昨日と同じ1銘柄が、今日は逆向きに指数を動かしました。日経平均は130円18銭安の6万6,131円98銭と3日ぶり反落しましたが、アドバンテスト1銘柄の押し下げは263円08銭——下げ幅130円18銭の、ちょうど2.0倍です。この1銘柄を除けば、日経平均は132円90銭高で引けていた計算になります。昨日は同じ銘柄が301円70銭の押し上げでしたから、2営業日での寄与度の振れ幅は564円78銭。値動きも極端でした。日本時間27日早朝に出たエヌビディアの決算は売上高・純利益とも過去最高、次四半期見通しも良好で、始値6万6,775円78銭は513円62銭のギャップアップ、9時6分の高値6万6,954円69銭は前日比692円53銭高——6万7,000円まであと45円31銭に迫りました。ところがそこから67分で1,172円10銭を失い、10時13分の安値6万5,782円59銭は前日比479円57銭安です。好決算が出たのに、出た瞬間から売られた——典型的な材料出尽くしでした。一方でTOPIXは6.20ポイント(0.15%)高の4,117.22と6日続伸し、日経平均とは方向が逆。売買代金は7兆8,700億円と前日から1兆1,643億円(17.4%)増え、3営業日続いた減少が止まりました。
本日の相場概況
8月27日の東京株式市場で日経平均株価は3日ぶりに反落し、前営業日比130円18銭(0.20%)安の6万6,131円98銭で取引を終えました。下げ幅そのものは0.2%と小さいのですが、その中身は本日、極端に偏っています。
まず、前回の記事の結論を検証します。26日の記事で私たちは、「翌営業日27日は、6万6,370円25銭(75日線)を終値で上回れるかどうかを、まず最初の判断材料としたい。必要な上昇率は0.16%」と書きました。結論から言えば、上回れませんでした。本日の75日移動平均は6万6,415円44銭で、終値はこれを283円46銭(0.43%)下回っています。ただし本日の高値6万6,954円69銭は、この75日線を539円25銭も上回りました——26日は高値でようやく72円09銭上回る程度でしたから、場中の到達度は大きく改善しています。2営業日続けて「場中は抜けたが、終値では戻された」という結果になりました。
同じ記事では「逆に雲の下限6万6,061円99銭(本日終値から0.30%下)を終値で割り込むようなら、本日の雲復帰は1営業日で無効になります」とも書いています。こちらは、割り込みませんでした。終値6万6,131円98銭は雲の下限を69円99銭(0.11%)上回っており、かろうじて「雲の中」を維持しています。ただし本日の安値6万5,782円59銭は、この下限を279円40銭下回りました——場中には雲の下へ落ちており、終値で拾い上げただけというのが正確なところです。26日の余裕200円17銭は、本日69円99銭まで130円18銭ぶん薄くなりました。
3つめの予想は当たりました。26日の記事で「3営業日続いた薄商いも、27日は一転して膨らむ可能性があります」「27日の売買代金は、市場の温度を測る最も分かりやすい指標になります」と書きました。東証プライムの売買代金概算は7兆8,700億円——26日の6兆7,057億円から1兆1,643億円(17.4%)増加し、3営業日続いた減少がはっきり止まりました。決算というイベントが商いを呼び戻した形です。
日足の形を見ていきます。始値6万6,775円78銭・高値6万6,954円69銭・安値6万5,782円59銭・終値6万6,131円98銭。始値から終値までの実体は643円80銭の陰線で、上ヒゲ178円91銭・下ヒゲ349円39銭です。日中値幅は1,172円10銭(1.77%)で、3営業日連続の1,000円超——26日の1,051円79銭からむしろ拡大しました。実体643円80銭が値幅の54.9%を占めており、26日の陽線(63%)を裏返したような素直な陰線です。
本日いちばん重要なのは、値動きの時間配分です。寄り付き6万6,775円78銭は前日終値から513円62銭(0.78%)のギャップアップ——3営業日続いたギャップダウン発進が、本日は上向きに反転しました。高値6万6,954円69銭を付けたのは9時6分、寄り付きからわずか6分後です。前日比692円53銭高、6万7,000円まであと45円31銭でした。
そこからの崩れが速い。安値6万5,782円59銭を付けたのは10時13分で、高値から67分で1,172円10銭を失いました。前日比では479円57銭安です。26日は「安値から871円61銭戻して大引け」でしたが、本日は「高値から1,172円10銭下げて、そこから349円39銭だけ戻して大引け」——朝高・大引け安、26日の完全な裏返しになりました。
前引けは6万6,164円19銭前後、前日比98円前後の下落(5分足終値からの当サイト算出値)でした。後場は12時30分すぎに6万6,400円台、13時台には6万6,500円前後まで戻す場面もありましたが、14時以降に再び失速し、15時ちょうどには6万6,072円49銭まで下押ししています。大引けにかけて60円ほど戻して着地という形です。前場・後場それぞれで一度ずつ戻りを試し、二度とも売られたというのが本日の一日の流れでした。
ここで本日の最大の特徴が出ます。TOPIXは、まったく違う一日を過ごしました。TOPIXは6.20ポイント(0.15%)高の4,117.22で6日続伸。始値4,124.59、高値4,130.91、安値4,109.57で、日中値幅はわずか21.34ポイント(0.52%)です。注目すべきは安値4,109.57——前日終値4,111.02からたった1.45ポイントしか下回っていません。日経平均が479円57銭安まで売られた同じ時間帯に、TOPIXはほぼ前日終値の水準にとどまっていたことになります。
NT倍率は16.062倍と、前日の16.118倍から0.056ポイント低下しました。26日は値がさ株1銘柄が指数を押し上げてNT倍率が0.031上昇しましたから、本日はその倍近い幅で逆に振れたことになります。日経平均の-0.20%とTOPIXの+0.15%の差は0.35ポイント——本日下げたのは「日本株」ではなく「日経平均という指数」だった、というのが本日を理解する最初の鍵です。
騰落銘柄数は、ほぼ拮抗しました。東証プライムの値上がりは712銘柄(全体の約46%)、値下がりは769銘柄(約49%)、変わらずは74銘柄。26日の978銘柄から266銘柄減り、値下がりは518銘柄から251銘柄増えています。東証33業種では上昇15業種・下落18業種で、26日の18業種上昇・15業種下落からちょうど逆転しました。ただし大引け報道も指摘するとおり、値下がり数は5割弱にとどまっており、崩れたと呼ぶほどの偏りではありません。
日経平均採用225銘柄に絞ると、値上がり106銘柄・値下がり116銘柄・変わらず3銘柄。値上がりは全体の47%で、プライム全体の46%とほぼ同じ水準です。26日は「プライム63%に対し225銘柄は56%」と大型株のほうが弱かったのですが、本日は両者の差がほぼ消えました。つまり、指数を130円押し下げたのは「大型株が広く売られたから」ではありません。特定の1銘柄です。
そして本日いちばん明るい数字は売買代金です。東証プライムの売買代金概算は7兆8,700億円——26日の約6兆7,057億円から1兆1,643億円(17.4%)増加し、4月21日以来の低水準から1営業日で脱しました。売買高も約19億6,156万株と、26日の約18億5,351万株から約1億805万株(5.8%)増加しています。ここで見落とせないのは、金額が17.4%増えたのに株数は5.8%しか増えていないこと——差の11.6ポイントは、値がさ株に商いが集中したことを意味します。実際、売買代金の上位はキオクシアホールディングス、アドバンテスト、フジクラ、太陽誘電、イビデンと、半導体・電子部品が並びました。それでも8兆円には約1,300億円届かず、4営業日連続の8兆円割れです。
主要マーケット指標
| 指標 | 数値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,131.98円 | -130.18円 (-0.20%) 3日ぶり反落 |
| 日経平均 高値 / 安値 | 66,954.69 / 65,782.59 | 始値 66,775.78円 (値幅1,172円・実体644円の陰線) |
| 日経平均 上ヒゲ / 下ヒゲ | 178.91円 / 349.39円 | 26日の陽線を裏返した形。実体は値幅の54.9% |
| 日経平均 一時の上げ幅 | +692.53円 | 高値時点(9時6分)。6万7,000円まであと45円31銭 |
| 高値から安値までの下落 | -1,172.10円 | 9時6分→10時13分のわずか67分で発生 |
| 日経平均 一時の下げ幅 | -479.57円 | 安値時点(10時13分)。安値から終値まで349円39銭戻す |
| 日経平均 寄り付きのギャップ | +513.62円 (+0.78%) | 始値66,775.78円。3営業日続いたギャップダウンが反転 |
| 日経平均 前引け(推定) | 66,164円前後 | -98円前後。5分足終値からの当サイト算出値 |
| TOPIX | 4,117.22 | +6.20 (+0.15%) 6日続伸。日経平均と方向が逆 |
| TOPIX 高値 / 安値 | 4,130.91 / 4,109.57 | 始値 4,124.59 (値幅21.34・0.52%) |
| TOPIX 安値の前日比 | -1.45ポイント | 日経平均が479円安の時間帯でもほぼ前日終値の水準 |
| NT倍率 | 16.062倍 | 前日16.118倍から0.056低下。26日の+0.031から逆振れ |
| NYダウ (8/26終値) | 53,463.88 | -113.52 (-0.22%) 4日ぶり反落 |
| S&P 500 (8/26終値) | 7,675.70 | -1.58 (-0.02%) ほぼ横ばい |
| ナスダック総合 (8/26終値) | 26,130.19 | -21.10 (-0.09%) 小幅安 |
| SOX指数 (8/26終値) | 11,611.23 | +23.20 (+0.20%) 2日続伸。決算発表は引け後 |
| 米VIX指数 (8/26終値) | 15.21 | -0.24 (-1.55%) 3営業日連続の低下 |
| 米10年債利回り (8/26終値) | 4.66%前後 | 25日の4.64%から約2bp上昇。3営業日ぶりの上昇 |
| 韓国KOSPI | 6,912.37 | +104.16 (+1.53%) 3日続伸。アジアで最も強い |
| 台湾加権指数 | 45,975.22 | +142.60 (+0.31%) 3日続伸 |
| 香港ハンセン指数 | 25,551.95 | -101.02 (-0.39%) アジア主要4市場で唯一の下落 |
| 上海総合指数 | 3,956.57 | +44.05 (+1.13%) 3,950台へ上昇 |
| 米ドル/円 | 159円29銭前後 | -2銭 (16時22分時点)。ほぼ横ばいで159円台を維持 |
| 東証プライム 売買代金 | 約7兆8,700億円 | 26日の約6兆7,057億円から約1兆1,643億円 (17.4%) 増 |
| 売買代金の水準 | 3営業日続いた減少が止まる | ただし8兆円には約1,300億円届かず、4営業日連続の8兆円割れ |
| 東証プライム 売買高 | 約19億6,156万株 | 26日の約18億5,351万株から約1億805万株 (5.8%) 増 |
| 金額と株数の伸びの差 | 11.6ポイント | 代金+17.4%に対し株数+5.8%。値がさ株に商いが集中 |
| 東証プライム 値上がり/値下がり | 712銘柄 / 769銘柄 (変わらず74) | 値上がりは約46%。26日の978銘柄から266銘柄減 |
| 日経平均225銘柄 値上がり/値下がり | 106銘柄 / 116銘柄 (変わらず3) | 値上がりは47%。プライム全体の46%とほぼ同水準 |
| 東証33業種 上昇/下落 | 15業種 / 18業種 | 26日の18業種上昇・15業種下落からちょうど逆転 |
| 業種別 上昇率上位 | 非鉄金属 +1.54% | 以下 石油・石炭製品+1.13%、繊維製品+0.77%、銀行業+0.68% |
| 業種別 下落率上位 | その他製品 -1.30% | 以下 精密機器-0.97%、医薬品-0.72%、海運業-0.66% |
| 最大のマイナス寄与 | アドバンテスト | 1銘柄で日経平均を263円08銭押し下げ (1,090円安の34,610円) |
| アドバンテストの寄与倍率 | 下げ幅の2.02倍 | 263.08円 ÷ 130.18円。1銘柄で下げ幅の2倍を説明 |
| アドバンテストを除いた日経平均 | +132.90円の計算 | -130.18 -(-263.08)。1銘柄がなければ上昇していた |
| アドバンテストの2営業日の振れ | 564円78銭 | 26日は+301.70円、27日は-263.08円と符号が反転 |
| マイナス寄与 上位3銘柄合計 | 約-328円34銭 | アドテスト+ファストリ+リクルート。下げ幅の2.5倍 |
| マイナス寄与 上位5銘柄合計 | 約-355円73銭 | 上記3社+コナミG・中外製薬 |
| 最大のプラス寄与 | キオクシアホールディングス | 1銘柄で日経平均を58円66銭押し上げ (2,500円高の52,500円) |
| プラス寄与 上位5銘柄合計 | 約+209円11銭 | キオクシア・東エレク・フジクラ・イビデン・ソフトバンクG |
| 寄与度合計の検算 | -130.20円 | 225銘柄の寄与度合計。実際の-130.18円とほぼ一致 |
| ストップ高 / ストップ安 | 10銘柄 / 3銘柄 | 引け時点。ストップ高は26日と同数を維持 |
| 東証グロース市場250指数 | 2%超の上昇 | 大引け報道による。小型株には資金が向かった |
| 日経平均 5日線からの距離 | +172.98円 | 5日線 65,959.00。26日の+286.20円から縮小 |
| 日経平均 25日線からの乖離 | +0.76% | 25日線 65,633.29。26日の+0.96%から0.20ポイント縮小 |
| 日経平均 75日線との差 | -283.46円 (-0.43%) | 75日線 66,415.44。高値66,954.69では539円25銭上回った |
| 日経平均 一目均衡表の雲 | 上限 66,903.95 / 下限 66,061.99 | 終値は下限を69.99円上回り、辛うじて雲の中を維持 |
| 安値と雲の下限の関係 | -279.40円 | 安値65,782.59では下限を割り込み、場中は雲の下 |
| 日経平均 52週高値からの距離 | -6,699.75円 (-9.20%) | 52週高値 72,831.73 (6/22)。26日の-9.02%から拡大 |
| 7月29日安値からの戻り | +5,683.08円 (+9.40%) | 直近安値 60,448.90 (7/29)。26日の+9.62%から縮小 |
マクロ・地政学の視点
本日の相場を動かした材料は、3つに整理できます。(1)エヌビディアの好決算とその「出尽くし」、(2)日銀・氷見野副総裁の講演と記者会見、(3)アジア市場の続伸——このうち(1)が朝の急騰と急落の両方を作り、(2)は不発、(3)が指数の下値を支えたというのが本日の構造です。順に見ていきます。
まずエヌビディアの決算です。発表は日本時間27日(木)早朝——26日の記事で「本日の大引け後、わずか十数時間後に迫っています」と書いた、そのイベントが本日の東京市場を直撃しました。内容そのものは良好です。5〜7月期は売上高・純利益とも過去最高を更新し、あわせて開示した8〜10月期の見通しも良好、さらに来期業績についても強気の見方が示されました。大引け報道によれば、同社の最高財務責任者は会見で2028年度の売上高を約70%増と見込むと説明しています。
市場の最初の反応は、素直でした。日経平均は513円62銭のギャップアップで寄り付き、9時6分には692円53銭高の6万6,954円69銭。6万7,000円まであと45円31銭です。ところが、そこが本日の天井でした。10時13分までの67分間で1,172円10銭を失い、前日比479円57銭安まで売られています。大引け報道は「主力のAI・半導体関連株は朝方こそ高く寄り付いたが、その後は利益確定売りに押された」と要約しました。好材料が出た瞬間に売る——教科書どおりの材料出尽くしです。
ここで26日の記事の見立てを振り返っておきます。「本日の上昇は、決算への強気な賭けが1銘柄に集中した結果とも読めます。賭けが外れたときの反動も、同じ1銘柄に集中することになります」と書きました。結果として起きたのは、その中間です——決算そのものは外れておらず、むしろ良かった。それでも反動は、予想どおり同じ1銘柄に集中しました。アドバンテストは1,090円(3.05%)安の3万4,610円で、寄与度は263円08銭の押し下げです。26日に301円70銭押し上げた同じ銘柄が、翌日に263円08銭押し下げた——好決算でも売られたという事実のほうが、決算が悪かった場合よりむしろ厄介かもしれません。
ただし、AI・半導体株が一様に売られたわけではない点は重要です。大引け報道も「AI・半導体株が高安まちまち」と表現しています。キオクシアホールディングスは2,500円(5.00%)高の5万2,500円と大幅高で本日のプラス寄与トップ、東京エレクトロンは500円(0.90%)高の5万6,000円、フジクラは195円(3.68%)高の5,500円、イビデンは465円(2.32%)高の2万545円。一方でアドバンテストは3.05%安、ディスコは830円(1.37%)安の5万9,780円、太陽誘電は160円(1.77%)安の8,900円です。同じセクターの中で、資金は入れ替わっただけ——実際、電気機器は+0.62%で上昇業種でした。寄与度トップの銘柄が3%下げたのに、その銘柄が属する業種は上がっているという、本日を象徴する組み合わせです。
2つめが日銀です。氷見野良三副総裁が埼玉県で金融経済懇談会に臨み、その後に記者会見を行いました。大引け報道は「踏み込んだ発言はなく、相場への影響は限られた」と総括しています。26日の記事では「市場が見ているのは米国の金利ではなく、日銀の政策」と書きましたが、本日はその日銀イベントが不発でした。それでも銀行業は+0.68%で上昇率4位、証券・商品先物取引業は+0.63%で5位と、金融株は3営業日連続で買われています。三菱UFJフィナンシャル・グループは29円(0.81%)高の3,608円。イベントが不発でも金融株が買われ続けているという事実は、買いの根拠が特定の発言ではなく、より持続的な期待にあることを示唆します。
3つめがアジア市場です。韓国KOSPIは104.16ポイント(1.53%)高の6,912.37で3日続伸と本日のアジアで最も強く、台湾加権指数も142.60ポイント(0.31%)高の4万5,975.22で3日続伸、上海総合指数は44.05ポイント(1.13%)高の3,956.57でした。香港ハンセン指数だけが101.02ポイント(0.39%)安の2万5,551.95と下げています。
KOSPIの1.53%高は見逃せません。26日の記事で「KOSPIを見ればメモリー株の方向がわかるという関係が、本日は崩れた」と書きましたが、本日はその関係が復活しています。KOSPIが1.53%高で、東京のキオクシアは5.00%高。26日にKOSPIが0.97%高でもキオクシアが2.46%安だった状態から、1営業日で元に戻りました。アジアのメモリー株全体が買われた日に、日経平均だけが下げた——その差を作ったのは、繰り返しになりますが、テスター1社です。
金利と為替は本日、材料になっていません。米10年債利回りは26日終値で4.66%前後となり、25日の4.64%から約2bp上昇しました。3営業日ぶりの上昇ですが、幅は小さい。VIXも15.45から15.21へ0.24ポイント(1.55%)低下し、3営業日連続で下がっています。米ドル/円は16時22分時点で159円29銭前後、前日比2銭の円高——ほぼ横ばいです。26日の記事で「為替の方向と自動車株の方向が一致しない状態が3営業日続くかどうか」を確認したいと書きましたが、本日は為替自体がほとんど動かず、輸送用機器は-0.17%の下落業種でした。ホンダは12円(0.72%)安の1,662円50銭、スズキは19円(0.88%)安の2,134円。円安でも円高でも横ばいでも自動車株は売られる——3営業日続けて、為替は輸出株の変数として機能していません。
最後に、外部環境と本日の下落の関係を整理しておきます。前日の米国市場はNYダウが113ドル52セント(0.22%)安の5万3,463ドル88セントと4日ぶりに反落し、S&P500は1.58ポイント(0.02%)安の7,675.70、ナスダック総合は21.10ポイント(0.09%)安の2万6,130.19と主要3指数がそろって小幅安でした。ただしいずれも0.2%以内の動きで、方向感はありません。SOX指数だけは23.20ポイント(0.20%)高の1万1,611.23と2日続伸しています。26日の記事で「26日の米国市場はエヌビディア決算の発表前にあたるため、大きくは動きにくい」と書きましたが、そのとおりの結果でした。「SOXが再び下げるようなら、本日の買い戻しは続きにくい」とも書きましたが、SOXは下げず、それでも東京の半導体主力の一角は売られた——本日の下落は、外部環境ではまったく説明できません。
セクター・個別銘柄の動き
買われたセクター・銘柄
東証33業種のうち15業種が上昇しました。上昇率首位は非鉄金属(+1.54%)で、以下、石油・石炭製品(+1.13%)、繊維製品(+0.77%)、銀行業(+0.68%)、証券・商品先物取引業(+0.63%)、鉱業(+0.62%)、電気機器(+0.62%)が続いています。26日に下落率2位だった石油・石炭製品(-1.84%)が本日は上昇率2位、26日に下落率4位だった鉱業(-0.84%)が本日は6位に浮上——資源関連が1営業日で反転しました。
- キオクシアホールディングスは2,500円(5.00%)高の5万2,500円。1銘柄で日経平均を58円66銭押し上げ、プラス寄与トップでした。売買代金でも本日の首位です。26日は1,260円(2.46%)安の5万円ちょうどまで下げていましたから、1営業日で5万2,500円まで戻したことになります。KOSPIの1.53%高と歩調を合わせた動きで、エヌビディアの強気見通しはメモリー側に素直に効いたと読めます。
- 東京エレクトロンは500円(0.90%)高の5万6,000円で50円28銭の押し上げ、プラス寄与2位。4営業日連続でプラス寄与です。26日は0.16%高にとどまっていましたが、本日は上げ幅を広げました。アドバンテストが3.05%安の日に、同じ半導体製造装置の東エレクは0.90%高——セクター内での明暗が、本日はとりわけ鮮明でした。
- フジクラは195円(3.68%)高の5,500円で39円22銭の押し上げ、寄与3位。26日は13円(0.25%)高と小幅高にとどまり「電線株の勢いは続きませんでした」と書きましたが、本日は勢いが戻りました。古河電気工業も184円(4.71%)高の4,089円と4,000円台を回復し、26日に割り込んだ水準を1営業日で取り返しています。住友電気工業は43円50銭(1.97%)高の2,255円で、電線3社がそろって上昇しました。
- イビデンは465円(2.32%)高の2万545円で31円18銭の押し上げ、寄与4位。ソフトバンクグループは37円(0.72%)高の5,200円で29円77銭の押し上げ、寄与5位です。ソフトバンクGは3営業日連続でプラス寄与となりました。
- TDKは46円(1.52%)高の3,077円で23円13銭の押し上げ。26日は18円(0.59%)安でマイナス寄与2位でしたから、1営業日で反転しました。村田製作所は124円(1.73%)高の7,309円で9円98銭の押し上げ、SCREENホールディングスは325円(2.46%)高の1万3,535円で8円72銭の押し上げです。
- 京セラは24円(0.66%)高の3,649円、日東電工は29円(0.85%)高の3,421円、信越化学工業は26円(0.44%)高の5,993円。信越化学は26日にマイナス寄与だった銘柄で、2営業日ぶりのプラスです。
- ベイカレント・コンサルティングは189円(2.43%)高の7,960円、トレンドマイクロは142円(2.55%)高の5,711円。サービス業・情報通信業がともに下落業種だった中での逆行高です。
- 非鉄金属が上昇率首位(+1.54%)となりました。ただし日経平均採用の住友金属鉱山は175円(1.51%)安の1万1,400円と下落しており、業種全体の上昇は採用外の中小型銘柄が牽引した形です。26日は住友金属鉱山が2.89%高で非鉄金属が+0.81%でしたから、業種と主力銘柄の方向が1営業日で入れ替わりました。
- ソフトウェア・ネット関連の中小型株が大きく買われました。大引け報道はサイボウズ、ラクス、Sansanの大幅高を挙げています。第一稀元素化学工業も再び値を飛ばしました——26日にストップ高を付けた銘柄で、2営業日連続の物色です。
- ストップ高は10銘柄と、26日と同数を維持しました。FFRIセキュリティが705円(14.4%)高の5,610円でストップ高となっています。東証グロース市場250指数は2%超の上昇(大引け報道による)と気を吐いており、日経平均が下げた日に小型株指数が2%超上げるという、はっきりした逆行でした。
この顔ぶれから見えるのは、本日の相場が「セクターの入れ替え」ではなく「セクター内の入れ替え」だったことです。半導体は売られていません——半導体の中の特定銘柄が売られ、別の特定銘柄が買われました。電気機器という業種は+0.62%で上昇業種7位であり、その中に3.05%安のアドバンテストと5.00%高のキオクシアが同居しています。資金は業種の外へ逃げたのではなく、業種の中で移動しただけ——だからこそTOPIXは6日続伸を続け、グロース250は2%超上げ、日経平均だけが下げたのです。
もうひとつの特徴が、資源関連の反転です。石油・石炭製品は26日の-1.84%(下落率2位)から本日+1.13%(上昇率2位)へ、鉱業は-0.84%から+0.62%へ、非鉄金属は+0.81%から+1.54%へ。26日の記事で「下落率上位が資源・輸送に集中した」と書きましたが、その資源側は1営業日できれいに買い戻されました。一方で海運業は26日の-2.37%に続き本日も-0.66%と2営業日連続の下落で、「資源・輸送」がひとかたまりに動いていた関係は、本日で分解しています。
売られたセクター・銘柄
下落は18業種で、下落率上位はその他製品(-1.30%)、精密機器(-0.97%)、医薬品(-0.72%)。そのほか海運業(-0.66%)、鉄鋼(-0.60%)、小売業(-0.59%)、サービス業(-0.51%)、電気・ガス業(-0.50%)、食料品(-0.37%)、不動産業(-0.34%)が下げています。ただし下落幅は総じて小さく、18業種のうち9業種は下落率0.35%以内です。
- アドバンテストは1,090円(3.05%)安の3万4,610円。1銘柄で日経平均を263円08銭押し下げ、マイナス寄与は圧倒的トップです。本日の下げ幅130円18銭の2.02倍にあたり、この1銘柄を除けば日経平均は132円90銭高で引けていた計算になります。26日は301円70銭の押し上げでしたから、2営業日での寄与度の振れ幅は564円78銭。売買代金でも本日2位でした。エヌビディアの好決算を受けて朝高で始まり、そこから利益確定売りに押された——26日の3.63%高が、そのまま巻き戻された形です。
- ファーストリテイリングは580円(0.80%)安の7万1,540円で46円66銭の押し下げ、マイナス寄与2位。5営業日連続でマイナス寄与の上位に入っています。株価水準が高いため、0.8%の下落でも指数への影響は大きくなります。
- リクルートホールディングスは185円(1.08%)安の1万6,970円で18円60銭の押し下げ、寄与3位。26日は550円(3.31%)高で高値引けとなりプラス寄与3位でしたから、こちらも1営業日で反転しました。サービス業が-0.51%の下落業種となった主因です。
- コナミグループは505円(2.27%)安の2万1,735円で16円93銭の押し下げ、任天堂は168円(1.89%)安の8,728円で5円63銭の押し下げ、バンダイナムコホールディングスは46円(0.81%)安の5,612円。ゲーム関連がそろって売られ、その他製品が下落率トップ(-1.30%)となりました。
- 中外製薬は104円(1.47%)安の6,947円で10円46銭の押し下げ、アステラス製薬は29円50銭(1.22%)安の2,391円、武田薬品工業は51円(0.87%)安の5,809円。医薬品が-0.72%で下落率3位です。26日は医薬品が+1.04%で上昇率5位、中外製薬は1.45%高でしたから、こちらも1営業日で反転しています。
- HOYAは500円(2.00%)安の2万4,465円で8円38銭の押し下げ。テルモは12円(0.47%)安の2,560円で3円22銭の押し下げです。精密機器が-0.97%で下落率2位となりました。26日も-0.38%でしたから、2営業日連続の下落です。
- KDDIは17円(0.59%)安の2,880円50銭で6円84銭の押し下げ、キッコーマンは40円(2.18%)安の1,793円で6円70銭の押し下げ。ディフェンシブ株にも売りが及びました。
- ディスコは830円(1.37%)安の5万9,780円で5円56銭の押し下げ、太陽誘電は160円(1.77%)安の8,900円で5円36銭の押し下げです。太陽誘電は26日も2.27%安で、2営業日連続の下落。売買代金では本日4位と商いは膨らんでいます。
- 伊藤忠商事は33円(1.54%)安の2,105円で5円53銭の押し下げ。卸売業は-0.06%とほぼ横ばいですが、商社の一角には売りが出ました。
- ヤマハ発動機は48円50銭(2.48%)安の1,906円50銭、ホンダは12円(0.72%)安の1,662円50銭、スズキは19円(0.88%)安の2,134円、デンソーは15円50銭(0.81%)安の1,903円50銭。輸送用機器は-0.17%で3営業日連続の下落業種です。
- 住友金属鉱山は175円(1.51%)安の1万1,400円。26日の2.89%高から反落しましたが、非鉄金属という業種自体は+1.54%で上昇率首位という、本日を象徴するねじれが起きています。
- 大引け報道はレノバの大幅安を挙げています。そのほかアドバンスクリエイト、サンウェルズも下落しました。ストップ安は3銘柄で、26日の1銘柄から2銘柄増えています。
本日の売られ方でいちばん目を引くのは、マイナス寄与の集中度です。マイナス寄与上位3銘柄の合計は約328円34銭で、実際の下げ幅130円18銭の2.5倍。上位5銘柄では約355円73銭に達します。一方でプラス寄与の上位5銘柄合計は約209円11銭にとどまりました。この差146円62銭が、そのまま本日の指数の性格です。26日は「上位3銘柄の寄与合計418円15銭が上げ幅405円73銭を上回った」と書きましたが、本日は下側で同じことが、より極端な倍率で起きました。
そしてもうひとつ、業種の下落幅がどれも小さいことも見落とせません。下落18業種のうち、1%を超えて下げたのはその他製品(-1.30%)ただ1業種です。下落率9位の不動産業でもう-0.34%まで縮み、最も下げの小さいその他金融業は-0.05%にすぎません。市場全体としては、ほとんど下げていないのです。プライムの値下がり銘柄は769と全体の49%で半数に届かず、TOPIXはプラス、グロース250は2%超高——「本日は下落相場だった」という表現は、日経平均という指数の中だけで正しい、というのが本日の実態です。
テクニカル分析
トレンド
本日の130円安で、日経平均は75日線から再び遠ざかりました。ただし雲の下限は、69円99銭差で守っています。順に確認します。
25日移動平均は6万5,633円29銭(推定であり確定値ではありません)で、終値6万6,131円98銭はこれを498円69銭上回っています。25日線からの乖離率は+0.76%——26日の+0.96%から0.20ポイント縮小しました。25日線自体は26日の6万5,632円63銭から66銭の上昇にとどまり、3営業日連続でほぼ真横です。線は動かず、株価だけが少し戻った——短期の位置関係は、なお良好な部類にあります。
5日移動平均は6万5,959円00銭で、終値はこれを172円98銭上回りました。26日は286円20銭上でしたから、1営業日で113円22銭ぶん距離が縮まったことになります。ただし5日線自体は26日の6万5,975円96銭から16円96銭の低下で、26日に上向きへ転じたばかりの線が、1営業日でほぼ横ばいに戻りました。本日の終値は5日線の上を維持していますが、余裕は173円——本日の値幅1,172円の7分の1にすぎません。
75日移動平均は6万6,415円44銭で、終値はこれを283円46銭(0.43%)下回っています。26日の108円09銭下から175円37銭ぶん離れました。ただし本日の高値6万6,954円69銭は、この75日線を539円25銭上回っています——26日は高値でわずか72円09銭上回る程度でしたから、場中の到達幅は7.5倍です。75日線自体も26日の6万6,370円25銭から45円19銭上昇しており、抵抗線そのものが上へ逃げ続けている点は、中期トレンドがまだ回復局面に入っていないことを示します。
200日移動平均は5万8,549円56銭で、終値はこれを7,582円42銭(12.95%)上回っています。26日の13.32%からは0.37ポイント縮小しました。200日線は26日の5万8,475円53銭から74円03銭上昇しており、長期の上昇トレンドは崩れていません。長期トレンドのなかの中期調整という整理は、4営業日変わりません。
俯瞰しておくと、日経平均は52週高値7万2,831円73銭(6月22日のザラ場高値)を6,699円75銭(9.20%)下回る水準にあります。26日の-9.02%からは0.18ポイント拡大しました。一方、7月29日のザラ場安値6万448円90銭からは5,683円08銭(9.40%)上です。26日の+9.62%から0.22ポイント縮小しました。高値からの下落率9.20%と安値からの上昇率9.40%がほぼ同じ——6月高値と7月安値のちょうど中間あたりで、8月の相場は膠着しています。
サポート・レジスタンス
一目均衡表の雲は、上限6万6,903円95銭・下限6万6,061円99銭(いずれも推定)です。終値6万6,131円98銭は下限を69円99銭(0.11%)上回っており、2営業日連続で「雲の中」を維持しました。ただし26日の余裕200円17銭からは130円18銭ぶん薄くなっています。そして本日の安値6万5,782円59銭は、この下限を279円40銭下回りました——場中には雲の下へ落ちており、終値でかろうじて拾い上げたというのが実態です。雲の厚みは841円96銭で、26日の987円62銭からさらに薄くなりました。
翌営業日の雲も、上限6万6,903円95銭・下限6万6,061円99銭と算出されます。上限・下限とも本日と同値での据え置きです。下限6万6,061円99銭が3営業日連続で動かないということは、翌営業日に終値でここを割り込めば、そのまま雲の下へ戻ることを意味します。本日終値からの距離はわずか69円99銭(0.11%)——本日の値幅1,172円10銭の17分の1にすぎません。26日の記事で「200円の緩衝地帯は薄すぎます」と書きましたが、その緩衝地帯は本日、70円まで縮みました。
転換線は6万6,917円52銭、基準線は6万5,028円57銭です。終値は転換線を785円54銭下回り、基準線を1,103円41銭上回っています。26日は転換線を846円70銭下回っていましたから、61円16銭ぶん接近しました。転換線自体が26日の6万7,108円86銭から191円34銭低下しており、株価が近づいたというより、線のほうが下りてきたという接近のしかたです。基準線は6万5,028円57銭で3営業日連続の据え置きで、下値の支えとしての余裕は1,103円あります。
水準を整理します。上値の抵抗は、6万6,415円44銭(75日線)→6万6,903円95銭(翌営業日の雲の上限)→6万6,917円52銭(転換線)→6万6,954円69銭(本日高値)の順。雲の上限・転換線・本日高値の3つが6万6,900円台に密集しており、50円の幅に3つの節目が重なる強い抵抗帯を形成しています。本日はまさにこの帯に高値で触れて、跳ね返されました。下値の支えは、6万6,061円99銭(雲の下限)→6万5,959円00銭(5日線)→6万5,782円59銭(本日の安値)→6万5,633円29銭(25日線)。雲の下限と5日線は103円しか離れておらず、26日に続きこの2本がひとかたまりの支持帯です。
オシレーター
RSI(14日)は49.3(推定)で、26日の49.8から0.5ポイント低下しました。RSI(9日)は48.9で、26日の49.8から0.9ポイント低下です。26日は14日と9日がともに49.8で完全に一致していましたが、本日は9日のほうが0.4ポイント低い——短期の勢いのほうがわずかに弱まったことを示します。とはいえ両者とも48〜49台で、中立とされる50をわずかに下回るだけ。買われすぎでも売られすぎでもない中立圏という評価は、2営業日変わりません。
MACDは-15.9、シグナルは15.6(推定)で、MACDがシグナルを31.5ポイント下回っています。26日はMACD-3.1・シグナル23.5で差は26.6ポイントでしたから、差は4.9ポイント拡大しました。25日に示現したデッドクロスは解消しないまま、3営業日目に入っています。26日は「差の縮小は、下向きの勢いが弱まっていることを示します」と書きましたが、本日はその縮小が止まり、再び開きました。MACD自体も-3.1から-15.9へ12.8ポイント低下しており、12日EMAが26日EMAから下へ離れ始めたことを意味します。
したがって本日のオシレーターは、「RSIは中立を維持、MACDは悪化」という食い違いを示しています。移動平均で見た「雲の下限と5日線・25日線の上は維持したが、75日線からは175円ぶん遠ざかった」という構図と、同じことを言っています。26日に「中期トレンド転換の一歩手前まで来た——ただし、まだ一歩残っている」と書きましたが、本日はその一歩が、二歩に戻りました。ただし後退の幅は小さく、下値の支持帯はまだ機能しているというのが、テクニカル面での率直な評価です。
市場心理
本日の市場心理を一言でまとめれば、「良い知らせで売る」です。
エヌビディアの決算は、悪くありませんでした。売上高・純利益とも過去最高、次四半期見通しも良好、来期も強気。市場が期待していたものは、ほぼすべて出てきたと言っていい内容です。そして東京市場は、その内容どおりに513円62銭のギャップアップで寄り付き、6分後には692円53銭高を付けました。
その後の67分が、本日の本質です。9時6分の6万6,954円69銭から10時13分の6万5,782円59銭まで、1,172円10銭。好材料を織り込みにいった買いが、そのまま利益確定の売りに変わりました。26日の記事で「本日の売買代金が4カ月ぶりの低水準だったのは、市場参加者の多くが『その結果を見てから動く』と決めている証拠」と書きましたが、待っていた参加者が本日実際に取った行動は、買いではなく、売りでした。
ただし、これを悲観と読むのは行き過ぎです。売られたのは、決算前に買われすぎていた銘柄にほぼ限られています。アドバンテストは26日に3.63%高、そのうち安値からの戻りは6.89%でした。本日の3.05%安は、その戻りの一部を吐き出したにすぎません。同じ半導体でもキオクシアは5.00%高、東京エレクトロンは0.90%高、フジクラは3.68%高です。市場はAI相場そのものを否定していない——ポジションを整理しただけ、というのが素直な読み方でしょう。
それを裏づけるのが、本日の商いの回復です。売買代金7兆8,700億円は26日から1兆1,643億円(17.4%)の増加で、3営業日続いた減少が止まりました。4カ月ぶりの薄商いから1営業日で1兆円以上戻ったのは、待機していた資金が実際に動いた証拠です。そして株数の伸びが5.8%にとどまったことは、その資金が値がさ株に向かったことを示します。薄い板に少数の注文がぶつかる状態は、本日ようやく解消に向かいました。
裾野は、5営業日続けて崩れていません。プライムの値下がり銘柄は769と全体の49%で、半数に届いていません。TOPIXは6日続伸、東証グロース市場250指数は2%超高です。ストップ高は10銘柄で26日と同数を保ちました。大引け報道も「個別で材料のある銘柄を中心に投資家の物色意欲は根強く」と表現しています。指数が下げた日に、小型株指数が2%超上げる——これは相場全体が崩れる局面の姿ではありません。
それでも警戒すべき点は、はっきりしています。本日の下げ幅130円18銭に対し、アドバンテスト1銘柄の押し下げは263円08銭で2.02倍。マイナス寄与上位3銘柄では328円34銭、2.5倍です。26日は上げ幅の74%が1銘柄、本日は下げ幅の2倍が1銘柄——4営業日続けて、日経平均は「1〜2銘柄で決まる指数」であり続けています。26日の記事で「この偏りが続く限り、TOPIXと日経平均の乖離は広がりやすく、指数の水準だけを見て市場全体を判断するのは危険です」と書きましたが、本日はまさにその乖離が、方向の違いという最も分かりやすい形で表れました。
そして、雲の下限までの距離は69円99銭しかありません。26日は200円17銭でした。本日の値幅1,172円10銭を思えば、70円は誤差の範囲です。安値6万5,782円59銭ではすでに279円40銭割り込んでいますから、翌営業日に同じ規模の下振れがあれば、終値でも雲の下へ落ちる可能性は十分にあります。2営業日連続で雲の中を維持したという事実は、70円という薄さの前では、あまり強い根拠になりません。
翌営業日の注目ポイント
翌営業日は8月28日(金)です。祝日はなく、通常取引となります。週末を挟む金曜日にあたるため、ポジション調整の売買が出やすい日柄である点は頭に置いておきたいところです。
- 最大の焦点は、雲の下限6万6,061円99銭を終値で守れるかです。本日終値からの距離はわずか69円99銭(0.11%)で、翌営業日も同値で据え置かれます。本日はすでに安値で279円40銭割り込んでおり、場中に割れること自体は珍しくありません。問題は終値です。ここを終値で割り込めば、26日に3営業日ぶりに回復した「雲の中」は2営業日で失われます。
- 上値の第一関門は75日線6万6,415円44銭です。本日終値からあと283円46銭(0.43%)。26日は「あと108円09銭(0.16%)」でしたから、必要な上昇率は2.7倍に増えました。本日の高値6万6,954円69銭はこれを539円25銭上回っており、場中には十分到達できる水準ではあります。
- その先の6万6,900円台には、3つの節目が密集しています。翌営業日の雲の上限6万6,903円95銭、転換線6万6,917円52銭、本日高値6万6,954円69銭——50円の幅に3本です。本日はこの帯に触れて跳ね返されました。ここを終値で上抜ければ「雲の上」への完全復帰となり、テクニカルの景色は一変しますが、本日終値から771円97銭(1.17%)上と距離があります。
- アドバンテストの動向が引き続き最大の変数です。26日は+301円70銭、27日は-263円08銭と、2営業日で564円78銭ぶん指数を振り回しました。本日の3.05%安が「好決算でも売られた」結果である以上、翌営業日に買い直されるのか、それとも下げが続くのかは、AI関連の需給を測る最も分かりやすい指標になります。この1銘柄が日経平均を200円単位で動かす状態は、4営業日続いています。
- TOPIXの続伸が7日目に入るかも見どころです。TOPIXは本日で6日続伸し、日経平均が下げた日にも上昇しました。NT倍率は16.062倍と前日から0.056低下しています。この乖離がさらに広がるようなら、日経平均の下げは「日本株の下げ」ではないという読み方が一段と強まります。
- 売買代金が7兆円台を維持できるかも確認したい点です。7兆8,700億円は26日から1兆1,643億円の増加ですが、8兆円には約1,300億円届かず、4営業日連続の8兆円割れです。決算というイベントが終わった翌日にどこまで商いが残るか——ここで再び6兆円台へ沈むようなら、本日の商い回復はイベント限定だったことになります。
- 前日27日の米国市場も確認材料です。27日の米国市場は、エヌビディアの決算を丸一日かけて評価する最初の場になります。東京市場は本日「好決算でも売る」という反応を示しましたが、米国市場が同じ反応を示すとは限りません。SOX指数は25日+1.44%、26日+0.20%と2日続伸しており、27日の動きは28日の東京の半導体株を直接左右します。
- 資源関連の反転が続くかも注目です。石油・石炭製品は26日の-1.84%から本日+1.13%へ、鉱業は-0.84%から+0.62%へ、非鉄金属は+0.81%から+1.54%へとそろって改善しました。ただし日経平均採用の住友金属鉱山は1.51%安で、業種と主力銘柄の方向がねじれています。このねじれが解消する方向(主力も買われる)なら物色の広がり、逆なら中小型株の一時的な物色だったと判断できます。
戦略展望
整理すると、本日の相場は「好材料で上げて、好材料で下げた日」でした。エヌビディアの決算は良かった。それでも日経平均は130円18銭安——そして、その下げのほぼすべてがアドバンテスト1銘柄で説明できます。
良い材料は3つあります。(1)売買代金が7兆8,700億円と1兆1,643億円(17.4%)増え、3営業日続いた減少が止まったこと。(2)TOPIXが6日続伸、東証グロース市場250指数が2%超高と、日経平均以外の指数はすべて上昇したこと。(3)終値が一目均衡表の雲の下限を69円99銭上回り、2営業日連続で雲の中を維持したこと——市場の裾野は、本日も崩れていません。
気になる材料も3つあります。(1)雲の下限までの余裕が200円17銭から69円99銭へ、130円18銭ぶん薄くなったこと。(2)MACDとシグナルの差が26.6ポイントから31.5ポイントへ再び拡大し、デッドクロスの解消が遠のいたこと。(3)75日線との差が108円09銭から283円46銭へ175円37銭ぶん広がったこと。
この3つずつの材料が示すのは、「中身は良いが、位置が危うい」という状態です。商いは戻り、裾野は買われ、TOPIXは6日続伸——市場の健康状態そのものは、26日より改善しています。しかしチャート上の日経平均は、雲の下限から70円しか離れていない場所に立っています。26日は「形は整ったが、中身は薄い」と書きました。本日はその真逆——中身が充実したのに、形のほうが崩れかけているのです。
この食い違いは、日経平均という指数の構造そのものから来ています。4営業日続けて、日経平均は1〜2銘柄で決まってきました。24日はアドバンテストが337円90銭の押し下げ、25日はソフトバンクGが90円11銭の押し上げ、26日はアドバンテストが301円70銭の押し上げ、そして本日はアドバンテストが263円08銭の押し下げです。市場全体の体温を測るには、いま日経平均は最も不向きな指標になっています。
翌営業日28日は、雲の下限6万6,061円99銭を終値で守れるかどうかを、まず最初の判断材料としたいところです。本日終値からの余裕はわずか69円99銭(0.11%)——本日の値幅1,172円の17分の1しかなく、翌営業日の寄り付き次第で簡単に消える距離です。逆に上値では、75日線6万6,415円44銭(本日終値から0.43%上)を終値で上回れれば、本日の下げは1営業日の押し目として整理できます。この70円下と283円上に挟まれた狭い範囲が、翌営業日の相場を判断する物差しです。そして、その判断を左右するのは日本の材料ではなく、27日の米国市場がエヌビディアの決算をどう評価したか——本日の東京と同じく「好決算でも売る」なら、翌営業日の雲の下限は保たない可能性が高いとみておくべきでしょう。
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