2026年4月28日(火) 東京株式市場サマリー
日経平均株価は3営業日ぶりに反落し、終値は前日比619円安の59,917円。前日に史上初の6万円台に乗せたばかりだったが、アドバンテストなど好決算銘柄に対する高い期待に届かず、半導体・AI関連を中心に幅広く利益確定売りが広がった。
本日の東京株式市場は、前日に終値で初めて6万円の大台を超えた反動から、寄り付きから売りが先行する展開となった。前日の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が約4週間ぶりに反落し、東京エレクトロン、ディスコ、レーザーテックなど主力半導体株に売り圧力が波及。アドバンテストは前日の取引時間中に過去最高となる業績見通しを発表していたが、すでに高水準で織り込まれていたとして失望売りが広がり、日経平均寄与度の高い銘柄群が指数を押し下げた。
為替市場ではドル円が一時159円30銭台まで上昇したものの、日銀の早期利上げ観測が改めて意識されたことで、輸出関連株への支援材料としては限定的。中東情勢ではホルムズ海峡を巡る緊張が燻り、原油価格が高止まりしていることもインフレ警戒感を呼び戻し、リスクオン一辺倒だった地合いに変化が見られた一日となった。
主要マーケット指標
| 指標 | 終値 | 前日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 59,917円 | -619円 | -1.02% |
| TOPIX | 3,418.52 | -29.16 | -0.85% |
| グロース250 | 762.34 | -8.21 | -1.07% |
| ドル円 | 159.17円 | +0.18円 | +0.11% |
| ユーロ円 | 170.42円 | +0.24円 | +0.14% |
| S&P500 (前営業日) | 7,173.91 | +8.59 | +0.12% |
| NYダウ (前営業日) | 49,167.79 | -62.92 | -0.13% |
| NASDAQ総合 (前営業日) | 24,887.10 | +49.45 | +0.20% |
| 10年国債利回り | 1.685% | +0.025% | 金利上昇 |
| WTI原油 (NY) | $107.42 | +1.84 | +1.74% |
マクロ環境と地政学リスク
日銀利上げ観測の再燃
来週に迫る金融政策決定会合を前に、市場では追加利上げの可能性が再びクローズアップされている。直近の消費者物価指数(CPI)は2.7%とインフレ目標を上回る水準が定着しており、賃上げの広がりも持続。植田総裁が今月初旬の講演で「政策金利は依然として中立水準より低い」と踏み込んだ発言を行ったことで、市場では7月会合での0.25%利上げを織り込む動きが進んでいる。本日はそれを意識した銀行・保険セクターへの資金シフトが見られたものの、グロース株全般には逆風となった。
中東情勢とエネルギー価格
米イラン間の和平協議が膠着状態に陥っており、ホルムズ海峡の通航リスクは依然として高い水準にある。WTI原油先物は1バレル107ドル台まで再上昇し、コスト圧力としてインフレ高止まり懸念を呼び起こしている。日本にとってはエネルギー輸入国として悪材料であり、運輸・電力・素材業種でコスト転嫁を巡る論点が改めて意識された。一方で、商社株や石油元売り、海運株の一部は逆行高となり、地政学リスクのヘッジ需要を取り込んだ。
米国動向 — AI相場の踊り場
前日のNY市場ではS&P500が小幅高で過去最高値を更新したものの、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は約1ヶ月ぶりに反落。NVIDIA、AMD、Broadcomなど主要AI半導体銘柄に高値警戒感からの利益確定売りが広がった。今週後半はGAFAMの決算が控えており、特にMicrosoftとAlphabetのクラウド成長鈍化が懸念材料として浮上している。日本のAI関連株もこの流れを引き継ぐ形となった。
セクター・個別銘柄動向
| 業種 | 騰落率 | 主力銘柄の動き |
|---|---|---|
| 電気機器 | -1.85% | アドバンテスト・ディスコが大幅安 |
| 機械 | -1.62% | SMC・ファナックに利益確定売り |
| 情報・通信 | -1.34% | ソフトバンクG軟調 |
| 銀行 | +0.78% | 三菱UFJ・三井住友FGに買い継続 |
| 保険 | +0.92% | 東京海上HDが続伸 |
| 石油・石炭 | +1.45% | INPEX、ENEOSが原油高で買われる |
| 海運 | +1.28% | 日本郵船・商船三井が逆行高 |
| 鉄鋼 | -0.42% | 日本製鉄は小幅軟調 |
個別銘柄ハイライト
アドバンテスト(6857):前日に発表した今期営業利益見通しは過去最高水準であったものの、市場予想を大きく上回る水準ではなかったとして失望売りが集中、約5.8%安。同社は日経平均寄与度トップクラスのため、指数全体への押し下げ効果が極めて大きかった。
東京エレクトロン(8035):SOX反落の影響を受けて約3.2%安。同社は来週決算を控えており、ガイダンス次第では再評価の余地もある。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):日銀利上げ観測を追い風に約1.5%高。預貸金利鞘の拡大期待が継続し、メガバンク3行揃って堅調。
ファナック(6954):前日に上昇を主導したが、本日は反動安で約2.1%安。ロボティクス・フィジカルAI関連としての注目度は高いが、短期的な過熱感が指摘されていた。
INPEX(1605):原油高を背景に約2.3%高で逆行高。地政学リスクのヘッジ的役割を担っている。
テクニカル分析
トレンド判定
日経平均は3月安値(53,800円台)から約11%上昇する強気トレンドを継続中だが、本日の反落で初の6万円台到達後の高値圏での調整局面入りが鮮明になった。25日移動平均線(58,420円)は依然として上向きで中期トレンドは健在、5日線(60,180円)を一時的に下抜けたものの、25日線までは1,500円以上のクッションがあり、押し目買い余地は十分に残されている。
RSI(14日)
直近の高値圏ではRSIが72を上回り、明確な「買われ過ぎ」ゾーンに突入していた。本日の反落で68前後まで低下したが、依然として加熱気味の領域。50近辺まで調整するには、もう一段の下押し(58,500円程度)が必要との見方が市場のコンセンサスとなりつつある。
MACD
MACDラインはシグナルラインの上方を維持しているが、ヒストグラムは2日連続で縮小中。ゴールデンクロスで生じた強気モメンタムがピークアウトしつつあることを示唆しており、デッドクロス転換にはまだ距離があるものの、上値追いの勢いは確実に鈍化している。
出来高
東証プライム市場の売買代金は約5兆8,200億円と、25日平均(約5兆1,000億円)を14%程度上回る活況。下落局面で売買代金が膨らんでいる点は、利益確定の動きが本格化した証左と読み取れる。出来高を伴った下落であるため、短期的な調整圧力は意識される。
サポート・レジスタンス
レジスタンス:60,537円(4/27高値・年初来高値)、61,000円(心理的節目)、61,500円(ボリンジャーバンド+2σ)。サポート:59,500円(本日安値)、59,000円(直近の出来高密集帯)、58,420円(25日移動平均線)、57,800円(2月戻り高値ライン)。当面は59,000円〜60,500円のレンジ内での攻防が想定される。
市場心理と需給動向
投資家心理を測る東証騰落レシオ(25日)は134.5と「買われ過ぎ」とされる120を大幅に超過しており、過熱感は依然として強い。日経平均VI(ボラティリティ指数)は18.4と、前日の17.1から上昇。GW直前の薄商いを警戒する向きも見られる中、ヘッジ需要が高まっている。
海外投資家は4月3週時点までの累計で約1.8兆円の現物買い越しを継続しており、長期マネーの流入は一服感が見られない。一方、信用買い残は約4兆7,000億円と、過去5年平均(約4兆円)を上回り、需給面での重しとなっている。個人投資家の信用評価損益率はマイナス2%台まで改善しているが、ここからさらなる上抜けには新規の材料が必要となろう。
明日の注目ポイント
- 米GAFAM決算:Microsoft、Alphabetが本日の米国市場引け後に決算発表予定。Azure・Google Cloudの成長率が市場予想を超えるかが焦点で、結果次第では日本のAI関連にも波及。
- 日銀金融政策決定会合(4/30):政策金利は据え置き予想だが、展望レポートでの物価見通し上方修正の有無、植田総裁会見での利上げ示唆度合いに注目。
- 米FOMC(4/29-30):政策金利の据え置きが大勢だが、パウエル議長の会見でインフレ警戒感がどこまで強調されるか。
- 米GDP速報値(1-3月期):年率2.5%予想。下振れすればドル安・円高方向への振れが警戒される。
- 主要国内決算:日立、村田製作所、信越化学などGW前ラッシュ。AI設備投資の波及効果がどこまで広がっているかを確認するべき局面。
- 連休前の需給要因:海外勢のポジション調整、個人投資家の現金化フローに注意。薄商いになりやすい中、値幅が出やすい点に留意。
投資戦略 — 短期と中期の見立て
短期(1〜2週間)
日経平均は59,000円〜60,500円のレンジ内での揉み合いを想定。GW中の海外市場の動向(特に米GAFAM決算とFOMC)で大きく方向性が決まる可能性。短期勢は無理な順張りを避け、戻り売りと押し目買いをレンジ内で繰り返す戦術が現実的。半導体株は当面ボラタイルな展開が続くため、初心者は控えめなポジションが望ましい。
中期(1〜3ヶ月)
企業業績はAI需要・賃上げ波及・資本効率改善の3点を背景に底堅く、PER15倍程度の現状はバブル領域とは言えない。日銀利上げ局面でも金融・不動産といった国内収益型業種への循環物色が機能しやすく、ポートフォリオの分散度を高めることでリターンを安定化できる局面と判断。中期投資家は急落局面でこそ淡々と買い増しを進める方針が有効。
注目テーマ
①フィジカルAI(産業ロボット・半導体製造装置)、②生成AIインフラ(電力・データセンター・冷却)、③地政学ヘッジ(エネルギー・防衛)、④日銀利上げ恩恵(銀行・保険)、⑤円高耐性(内需・サービス)。
主要チャート
日経平均株価 (INDEX:NKY)
ドル円 (FX:USDJPY)
S&P 500 (TVC:SPX)

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