【8月14日】日経平均405円高で6万8713円、一時6万9600円台から失速

2026年8月14日(金) 東京市場クローズ
日経平均 68,713.80円 +405.21円 (+0.59%)

前日の米7月PPIが市場予想を下回り、早期の追加利上げ観測が後退。S&P500は最高値を更新し、その流れが東京に波及しました。日経平均は405円21銭高の6万8,713円80銭で4日続伸です。ただし中身は前日以上に劇的でした。9時39分に高値6万9,608円24銭まで1,299円65銭高まで駆け上がり、昨日の記事で最大の焦点とした一目均衡表の雲上限6万8,842円80銭を765円44銭も上抜けました。しかし終値は雲上限の129円下——日中に抜いた雲へ、大引けで押し戻されたのです。上ヒゲ797円07銭に対し実体はわずか97円38銭の陰線で、上げ幅は高値時点の31%まで縮小。一方TOPIXは8日続伸で連日の最高値更新MACDは6月以来のゼロライン上へ浮上しました。続伸なのに陰線——強気と警戒が同じ一日に同居した相場です。

本日の相場概況

8月14日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸し、前営業日比405円21銭(0.59%)高の6万8,713円80銭で取引を終えました。10日の1,363円高、12日の553円高、13日の784円高に続く4連騰で、7日終値6万5,606円71銭からの4営業日の上昇幅は3,107円09銭に達しています。

ただし本日の一日は、上昇幅の数字よりもその形を見る必要があります。始値は6万8,811円17銭——前営業日終値6万8,308円59銭に対して502円58銭のギャップアップで、2営業日連続のマド空けスタートでした。そして9時39分に高値6万9,608円24銭を付けます。前日終値からの上げ幅は1,299円65銭——文字どおり「一時1,300円近く高」という水準です。

この高値には二つの意味がありました。第一に、取引時間中の6万9,000円台回復は7月13日(高値6万9,078円21銭)以来、約1カ月ぶりだという点です。第二に、7月10日の高値6万9,374円86銭を233円38銭上抜けたという点です。市場で「目先の上値抵抗」として意識されていた水準を、朝の40分足らずで通過してしまったことになります。

ところが、そこからが本日の本題でした。堅調だった韓国総合株価指数(KOSPI)が上げ幅を縮めると、日経平均も失速。後場に入ると週末に伴う持ち高調整売りが出たほか、日銀による9月の追加利上げへの思惑が拭えず、相対的な株式の割高観も意識されました。後場中盤の14時9分には安値6万8,471円15銭まで伸び悩む場面があり、大引けは405円21銭高日中高値から894円45銭を吐き出し、上げ幅は高値時点の31%まで縮みました。朝に付けた上げ幅の69%が、大引けまでに消えたということです。

足型に落とすと、その重さがはっきりします。始値6万8,811円17銭に対して終値6万8,713円80銭——実体97円38銭の陰線です。上ヒゲは797円07銭、下ヒゲは242円65銭、日中値幅は1,137円09銭上ヒゲが実体の8.2倍という、上値の重さを極端な形で示す日足になりました。前日比では405円高なのに、日足そのものは陰線——「続伸なのに陰線」という、13日の「上ヒゲ491円の陽線」からさらに一段進んだ形です。

それでも下値は堅かったことも押さえておきましょう。本日の安値6万8,471円15銭は、前営業日終値6万8,308円59銭を162円55銭上回っています。13日に続いて、空けたマドを一度も埋めずに引けたのです。上ヒゲは「上値の重さ」を、未埋めのマドは「下値の堅さ」を同時に示す——この構図は2営業日続いています。

そして日経平均だけを見ると、本日の本質を取り違えます。TOPIXは21.16ポイント(0.51%)高の4,197.208日続伸し、連日の最高値更新となりました。始値4,181.44、高値4,220.31、安値4,177.03で、終値は始値を15.76ポイント上回る陽線です。日経平均が陰線で引けた日に、TOPIXは陽線で最高値を更新した——13日と同じ「2つの指数が別の一日を過ごす」構図が、より鮮明になりました。東証グロース市場250指数も14.90ポイント(2.01%)高の758.00と、主要3指数のなかで最も高い上昇率でした。

商いは2日連続で大台を保ちました。東証プライムの売買代金は概算で10兆3,156億円で、13日の約10兆206億円から約2,950億円増加売買高も概算24億4,922万株と、13日の約24億350万株から約4,572万株増えています。金額・株数がそろって増加したのは、13日の「代金増・株数減」とは逆の動きです。騰落は値上がり1,124銘柄に対し値下がり401銘柄で、値上がりが全体の7割超を占め、値上がり/値下がり比率は2.80倍ストップ高は18銘柄、ストップ安は3銘柄でした。指数の上ヒゲとは対照的に、市場の裾野は本日きわめて強かったのです。

主要マーケット指標

指標 数値 前日比
日経平均株価 68,713.80円 +405.21円 (+0.59%) 4日続伸
日経平均 高値 / 安値 69,608.24 / 68,471.15 始値 68,811.17円 (値幅1,137円・上ヒゲ797円の陰線)
日経平均 日中最大上げ幅 +1,299.65円 (9時39分) 大引けまでに894.45円を吐き出し、上げ幅は31%に縮小
TOPIX 4,197.20 +21.16 (+0.51%) 8日続伸・連日の最高値更新
TOPIX 高値 / 安値 4,220.31 / 4,177.03 始値 4,181.44 (値幅43.28・終値は始値を15.76上回る陽線)
東証グロース市場250指数 758.00 +14.90 (+2.01%) 主要3指数で最大の上昇率
NYダウ (8/13終値) 53,839.99 +69.72 (+0.13%) 4日ぶり反発
S&P 500 (8/13終値) 7,798.99 +50.49 (+0.65%) 最高値を更新
ナスダック総合 (8/13終値) 26,803.03 +214.54 (+0.81%)
SOX指数 (8/13終値) 12,456.00 +56.62 (+0.46%) 12日の2.49%高から一服
米ドル/円 159円28銭前後 -0.24銭 (-0.15%) 高値159.51 / 安値159.15
東証プライム 売買代金 約10兆3,156億円 13日の約10兆206億円から約2,950億円増加・2日連続10兆円台
東証プライム 売買高 約24億4,922万株 13日の約24億350万株から約4,572万株増加
東証プライム 値上がり/値下がり 1,124銘柄 / 401銘柄 値上がりが全体の7割超・比率2.80倍
ストップ高 / ストップ安 18銘柄 / 3銘柄 決算発表ピークで個別の値動きが拡大
東証33業種 上昇 / 下落 19業種 / 14業種 AI・半導体に加え幅広い業種が買われる
上昇率上位5業種 その他製品 / 海運業 / 鉱業 / 情報・通信業 / 水産・農林業 13日に下落率3位だった「その他製品」が首位に逆転
下落率上位5業種 医薬品 / 証券・商品先物 / サービス業 / 非鉄金属 / 保険業 ディフェンシブと金融の一角が売られる
日経平均 プラス寄与上位5銘柄 アドテスト / SBG / キオクシア / ソニーG / ネクソン 合計で約471円の押し上げ (上げ幅405円を上回る)
日経平均 マイナス寄与上位5銘柄 イビデン / 東エレク / リクルート / トレンド / 中外薬 合計で約178円の押し下げ
米VIX指数 (8/13終値) 14.63 +0.08 (+0.55%) 15を下回る低位で横ばい
日経平均VI 30.96 -0.69 (-2.18%) 高値32.68 / 安値29.98
NT倍率 16.37倍 前日16.36倍から0.01ポイント上昇
日経平均 52週高値からの距離 -4,117.93円 (-5.99%) 52週高値 72,831.73 (6/22)。13日は-6.21%
7月29日安値からの戻り +8,264.90円 (+13.67%) 直近安値 60,448.90 (7/29)
注記: 米国指数・VIXは日本時間14日時点で最新となる8月13日(木)の終値です。日経平均・TOPIX・グロース250の終値・始値・高値・安値および個別銘柄の株価はYahoo!ファイナンス/株探の当日確定値、売買代金・売買高・騰落銘柄数・業種別騰落・寄与度は大引け時点の市場集計値によります。売買代金・売買高は東証プライムの概算値です。ドル円は東京時間夕方の水準です。NT倍率は日経平均÷TOPIXの計算値です。業種別騰落は上昇率上位5業種・下落率上位5業種として公表された値を掲載しており、個別の業種指数値は本稿執筆時点で確認できていません。テーブルの色は日本式表記(上昇=赤/下落=緑)に従っています。

マクロ・地政学の視点

本日の上昇を作ったのは、13日の日本時間夜に発表された米7月生産者物価指数(PPI)です。12日のCPIに続く物価指標で、伸びが市場予想を下回りました

ここでも、市場が後退させたのは「利下げ観測」ではなく「利上げ観測」である点に注意が必要です。足元の米国ではインフレ再燃なら追加利上げもありうるという警戒が相場の重石になっていました。12日のCPIが予想どおりの鈍化を示し、13日のPPIが予想を下回った——川下の物価に続いて川上の物価も落ち着いたことで、早期の追加利上げ観測が一段と後退しました。米長期金利は低下し、原油先物価格も落ち着いた動きとなっています。

米国市場の反応は、12日とは質が違いましたNYダウは69ドル72セント(0.13%)高の5万3,839ドル99銭で4日ぶりに反発S&P500は50.49ポイント(0.65%)高の7,798.99で最高値を更新ナスダック総合は214.54ポイント(0.81%)高の2万6,803.033指数がそろって上昇しました。一方でSOX指数は56.62ポイント(0.46%)高の1万2,456.00と、12日の2.49%高から明確に一服しています。12日は「半導体だけが突出」、13日は「幅広く上がって半導体は平均並み」——米国側で相場の担い手が広がったことを示す変化です。東京で本日「19業種が上昇」という幅の広い相場になったのも、この土台の変化と整合します。

個別要因としては米半導体メモリー大手サンディスクが効きました。13日に投資家説明会を開催し、2028〜2030年度にかけて売上高が年率10%台半ばから後半のペースで成長するとの強気な見通しを開示。これを好感して株価は13%超急伸しました。同業で連動性が高いとされるキオクシアホールディングスに買いが波及し、東京市場のメモリー関連が総じて上昇する起点となりました。

そして本日の東京市場で重要なのが、日米で金利観の向きが逆だという点です。米国では追加利上げ観測が後退する一方、日本では日銀による9月の追加利上げへの思惑が拭えません。後場の失速要因としてこの日銀観測と、それに伴う「相対的な株式の割高観」が挙げられています。米金利の低下は株の追い風、日本の金利上昇観測は向かい風——同じ相場に反対向きの力が同時にかかっているのが現在の構図です。13日に「米金利観と国内金利観が別々に働いている」と書きましたが、本日はそれが日中の値動きとして表面化しました。朝は米国の材料で上げ、午後は国内の材料で下げたと整理できます。

その日銀観測を裏づけるように、業種別の下落率2位に証券・商品先物、5位に保険業が入りました。金融の一角が売られる一方、13日に2日連続で上昇率トップだった銀行業は本日の上位5業種から外れています。金利上昇観測は本来なら銀行の追い風ですが、3営業日続いた銀行高のあとで利益確定が入ったとみるのが自然でしょう。

為替は落ち着いていました。ドル円は159円28銭前後で、前日比0.24銭(0.15%)のドル安・円高日中の高値159円51銭、安値159円15銭という36銭幅で、13日の32銭幅に続く狭いレンジです。取引時間中は159円47銭前後まで円安に振れる場面もありましたが、夕方には水準を戻しました。PPIによる米金利低下はドル安要因ですが、160円の節目を前にした介入警戒と、日銀の9月利上げ観測による円買いが同時に働き、結果として2営業日連続でほとんど動かない展開になっています。

ボラティリティ指標は日米で対照的です。米VIX指数は8月13日終値で14.63と、12日の14.55からわずか0.08ポイント上昇15の節目を下回る低位で横ばいです。一方日経平均VIは30.96で、前日比0.69ポイント(2.18%)の低下。ただし日中の高値は32.68で、取引時間中は概ね前日の水準を上回って推移し、引けにかけてようやく低下に転じました指数が1,300円近く上昇していた時間帯に、変動率の予想は上がっていたということです。米国のVIXが14台で凪いでいるのに、日本のVIが30台にある——日本株固有のリスクが意識されていることの数字上の表れであり、本日の上ヒゲを説明する材料の一つでもあります。

なお、中東情勢の先行き不透明感は払しょくできていません海外市場で原油先物価格が落ち着いた動きとなっていることが目先の安心感につながっていますが、業種別で鉱業が上昇率3位に入っている点は、資源価格への警戒が完全には消えていないことを示唆します。

セクター・個別銘柄の動き

買われたセクター・銘柄

東証33業種のうち上昇は19業種、下落は14業種でした。上昇率の上位5業種は(1)その他製品、(2)海運業、(3)鉱業、(4)情報・通信業、(5)水産・農林業13日に下落率3位だった「その他製品」が本日は上昇率トップに逆転しており、ゲーム・エンタメ関連への資金が1営業日で戻ってきたことが読み取れます。海運、鉱業、水産・農林といった景気敏感・資源関連が並ぶのも、13日の「金融・素材・設備投資関連」とは違う顔ぶれです。

指数への寄与は本日も半導体主導でした。プラス寄与度上位5銘柄はアドバンテスト、ソフトバンクグループ、キオクシアホールディングス、ソニーグループ、ネクソンで、5銘柄の押し上げ効果は合計で約471円。注目すべきは、この471円が本日の上げ幅405円21銭を上回っている点です。上位5銘柄だけで指数の上昇分を超えて稼ぎ、それを他の銘柄の下落が削ったという構図になります。アドバンテストは連日で最高値を更新し、相場を牽引しました。

キオクシアホールディングスは1,940円高の5万3,740円と続伸しました。前述のとおりサンディスクの13%超急伸を受けた買いで、13日の3.87%高に続く連日の大幅高です。太陽誘電も高くSUMCO、NEC、パナソニック ホールディングスが上昇米国でメモリー関連株が総じて上昇した流れが、そのまま東京の電子部品・半導体に流れ込みました。

「その他製品」の上昇を象徴するのがゲーム・エンタメ株の切り返しです。任天堂とソニーグループが値を上げ、バンダイナムコホールディングスが買われました13日はコナミグループ、バンダイナムコHD、ソニーGがそろってマイナス寄与上位に並んでいましたから、わずか1営業日での完全な反転です。ソニーGは本日、プラス寄与度4位に入っています。好業績が確認されたゲーム業界への見直し買いが入った格好で、13日に「半導体集中の反動で内需・エンタメから資金が抜けた」と書いた循環が、今日は逆回転しました。

景気敏感株ではトヨタ自動車と商船三井が買われました海運業が上昇率2位で、13日に0.58%安だった輸送用機器にも買いが戻っています。

そして本日の東京市場を最も特徴づけたのが決算プレイの活発さです。本日の決算発表は363社という、今シーズンのピークにあたる日でした。ストップ高18銘柄、ストップ安3銘柄という数字が、その激しさを物語ります。

最も強烈だったのはネクソンです。ストップ高比例配分となる500円50銭高の3,022円9月30日を基準日として特別配当415円を実施する予定で、年間配当予想は従来の60円から475円へ(前期は45円)。資本効率の向上に向けた超過資金の株主還元という位置づけで、これがサプライズ視されました。6月中間期の売上高は前年同期比17.4%増の2,733億1,000万円、最終利益は同2.0倍の868億6,400万円4-6月期の営業益は313億円で前年同期比17.0%減でしたが、240億円程度の市場予想を上回りました発行済み株式総数の1.7%にあたる1,323万8,900株の消却も発表しています。ネクソンは日経平均へのプラス寄与度5位にも入りました。

東証プライムの値上がり率上位10傑(1)メドレー、(2)ライフドリンクカンパニー、(3)ネクソン、(4)弁護士ドットコム、(5)アイスタイル、(6)FIG、(7)Appier、(8)日機装、(9)アシックス、(10)マネーフォワードという並びで、上位はほぼすべて決算・株主還元絡みです。

  • メドレー: 500円高の2,677円でストップ高(+23.0%)、上昇率トップ6月中間期の営業利益は24億4,600万円で前年同期比67.4%増最終利益は同2.3倍配当方針の変更に伴い初配当として期末一括18円を実施。主力の人材プラットフォーム事業(ジョブメドレー)が大幅増収増益通期予想29億5,000万円は据え置いたが上振れの可能性が高いとし、来期以降は配当性向30%を目安とします。
  • ライフドリンクカンパニー: 300円高の1,787円でストップ高(+20.2%)4-6月期の売上高は前年同期比29.5%増の174億1,400万円、営業利益は同28.7%増の19億5,100万円群馬工場や新ラインの稼働で生産量を拡大し、茶葉価格高騰に対応した価格改定も浸透6月の低気温の影響も生産数量には出ていないもようです。
  • アイスタイル: 80円高の517円でストップ高(+18.3%)27年6月期は売上高900億円(前期比10.0%増)、営業利益50億円(同22.4%増)の見通しで、配当も2円へ増額発行済み株式総数の7.5%にあたる750万株・28億円を上限とする自社株買いも発表しました。26年6月期営業利益は40億8,500万円(前の期比29.1%増)で従来予想を上振れ着地。
  • Appier: 150円高の1,132円でストップ高上半期の営業利益は16億6,000万円で前年同期比88.6%増通期予想を従来の43.1億円から50.3億円へ上方修正(通期コンセンサスは44億円程度)。アルゴリズム改善と業界特化型AIモデルの高度化で利益率も想定以上に上昇しました。
  • アシックス: 急伸し値上がり率9位今期経常利益を15%上方修正最高益予想を上乗せ配当も6円増額しました。
  • フリー: 501円高の3,345円でストップ高(+17.6%)26年6月期の売上高424億4,100万円(前の期比27.6%増)、調整後営業利益26億6,300万円(同41.3%増)有料課金ユーザー企業数の伸長とAI活用が効いています。
  • ワンキャリア: 391円高の2,557円(+18.1%)6月中間期の経常利益23億9,000万円で通期計画に対する進捗率が約77%単体ベース前年同期比で売上高44.8%増、経常利益74.6%増

このほかGMOペパボ(今期配当予想の大幅増額)、JSH(自社株買いと配当増額)、PRONI(6月中間期営業益2.1倍)、オリジン(4-6月期に営業黒字転換し通期計画超過)、エアークローゼット(今期最終黒字浮上で2期ぶり最高益)などが個別材料株として買われました。

売られたセクター・銘柄

下落率の上位5業種は(1)医薬品、(2)証券・商品先物、(3)サービス業、(4)非鉄金属、(5)保険業でした。医薬品というディフェンシブの代表が下落率トップという並びは、リスクオンの日らしい資金移動です。13日に下落率トップだったゴム製品と2位の鉄鋼は、本日の下落上位5業種から外れました

指数の押し下げ役はイビデンです。マイナス寄与度トップで、13日に5.27%高で寄与度3位だった銘柄が、翌日は最大の重石に回りました東京エレクトロンがマイナス寄与2位という点も見逃せません。13日に約124円70銭のプラス寄与だった東エレクが本日はマイナスで、アドバンテストが連日で最高値を更新する一方、東エレクは売られた——半導体セクター内部で選別が進んでいることを示します。

以下リクルートホールディングス、トレンドマイクロ、中外製薬が続き、マイナス寄与上位5銘柄の押し下げ効果は合計で約178円プラス上位5銘柄の約471円に対して38%の規模です。13日は「プラス655円対マイナス128円」で5分の1以下でしたから、本日は売り圧力の比重がやや高まったことになります。リクルートは10日のストップ高から13日まで3営業日連続で上昇していた銘柄で、4日目に利益確定売りが出た形です。

半導体関連ではフジクラ、村田製作所、イビデンが安く、レーザーテックとディスコが軟調でした。村田製作所は13日に10.25%高ディスコは4.56%高、レーザーテックは3.87%高だった銘柄群です。前日に大きく上がった銘柄がそろって売られ、レーザーテックは値下がり率10位に顔を出しました。フジクラは13日も0.69%安で、2営業日連続の下落AIインフラ関連の内部で物色対象が日替わりで回転しているという13日の指摘は、本日さらに明確になりました。

金融では三菱UFJフィナンシャル・グループが値を下げました13日に2.86%高で銀行業が2日連続の上昇率トップだったことを踏まえると、3日続いた銀行高の反動と読めます。素材ではJX金属とレゾナック・ホールディングスが下落し、非鉄金属が下落率4位となりました。

個別で最も痛烈だったのはトレンドマイクロです。ストップ安比例配分となる1,000円安の5,851円で、値下がり率2位4-6月期の営業利益は62億3,000万円で前年同期比53.7%減となり、第1四半期の増益からモメンタムが急速に悪化通期予想を従来の564億円から444億円(前期比23.2%減)へ下方修正しました(コンセンサスは550億円程度)。AI関連費用が想定以上に膨らんでいるもようで、純利益の下振れによる配当水準の低下も意識されています。トレンドは日経平均のマイナス寄与度4位にも入りました。「AI活用がコストとして跳ね返る」という、AI相場の裏側を示す決算として記憶しておく価値があります。

ほかにRSテクノロジーズが870円安の6,230円で急落し値下がり率3位上半期の営業利益は77億4,000万円で前年同期比8.9%増と従来予想を上回ったものの、第1四半期の21.0%増に対して4-6月期は0.1%増とほぼ横ばいで、増益率の鈍化がマイナス視されました。三越伊勢丹ホールディングスは147円安の3,548円と大幅反落第1四半期の営業利益189億円(前年同期比20.6%増)は市場予想を上振れ、通期も840億円へ上方修正しましたが、円安一服により免税売上のスローダウンが想定されるなかで短期的な出尽くし感が先行しました。値下がり率トップはテスホールディングスで、サン電子(第1四半期が最終減益)やブリッジ・グローバル(26年12月期は一転大幅減益見通し)も個別材料で売られています。

好決算はストップ高、下方修正はストップ安——本日の個別株は、指数の上ヒゲとは無関係に決算だけで動いたと言えます。値上がり1,124銘柄・値下がり401銘柄という広い裾野は、指数を見ているだけでは把握できない本日の実態です。

テクニカル分析

トレンド

本日の日足は実体97円38銭の陰線です。上ヒゲ797円07銭、下ヒゲ242円65銭、日中値幅1,137円09銭上ヒゲが実体の8.2倍にあたり、日中値幅のうち実体が占める割合はわずか8.6%にすぎません。13日は「実体275円・上ヒゲ491円(実体の1.8倍)の陽線」でしたから、上値の重さは2営業日連続で、しかも程度が強まったことになります。前日比プラス405円で4日続伸しながら、日足は陰線という組み合わせは、寄り天(始値が実質的な高値圏)の性格を帯びた一日だったことを意味します。

ただし下値の堅さも2営業日連続です。本日の安値6万8,471円15銭は前営業日終値6万8,308円59銭を162円55銭上回り502円58銭のマドは未埋めのまま引けました。13日の482円のマドも依然として埋まっていません2営業日で985円分のマドが未埋めで積み上がっている——押し目があれば埋めに行く余地が溜まっているとも読めますし、それだけ下値で買いが待っているとも読めます。

移動平均線はすべて上向きで、終値はそのすべての上にあります。5日移動平均線6万7,424円68銭を1,289円12銭(1.91%)上回り25日移動平均線6万5,847円07銭を2,866円73銭(4.35%)上回り13週相当(65日)移動平均線6万6,459円49銭を2,254円31銭(3.39%)上回り75日移動平均線6万5,770円88銭を2,942円92銭(4.47%)上回り200日移動平均線5万7,805円04銭を1万908円76銭(18.87%)上回っています。5日線からの乖離は13日の2.23%から1.91%へ縮小しました。指数が上がったのに5日線からの乖離が縮んだのは、5日線自体が急速に切り上がっているためで、短期の過熱がやや解消に向かっていることを示す数字です。

そして本日最大のテクニカル上の出来事は、一目均衡表の雲上限を日中に上抜けながら、終値では雲の中に押し戻されたことです。雲上限(先行スパンA)は6万8,842円80銭本日の高値は6万9,608円24銭——765円44銭の上抜けです。13日の記事で「43円09銭手前で跳ね返された」と書いた壁を、本日は朝の段階で明確に突破しました。しかし終値6万8,713円80銭は雲上限の129円00銭下依然として雲の中です。雲下限(先行スパンB)6万5,726円60銭からは2,987円20銭上にあり、転換線6万6,155円86銭、基準線6万5,028円57銭はいずれも下方に位置します。「抜いたが、抜けきれなかった」——雲を終値で上抜ける課題は、そのまま翌営業日に持ち越されたことになります。

フィボナッチ的な節目も薄氷でした。6月22日の史上最高値7万2,831円73銭から7月29日の直近安値6万448円90銭までの下げ幅1万2,382円83銭に対し、3分の2戻し水準は6万8,704円12銭本日の終値6万8,713円80銭は、これをわずか9円68銭上回りました2営業日連続で「かろうじて超えた」水準に居座っている格好で、6万8,704円(3分の2戻し)〜6万8,843円(雲上限)という139円幅の帯が、いま最も濃密な攻防ゾーンになっています。

中期の位置も確認しておきます。7月29日安値からの戻りは8,264円90銭(13.67%)52週高値7万2,831円73銭(6月22日)までは4,117円93銭(5.99%)で、13日時点の6.21%から0.22ポイント縮まり、初めて6%を切りました。なお本日の高値6万9,608円24銭は、7月10日の高値6万9,374円86銭を233円38銭上抜けています次に控える日中高値の節目は7月6日の7万384円59銭です。

サポートとレジスタンス

以下の水準は、確定日足から算出した8月14日終値時点の計算値です。

  • 第1サポート: 6万8,704円〜6万8,471円3分の2戻し水準6万8,704円12銭と本日の安値6万8,471円15銭の帯です。終値の10円〜243円下3分の2戻しは終値でわずか9円68銭上にあるだけで、ごく小幅な下落でも割り込む水準です。ここを割ると本日空けた502円のマド埋めが意識されます。
  • 第2サポート: 6万8,309円〜6万8,006円前営業日終値(本日のマド下端)と13日の安値です。終値の405円〜708円下2営業日分のマドをまとめて埋める展開になった場合の到達点で、6万8,006円を割り込むと13日のマドも埋まることになります。
  • 第3サポート: 6万7,925円 — 25日ボリンジャーバンド+1σ。終値の789円下です。13日に初めて上抜け、本日は乖離を531円から789円へ拡大させました。統計的な強気圏にとどまれるかの分かれ目は引き続きこの線です。
  • 第4サポート: 6万7,425円〜6万6,459円 — 5日移動平均線と13週相当(65日)移動平均線の帯です。終値の1,289円〜2,254円下4営業日で3,107円上げた後の押し目として、最初に意識される中期の支持帯になります。
  • 第5サポート: 6万5,847円〜6万5,727円 — 25日移動平均線と一目均衡表の雲下限が120円幅で重なる帯です。終値の2,867円〜2,987円下ここを終値で割り込めば、12日のゴールデンクロスは失敗と評価されます。
  • 第1レジスタンス: 6万8,843円一目均衡表の雲上限。終値のわずか129円上です。本日の高値は765円上抜けたのに、終値では届かなかった水準。終値でここを上抜けて初めて「雲を上に抜けた」と言えます。129円という距離は、翌営業日にごく小幅な上昇でも達成できる近さです。
  • 第2レジスタンス: 6万9,608円本日の高値。終値の894円上です。雲上限を終値で抜けた後、上ヒゲの起点まで戻せるかが次の関門になります。ここを超えられずに日を重ねると、本日の上ヒゲが「戻り天井」の目印として意識され始めます。
  • 第3レジスタンス: 7万円〜7万3円心理的節目の7万円と、25日ボリンジャーバンド+2σの7万3円25銭がほぼ完全に重なります。終値の1,286円〜1,289円上キリのいい節目と統計的な上限が一致するという、意識されやすい水準です。
  • 第4レジスタンス: 7万385円7月6日の高値7万384円59銭。終値の1,671円上です。その先には78.6%戻しの7万182円(すでに通過圏)を経て、52週高値7万2,831円73銭(6月22日)が控えます。

オシレーターと移動平均

MACDがゼロラインを上抜けました。13日の記事で「翌営業日にわずかでも上昇すればプラス圏に浮上する」と書いた条件が、そのまま実現した形です。MACDは+193.40で、前営業日の-22.87から216.27改善シグナルは-402.86、ヒストグラムは+596.25で、前営業日の+529.05から67.20拡大し、8月6日のゴールデンクロス以降6営業日連続で幅を広げています。MACD本体がプラス圏、シグナルはまだマイナス圏という位置は、「底打ち後の回復」から「上昇トレンドの確認」へ移る局面にあたります。シグナルがゼロを回復するにはあと402.86ポイント必要で、そこまで行けば中期の転換はより確かなものになります

RSI(14日・単純)は64.97で、前営業日の56.24から8.73ポイント上昇しました。ワイルダー式では59.36です。買われ過ぎとされる70にはあと5ポイントで、13日の「14ポイント」から一気に距離が詰まりました。中期でも過熱圏の入口に近づいていると言えます。

一方で短期のオシレーターは頭を下げ始めましたRSI(9日)は81.29で、前営業日の85.61から4.32ポイント低下依然80超の過熱圏ではあるものの、2営業日ぶりの低下です。ストキャスティクスも同様で、ファースト%K(9日)は87.05と前営業日の92.83から5.78ポイント低下スロー%K(ファースト%D)は93.06と97.19から4.13ポイント低下しました。スロー%Dは95.29で95.05からわずかに上昇していますが、最も反応の速い指標から順に低下が始まっていることは明らかです。指数が405円上昇した日に短期オシレーターが低下した——上ヒゲ797円という日足の形と完全に整合する動きです。短期の調整は、すでに始まっていると読むのが自然でしょう。

ボリンジャーバンドでは、25日ベースの中心線が6万5,847円07銭、+1σが6万7,925円16銭、+2σが7万3円25銭、-1σが6万3,768円98銭です(標準偏差2,078円09銭)。本日終値は+1σを788円64銭上回り、13日の531円87銭から乖離を拡大させました。+2σまでは1,289円45銭。ここで注目すべきは、+2σが7万3円25銭——心理的節目の7万円とほぼ完全に一致している点です。「7万円」という誰もが見る節目と「+2σ」という統計的な上限が重なるため、この水準は通常以上に強い抵抗として意識されやすいと考えられます。なお標準偏差は2,005円44銭から2,078円09銭へ拡大しており、バンドは開き続けています

NT倍率(日経平均÷TOPIX)は16.37倍で、前営業日の16.36倍から0.01ポイントの小幅上昇にとどまりました。日経平均の上昇率0.59%がTOPIXの0.51%をわずかに上回ったことの反映です。13日は0.05ポイント上昇でしたから、2つの指数の歩調はほぼそろってきたことになります。日経平均が上ヒゲを付けた分、TOPIXが最高値を更新して追いついたという理解が実態に近いでしょう。

日経平均VIは30.96で前日比2.18%低下しましたが、米VIX指数14.63の2倍以上という水準です。日中は高値32.68まで上昇し、概ね前日水準を上回って推移した後、引けにかけて低下に転じました指数が最も高い時間帯に変動率予想が上がっていた——上昇そのものが警戒を呼んでいたことを示す、本日らしい動きです。

なお、本項の移動平均線・一目均衡表・ボリンジャーバンド・RSI・ストキャスティクス・MACDおよびフィボナッチ戻し水準の各数値は、確定日足から当サイトが算出した計算値です。オシレーター類および一目均衡表は算出方法(平滑化の手法や先行スパンのずらし方)によってチャートツールごとに表示値が異なる場合があり、推定であり確定値ではありません。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。

市場心理

本日の市場心理を一言で表すなら「壁を抜いたのに、居座れなかった日」です。

13日の記事で、私たちは「43円」という数字を挙げました。13日の高値と一目均衡表の雲上限との距離です。そして「この43円を越えられるかどうかが、7月末からの上昇が『戻り』で終わるのか『トレンド転換』になるのかを決める」と書きました。

本日、市場はその43円を朝の39分で吹き飛ばしました高値6万9,608円24銭は雲上限6万8,842円80銭を765円44銭も上抜け7月10日の高値6万9,374円86銭さえ233円上回ったのです。ところが大引けは雲上限の129円下抜いた壁の内側へ、自ら戻ってきたことになります。

なぜ戻ったのか。本日は失速の理由がはっきりしていた点が13日と違います。第一に、堅調だったKOSPIが上げ幅を縮めたこと。アジア市場全体のリスクオンが失速したタイミングで、日経平均も追随しました。第二に、週末に伴う持ち高調整売り本日は8月の第2金曜日にあたり、8月限オプションのSQ(特別清算指数)算出日でもありました。朝方の需給が振れやすい日だったことは、502円のギャップアップと797円の上ヒゲという形にも表れています。第三に、日銀による9月の追加利上げへの思惑と、それに伴う相対的な株式の割高観です。

そして最も本質的な理由は、おそらく上げすぎたことでしょう。7日終値6万5,606円71銭から本日終値までの4営業日で3,107円09銭(4.74%)の上昇です。日経225先物も13日までの4日続伸で2,710円上昇していました。短期的な過熱感が警戒されるのは当然の水準で、実際に日経平均VIは日中、前日の水準を上回って推移していました。指数が1,300円高だった時間帯に、市場は変動率の上昇を予想していたのです。この上ヒゲは、悪材料ではなく自らの上昇速度が呼んだものだと考えられます。

ただし——ここが本日の重要な点ですが——指数の上ヒゲと、市場全体の実態は大きく食い違っています値上がり1,124銘柄に対し値下がり401銘柄値上がりは全体の7割超で、比率は2.80倍です。東証33業種のうち19業種が上昇し、ストップ高は18銘柄TOPIXは8日続伸で連日の最高値更新グロース250は2.01%高と主要3指数で最大の上昇率でした。売買代金は10兆3,156億円で2日連続の10兆円台、しかも売買高もそろって増加これらはすべて「強い相場」の数字です。

13日は「売買代金が増えて売買高が減った=値がさ株への資金集中」という構図でした。本日は代金・株数がそろって増えました参加者の裾野そのものが広がったということです。13日にプラス寄与上位5銘柄が上げ幅の84%を占めた極端な集中は、本日は「上位5銘柄で471円=上げ幅405円の116%」という別の形を取りました。上位5銘柄が指数の上昇分を超えて稼ぎ、それを下落銘柄が削った——集中は続いているが、同時に反対売買も活発だったという読み方になります。

本日の相場を象徴するのは決算プレイの激しさでした。363社が決算を発表するピークの日で、ネクソンは特別配当415円でストップ高、メドレーは中間営業益67%増と初配当でストップ高、一方トレンドマイクロは通期を564億円から444億円へ下方修正してストップ安ストップ高18・ストップ安3という数字は、個別株が指数とは無関係に、決算という自分の材料だけで動いたことを示します。日経平均の上ヒゲを見て「弱い一日」と感じた投資家と、保有株がストップ高になった投資家が、同じ日を過ごしていたのです。

本日、記憶しておくべき数字を挙げるなら「129円」でしょう。終値と一目均衡表の雲上限との距離です。13日は「43円」が高値と雲上限の距離でした。本日はその壁を765円も上抜けたうえで、終値では129円下に戻ってきた壁の位置は変わらないのに、相場はその周りを行き来している——この129円を終値で埋められるかどうかが、次の焦点になります。

翌営業日の注目ポイント

カレンダー: 翌営業日は8月17日(月)で、東京市場は通常どおり取引されます。直近に休場予定はありません。留意点は材料の乏しさです。本日8月14日は363社が決算を発表するピークでしたが、翌営業日の発表予定はビルファンドやJプライムなど6社にとどまります決算という個別材料の供給が事実上止まるため、来週は材料難の1週間になる可能性が指摘されています。お盆明けで市場参加者が戻り始める時期ですが、次の大きなマクロ材料は9月のFOMCと日銀会合まで距離があります。個別材料が枯れた相場では、需給とテクニカルが値動きを主導しやすい点を念頭に置いてください。
  • 雲上限6万8,843円を終値で上抜けるか — 引き続き最大の焦点です。終値6万8,713円80銭は雲上限の129円00銭下本日の高値は765円44銭も上抜けたのに、終値では届きませんでした129円はごく小幅な上昇で達成できる距離であり、終値で上抜ければ一目均衡表上は雲を抜けたことになり、中期のトレンド転換シグナルとなります。逆に本日のように日中だけ抜いて戻される日が続くと、雲上限は強固な天井として定着します。
  • 3分の2戻し6万8,704円を維持できるか終値はこの水準をわずか9円68銭上回っただけです。6万8,704円(3分の2戻し)〜6万8,843円(雲上限)という139円幅の帯のなかに終値が挟まっており、ごく小さな値動きでどちらにも転びますこの帯の上に出れば全値戻しへの期待が強まり、下に落ちればマド埋めが意識される——翌営業日はこの139円の攻防から始まります。
  • 2営業日分・985円のマドを埋めるか本日の502円58銭のマドと13日の482円11銭のマドが、いずれも未埋めです。本日の安値6万8,471円15銭を割り込むと本日のマド埋め13日の安値6万8,006円17銭を割り込むと2営業日分のマド埋めが視野に入ります。マドが未埋めで積み上がっている状態は、押し目の際に下げ足が速くなりやすい点に注意が必要です。
  • MACDのプラス圏定着MACD本体が-22.87から+193.40へ、ゼロラインを上抜けましたヒストグラムは6営業日連続で拡大し、モメンタムは明確に上向きです。次はシグナル(-402.86)がゼロを回復できるかが中期転換の確認材料になります。プラス圏に浮上した直後に押し戻されると「ダマシ」となるため、翌営業日以降の定着を見たいところです。
  • 短期オシレーターの低下が続くかRSI(9日)は85.61から81.29へ、ストキャスティクスのファースト%Kは92.83から87.05へ、スロー%Kは97.19から93.06へ低下しました。指数が上昇した日に短期指標が低下するのは、上昇の勢いが鈍っているサインです。ただしRSI(14日)は56.24から64.97へ上昇しており、中期はむしろ強含み短期と中期で逆方向に動いている点が現在の特徴です。
  • 7万円=+2σの二重の壁心理的節目の7万円と25日ボリンジャーバンド+2σの7万3円25銭がほぼ完全に重なります。終値からは約1,286円上雲上限を抜けた場合の次の大きな目標ですが、キリのいい節目と統計的な上限が一致するため、通常以上に強い抵抗になりやすい水準です。
  • TOPIXが8日続伸から9日続伸へ進めるか連日の最高値更新で、終値は始値を15.76ポイント上回る陽線でした。日経平均が陰線の日にTOPIXが陽線で最高値という構図は、上昇の主体が値がさ株だけではないことの確認になります。4,197を上回って推移できるかが、相場の裾野の強さを測る指標です。
  • 半導体セクター内部の選別アドバンテストが連日で最高値を更新する一方、東京エレクトロンとイビデンはマイナス寄与の上位2銘柄でした。フジクラ、村田製作所、レーザーテック、ディスコも軟調で、13日に大きく上がった銘柄がそろって売られています。「半導体が上がる」ではなく「どの半導体が上がるか」に相場が移った可能性があり、主導株が入れ替わる局面は指数が不安定になりやすい点に注意が必要です。
  • 日銀の9月追加利上げ観測 — 本日の後場失速の一因として明確に挙げられた材料です。米国では追加利上げ観測が後退する一方、日本では利上げ観測が残るという非対称な金利環境が続きます。業種別で証券・商品先物が下落率2位、保険業が5位と金融の一角が売られ、3日続いた銀行高も一服しました。金利観の変化がセクター間の資金移動を生みやすい局面です。
  • ドル円159円台の膠着と160円の壁 — 本日は159円15銭〜159円51銭という36銭幅で、13日の32銭幅に続く狭いレンジでした。CPI・PPIという二大物価指標を通過しても動かなかったということは、次の材料が出るまでこのレンジが続く可能性を示します。160円接近時は介入警戒が高まる水準です。

戦略展望

本日の相場を評価するには、指数の形と市場の実態を分けて見る必要があります。

市場の実態は、本日きわめて強かった——これは疑いようがありません。値上がり1,124銘柄・値下がり401銘柄で比率2.80倍33業種のうち19業種が上昇ストップ高18銘柄TOPIXは8日続伸で連日の最高値更新グロース250は2.01%高売買代金は10兆3,156億円で2日連続の10兆円台、売買高もそろって増加裾野の広がりを示す指標が、ほぼ例外なく改善しています。13日に「値がさ半導体への極端な集中」を懸念材料として挙げましたが、本日その懸念は明確に緩和されました。

他方、指数の形は明確に重かった雲上限を765円上抜けた高値から894円押し戻され、上ヒゲ797円・実体97円の陰線で引けました。4日続伸なのに陰線という組み合わせは、朝が最も強く、あとは売られ続けたことを意味します。

この二つは矛盾しません。日経平均の上ヒゲを作ったのは、値がさ半導体の朝の急伸とその後の失速であり、市場全体の裾野はその間ずっと買われていたのです。東京エレクトロンとイビデンがマイナス寄与の上位2銘柄だったこと、13日に急伸した村田製作所・ディスコ・レーザーテックがそろって軟調だったことが、その裏づけになります。指数の重さは「相場の弱さ」ではなく「主導株の入れ替わり」として読むのが、本日は適切でしょう。

したがって当面の判断基準は、139円の帯に集約されます。下は3分の2戻しの6万8,704円12銭、上は一目均衡表の雲上限6万8,843円80銭終値6万8,713円80銭はこの帯のなかにあり、下限からは9円68銭、上限からは129円00銭という位置です。終値で6万8,843円を上抜ければ、7月29日以来の上昇は「戻り」から「トレンド転換」へ格上げされ、次の目標は本日の高値6万9,608円、そして7万円=+2σの二重の壁になります。逆に6万8,704円を割り込めば、2営業日で積み上がった985円分のマド埋めが意識され、+1σの6万7,925円、5日線の6万7,425円へと押し目を探る展開が想定されます。

モメンタム面では明確な進展がありました。MACDがゼロラインを上抜けてプラス圏に浮上——13日の記事で「翌営業日にわずかでも上昇すれば」と書いた条件が実現しました。ヒストグラムは6営業日連続で拡大し、中期のトレンドは上向きです。52週高値までの距離も6.21%から5.99%へ縮まり、初めて6%を切りました全値戻しへの期待が高まっているのは、テクニカル上も裏づけのある見方です。

一方で、短期の過熱は無視できません4営業日で3,107円(4.74%)の上昇RSI(9日)は81.29で80超ストキャスティクスのスロー%Dは95.29。ただしこれら短期指標はすでに低下に転じています指数が上昇した日に短期オシレーターが下がったのは、過熱の解消が値幅調整ではなく日柄調整の形で始まっている可能性を示します。5日線からの乖離が2.23%から1.91%へ縮小したのも同じ方向の材料です。目先は短期的な過熱感を解消しながら、値固め的な展開——これが最も素直な想定でしょう。

リスク側で意識すべきは材料難です。本日363社だった決算発表が、翌営業日は6社個別材料の供給が事実上止まります本日ストップ高18銘柄を生んだエネルギーは、来週には期待できません次の大きなマクロ材料は9月のFOMCと日銀会合で、それまでの数週間は需給とテクニカルが相場を動かす期間になりやすい。材料がないなかで4日続伸の後を迎える——上値を追う積極的な買いは入りにくく、かといって売る理由もないという、方向感の出にくい地合いが想定されます。

そして日米の金利観の非対称が、この時期の最大の不確実性です。米国では2営業日連続の物価指標鈍化で追加利上げ観測が後退し、S&P500は最高値を更新しました。一方、日本では日銀の9月追加利上げへの思惑が拭えず、これが本日の後場失速の一因として明確に挙げられています。米国株高は追い風、国内金利上昇観測は向かい風日経平均VIが30台にあり、米VIXの14.63の2倍以上という乖離は、日本株固有のリスクが意識されていることの表れです。米国株が上がっても日本株がついていけない日が出てくる可能性は、頭に入れておくべきでしょう。

最後に、いつもの確認です。本日、日経平均は0.59%、TOPIXは0.51%、グロース250は2.01%上昇しました値上がり銘柄は全体の7割超、ストップ高は18銘柄市場の裾野という点では、本日は13日よりはるかに良い一日でした。それでも日経平均だけを見れば「一時1,300円高から405円高まで失速し、陰線で引けた重い日」に見えます。同じ一日が、見る指標によって正反対に映る指数の数字ではなく、自分の資産の実際の変動率で相場を測る——本日はこの習慣の価値が、いつもより大きかった一日です。

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