【7月27日】日経平均は320円高と反発、中東緊張緩和で約9割が上昇も半導体株が重し

2026年7月27日(月) 東京市場クローズ
日経平均 64,931.19円 +320.04円 (+0.50%)

米国とイランが攻撃を停止し中東情勢の緊張緩和期待が広がったことで原油高が一服。東証プライムの約9割の銘柄が上昇し、日経平均は2営業日ぶりに反発しました。ただし前週末の米SOX指数4.25%安を引き継いだ半導体株の売りが上値を抑え、寄り付きの600円超高から一時マイナス圏へ転落。TOPIXは1.37%高と日経平均を大きく上回り、物色の主役が交代した一日でした。

本日の相場概況

7月27日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前週末比320円04銭(0.50%)高の6万4,931円19銭で取引を終えました。前週末24日に1,811円安と大幅反落した反動に、中東情勢の緊張緩和という新たな買い材料が重なった格好です。

もっとも、値動きは終始荒いものでした。寄り付きは6万5,164円98銭(前週末比553円83銭高)と大きく買い先行で始まり、直後の9時1分には高値6万5,220円69銭まで上昇。上げ幅は一時600円を超えました。しかし前週末の米半導体株安を受けた売りが値がさ株に広がると急速に上げ幅を縮め、10時29分には安値6万4,123円40銭(前週末比487円75銭安)まで押されて一時マイナス圏に沈みます。前引けは152円86銭高の6万4,764円01銭。後場は再び買いが優勢となり、大引けにかけて水準を切り上げて320円高で着地しました。

上昇の主因は米国とイランの攻撃停止を受けた中東情勢の緊張緩和期待です。前週まで相場の重石となっていた地政学リスクが後退し、急騰していた原油先物の上昇が一服。インフレ・金利再燃への警戒が和らいだことで、幅広い銘柄に買いが入りました。読売新聞によれば東証プライムの約9割の銘柄が上昇しており、24日の全面安から市場心理が一変したことがうかがえます。

一方で上値を抑えたのが半導体関連です。前週末24日の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4.25%安と急落し、ナスダック総合も0.64%安。AI過剰投資懸念が米国側で一段と強まった流れがそのまま東京市場の値がさ半導体株に波及しました。この結果、TOPIXが54.76ポイント(1.37%)高の4,066.07と日経平均の0.50%高を大きく上回るという、24日とは逆方向の乖離が生じています。TOPIXは13時54分に付けた高値4,066.26とほぼ同水準で引けており、半導体を除く市場全体の地合いは日経平均の見た目よりはるかに強い一日でした。

主要マーケット指標

指標 数値 前日比
日経平均株価 64,931.19円 +320.04円 (+0.50%)
TOPIX 4,066.07 +54.76 (+1.37%)
SOX指数 (7/24終値) 11,818.89 -524.95 (-4.25%)
ナスダック総合 (7/24終値) 24,975.82 -161.87 (-0.64%)
S&P 500 (7/24終値) 7,411.98 +3.68 (+0.05%)
NYダウ (7/24終値) 51,947.25 +235.60 (+0.46%)
米ドル/円 163円41銭前後 -0.23円 (16時時点)
東証プライム 売買代金 約9兆3,556億円 +10.9% (前営業日比)
東証プライム 値上がり/値下がり 1,285 / 237 変わらず29 (11時時点)
注記: 米国指数は日本時間27日時点で最新となる7月24日(金)の終値です。日経平均・TOPIXの始値・高値・安値はYahoo!ファイナンスの当日値、売買代金は市場統計の集計値によります。値上がり・値下がり銘柄数は11時時点の公表値で、大引け時点の確定内訳は本記事執筆時点で未公表のため、報道ベースの「プライムの約9割が上昇」という記述を併記しています。テーブルの色は日本式表記(上昇=赤/下落=緑)に従っています。

マクロ・地政学の視点

本日の反発を生んだのは、ほぼ一点に集約されます。米国とイランが攻撃を停止したことによる中東情勢の緊張緩和期待です。前週の相場は、トランプ米大統領の対イラン攻撃警告と、親イラン武装勢力フーシ派による紅海でのサウジ原油タンカー攻撃という具体的な事象に揺さぶられ、原油先物の急騰がインフレ・金利警戒を通じて株式全体の重石となっていました。その連鎖の起点が外れたことで、市場は一気にリスクを取り戻しています。

重要なのは、この材料が「一部の銘柄に効く材料」ではなく「市場全体に効く材料」だった点です。原油高の後退は、燃料コストを抱える空運・陸運から、原材料価格に敏感な内需製造業、消費関連まで、幅広いセクターの採算改善につながります。プライムの約9割が上昇し、TOPIXが日経平均を0.87ポイント上回る上昇率となったのは、この材料の裾野の広さを反映したものです。前週末24日が「値がさ半導体の総崩れが指数を直撃した日」だったのに対し、本日は「半導体以外のほぼ全部が買われた日」でした。

ただし米国側の状況は改善していません。前週末24日の米国市場では、NYダウが235ドル高、S&P500が横ばい圏(+0.05%)で踏みとどまった一方、SOX指数は4.25%安と単日で大きく崩れました。指数間のこの極端な乖離は、米国市場でも資金が「AI・半導体から、それ以外へ」と移動していることを示しています。日本株の本日の値動きは、この米国の物色転換を素直になぞったものと理解するのが自然でしょう。中東リスクの後退という追い風と、AI投資懸念という向かい風が、セクターごとにきれいに分かれて作用した一日でした。

為替は1ドル=163円41銭前後と、前週末終値から0.23円ほど円高方向に振れました。日中は163円33銭〜163円70銭の狭いレンジで、株式市場への影響は限定的です。むしろ注目すべきは、円安の支えがない中で株価が上昇した点で、本日の上昇が為替頼みではなく、原油安という実需サイドの改善に根ざしていたことを裏づけています。

セクター・個別銘柄の動き

買われたセクター・銘柄

東証33業種のうち、11時時点で27業種が上昇と、値上がりセクターが圧倒的多数を占めました。上昇が目立ったのは空運業、その他製品、サービス業です。空運業は原油安による燃料費負担の軽減が直接的な好材料となり、原油高局面で売られていた反動も加わりました。内需・非資源系のセクターに広く資金が向かった構図です。

個別では、日経平均を押し上げた主役は半導体以外の値がさ株でした。前引け時点の指数寄与度で見ると、ファーストリテイリング(9983)が約127円、リクルートホールディングス(6098)が約55円、日経平均を押し上げ、この2銘柄だけで約182円分の押し上げ効果がありました。このほかコナミグループ、京セラ、ソニーグループ、バンダイナムコホールディングス、テルモ、ファナック、任天堂など、内需・消費・ヘルスケア系の主力に幅広く買いが入っています。後場に入るとディスコやSUMCOといった半導体関連の一角にも押し目買いが入り、指数の戻りを助けました。

売られたセクター・銘柄

下落したのは33業種中6業種にとどまりましたが、その内訳が本日の相場の性格をよく表しています。前場時点で下落が目立ったのは非鉄金属、鉱業、化学。鉱業は原油安がそのまま採算悪化に直結するセクターで、中東リスク後退の「裏側」で売られた格好です。前週末24日に鉱業が上昇率上位だったことと、ちょうど逆の動きになりました。

個別で日経平均を押し下げたのは、やはり値がさ半導体株です。前引け時点の寄与度ではアドバンテスト(6857)が約162円、ソフトバンクグループ(9984)が約89円、信越化学工業(4063)が約85円、それぞれ指数を押し下げました。この3銘柄だけで約336円分のマイナス寄与があり、これがなければ日経平均の上げ幅は650円を超えていた計算になります。ほかにもキオクシアホールディングス、フジクラ、村田製作所、イビデンといったAI・半導体関連が軒並み売られました。前週末に4%安となったイビデンが本日も続落したことは、AI特需の持続性への疑念が一日で解消するものではないことを示しています。

結果として本日は、「日経平均が市場の実態より弱く見える日」となりました。前週末24日が「値がさ半導体の崩壊で日経平均だけが極端に売られた日」だったことを踏まえると、2営業日連続で日経平均とTOPIXの乖離が発生していることになります。方向は逆でも、原因は同じ——一握りの値がさ半導体株の動向です。

テクニカル分析

トレンド

本日の日経平均は、前週末終値6万4,611円から553円高で寄り付いた後、高値6万5,220円69銭・安値6万4,123円40銭と約1,097円のレンジを上下しました。終値6万4,931円19銭は、前週末24日の安値6万4,201円03銭を上回った一方、安値6万4,123円40銭は24日の安値をわずかに下回りました。日足で見れば下ヒゲの長い陽線であり、下値を試したうえで買い戻された形です。

ただしチャート上の位置づけは依然として厳しいままです。7月22日の高値6万7,592円から24日安値まで一気に3,400円超下落した後の反発であり、戻り幅は下落幅の2割程度にとどまります。心理的節目の6万5,000円も、日中は上回ったものの終値では69円届きませんでした。現段階では「下落トレンドの中の自律反発」の域を出ておらず、本格的な底入れを判断するには材料が不足しています。一方でTOPIXは高値引けに近い形で4,066まで戻し、7月22日の4,070にほぼ肩を並べており、半導体を除く市場全体はすでに下落分をほぼ取り戻しているという対照的な姿になっています。

サポートとレジスタンス

  • 第1サポート: 6万4,123円 — 本日の安値。この水準で買いが入ったことが確認されており、当面の下値メドとなります。
  • 第2サポート: 6万4,000円 — 心理的節目。ここを割ると7月24日の下落局面への逆戻りが意識されます。
  • 第3サポート: 6万2,704円 — 7月17日に付けた直近の大底。ここまで下げると調整は一段深いものになります。
  • 第1レジスタンス: 6万5,220円 — 本日の高値。同時に6万5,000円の大台回復も兼ねる重要な関門です。
  • 第2レジスタンス: 6万5,955円 — 7月22日の安値。ここを回復すれば24日の急落前の水準圏に戻ります。
  • 第3レジスタンス: 6万7,592円 — 7月22日の高値で直近の戻り高値。上昇トレンド復帰の分水嶺です。

オシレーターと出来高

前週末の2.73%安から本日0.50%高への反発を踏まえると、RSI(相対力指数)は45〜50前後の中立圏で推移している公算が大きいと考えられます。24日の急落でいったん中立圏まで低下した後、本日の小幅な戻りではまだ明確な方向感が出ていない水準です。MACDについては、24日の大陰線でヒストグラムがマイナス方向に転じた流れが継続しており、本日の反発幅では反転を確認するには至っていないと推定されます。ただし、これらのオシレーター値はいずれも値動きからの推定であり、確定値ではありません。売買判断にあたっては必ずご自身のチャートツールで実数値をご確認ください。

注目すべきは商いの厚さです。東証プライムの売買代金は約9兆3,556億円と、前営業日の約8兆4,378億円から10.9%増加しました。前場だけで出来高は約10億3,797万株に達しています。株価上昇を伴って商いが膨らむのは通常は買いの本気度を示す前向きなサインですが、本日は同時に半導体株の投げ売りも進行しており、「半導体を売って他を買う」という資金の入れ替えが大量に発生したことによる増加と読むのが妥当でしょう。単純な強気サインとして受け取るのは早計です。

市場心理

本日の市場心理は「地政学リスクは外れたが、AIへの疑念は残った」と要約できます。中東情勢の緊張緩和という明確な好材料により、投資家は前週まで抱えていたリスク回避姿勢をいったん解きました。プライムの約9割が上昇したという事実は、市場のムードが総悲観から明確に転換したことを示しています。

しかし、その買いは半導体・AI関連を意図的に避ける形で行われました。寄り付きで600円超上昇した日経平均が10時台にマイナス圏まで沈んだのは、まさにこの「買われない一角」の重さが表面化した瞬間です。投資家は市場全体には強気になったが、AI・半導体というテーマにだけは慎重なまま——この選別的な姿勢が、本日のTOPIX優位という結果に凝縮されています。

ここ数営業日の動きを並べると、市場の構造がよく見えてきます。7月23日は「アドバンテスト1銘柄で指数を約307円押し上げた偏った上昇」、24日は「値がさ半導体の総崩れで1,811円安」、そして本日27日は「半導体以外のほぼ全てが買われても日経平均は320円高止まり」。3営業日連続で、日経平均は一握りの値がさ半導体株に振り回されています。指数の数字だけを見ていては市場の実態を見誤る局面が続いていることを、投資家は意識しておく必要があります。

翌営業日の注目ポイント

カレンダー: 本日7月27日(月)の翌営業日は7月28日(火)で、東京市場は通常取引です。当面、国内の祝日休場はありません(次は8月11日の山の日)。ただし本日は月曜であり、週内には日米の主要企業決算と金融政策イベントが控えるため、週の後半に向けてイベントリスクが高まる週の入り口にあたる点は意識しておきたいところです。
  • 今夜の米SOX指数・ナスダック — 前週末に4.25%安と急落したSOXが下げ止まるかどうかが最大の焦点です。ここが反転すれば、本日日本株の上値を抑えた要因が外れ、日経平均はTOPIXに追いつく形での上昇余地が生まれます。逆に続落なら、明日も「TOPIX高・日経平均伸び悩み」の構図が続くでしょう。
  • 中東情勢の続報と原油価格 — 本日の上昇は米イランの攻撃停止という一つの材料に支えられています。緊張緩和が定着するのか、それとも再燃するのか。原油先物の動向が、本日買われた空運・内需セクターの持続性を直接左右します。
  • 6万5,000円の回復可否 — 本日は日中に上回りながら終値で届きませんでした。明日この大台を終値で確保できれば、反発は本物との見方が強まります。
  • アドバンテスト・イビデンの下げ止まり — 本日も指数を押し下げたこの2銘柄が反発に転じるか。半導体株が売られ続ける限り、日経平均の上値は構造的に重いままです。
  • 日経平均とTOPIXの乖離 — 本日はTOPIXが0.87ポイント優位。この乖離が縮小に向かうのか拡大するのかは、AI・半導体テーマへの市場の評価がどちらに傾いているかを測る最も分かりやすい指標です。
  • ドル円163円台の推移 — 本日は小幅な円高でも株が上昇しました。為替の影響が薄い相場が続くのか、再び連動が強まるのかを確認しておきましょう。

戦略展望

本日最も重要な発見は、日本株が「AI・半導体」と「それ以外」に明確に分断されたことです。中東リスクの後退という好材料に対して、市場は9割の銘柄で素直に反応しました。にもかかわらず日経平均の上昇率が0.50%にとどまったのは、指数に占める値がさ半導体株の比重の大きさゆえです。TOPIXの1.37%高こそが、日本株全体の本日の実力に近いと考えるべきでしょう。

短期的には、本日の下ヒゲ陽線は下値の堅さを示す一方、6万5,000円を終値で回復できなかった点で力強さを欠きます。今夜の米半導体株の動向次第で、明日の日本株は大きく振れる可能性が高い局面です。半導体セクターの反転を待たずに日経平均そのものを買いに行くのは、今夜のSOX次第という賭けの要素が強くなります。一方、原油安の恩恵を受ける内需・非資源セクターは、中東情勢が落ち着いている限りは相対的に読みやすい環境が続くと考えられます。

中期的には、「AI特需の持続性」というテーマへの市場の評価が固まるまで、この分断は続くと見るのが現実的です。前週末のイビデン4%安から本日の続落まで、市場はAI関連の設備投資が本当に収益に結びつくのかという問いに、まだ答えを出せていません。この局面で個人投資家が確認しておくべきは、自身のポートフォリオが日経平均という指数の癖にどれだけ影響されているかです。値がさ半導体に偏った資産配分になっていないか、逆にTOPIX型の分散が効いているか。本日のような日経平均とTOPIXの乖離が生じる相場こそ、その点検に最も適したタイミングと言えるでしょう。

チャート

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