります。雲が薄い局面は、抜けるときに一気に抜けやすいとされます。上限が906円下がる一方、下限は14円上がるだけなので、雲を上抜けるハードルそのものは大きく下がることになります。
転換線は6万7,108円86銭、基準線は6万5,028円57銭です。終値は転換線を1,252円43銭下回り、基準線を827円86銭上回っています。基準線が下値の支えとして機能する位置にあり、本日の安値6万4,609円47銭は、その基準線を419円10銭下回ったところで反転しました。基準線を割った水準は買われた——これが本日の下ヒゲ585円79銭の中身です。
水準を整理します。上値の抵抗は、6万6,047円61銭(雲の下限)→6万6,318円99銭(75日線)→6万7,108円86銭(転換線)の順。雲の下限と75日線は271円しか離れておらず、事実上ひとかたまりの厚い抵抗帯を形成しています。下値の支えは、6万5,788円82銭(5日線)→6万5,631円43銭(25日線)→6万5,028円57銭(基準線)→6万4,609円47銭(本日の安値)。本日つけた安値は、明確な下値の目安として残りました。
オシレーター
RSI(14日)は48.2(推定)で、24日の46.9から1.3ポイント上昇しました。RSI(9日)は46.9で、24日の44.6から2.3ポイント上昇です。いずれも一般に中立とされる50をわずかに下回る水準にあり、買われすぎ・売られすぎのどちらでもありません。朝方に918円安まで売られながら、日足ベースのRSIは中立圏を維持したことになります。
MACDは-0.0、シグナルは30.1(推定)で、MACDがシグナルを30.1ポイント下回りました。24日はMACD45.2・シグナル37.7でMACDが上にいましたから、本日、MACDがシグナルを下抜けたことになります。一般にデッドクロスと呼ばれる形です。株価が328円上げた日に、MACDは弱気シグナルを出した——この食い違いは、MACDが8月中旬からの下落を平滑化して遅れて反映する指標だからです。
したがって本日のオシレーターは、方向が割れています。RSIは中立圏で改善、MACDは弱気転換。短期の勢い(RSI)は戻り、中期の趨勢(MACD)はまだ下を向いている——移動平均で見た「5日線・25日線は回復したが、75日線と雲は届かない」という構図と、同じことを言っています。本日の反発は短期の切り返しであって、中期トレンドの転換ではないというのが、テクニカル面での率直な評価です。
市場心理
本日の市場心理を一言でまとめれば、「押し目は買うが、大きくは張らない」です。
押し目を買う姿勢は、下ヒゲ585円79銭に明確に表れました。寄り付き15分で918円安まで売られた水準に、確かな買いが入っています。その水準は基準線6万5,028円57銭を419円下回るところであり、テクニカル的にも意識されやすい位置でした。そして買い戻しは日中を通じて続き、高値は大引け10分前の15時20分——引け際に売り直されなかったことは、24日のほぼ安値引けとは正反対のサインです。
一方、大きく張らない姿勢は売買代金に表れています。7兆99億円は約4カ月ぶりの低水準で、2営業日連続の8兆円割れ。1,295円という大きな値幅を記録した日に、商いが4カ月ぶりの少なさだった——これは「参加者が減ったまま、少ない注文で価格が大きく動いた」ことを意味します。売買高が1.0%増えているのに売買代金が8.2%減った点も、値がさ株の商いが細っていることを裏づけます。
その理由は明快で、27日早朝のエヌビディア決算です。日経平均の寄与度上位も値動きの主役も、いまは半導体・AI関連が占めています。その業界の指標企業の決算を中1営業日後に控えて、大きなポジションを取りにくいのは自然でしょう。本日の反発が「前日に売られた銘柄の買い戻し」に集中し、新しいテーマへの資金流入が見られなかったことも、この様子見姿勢と整合します。
裾野の強さは、3営業日変わっていません。21日・24日・25日と3営業日連続で東証プライムの値上がり銘柄が過半を占め、業種別の上昇数も18→20→22と増え続けています。指数が下げた2日間も、上げた本日も、市場の裾野はずっと買われていた——この一貫性は、相場全体が崩れる局面の姿ではありません。
ただし警戒すべき点も残ります。本日の反発は買い戻し主導であり、上値では75日線6万6,318円99銭と雲の下限6万6,047円61銭という厚い抵抗帯が待っています。MACDはデッドクロスを示現し、中期の趨勢は下向きのままです。52週高値からの下落率は9.58%と10%圏内へ戻しましたが、これは「調整が終わった」ことを意味しません。薄商いのなかの1,295円という値幅は、上にも下にも同じだけ振れやすいことを示しています。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は8月26日(水)です。祝日はなく、通常取引となります。
- 最大の焦点はエヌビディアの決算です。発表は日本時間27日(木)早朝——26日の東京市場は「決算前日」にあたります。本日すでに半導体関連は様子見ムードが指摘されており、26日はさらに商いが細る可能性があります。大きな方向感は、27日以降に持ち越される公算が大きいとみておくのが妥当でしょう。
- 上値の第一関門は6万6,047円61銭(雲の下限)です。本日の高値6万5,904円24銭からあと143円37銭。ここを終値で上回れば、2営業日ぶりに「雲の中」へ復帰します。ただし翌営業日の雲の下限は6万6,061円99銭へ14円38銭切り上がるため、必要な上昇率は0.31%です。
- その先に控えるのが75日線6万6,318円99銭。雲の下限とは271円38銭しか離れておらず、事実上ひとかたまりの抵抗帯です。この帯を終値で抜けるには、本日終値から462円56銭(0.70%)の上昇が必要になります。
- 下値の第一関門は5日線6万5,788円82銭、次いで25日線です。25日線は翌営業日、6万5,700円前後まで切り上がる見込みで、本日終値からの距離は150円程度。本日せっかく回復した25日線を再び割り込むようなら、本日の下ヒゲは「一時的な買い戻し」だったと判断する必要があります。
- 売買代金が7兆円を割り込むかどうかも見どころです。7兆99億円は7兆円台の下限すれすれで、あと99億円減れば6兆円台となります。6兆円台は今年に入ってほとんど見られていない水準であり、そこまで細れば、決算待ちの様子見が極端な段階に入ったことになります。
- 前日25日の米国市場も確認材料です。24日はSOX指数が2.70%安と急落し、それが本日の朝安を作りました。SOXが連日で大きく下げるようなら、本日の買い戻しは続きにくいでしょう。逆にSOXが反発すれば、雲の下限突破の現実味が増します。
- 韓国KOSPIと台湾加権指数は、本日の反転のきっかけを作った指数として引き続き重要です。24日はKOSPIの3.12%安が東京の半導体株を直撃し、本日は0.68%高が買い戻しを誘発しました。2営業日連続で、東京市場より先にアジアが方向を示しています。
- 為替は159円台の推移が定着しています。ただし本日は円安のなかで輸送用機器が下落率トップでした。円安が自動車株の買い材料として機能するかどうかは、26日も確認しておきたいところです。
戦略展望
整理すると、本日の相場は「朝の急落を丸ごと買い戻した日」でした。寄り付き15分で918円安、大引けで328円高——その差1,247円が本日のすべてです。
良い材料は3つあります。(1)5日線と25日線をまとめて回復し、下ヒゲ585円の陽線を引けたこと。(2)値上がり846銘柄・22業種上昇と、裾野の強さが3営業日続いていること。(3)マイナス寄与上位5銘柄の合計が約62円と、24日の12分の1まで縮んだこと——指数を壊す力が消えました。
気になる材料も3つあります。(1)売買代金7兆99億円は約4カ月ぶりの低水準で、反発が薄商いのなかの買い戻しにすぎないこと。(2)MACDがデッドクロスを示現し、中期の趨勢は下向きのままであること。(3)上値には雲の下限6万6,047円61銭と75日線6万6,318円99銭が271円の幅でひとかたまりに控えていること。
この3つずつの材料が示すのは、「短期は改善、中期は未解決」という状態です。移動平均では5日線・25日線を回復したが75日線には届かず、オシレーターではRSIが改善する一方でMACDが弱気転換した——2つの指標群が、まったく同じことを別の言い方で示しています。
そして、その決着は本日の相場では付きません。27日早朝のエヌビディア決算が、いま日経平均の値動きの主役である半導体・AI関連の方向を決めるからです。本日の売買代金が約4カ月ぶりの低水準だったのは、市場参加者の多くが同じ判断をしている証拠と言えます。
翌営業日26日は、6万6,061円99銭(翌営業日の雲の下限)を終値で上回れるかどうかを、まず最初の判断材料としたいところです。必要な上昇率は0.31%。ここを抜ければ、その271円上に75日線という次の関門が控えます。逆に25日線(翌営業日は6万5,700円前後)を終値で割り込むようなら、本日の下ヒゲは一時的な買い戻しにすぎなかったと判断すべきでしょう。ただし決算前日という日柄を踏まえれば、26日は方向を決めずに膠着する展開も十分にあり得ます。
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