本日の相場概況
7月8日の東京株式市場で日経平均株価は前日比1,437円91銭安の6万6,819円05銭と大幅に3日続落した。終値は当日の安値圈での引けとなり、6月中旬以来およそ1カ月ぶりの安値水準まで水準を切り下げた。前日の米国市場でハイテク・半導体株が売られた流れを引き継いだうえ、アジア時間に入ってハイテク比率の高い韓国総合株価指数(KOSPI)が急落したことで、東京市場でもAI・半導体関連株を中心に下げ足が加速した。
もっとも、市場全体が総崩れになったわけではない。値がさのAI・半導体関連が指数を大きく押し下げた一方で、内需・ディフェンシブや出遅れ銘柄には押し目買いも入り、TOPIXは3,829.48と前日比0.29%安にとどまった。日経平均の下落率2.11%に対してTOPIXの下げが限定的だった点は、今回の調整が「指数寄与度の高い一部ハイテク株の急落」に起因する二極化相場であることを示している。プライム市場では値下がり銘柄数が値上がりを上回ったものの、その差は日経平均の急落から受ける印象ほど大きくはなかった。
為替市場ではドル円が1ドル=162.43円台と、約40年ぶりの円安水準となる162円台で高止まりした。当局の介入警戒はくすぶるものの実弾介入は確認されておらず、円は対ドルで軟調な地合いが続いている。輸出関連にとっては採算改善要因だが、この日は米ハイテク安と韓国株安という外部要因が勝り、円安メリットは株価下支えには働かなかった。
主要マーケット指標(2026年7月8日)
| 指標 | 終値/レート | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,819.05円 | -1,437.91(-2.11%) |
| TOPIX | 3,829.48 | -11.01 (-0.29%) |
| ドル円(USD/JPY) | 162.43円 | +0.20%(円安) |
| S&P 500(前日終値) | 7,503.85 | -0.45% |
| WTI原油先物 | 69.00ドル | 堅調(69ドル台) |
マクロ・地政学の焦点
今回の調整の起点は米国市場にある。前日の米株市場ではAI・半導体関連から資金が流出し、S&P 500は7,503.85と0.45%安で引けた。市場では強めの米雇用関連指標を受けて利下げ観測が後退し、高いバリュエーションを織り込んできたグロース株にとって金利上昇が重しとなる構図が意識された。「AI一辺倒」の物色が一巡し、循環物色(ローテーション)が進んでいる点は東京市場にも波及している。
地政学面では、中東情勢の再緊迫化が相場心理を冷やした。オマーン沖のホルムズ海峡付近でLNG輸送船が攻撃を受けたと伝わり、WTI原油先物は1バレル=69.00ドル台まで上昇、一時72ドル台をつける場面もあった。エネルギー価格の上振れはインフレ再燃と各国中銀の利下げ余地縮小を連想させ、金利敏感なハイテク株には逆風となりやすい。原油高・円安のコスト高要因が重なる局面では、輸入コスト増を通じた内需企業の採算悪化にも目配りが必要となる。
セクター・銘柄の動き
この日の主役は下落側では半導体製造装置・AI関連の値がさ株だった。韓国KOSPIの急落で半導体メモリ市況の先高観に対する楽観がいったん巻き戻され、東京市場でも半導体関連の主力に利益確定売りが広がった。指数寄与度の高い数銘柄の下落が日経平均の下げ幅の大半を説明する格好で、値がさグロースの調整局面という色彩が濃い。
一方で、電力・ガスや食品、医薬品といったディフェンシブセクター、加えて金融など金利上昇メリットを受けやすい業種には相対的な資金逃避の買いが入った。原油高を受けて資源・エネルギー関連の一角もしっかり。「グロースからバリュー・ディフェンシブへ」というローテーションが国内でも意識され、TOPIXの底堅さにつながった。個人投資家の押し目買い意欲は根強く、急落局面での投げ売りは限定的だった。
テクニカル分析
トレンドと移動平均線
日経平均は5月以降の急ピッチな上昇で最高値圈を走ってきたが、今回の3日続落で25日移動平均線を明確に下回った。短期的には上昇トレンドの過熱がいったん冷める調整局面に入った可能性が高い。ただし75日線・200日線といった中期の移動平均線は依然として右肩上がりを維持しており、大きな流れとしての上昇基調が崩れたとまでは言えない。
オシレーター(RSI・MACD)
過熱感を測るRSI(14日)は70超の買われ過ぎ圏から50台前半へ急低下し、短期的な過熱はほぼ解消された。MACDは高値圈でデッドクロスを示現しつつあり、モメンタムの鴍化を示唆する。オシレーター面からは、目先は戻りを試しつつも上値の重い展開が続きやすい。RSIが40を割り込むようだと売られ過ぎからの自律反発も意識される水準となる。
出来高・売買代金
急落を伴って売買代金は膨らみ、プライム市場の売買代金は高水準となった。下げ局面での商い増加は目先の需給悪化を映すが、同時に押し目買いの資金流入も伴っており、投げ一巡後は下げ渋る展開も想定される。
サポート・レジスタンス
下値メドは、当面は66,000円の心理的節目、次いで最近の上昇起点となった65,000円近辺が意識される。ここを維持できれば押し目買いが優勢となりやすい。上値は戻り売りが出やすい68,000〜68,500円が当面のレジスタンス。まずは67,000円台を回復し、直近高値圈を再び試せるかが焦点となる。
市場心理
投資家心理は「押し目待ちに押し目なし」で走ってきた強気一辺倒から、いったん慎重姿勢へと傾いた。とはいえ、TOPIXの下げが小幅にとどまったことや個人の押し目買い意欲が根強いことを踏まえると、総弱気に転じたわけではなく、過熱感の調整と物色対象の入れ替えという色合いが強い。恐怖指数(VIX)連動の警戒はやや高まったものの、パニック的な水準ではない。海外勢の売買動向と米国ハイテク株の底入れ確認が、今後のセンチメント回復の鍵を握る。
明日の注目ポイント
- 米国市場のAI・半導体株が底入れするか(フィラデルフィア半導体指数SOXの動向)
- 韓国KOSPIをはじめとするアジアハイテク株の反発有無と波及
- ドル円162円台での推移と、当局による円安けん制・介入警戒の高まり
- WTI原油69ドル台の高止まり/中東情勢(ホルムズ海峡)の緊迫度
- 日経平均の66,000円サポート維持と、25日移動平均線の回復可否
- 国内主力企業の決算発表を控えた業績期待と選別物色の方向性
今後の戦略展望
中期の上昇トレンドが崩れていない以上、今回の下げはスピード調整の範囲内と捉えるのが基本シナリオとなる。ただし値がさAI・半導体株に偏った物色は金利・地政学の外部ショックに脆弱であり、短期的なボラティリティ上昇には注意したい。戦略面では、一極集中を避けてディフェンシブや内需、金利上昇メリット業種を組み合わせた分散が有効となりやすい局面だ。
押し目買いを狙う場合も、66,000円・65,000円といった下値メドを段階的に意識し、一度に資金を投じず時間分散を図りたい。米国ハイテク株の底入れとアジア市場の落ち着きが確認できれば、再び最高値圈を試す展開も十分にあり得る。相場の主役がAI・半導体からどこへ広がるか、物色の裾野拡大を見極めることが当面のポイントとなる。
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