下げ幅は一時2,062円——それでも大引けまでに800円を取り戻した一日でした。日経平均は1,259円61銭安の6万4,011円34銭と大幅反落し、終値としては8月4日(6万3,957円53銭)以来、約1か月ぶりの安値です。寄り付きから994円13銭安と大きく下放れ、安値は6万3,208円63銭——前日終値から2,062円32銭(3.16%)下まで売られました。引き金は3つあります——中東情勢の緊迫化でWTI原油先物が一時1バレル104ドル台まで上昇したこと、米10年債利回りが4.944%と前日から0.107ポイント上昇したこと、そして国内の長期金利が一時節目の3%に達したことです。来週に日米の中央銀行の会合を控え、日米ともに利上げ観測が強まっていることが警戒されました。そして本日いちばん偏った数字がこれです——下げ幅1,259円61銭のうち530円99銭をアドバンテスト1銘柄が、1,054円33銭(83.7%)を上位5銘柄が占めました。一方でTOPIXの下落率は0.65%と日経平均の3分の1にとどまり、しかも始値より高く引ける陽線でした。「指数は大幅安、市場全体はそこまでではない」——この食い違いが本日の核心です。
まず本日の値動きを時系列で追います。前日10日の米国市場では、NYダウが316.56ドル(0.60%)安の52,064.10ドルと4日続落しました。東京市場の寄り付きは前日終値6万5,270円95銭より994円13銭(1.52%)低い6万4,276円82銭。高値はそのわずか35円20銭上の6万4,312円02銭で、本日は一度も前日終値に近づくことなく推移しました。前引けは6万3,469円39銭、後場寄りは1,909円91銭安の6万3,361円04銭と、後場の入り口まで売りが続きます。安値は6万3,208円63銭で、下げ幅は一時2,062円32銭(3.16%)に達しました。ところが後場に入ると流れが変わります。大引け報道によれば、今晩の米8月消費者物価指数(CPI)の発表を控えて後場にポジション整理の動きが強まり、大引けにかけて下げ幅が縮小しました。終値6万4,011円34銭は安値から802円71銭(1.27%)戻した水準です。ローソク足は始値6万4,276円82銭に対し終値6万4,011円34銭で実体265円48銭の陰線、上ヒゲ35円20銭、下ヒゲ802円71銭——「大きく下に窓を開けて始まり、深く売られ、引けにかけて戻した」形がそのまま出ています。TOPIXは始値3,998.58・安値3,967.18から切り返し、終値4,028.30は始値を29.72ポイント上回りました。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 64,011.34円 | -1,259.61円 (-1.93%) 大幅反落 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 64,312.02 / 63,208.63 | 始値 64,276.82円。高値は始値のわずか35.20円上 |
| 寄り付きのギャップ | -994.13円 (-1.52%) | 前日終値65,270.95円から大きく下放れて始まった |
| 安値時点の下げ幅 | -2,062.32円 (-3.16%) | 後場寄りは1,909.91円安の63,361.04円。前引けは63,469.39円 |
| 安値から終値までの戻り | +802.71円 (+1.27%) | 米CPI発表を前にしたポジション整理で下げ幅を縮めた |
| ローソク足の形 | 実体265.48円の陰線 | 上ヒゲ35.20円 / 下ヒゲ802.71円。下ヒゲが実体の3.0倍 |
| 日中値幅 | 1,103.39円 | 前日の1,084.27円から1.8%拡大。2営業日連続の1,000円超 |
| 終値の水準 | 8月4日以来の安値 | 8月4日終値63,957.53円以来、約1か月ぶりの低い終値 |
| TOPIX | 4,028.30 | -26.28 (-0.65%) 反落 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,031.57 / 3,967.18 | 始値 3,998.58。終値が始値を29.72上回る陽線 |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 1.28ポイント | 日経平均-1.93%に対しTOPIX-0.65%。下げは日経平均に大きく偏った |
| NT倍率 | 15.890倍 | 前日16.098倍から0.208低下。値がさ株主導の下げを反映 |
| JPXプライム150指数 | 1,685.51 | -12.60 (-0.74%) |
| 東証プライム 売買代金 | 約8兆7,129億円 | 前日の約8兆3,803億円から4.0%増。SQ算出日で商いが膨らんだ |
| 東証プライム 売買高 | 約23億7,251万株 | 前日の約21億6,817万株から9.4%増 |
| 1株あたり平均約定単価 | 約3,672円 | 前日の約3,866円から5.0%低下 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 509銘柄 / 986銘柄 | 値下がりが値上がりの1.94倍 |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 95銘柄 / 128銘柄 | 変わらず2銘柄。1,259円安でも4割強の銘柄は上昇した |
| 東証グロース市場250指数 | 767.93 | -14.31ポイント (-1.83%) 続落 |
| 東証33業種 上昇/下落 | 11業種 / 22業種 | 前日の16/17から下落業種が5つ増えた |
| 業種別 上昇率1〜5位 | 保険業 +2.25% | 以下 (2)海運業+1.28%、(3)輸送用機器+1.14%、(4)鉱業+0.87%、(5)卸売業+0.21% |
| 業種別 下落率1〜5位 | 非鉄金属 -3.52% | 以下 (2)電気機器-2.03%、(3)石油・石炭製品-1.54%、(4)サービス業-1.29%、(5)化学-1.21% |
| 非鉄金属の3日間 | 2営業日連続の下落率1位 | 9日は+6.88%で上昇率1位。10日・11日と2日続けて最下位に沈んだ |
| 最大のマイナス寄与 | アドバンテスト -530円99銭 | 2,200円(6.49%)安の3万1,720円。1銘柄で下げ幅の42.2% |
| マイナス寄与 2〜5位 | ソフトバンクグループ -217円22銭 | 以下 東京エレクトロン-135円76銭、キオクシアHD-95円27銭、イビデン-75円09銭 |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | -1,054円33銭 | 下げ幅の83.7%。残る220銘柄の影響は差し引き約-205円 |
| 最大のプラス寄与 | 京セラ +21円99銭 | 82円(2.36%)高の3,551円 |
| プラス寄与 2〜5位 | コナミグループ +12円74銭 | 以下 バンダイナムコHD+12円37銭、豊田通商+12円37銭、KDDI+9円25銭 |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | +68円72銭 | マイナス上位5銘柄(-1,054.33円)の約15分の1 |
| 寄与度の検算 | 225銘柄合計 -1,259円66銭 | 実際の下げ幅-1,259.61円と0.05円差。寄与度データの整合性を確認済み |
| 値下がり率トップ (225銘柄) | レゾナックHD -10.68% | 1万4,295円。以下 キオクシアHD-6.99%、TOPPAN HD-6.95%、住友金属鉱山-6.93% |
| 半導体関連の主な下落 | アドバンテスト -6.49% | 以下 SCREEN HD-6.02%、ローム-5.51%、イビデン-5.42%、レーザーテック-4.82% |
| 非鉄・電線の主な下落 | 三井金属 -5.93% | 以下 三菱マテリアル-4.43%、フジクラ-4.36% |
| 値上がり率トップ (225銘柄) | LINEヤフー +3.44% | 544.4円。以下 川崎汽船+2.94%、第一生命HD+2.73%、MS&AD+2.56% |
| 自動車株の主な上昇 | SUBARU +2.28% | 以下 デンソー+1.91%、ホンダ+1.80%、スズキ+1.76%、トヨタ自動車+1.24% |
| 保険株の主な上昇 | MS&AD +2.56% | 以下 東京海上HD+2.26%、SOMPO HD+1.90%、T&D HD+1.80% |
| 米ドル/円 | 154円18銭 | 16時26分時点の株探表示値。前日同時刻の153円43銭から75銭の円安・ドル高 |
| WTI原油先物 | 一時104ドル台 | 大引け報道による。執筆時点は約100.8ドル(時間外) |
| 米10年債利回り (9/10) | 4.944% | 前日4.837%から0.107ポイント上昇 |
| 新発10年国債利回り | 一時3% | 節目の3%に上昇(大引け報道) |
| 上海総合指数 | 3,934.40 | -17.10 (-0.43%) 反落 (株探の表示値) |
| NYダウ (9/10終値) | 52,064.10 | -316.56 (-0.60%) 4日続落 |
| S&P 500 (9/10終値) | 7,591.70 | -44.66 (-0.58%) 4日続落 |
| ナスダック総合 (9/10終値) | 26,081.72 | -171.62 (-0.65%) 4日続落 |
| SOX指数 (9/10終値) | 11,614.17 | -317.15 (-2.66%) 6日ぶり反落。5連騰が止まった |
| 米国市場の分かれ方 | ダウ-0.60% / SOX-2.66% | 前日までと逆に、半導体が主要指数より大きく下げた |
| 日経平均VI | 29.80 | -0.75 (-2.45%)。高値33.41(9時02分)、安値=終値29.80(15時46分) |
| 9月物SQ値 (市場推計) | 63,039円46銭 | 本日の安値を169.17円下回る「幻のSQ」。推計値であり確定値ではない |
| 日経平均 5日線からの乖離 | -1.85% | 5日線 65,218.85。1,207円51銭下 |
| 日経平均 25日線からの乖離 | -3.23% | 25日線 66,149.23。2,137円89銭下。前日の-1.43%から拡大 |
| 日経平均 75日線との差 | -2,802.83円 (-4.19%) | 75日線 66,814.17。下回るのは8月21日から16営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +7.87% | 200日線 59,342.10。4,669円24銭上。前日の+10.12%から縮小 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 64,790.66 〜 66,640.32 | 終値は雲の下端を779円32銭下回り、9月8日以来3営業日ぶりに雲の下 |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 65,000.24 / 66,408.44 | 終値は転換線を988円90銭、基準線を2,397円10銭下回った |
| 日経平均 ボリンジャーバンド | -1σ 64,852.10 / -2σ 63,554.97 | 終値は-1σを840円76銭下回る。安値は-2σを346円34銭下抜けた |
| 日経平均 RSI (14日) | 41.5 | 前日の47.1から5.6ポイント低下 |
| 日経平均 MACD / シグナル | -382.5 / -245.6 | ヒストグラムは-136.8。前日の-70.8からマイナス幅が約1.9倍に拡大 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -8,820.39円 (-12.11%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。前日の-10.38%から拡大 |
| 7月29日安値からの戻り | +3,562.44円 (+5.89%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。前日の+7.98%から縮小 |
| TOPIX 75日線 | 4,028.99 | 終値は0.69ポイント下。3月31日以来、約5か月半ぶりに75日線を下回って引けた |
| TOPIX 25日線 / RSI (14日) | 4,104.96 / 43.5 | 終値は25日線を76.66ポイント(1.87%)下回る。RSIは46.3から2.8低下 |
| TOPIX MACD / シグナル | -1.2 / 12.3 | MACDがマイナス圏に転じた。ヒストグラムは-13.5 (前日-11.7) |
| TOPIX 転換線 / 基準線 | 4,082.02 / 4,093.74 | 終値は転換線を53.72、基準線を65.44ポイント下回った |
| TOPIX 一目均衡表の雲 | 3,951.81 〜 3,985.83 | 終値は雲の上端を42.47ポイント上回り、雲の上を維持 |
| TOPIX 52週高値からの距離 | -192.01 (-4.55%) | 52週高値 4,220.31 (8/14)。前日の-3.93%から拡大 |
マクロ・地政学の視点
本日の売りの出発点は、原油です。中東情勢の緊迫化に加え、サウジアラビアの8月の原油生産が1990年以来の低水準に落ち込んだと報じられ、原油先物は続伸しました。大引け報道によれば、WTI原油先物は一時1バレル104ドル台に上昇しています。前日の記事で「100ドルの節目が迫る」と書いた水準を、1日で上に抜けたことになります。執筆時点では約100.8ドルと上げ幅を縮めていますが、それでも100ドル台です。日本経済新聞も、資源の多くを輸入に頼る日本経済にとって逆風になるとの見方が日本株売りにつながったと報じています。原油高は輸入コストを押し上げて企業収益を圧迫するだけでなく、インフレ再燃への警戒を通じて金利を押し上げます。
その金利が、日米で同時に上がりました。米10年債利回りは10日(現地時間)に4.944%と、前日の4.837%から0.107ポイント上昇。フィスコは米8月生産者物価指数(PPI)の伸びの加速を指摘しており、日本経済新聞はこの水準を2023年10月以来の高さと伝えています。国内でも新発10年国債利回りが一時節目の3%まで上昇しました。株探の大引け記事も、来週に日米の金融政策会合を控え、日米ともに利上げ観測が強まっていることが警戒されたと整理しています。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が15〜16日(結果公表は日本時間17日未明)、日銀の金融政策決定会合が17〜18日(結果公表は18日)という日程です。
そして、東京市場の下げを最も大きくしたのが半導体です。10日の米国市場では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が317.15ポイント(2.66%)安の11,614.17と6日ぶりに反落し、5連騰が止まりました。NYダウの-0.60%、S&P500の-0.58%、ナスダック総合の-0.65%と比べて、SOXの下げは4倍以上です。前日の記事では「主要3指数は下げるが半導体だけは買われる」構図が2日続いたと書きました——その構図が崩れ、半導体が主要指数よりも大きく売られる側に回ったことが、本日の東京市場にそのまま持ち込まれました。日経平均のマイナス寄与度上位5銘柄(アドバンテスト・ソフトバンクグループ・東京エレクトロン・キオクシアHD・イビデン)は、すべてAI・半導体関連です。
為替は円安方向でした。ドル円は16時26分時点で154円18銭と、前日同時刻の153円43銭から75銭の円安・ドル高。米金利の上昇がドル買いにつながった形で、これは輸出比率の高い自動車株には追い風になります。実際、業種別で輸送用機器は+1.14%と上昇率3位に入りました。本日の相場は「原油高・金利高・円安」という同じ組み合わせが、業種によってまったく逆の効果を持った一日でもあります。
セクター・個別銘柄の動き
東証33業種のうち上昇は11業種、下落は22業種で、前日の16/17から下落業種が5つ増えました。上昇率の上位5業種は(1)保険業+2.25%、(2)海運業+1.28%、(3)輸送用機器+1.14%、(4)鉱業+0.87%、(5)卸売業+0.21%。下落率の上位5業種は(1)非鉄金属-3.52%、(2)電気機器-2.03%、(3)石油・石炭製品-1.54%、(4)サービス業-1.29%、(5)化学-1.21%でした。非鉄金属は9日に+6.88%で上昇率1位だった業種ですが、10日・11日と2営業日続けて下落率1位に沈んでいます。
本日の主役は、半導体・電子部品の売りです。アドバンテストは2,200円(6.49%)安の3万1,720円で、1銘柄で日経平均を530円99銭押し下げました——下げ幅1,259円61銭の42.2%です。前日はこの銘柄が+260円67銭で指数を支えていましたから、1日で主役の役回りが正反対になりました。続いてソフトバンクグループが270円(3.96%)安の6,540円で-217円22銭、東京エレクトロンが1,350円(2.56%)安の5万1,460円で-135円76銭、キオクシアHDが4,060円(6.99%)安の5万4,030円で-95円27銭、イビデンが1,120円(5.42%)安の1万9,560円で-75円09銭。このほかレゾナックHDが10.68%安と225銘柄の値下がり率トップ、SCREEN HDが6.02%安、ロームが5.51%安、レーザーテックが4.82%安、ディスコが2.99%安と、製造装置・材料・メモリーまで幅広く売られました。
非鉄・資源関連も売られました。住友金属鉱山が6.93%安、三井金属が5.93%安、三菱マテリアルが4.43%安、電線株のフジクラが4.36%安。興味深いのは石油・石炭製品の-1.54%です。原油が100ドル台に乗せた日に、石油精製のENEOSホールディングスは2.11%安でした。一方で原油の開発・生産を手がけるINPEXは1.37%高で、鉱業は上昇率4位。大引け報道も「INPEX:中東緊迫化でWTI価格は一時104ドル台に上昇」と個別材料に挙げています。同じ原油高でも、原油を「掘る側」と「仕入れて精製する側」で株価の反応が分かれたという整理ができます。
買われた側で最も目立ったのは保険株です。MS&ADインシュアランスグループHDが2.56%高、東京海上HDが2.26%高、SOMPO HDが1.90%高、第一生命HDが2.73%高、T&D HDが1.80%高。国内長期金利が3%に達したことは相場全体の重荷でしたが、保険会社にとっては運用利回りの改善につながる材料です。銀行業も+0.19%と小幅ながら上昇し、株探の大引け記事は三井住友FGやみずほFGの堅調を伝えています(みずほFGは+0.56%)。自動車株ではSUBARUが2.28%高、デンソーが1.91%高、ホンダが1.80%高、スズキが1.76%高、トヨタ自動車が1.24%高と、円安を背景に輸出関連がそろって買われました。海運では川崎汽船が2.94%高、商船三井が0.95%高です。
プラス寄与度の上位は、前日に売られた銘柄の反発が中心です。1位は京セラの+21円99銭(2.36%高の3,551円)、2位はコナミグループの+12円74銭(1.87%高)、3位はバンダイナムコHDの+12円37銭(2.35%高)。バンダイナムコHDについては、株探が証券会社による目標株価の引き上げを個別材料に挙げています。前日にニンテンドーダイレクト通過で4.90%安だった任天堂も1.30%高と反発しました。ただしプラス寄与度上位5銘柄の合計は+68円72銭で、マイナス上位5銘柄の-1,054円33銭の約15分の1にすぎません。225銘柄では値上がりが95銘柄と4割強ありながら、指数への影響力では値がさの半導体株に圧倒されたことになります。なお東証グロース市場250指数は767.93と14.31ポイント(1.83%)安で続落しており、中小型の成長株にも買いは入りませんでした。
テクニカル分析
トレンドの位置
終値6万4,011円34銭は、短期・中期の移動平均線をすべて下回りました。5日線は6万5,218円85銭で終値の1,207円51銭上(乖離-1.85%)、25日線は6万6,149円23銭で2,137円89銭上(-3.23%)、75日線は6万6,814円17銭で2,802円83銭上(-4.19%)です。移動平均線とは過去一定期間の終値の平均で、5日線は直近1週間、25日線は約1か月、75日線は約3か月半、200日線は約10か月の平均コストを表します。25日線との乖離は前日の-1.43%から-3.23%へ一気に広がり、75日線を下回るのは8月21日から16営業日連続になりました。200日線は5万9,342円10銭と終値の4,669円24銭下(+7.87%)にあり、長期の上昇基調は保っていますが、乖離は前日の+10.12%から2.25ポイント縮まっています。
一目均衡表では、3営業日ぶりに「雲の下」へ沈みました。一目均衡表の「雲」とは、過去の値動きから算出した2本の線に挟まれた帯で、株価がその中にあると方向感に乏しい、上にあれば強い、下にあれば弱いと読むのが一般的です。本日の雲は6万4,790円66銭〜6万6,640円32銭で、終値は下端を779円32銭下回りました。雲の下で引けたのは9月8日以来です。転換線は6万5,000円24銭で終値の988円90銭上、基準線は6万6,408円44銭で2,397円10銭上——転換線がちょうど6万5,000円の節目と重なる位置にあり、ここが最初の戻りの関門になります。
TOPIXは、日経平均とは違う意味で節目を迎えました。終値4,028.30は75日線4,028.99をわずか0.69ポイント下回り、3月31日以来、約5か月半ぶりに75日線を下回って引けました。下回った幅は0.02%とごく小さく「割り込んだ」とまでは言い切れない水準ですが、日経平均が8月下旬から75日線の下にいたのに対し、TOPIXは4月以降、終値で75日線の上を保ってきた点で意味があります。一方、一目均衡表の雲(3,951.81〜3,985.83)は上端を42.47ポイント上回っており、「雲の上」は維持しています。安値3,967.18は日中に雲の中まで入りましたが、終値では押し戻しました。
サポートとレジスタンス
下値の目安は、本日の値動きの中にいくつも現れています。まず本日の安値6万3,208円63銭。その上に8月4日の終値6万3,957円53銭があり、本日の終値はこれをわずか53円81銭上回る位置です。ボリンジャーバンドの-2σは6万3,554円97銭で、本日の安値はこれを346円34銭下抜けたものの、終値は456円37銭上で引けました。ボリンジャーバンドとは移動平均線の上下に値動きのばらつき(標準偏差)の幅を加えた帯で、-2σの外に出るのは統計的に珍しい、いわゆる売られすぎの水準と読むのが一般的です。さらにその下に、市場推計のSQ値6万3,039円46銭があります。本日の安値を169円17銭下回る水準で、日中に一度もつけなかった、いわゆる「幻のSQ」です。SQ値は各構成銘柄の当日最初の約定値から計算されるため、指数の寄り付き値や日中の値動きと一致しないことがあり、市場ではこうした未達のSQ値が節目として意識されることがあります。その下は8月4日の安値6万2,864円43銭、7月29日の安値6万448円90銭です。
上値のレジスタンスは、6万5,000円を挟んで密集しています。雲の下端6万4,790円66銭、ボリンジャーバンドの-1σ6万4,852円10銭、転換線6万5,000円24銭、5日線6万5,218円85銭——終値から約780円〜1,210円上の範囲に4本の線が固まっています。本日の寄り付き6万4,276円82銭・高値6万4,312円02銭も、戻り局面では最初の目安になります。その上は25日線6万6,149円23銭、基準線6万6,408円44銭、雲の上端6万6,640円32銭、75日線6万6,814円17銭と、6万6,000円台に中期の線が集中しています。今週の高値は9月8日の6万6,791円84銭、安値は本日の6万3,208円63銭で、週間の値幅は3,583円21銭に及びました。
オシレーター
RSI(14日)は41.5で、前日の47.1から5.6ポイント低下しました。RSIは直近14日間の値上がり幅と値下がり幅の比率を0〜100で表した指標で、一般に30以下が売られすぎ、70以上が買われすぎ、50が中立とされます。9月上旬から40台後半で横ばいが続いていたRSIが、本日初めて明確に下向きになりました。ただし41.5は売られすぎの30までまだ距離がある水準です。TOPIXのRSIは43.5と、前日の46.3から2.8ポイントの低下にとどまりました。
MACDは-382.5、シグナルは-245.6、ヒストグラムは-136.8。MACDは短期と長期の移動平均の差を示す指標で、シグナル(MACDの平均線)を上抜けば買い、下抜けば売りのサインと読むのが一般的です。前日はヒストグラムのマイナス幅が84.8から70.8へ縮小し「下向きの勢いが弱まっている」と書きましたが、本日は-136.8と約1.9倍に拡大しました。下向きの勢いは再び強まったことになります。TOPIXのMACDも-1.2と、本日マイナス圏に転じました(シグナル12.3、ヒストグラム-13.5)。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら、「朝に最大の恐怖、引けには落ち着き」です。その動きを最もよく表しているのが日経平均VIです。日経平均VIは今後1か月の値動きの大きさに対する市場の予想を表す指標で、急落時に跳ね上がり、平常時は20〜30程度に落ち着くとされます。本日は9時02分に高値33.41をつけた後、一日かけて下がり続け、15時46分の29.80が安値——そのまま終値になりました。前日比では0.75(2.45%)の低下です。日経平均が1,259円安となった日に恐怖指数が下がって引けたのは一見矛盾していますが、「寄り付き直後に警戒がピークをつけ、その後は大引けまで和らいでいった」と読めば、安値から802円71銭戻した株価の動きと整合します。本日が9月物のSQ算出日で、先物・オプションの決済が一巡したことも需給面の重しを軽くした可能性があります。
売りの広がりは、指数の見た目ほどではありませんでした。東証プライムでは値上がり509銘柄に対し値下がり986銘柄で、値下がりは値上がりの1.94倍。日経平均225銘柄では値上がり95・値下がり128・変わらず2です。1,259円安という下げ幅にしては、上昇した銘柄が意外に多いと言えます。その理由は寄与度を見れば明らかで、マイナス上位5銘柄(すべてAI・半導体関連)を除けば、残る220銘柄の影響は差し引き約205円の下げにとどまります。TOPIXの下落率0.65%、NT倍率の15.890倍への低下(前日16.098倍)も、下げが値がさの半導体株に集中したことを示しています。
商いは膨らみました。東証プライムの売買代金は約8兆7,129億円で前日から4.0%増、売買高は約23億7,251万株で9.4%増。ただし本日はSQ算出日で、先物・オプションの決済に絡む売買が寄り付きに集中する日です。商いの増加をそのまま「売り意欲の強さ」と読むのは早計でしょう。1株あたりの平均約定単価は約3,672円で、前日の約3,866円から5.0%低下しました。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月14日(月)で、東京市場は通常どおり取引が行われます。ただしその間に、週末をまたいで重要な米国指標が控えています。本日の日本時間夜に米8月消費者物価指数(CPI)と9月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)が発表されます。本日の後場に下げ幅が縮小したのは、このCPIを前にポジションを整理する動きが強まったためです。CPIが市場予想を上回れば、原油高と合わせて「インフレ再燃→利上げ観測の強まり→金利上昇」という本日の構図がさらに強まり、下回れば金利上昇にいったん歯止めがかかるという関係にあります。その結果が東京市場に反映されるのは14日(月)の寄り付きです。
ふたつ目は、原油と半導体の動きです。WTI原油が100ドル台を維持するのか、本日の104ドル台から押し戻されるのか。そして10日に6日ぶりに反落したSOX指数が、週末の米国市場で下げ止まるかどうか。本日の日経平均の下げのうち83.7%は半導体関連5銘柄によるものでしたから、SOX指数の方向は来週の日経平均をそのまま左右します。ドル円は154円台前半で、米金利の動き次第で振れやすい局面です。
三つ目は、来週の日米中央銀行イベントとその先の連休です。FOMCは15〜16日(結果公表は日本時間17日未明)、日銀の金融政策決定会合は17〜18日(結果公表は18日)。本日の大引け報道が指摘したとおり、日米ともに利上げ観測が強まっていることが警戒材料です。さらに日銀会合の結果公表の翌日から、東京市場は9月19日(土)〜23日(水)の5連休(21日敬老の日・22日国民の休日・23日秋分の日)に入ります。中央銀行の結果を受けた海外市場の動きを、東京市場は5日間反映できない日程であり、来週後半は連休前のポジション調整も意識される点に注意が必要です。
テクニカル面で14日(月)に確認したいのは2点です。上は6万4,790円〜6万5,220円に固まる雲の下端・-1σ・転換線・5日線をどこまで回復できるか。下は本日の安値6万3,208円63銭と、その下の市場推計SQ値6万3,039円46銭を守れるかです。終値が8月4日の6万3,957円53銭を下回れば、終値ベースで8月3日(6万3,754円90銭)以来の安値水準に入ります。
戦略展望
今週5営業日を並べると、相場の性格がはっきり見えます。9月7日は1,378円90銭高、8日は1,130円51銭安、9日は126円55銭安、10日は128円17銭高、そして本日11日は1,259円61銭安——週間では前週末(9月4日)終値6万5,020円94銭から1,009円60銭(1.55%)安です。5日間のうち3日が1,000円超の値動きで、週間の値幅は3,583円21銭に達しました。方向よりも振れの大きさが目立つ一週間だったと言えます。
本日の値動きから読み取れる前向きな点は2つあります。ひとつは、安値から802円71銭戻して引けたこと。下ヒゲは実体の3.0倍あり、ボリンジャーバンドの-2σを割り込んだ水準では買い戻しが入ることを示しました。もうひとつは、下げが半導体に集中し、市場全体には広がり切らなかったことです。TOPIXは-0.65%で陽線、保険・海運・自動車・鉱業は上昇し、225銘柄でも95銘柄が値上がりしました。
一方で、慎重に見るべき点も3つあります。ひとつ目は、日経平均の終値が8月4日以来の安値となり、雲の下・16営業日連続の75日線割れという中期の弱い位置がむしろ深まったこと。ふたつ目は、TOPIXも約5か月半ぶりに75日線を下回り、MACDがマイナス圏に転じたこと——日経平均に比べて底堅かったTOPIXにも、勢いの陰りが見え始めています。三つ目は、原油100ドル台・国内長期金利3%・米10年債4.9%台という外部環境が、どれも本日1日で解消する性質のものではないことです。
したがって本日の値動きから導かれる見立てはこうです——「6万3,200円近辺では買い戻しが入ることを確認した。ただし上値は6万5,000円前後に線が密集しており、原油・金利・半導体の3つが落ち着かない限り戻りは限られやすい」。判別の材料は、本日夜の米CPI、週末のSOX指数、そして来週のFOMC・日銀会合です。その直後に5連休が控えることを考えると、来週は方向感よりも振れの大きさに備える局面と見るのが妥当でしょう。なお本節の見立てはあくまで本日までの数値から読める整理であり、将来の株価を予測するものではありません。
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