前日とちょうど鏡合わせの一日でした。日経平均は806円46銭高の6万5,020円94銭と5営業日ぶりに反発し、6万5,000円台を回復——ところが日経平均の採用225銘柄のうち値上がりは86銘柄にとどまり、137銘柄が値下がりしました。東証33業種も上昇は11業種だけで、22業種が下落しています。TOPIXは1.19ポイント(0.03%)高の4,103.23とほぼ横ばいで、1.26%上昇した日経平均との差は1.23ポイントに開きました。前日9月3日が「指数はマイナスなのに141銘柄が上昇」だったことを思えば、本日は「指数は大幅高なのに137銘柄が下落」——上下がそっくり入れ替わった格好です。この歪みを作ったのも、やはり1銘柄でした——ソフトバンクグループが11.78%高と急騰し、この1銘柄だけで日経平均を473円87銭押し上げました。本日の上げ幅806円46銭の58.8%を、同社1社が稼いだ計算です。前日の米国市場で早期利上げ観測が後退しNYダウが624ドル高と急伸したことを受け、前日まで4日続落していたAI・半導体関連に値頃感からの買い戻しが入りましたが、買われたのはその一角に限られ、商社・医薬品・海運・電力といった前日までの買われ筋は幅広く売られています。
まずローソク足の形を確認します。始値6万4,498円94銭、高値6万5,182円45銭、安値6万4,228円47銭、終値6万5,020円94銭——実体522円00銭の陽線で、前日まで2日続いた「陰の寄付坊主」からは形が完全に変わりました。注目したいのは安値の位置です。本日の安値6万4,228円47銭は、前日終値6万4,214円48銭をわずか13円99銭上回っています——つまり本日の日経平均は、一度もマイナス圏に沈まないまま一日を終えました。寄り付きは前日終値より284円46銭(0.44%)高い水準で、米国株高を織り込んだ割には控えめなスタートでしたが、そこから高値6万5,182円45銭(前日比+967円97銭)まで買い進まれ、上げ幅の83.3%を維持して引けています。上ヒゲは161円51銭、下ヒゲは270円47銭——下ヒゲのほうが長い陽線で、寄り付き直後に売られた場面をすぐに買い戻された形です。日中値幅は953円98銭と、前日の952円01銭・前々日の979円96銭に続いて3営業日連続で950円を超えました。ただし本日はその振れ幅が、そのまま806円46銭の上昇として残った点が前2日と決定的に違います。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,020.94円 | +806.46円 (+1.26%) 5営業日ぶりの反発 |
| 4日続落分の回復状況 | -2,191.08円のうち806.46円を回復 | 回復率36.8%。8月28日終値66,405.56円にはなお1,384.62円 (2.09%) 届かない |
| 日経平均 高値 / 安値 | 65,182.45 / 64,228.47 | 始値 64,498.94円 (日中値幅953.98円・3営業日連続で950円超) |
| ローソク足の形 | 実体522.00円の陽線 | 上ヒゲ161.51円 / 下ヒゲ270.47円。2日続いた「陰の寄付坊主」から転換 |
| 寄り付きのギャップ | +284.46円 (+0.44%) | 始値64,498.94円。NYダウ624ドル高の割には控えめな寄り付き |
| 安値の位置 | 前日終値を13.99円上回る | 安値64,228.47円。一度もマイナス圏に沈まずに引けた |
| 高値時点の上げ幅 | +967.97円 (+1.51%) | 高値65,182.45円は14時52分。上げ幅の83.3%を維持して引けた |
| TOPIX | 4,103.23 | +1.19 (+0.03%) 2営業日続伸だが、ほぼ横ばい |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,116.63 / 4,070.64 | 始値 4,116.63 (値幅45.99・1.12%)。始値=高値で上ヒゲゼロの陰線 |
| TOPIXと日経平均の騰落率差 | 1.23ポイント | 日経平均+1.26%に対しTOPIX+0.03%。11営業日続いたTOPIX優位が途切れた |
| NT倍率 | 15.846倍 | 前日15.654倍から0.192上昇。6営業日続いた低下が反転した |
| 東証プライム 売買代金 | 約8兆3,282億円 | 前日の約7兆5,770億円から約7,512億円 (9.9%) 増 |
| 東証プライム 売買高 | 約22億1,033万株 | 前日の約21億8,832万株から約2,201万株 (1.0%) 増 |
| 商いの増え方 | 代金+9.9% / 株数+1.0% | 代金だけが大きく増えた。値がさ株に商いが集中した形 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 788銘柄 / 712銘柄 (変わらず55) | 比率は50.7% / 45.8%。指数1.26%高の日としては拮抗している |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 86銘柄 / 137銘柄 (変わらず2) | 値上がりは38.2%にとどまる。前日の141銘柄/82銘柄から反転した |
| プライムと225銘柄の上昇比率の差 | 12.5ポイント | プライム50.7%・225銘柄38.2%。大型株のほうが弱かった |
| 東証33業種 上昇/下落 | 11業種 / 22業種 | 前日は20業種/13業種。日経平均が1.26%高でも3分の2の業種は下落 |
| 業種別 上昇率上位 | 情報・通信業 +3.55% | 以下 証券・商品先物+2.12%、非鉄金属+1.61%、空運業+1.12%、電気機器+0.99% |
| 業種別 上昇率6〜11位 | 小売業 +0.93% | 以下 ガラス・土石+0.55%、金属製品+0.47%、銀行業+0.27%、保険業+0.13%、その他製品+0.11% |
| 業種別 下落率上位 | 鉱業 -2.83% | 以下 海運業-2.38%、電気・ガス業-2.35%、水産・農林業-2.35%、医薬品-2.15% |
| 前日トップの卸売業 | -2.01%と反落 | 前日は+2.46%で33業種中トップ。商社株の急騰が1日で反対売買された |
| 上昇11業種の内訳 | +0.5%以上は7業種のみ | 銀行+0.27%・保険+0.13%・その他製品+0.11%は小幅高にとどまる |
| 最大のプラス寄与 | ソフトバンクグループ +473円87銭 | 589円(11.78%)高の5,590円。1銘柄で上げ幅806.46円の58.8%を稼いだ |
| ソフトバンクGを除いた224銘柄 | +332円57銭 | 同社を除くと上げ幅は3分の1近くまで縮む計算 |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | +873円96銭 | 当日の上げ幅806.46円を上回る (108.4%)。上位への集中度が極めて高い |
| プラス寄与合計 / マイナス寄与合計 | +1,111.33円 / -304.89円 | 差引+806.44円で当日の上げ幅+806.46円と0.02円以内で一致 |
| プラス寄与86銘柄の1銘柄平均 | +12円92銭 | 1,111.33円 ÷ 86銘柄。少数の銘柄が大きく買われた |
| マイナス寄与137銘柄の1銘柄平均 | -2円23銭 | 304.89円 ÷ 137銘柄。広く薄く売られた |
| プラス寄与 2〜5位 | アドバンテスト +195円50銭 | 以下 ファーストリテイリング+88円50銭、キオクシアHD+65円47銭、イビデン+50円62銭 |
| マイナス寄与 上位 | リクルートHD -20円11銭 | 以下 三菱商事-15円79銭、三井物産-15円69銭、信越化学-12円24銭、ダイキン-10円73銭 |
| 新発10年国債利回り | 一時 2.905% | 前日の2.965%から一段と低下 (共同通信報道)。3%割れが定着しつつある |
| 米ドル/円 | 156円35銭 | +49銭のドル高・円安 (16時20分時点の株探表示値) |
| ドル円の日中の推移 | 一時155円台前半 → 156円台前半 | 午前に円高が進んだ後、午後にかけて水準を戻した (大引け報道) |
| 上海総合指数 | 3,942.08 | +0.70 (+0.02%) 小幅高 (株探の終値表示) |
| NYダウ (9/3終値) | 53,686.11 | +624.16 (+1.18%) 2営業日続伸。早期利上げ観測の後退が材料 |
| S&P 500 (9/3終値) | 7,747.71 | +81.11 (+1.06%) 2営業日続伸 |
| ナスダック総合 (9/3終値) | 26,584.06 | +366.23 (+1.40%) 2営業日続伸。主要3指数で最も強い |
| SOX指数 (9/3終値) | 11,352.13 | +12.88 (+0.11%) 小幅続伸。ナスダックほどは伸びていない |
| 米VIX指数 (9/3終値) | 14.32 | -0.88 (-5.79%) 低下。15.20から警戒感がさらに和らいだ |
| 日経平均 5日線からの距離 | -196.73円 (-0.30%) | 5日線 65,217.67。前日の-1,280.11円から大幅に縮小した |
| 日経平均 25日線からの乖離 | -1.58% | 25日線 66,067.79。1,046円85銭下。前日の-2.62%から1.04ポイント改善 |
| 日経平均 75日線との差 | -1,714.33円 (-2.57%) | 75日線 66,735.27。終値が下回るのは8月21日から11営業日連続 |
| 日経平均 200日線からの乖離 | +10.24% | 200日線 58,981.07。6,039円87銭上。長期の上昇基調は維持 |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 66,061.99 / 下限 65,396.51 | 終値は下限を375円57銭下回り、3営業日連続で雲の下。前日の1,847円51銭下からは接近 |
| 日経平均 転換線 / 基準線 | 65,363.75 / 65,328.97 | 終値は転換線を342円81銭、基準線を308円03銭下回った |
| 日経平均 ボリンジャーバンド -1σ | 64,672.42 | 終値は-1σを348円52銭上回り、1営業日で回復。-2σは63,277.05 |
| 日経平均 RSI (14日) | 45.3 | 前日の40.7から4.6ポイント上昇。中立圏(50)にはあと4.7ポイント |
| 日経平均 MACD / シグナル | -325.5 / -129.9 | ヒストグラムは-195.6。前日の-211.2から15.6ポイント改善した |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -7,810.79円 (-10.72%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。前日の-11.83%から1.11ポイント縮小 |
| 7月29日安値からの戻り | +4,572.04円 (+7.56%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。前日の+6.23%から1.33ポイント拡大 |
| TOPIX 25日線 / RSI (14日) | 4,093.82 / 51.6 | 終値は25日線を9.41ポイント上回り2日連続で上。RSIは51.5から横ばい |
| TOPIX MACD / シグナル | 20.1 / 24.2 | ヒストグラムは-4.1。前日の-2.7からマイナス幅が広がった |
| TOPIX 一目均衡表の雲 | 上限 3,981.58 / 下限 3,951.06 | 終値は上限を121.65ポイント上回り、雲の上を維持している |
| TOPIX 52週高値からの距離 | -117.08 (-2.77%) | 52週高値 4,220.31 (8/14)。前日の-2.80%からほぼ変わらず |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料そのものは前日から地続きです——「米国の早期利上げ観測の後退」。前日は同じ材料が「株高・金利低下・急激な円高」という3つの現象を同時に起こし、円高が値がさ株を直撃して指数だけを押し下げました。本日は、その3つのうち円高だけが止まった——これが本日の相場を理解する出発点です。
まず前日の米国市場から確認します。9月3日のNYダウは624.16ドル(1.18%)高の53,686.11ドルと2営業日続伸し、S&P500は81.11ポイント(1.06%)高の7,747.71、ナスダック総合は366.23ポイント(1.40%)高の26,584.06と、主要3指数がそろって上昇幅を広げました。米VIX指数は0.88ポイント(5.79%)低下の14.32で、2営業日で16.34から14.32まで2ポイント以上下がっています。ただし見落とせないのがフィラデルフィア半導体株指数(SOX)で、12.88ポイント(0.11%)高の11,352.13と小幅高にとどまりました——ナスダックが1.40%上げた日に、半導体指数は0.11%しか上げていない。米国でも買いの中身は一様ではなかったということです。
次が国内の金利です。新発10年物国債利回りは午前に一時2.905%まで低下しました(共同通信報道)。前日の2.965%からさらに0.06%前後の低下で、9月2日に「1996年9月以来の高水準」として株式の重荷になった3%台からは、2営業日で明確に離れたことになります。金利上昇が株式の逆風だった局面は、いったん和らいだと見てよいでしょう。
そして本日の主役となった為替です。ドル円は午前に一時1ドル=155円台前半まで円高が進む場面がありましたが、午後にかけて156円台前半に値を戻しました(大引け報道)。16時20分時点では156円35銭で、前日比49銭のドル高・円安です。前日に2円を超える円高が一気に進んだ後だけに、「これ以上は進まなかった」という事実そのものが買い材料になりました——前日に円高を理由に売られた輸出関連・値がさ株が、その理由が消えたことで買い戻されたのが本日の構図です。
ただし、ここに本日最大の注意点があります。本日の上昇は「新しい買い材料が出た」のではなく、「前日の売り材料が消えた」ことによるものだという点です。その証拠が、33業種のうち22業種が下落したという事実。本当に相場全体が改善したのなら、業種は広く上がるはずです。実際に上がったのは、前日まで売られていた情報・通信業(+3.55%)と電気機器(+0.99%)を中心とする一角に限られ、前日まで買われていた卸売業(-2.01%)・医薬品(-2.15%)・電気ガス(-2.35%)・海運業(-2.38%)は反対に売られました。資金が外から入ってきたのではなく、市場の中で場所を移し替えただけ——それが本日の1.26%高の中身です。
そして日程面では、本日の東京市場の引け後、日本時間4日21時30分に米8月雇用統計の発表を控えています。本日の相場が「早期利上げ観測の後退」を前提に組み立てられている以上、その前提を裏づけるか覆すかを決めるのがこの統計です。加えて来週は9月10日が日経平均・TOPIX先物9月限の最終売買日、11日がメジャーSQ(特別清算指数)算出日にあたります。報道によれば、日経平均オプション9月限では権利行使価格6万円のプット(売る権利)の建玉が9,700枚超に膨らんでいるとされ、SQに向けた需給が値動きを増幅しやすい地合いである点は意識しておきたいところです。
セクター・個別銘柄の動き
東証33業種は11業種が上昇、22業種が下落しました。日経平均が1.26%上昇した日に、3分の2の業種が下落している——この一点に本日の性格が集約されています。しかも上昇11業種のうち、上昇率が0.5%を超えたのは7業種だけで、銀行業+0.27%・保険業+0.13%・その他製品+0.11%は小幅高にとどまりました。実質的に相場を押し上げたのは、上位数業種だけです。
上昇率トップは情報・通信業の+3.55%で、2位の証券・商品先物+2.12%を1.43ポイントも引き離しました。この突出した数字を作ったのがソフトバンクグループで、589円(11.78%)高の5,590円と急騰しています。同社は前日9月2日に6.42%安と急落した後、前日3日は1.56%高と小反発にとどまっていましたから、本日の11.78%高はその反動が一気に出た形です。3位の非鉄金属+1.61%、5位の電気機器+0.99%も、前日まで売られていた半導体・電子部品の買い戻しが主体で、キオクシアホールディングスが5.40%高の5万4,460円、太陽誘電が6.42%高の9,426円、イビデンが3.83%高の2万475円、村田製作所が4.20%高の7,191円と、関連銘柄が軒並み高くなりました。大引け報道によれば、東京エレクトロン・ディスコ・JX金属・SUMCOなども買われています。
一方、下落率で最も大きかったのは鉱業の-2.83%、次いで海運業-2.38%、電気・ガス業-2.35%、水産・農林業-2.35%、医薬品-2.15%です。ここで注目したいのが卸売業の-2.01%——前日は+2.46%で33業種中トップだった業種です。前日、バークシャー・ハサウェイが5大商社株を「何十年も」保有する意向を示したと報じられ、商社株が急騰したのですが、本日は三菱商事が3.10%安の4,902円、三井物産が4.45%安の5,019円、豊田通商が1.11%安の7,588円と反落しました。大引け報道では伊藤忠商事を含む商社株が総じて売られたと伝えられています。1日で買われて翌日に売られる——材料の持続力という点では、本日の値動きは商社株にとって厳しい結果でした。
個別で本日の相場を決定づけたのは、やはりソフトバンクグループです。1銘柄で日経平均を473円87銭押し上げ、本日の上げ幅806円46銭の58.8%を占めました。プラス寄与の合計は1,111円33銭ですから、そのうち42.6%が同社1社という計算になります。なぜここまで効くのか——日経平均は株価の平均をとる「株価平均型」の指数で、株価が高い銘柄ほど指数への影響が大きくなる仕組みだからです。前日はファーストリテイリング1社が指数を193円押し下げて日経平均をマイナスにしましたが、本日は同じ仕組みが逆向きに働きました。同社を除いた224銘柄の寄与度を合計すると+332円57銭——上げ幅は3分の1近くまで縮む計算です。
プラス寄与の2位以下も、上位集中の傾向がはっきり出ています。2位がアドバンテストの+195円50銭(2.51%高の3万3,090円)、3位がファーストリテイリングの+88円50銭(1.62%高の6万9,100円)、4位がキオクシアHDの+65円47銭、5位がイビデンの+50円62銭。上位5銘柄の合計は873円96銭で、当日の上げ幅806円46銭を上回ります——つまり6位以下の220銘柄を合計すると、むしろマイナスだったということです。なお前日193円09銭のマイナス寄与で指数を沈めたファーストリテイリングは、本日は3位のプラス寄与に回っています。
マイナス寄与の側は、金額こそ小さいものの銘柄数が多いのが特徴です。最大でもリクルートホールディングスの-20円11銭(1.22%安の1万6,235円)で、以下 三菱商事-15円79銭、三井物産-15円69銭、信越化学工業-12円24銭、ダイキン工業-10円73銭、アステラス製薬-10円31銭、テルモ-9円52銭と続きます。マイナス寄与137銘柄の合計は304円89銭、1銘柄あたりの平均は2円23銭——プラス側の1銘柄平均12円92銭に対して6分の1以下です。大引け報道によれば、レーザーテック・KOKUSAI ELECTRIC・キーエンス・トヨタ自動車・任天堂なども軟調でした。少数の値がさ株が大きく買われ、その他大勢が小幅に売られた——本日の相場を一枚の絵にすると、こうなります。
テクニカル分析
トレンドの位置
日経平均の終値6万5,020円94銭は、5日線(6万5,217円67銭)・25日線(6万6,067円79銭)・75日線(6万6,735円27銭)のいずれもまだ下回っています。ただし距離は大きく縮みました——5日線との差は前日の1,280円11銭(-1.95%)から196円73銭(-0.30%)へ、25日線からの乖離は-2.62%から-1.58%へ1.04ポイント改善しています。とりわけ5日線はあと196円73銭まで迫っており、翌営業日に小幅高となるだけで回復が視野に入る位置です。一方で75日線を下回るのは8月21日から11営業日連続で、中期のトレンドが下向きであること自体は本日1日では変わっていません。200日線は5万8,981円07銭で、終値は+10.24%上——長期の上昇基調は維持されています。
一目均衡表では、雲の上限6万6,061円99銭・下限6万5,396円51銭に対して終値は下限を375円57銭下回り、3営業日連続で雲の下です。ただし前日は雲の下限まで1,847円51銭の距離がありましたから、1日で1,471円94銭も接近しました。これは株価が上がったことに加えて、雲そのものが下がってきたことの合算です。転換線6万5,363円75銭・基準線6万5,328円97銭も終値より上にあり、一目均衡表の3つの判定はいずれもまだ弱気ですが、その差は転換線で342円81銭、基準線で308円03銭と、いずれも1日の値幅(本日は953円98銭)の範囲内です。ボリンジャーバンドでは25日の-1σが6万4,672円42銭で、終値はこれを348円52銭上回り1営業日で回復しました。
サポートとレジスタンス
下値のサポートは、まず本日の安値6万4,228円47銭です。この水準は前日終値6万4,214円48銭とほぼ重なっており、「前日終値を割り込まなかった」という事実が価格帯としての意味を持ちます。その下がボリンジャーバンド-1σの6万4,672円42銭を割り込んだ場合の前日安値6万3,772円80銭、さらに-2σの6万3,277円05銭です。上値のレジスタンスは、まず5日線6万5,217円67銭(あと196円73銭)、次いで本日の高値6万5,182円45銭、その上が基準線6万5,328円97銭・転換線6万5,363円75銭、そして雲の下限6万5,396円51銭という並びになります。注目したいのは、この5つがすべて6万5,180円〜6万5,400円という220円ほどの狭い帯に密集していることです——ここを一気に抜ければ節目をまとめて突破することになり、逆に跳ね返されれば「戻り一巡」と受け取られやすい。本日の終値6万5,020円94銭は、その帯の直下160円のところで引けました。
オシレーター
RSI(14日)は45.3で、前日の40.7から4.6ポイント上昇しました。一般に30以下が売られすぎ、70以上が買われすぎとされる指標で、中立圏の50まではあと4.7ポイントです。売られすぎ圏には一度も入らないまま反発したことになり、「底打ちを確認した」と言い切るにはやや根拠が弱い水準と見るべきでしょう。MACDは-325.5、シグナルは-129.9、ヒストグラムは-195.6で、前日の-211.2から15.6ポイント改善しました。ただしMACD本体は-292.2から-325.5へと悪化しています——806円高の日にMACD本体が悪化するのは奇妙に見えますが、これは9月2日の1,889円安が26日間の指数平滑平均に織り込まれ続けているためです。改善しているのはヒストグラム(MACDとシグナルの差)のほうで、勢いの底打ちを示すのはこちら——MACD本体がプラス方向に転じるには、もう数営業日の上昇が必要です。
TOPIXのテクニカルは、本日は日経平均と対照的に「動かなかった」のが特徴です。終値4,103.23は25日線4,093.82を9.41ポイント上回り2営業日連続で25日線の上、RSI(14日)は51.6と前日の51.5からほぼ横ばい、雲の上限3,981.58に対しても121.65ポイント上にあります。ただしMACDはヒストグラムが-2.7から-4.1へとマイナス幅を広げました。そして本日最も大きく動いたテクニカル指標がNT倍率です——前日の15.654倍から15.846倍へ0.192上昇し、8月27日から6営業日続いた低下がここで反転しました。ただし1日の反転で流れが変わったと判断するのは早計で、8月26日のピーク16.118倍まではなお0.272の距離があります。
市場心理
本日の市場心理を一言で表すなら、「安心の買い戻しと、選別の厳しさの同居」です。安心が戻った証拠は明確に出ています——米VIX指数は2営業日で16.34から14.32まで低下し、日経平均は一度もマイナス圏に沈まず、安値でも前日終値を13円99銭上回りました。前日まで4日続落で2,191円08銭失った相場が、1日で806円46銭(36.8%)を取り戻した——売り方が手を引いたことは間違いありません。
そして今回は、商いも伴っています。東証プライムの売買代金は約8兆3,282億円で前日から9.9%増——前日が「代金5.7%減・株数9.5%減」の閑散地合いだったことを思えば、明確な改善です。ただし内訳を見ると、売買高は約22億1,033万株で1.0%増にとどまりました。代金が9.9%増えて株数が1.0%しか増えていないということは、単価の高い銘柄に商いが集中したということ——株価5,590円のソフトバンクグループ、3万3,090円のアドバンテスト、6万9,100円のファーストリテイリングといった値がさ株に資金が向かった実態が、この2つの数字の差に表れています。
一方で、選別の厳しさを示すのが騰落銘柄数です。東証プライムの値上がりは788銘柄(50.7%)、値下がりは712銘柄(45.8%)——指数が1.26%上昇した日としては、ほぼ拮抗と言っていい比率です。日経平均225銘柄に至っては値上がり86銘柄・値下がり137銘柄で、上昇したのは38.2%にすぎません。プライム全体(50.7%)より12.5ポイント低い——大型株のほうが弱かったということです。前日は225銘柄の上昇比率がプライムを11.0ポイント上回っていましたから、この関係も1日で反転しました。
ここから読み取れるのは、投資家が「相場全体を買い戻した」のではなく、「売られすぎた特定の銘柄だけを買い戻した」という姿勢です。33業種のうち22業種が下落し、前日トップだった卸売業が-2.01%と反落したのは、その裏返し——新しい資金が入って全体が持ち上がったのではなく、既にある資金が前日までの勝ち組から負け組へ移動しただけという読み方が、本日の数字とは最もよく整合します。そして投資家がその移動を引け際まで続けなかったことは、高値6万5,182円45銭から161円51銭押して引けたことにも表れています。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は9月7日(月)で、東京市場は通常どおり取引が行われます。週末を挟むため、本日の東京市場の引け後に出る材料をまとめて織り込んで始まる点が、まず押さえるべき前提です。
その最大の材料が、本日日本時間21時30分に発表される米8月雇用統計です。本日の相場は「米国の早期利上げ観測が後退した」ことを前提に組み立てられていますから、この統計はその前提そのものを検証するイベントになります。強い数字が出れば利上げ観測が復活してドル高・円安に振れ、輸出関連には追い風となる一方で米金利上昇が株式全体の重荷になる、弱い数字なら利上げ観測はさらに後退するものの、前日のような急激な円高が再燃するリスクがある——どちらに転んでも一方向とは限らない点に注意が必要です。報道によれば、公表後に早期利上げ観測が高まった場合、米長期金利が5%へ向けて一段と水準を切り上げる可能性が警戒されています。
国内で見るべきは3つです。ひとつ目は6万5,180円〜6万5,400円の節目帯を抜けられるか——本日の高値6万5,182円45銭・5日線6万5,217円67銭・基準線6万5,328円97銭・転換線6万5,363円75銭・雲の下限6万5,396円51銭が、この220円ほどの帯に密集しています。終値6万5,020円94銭はその直下160円で、ここを抜ければ節目をまとめて突破、跳ね返されれば「戻り一巡」と受け取られやすい位置です。ふたつ目は上昇の広がり——本日は33業種中11業種、225銘柄中86銘柄しか上昇していません。この比率が改善しないまま指数だけが上がる展開が続くなら、上値の持続力は限られます。三つ目はソフトバンクグループの動向で、本日の上げ幅の58.8%を1社が稼いだ以上、同社が反落すれば指数はそれだけで大きく削られます。
需給面では、来週の日程を先に押さえておく必要があります。9月10日(木)が日経平均・TOPIX先物9月限の最終売買日、11日(金)がメジャーSQ算出日です。報道によれば、日経平均オプション9月限では権利行使価格6万円のプットの建玉が9,700枚超に積み上がっているとされ、SQに向けて先物主導の値動きが荒くなりやすい地合いです。加えて今月は日米ともに金融政策決定会合が控えています。本日2.905%まで低下した新発10年国債利回りが再び3%台に乗せるようなら、本日の買い戻しの前提が崩れる点は引き続き点検が必要でしょう。
戦略展望
本日の相場が示したのは、「指数の数字と市場の実感は別物である」ということの、2日連続での実例です。前日は指数が111円安なのに225銘柄の141が上昇し、本日は指数が806円高なのに225銘柄の137が下落しました。2日とも歪みを作ったのは値がさ株1銘柄で、前日はファーストリテイリングが193円押し下げ、本日はソフトバンクグループが474円押し上げた——株価平均型という日経平均の設計上の性質が、2日続けて市場の実像を覆い隠した格好です。
では実像はどちらなのか。本日については、TOPIXの+0.03%という数字が答えに近いと考えます。時価総額加重で全銘柄を対象とするTOPIXは、ほとんど動いていません。33業種中22業種が下落し、プライムの値上がりが50.7%と拮抗していたことも、この見方と整合します。本日起きたのは「相場全体の反発」ではなく、「前日まで売られすぎた一角への集中的な買い戻し」だった——これが数字から導かれる最も無理のない読み方です。
とはいえ、改善した点を過小評価すべきではありません。売買代金が9.9%増えて商いが戻ったこと、日経平均が一度もマイナス圏に沈まなかったこと、25日線からの乖離が-2.62%から-1.58%へ1.04ポイント縮んだこと、ボリンジャー-1σを1日で回復したこと、雲の下限まで1,471円94銭も接近したこと——いずれも前日にはなかった前向きな変化です。RSIも40.7から45.3へ上昇し、MACDのヒストグラムも-211.2から-195.6へ改善しました。4日続落で失った2,191円08銭のうち36.8%を1日で取り戻したことは、下値に買いが控えていることの証明でもあります。
したがって本日の値動きから導かれる結論はこうです——「売り圧力は明確に一巡した。ただし買いの裾野はまだ広がっていない」。前者は下ヒゲと売買代金の増加が、後者は22業種の下落と137銘柄の値下がりが示しています。判別の材料は明確で、6万5,180円〜6万5,400円に密集する5つの節目を抜けられるか、そして上昇業種数・値上がり銘柄数が広がるか——この2点です。ただし本日の引け後に米雇用統計、来週末にメジャーSQという2つの外部要因が控えており、週明けの寄り付きは本日の終値とは異なる水準から始まる可能性が高い点は、あらかじめ織り込んでおくべきでしょう。指数の数字だけを見て判断せず、業種数と銘柄数という「中身」を併せて確認する——この2日間が教えているのは、結局そこに尽きます。
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