本日の主役は、たった1銘柄です。日経平均は405円73銭高の6万6,262円16銭と2日続伸しましたが、そのうち約301円70銭、実に74%をアドバンテスト1銘柄が押し上げました。同社は1,250円(3.63%)高の3万5,700円。しかも寄り付きは3万3,650円、9時台の安値は3万3,400円で、前日比1,050円(3.05%)安まで売られていました——そこから2,300円(6.89%)戻して高値圏で引けたのが本日です。日経平均も同じ形をなぞりました。始値6万5,604円49銭は前日終値から251円94銭のギャップダウン、安値6万5,390円55銭は前日比465円88銭安。そこから871円61銭戻して大引けです。前日までの2営業日と決定的に違ったのは、決着が後場ではなく前場でついたこと——前引けの時点ですでに371円12銭高で、上げ幅の91%は前場に積み上がっていました。終値6万6,262円16銭は一目均衡表の雲の下限6万6,061円99銭を200円17銭上回り、3営業日ぶりに「雲の中」へ戻っています。ただし東証プライムの売買代金は6兆7,057億円と、4月21日以来約4カ月ぶりに7兆円を割り込みました——27日早朝のエヌビディア決算を控え、商いは細り続けています。
本日の相場概況
8月26日の東京株式市場で日経平均株価は2日続伸し、前営業日比405円73銭(0.62%)高の6万6,262円16銭で取引を終えました。8月20日以来6営業日ぶりに6万6,200円台を回復しています。
まず、前回の記事の結論を検証します。25日の記事で私たちは、「翌営業日26日は、6万6,061円99銭(翌営業日の雲の下限)を終値で上回れるかどうかを、まず最初の判断材料としたい。必要な上昇率は0.31%」と書きました。結論から言えば、上回りました。終値6万6,262円16銭は雲の下限を200円17銭上回っており、実際の上昇率は0.62%と、必要とした0.31%のちょうど2倍です。3営業日ぶりに「雲の中」へ復帰しました。
同じ記事では「その271円上に75日線という次の関門が控えます」とも書いています。こちらは、届きませんでした。75日移動平均は本日6万6,370円25銭で、終値はこれを108円09銭(0.16%)下回っています。ただし本日の高値6万6,442円34銭は、この75日線を72円09銭上回りました——場中には抜けたが、終値では守られなかったという、きわどい一日です。また「26日は方向を決めずに膠着する展開も十分にあり得る」とも書きましたが、こちらは外れました。日中値幅1,051円79銭(1.60%)は、膠着とは呼べない振れ幅です。
日足の形を見ていきます。始値6万5,604円49銭・高値6万6,442円34銭・安値6万5,390円55銭・終値6万6,262円16銭。始値から終値までの実体は657円67銭の陽線で、下ヒゲ213円94銭・上ヒゲ180円18銭です。25日の「下ヒゲ585円79銭・上ヒゲ47円81銭」と比べると、本日はヒゲが上下ほぼ同じ長さになりました。実体657円67銭が値幅1,051円79銭の63%を占める、素直な陽線です。
寄り付きは6万5,604円49銭——前日終値から251円94銭(0.38%)のギャップダウンで始まりました。安値6万5,390円55銭は前日比465円88銭(0.71%)安で、25日の「寄り付き15分で918円安」に比べれば、朝の下げは半分です。そして安値から終値まで871円61銭を戻しました。2営業日続けて「朝安・大引け高」の形になっています。
ただし、時間帯の内訳は前日と正反対でした。前引けは6万6,227円55銭、前日比371円12銭高です。本日の上げ幅405円73銭のうち、371円12銭(91.4%)は前場に積み上がっており、後場に増えたのはわずか34円61銭でした。24日は下げ幅の9割が後場に、25日は上げ幅の8割が後場に発生しましたが、本日は上げ幅の9割が前場です。3営業日続いた「後場に方向が決まる」パターンは、本日で途切れました。後場は6万6,200円台でほぼ横ばい——決算待ちの膠着が、後場だけを切り取れば確かに起きていたことになります。
TOPIXも上昇しました。TOPIXは17.35ポイント(0.42%)高の4,111.02で5日続伸。始値4,096.35、高値4,118.44、安値4,090.39で、日中値幅は28.05ポイント(0.69%)です。注目したいのは、日経平均の上昇率0.62%に対しTOPIXが0.42%と、日経平均のほうが0.20ポイント大きかったこと——結果としてNT倍率は16.118倍と、前日の16.087倍から0.031ポイント上昇しました。値がさ株1銘柄が指数を押し上げた日らしい動きです。TOPIXの値幅0.69%は日経平均の1.60%の半分以下で、市場全体はむしろ静かだったことが分かります。
騰落銘柄数は本日、はっきり改善しました。東証プライムの値上がりは978銘柄(全体の約63%)、値下がりは518銘柄(約33%)、変わらずは60銘柄。25日の846銘柄から132銘柄増え、値下がりは647銘柄から129銘柄減っています。東証33業種では上昇18業種・下落15業種で、こちらは25日の22業種上昇から4業種減りました。個別の値上がり数は増えたのに、業種単位の上昇数は減った——上げが特定の業種に集中したのではなく、広く薄く分散していたことを示す組み合わせです。
日経平均採用225銘柄に絞ると、値上がり125銘柄・値下がり96銘柄・変わらず4銘柄。値上がりは全体の56%で、プライム全体の63%より低い水準です。裾野のほうが強く、大型株のほうが弱かった——それでも指数が0.62%上げたのは、上げた銘柄のなかに指数寄与の極端に大きい1社があったからにほかなりません。
そして本日も、いちばん引っかかる数字は売買代金です。東証プライムの売買代金概算は6兆7,057億円——25日の約7兆99億円からさらに約3,042億円(4.3%)減り、4月21日以来約4カ月ぶりに7兆円を割り込みました。3営業日連続の8兆円割れです。売買高も約18億5,351万株と、25日の約19億118万株から約4,767万株(2.5%)減少しました。25日は「株数は増えたのに金額は減った」でしたが、本日は株数も金額も減っています。25日の記事で「あと99億円減れば6兆円台」と書きましたが、実際には3,042億円減って、その水準を大きく下回りました。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,262.16円 | +405.73円 (+0.62%) 2日続伸 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 66,442.34 / 65,390.55 | 始値 65,604.49円 (値幅1,052円・実体658円の陽線) |
| 日経平均 上ヒゲ / 下ヒゲ | 180.18円 / 213.94円 | 25日の「下ヒゲ12倍」から、上下ほぼ同じ長さに |
| 日経平均 一時の下げ幅 | -465.88円 | 安値時点。25日の-918.62円から半減 |
| 安値からの戻り幅 | +871.61円 | 安値65,390.55から終値まで。2営業日連続の朝安・大引け高 |
| 日経平均 寄り付きのギャップ | -251.94円 (-0.38%) | 始値65,604.49円。3営業日連続のギャップダウン発進 |
| 日経平均 前引け | 66,227.55円 | +371.12円。上げ幅の91.4%は前場に発生 |
| 後場の値動き | +34.61円 | 上げ幅の8.6%のみ。後場はほぼ横ばいで膠着 |
| TOPIX | 4,111.02 | +17.35 (+0.42%) 5日続伸 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,118.44 / 4,090.39 | 始値 4,096.35 (値幅28.05・0.69%) |
| NT倍率 | 16.118倍 | 前日16.087倍から0.031上昇。値がさ株主導を反映 |
| NYダウ (8/25終値) | 53,577.40 | +160.24 (+0.30%) 3日続伸 |
| S&P 500 (8/25終値) | 7,677.28 | +24.42 (+0.32%) 1日ぶり反発 |
| ナスダック総合 (8/25終値) | 26,151.30 | +171.11 (+0.66%) 1日ぶり反発 |
| SOX指数 (8/25終値) | 11,588.04 | +164.87 (+1.44%) 前日の2.70%安から切り返し |
| 米VIX指数 (8/25終値) | 15.45 | -0.40 (-2.52%) 15台前半へ低下 |
| 米10年債利回り (8/25終値) | 4.64%前後 | 24日の4.704%から約6bp低下。2営業日連続の低下 |
| 韓国KOSPI | 6,808.21 | +65.47 (+0.97%) 2日続伸 |
| 台湾加権指数 | 45,832.62 | +663.16 (+1.47%) アジアで最も強い上昇 |
| 香港ハンセン指数 | 25,674.08 | +162.98 (+0.64%) |
| 上海総合指数 | 3,912.52 | +23.07 (+0.59%) 3,900台を回復 |
| 米ドル/円 | 159円02銭前後 | -18銭 (16時24分時点)。小幅な円高だが159円台は維持 |
| 東証プライム 売買代金 | 約6兆7,057億円 | 25日の約7兆99億円から約3,042億円 (4.3%) 減 |
| 売買代金の水準 | 4月21日以来の7兆円割れ | 約4カ月ぶりの低水準。3営業日連続の8兆円割れ |
| 東証プライム 売買高 | 約18億5,351万株 | 25日の約19億118万株から約4,767万株 (2.5%) 減 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 978銘柄 / 518銘柄 (変わらず60) | 値上がりが約63%。25日の846銘柄から132銘柄増 |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 125銘柄 / 96銘柄 (変わらず4) | 値上がりは56%。プライム全体の63%より低い |
| 東証33業種 上昇/下落 | 18業種 / 15業種 | 25日の22業種上昇から4業種減少 |
| 業種別 上昇率上位 | 証券・商品先物 +2.05% | 以下 サービス業+1.85%、保険業+1.68%、銀行業+1.41% |
| 業種別 下落率上位 | 海運業 -2.37% | 以下 石油・石炭-1.84%、金属製品-0.88%、鉱業-0.84% |
| 最大のプラス寄与 | アドバンテスト | 1銘柄で日経平均を約301円70銭押し上げ (1,250円高の35,700円) |
| アドバンテストの寄与シェア | 上げ幅の約74% | 301.70円 ÷ 405.73円。1銘柄で4分の3を説明 |
| プラス寄与 上位3銘柄合計 | 約+418円15銭 | アドテスト+ソフトバンクG+リクルート。上げ幅の103% |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | 約+439円42銭 | 上記3社+東京海上・中外製薬。上げ幅の108% |
| 最大のマイナス寄与 | ファーストリテイリング | 1銘柄で日経平均を約32円99銭押し下げ (410円安の72,120円) |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | 約-62円02銭 | ファストリ・TDK・太陽誘電・テルモ・信越化 |
| ストップ高 / ストップ安 | 10銘柄 / 1銘柄 | 引け時点。25日の3銘柄から3倍超に増加 |
| 日経平均 5日線からの距離 | +286.20円 | 5日線 65,975.96。25日の+67.61円からさらに上方へ |
| 日経平均 25日線からの乖離 | +0.96% | 25日線 65,632.63。25日の+0.34%から0.62ポイント拡大 |
| 日経平均 75日線との差 | -108.09円 (-0.16%) | 75日線 66,370.25。高値66,442.34では72円09銭上回った |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 67,049.61 / 下限 66,061.99 | 終値は下限を200.18円上回り、3営業日ぶりに雲の中へ |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -6,569.57円 (-9.02%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。25日の-9.58%から改善 |
| 7月29日安値からの戻り | +5,813.26円 (+9.62%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。25日の+8.95%から拡大 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料は、3つに整理できます。(1)前日の米SOX指数の切り返し、(2)台湾・韓国市場の続伸、(3)エヌビディア決算を翌朝に控えた様子見——このうち(1)と(2)が値がさ半導体株の買い戻しを支え、(3)が商いと後場の値動きの両方を止めたというのが本日の構造です。順に見ていきます。
まず前日の米国市場です。NYダウは160ドル24セント(0.30%)高の5万3,577ドル40セントと3日続伸し、S&P500は24.42ポイント(0.32%)高の7,677.28、ナスダック総合は171.11ポイント(0.66%)高の2万6,151.30と主要3指数がそろって上昇しました。そしてSOX指数は164.87ポイント(1.44%)高の1万1,588.04——24日の2.70%安から反発しています。
25日の記事で「SOXが連日で大きく下げるようなら本日の買い戻しは続きにくい。逆にSOXが反発すれば、雲の下限突破の現実味が増します」と書きました。SOXは1.44%反発し、日経平均は雲の下限を200円17銭上回って引けました——この条件分岐は、そのまま成立したことになります。ただしSOXの戻りは24日の下げ幅2.70%の半分強で、全値戻しには至っていません。
2つめがアジア市場です。台湾加権指数は663.16ポイント(1.47%)高の4万5,832.62と本日のアジアで最も強く、韓国KOSPIも65.47ポイント(0.97%)高の6,808.21で2日続伸しました。香港ハンセン指数は162.98ポイント(0.64%)高の2万5,674.08、上海総合指数は23.07ポイント(0.59%)高の3,912.52と、アジア主要4市場がすべて上昇しています。
ここで注意したいのは、東京市場の朝安がアジアの弱さで説明できないことです。24日はKOSPIの3.12%安が東京の半導体株を直撃し、25日はKOSPIの0.68%高が買い戻しを誘発しました。しかし本日は、米国もアジアも上げているのに、日経平均は251円94銭のギャップダウンで始まり、465円88銭安まで売られています。2営業日続いた「アジアが東京の方向を先に示す」関係は、朝の時点では機能しませんでした。売られたのは、前日に大きく戻していた銘柄の利益確定——実際、25日に6.30%高だったイビデンは本日0.50%高にとどまり、5.50%高だったフジクラは0.25%高、10.34%高だった古河電気工業は2.38%安に転じています。
3つめがエヌビディアの決算です。発表は日本時間27日(木)早朝——本日の大引け後、わずか十数時間後に迫っています。この日柄が、本日の相場のかたちを決めました。売買代金6兆7,057億円は4月21日以来約4カ月ぶりの7兆円割れで、3営業日連続の8兆円割れです。そして後場の値動きはわずか34円61銭——前場で上げきったあと、誰も動かなかったのが後場の実態でした。
その一方で、値幅そのものは1,051円79銭(1.60%)と大きい点は押さえておく必要があります。25日の1,294円77銭からは縮小しましたが、2営業日連続で1,000円超です。商いが4カ月ぶりの少なさで、値幅は2日続けて1,000円超——薄い板に少数の注文がぶつかって価格が大きく振れる状態が、本日も続きました。
金利は2営業日続けて株式に追い風でした。米10年債利回りは25日終値で4.64%前後となり、24日の4.704%から約6bp低下しています。21日の4.740%からは2営業日で約10bpの低下です。VIXも15.85から15.45へ0.40ポイント(2.52%)低下しました。金利が下がり、恐怖指数も下がり、米国株が上げた——外部環境という点では、本日の東京市場に売られる理由はほとんどありませんでした。それでも朝は465円安まで売られ、商いは4カ月ぶりの低水準だったという事実が、決算待ちという日柄の重さを物語っています。
為替は小幅な円高でした。米ドル/円は16時24分時点で159円02銭前後、前日比18銭の円高です。159円台は維持していますが、25日の159円35銭からはわずかに円が買い戻された形になります。そして本日も、為替は自動車株を動かしていません。トヨタ自動車は12円(0.39%)安の3,070円、ホンダは21円50銭(1.27%)安の1,674円50銭で、輸送用機器は0.32%安と2営業日連続の下落業種です。25日の記事で「円安が自動車株の買い材料として機能するかどうかは26日も確認しておきたい」と書きましたが、本日は円が18銭高くなり、自動車株はやはり下げました。円安でも円高でも売られる——為替は今の自動車株の変数になっていない、というのが2営業日を通した答えです。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
東証33業種のうち18業種が上昇しました。上昇率首位は証券・商品先物取引業(+2.05%)で、以下、サービス業(+1.85%)、保険業(+1.68%)、銀行業(+1.41%)、医薬品(+1.04%)が続いています。金融3業種(証券・保険・銀行)が上位4つのうち3つを占めるという顔ぶれです。
- アドバンテストは1,250円(3.63%)高の3万5,700円。1銘柄で日経平均を約301円70銭押し上げ、寄与度は圧倒的トップでした。本日の値動きは劇的です——始値3万3,650円は前日終値3万4,450円から800円(2.32%)安、安値3万3,400円は1,050円(3.05%)安。そこから高値3万5,910円まで2,510円を戻し、終値は高値から210円のところです。安値からの上昇幅は2,300円(6.89%)。寄与度に換算すると、安値時点では日経平均を約253円押し下げていた計算(株探掲載の寄与度から逆算した当サイトの推定値)になり、そこから約301円の押し上げまで、1銘柄で約555円ぶん指数を振り回したことになります。本日の日経平均の値幅1,052円の、およそ半分です。
- ソフトバンクグループは76円(1.49%)高の5,163円で約61円14銭の押し上げ、寄与度2位。25日に続き2営業日連続でプラス寄与のトップ級に入りました。
- リクルートホールディングスは550円(3.31%)高の1万7,155円で約55円31銭の押し上げ、寄与度3位。終値が本日の高値と同値の高値引けで、サービス業を業種別上昇率2位に押し上げた主因です。
- 東京海上ホールディングスは221円(2.98%)高の7,629円で約11円11銭の押し上げ。保険業が上昇率3位となりました。25日も2.02%高でしたから、2営業日連続の上昇です。
- 中外製薬は101円(1.45%)高の7,051円、第一三共は70円50銭(2.49%)高の2,900円。それぞれ約10円16銭・約7円09銭の押し上げで、医薬品を上昇率5位に押し上げています。25日の医薬品は-0.21%の下落業種でしたから、1営業日で反転しました。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループは50円(1.42%)高の3,579円。日銀の利上げ観測を背景に、銀行株が2営業日連続で買われました。銀行業は+1.41%で上昇率4位です。
- 住友金属鉱山は325円(2.89%)高の1万1,575円、三菱マテリアルは335円(5.95%)高の5,963円、DOWAホールディングスは355円(3.52%)高の1万450円、三井金属は695円(2.45%)高の2万9,025円。貴金属価格の上昇とレアメタル関連への物色が続き、非鉄金属は+0.81%となりました。
- 東京エレクトロンは90円(0.16%)高の5万5,500円で約9円05銭の押し上げ。3営業日連続でプラス寄与ですが、上昇率はアドバンテストの23分の1にとどまりました。
- ソニーグループは46円(1.20%)高の3,878円、ダイキン工業は155円(0.74%)高の2万985円、村田製作所は55円(0.77%)高の7,185円。
- ストップ高は10銘柄と、25日の3銘柄から3倍超に増えました。第一稀元素化学工業が500円(23.91%)高の2,591円でストップ高——先端半導体向けハフニウムの国内製造に関する発表が材料視されました。弁護士ドットコムも705円(16.23%)高の5,050円でストップ高です。そのほか東邦亜鉛が79円(6.85%)高の1,232円、日鉄鉱業が230円(6.20%)高の3,940円と、レアメタル・資源リサイクル関連が幅広く物色されました。
この顔ぶれから見えるのは、本日の上げが「2階建て」だったことです。1階は金融・医薬・非鉄という、指数寄与は小さいが銘柄数の多い業種の底堅さ。これが値上がり978銘柄という数字を作りました。2階はアドバンテスト1銘柄による指数の押し上げで、これが405円という上げ幅の74%を作りました。2つはほとんど無関係に動いています——裾野が買われたから指数が上がったのではなく、裾野も買われたし、たまたま指数寄与の巨大な1社も買われた、というのが正確な表現です。
金融株の強さは、25日から2営業日続いています。25日は保険・銀行・証券が上昇率2〜4位を独占し、本日は証券が首位、保険3位、銀行4位です。ただし本日も、米長期金利は約6bp低下しています。「金利上昇で金融株高」という説明は、2営業日続けて使えません。市場が見ているのは米国の金利ではなく、日銀の政策——大引け報道でも「日銀の利上げ観測」が銀行株買いの背景として挙げられています。
売られたセクター・銘柄
下落は15業種で、下落率上位は海運業(-2.37%)、石油・石炭製品(-1.84%)、金属製品(-0.88%)。そのほか鉱業(-0.84%)、陸運業(-0.63%)、繊維製品(-0.51%)、食料品(-0.40%)、精密機器(-0.38%)、輸送用機器(-0.32%)が下げています。
- ファーストリテイリングは410円(0.57%)安の7万2,120円。下落率は0.6%未満ですが、株価水準が高いため約32円99銭の押し下げとなり、マイナス寄与のトップです。4営業日連続でマイナス寄与の上位に入っています。
- キオクシアホールディングスは1,260円(2.46%)安の5万0,000円。25日は売買代金トップでプラス圏を確保しましたが、本日は5万円ちょうどまで下落しました。KOSPIが0.97%高だったにもかかわらず下げた点は、「KOSPIを見ればメモリー株の方向がわかる」という2営業日続いた関係が、本日は崩れたことを意味します。
- TDKは18円(0.59%)安の3,031円で約9円05銭の押し下げ、マイナス寄与2位。太陽誘電は210円(2.27%)安の9,060円で約7円04銭の押し下げです。25日は太陽誘電が1.32%高でしたから、電子部品は1営業日で反落しました。
- テルモは24円50銭(0.94%)安の2,572円で約6円57銭の押し下げ。精密機器が0.38%安となった主因です。
- 信越化学工業は38円(0.63%)安の5,967円で約6円37銭の押し下げ。2営業日連続のマイナス寄与です。
- 古河電気工業は95円(2.38%)安の3,905円。25日に10.34%高で4,000円台に乗せたばかりでしたが、1営業日で4,000円を割り込みました。フジクラは13円(0.25%)高の5,305円と小幅高にとどまり、電線株の勢いは続きませんでした。
- レーザーテックは330円(0.94%)安の3万4,620円。アドバンテストが3.63%高だった一方で、半導体製造装置のなかでも銘柄によって明暗が分かれました。
- 日本郵船は177円(2.48%)安の6,964円で7,000円台を割り込み、海運業を業種別下落率トップに押し下げました。25日も0.82%安でしたから、2営業日連続の下落です。
- ENEOSホールディングスは28円50銭(2.12%)安の1,313円。原油先物の下落を受け、石油・石炭製品が業種別下落率2位となりました。
- 三菱商事は47円(0.99%)安の4,718円、三井物産は55円(1.11%)安の4,894円。資源価格の下落を受け、商社株がそろって売られました。卸売業は-0.28%です。
- JR東日本は41円(1.13%)安の3,584円で陸運業が-0.63%。味の素は81円(1.47%)安の5,416円で食料品が-0.40%となりました。
本日の売られ方で目を引くのは、下落率上位が「資源・輸送」に集中したことです。海運業(-2.37%)、石油・石炭製品(-1.84%)、鉱業(-0.84%)、陸運業(-0.63%)——大引け報道では原油先物の下落が指摘されており、資源価格の下落が共通の背景とみられます。25日の下落率トップが輸送用機器だったのに対し、本日は海運で、売られる業種は日替わりで入れ替わっています。
もう一点、マイナス寄与の絶対値が2営業日続けて小さいことも重要です。本日のマイナス寄与上位5銘柄の合計は約62円02銭で、25日の約62円19銭とほぼ同じ。24日の約749円72銭からは12分の1の水準が続いています。指数を押し下げる力は、2営業日連続で不在でした。逆にプラス寄与は上位3銘柄だけで約418円15銭と、実際の上げ幅405円73銭を上回っています——上位3銘柄以外は差し引きでマイナスだったという計算です。指数の中身は、25日以上に偏りました。
テクニカル分析
トレンド
本日の405円高で、日経平均は雲の下限を回復しました。残る関門は75日線ひとつです。順に確認します。
25日移動平均は6万5,632円63銭(推定であり確定値ではありません)で、終値6万6,262円16銭はこれを629円53銭上回っています。25日線からの乖離率は+0.96%——25日の+0.34%から0.62ポイント拡大しました。25日線自体は25日の6万5,631円43銭から1円20銭の上昇にとどまっており、ほぼ真横です。線が横ばいで、株価だけが上に離れた——短期の位置関係としては、最も素直な改善のしかたです。
5日移動平均は6万5,975円96銭で、終値はこれを286円20銭上回りました。25日は67円61銭上でしたから、1営業日で218円59銭ぶん距離が広がったことになります。5日線自体も25日の6万5,788円82銭から187円14銭上昇しており、25日の記事で書いた「5日線の自然低下は一巡」という見立てのとおり、線は上向きに転じました。
75日移動平均は6万6,370円25銭で、終値はこれを108円09銭(0.16%)下回っています。25日の462円56銭下から354円47銭縮まりました。そして本日の高値6万6,442円34銭は、この75日線を72円09銭上回っています——25日は高値でも414円75銭届かなかった水準に、本日は場中に手が届きました。ただし終値では戻された点が重要です。75日線自体も25日の6万6,318円99銭から51円26銭上昇しており、中期のトレンドはまだ下向きから転じていません。
200日移動平均は5万8,475円53銭で、終値はこれを7,786円63銭(13.32%)上回っています。25日の12.77%からさらに拡大しました。200日線は25日の5万8,400円76銭から74円77銭上昇しており、長期の上昇トレンドは崩れていません。いま起きているのは、長期トレンドのなかの中期調整——この整理は、3営業日変わりません。
サポート・レジスタンス
一目均衡表の雲は、上限6万7,049円61銭・下限6万6,061円99銭(いずれも推定)です。終値6万6,262円16銭は下限を200円17銭上回っており、3営業日ぶりに「雲の中」へ復帰しました。25日は下限を191円18銭下回っていましたから、1営業日で391円35銭ぶん位置関係が改善したことになります。雲の厚みは987円62銭で、25日の1,907円56銭からほぼ半分に薄くなりました。25日の記事で「雲が薄い局面は、抜けるときに一気に抜けやすい」と書きましたが、実際に下限は一気に抜けました。
翌営業日の雲は、上限6万6,903円95銭・下限6万6,061円99銭と算出されます。下限は本日と同値で据え置き、上限は145円66銭下がって厚みは841円96銭へさらに薄くなります。下限が動かないということは、翌営業日に終値6万6,061円99銭を割り込めば、そのまま雲の下へ戻ることを意味します。本日終値からの距離は200円17銭(0.30%)——薄い緩衝地帯です。
転換線は6万7,108円86銭、基準線は6万5,028円57銭です。終値は転換線を846円70銭下回り、基準線を1,233円59銭上回っています。25日は転換線を1,252円43銭下回っていましたから、405円73銭ぶん接近しました。基準線との距離は827円86銭から1,233円59銭へ広がっており、下値の支えとしては余裕が生まれています。
水準を整理します。上値の抵抗は、6万6,370円25銭(75日線)→6万6,442円34銭(本日高値)→6万6,903円95銭(翌営業日の雲の上限)→6万7,108円86銭(転換線)の順。75日線と本日高値は72円しか離れておらず、事実上ひとつの節目です。下値の支えは、6万6,061円99銭(雲の下限)→6万5,975円96銭(5日線)→6万5,632円63銭(25日線)→6万5,390円55銭(本日の安値)。雲の下限と5日線は86円しか離れておらず、この2本がひとかたまりの支持帯を形成しています。
オシレーター
RSI(14日)は49.8(推定)で、25日の48.2から1.6ポイント上昇しました。RSI(9日)も49.8で、25日の46.9から2.9ポイント上昇です。14日と9日がともに49.8とほぼ完全に一致し、いずれも中立とされる50をわずかに下回る水準にあります。短期と中期の勢いが同じ値に収束した——買われすぎでも売られすぎでもなく、方向感のない状態を数字で表したような並びです。
MACDは-3.1、シグナルは23.5(推定)で、MACDがシグナルを26.6ポイント下回っています。25日はMACD-0.0・シグナル30.1で差は30.1ポイントでしたから、差は3.5ポイント縮まりました。25日に示現したデッドクロスは、本日も解消していません。ただし差の縮小は、下向きの勢いが弱まっていることを示します。MACD自体は-3.1とゼロ近傍で、12日EMAと26日EMAがほぼ同じ位置にあることを意味します。
したがって本日のオシレーターは、2営業日続けて「割れたまま接近中」です。RSIは中立圏で改善、MACDは弱気のままだが差は縮小。移動平均で見た「雲の下限と5日線・25日線は回復したが75日線には108円届かない」という構図と、同じことを言っています。本日の上昇で、中期トレンド転換の一歩手前まで来た——ただし、まだ一歩残っているというのが、テクニカル面での率直な評価です。
市場心理
本日の市場心理を一言でまとめれば、「前場で買い、後場は動かず」です。
前場の買いは、はっきりしていました。寄り付きは251円94銭のギャップダウン、安値は465円88銭安。それが前引けには371円12銭高まで戻っています。安値から前引けまでで837円——本日の戻り871円61銭の96%が、前場の3時間で起きました。朝の下げは前日に大きく戻した銘柄の利益確定で、それが一巡すると買い戻しが入ったという、25日と同じ構図です。
一方、後場は動きませんでした。前引け6万6,227円55銭から終値6万6,262円16銭まで、上昇はわずか34円61銭(0.05%)です。25日は後場に258円積み上げ、24日は後場に下げ幅の9割が発生しました。本日の後場は、3営業日で最も静かな時間帯でした。売買代金6兆7,057億円という4カ月ぶりの低水準の多くは、この後場の静けさが作っています。
その理由は明快で、翌27日早朝のエヌビディア決算です。25日の記事では「中1営業日後」と書きましたが、本日の大引け時点では十数時間後。後場に新しいポジションを取る理由がありませんでした。25日に「26日はさらに商いが細る可能性があります」と書きましたが、実際に3,042億円細りました。
裾野の強さは、4営業日続いています。21日・24日・25日・26日と4営業日連続で東証プライムの値上がり銘柄が過半を占め、本日は978銘柄(63%)と、この4日間で最多となりました。ストップ高も10銘柄と25日の3銘柄から3倍超に増えています。指数が下げた日も上げた日も、市場の裾野はずっと買われていた——この一貫性は、相場全体が崩れる局面の姿ではありません。
ただし警戒すべき点も残ります。本日の上げ幅405円73銭のうち301円70銭(74%)がアドバンテスト1銘柄によるもので、上位3銘柄の寄与合計418円15銭は上げ幅を上回っています。つまり、その3銘柄を除けば指数は下がっていた計算です。そして、その3銘柄のうち最大のアドバンテストは、エヌビディアの決算に最も直接的に反応する銘柄でもあります。本日の上昇は、決算への強気な賭けが1銘柄に集中した結果とも読めます。賭けが外れたときの反動も、同じ1銘柄に集中することになります。
加えて、雲の下限6万6,061円99銭は翌営業日も同値で据え置かれます。本日終値からの距離はわずか200円17銭(0.30%)。本日の値幅1,052円の5分の1にすぎません。2営業日連続で1,000円超の値幅が出ている相場で、200円の緩衝地帯は薄すぎます。3営業日ぶりに雲の中へ戻ったばかりで、翌営業日にまた雲の下へ落ちる可能性も、決して低くはありません。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は8月27日(木)です。祝日はなく、通常取引となります。
- 最大の焦点はエヌビディアの決算です。発表は日本時間27日(木)早朝——27日の東京市場は、その結果を織り込む最初の場になります。本日の上げ幅の74%を作ったアドバンテストは、この決算に最も直接反応する銘柄です。決算後の株価反応がそのまま日経平均に増幅されて表れるとみておくべきでしょう。3営業日続いた薄商いも、27日は一転して膨らむ可能性があります。
- 上値の第一関門は75日線6万6,370円25銭です。本日終値からあと108円09銭(0.16%)。本日の高値6万6,442円34銭はすでにこれを72円09銭上回っており、場中には到達している水準です。終値でここを上回れば、8月19日以来の75日線回復となります。
- その先に控えるのが翌営業日の雲の上限6万6,903円95銭。本日終値から641円79銭(0.97%)上です。ここを終値で上回れば「雲の上」へ完全復帰となります。雲の厚みが841円96銭とさらに薄くなるため、勢いがつけば一気に抜ける余地はあります。
- 下値の第一関門は雲の下限6万6,061円99銭です。翌営業日も同値で据え置かれ、本日終値からの距離は200円17銭(0.30%)。ここを終値で割り込めば、1営業日で雲の下へ逆戻りします。次いで5日線6万5,975円96銭(86円下)、25日線6万5,632円63銭が支えです。
- アドバンテストの寄与集中がどこまで続くかも見どころです。本日は1銘柄で301円70銭、上げ幅の74%。25日はソフトバンクGが90円11銭で27%、24日はアドバンテストが337円90銭の押し下げでした。3営業日続けて、日経平均は「1〜2銘柄で決まる指数」になっています。この偏りが続く限り、TOPIXと日経平均の乖離は広がりやすく、指数の水準だけを見て市場全体を判断するのは危険です。
- 売買代金が6兆円台に沈むかどうかも確認したい点です。6兆7,057億円は4月21日以来の水準で、3営業日連続で減少しています。決算通過で商いが戻るのか、それとも一段と細るのか——27日の売買代金は、市場の温度を測る最も分かりやすい指標になります。
- 前日26日の米国市場も確認材料です。SOX指数は24日に2.70%安、25日に1.44%高と振れています。26日の米国市場はエヌビディア決算の発表前にあたるため、大きくは動きにくいとみられますが、SOXが再び下げるようなら、本日の買い戻しは続きにくいでしょう。
- 為替は159円台での推移が続いています。ただし本日は18銭の円高でも自動車株が売られ、25日は26銭の円安でも自動車株が売られました。2営業日続けて「為替の方向と自動車株の方向が一致しない」状態です。この乖離が3営業日続くかどうかは、為替が輸出株の材料として機能しなくなっているかを見極める材料になります。
戦略展望
整理すると、本日の相場は「1銘柄が指数を持ち上げた日」でした。アドバンテスト1社で301円70銭、上げ幅405円73銭の74%——この1点に本日のすべてが集約されています。
良い材料は3つあります。(1)終値が一目均衡表の雲の下限を200円17銭上回り、3営業日ぶりに雲の中へ復帰したこと。(2)値上がり978銘柄・63%と、この4営業日で最も裾野が強かったこと。(3)高値6万6,442円34銭が75日線を72円09銭上回り、場中には中期の抵抗帯に手が届いたこと——いずれも、8月中旬からの調整が終盤に入りつつあることを示唆します。
気になる材料も3つあります。(1)売買代金6兆7,057億円は4月21日以来の低水準で、3営業日連続の減少であること。(2)上げ幅の74%が1銘柄、上位3銘柄の寄与合計が上げ幅を上回るという極端な偏り。(3)MACDのデッドクロスが解消しておらず、75日線も終値では108円09銭届かなかったこと。
この3つずつの材料が示すのは、「形は整ったが、中身は薄い」という状態です。チャート上は雲の中へ戻り、5日線・25日線の上に位置し、75日線まで108円——見た目の位置関係は8月19日以来の良さです。しかしその中身は、4カ月ぶりの薄商いと、1銘柄への極端な依存でした。
そして、その決着は明朝に付きます。27日早朝のエヌビディア決算が、本日の上げを作ったアドバンテストの、そして日経平均の方向を決めるからです。本日の売買代金が4カ月ぶりの低水準だったのは、市場参加者の多くが「その結果を見てから動く」と決めている証拠と言えます。
翌営業日27日は、6万6,370円25銭(75日線)を終値で上回れるかどうかを、まず最初の判断材料としたいところです。必要な上昇率は0.16%——本日すでに場中で到達した水準ですから、決算が悪くなければ届く距離です。逆に雲の下限6万6,061円99銭(本日終値から0.30%下)を終値で割り込むようなら、本日の雲復帰は1営業日で無効になります。この200円の幅が、翌営業日の相場を判断する物差しです。決算というイベントを挟む以上、上下どちらにも本日の値幅1,052円を超える動きが出る可能性は十分にあると考えておくべきでしょう。
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